結論
ひらまつは、高級フレンチやイタリアンのレストラン、結婚式場、リゾートホテルの運営を手がける会社だ。筆者の結論は「割高」である。ブランドの力は確かだが、営業利益は 2 億円と薄く、年 11.6 億円の家賃が毎年固定でのしかかる。今の時価総額は、会社の掲げる利益回復の計画をほぼ前提にしている。
2024 年にホテルを売り、運営の受託に切り替えた。身軽にはなったが、売上は店舗ベースの 140 億円から連結の 99 億円に縮んだ。会社は 2031 年 3 月期に営業利益 13 億円(営業利益率 10%)を掲げ、来期は 3.4 億円を見込む。
筆者は、レストランと婚礼の利益率が戻るという道筋には無理がないと見る。ただ、賃上げと食材高が毎年続く世界では、戻りの幅は会社の計画より小さい。パチンコ最大手マルハン系が 36%の株を持ち、財務の安心感はあるが、利益を生む力そのものは別の話だ。数字を冷静に置くと、割高の側に傾く。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社を長く持ちたいか。筆者の答えは「ブランドは好ましい。ただ、この値段と、この利益の薄さでは持ちたくない」だ。
高級店は、続ければ客が客を呼ぶ。ブランドは時間が味方になる。だが、利益率が 2%まで落ちた事業は、家賃と人件費の固定費が重く、売上が少し落ちるだけで赤字に戻る。コロナ禍の損失がそれを証明した。
資本の使い方も途上だ。ホテルを売って身軽になったのは正しい判断だ。一方、買収は小さな案件が続く段階で、成果は見えていない。配当も限られる。
安全域でも見劣りする。純現金は時価総額の 1 割ほどで、家賃の約束がそれを打ち消す。回復の計画が全部うまくいっても、10 年後の価値は今の時価総額を超えにくい。筆者は、良い店だが良い投資対象ではないと見る。値段が半分なら話は変わるが、いまはそうではない。
何で稼ぐ会社か
ひらまつの稼ぎ方は 3 つある。レストラン、婚礼、ホテルだ。
レストランは、都内や京都を中心に 20 店。ミシュランの星を狙う高級フレンチが看板で、1 人あたりの単価が高い。2026 年にはイタリア料理店の運営会社を買い、外食の買収を担う子会社を作った。
婚礼は、店舗売上の約 3 割を占める。レストランの建物を使った少人数の挙式が中心で、1 組あたりの単価が高い。人気の高いオーベルジュ(宿泊できるレストラン)や邸宅風の会場が武器になる。
ホテルは、賢島、熱海、仙石原、宜野座、京都、軽井沢御代田の 6 施設。2024 年 7 月に建物と土地を投資ファンド系の会社へ売り、運営だけを受託する形に変えた。売上には運営受託の報酬しか載らないため、連結売上は縮んだ。
従業員は 716 人。店舗の多くは賃借で、年間の賃借料は 11.6 億円。敷金の差し入れも続く。店の設備投資は年に数億円で、婚礼と客室の予約が埋まるかどうかで稼ぎが決まる。新しい恵比寿の店は 2026 年 2 月に開き、立ち上がりの費用が先行する。
優良さと弱いところ
強みは、料理人の腕とブランドで、客単価を高く保てる点だ。婚礼でも「ひらまつで挙げた」という付加価値が価格に出る。海外の著名シェフとの提携で、ブランドの幅も広げてきた。
ただし、これは人に依存した強みだ。名のある料理人が抜ければ店の格が揺らぐ。人手不足の中で、調理・サービス人員の確保と育成が最大の課題になる。固定の家賃も、店の収益が下がれば重荷に変わる。
収益性は低い。営業利益率は 2015 年に 24%あったが、コロナ禍で赤字になり、ホテルの売却を経ても 2%にとどまる。自己資本比率は 51%。借入はあるが現金が上回り、純現金は 14 億円。ただ、リースや家賃の約束を考えれば、見かけほど強くはない。
経営は立て直しの途上にある。財務を整え、小さな買収で外食の幅を広げようとしている。筆者は、ブランドの価値は評価する。ただ、10 年後に稼ぐ力が戻るかは、料理人の育成と人件費の吸収にかかっている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
高級レストランの市場は小さく、景気と訪日客の動きに左右される。コロナ禍の 2021 年 3 月期に、ひらまつの売上は 63 億円まで落ち、営業利益は 25 億円の赤字になった。外食の中でも、高単価ほど落ち込みが深かった。
いま需要は戻っている。訪日客と富裕層の消費が追い風で、高級店の予約は埋まりやすい。一方、人件費と食材費は毎年上がる。物価が年 3%で続く世界では、単価の値上げが追いつくかが勝負になる。高級店は値上げが通りやすい業態だが、客が離れれば逆回転する。
婚礼は、婚姻数が減り続ける構造的な逆風にある。少人数・高単価に絞る流れは、ひらまつの方向と合う。ただ、組数が減る分を単価で補う構図になるため、利益率の伸びしろは小さい。
ホテルは、リゾート需要が強いが、宿泊業全体が人手不足と猛暑・競争の影響を受ける。ひらまつは受託側なので、稼働が落ちても自らの資産のリスクは小さくなった。ただ、報酬は売上連動で、収益の天井も低い。競合は、高級フレンチの老舗や、星付きレストランを持つホテルグループだ。
資本政策と M&A
資本政策は、体質の改善が先で、株主への還元は後回しだ。
2026 年 3 月期は無配で、来期は最低限の水準にとどまる。会社は配当性向 30%を目安にするが、まだ利益が薄い。主要株主はマルハン太平洋クラブインベストメントで、36%を持つ。2021 年の第三者割当増資で資本を入れた経緯がある。
ホテルの売却で借入を減らし、現金が借入を上回った。ただ、家賃と、2024 年に組んだシンジケートローンの財務制限条項が経営の自由度を縛る。
新しい動きは M&A だ。外食の買収と経営支援を担う子会社を作り、イタリア料理店の運営会社と洋菓子店を取得した。規模は小さく、規律が保たれるかが焦点になる。マルハン系が完全子会社化に動く可能性は残るが、発表はない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ブランドは健在で、需要は戻っている。ホテルを売って借入を減らし、運営受託に切り替えたことで、不況時の傷は浅くなった。身軽な会社が、婚礼と高級レストランの単価上昇を取り込む形になっている。
会社は 2031 年 3 月期に営業利益 13 億円、営業利益率 10%を目標に掲げ、2026 年 2 月には 3 年間の数値目標を上方修正した。来期の営業利益は 3.4 億円と 7 割増を見込む。恵比寿の新店、イタリア料理店の買収、洋菓子店の取得も加わる。
訪日客と富裕層の消費は強く、高単価の店ほど値上げが通る。婚礼は少人数・高単価に絞り込み、組数の減少を単価で補える。マルハン系の大株主は、資金面での後ろ盾にもなる。10 年で営業利益率が 10%に乗れば、利益は今の 7 倍近くになる。海外シェフとの提携や、買収による新業態の追加で、ブランドの幅はさらに広がる。ホテルを手放した今、設備投資の負担も軽く、利益の多くが現金として残る形に変わった。
慎重な見方
まず利益が薄すぎる。営業利益 2 億円は売上の 2%で、家賃が年 11.6 億円ある。売上が 1 割落ちるだけで赤字に戻る構造だ。コロナ禍でそれは実証された。計画の営業利益率 10%は、2015 年の 24%の記憶に頼った目標で、賃上げが毎年続く今は届きにくい。
ホテルは売って受託に変わり、売上の天井も下がった。報酬は売上連動で、利益の源泉としては小さい。婚礼は婚姻数の減少という逆風が続き、組数は減る。
高級店は料理人に依存する。人材の流出や不祥事でブランドが傷つけば回復に時間がかかる。買収は小粒で、本業の弱さを補えない。
しかも今の時価総額は、利益回復の計画の大半を織り込んでいる。計画が 8 割しか達成されなくても、価値は今を大きく割る。さらに家賃という固定の約束が、悲観の沈みを深くする。買収した店や洋菓子事業は、まだ連結の利益に貢献していない。人手不足でサービス人員が確保できなければ、営業日数を減らす選択も迫られる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。ブランドは確かだが、利益が薄く、家賃という固定の約束がある。計画の達成は難しく、達成しても今の値段に届かない。中立に 4 割弱、やや悲観に 3 割を寄せ、楽観は 6%に抑えた。悲観は、固定費の重さを考えて厚めに置いた。強気が示すブランドの力は否定しないが、数字の裏づけは来期の増益予想にとどまる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 67 円47 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 15 円11 億円)。 今の値に割り戻すと 40 円28 億円、今との差 −74.9%、 期待の年率 −6.4%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 183 円129 億円 | 40 円28 億円 | +40.0% | +3.4% | 13 円9 億円 |
| やや楽観 | 16% | 125 円88 億円 | 25 円18 億円 | −5.4% | −0.6% | 24 円17 億円 |
| 中立 | 38% | 75 円53 億円 | 16 円11 億円 | −43.1% | −5.5% | 34 円24 億円 |
| やや悲観 | 30% | 20 円14 億円 | 8 円6 億円 | −82.2% | −15.9% | 8 円6 億円 |
| 悲観 | 10% | 17 円12 億円 | 4 円3 億円 | −86.5% | −18.1% | 2 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 67 円47 億円 | 15 円11 億円 | −48.1% | −6.4% | 82 円58 億円 |
今の株価時価総額 159 円112 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 計画どおり利益率 10%に乗り、買収も実を結ぶ 利益 10 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 183 円129 億円
高級店の単価上昇が人件費の上昇を上回り、レストランは店数を増やしながら利益率 9%に乗る。婚礼は組数の減少を少人数・高単価で補い、利益率は 13%まで上がる。ホテルの運営受託は施設数が増え、報酬が伸びる。
外食の買収が成功し、買った店は黒字化して全体の店数が 27 に増える。会社が掲げる営業利益率 10%の目標がほぼ実現する。本社費は物価で増えるが、売上の増加で薄まる。
それでも 10 年のあいだに、コロナ禍のような需要の谷が来る可能性は残る。ここまで揃うのは強気の側の最上位である。そのとき当社は、高級ブランドを軽い資産で運営する会社として、評価を取り戻す。
- レストラン(高級フレンチ・イタリアン、ブラッスリー):数量 27.0(店舗数)× 価格 3.99(1 店あたり売上(億円)。ブラッスリーや買収した店を含む平均)→ 売上 108 億円・営業利益 10 億円。店舗数 27、1 店あたり売上 1.45 倍、営業利益率 9%
- ブライダル(婚礼):数量 850(年間の挙式・披露宴の組数(推定))× 価格 0.08(1 組あたり売上(億円))→ 売上 65 億円・営業利益 9 億円。組数 850、単価 1.55 倍、営業利益率 13%
- ホテル運営受託(6 施設):数量 46.0(受託する 6 施設の総売上(億円、実質))× 価格 0.05(総売上あたりの運営受託報酬の率)→ 売上 2 億円・営業利益 2 億円。総売上 46 億円(実質)、報酬率 1.45 倍、利益率 65%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.6% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.93 倍、時価総額 129 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の中期計画をほぼ達成する形。賃上げが毎年続く世界で利益率が 2%から 10%に上がるのは、実績のない水準であり、確率は低く抑えた。
やや楽観 16% 利益率は 7%前後まで戻り、買収は小さくとどまる 利益 8 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 125 円88 億円
レストランは店数が 25 に増え、利益率は 7.5%に戻る。婚礼は組数が 800 のまま、単価の上昇で売上を伸ばし、利益率は 11.5%になる。ホテルの受託も報酬が物価並みに増える。
本社費は物価で膨らむが、売上の増加が上回り、営業利益率は 7%前後に乗る。会社の目標には届かないが、過去 10 年の平均を超える。配当は性向 3 割の方針で出て、株主への還元も始まる。純現金は借入の返済と新店の投資に使われ、積み上がらない。
買収は小さな案件にとどまり、全体の流れを変えない。大株主のマルハン系との協力は続くが、利益を押し上げるほどの力は持たない。
- レストラン(高級フレンチ・イタリアン、ブラッスリー):数量 25.0(店舗数)× 価格 3.85(1 店あたり売上(億円)。ブラッスリーや買収した店を含む平均)→ 売上 96 億円・営業利益 7 億円。店舗数 25、1 店あたり売上 1.40 倍、営業利益率 7.5%
- ブライダル(婚礼):数量 800(年間の挙式・披露宴の組数(推定))× 価格 0.07(1 組あたり売上(億円))→ 売上 57 億円・営業利益 7 億円。組数 800、単価 1.45 倍、営業利益率 11.5%
- ホテル運営受託(6 施設):数量 43.0(受託する 6 施設の総売上(億円、実質))× 価格 0.05(総売上あたりの運営受託報酬の率)→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。総売上 43 億円(実質)、報酬率 1.40 倍、利益率 62%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.78 倍、時価総額 88 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:来期の増益予想と恵比寿の新店、買収の上積みは根拠がある。ただ、固定の家賃と賃上げが回復を鈍らせる。
中立 38% 利益率は 5%弱にとどまり、固定費が回復を抑える 利益 5 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 75 円53 億円
レストランの店数は 23 に増え、1 店あたり売上は物価並みの 1.34 倍に伸びる。利益率は 6%。婚礼は組数が 5%減るが、単価の上昇で補い、利益率は 10%になる。ホテルの運営受託は報酬が物価並みに増える。
本社費は物価の分だけ膨らみ、営業利益率は 4.7%となる。会社の目標 10%には届かない。賃上げが毎年続くなかで、単価の値上げが追いつくかどうかの綱引きが続く形だ。
家賃は取得原価で固定される部分と、更新で上がる部分がある。新しい店は新しい家賃で借りるため、固定費は物価に近い速さで増える。配当は配当性向 3 割ほどを払う。
- レストラン(高級フレンチ・イタリアン、ブラッスリー):数量 23.0(店舗数)× 価格 3.69(1 店あたり売上(億円)。ブラッスリーや買収した店を含む平均)→ 売上 85 億円・営業利益 5 億円。店舗数 23、1 店あたり売上 1.34 倍、営業利益率 6%
- ブライダル(婚礼):数量 760(年間の挙式・披露宴の組数(推定))× 価格 0.07(1 組あたり売上(億円))→ 売上 53 億円・営業利益 5 億円。組数 760、単価 1.40 倍、営業利益率 10%
- ホテル運営受託(6 施設):数量 40.3(受託する 6 施設の総売上(億円、実質))× 価格 0.05(総売上あたりの運営受託報酬の率)→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。総売上 40.3 億円(実質)、報酬率 1.34 倍、利益率 60%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 53 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:高級店と婚礼のブランドは続くが、賃上げと食材高が毎年続き、利益率の回復は限られる。会社の計画と過去の実績の中間より下に置いた。
やや悲観 30% 婚礼が縮み、人件費に負けて利益は 1 億円台 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 20 円14 億円
婚礼の組数が 650 に減り、レストランは客数が伸びずに利益率が 3.5%まで下がる。ホテルの受託も、猛暑や競争で稼働が落ち、報酬が伸び悩む。
家賃は売上が落ちても減らず、本社費も物価で膨らむ。営業利益は 1 億円台にとどまり、純利益はほぼ出ない。配当は最低限に抑えられ、買収も止まる。新店の計画は凍結され、既存店の改装にも手が回らなくなる。
財務は純現金の範囲で何とか持つが、新リース会計基準でリース負債が載ると、見かけの財務の強さは大きく削られる。この筋書きでは、現金は借入の返済と家賃の支払いに消えていく。
- レストラン(高級フレンチ・イタリアン、ブラッスリー):数量 20.0(店舗数)× 価格 3.58(1 店あたり売上(億円)。ブラッスリーや買収した店を含む平均)→ 売上 72 億円・営業利益 3 億円。店舗数 20、1 店あたり売上 1.30 倍、営業利益率 3.5%
- ブライダル(婚礼):数量 650(年間の挙式・披露宴の組数(推定))× 価格 0.06(1 組あたり売上(億円))→ 売上 42 億円・営業利益 3 億円。組数 650、単価 1.30 倍、営業利益率 7.5%
- ホテル運営受託(6 施設):数量 36.0(受託する 6 施設の総売上(億円、実質))× 価格 0.04(総売上あたりの運営受託報酬の率)→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。総売上 36 億円(実質)、報酬率 1.25 倍、利益率 55%
倍率:稼ぐ力は事業の純利益 1 億円で、÷k でも 11 億円ほど。値打ちは純現金 14 億円と売れる資産で、今の自己資本 61 億円への PBR 0.23 倍(約 14 億円)で見る。床の資産の内訳は floor_assets_why に書く。
確率:婚礼の構造的な縮小と、賃上げの先行は実績のある逆風。家賃が固定費として残るので、売上が少し落ちるだけで利益は大きく減る。
悲観 10% 固定費に押しつぶされ、店を畳んで縮む 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 17 円12 億円
景気の悪化か、人手不足による営業日数の削減で売上が 3 割落ちる。家賃は売上に連動せず、赤字が数年続く。店を畳み、減損損失を出し、自己資本が削られる。
シンジケートローンの財務制限条項に抵触し、資金繰りのために大株主の支援か資産の売却が要る。新たな買収は止まり、配当も出ない。ブランドを支えてきた料理人も流出する。
値打ちは稼ぐ力ではなく、純現金と残る資産の売却価値で測る。10 年後に事業が残っていても、ブランドの価値は大きく毀損している。残る店舗は少数の看板店に絞られ、立て直しの余地は小さい。大株主の支援があっても、株主価値の毀損は避けられない。
- レストラン(高級フレンチ・イタリアン、ブラッスリー):数量 16.0(店舗数)× 価格 3.44(1 店あたり売上(億円)。ブラッスリーや買収した店を含む平均)→ 売上 55 億円・営業利益 −1 億円。店舗数 16、1 店あたり売上 1.25 倍、営業利益率 -2%
- ブライダル(婚礼):数量 520(年間の挙式・披露宴の組数(推定))× 価格 0.06(1 組あたり売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。組数 520、単価 1.25 倍、営業利益率 3%
- ホテル運営受託(6 施設):数量 30.0(受託する 6 施設の総売上(億円、実質))× 価格 0.04(総売上あたりの運営受託報酬の率)→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。総売上 30 億円(実質)、報酬率 1.20 倍、利益率 45%
倍率:赤字で稼ぐ力はなく、値打ちは純現金と売れる資産の税後。今の自己資本 61 億円への PBR 0.2 倍(約 12 億円)で見る。床の資産の内訳は floor_assets_why に書く。
確率:婚礼と高級店の需要が同時に落ち、家賃が固定費として残る形。コロナ禍で売上が 4 割減って赤字に落ちた実績があり、再現しうる。婚礼の縮小と人件費の高騰が重なる点でも、コロナ禍と同じ弱さを抱えている。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
レストラン(高級フレンチ・イタリアン、ブラッスリー)
都内・京都などで高級レストランを運営し、新たに外食の買収で店を増やす。
| 数量店舗数 | 価格1 店あたり売上(億円)。ブラッスリーや買収した店を含む平均 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 21.0 | 2.75 | 58 | 2 |
| 10 年後 中立 | 23.0 | 3.69 | 85 | 5 |
取り方:有価証券報告書の店舗売上ベース(レストラン 54.5 億円とその他 3.3 億円、監査対象外)を連結売上 98.8 億円に合わせて使い、店舗数 20 に買収した 1 店を足した。セグメント利益は開示がなく、営業利益率 3%と推定した。
ブライダル(婚礼)
レストランやオーベルジュの建物で、少人数・高単価の挙式と披露宴を運営する。
| 数量年間の挙式・披露宴の組数(推定) | 価格1 組あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 800 | 0.05 | 40 | 3 |
| 10 年後 中立 | 760 | 0.07 | 53 | 5 |
取り方:店舗売上ベースのブライダル 39.5 億円を、1 組あたり約 500 万円と推定して組数 800 で割った。組数・単価は開示がない。営業利益率は 8%と推定した。
ホテル運営受託(6 施設)
2024 年に売却したホテル 6 施設を受託運営し、売上連動の報酬を得る。
| 数量受託する 6 施設の総売上(億円、実質) | 価格総売上あたりの運営受託報酬の率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 42.4 | 0.04 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 40.3 | 0.05 | 2 | 1 |
取り方:店舗売上ベースのホテル 42.4 億円が受託施設の総売上。連結売上からレストラン・婚礼・その他を引いた約 1.5 億円を報酬とみて率 3.5%とした。受託では人件費は施設の所有者が負担し、利益率は 6 割と推定した。
リスクと懸念
固定の家賃が利益を飲み込む
年間の賃借料は 11.6 億円で、営業利益 2 億円の 5 倍を超える。売上が 1 割落ちると、粗利の減少が家賃で吸収されず赤字に戻る。2028 年 3 月期から新リース会計基準が適用され、リース負債が貸借対照表に載ると、自己資本比率と純現金の見かけが大きく変わる。
婚礼市場の縮小
婚姻数は毎年減り、婚礼の組数は構造的に細る。少人数・高単価に絞る戦略は合うが、組数の減少を単価で補い続けるのは難しい。婚礼は店舗売上の 3 割弱を占め、ここが崩れれば全体の利益が崩れる。
人手不足とシェフ依存
ブランドは料理人とサービス人員が作る。人件費は物価を上回って上がる可能性があり、高い単価でも吸収しきれない場合がある。名のある人材の流出は、店の格を直接傷つける。
買収の規律
外食の買収を担う子会社を作り、イタリア料理店と洋菓子店を取得した。規模は小さいが、本業の利益が薄いなかで買収を重ねると、資本の使い方を誤る恐れがある。
大株主の動き
マルハン系が 36%を持つ。完全子会社化に動く可能性は排除できないが、発表はなく、筋書きの主役にはしない。逆に、大株主が資金面の支援をやめれば、財務の不安が再燃する。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期の営業利益が 3.4 億円を超えて着地したら
- 回復の道筋が裏づけられる。やや楽観の確率を上げる。
- 婚礼の組数が前年を 1 割以上割り込んだら
- 構造的な縮小が加速している。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 年 11.6 億円の賃借料が売上の伸びとともに増え、営業利益率が 3%を割ったら
- 固定費の重さが顕在化している。悲観の確率を上げる。
- マルハン系が公開買付けを発表したら
- 価格に上乗せが付く。分析の対象から外れる。
- 買収した外食事業が黒字になったら
- 買収の規律が保たれている証拠になる。楽観側の材料になる。
見ておくもの
- 四半期の営業利益率と家賃を除く店舗の収益
- 婚礼の組数と客単価
- 新リース会計基準適用後のリース負債の大きさ
- シェフ・料理人の離職と海外提携の継続
- 買収した外食事業の損益
倍率と資本コストの決め方
今の株価からは置かず、レストランは店数 × 1 店あたり売上、婚礼は組数 × 単価、ホテルは受託する施設の総売上 × 報酬率で積んだ。婚礼の組数とホテルの報酬の内訳は開示がなく、店舗売上ベースの数字から推定した。倍率は ROE が資本コストに届かない会社の 1÷k を基準に、中立は 7 割台に置いた。新リース会計基準では家賃が使用権資産とリース負債に変わり純現金が減って見えるが、10 年後の数字は今と同じ家賃を費用に入れた形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.93 倍・やや楽観 PER 9.5→11.78 倍・中立 PER 8.5→11.76 倍・やや悲観 PBR 0.25→0.23 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。