結論
ハンズマンは、宮崎・熊本・鹿児島・福岡・大分に、大阪を加えた 12 店の大型ホームセンターを営む会社だ。売上は 353 億円、営業利益は 13 億円で、利益率は 3.6%。2016 年から 2021 年の 7% 近い利益率には戻っていない。
筆者の結論は、今の値段は「ほぼ妥当」である。財務が極めて堅い。自己資本比率は 73% で、借入も軽い。時価総額は自己資本の 6 割で、大型店の土地と建物の価値が厚い。ただ、資本の稼ぎは低い。ROE は 5.7% と、会社が掲げる 10% に届かない。
利益率が落ちたのは、粗利率の低下と、2023 年に開いた大阪・松原店の立ち上がりの重さ、九州の既存店の不振が重なったためだ。会社は 2027 年 6 月期に営業利益 14 億円を見込む。
10 年後の中立で営業利益は 18 億円前後。利益が戻る余地はあるが、それでも ROE は資本コストに届かない。計算の総合は適正の範囲(差は 0% 前後)に出た。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ハンズマンは「財務の堅い、利益率の低い小売」だ。自己資本比率は 73% あり、借入の返済が進む。大型店の土地と建物という資産の厚みもある。つぶれにくい会社であることは間違いない。
だが、持ち続けて嬉しい会社かというと、そこは微妙だ。資本の稼ぎが低い。ROE は 5.7% で、自己資本の半分以上は、稼ぎの小さい店舗と土地に張り付いている。利益の大半は内部に残り、株主に回る分は少ない。
堀は、売場の広さと品ぞろえにあるが、競合は強い。粗利率が下がり、中期経営計画が何度も下方修正されたのも気になる。
安全域は、時価総額が自己資本の 6 割にとどまる点にある。中立の価値は今の値段をやや上回る。利益率が戻る余地が値段に見合うかが、判断の分かれ目になる。経営が資本を株主に戻す姿勢を強めれば、評価は変わりうる。
何で稼ぐ会社か
事業は、DIY 用品・家庭用品・カー・レジャー用品を売る大型ホームセンターだ。売上は DIY 用品が 54%、家庭用品が 32%、カー・レジャー用品が 14%。12 店で、店の規模は一般のホームセンターよりかなり大きい。宮崎県が 4 店、熊本と福岡が各 2 店、鹿児島が 2 店、大分と大阪が各 1 店。
従業員は正社員が 179 人で、臨時従業員が 1,067 人。人手に頼る事業で、賃上げが利益に直結する。通販も営むが、中心は店だ。プロの職人向けの資材も扱い、法人の客が一定数いる。
店の土地は、一部が自社所有で、一部が賃借だ。大阪・松原店や福岡・大野城店などは、土地の大部分を賃借しているとみられる。賃借の店は家賃が固定費になる。
設備投資は 7 億円で、店舗の改修と太陽光発電設備の導入が中心。減価償却は 8.4 億円。投資と償却はほぼ釣り合い、借入は返済が進んでいる。粗利率は 31.2% で前の期から 0.3 ポイント下がった。屋外の作業の商品が多く、天候が売上を左右する。春と秋の園芸や資材のシーズンに、売上が集まる。
優良さと弱いところ
堀は、1 店あたりの売場の広さと、品ぞろえの幅にある。プロ向けの資材から家庭用品まで一つの店で足りる。店を中心にした地域の信用があり、九州の郊外では存在感が強い。粗利率は 31% 台と、ホームセンターとして低くない。
ただし堀は広くない。九州には、コメリ、DCM、ナフコ、ホームプラザなど競合が多い。ドラッグストアやニトリ、ネット通販にも客を奪われる。値決めの力は普通で、廃番商品の増加や円安で仕入れが読みにくい。
資本効率は低い。ROE は直近 5.7%、過去 10 年の中央値は 10.5% だが、直近 3 年は 4〜6% に落ちた。自己資本比率は 73% と厚く、利益が出ても資本が眠る。会社は ROE と ROA を 10% 以上にする目標を掲げるが、実績は届いていない。
経営は慎重だ。配当性向は 39% で、借入を返しながら出店を絞ってきた。ただ、中期経営計画の数字は何度も下方修正され、計画の達成力には疑問が残る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ホームセンターの国内市場は約 4 兆円で、名目では横ばいから緩やかな成長だ。住宅着工は減っているが、リフォームと既存住宅の維持の需要が底を支える。人口減と店舗の飽和で、数量の伸びは見込みにくい。
競合は強い。コメリは地方の全国網、DCM やコーナンは再編で規模を拡大している。PB(自社ブランド)と共同購買で粗利を厚くする動きが各社に共通する。ハンズマンは店の数が少なく、仕入れの規模で勝てない面がある。
物価と円安は逆風でもある。輸入品が多く、円安で仕入れが上がる。値上げは客数に響き、九州の既存店では買い控えが出た。屋外の作業が多く、気候にも左右される。
人件費は上がり、パートの確保に時給を上げ続けるしかない。セルフレジなどの省力化で吸収する動きが共通する。
分かれ目は 3 つ。大阪・松原店が黒字で定着するか。九州の既存店が持ち直すか。粗利率を回復できるか。出店余地のある関西・首都圏への展開は、土地と資金の面で慎重にならざるをえない。大型店は、駐車場を含めた広い土地が必要で、都市部では確保が難しい。
資本政策と M&A
還元は、業績に応じた配当が基本で、安定にも配慮する。2026 年 6 月期の配当は総額 4 億円ほどで、性向は 39%。自社株買いは目立たない。株主優待については、確かめられず、価値の数字には入れていない。
資金は、借入を返済しながら現金を保つ形だ。短期借入を 3 億円、長期借入を 6 億円減らした。現金は 14 億円。自己資本比率は 73% で、借入を使って成長を急ぐ姿勢は薄い。
株主は、有限会社ガーデンビルが 13〜14% で最上位、続いて社員持株会が 11% ほど、野村信託銀行、宮崎銀行が続く。支配する親会社はいない。TOB の話は無く、価値の数字には入れていない。純現金ではないので、余った現金は分けなかった。
減価償却は物価で増やさない。今ある店は取得時の値段で償却を続け、改修と新店だけが新しい値段で足される。中立の 10 年後の償却は約 10 億円で、物価で一律に増やした場合の約 11 億円より小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
利益率は戻る。2016 年から 2021 年の 6 年間、営業利益率は 7% 近かった。今の 3.6% は、大阪・松原店の立ち上がりの費用と、粗利率の一時的な低下が重なった結果だ。松原店が黒字になれば、全社の利益は 3 億円ほど積み上がる。
財務は極めて堅い。自己資本比率は 73%、借入は返済が進み、現金は 14 億円。大型店の土地と建物が厚く、時価総額は自己資本の 6 割にすぎない。配当性向が 39% なので、利益が戻れば配当も増える余地がある。
物価上昇は、ホームセンターに味方する。資材・家庭用品の客単価が上がり、プロ向けの需要も根強い。リフォームと既存住宅の維持の需要が底を支える。
関西・首都圏への出店という成長の選択肢も、会社の方針として残る。大型店の運営ノウハウは九州で磨かれた。松原店で得た関西での経験は、次の出店の準備にもなる。出店を絞ってきた分、投資の余力が大きい。太陽光発電の導入で、電気代を抑える取り組みも進む。
慎重な見方
利益率は戻らない。粗利率は下がり、円安で仕入れは上がり、廃番商品の増加で欠品が出る。九州の既存店は買い控えで不振。中期経営計画は何度も下方修正され、2027 年 6 月期の営業利益 17.5 億円の目標も、会社自身が 14 億円に見直した。
大阪・松原店の立ち上がりは遅れている。2023 年の開店から 3 年たっても、全社の利益率を押し下げる。大型店の出店は資金と時間が重く、関西での勝ち筋は見えにくい。
競合は強い。コメリ、DCM、コーナンは規模で仕入れが有利で、ニトリやドラッグストア、ネットが客を奪う。人件費は上がり、パートの確保に時給を上げ続けるしかない。
資本効率は低い。ROE は 5.7% で、会社の目標 10% には届かない。自己資本の厚さは、稼げない資産が積み上がった結果だ。賃借の店は家賃が固定費として残り、不況では利益を直撃する。屋外の商品が多く、天候にも売上が左右される。台風や猛暑が続く年は、客足が落ちる。
どちらに重みを置いたか
利益率の回復と財務の堅さという強気の見方は、起こりうる。だが競合の強さと粗利の低下、計画の未達という慎重な見方のほうが重い。確率は中立を中心に、楽観・やや楽観を 28%、やや悲観・悲観を 34% に置いた。中立でも営業利益は 18 億円前後で、ROE は 5% 台にとどまる。ただ、自己資本が厚く、悲観でも床が高い。総合は適正の範囲に出た。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 1,476 円203 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 353 円49 億円)。 今の値に割り戻すと 982 円135 億円、今との差 +24.0%、 期待の年率 +8.7%(資本コスト 7.2%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 3,702 円509 億円 | 610 円84 億円 | +444.5% | +18.5% | 259 円36 億円 |
| やや楽観 | 22% | 2,263 円311 億円 | 472 円65 億円 | +245.4% | +13.2% | 602 円83 億円 |
| 中立 | 38% | 1,561 円215 億円 | 371 円51 億円 | +143.9% | +9.3% | 734 円101 億円 |
| やや悲観 | 24% | 544 円75 億円 | 254 円35 億円 | +0.8% | +0.1% | 192 円26 億円 |
| 悲観 | 10% | 327 円45 億円 | 109 円15 億円 | −44.9% | −5.8% | 44 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,476 円203 億円 | 353 円49 億円 | +131.0% | +8.7% | 1,830 円252 億円 |
今の株価時価総額 792 円109 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 6% 松原店が黒字化し、関西で出店して利益率が 6% に戻る 利益 32 億円 · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 3,702 円509 億円
大阪・松原店が黒字で定着し、関西で数店を足す。客数は 1.30 倍、客単価は 1.38 倍。粗利率が回復し、利益率は過去の山に近い 6% に戻る。配当は利益に応じて増える。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし、本社費も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店舗と設備は取得時の値段のまま、改修と新店の分だけ新しい値段で積んだ。償却は今の約 8.4 億円が10 年後に約 12 億円(出店が多く、既存の設備だけなら 8.4 億円のまま)。更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金から出る。家賃は賃借の店の分が固定費として残る。
- 大型ホームセンター(九州・大阪 12 店):数量 16.4(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 39(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 632 億円・営業利益 38 億円。客数 1.30 倍(実質)・客単価 1.38 倍(名目)・営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.2 倍。全体の PER 16.17 倍、時価総額 509 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:関西の出店、粗利の回復、松原店の黒字化が全部揃う必要があり、確度は低い。
やや楽観 22% 松原店が育ち、利益率は 5% に戻る 利益 22 億円 · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 2,263 円311 億円
松原店が黒字になり、九州の既存店が持ち直す。客数は 1.10 倍、客単価は 1.36 倍。粗利率が少し戻り、利益率は 5%。配当は少しずつ増える。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし、本社費も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店舗と設備は取得時の値段のまま、改修と新店の分だけ新しい値段で積んだ。償却は今の約 8.4 億円が10 年後に約 10.5 億円(既存の設備だけなら 8.4 億円のまま)。更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金から出る。家賃は賃借の店の分が固定費として残る。
- 大型ホームセンター(九州・大阪 12 店):数量 13.8(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 38(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 527 億円・営業利益 26 億円。客数 1.10 倍(実質)・客単価 1.36 倍(名目)・営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.7% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.5%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.2 倍。全体の PER 14.22 倍、時価総額 311 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:松原店の黒字化と九州の持ち直しという現実的な上振れ。
中立 38% 中立:客数は微減、利益率は 4% に戻る 利益 15 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,561 円215 億円
客数は九州の人口減で 3% 減る。客単価は物価並みの 1.34 倍。賃上げが人件費を 1.41 倍にするが、償却が物価で増えない分と松原店の黒字化で、利益率は 4.0% に戻る。営業利益は 18 億円前後。配当は少しずつ増え、ROE は 5% 台にとどまる。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし、本社費も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店舗と設備は取得時の値段のまま、改修と新店の分だけ新しい値段で積んだ。償却は今の約 8.4 億円が10 年後に約 10 億円(物価で一律に増やすと約 11 億円)。更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金から出る。家賃は賃借の店の分が固定費として残る。
- 大型ホームセンター(九州・大阪 12 店):数量 12.2(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 38(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 458 億円・営業利益 18 億円。客数 0.97 倍(実質)・客単価 1.34 倍(名目)・営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 207 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:客数微減と物価並みの客単価、償却が増えない分の利益率の戻りという中心の筋書き。
やや悲観 24% 競争と賃上げで利益率が 2% 台前半に落ちる 利益 8 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 544 円75 億円
競合に客を取られ、客数は 10% 減る。客単価は 1.30 倍にとどまる。粗利率はさらに下がり、賃上げも吸収できず、利益率は 2.5% に落ちる。松原店の赤字が残る。配当は据え置きで、減損が出る。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし、本社費も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店舗と設備は取得時の値段のまま、改修と新店の分だけ新しい値段で積んだ。償却は今の約 8.4 億円が10 年後に約 10 億円(物価で一律に増やすと約 11 億円)。更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金から出る。家賃は賃借の店の分が固定費として残る。
- 大型ホームセンター(九州・大阪 12 店):数量 11.3(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 36(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 412 億円・営業利益 10 億円。客数 0.90 倍(実質)・客単価 1.30 倍(名目)・営業利益率 2.5%
倍率:ROE 3.2%。k 7.25% 以下で、PER の上限は 1÷k = 12.9 倍。粗利の低下と赤字の店を見て、上限の 6.2 割に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 8 倍・時価総額 64 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:競合の攻勢と賃上げ、仕入れ高の重なりで、すでに起きている流れの延長。
悲観 10% 競争と固定費で赤字になり、減損が積み上がる 利益 −4 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 327 円45 億円
競合の攻勢と人口減で客数は 25% 減る。客単価は 1.25 倍にとどまる。粗利率が下がり、大型店の固定費と家賃が重く、営業赤字になる。減損が積み上がり、自己資本が減る。配当は削られる。値打ちは、自社所有の土地と建物、在庫の売却による床までになる。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし、本社費も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店舗と設備は取得時の値段のまま、改修と新店の分だけ新しい値段で積んだ。償却は今の約 8.4 億円が10 年後に約 9 億円(減損で減る)。更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金から出る。家賃は賃借の店の分が固定費として残る。
- 大型ホームセンター(九州・大阪 12 店):数量 9.4(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 35(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 331 億円・営業利益 −5 億円。客数 0.75 倍(実質)・客単価 1.25 倍(名目)・営業利益率 -1.5%
倍率:営業赤字で稼ぐ力はない。自社所有の土地と建物の売却、太陽光設備と在庫の回収を、借入と家賃の約束を引いた残りで 45 億円とした。今の自己資本 188 億円に対する PBR は 0.24 倍。清算されない限り、少数株主は大型店の売却を決められないため、自己資本を大きく下回ってよい。
確率:競合の規模、粗利の低下、大型店の固定費が重なる構造的な負け。大型店は退店が難しく、起きたら戻りにくい。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
大型ホームセンター(九州・大阪 12 店)
DIY 用品・家庭用品・カー・レジャー用品を売る大型店。通販も営む。
| 数量年間の来店客数(百万人、推定) | 価格客単価(百円 / 人、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 12.6 | 28 | 353 | 13 |
| 10 年後 中立 | 12.2 | 38 | 458 | 18 |
取り方:売上 353 億円を、客単価 2 千円台後半(開示なし、大型ホームセンターの水準として推定)で割った来店客数。数量は推定である。
リスクと懸念
競合と仕入れの規模
コメリ、DCM、コーナン、ナフコなどは、店の数が多く、共同購買と PB で粗利を厚くする。ハンズマンは 12 店で、仕入れの規模で劣る。粗利率は 2026 年 6 月期に 0.3 ポイント下がった。
大阪・松原店の立ち上がり
2023 年 10 月の開店で、会社の計画では 3 年目に単体黒字だった。黒字の定着が遅れれば、全社の利益率を押し下げ続ける。関西への出店拡大の前提も揺らぐ。
円安と廃番による欠品
輸入品が多く、円安で仕入れが上がる。廃番商品の増加で代替品の発掘に時間がかかり、欠品による機会損失が出る。値上げは客数に響く。
九州の人口減と買い控え
九州の既存店は、物価高による買い控えで不振が出た。人口減で客数は押し下げられる。数量の前提は 10 年で 3% 減を織り込んだが、想定を超えれば固定費が重くなる。
天候と自然災害
屋外の作業の商品の比率が高く、天候で売上が左右される。九州は台風や地震の被害を受けやすく、設備と物流網が止まるリスクがある。
店の固定費と減損
大型店を多く持ち、収益が悪化すれば減損が出る。賃借の店は家賃が固定の約束として残り、不況では利益を直撃する。新リース会計基準で 2028 年 6 月期以降は負債が見かけ上ふくらむ。
計画の達成力
中期経営計画は何度も下方修正され、ROE 10% の目標も達成していない。経営の目標と実績の差が大きく、資本を効率よく使えるかに疑問が残る。
今後の分かれ目
- 大阪・松原店が通年で黒字になり、全社の営業利益が 15 億円を超えたら
- 出店の採算を評価し、楽観・やや楽観に確率を寄せる。
- 粗利率が 32% 台に戻り、営業利益率が 5% を超えたら
- 利益率の回復を評価し、中立の利益率を引き上げる。
- 九州の既存店の客数が 2 期続けて落ちたら
- 客数の前提を下げ、やや悲観に寄せる。
- 減損損失が出たら
- 店舗の収益力の前提を下げ、悲観側に確率を寄せる。
- 自社株買いや配当性向の引き上げが決まったら
- 資本の使い方の前提を見直し、価値を足し直す。
- 公開買付けが発表されたら
- 少数株主の取り分を、提示された条件と企業価値で見直す。
見ておくもの
- 既存店売上・客数・客単価(月次)
- 売上総利益率と販管費率
- 松原店の損益
- 減損損失
- 借入の残高と現金
- 配当性向と自社株買い
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 110 億円や PBR 0.58 倍には寄せていない。客数と客単価、利益率から利益を積み、倍率は式で置いた。中立は ROE 5.7% が k 7.25% に届かないので、PER の上限 1÷k = 12.9 倍の 7.8 割。楽観は ROE が k を超えるので、残る割合 1/2 で薄めた上限の 8.5 割とした。純有利子負債は正で余った現金は無いので、現金の足し算はしない。優待は確かめられず、入れていない。新リース会計基準は 2028 年 6 月期以降に適用されるが、10 年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。減価償却は物価で増やしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→16.17 倍・やや楽観 PER 11→14.22 倍・中立 PER 10→13.79 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +0.25%(循環 0・値決め力 +0.25・借金 0・寿命 0)= 7.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.75% → 7.25%。