結論
天満屋ストアは、岡山県を中心に食品スーパーを営む会社だ。店は岡山 43、広島 2、鳥取 1。ほかにコンビニ、サービスエリアの飲食、ドーナツ店の子会社を持つ。売上は 592 億円、営業利益は 22 億円で、利益率は 3.7% と地域スーパーでは良い水準にある。
筆者の結論は、今の値段は「適正から割高寄り」である。事業は堅い。自己資本比率は 6 割あり、利払いも軽い。だが資本の稼ぎが低い。ROE は 5% に届かず、資本コストを下回る。店の建て替えが続くため、利益は設備に吸われやすい。
2026 年 2 月期は営業利益が 4% 減った。賃上げと光熱費が効いた。設備投資は 45 億円と大きい。西大寺店の建て替えと生鮮センターの改修が進んでいる。来期は営業利益 23 億円の会社予想だ。
大株主は地元の丸田産業が 2 割強、イトーヨーカ堂が 2 割、天満屋が 1 割強と分かれ、支配する親会社はいない。10 年後の中立でも営業利益は 25 億円前後で、ROE は 3% 台にとどまる。計算の総合は割高側に出た。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、天満屋ストアは「堅いが、資本の稼ぎが低い会社」だ。食料品は景気に強く、財務も堅い。赤字の期が無いのは安心材料だ。だが持ち続けて嬉しい会社かといえば、そうではない。
理由は資本の使い方にある。自己資本は 277 億円に積み上がったが、ROE は 5% に届かない。稼いだ利益の多くは、店の建て替えに消える。配当は利益の 1 割強で、株主に回る分は細い。更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、会計上の利益が物価で膨らんでも、現金は細る。
堀は小さな商圏の信用にあり、人口減とともに縮む。値上げは客数に響く。
安全域は、自己資本の厚さにある。悲観の筋書きでも、店と土地の値打ちが床を支える。ただ、中立の価値は今の値段をやや下回る。値段が大きく下がらない限り、安全域は十分とは言えない。経営が資本を戻す姿勢を強めるかどうかが、評価を変える唯一の分かれ目だ。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は岡山の食品スーパー「天満屋ストア」だ。提出会社の店は 46、うち 43 が岡山県にある。生鮮と総菜に力を入れ、岡山の百貨店・天満屋のギフトカードを使える優待も持つ。連結の従業員は 501 人で、パート・アルバイトの臨時従業員が 1,600 人を超える。人手に頼る事業で、賃上げが利益に直結する。
周辺に子会社がある。三好野本店は高速道路のサービスエリアの飲食や、ドーナツ店を営む。でりかエッセンは総菜と飲食の運営を担う。2025 年 4 月には、備前市のヒナセショッピングセンターを子会社にした。いずれも売上の 1 割に届かない小さな柱だ。
設備投資は 2026 年 2 月期に 45 億円。西大寺店の建て替え(35 億円、2026 年秋に完成予定)と、生鮮センターの改修(25 億円、2027 年 6 月完成予定)が重い。減価償却は今の水準の数倍の投資が続く形で、現金だけでなく借入も増やして賄う。
収益の構造は単純だ。粗利から人件費・光熱費・家賃などを引いたものが営業利益の 3〜4% になる。この差は、賃上げと新店・改装の費用で簡単に動く。
優良さと弱いところ
堀は、岡山の商圏での知名度と、百貨店・天満屋とつながる信用にある。地方のスーパーは生活の足に近く、客は簡単には動かない。総菜と生鮮の鮮度で選ばれる店も多い。
ただし堀は広くない。岡山にはイオン系、ハローズ、山陽マルナカなど強い競合がいる。ドラッグストアの食品の安売りも効く。値決めの力は弱く、利益率は 3〜4% の狭い幅で動く。それでも、直近 12 年の営業利益率は 2.7〜3.9% で、赤字の期が一度もない。守りは固い。
資本効率は低い。ROE は直近 4.9%、過去 10 年の中央値は 4.8% だ。自己資本は 277 億円まで積み上がったが、店と土地に張り付いて稼ぎにくい。配当性向は 1 割強にとどまり、利益の大半は設備に回る。
経営は穏当だ。無理な買収はせず、小さな子会社を足してきた。株主は分散していて、筆者は経営の独走も、買収の圧力も当面は強くないと見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
岡山の食品スーパーは、人口減と競争の二重の圧力を受けている。県の人口は減り続け、客数は伸びにくい。一方で県内は車社会で、郊外の大型店が強い。岡山市の周辺は人口が保たれ、倉敷や津山は縮む。
競合の動きは速い。イオン系は店を足して品ぞろえを広げ、ハローズは低価格で郊外を押さえる。ドラッグストアは食品を安く売り、客を奪う。天満屋ストアは中堅で、仕入れの力で勝てない場面がある。
コストは上がる。最低賃金は毎年上がり、パートの確保には時給を上げ続けるしかない。光熱費と物流費も効く。省力化はセルフレジと総菜の工場化が柱で、各社が同じ手を打つ。
数量は減り、価格は物価で上がる。食品スーパーの客数は中立で 10 年に 0.9〜1.0 倍が普通だ。客単価は物価並みに上がるが、買上点数は減りやすい。売上は伸びても、人件費の伸びが利益を食う。県内では総菜と中食の需要が伸びており、そこを取れる店が強い。
分かれ目は 3 つある。建て替えた店が客数を取り戻せるか。賃上げを価格と省力化で吸収できるか。イオン系・安売り勢との価格競争で粗利を守れるか。
資本政策と M&A
還元は、安定配当が基本だ。年間の配当は 1.8 億円ほどで、配当性向は 1 割強にとどまる。自社株買いはほぼ無い。利益の多くを店舗の建て替えと改装に回し、借入も増やしている。
株主優待は 100 株から、天満屋のギフトカードか VJA ギフトカードを選べる(2 月末・8 月末)。費用は開示がなく、年 0.8 億円と推定した。原価ベースで 10 年分を還元に足した。額は小さく、差は 1 ポイントに満たない。
株主は分かれている。丸田産業(岡山の企業)が 2 割強、イトーヨーカ堂が 2 割、天満屋が 1 割強だ。2013 年にイトーヨーカ堂と資本・業務で提携した。セブン&アイ側は、イトーヨーカ堂の食品スーパー事業を米ベインに売っており、提携の先行きは読めない。TOB の話は無く、価値の数字には入れていない。
減価償却は物価で増やさない。今ある店は取得時の値段で償却を続け、建て替えと改装だけが新しい値段で足される。中立の 10 年後の償却は約 15 億円で、物価で一律に増やした場合の約 16 億円より小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
建て替えが実を結ぶ。西大寺店の新店は 2026 年秋に開き、生鮮センターの改修で総菜の質と原価が上がる。投資の 45 億円は、先の売上を作る種まきだ。会社は来期、営業利益 23 億円と増益を見込む。
物価上昇は食品スーパーに味方する。客単価が上がり、総菜と自社ブランドの比率が上がれば粗利も上がる。赤字の期が無く、利益率は 3% 台の後半で安定している。省力化で賃上げを吸収できる。
財務は堅く、自己資本比率は 6 割。借入が増えても利払いは営業利益の 2 割に満たない。配当を増やす余地は大きく、配当性向は 1 割強しかない。株主が分かれているため、経営は独走せず、安定している。借入を使った建て替えで、売上の土台も守れる。
自己資本は時価総額の 2.5 倍あり、店と土地の価値が厚い。優待もあり、個人株主の下支えが効く。小さな子会社の買収も、利益の上乗せになる。ヒナセの取り込みで、備前の商圏が加わった点も数字に表れる。
慎重な見方
競争は一段と厳しくなる。イオン系は店を増やし、ハローズは低価格を押し出し、ドラッグストアは食品を安く売る。天満屋ストアは仕入れの力で勝てず、値下げに付き合えば粗利が削られる。
賃上げは止まらない。2026 年 2 月期は営業利益が 4% 減った。売上は 1% しか伸びなかった。人件費の増加を価格に載せられる範囲は限られる。
設備投資が重い。45 億円の投資は、今の営業利益の 2 年分だ。建て替えた店で客が戻らなければ、減価償却と利払いだけが残る。借入は増え、金利は 3.5% に上がっていく。光熱費と物流費の上昇も、価格に載せきれない。
人口減は続く。親会社に当たる大株主はおらず、経営が立て直しを急ぐ圧力も弱い。岡山県でも倉敷・津山の商圏は縮み、客数は目減りする。配当性向が低いのは、株主に回す余裕が無いからだ。自己資本が厚く見えるのは、稼げない店と土地に資本が固まっているからで、ROE は 5% に届かない。株主が自由に使える利益は、設備投資のあとに残るわずかな額にすぎない。
どちらに重みを置いたか
建て替えと財務の堅さという強気の見方は起こりうる。だが、競争と賃上げ、重い投資という慎重な見方のほうが重い。確率は中立を中心に置き、楽観・やや楽観を 28%、やや悲観・悲観を 32% にした。中立でも営業利益は 25 億円前後、ROE は 3% 台にとどまる。店と土地が悲観の床を支えるが、中立の価値は今の値段をやや下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 1,589 円183 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 229 円26 億円)。 今の値に割り戻すと 950 円109 億円、今との差 −2.2%、 期待の年率 +6.5%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 2,485 円286 億円 | 313 円36 億円 | +187.9% | +11.2% | 168 円19 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,163 円249 億円 | 269 円31 億円 | +150.3% | +9.6% | 535 円62 億円 |
| 中立 | 40% | 1,899 円219 億円 | 243 円28 億円 | +120.4% | +8.2% | 857 円99 億円 |
| やや悲観 | 22% | 771 円89 億円 | 200 円23 億円 | −0.1% | 0.0% | 214 円25 億円 |
| 悲観 | 10% | 348 円40 億円 | 96 円11 億円 | −54.4% | −7.6% | 44 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,589 円183 億円 | 229 円26 億円 | +87.0% | +6.5% | 1,818 円209 億円 |
今の株価時価総額 972 円112 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 6% 新店が育ち、粗利が上がって利益率が 4% に届く 利益 20 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 2,485 円286 億円
西大寺店の新店が通年で寄与し、生鮮センターの改修で総菜の原価が下がる。客数は 2% 増、客単価は物価並みの 1.37 倍。賃上げは省力化で一部吸収し、営業利益率は過去の山(3.9%)をわずかに超える 4.0% に上がる。配当は利益に応じて増え、優待も続く。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く、年 3.5% で上がるとし、本社費その他も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店舗は取得時の値段のまま、建て替えと改装の分だけ新しい値段で積んだ。償却は開示から読めず、設備の規模から今は年 12 億円前後と推定し、10 年後は約 15 億円(物価で一律に増やすと約 16 億円)。建築費の上昇で更新の投資は膨らみ、償却を超える分は現金と借入から出る。現金の利息は 2%、借入は 3.5% で純利益に入れた。優待の費用は利益から引かれ済みで、還元には受け取り分を足した。
- 食品スーパー・周辺(岡山中心):数量 30.2(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 27(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 827 億円・営業利益 33 億円。客数 1.02 倍(実質)・客単価 1.37 倍(名目)・営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.9% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 274 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建て替えた店と生鮮センターの改修が当たる筋書きで、複数の条件が揃う必要があり確度は低い。
やや楽観 22% 投資が実り、利益率は 3.7% で保たれる 利益 17 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 2,163 円249 億円
建て替えた店で客数を取り戻し、人口減の分を相殺する。客数は 2% 減にとどまり、客単価は物価並みの 1.35 倍。賃上げは価格と省力化で吸収し、営業利益率は今の 3.7% を保つ。小さな子会社も利益を足す。配当は少しずつ増える。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く、年 3.5% で上がるとし、本社費その他も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店舗は取得時の値段のまま、建て替えと改装の分だけ新しい値段で積んだ。償却は開示から読めず、設備の規模から今は年 12 億円前後と推定し、10 年後は約 15 億円(物価で一律に増やすと約 16 億円)。建築費の上昇で更新の投資は膨らみ、償却を超える分は現金と借入から出る。現金の利息は 2%、借入は 3.5% で純利益に入れた。優待の費用は利益から引かれ済みで、還元には受け取り分を足した。
- 食品スーパー・周辺(岡山中心):数量 29.0(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 27(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 783 億円・営業利益 29 億円。客数 0.98 倍(実質)・客単価 1.35 倍(名目)・営業利益率 3.7%
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.4% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 232 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建て替えの効果が出る現実的な上振れ。
中立 40% 中立:客数は微減、利益率は 3% 台前半 利益 14 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,899 円219 億円
客数は人口減と競争で 5% 減る。客単価は物価並みの 1.34 倍。賃上げが人件費を 1.41 倍にし、建て替えの償却と利払いが足されて、営業利益率は 3.3% に下がる。営業利益は 25 億円前後と今よりやや増える。配当は少しずつ増え、ROE は 3% 台にとどまる。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く、年 3.5% で上がるとし、本社費その他も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店舗は取得時の値段のまま、建て替えと改装の分だけ新しい値段で積んだ。償却は開示から読めず、設備の規模から今は年 12 億円前後と推定し、10 年後は約 15 億円(物価で一律に増やすと約 16 億円)。建築費の上昇で更新の投資は膨らみ、償却を超える分は現金と借入から出る。現金の利息は 2%、借入は 3.5% で純利益に入れた。優待の費用は利益から引かれ済みで、還元には受け取り分を足した。
- 食品スーパー・周辺(岡山中心):数量 28.1(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 27(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 754 億円・営業利益 25 億円。客数 0.95 倍(実質)・客単価 1.34 倍(名目)・営業利益率 3.3%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.8% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 199 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:客数微減と物価並みの客単価、賃上げの一部吸収という中心の筋書き。
やや悲観 22% 安売り勢との競争で利益率が 2% 前半に落ちる 利益 9 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 771 円89 億円
イオン系と安売り勢に客を取られ、客数は 10% 減る。客単価は 1.32 倍にとどまる。賃上げを吸収できず、建て替えの償却も重く、営業利益率は 2.2% に落ちる。減損が出て、配当は据え置き、優待は縮む。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く、年 3.5% で上がるとし、本社費その他も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店舗は取得時の値段のまま、建て替えと改装の分だけ新しい値段で積んだ。償却は開示から読めず、設備の規模から今は年 12 億円前後と推定し、10 年後は約 15 億円(物価で一律に増やすと約 16 億円)。建築費の上昇で更新の投資は膨らみ、償却を超える分は現金と借入から出る。現金の利息は 2%、借入は 3.5% で純利益に入れた。優待の費用は利益から引かれ済みで、還元には受け取り分を足した。
- 食品スーパー・周辺(岡山中心):数量 26.6(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 26(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 703 億円・営業利益 15 億円。客数 0.90 倍(実質)・客単価 1.32 倍(名目)・営業利益率 2.2%
倍率:ROE 2.3%。k 7.25% 以下で、ためた利益の価値は 1 を下回るため、PER の上限は 1÷k = 13.8 倍。粗利の厚さと賃上げの吸収、設備の重さを見て、上限の 6.2 割に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 8.5 倍・時価総額 72 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:イオン系・ハローズ・ドラッグストアの攻勢と賃上げの重なりで、すでに起きている流れの延長。
悲観 10% 競争と固定費の重さで赤字に沈む 利益 −5 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 348 円40 億円
競争の激化と人口減で客数は 18% 減る。客単価は 1.30 倍にとどまる。建て替えた店の償却と利払いが重く、営業赤字が続く。減損が積み上がり、自己資本が減る。配当は削られ、優待は廃止される。値打ちは、売れる店舗用地と建物の床までになる。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く、年 3.5% で上がるとし、本社費その他も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店舗は取得時の値段のまま、建て替えと改装の分だけ新しい値段で積んだ。償却は開示から読めず、設備の規模から今は年 12 億円前後と推定し、10 年後は約 15 億円(物価で一律に増やすと約 16 億円)。建築費の上昇で更新の投資は膨らみ、償却を超える分は現金と借入から出る。現金の利息は 2%、借入は 3.5% で純利益に入れた。優待の費用は利益から引かれ済みで、還元には受け取り分を足した。
- 食品スーパー・周辺(岡山中心):数量 24.3(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 26(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 631 億円・営業利益 −6 億円。客数 0.82 倍(実質)・客単価 1.30 倍(名目)・営業利益率 -1.0%
倍率:営業赤字で稼ぐ力はない。売れる店舗用地と建物の税後から純負債を引いた 40 億円を時価総額に置いた。今の自己資本 277 億円に対する PBR は 0.14 倍。清算されない限り、少数株主は店を売る判断ができないため、自己資本を大きく下回ってよい。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.144 倍・時価総額 40 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:競争の激化と人口減が重なる構造的な負け。重い設備投資を抱えているため、起きたら戻りにくい。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
食品スーパー・周辺(岡山中心)
岡山・広島・鳥取の食品スーパー 46 店と、コンビニ・サービスエリア飲食などの子会社。
| 数量年間の来店客数(百万人、推定) | 価格客単価(百円 / 人、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 29.6 | 20 | 592 | 22 |
| 10 年後 中立 | 28.1 | 27 | 754 | 25 |
取り方:売上 592 億円を、客単価 2 千円(開示なし、岡山の地域スーパーの水準として推定)で割った来店客数。数量は推定である。
リスクと懸念
岡山の競争とドラッグストア
イオン系、ハローズ、山陽マルナカなどの強い競合に、食品を安く売るドラッグストアが加わる。値下げに付き合えば粗利が削られ、付き合わなければ客が逃げる。中堅の天満屋ストアには仕入れの力で劣る弱みがある。
賃上げと人手不足
連結の従業員 501 人に対し、臨時従業員が 1,600 人を超える。最低賃金の上昇が利益に直結する。2026 年 2 月期は賃上げと光熱費で営業利益が 4% 減った。省力化が追いつかなければ、利益率は 3% を割る。
設備投資の重さ
2026 年 2 月期の投資は 45 億円で、営業利益の 2 年分にあたる。西大寺店の建て替えと生鮮センターの改修が続く。建築費の上昇で膨らみ、客が戻らなければ、償却と利払いだけが残る。借入は金利 3.5% で借り換わる。
人口減少
岡山県の人口は減り、倉敷・津山の商圏は縮む。客数は押し下げられる。数量の前提は人口減を織り込んだが、想定を超えて減れば、店ごとの固定費が重くなる。
店舗の固定費とリース
家賃と減価償却は、売上が落ちても減らない固定の約束だ。賃借の店の約束の額は開示から読めない。新リース会計基準で 2028 年 2 月期から負債が見かけ上ふくらむ。悲観では固定費が利益を直撃する。
株主構成と提携の行方
丸田産業、イトーヨーカ堂、天満屋が分かれて持つ。セブン&アイは食品スーパー事業を米ベインへ売っており、イトーヨーカ堂の持株の扱いは読めない。持株の売却や再編が起きる可能性はあるが、時期も条件も不明だ。
優待と配当の縮小
優待(ギフトカード)と配当は、利益が落ちれば縮められる。優待の費用は開示がなく、年 0.8 億円と推定した。優待を目当てにした個人株主が多く、廃止すれば株主構成が変わる可能性がある。
今後の分かれ目
- 西大寺店の新店が、開店後 1 年で計画の売上に届いたら
- 建て替えの効果を評価し、楽観・やや楽観に確率を寄せる。
- 営業利益率が 4% を超える期が出たら
- 粗利の改善と省力化の吸収を評価し、中立の利益率を引き上げる。
- イオン系やハローズが主力の商圏に大型店を出したら
- 客数と粗利の前提を下げ、やや悲観に寄せる。
- 減損が 2 期続けて出たら
- 新店と既存店の収益力の前提を下げ、悲観側に寄せる。
- イトーヨーカ堂が持株を売却する、または公開買付けが発表されたら
- 少数株主の取り分を、提示された条件と企業価値で見直す。
- 配当性向が 3 割を超える方針に変わったら
- 還元の前提を引き上げ、価値を足し直す。
見ておくもの
- 既存店売上と客数、客単価(月次)
- 売上総利益率と販管費率(人件費・光熱費)
- 西大寺店と生鮮センターの進捗と投資の総額
- 減損損失と追加の特別損失
- 大株主の動き(丸田産業・イトーヨーカ堂・天満屋)
- 配当・優待と借入の水準
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 112 億円や PBR 0.4 倍には寄せていない。客数と客単価から利益を積み、倍率は式で置いた。ROE が k(7.25%)に届かないので、PER の上限は 1÷k = 13.8 倍。中立はその 7.6 割、やや楽観 8.3 割、楽観 9.4 割とした。純有利子負債が正で余った現金は無いので、現金の足し算はしない。優待は年 0.8 億円と推定して還元に足した。新リース会計基準は 2028 年 2 月期から適用されるが、10 年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。減価償却は物価で増やしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13→13.79 倍・やや楽観 PER 11.5→13.79 倍・中立 PER 10.5→13.79 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality −0.25%(循環 −0.5・値決め力 +0.25・借金 0・寿命 0)= 7.25%。