結論
ZOA は静岡県沼津市を地盤に、パソコンとバイク用品を店舗と通販で売る小さな専門店だ。店舗は 22 店、通販は売上の半分近くを占める。ほかに不動産の売買と賃貸も手がける。
筆者の結論はやや割安だ。ただし利益の質を割り引いた上での話になる。10 年後の中立の時価総額は今の 2 倍を超えるが、その 3 割弱は、配当に回らず積み上がる現金だ。直近の営業利益率は 5.1% と過去最高圏だが、Windows 10 の終了と学校向け端末の更新という一過性の特需が押し上げた。
国内の PC 出荷は 2026 年度に 4 割近く減ると予測されている。ZOA の店舗は PC 本体が売上の約 4 割を占め、この反動を避けにくい。一方、通販は年 9% で伸び、バイク用品と家電が増えている。
事業の稼ぐ力は ROE で 10% 前後だが、配当が利益の 3 割にとどまるため自己資本が積み上がり、価値の式では上限が頭打ちになる。積み上がった現金が株主に戻るかが、評価の分かれ目になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ZOA は「利益の質を疑って買う会社」だ。直近の 3 億円の純利益は、買い替え特需の分だけ高い。特需がない年の利益は、今の 6 割ほどと見るのが安全だ。
オーナーとして持ち続けたい事業かというと、店舗の PC は縮む市場で、答えは否だ。通販のバイク用品は趣味の市場で、粘り強い。ただ、大手モールと価格を争う事業で、堀は厚くない。
資本の使い方は、利益の 3 割しか配当に回さず、残りを自己資本に積み上げている。その資金を高い収益で使えるなら良いが、不動産の仕入れ以外に有望な使い道は見えない。積み上がった現金は ROE を押し下げ、価値の式を頭打ちにする。
安全域は、土地・保証金・投資有価証券に支えられた純資産がある点だ。ただ、それは悲観の床であり、成長の価値ではない。今の値段は、特需を割り引いた中立の価値より低い。ただし現金の戻り方と PC の反動に不確かさがあり、安全域は厚くない。
何で稼ぐ会社か
ZOA は静岡県沼津市に本店を置き、2005 年に上場した PC 店で、現在は「OA ナガシマ」12 店、「コンピュータプラザ ZOA」4 店、「パソコンの館」6 店の計 22 店と、通販サイト「e-zoa.com」を運営する。2026 年 3 月期の売上は 95 億円で、小売が 9 割強、不動産が 1 割弱だ。
小売の内訳は、通販が約 40 億円で最大だ。バイク用品が通販の半分ほどを占め、掃除機や電子レンジなど家電が伸びている。店頭では PC 本体が約 19 億円、DOS/V パーツ、ソフト・サプライ、周辺機器が続き、修理・設定のサービス・サポートも約 6 億円ある。
不動産事業は、土地建物の売買と賃貸だ。販売の件数は年によって 4〜9 件と振れ、利益は小売より不安定だ。賃貸用の土地は沼津駅北口と焼津にある。
店舗は賃借が基本で、21 店で年 2.3 億円の賃借料を払う。居抜きの中古物件を使い、固定費を抑えてきた。従業員は 71 人と少なく、1 人あたりの売上は約 1.3 億円になる。
優良さと弱いところ
優良さは中程度だ。強みは 3 つある。第 1 に、修理・設定のサポートまで受ける接客で、価格だけの競争を避けている。第 2 に、通販でバイク用品という専門性の高い商材を持つ。第 3 に、無借金に近い財務で、不況期の赤字でも耐えられる。
弱みは、扱う商品の大半が市場価格に左右される点だ。PC 本体は家電量販店とネットの価格に引きずられ、ZOA 自身が値段を決められない。PC の販売単価の変動は有報でも主要リスクに挙げられている。
資本の効率は、過去 10 年の ROE の中央値が 10% と悪くない。ただ中身は、2021 年以降の特需に引かれた面が大きく、2020 年までは 5〜7% だった。
株主の構成は、社長が 17%、前社長の夫人が 12%、PC 流通大手のダイワボウ情報システムが 12% と、固定した株主が厚い。安定感はあるが、少数株主の発言力は弱い。堀は強くなく、10 年後に今より強いとは言いにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
最大の変数は PC 市場の循環だ。国内の PC 出荷は 2025 年度に 1,806 万台と過去最高だったが、2026 年度は MM 総研が 4 割近い減少を予測している。GIGA スクール端末の更新と Windows 10 の終了が重なり、買い替えが前倒しされた反動が出る。メモリの高騰で価格が 1〜2 割上がるとの見方もあり、買い控えを招きやすい。
店頭の PC は、家電量販店とネット通販に押されて長期で縮んできた。専門店として生き残る道は、修理とサポート、ゲーミング PC の販売だ。ただ、これらは家電量販店も力を入れる領域だ。
通販のバイク用品は趣味性が強く、ギア市場は約 1,350 億円規模とされる。新車の販売台数は全盛期の 1 割台まで落ちたが、用品は底堅い。競合は大手モールとバイク用品の専門店で、価格比較が厳しい。
これらの市場の数量は、人口の減少とともに緩やかに縮む。通販だけが、ネットへの移りで数量を伸ばす余地がある。バイクの保有台数は長期では減るが、趣味の用品は新車の販売より粘る。
資本政策と M&A
資本の方針は保守的だ。配当は業績に応じて期末の年 1 回とし、2026 年 3 月期は性向 29% の増配だった。自社株買いの実績は直近にない。株主優待は確認できなかった。
借入金は 3 億円を返済し、純現金は 2 億円と薄い。時価総額の 1 割に満たないので、余った現金としては分けていない。政策保有株はダイワボウ HD で、簿価は 1 億円に満たない。
不動産事業は、土地を仕入れて売る資金を自己資金で回している。販売用不動産は 2.4 億円まで積み上がり、売却のタイミングで利益が大きく振れる。
株の需給の面では、時価総額が 22 億円と小さく、社長・前社長家・ダイワボウの 3 者で 4 割を超える。ダイワボウ情報システムが動けば、再編もありうる。kabufu のシミュレーションでは、10 年以内の買収の確率は約 3 割だ。ただ買収価格が事業の価値を上回るかは不明で、筋書きには織り込まなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
PC の特需が引けても、ZOA の利益は 2020 年より高い水準で定着する。通販が年 9% で伸びており、バイク用品と家電という特需と関係のない商材が売上の半分近くを占めるからだ。ネットへの移りは続き、通販の数量は 10 年で 1.3 倍から 1.5 倍に伸びる。
店舗も、修理・サポート・ゲーミング PC の販売という接客の強みで価格競争を避けている。サービス&サポートの売上は 8% 伸び、PC を売った後の収益も積み上がっている。人が少ない小さな会社で、1 人あたりの売上が大きいことも強みだ。
財務は無借金に近く、赤字の期は過去 10 年にない。純利益 3 億円に対して時価総額は 22 億円で、7 倍の利益で買える。配当は性向 3 割と余裕があり、増配の余地が大きい。PC 流通大手のダイワボウ情報システムが 12% を持つ点も、仕入れの安定と再編の両面で支えになる。上は、通販の成長と不動産の売却益で伸びる余地がある。時価総額が小さく、利益が少し増えるだけで見え方が大きく変わる。
慎重な見方
今の利益は特需の産物だ。Windows 10 の終了と GIGA スクールの更新で、PC の出荷は 2025 年度に過去最高になった。2026 年度は 4 割近い減少が予測され、4〜6 月期の営業利益はすでに 2 割減った。店舗の PC 本体は売上の約 4 割を占め、反動を直接受ける。
店舗は 21 店を賃借し、年 2.3 億円の賃借料は売上が落ちても減らない。特需前の 2020 年 3 月期は、売上 84 億円で営業利益は 2 億円台にとどまった。
通販の成長も、大手モールとの価格競争の上に立っている。バイク用品は趣味の市場で、新車の販売台数は 30 年で大きく減った。ネットの利益率は店舗より高いとは限らない。
安定株主が厚く、少数株主は経営に口を出しにくい。配当は 3 割しか払わず、利益のほとんどは自己資本に積み上がって ROE を薄める。上は限られ、下は PC の反動で深くなる。特需前の水準に戻るだけで、今の利益の 4 割が消える。
どちらに重みを置いたか
特需の反動という慎重な見方の指摘が強い。ただし通販の伸びは本物で、利益率が特需前の 2% 台まで戻る確率は高くない。中立は特需の剥落と通販の成長を相殺し、利益率を 4.5% 前後に置いた。確率は、やや悲観を 25%、悲観を 10% と厚めにとり、楽観は 7% にとどめた。財務の堅さと不動産の含み、通販の成長は、悲観の床と中立の置き方に反映した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,050 円51 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 768 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 2,398 円30 億円、今との差 +40.2%、 期待の年率 +10.9%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 7,448 円94 億円 | 1,110 円14 億円 | +400.5% | +17.5% | 599 円8 億円 |
| やや楽観 | 20% | 5,861 円74 億円 | 960 円12 億円 | +298.9% | +14.8% | 1,364 円17 億円 |
| 中立 | 38% | 4,666 円59 億円 | 841 円11 億円 | +222.1% | +12.4% | 2,093 円26 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,925 円24 億円 | 619 円8 億円 | +48.8% | +4.1% | 636 円8 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,015 円13 億円 | 238 円3 億円 | −26.7% | −3.1% | 125 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,050 円51 億円 | 768 円10 億円 | +181.7% | +10.9% | 4,817 円61 億円 |
今の株価時価総額 1,710 円22 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 通販が伸び続け、店舗の縮みも小さく、利益率が過去の山に並ぶ 利益 6 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 7,448 円94 億円
通販の受注が年 4% ほどの数量で伸び、10 年後は今の 1.5 倍に育つ。バイクの保有台数は減るが、ギアなど趣味の用品は底堅く、ZOA は店舗で培った接客と修理の信頼をネット上の問い合わせにも生かす。PC 店舗は、買い替えの波が引いたあとも、ゲーミング PC の販売と修理・サポートで落ち込みを 5% にとどめる。不動産は年 6 件前後の売買が続く。営業利益率は過去最高の 5.5% 近くまで上がり、純利益は今の 1.8 倍になる。配当性向は 3 割のまま増額が続き、ROE は 9% を超えて資本コストを上回る。
- PC・周辺機器の店舗販売(22 店):数量 20.9(店舗数換算の販売量(今の 1 店の販売量を 1 店と数える))× 価格 3.03(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 63 億円・営業利益 3 億円。店舗 21 店相当 × 1 店 3.03 億円、営業利益率 4.0%
- 通信販売(バイク用品・家電・PC 関連):数量 54.8(年間の受注件数(万件、推定))× 価格 1.47(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 81 億円・営業利益 5 億円。通販 55 万件 × 1 件 1.47 万円、営業利益率 5.8%
- 不動産事業(売買・賃貸):数量 6.0(年間の販売件数換算(件。賃貸収入を件数に直した推定を含む))× 価格 1.61(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。不動産 6 件換算 × 1 件 1.6 億円、営業利益率 15%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.1% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.5 倍。全体の PER 14.54 倍、時価総額 87 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:バイク用品と家電のネット通販が年 4% 近い数量で伸び、PC 店舗の落ち込みが浅い複合の筋書き。両方がそろう確率は高くない。
やや楽観 20% 通販が育ち、店舗は静かに縮む。利益率は直近より下で落ち着く 利益 5 億円 · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 5,861 円74 億円
PC の買い替え特需が引いたあと、店舗の販売量は今より 1 割ほど減る。ただし修理・サポート・ゲーミング PC の販売といった接客の強みで、価格だけの競争には巻き込まれない。通販は年 3% 弱の数量で伸び、バイク用品に加えて家電の取り扱いが増える。営業利益率は 5% 前後で、2021 年から 2025 年の 5% 台を一部維持する。純利益は今より 4 割増えるが、配当が利益の 3 割にとどまるので自己資本が積み上がり、ROE は 8% 弱で k に届かない。通販の利益率が 5% を保てるかが、この筋書きの分かれ目になる。
- PC・周辺機器の店舗販売(22 店):数量 19.8(店舗数換算の販売量(今の 1 店の販売量を 1 店と数える))× 価格 2.98(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 59 億円・営業利益 2 億円。店舗 20 店相当 × 1 店 2.98 億円、営業利益率 3.5%
- 通信販売(バイク用品・家電・PC 関連):数量 47.5(年間の受注件数(万件、推定))× 価格 1.47(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 70 億円・営業利益 4 億円。通販 47 万件 × 1 件 1.47 万円、営業利益率 5.3%
- 不動産事業(売買・賃貸):数量 5.5(年間の販売件数換算(件。賃貸収入を件数に直した推定を含む))× 価格 1.61(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。不動産 5.5 件換算、営業利益率 13%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.9% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.9 倍。全体の PER 13.85 倍、時価総額 66 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ネット移行で通販の数量が伸びる一方、PC の特需が引いたあとの店舗は縮む。過去 5 年の高い利益率の一部が残る筋書き。
中立 38% PC の特需は剥げ、通販の伸びと物価の値上げで利益が横ばいから微増 利益 4 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 4,666 円59 億円
国内の PC 出荷は 2025 年度の 1,800 万台を山に、2026 年度は 4 割近く減ると予測されている。ZOA の店舗は PC 本体が売上の約 4 割を占めるので、この反動を避けられない。10 年後の店舗の販売量は今より 2 割少ない。一方、通販は年 1.5% ほどの数量で伸び、売上の半分を占めるまで育つ。PC は性能が上がるぶん同じ値段に近づき、店舗の単価は物価ほど上がらない。営業利益率は 4.5% 前後と、特需前の 2% 台よりは高い水準で定着する。配当が 3 割にとどまるので、自己資本は 57 億円まで積み上がり、ROE は 7% にとどまる。
- PC・周辺機器の店舗販売(22 店):数量 17.6(店舗数換算の販売量(今の 1 店の販売量を 1 店と数える))× 価格 2.94(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 52 億円・営業利益 2 億円。店舗 17.6 店相当 × 1 店 2.94 億円(PC は同じ値段で性能が上がり、物価ほど上がらない)、営業利益率 3.0%
- 通信販売(バイク用品・家電・PC 関連):数量 42.0(年間の受注件数(万件、推定))× 価格 1.47(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 62 億円・営業利益 3 億円。通販 42 万件 × 1 件 1.47 万円、営業利益率 5.0%
- 不動産事業(売買・賃貸):数量 4.4(年間の販売件数換算(件。賃貸収入を件数に直した推定を含む))× 価格 1.61(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。不動産 4.4 件換算、営業利益率 12%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍。全体の PER 13.09 倍、時価総額 50 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 5 年の 5% 台の利益率は、GIGA スクールと Windows 10 の買い替え特需が押し上げた面が大きい。その剥落と通販の成長を相殺した姿を中心に置く。
やや悲観 25% PC 店舗が縮み、通販は大手の値下げ競争に押される 利益 2 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 1,925 円24 億円
PC の販売量は特需前の水準を下回り、パソコン専門店は全国で退店が相次ぐ。ZOA も店舗を 3 分の 2 に減らすが、年 2.3 億円の賃借料の一部は固定費として残り、店舗の利益率は 1.5% まで下がる。通販ではアマゾンや楽天、家電量販店の通販が家電とバイク用品の値下げを仕掛け、ZOA の数量は伸びず、単価も物価に追いつかない。営業利益率は 3% を割り込み、純利益は今の 6 割まで落ちる。配当は利益に合わせて縮み、自己資本は積み上がっても、ROE は 4% に届かない。店舗の閉鎖と在庫の整理に費用がかかり、利益が回復するまでに数年かかる。
- PC・周辺機器の店舗販売(22 店):数量 14.3(店舗数換算の販売量(今の 1 店の販売量を 1 店と数える))× 価格 2.89(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 41 億円・営業利益 1 億円。店舗 14 店相当 × 1 店 2.89 億円、営業利益率 1.5%
- 通信販売(バイク用品・家電・PC 関連):数量 36.5(年間の受注件数(万件、推定))× 価格 1.43(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 52 億円・営業利益 2 億円。通販 36.5 万件 × 1 件 1.43 万円(値下げ競争)、営業利益率 3.5%
- 不動産事業(売買・賃貸):数量 3.5(年間の販売件数換算(件。賃貸収入を件数に直した推定を含む))× 価格 1.61(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。不動産 3.5 件換算、営業利益率 8%
倍率:ROE が k を大きく下回り、正当化 PER は 1÷k=11.4 倍が上限。稼ぐ力が弱く値決めも市場任せなので、上限の 7.5 割弱の 8.5 倍に置いた。
確率:PC の特需の反動と、メモリ高騰による買い控えが重なれば、店舗の利益率は特需前の 2% 台を割る。過去 12 年のうち 6 年は営業利益率が 2.6% 以下だった。
悲観 10% PC 専門店の役目が終わり、通販も採算が合わなくなる 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,015 円13 億円
個人が PC を店頭で買う習慣が急速に薄れ、残る需要も家電量販店とネットに集約される。ZOA の店舗の販売量は今の 4 割に落ち、固定の賃借料が重くなって店舗は赤字になる。通販はバイク用品の専門店と大手モールの価格競争で数量を落とし、利益はほぼ消える。不動産の売買も細る。営業利益はほぼ 0 になり、配当は大きく削られる。事業の再建より、賃借料の整理と在庫の処分に時間を取られ、価値は土地・投資有価証券・差入保証金と、売れる在庫の一部にとどまる。社長と大株主が事業の整理に動くかも読めず、株価は純資産を大きく割り込む。
- PC・周辺機器の店舗販売(22 店):数量 8.8(店舗数換算の販売量(今の 1 店の販売量を 1 店と数える))× 価格 2.82(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 25 億円・営業利益 −1 億円。店舗 8.8 店相当 × 1 店 2.82 億円、営業利益率 −3%
- 通信販売(バイク用品・家電・PC 関連):数量 29.2(年間の受注件数(万件、推定))× 価格 1.41(1 件あたり売上(万円・名目))→ 売上 41 億円・営業利益 0 億円。通販 29 万件 × 1 件 1.41 万円、営業利益率 1%
- 不動産事業(売買・賃貸):数量 3.0(年間の販売件数換算(件。賃貸収入を件数に直した推定を含む))× 価格 1.61(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。不動産 3 件換算、営業利益率 5%
倍率:稼ぐ力が消えるので床は売れる資産で測る。今の自己資本 32 億円に 0.40 倍(純現金・賃貸土地・販売用不動産・ダイワボウ株・保証金・売れる在庫の税後から、閉店の賃借料の整理費を引いた額)を掛けた。
確率:店舗の PC が個人の買い物から消える構造変化と、ネット通販の大手の値下げが同時に起きる複合の筋書き。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
PC・周辺機器の店舗販売(22 店)
OA ナガシマ・コンピュータプラザ ZOA・パソコンの館の 22 店での PC 本体・パーツ・周辺機器・ソフトの販売と、修理などのサービス。
| 数量店舗数換算の販売量(今の 1 店の販売量を 1 店と数える) | 価格1 店あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 22.0 | 2.26 | 50 | 2 |
| 10 年後 中立 | 17.6 | 2.94 | 52 | 2 |
取り方:店頭の売上 49.7 億円(有報の商品別の合計から通販を除く)を 22 店で割り、1 店 2.26 億円とした。店舗の利益は開示がなく、小売事業の営業利益 4.28 億円を通販 5.5% 相当(2.21 億円)と店舗(2.07 億円・4.2%)に分けた推定。数量は実質の販売量を店舗数に換算した値で、店の数と客の数・買い物の量で動く。
通信販売(バイク用品・家電・PC 関連)
通販サイト e-zoa.com でのバイク用品(約半分)、家電、PC 関連商品の販売。
| 数量年間の受注件数(万件、推定) | 価格1 件あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 36.5 | 1.10 | 40 | 2 |
| 10 年後 中立 | 42.0 | 1.47 | 62 | 3 |
取り方:通販売上 40.2 億円(開示)を、バイク用品・家電の 1 件あたり約 1.1 万円と推定して 36.5 万件とした(件数と単価は開示がなく推定)。利益は小売事業の営業利益 4.28 億円を店舗と分けた推定で、通販を 5.5%とした。
不動産事業(売買・賃貸)
土地・建物の売買と賃貸(沼津駅北口の賃貸土地など)。
| 数量年間の販売件数換算(件。賃貸収入を件数に直した推定を含む) | 価格1 件あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4.4 | 1.20 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4.4 | 1.61 | 7 | 1 |
取り方:2026 年 3 月期は販売 4 件、前期は 9 件で、年によって大きく振れる。賃貸収入の額は開示がなく、売上 5.3 億円を 1 件 1.2 億円の 4.4 件相当と推定した。数量は実質の件数で、不動産の価格は物価で上がる。
リスクと懸念
PC 特需の反動
国内の PC 出荷は 2026 年度に 4 割近く減る見通しで、ZOA の店舗は PC 本体が売上の約 4 割を占める。4〜6 月期の営業利益はすでに 2 割減り、通期の予想を達成できるかは、後半の需要次第になる。
メモリ高騰による買い控え
メモリ価格の上昇で PC の平均価格が 1〜2 割上がるとの見方がある。値上がりは単価を押し上げる一方、買い替えを先送りさせ、数量を落とす。
通販の価格競争
バイク用品も家電も、大手モールと量販店の通販と比較される。ZOA が価格で負けると、数量が伸びず、通販の利益率が特需前の 2% 台に近づく。
店舗賃借料の固定費
21 店で年 2.3 億円の賃借料があり、売上が落ちても減らない。店舗を閉めるには違約や原状回復の費用がかかる。新リース会計基準(2028 年 3 月期から)で、この約束は貸借対照表に載り、純現金と自己資本比率は見かけ上悪化する。
不動産事業の振れ
年の販売件数は 4〜9 件と振れ、利益も大きく動く。販売用不動産は 2.4 億円まで積み上がっており、市況が悪化すれば売れ残る。
株主構成と大株主の方針
社長、前社長の夫人、ダイワボウ情報システムで 4 割を超える。少数株主の発言力が弱く、大株主の方針が変われば経営の方向が変わりうる。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期の通期で、店舗の PC 本体の売上が 2 割以上落ちたら
- やや悲観と悲観の確率を上げる。特需前の利益率に近づく。
- 通販の売上が 2 桁の伸びを 3 年続けたら
- 通販の数量の置き方を上げ、やや楽観の確率を上げてよい。
- 配当性向を 5 割に引き上げる、または自社株買いを始めたら
- 積み上がる自己資本の問題が和らぎ、ROE が上がる。倍率の上限が上がる。
- ダイワボウ情報システムが持株を増やす、または完全子会社化を提案したら
- 買収価格が価値を上回るかを確かめる。純資産に近い価格なら、事業の価値は評価されていない。
- 不動産の売却益が営業利益の 3 割を超える年が続いたら
- 本業の利益率を過大に見ている可能性がある。不動産を分けて見直す。
見ておくもの
- 国内の PC 出荷台数(MM 総研・JEITA の月次)
- 四半期の店舗の PC 本体売上と通販売上の伸び
- 営業利益率と賃借料の推移
- ダイワボウ情報システムの持株比率と取引条件
倍率と資本コストの決め方
倍率は資本コスト 8%(基本 7.5% に、循環 +0.25%・値決め力 +0.5%・寿命 +0.5%)と、事業の ROE から置いた。ROE が k を下回る筋書きは 1÷k の 11.4 倍が上限で、利益の質に応じて 7〜9 割の水準に置いた。今の株価や同業の PER は見ていない。賃借料は営業費用に入れた形で 10 年後もそろえ、新リース会計基準(2028 年 3 月期から)で営業利益が少し増え、純有利子負債と自己資本比率が見かけ上悪化する点は価値の式に効かない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→14.54 倍・やや楽観 PER 10.5→13.85 倍・中立 PER 9.5→13.09 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。