結論
アプライドは、福岡に本社を置く直販型のパソコン会社だ。店舗は全国 27、法人営業は大学や研究機関、企業向けの計算機に強い。売上は 480 億円、営業利益は 34 億円と過去最高である。筆者の結論は、事業の稼ぐ力は特需をはがすと 20 億円前後で、現金の厚みがそれを支えるということだ。
直近の好調は、2025 年 10 月の Windows 10 のサポート終了に伴う買い替えと、AI 関連の投資が重なった結果だ。セグメント利益率は 8.7% に達したが、会社自身が翌期は減益を見込んでいる。筆者はこの利益率を 10 年の標準にしない。
財務は軽い。純現金は 39 億円で、時価総額の約 3 割にあたる。配当性向は 15% 前後と低く、現金は貯まりやすい。その現金が株主に戻るかは経営次第で、筆者は戻り方を 0.75 と見た。
中立では、10 年後の売上は 560 億円、営業利益は 31 億円。台数は特需の反動で減るが、単価は物価並みに上がる。確率で重みづけした総合は、10 年後に積み上がる現金まで数えて今の時価総額をやや上回り、適正の範囲に入る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、アプライドは「安いが、強くもない」会社だ。直販のパソコンは参入障壁が低く、堀は浅い。利益が増えても、それが買い替えの山の利益なら、長くは続かない。
払う値段には厚い安全域がある。時価総額は純現金の 3 倍強で、利益に対する倍率は 5 倍台と低い。特需をはがした 10 年の中立の利益 20 億円でも、現金を別に評価すれば今の値段はおおむね妥当と見る。
確かめたいのは経営の資本配分だ。化粧品・雑貨の不採算を整理するか、厚い現金を還元に回すか。この二つが動けば、価値は現金の分だけ素直に株主に届く。動かなければ、現金は評価損のように眠る。
筆者は、10 年で見て当たりのある会社ではなく、現金と安さで負けにくい会社と見る。逆に言えば、割安の理由は本業の質の低さにあり、現金が減る道(買収や不採算の維持)だけを避ければよい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心はパソコン・ゲーム事業で、売上の 78%、セグメント利益のほぼ全部を占める。「アプライド」の直営店が全国に 27 あり、2026 年 2 月に東北初の仙台店を開いた。店舗のほかに、法人・大学向けの営業が 25 拠点、特機(流通ルート向け)が 4 拠点、広域システムが 4 拠点、通販が 2 拠点ある。
大学・官公庁・研究機関向けは SI 営業部が担い、科学計算用の高性能機(HPC)やワークステーションを一台ずつ組んで納める。名古屋に生産工場を持ち、受注生産に近い形だ。ここが量販店との違いで、仕様を詰められるぶん値引きだけの競争になりにくい。
残りは子会社二つだ。ハウズは化粧品・雑貨の直営 5 店で、売上は 103 億円だが前期比 17% 減、セグメントは赤字である。シティ情報ふくおかは福岡の情報誌と広告で、売上は 4 億円にすぎない。
従業員は連結 440 人、臨時を含めても 700 人弱の小さな会社だ。店舗の賃借は 33 か所、年の家賃は約 7 億円である。固定の約束が営業利益の 2 割ほどに当たる点は覚えておきたい。
優良さと弱いところ
堀は浅い。パソコンの本体は他社と同じ部品で作られ、個人向けは量販店と通販に価格で比べられる。強みは、法人と大学の現場に入り込んだ営業と、一台ずつ組む受注生産の工場だ。ここは顧客が仕様と保守で縛られ、乗り換えに手間がかかる。
資本効率は悪くない。過去 10 年の ROE の中位は 16% で、薄い利益率を回転で補う小売らしい数字だ。ただし直近の利益率 7.1% は過去 12 年で最高であり、特需が剥がれた後の水準ではない。2023 年 3 月期の 4.5%、2015 年 3 月期の 0.9% が現実にあった。
気になるのは化粧品・雑貨だ。売上の 2 割を占めながら利益を生まず、卸売の縮小が止まらない。経営資源が分散しているのは弱点である。
一方で借金はほぼなく、財務の傷みは小さい。従業員は 700 人弱で、一人あたりの売上は大きい。小さな組織で受注生産と店舗を回している点は、強みでもあり、人が抜けた時のもろさでもある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
パソコン市場は国内で年 1,000 万台前後の成熟市場だ。5 年前後の周期で買い替えが山と谷を作る。直近の山は、2025 年 10 月の Windows 10 終了と、2020 年前後の GIGA スクール構想(学校の端末の一括整備)だ。山の後は数年、買い替えが細る。アプライドの利益も、2021 年 3 月期にいったん山をつけ、2023 年 3 月期に谷に落ちている。
人口が減る国内で、台数は構造的に横ばいから微減だ。単価は部材高と円安で上がっているが、個人向けは価格を比べやすく、転嫁には限りがある。一方、AI と解析のための高性能機は台数は少なくても単価が高い。大学・研究機関向けの計算機は、予算の年度で動くため安定している。
競合は量販店(ヤマダ、ビックカメラ)、メーカー直販(デル、レノボ、HP)、PC ショップの同業(ドスパラ、ツクモ)だ。メーカー直販は価格で強く、量販店は集客で強い。その間で、専門知識と受注生産で戦うのがアプライドの位置である。クラウド GPU の普及は、研究機関の自前計算機を減らす逆風になりうる。
資本政策と M&A
配当は 2026 年 3 月期が増配で配当性向 15%、翌期は減配の予想で、DOE は 2.5% 程度だ。自社株買いは直近でない。方針は「株主還元を第一」とあるが、実際の性向は低く、現金が積み上がる。
株主優待は 3 月末の 100 株以上に QUO カードか自社グループで使えるポイントを選べる額面千円ほどの内容で、年の費用は 0.2 億円に満たない。還元への影響は 1 ポイント未満のため、数字には入れていない。
借入は長期借入金が数億円と小さい。純現金 39 億円のうち、仕入先への支払いと店舗の賃借の約束に必要な分を引いた 20 億円を、事業に要らない現金として別に数えた。M&A の実績は子会社の化粧品・出版で、拡大の手段にはしていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
アプライドは今の値段が安すぎる。純現金は 39 億円で、時価総額の 3 割。利益は 23 億円で、倍率は 5 倍台だ。事業の価値がほぼゼロで売られている。
大学や研究機関向けの計算機は、AI の時代に需要が増える。受注生産の工場と営業の力は一朝一夕に真似できない。名古屋の工場を増強し、仙台に新店を出し、能力の拡大が実績になっている。
Windows 10 の特需がはがれても、AI と解析の高性能機が穴を埋める。単価は物価と構成で上がり、台数の減りを補う。化粧品の赤字が止まれば、利益率は 7% 近くを保てる。
現金も別に評価できる。配当性向は低く、増配の余地が大きい。経営が一歩動けば、現金の 4 割が株主に戻るだけで値が付く。
加えて、自己資本比率は 6 割を超え、借金に追われる心配がない。景気の谷でも店舗と工場を維持でき、同業が整理に動く時に顧客を取れる。小型で株主の数も少なく、増配や自社株買いの決断は早い。
慎重な見方
今の利益は特需の山だ。2025 年 10 月の Windows 10 終了で法人も個人も買い替えを前倒しし、その反動は 2027 年以降に来る。会社の翌期予想も営業利益 5% 減だ。
直販のパソコンに堀はない。個人向けは量販店と通販で価格を比べられ、部材と為替の上昇を転嫁できない年がある。2023 年 3 月期には利益率 4.5% に落ちた。
化粧品・雑貨は売上の 2 割で、赤字、しかも縮小が止まらない。家賃は固定で、売上が減っても減らない。
現金も、使い道の方針が見えない。配当性向は 15% と低く、自社株買いもない。現金は事業の運転資金と家賃の約束で目減りし、株主に届く保証はない。
小さな会社の利益は、一つの大口案件や一つの仕入先の都合で大きく揺れる。大学向けの計算機も、予算の年度が変われば止まる。薄い利益率の事業に、高い倍率を払う理由は見当たらない。
価格の比較に弱いのは法人も同じだ。官公庁や大学の調達は入札が多く、仕様を満たせば最安値の会社が取る。受注生産の強みが値決めの力に結びつくかは、これまでの決算を見てもはっきりしない。
どちらに重みを置いたか
事業の稼ぐ力は特需をはがすと弱く、中立の利益は今より 1 割ほど低い。この点は慎重な見方が強い。一方、現金が厚く、利益に対する倍率が低いので、悲観側の確率を 3 割台にとどめ、下値は純現金と売れる資産で支えられるとみた。現金の戻り方は 0.75 と置いた。
楽観側にも悲観側にも寄せすぎず、中立に最も厚い確率を置いた。特需の山を差し引いて利益を見直してもなお、純現金と堅い財務が下値を支える、というのが筆者の見立てだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 12,976 円351 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,360 円37 億円)。 今の値に割り戻すと 6,936 円187 億円、今との差 +50.8%、 期待の年率 +12.0%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 23,426 円633 億円 | 1,813 円49 億円 | +448.7% | +18.6% | 1,767 円48 億円 |
| やや楽観 | 20% | 18,499 円500 億円 | 1,628 円44 億円 | +337.5% | +15.9% | 4,025 円109 億円 |
| 中立 | 41% | 15,101 円408 億円 | 1,443 円39 億円 | +259.7% | +13.7% | 6,783 円183 億円 |
| やや悲観 | 22% | 5,642 円152 億円 | 1,184 円32 億円 | +48.4% | +4.0% | 1,502 円41 億円 |
| 悲観 | 10% | 2,042 円55 億円 | 555 円15 億円 | −43.5% | −5.6% | 260 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 12,976 円351 億円 | 1,360 円37 億円 | +211.7% | +12.0% | 14,337 円387 億円 |
今の株価時価総額 4,600 円124 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:AI 計算機と大学・研究向けでシェアを取り、利益率が 7% 台に乗る 利益 32 億円 · PER 17.4 倍 · 株価時価総額 23,426 円633 億円
Windows 10 の買い替えが終わっても、AI と解析用の高性能機は伸び続ける。アプライドは 1 台ずつ受注生産で組む工場を持ち、大学や研究機関の仕様に合わせられる。台数は今より 2 割ほど増え、1 台の単価は構成の高度化で物価以上に上がる。パソコン事業の売上は 570 億円、利益率は 7.6% になる。
ハウズは出店を絞って赤字を脱し、わずかな黒字を保つ。全体の営業利益は 47 億円、純利益は 32 億円。
利益が増えても配当性向は低いままで、現金は積み上がる。仙台に続く新店は黒字で定着し、名古屋工場は第二拠点を持つ。一方で大手クラウドは国内の研究機関の一部を取り、すべてが追い風ではない。
- パソコン・ゲーム事業:数量 255(出荷台数の換算(千台))× 価格 23(1 台あたり平均単価(万円。ソフト・保守を含む))→ 売上 574 億円・営業利益 44 億円。AI・解析機で台数 +2 割、単価は構成高度化で 1.5 倍
- 化粧品・雑貨事業(ハウズ):数量 8.0(取扱点数(百万点))× 価格 1,400(1 点あたり平均単価(円))→ 売上 112 億円・営業利益 2 億円。不採算店を絞り小幅な黒字
- 出版・広告事業:数量 120(取扱件数(千件))× 価格 4.40(1 件あたり平均単価(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。横ばい
倍率:事業の純利益 31 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 17.38 倍、時価総額 551 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:大学・研究機関向けの計算機の需要が長く伸び、受注生産の強みで他社に勝ち続ける筋書き。直近の 8.7% がセグメントの実績なので全く届かない話ではないが、物価と部材高の中で続く保証はなく 7% にとどめた。
やや楽観 20% やや楽観:高性能機の比率が上がり、利益率は 6.9% で踏みとどまる 利益 25 億円 · PER 16.7 倍 · 株価時価総額 18,499 円500 億円
Windows 10 特需は終わるが、法人の入れ替えと AI 関連の投資が下支えする。台数は今よりわずかに減るが、1 台あたりの単価が構成の高度化で物価を上回って上がる。パソコン事業の売上は 510 億円、利益率は 6.9%。
ハウズの赤字は止まり、収支は均衡に近づく。営業利益は 37.7 億円、純利益は 25 億円。
物価と人件費は上がるが、法人向けの値上げで吸収する。名古屋工場の増強が実を結び、受注から納品までの速さが顧客を留める。仙台のような新店は数店で止まり、出店は抑えめになる。個人向けは量販店と通販に押されて横ばいだが、法人と大学の比率が上がって利益の質は改善する。
- パソコン・ゲーム事業:数量 240(出荷台数の換算(千台))× 価格 21(1 台あたり平均単価(万円。ソフト・保守を含む))→ 売上 511 億円・営業利益 35 億円。台数は 4% 減、単価は 1.42 倍
- 化粧品・雑貨事業(ハウズ):数量 7.6(取扱点数(百万点))× 価格 1,370(1 点あたり平均単価(円))→ 売上 104 億円・営業利益 1 億円。収支均衡
- 出版・広告事業:数量 115(取扱件数(千件))× 価格 4.00(1 件あたり平均単価(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。横ばい
倍率:事業の純利益 25 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.0% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 16.71 倍、時価総額 421 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近の好調の半分が定着する筋書き。新店と名古屋工場の増強が実績になっているので、悲観の言うほど落ちないと見た。
中立 41% 中立:特需がはがれ、利益率は 5.5% に戻る。売上は物価分だけ伸びる 利益 20 億円 · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 15,101 円408 億円
パソコン事業の台数は特需のはがれで 8% 減る。一方で単価は物価並みの 1.34 倍に上がり、売上は 460 億円。利益率は 6.3% で、特需前の 5% 台と直近の 8.7% の間に置く。名古屋工場と新店で営業の力は上がるが、法人向けは値引きの競争が続く。
ハウズは卸売の縮小が続き、店舗を減らして売上は 97 億円。出版・広告は横ばい。営業利益は 31 億円、純利益は 20 億円。足元の 23 億円より少ないのは、特需の分を落とすためだ。
人件費は物価で 1.34 倍に上がり、店舗の家賃も同じ方向に動く。法人の入れ替えは周期で戻り、2030 年前後の次の更新期にも山を作る。10 年を均すと、山と谷の中間に落ち着くというのが中立の考えだ。
- パソコン・ゲーム事業:数量 230(出荷台数の換算(千台))× 価格 20(1 台あたり平均単価(万円。ソフト・保守を含む))→ 売上 462 億円・営業利益 29 億円。特需がはがれ台数 8% 減。単価は物価並み
- 化粧品・雑貨事業(ハウズ):数量 7.2(取扱点数(百万点))× 価格 1,340(1 点あたり平均単価(円))→ 売上 97 億円・営業利益 1 億円。店舗を絞り収支はほぼゼロ
- 出版・広告事業:数量 110(取扱件数(千件))× 価格 4.00(1 件あたり平均単価(万円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。横ばい
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.0% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 15.99 倍、時価総額 326 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の利益率 7.1% は過去 12 年で最高。しかもセグメント利益率 8.7% は Windows 10 の終了に伴う買い替えが押し上げている。過去の中位は 4.5〜5.5% なので、中立はその少し上に置いた。
やや悲観 22% やや悲観:法人・個人の買い替えが 2 割細り、利益率は 4.6% 利益 12 億円 · PER 7.4 倍 · 株価時価総額 5,642 円152 億円
Windows 11 への移行が済んだ後、パソコンの買い替えは数年凍る。台数は今の 78% に減り、部材高を単価に移しきれない。パソコン事業の利益率は 4.6% に落ちる。
ハウズは固定の家賃が残るため、売上が減ると赤字に戻る。営業利益は 16 億円、純利益は 12 億円。
大学・官公庁の予算は動くが、企業の更新は 2 年以上先送りされる。部材高が一服しても、値引きの競争で粗利率は戻らない。経営は店舗を絞って対応するが、家賃の約束が重く残る。化粧品の卸売は縮小が続き、赤字の幅は 1 億円を超える。
- パソコン・ゲーム事業:数量 195(出荷台数の換算(千台))× 価格 19(1 台あたり平均単価(万円。ソフト・保守を含む))→ 売上 371 億円・営業利益 17 億円。台数 22% 減、単価は 1.27 倍止まり
- 化粧品・雑貨事業(ハウズ):数量 5.5(取扱点数(百万点))× 価格 1,300(1 点あたり平均単価(円))→ 売上 72 億円・営業利益 −1 億円。家賃が残り赤字
- 出版・広告事業:数量 95.0(取扱件数(千件))× 価格 3.60(1 件あたり平均単価(万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。縮小
倍率:PER 7.4 倍。利益が薄く ROE は 4% 台。上限 1÷k の 63%。
確率:特需の反動に加え、円安・部材高で個人向けの需要が落ちる筋書き。2023 年 3 月期の 4.5% が実際にあった水準で、起こりうる範囲に収まる。
悲観 10% 悲観:メーカー直販と海外勢に押され、台数が半分に。ハウズも店を畳む 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 2,042 円55 億円
ネット通販とメーカー直販が広がり、店舗の存在価値が薄れる。大学・研究機関の計算機もクラウドに移り、受注生産の差別化が効かなくなる。台数は 5 割強まで減り、価格競争で単価は物価に届かない。パソコン事業の利益率は 1.5% に落ちる。
ハウズは店舗網を縮めても家賃が残り、赤字が膨らむ。営業利益はほぼゼロになる。
現金は家賃の支払いと損失の補てんで目減りし、売れる資産も在庫の評価減で縮む。会社は存続するが、成長の物語は終わり、株主に残るのは純現金と一部の営業資産の売却価値になる。経営は撤退か売却を迫られ、人員の削減で損失を抑える段階に入る。
- パソコン・ゲーム事業:数量 130(出荷台数の換算(千台))× 価格 17(1 台あたり平均単価(万円。ソフト・保守を含む))→ 売上 215 億円・営業利益 3 億円。台数 48% 減、単価 1.1 倍
- 化粧品・雑貨事業(ハウズ):数量 4.0(取扱点数(百万点))× 価格 1,200(1 点あたり平均単価(円))→ 売上 48 億円・営業利益 −3 億円。赤字拡大
- 出版・広告事業:数量 60.0(取扱件数(千件))× 価格 3.00(1 件あたり平均単価(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。縮小
倍率:PBR 0.40 倍を今の自己資本 138 億円に掛けた。稼ぐ力はほぼゼロで、純現金と売れる資産の税後が床になる。
確率:構造的に負ける筋書き。個人は通販とメーカーの直販に流れ、法人は PC のレンタル・サービス化に移る。AI 計算機は大手クラウドに食われる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
パソコン・ゲーム事業
直販型メーカーとして、法人・大学・研究機関・個人向けのパソコン、ワークステーション、サーバーを売る。店舗と法人営業が両輪。
| 数量出荷台数の換算(千台) | 価格1 台あたり平均単価(万円。ソフト・保守を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 249 | 15 | 374 | 33 |
| 10 年後 中立 | 230 | 20 | 462 | 29 |
取り方:売上 374 億円(前期比 8.2% 増)。台数と単価は開示がなく、売上から推定した(平均単価 15 万円は、個人向けの低価格機と、大学向けの高価格な計算機が混ざった水準と置いた)。セグメント利益 32.7 億円(利益率 8.7%)は有報の開示。
化粧品・雑貨事業(ハウズ)
子会社ハウズが直営 5 店で化粧品と雑貨を売る。卸売が減り縮小中。
| 数量取扱点数(百万点) | 価格1 点あたり平均単価(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.3 | 1,000 | 103 | 0 |
| 10 年後 中立 | 7.2 | 1,340 | 97 | 1 |
取り方:売上 103 億円(前期比 16.6% 減)。点数と単価は推定。セグメント利益はわずかな赤字(−0.4 億円)。
出版・広告事業
子会社シティ情報ふくおかが福岡で情報誌と広告を扱う。規模は小さい。
| 数量取扱件数(千件) | 価格1 件あたり平均単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 130 | 3.00 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 110 | 4.00 | 4 | 0 |
取り方:売上 3.9 億円(前期比 13% 減)。件数と単価は推定。セグメント利益 0.4 億円。
リスクと懸念
特需の反動
Windows 10 終了に伴う買い替えは 2025 年度で山をつけた。翌期の営業利益は 5% 減の会社予想で、その後の数年は台数が細る。直近の利益率 7.1% を標準にしてはならない。
部材高と為替
メモリ・半導体の値上がりと円安は仕入れを押し上げる。個人向けは価格比較が効き、転嫁が遅れる。有報も米ドル建て決済の為替リスクと、部材供給不足による納期の長期化を挙げている。
化粧品・雑貨の赤字
ハウズは売上の 2 割を占めるのに赤字で、卸売が前期比 17% 減った。店舗の賃借は固定費として残る。整理の判断が遅れれば、全体の利益率を押し下げる。
固定の賃借料
店舗の賃借は 33 か所、年の家賃は約 7 億円で、営業利益の 2 割に当たる。売上が落ちても減らない。2028 年 3 月期からは新リース会計基準で借入に似た形で BS に載り、自己資本比率は見かけ下がる。
クラウドと直販の台頭
AI の学習や解析の計算がクラウド GPU に移ると、研究機関の自前計算機が減る。メーカー直販とネット通販は価格で強く、店舗の価値を削る。
売掛金の回収
法人・大学向けは掛け売りが多く、有報も売掛金の回収不能と陳腐化在庫を事業のリスクに挙げる。大口案件の延滞は利益を一気に削る。
現金の使い道
厚い現金が配当性向 15% でとどまる。経営が買収や不採算事業の維持に使えば、株主への価値は大きく減る。
今後の分かれ目
- 翌期以降も法人向けの受注が前期並みを保つ
- 特需の反動が小さく、中立の利益率を 6% 台に引き上げて見る。
- ハウズの店舗整理や事業の売却を発表する
- 赤字が止まり、全体の利益率が 0.3〜0.5 ポイント上がる。経営の資本配分への見方も改善する。
- 配当性向の引き上げや自社株買いを発表する
- 現金の戻り方を 1.0 に近づけ、価値が現金の分だけ上がる。
- 部材価格の高騰で粗利率が 1 ポイント以上落ちる
- 単価の転嫁が効かないと見て、やや悲観の確率を上げる。
- 大学・研究機関向けの AI 計算機の受注が大型化する
- 高性能機の比率が上がり、楽観の筋書きの確率が増す。
見ておくもの
- 月次または四半期の法人・大学向け売上と粗利率
- ハウズの店舗数と赤字幅
- 配当性向と自社株買いの有無
- 部材価格と為替
- 新リース会計基準の導入に伴う開示の変化
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。k 8% で、ROE が k に届かない筋書きの上限は 1÷k の約 11.8 倍。中立の 8.8 倍はその 75%。今の PER や同業の倍率は使っていない。今の時価総額は純現金より小さく見えるが、そのために悲観の確率を下げたり倍率を上げたりはしていない。10 年後の数字は家賃を営業費用に入れた今と同じ形で置いた。新リース会計基準で営業利益は少し増え、純有利子負債と自己資本比率の形が変わる。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→17.38 倍・やや楽観 PER 9.2→16.71 倍・中立 PER 9.3→15.99 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.0% を加えて 8.5%。同じ領域の家電量販店(+0.8〜+1.0%)と並べた。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.00%。