結論
ハチバンは、石川県で生まれた「8番らーめん」を北陸中心に約 110 店、タイで約 175 店展開する会社だ。筆者の結論ははっきりしている。タイの稼ぎは本物だが、国内の店はほとんど利益を残しておらず、今の時価総額はこの会社の稼ぐ力の 3 倍近い値段だ。
2026 年 3 月期の営業利益は 500 万円に満たなかった。食材と人件費の上昇に値上げが追いつかず、国内の外食の利益は 2 割減った。会社全体の利益を支えているのは、タイのフランチャイズからのロイヤルティと、現地の合弁会社の持分の利益だ。
株主には、持ち株に応じた食事券を年 2 回配る。筆者の推定では、会社の負担は年 2 億円前後で、純利益の 3 倍にあたる。株価を支えているのは、この優待を目当てにした個人株主だろう。
優待を株主への還元として数えても、10 年の価値は今の時価総額の 4 割ほどにとどまる。
タイの店がこの先 2 倍に増えても、国内の店と本社の費用が変わらない限り、会社全体の稼ぐ力は大きくは変わらない。筆者が値段の高さを言い切るのは、そのためだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ハチバンは「宝を 1 つ持つが、値段が高すぎる会社」だ。タイの 8番らーめんは、店を持たずにブランドで稼ぐ、資本の要らない良い事業だ。もしこの部分だけを買えるなら、筆者は真剣に考える。
だが株主が買うのは会社全体だ。国内の店と本社の費用が、タイの稼ぎをほとんど食ってしまう。2026 年 3 月期の純利益は 1 億円に満たない。
株価を支えるのは食事券だ。優待は株主への本物の還元で、筆者もそれを価値に数える。それでも、優待を 10 年配り続けた分を足して、価値は今の値段の半分に届かない。
オーナーとして持ちたいかと問われれば、タイの事業には惹かれるが、この値段では首を振る。安全域は見当たらない。
もう 1 つ気になるのは、株価を食事券が支えていることだ。株主の多くが優待のために持つなら、会社の価値と株価のずれは長く残りうる。だがそれは、払う値段が高い理由にはならない。
何で稼ぐ会社か
事業は 3 つに分かれる。売上の 4 分の 3 を占める外食は、野菜たっぷりのらーめんと餃子で知られる「8番らーめん」と、金沢の和食店を営む。らーめんは 114 店で、直営に加えて加盟店に食材を卸し、ロイヤルティを受け取る。和食の 11 店は、金沢を訪れる観光客と地元の宴会でにぎわう。営業収益は 65 億円、セグメント利益は 6 億円弱だった。
外販は、冷凍餃子やらーめんのスープを地元のスーパーや生協、ネット通販で売る。売上は 6 億円弱で、利益はほぼ出ていない。
海外は、この会社の宝だ。タイでは 1992 年から現地企業と組み、8番らーめんを 175 店まで広げた。ハチバンは店を持たず、ロイヤルティと調味料の販売で稼ぐ。現地の運営会社には 38.6% を出資し、持分の利益も入る。営業収益は 15 億円、利益は 4 億円弱で、国内の外食に迫る。
本社の費用は年 7 億円ほどで、これが国内と外販の利益をほぼ食い尽くす。
外食の稼ぎの中身も見ておきたい。加盟店からのロイヤルティと食材の卸は利益率が高く、直営の店は人件費と家賃が重い。直営の比率が高いほど、物価の上昇に弱くなる。
優良さと弱いところ
堀は 2 つの顔を持つ。タイの 8番らーめんは、30 年かけて根を張ったブランドだ。現地では日本風のらーめんの定番として知られ、店を持たずにロイヤルティで稼ぐので、資本をほとんど使わない。この部分の稼ぐ力は高い。
国内の店は違う。北陸では名前が通っているが、らーめんは参入が容易で、競合は無数にある。食材と人件費が上がるたびに値上げを迫られ、客離れとの綱引きになる。2016 年 3 月期の営業利益率 6.9% が過去の山で、その後は 3% 前後か赤字だった。
資本効率は低い。過去 10 年の ROE の中央値は 4% に満たない。自己資本は 38 億円と小さいが、それでも資本コストを上回った年は少ない。
経営は堅実だが、稼ぐ力の大部分をタイに頼る構図を変えられていない。
筆者が評価するのは、タイの事業を 30 年かけて育てた粘り強さだ。この粘りを国内の採算に向けられるかが、次の 10 年の分かれ目になる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のらーめん店は、市場そのものは底堅い。手軽な外食として需要は安定し、インバウンドの客も増えた。ただ、食材、光熱費、人件費がそろって上がり、1 杯の値段が大台に乗る値上げに、各社が苦しむ。チェーンの中でも、規模の大きい会社ほど仕入れと物流で有利になる。
北陸は人口が減る地域だ。8番らーめんの店の多くは郊外の幹線道路沿いにあり、車で来る家族客が中心だ。若い働き手の確保も年々難しくなる。会社は北陸の外で新しい業態の店を試しているが、まだ数は少ない。
競合は、幸楽苑、日高屋のハイデイ日高、餃子の王将、丸亀製麺など、低価格の麺と中華のチェーンだ。どこも値上げと人手の不足に直面しているが、ハチバンは規模が小さく、交渉力で劣る。
タイの外食市場は、所得の伸びとともに広がる。日本のらーめんは人気の料理として定着した。一方で、タイの景気や政治、カンボジアとの国境の緊張が、店の数の伸びを左右する。
筆者は、国内のらーめんの市場が縮むとは見ない。だが、小さなチェーンが値上げで利益を厚くできる市場でもない。ハチバンの国内の店は、市場の平均並みに稼げれば上出来だと見る。
資本政策と M&A
配当の総額は年 0.6 億円ほどだ。利益が薄い年も配当を維持してきた。自己株の取得は役員と社員の株式報酬の信託に限られる。
還元の主役は株主優待だ。持ち株が多いほど額が増える食事券を、年 2 回配る。株主は約 6,900 名で、ほとんどが個人だ。会社は優待の費用を開示していないが、筆者は額面を年 6 億円前後、会社の負担を年 2 億円前後と推定する。これは配当の 3 倍を超える。
大株主は北陸銀行、麒麟麦酒、日清製粉で、取引先が並ぶ。親会社は無い。規模が小さく、買収の対象にはなりうるが、株主の多くが優待目当ての個人で、表立った動きはない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
タイの 8番らーめんは、30 年かけて築いたブランドで、まだ伸びる。175 店から 300 店、400 店へ広がる余地は大きい。店を持たないロイヤルティの事業なので、店が増えるほど利益率は上がる。ベトナムやカンボジアへの展開も始まっている。
国内も、値上げが一巡すれば利益は戻る。2025 年 3 月期には営業利益 2.6 億円を出していた。限定のらーめんや冷凍餃子の福袋で客数は増えており、和食店はインバウンドでにぎわう。本社の費用を絞れば、国内でも利益は 3〜5 億円に戻る。
優待は株主への確かな還元だ。株主が食事券を使えば、店の客数も増える。優待を目当てに長く持つ株主が多いので、株価は安定しやすい。タイの伸びと国内の回復がそろえば、今の値段は高くない。
和食の店も、金沢を訪れる観光客の増加で伸びている。北陸新幹線が延び、関西からの客も来やすくなった。国内の店が利益を取り戻す材料はそろっている。冷凍餃子は全国の生協やネットで売れ、店の無い地域でもブランドを広げる手段になる。
慎重な見方
国内の店は利益を残していない。2026 年 3 月期の営業利益は 500 万円で、本社の費用が国内の稼ぎを食い尽くす。食材、光熱費、人件費は物価で上がり続け、値上げは客離れとの綱引きになる。北陸の人口は減り、働き手も集まりにくい。
タイの稼ぎは本物だが、現地の運営会社が握る。ハチバンが受け取るのはロイヤルティと持分の利益で、店の伸びの果実の多くは現地に残る。タイの景気や政治、国境の緊張が、そのまま利益を揺らす。
今の株価を支えているのは優待だ。会社の負担は年 2 億円前後と推定され、純利益の 3 倍にあたる。業績が悪化すれば、優待は縮められやすい。そうなれば、株価の支えが一度に外れる。
タイの店の伸びも、この先は鈍る。175 店まで増えた今、都市部の良い立地は埋まりつつある。地方へ広げるほど、1 店あたりの売上は下がる。会社全体の稼ぐ力が国内の採算に縛られる構図は、10 年たっても変わらないおそれが大きい。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。国内の店がほとんど利益を残していないことは実績で、タイの伸びだけでは会社全体の稼ぐ力は大きく変わらない。確率はやや悲観を厚くした。優待は還元として価値に数えたが、それでも今の値段との差は埋まらない。タイの店が 300 店を超え、国内の利益率が戻る兆しが 2 期続けば、確率を楽観の側へ移す。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,628 円48 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 819 円24 億円)。 今の値に割り戻すと 1,336 円39 億円、今との差 −59.8%、 期待の年率 −3.0%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,966 円146 億円 | 1,190 円35 億円 | +85.1% | +6.4% | 492 円14 億円 |
| やや楽観 | 17% | 2,758 円81 億円 | 986 円29 億円 | +12.6% | +1.2% | 637 円19 億円 |
| 中立 | 40% | 1,493 円44 億円 | 884 円26 億円 | −28.5% | −3.3% | 951 円28 億円 |
| やや悲観 | 25% | 510 円15 億円 | 646 円19 億円 | −65.2% | −10.0% | 289 円9 億円 |
| 悲観 | 10% | 374 円11 億円 | 408 円12 億円 | −76.5% | −13.5% | 78 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,628 円48 億円 | 819 円24 億円 | −26.4% | −3.0% | 2,447 円72 億円 |
今の株価時価総額 3,325 円98 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:タイが 400 店に広がり、国内も利益率 11% に戻る 利益 9 億円 · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 4,966 円146 億円
タイでは 8番らーめんが地方の町まで広がり、店は 400 店に届く。ベトナムとカンボジアでも店が増える。ロイヤルティと調味料の売上は店とともに伸び、海外の利益は 12 億円を超える。
国内は、値上げが定着し、北陸の外の新しい業態も軌道に乗る。店は少し増え、利益率は 11% に戻る。冷凍餃子も通販で伸びる。
会社全体の利益は今の十数倍になり、ROE は 1 割を超える。配当は利益に合わせて増え、優待も続く。優待の費用は利益から引き済みで、還元にはその受け取りの分を足した。
タイの成功が知られれば、ほかの国の会社から組む話も来る。
- 外食(8番らーめん・和食):数量 131(国内の店舗数(店))× 価格 0.73(1 店あたりの営業収益(億円))→ 売上 96 億円・営業利益 11 億円。店 1.05 倍、1 店あたり 1.40 倍
- 外販(冷凍餃子・スープ):数量 127(出荷(万袋))× 価格 0.07(1 袋あたりの売上(万円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。1.1 倍
- 海外(タイ・ベトナムのフランチャイズ):数量 400(海外の店舗数(店))× 価格 0.12(1 店あたりの営業収益(億円))→ 売上 47 億円・営業利益 13 億円。店 2.25 倍、1 店あたり 1.35 倍
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.2 倍。全体の PER 16.22 倍、時価総額 146 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:タイの店が 10 年で 2 倍強になり、国内の値上げが定着する筋書き。タイは 30 年で 175 店まで来た実績があるが、10 年で 2 倍強は前例のない速さで、国内の回復も同時に要るので 1 割に満たない。
やや楽観 17% やや楽観:タイは 320 店、国内は利益率 10% を保つ 利益 6 億円 · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 2,758 円81 億円
タイの店は年 15 店ほどのペースで増え、320 店になる。ロイヤルティの単価は現地の物価とともに上がり、海外の利益は 9 億円台に乗る。
国内は店の数を保ち、値上げが物価並みに通る。客数は横ばいで、利益率は 10% を保つ。外販はわずかな黒字に戻る。本社の費用は物価並みに増え、年 10 億円近くになる。
会社全体の利益は 9 億円近くになり、ROE は 9% 台に乗る。配当は少しずつ増え、優待も続く。優待の費用は利益から引き済みで、還元にはその受け取りの分を足した。
タイの事業が、会社の値打ちの半分以上を占めるようになる。
- 外食(8番らーめん・和食):数量 125(国内の店舗数(店))× 価格 0.72(1 店あたりの営業収益(億円))→ 売上 89 億円・営業利益 9 億円。店横ばい、1 店あたり 1.37 倍
- 外販(冷凍餃子・スープ):数量 115(出荷(万袋))× 価格 0.07(1 袋あたりの売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。横ばい
- 海外(タイ・ベトナムのフランチャイズ):数量 320(海外の店舗数(店))× 価格 0.11(1 店あたりの営業収益(億円))→ 売上 36 億円・営業利益 9 億円。店 1.8 倍、1 店あたり 1.30 倍
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.4% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.2 倍。全体の PER 14.23 倍、時価総額 81 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:タイの店の伸びが過去 10 年並みに続き、国内は値上げで利益率を保つ筋書き。タイの店は毎年増えている実績があり、国内も 2025 年 3 月期には利益を出していた。2 割弱に置いた。
中立 40% 中立:タイは 260 店、国内は店を少し減らして利益率 9.5% 利益 3 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,493 円44 億円
タイの店は 260 店に増える。伸びは鈍るが、ロイヤルティと調味料は安定して入り、海外の利益は 7 億円になる。タイの物価は日本より低いので、1 店あたりの単価は 1.25 倍にとどまる。
国内は、北陸の人口減で店を 5% 減らす。値上げは物価並みに通り、利益率は 9.5% を保つが、本社の費用も物価で 10 億円近くに増える。外販は損益ゼロが続く。
会社全体の経常利益は 5 億円余り、純利益は 3 億円台になる。配当は年 0.6 億円ほどを続け、優待も年 2 億円前後の負担で続く。ROE は 6% 台で、資本コストに届かない。優待の費用は利益から引き済みで、還元にはその受け取りの分を足した。
- 外食(8番らーめん・和食):数量 119(国内の店舗数(店))× 価格 0.70(1 店あたりの営業収益(億円))→ 売上 83 億円・営業利益 8 億円。店 0.95 倍、1 店あたり 1.34 倍
- 外販(冷凍餃子・スープ):数量 115(出荷(万袋))× 価格 0.07(1 袋あたりの売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。横ばい、損益ゼロ
- 海外(タイ・ベトナムのフランチャイズ):数量 260(海外の店舗数(店))× 価格 0.11(1 店あたりの営業収益(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 7 億円。店 1.46 倍、1 店あたり 1.25 倍
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 44 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:タイの店がゆるやかに増え、国内は物価並みの値上げでしのぐ姿。どちらの見方にも決め手が無く、業界の向きに沿った姿として一番厚くした。
やや悲観 25% やや悲観:国内の店が細り、利益はほぼ消える 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 510 円15 億円
国内では、人手の不足と客離れで店を 15% 減らす。値上げは物価に届かず、利益率は 7.5% に下がる。外販は赤字が続く。
タイは、景気の減速と国境の緊張で店の伸びが止まり、200 店で頭打ちになる。単価もタイの物価並みにしか上がらない。
本社の費用を削っても、会社全体の利益はほぼゼロになる。配当はかろうじて続けるが、優待は縮める。稼ぐ力では値段がつかず、価値は土地と上場株と現金で決まる。優待の費用は利益から引き済みで、還元には縮めた後の受け取りの分を足した。
優待と配当の一部は、手元の現金と上場株の売却で賄う。
- 外食(8番らーめん・和食):数量 107(国内の店舗数(店))× 価格 0.67(1 店あたりの営業収益(億円))→ 売上 72 億円・営業利益 5 億円。店 0.85 倍、1 店あたり 1.28 倍
- 外販(冷凍餃子・スープ):数量 104(出荷(万袋))× 価格 0.06(1 袋あたりの売上(万円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。0.9 倍、赤字
- 海外(タイ・ベトナムのフランチャイズ):数量 200(海外の店舗数(店))× 価格 0.10(1 店あたりの営業収益(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 4 億円。店 1.12 倍、1 店あたり 1.15 倍
倍率:PBR 0.394 倍を今の自己資本 38.1 億円に掛けた。稼ぐ力はほぼゼロで、価値は売れる資産の床 15 億円で測る。
確率:2026 年 3 月期の営業利益がほぼゼロだった実績に近い姿が続く筋書き。食材と人件費の上昇に値上げが追いつかず、タイの伸びも鈍る。実績に根拠があるので、楽観側より厚くした。
悲観 10% 悲観:国内は赤字に沈み、タイの稼ぎも細る 利益 −6 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 374 円11 億円
国内では、らーめんの値上げが限界に来て客が離れ、店を 4 分の 1 減らす。残った店も赤字すれすれで、閉店の費用がかさむ。
タイでは、現地の運営会社が独自のブランドへの切り替えを進め、8番らーめんの店は 150 店に減る。ロイヤルティの条件も厳しくなる。
会社は赤字が続き、優待を大きく縮め、配当も減らす。土地の売却で赤字を埋め、自己資本は 3 分の 1 に減る。少数株主に残るのは、売れる資産のわずかな値打ちだけだ。優待の費用は利益から引き済みで、還元には縮めた後の受け取りの分を足した。
配当と優待の一部は、資産の売却で払う。
- 外食(8番らーめん・和食):数量 94.0(国内の店舗数(店))× 価格 0.63(1 店あたりの営業収益(億円))→ 売上 59 億円・営業利益 0 億円。店 0.75 倍、1 店あたり 1.20 倍
- 外販(冷凍餃子・スープ):数量 92.0(出荷(万袋))× 価格 0.06(1 袋あたりの売上(万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。0.8 倍、赤字
- 海外(タイ・ベトナムのフランチャイズ):数量 150(海外の店舗数(店))× 価格 0.09(1 店あたりの営業収益(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。店 0.84 倍、単価据え置き
倍率:PBR 0.29 倍を今の自己資本 38.1 億円に掛けた。稼ぐ力は赤字で、価値は売れる資産の床 11 億円で測る。積み上げた自己資本には掛けていない。
確率:国内の店が赤字に転じ、タイの運営会社との関係も弱まる筋書き。2021〜2022 年 3 月期の赤字が実績にあるが、タイのロイヤルティは続く見込みが高いので 1 割に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
外食(8番らーめん・和食)
北陸中心のらーめん 114 店(直営と加盟店)と金沢の和食 11 店。加盟店への食材の卸とロイヤルティを含む。
| 数量国内の店舗数(店) | 価格1 店あたりの営業収益(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 125 | 0.52 | 65 | 6 |
| 10 年後 中立 | 119 | 0.70 | 83 | 8 |
取り方:営業収益 65.28 億円・セグメント利益 5.93 億円(経常利益ベース)は決算短信。店舗数 125 は短信の国内店舗。加盟店の店も 1 店として数えた。
外販(冷凍餃子・スープ)
8番らーめんの冷凍餃子やスープを、スーパー・生協・ネット通販で売る。
| 数量出荷(万袋) | 価格1 袋あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 115 | 0.05 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 115 | 0.07 | 8 | 0 |
取り方:売上 5.76 億円・損失 0.02 億円は決算短信。袋数の開示は無く、1 袋 0.05 万円として 115 万袋と推定した。
海外(タイ・ベトナムのフランチャイズ)
タイ 175 店・ベトナム 3 店の 8番らーめんのロイヤルティ、調味料の製造販売、タイの運営会社(38.6%)の持分の利益。
| 数量海外の店舗数(店) | 価格1 店あたりの営業収益(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 178 | 0.09 | 15 | 4 |
| 10 年後 中立 | 260 | 0.11 | 28 | 7 |
取り方:営業収益 15.39 億円・セグメント利益 3.84 億円(経常利益ベース、持分法の利益を含む)は決算短信。店舗数 178 は短信。
リスクと懸念
国内の店の採算
2026 年 3 月期の営業利益は 500 万円に満たなかった。食材、光熱費、人件費の上昇に値上げが追いつかず、本社の費用が国内の稼ぎを食い尽くす。値上げを重ねれば客離れを招く。
タイへの依存
会社全体の利益の多くを、タイのロイヤルティと持分の利益が占める。店を運営するのは現地の会社で、契約の条件や関係が変われば、利益の柱が揺らぐ。
タイの景気と政治
タイの景気の減速、政情の不安、カンボジアとの国境の緊張は、店の伸びと客数に直接響く。為替は 150 円で置いたが、バーツの動きも利益を揺らす。
優待の縮小
株価を支える個人株主の多くは、食事券を目当てにしていると見られる。会社の負担は年 2 億円前後と推定され、業績が悪化すれば縮められやすい。そうなれば株価の支えが外れる。
北陸の人口減と人手不足
店の多くは北陸の郊外にある。人口が減り、若い働き手が集まりにくくなれば、店の数を保つのも難しい。北陸の外の新しい業態はまだ小さい。
店舗の家賃
店の多くは土地や建物を借りており、家賃は年 2 億円余りの固定の約束だ。客が減っても家賃は減らず、悲観の筋書きでは利益を削り続ける。2028 年 3 月期から新リース会計基準で、借入の形で載る。
今後の分かれ目
- タイの店が年 20 店以上のペースで 3 年続けて増える
- 中立のタイの店を 260 店から 320 店に上げる。
- 国内の外食のセグメント利益率が 2 期続けて 10% を超える
- 値上げの定着とみて、中立の国内の利益率を 10% に上げる。
- 優待の内容を縮める発表が出る
- 還元に足す優待の額を減らし、株価の支えが外れる局面とみる。
- タイの運営会社との契約の条件が変わる
- 海外の利益率を見直し、条件が悪ければ悲観の確率を上げる。
- 会社が優待の費用を開示する
- 推定の年 2 億円を開示の値に置き換える。
見ておくもの
- 国内の外食のセグメント利益率(2026 年 3 月期 9.1%、経常ベース)
- タイの店舗数とロイヤルティ
- 本社の費用(年 7 億円前後)
- 株主優待の内容の変更
- らーめんの値上げと客数
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k(8.0%)から決め、ROE が k を下回る中立は上限 1÷k=12.5 倍の約 84%、上回る楽観側は正当化 PER の 85〜90% に置いた。今の PER が 100 倍を超えることは見ていない。優待は会社の負担の推定(年 2 億円)を還元に足し、額面では数えなかった。リースは家賃を営業費用に入れた今の形でそろえ、2028 年 3 月期からの新リース会計基準で形が変わる。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.5→16.22 倍・やや楽観 PER 11.5→14.23 倍・中立 PER 10.5→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 0.5% = 8.0%。同じ領域の済み会社は無い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.75%。