結論
あみやき亭は、愛知県で生まれた焼肉の「あみやき亭」を中心に、焼鳥、「感動の肉と米」などのレストランを全店直営で310店出す外食の会社だ。筆者の結論は「割高」だ。十年後の価値は今の時価総額の6割に届かず、大きな現金を持つ強みを織り込んでも、今の値段は利益の回復を先取りしている。
足元は苦しい。2026年3月期の営業利益は22億円で、前の期から16%減った。2027年3月期は、上期の営業利益が8.5億円と会社計画の11億円を下回り、通期の営業利益予想も25億円から20億円に引き下げた。売上は伸びているのに、牛肉などの原材料、人件費、物流費が先に増えている。
強みは財務だ。現金は88億円、借入は10億円ほどで、自己資本比率は76%、純現金は時価総額の3割に当たる。コロナ期に営業赤字が34億円まで膨らんでも潰れなかった。
弱みは、利益率の低さと波の大きさだ。営業利益率は2015年3月期の10.7%から、コロナ期の−15.7%、今期の5.9%と動いた。会社が掲げる経常利益率15%は、今の6%台から遠い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社の第一の強みは、財務の守りだ。借金は少なく、現金が厚い。コロナ期の危機を乗り越えた実績は、経営の守りの堅さを示す。
第二に、事業の質は並みだ。焼肉は、牛肉という変動の大きい原料に依存し、安い価格が売りなので、値上げでコストを転嫁する力が弱い。利益率は10%から赤字までぶれた。外食は参入の壁が低く、堀は広くない。
第三に、資本の使い方は無難だ。配当は利益の半分強、現金を貯め込みすぎてもいない。ただ、利益率15%の目標と実績の差は大きく、計画の信頼性は低い。
払う値段に安全域があるかどうかは、結論のとおりだ。現金が厚い点は、値段を下から支える。それでも、利益が物価ほどには伸びない見立てでは、今の値段は利益の回復を先取りしている。
オーナーとして持ち続けたいかと言えば、守りの堅さは認めるが、この値段では待つ理由が弱いと筆者は考える。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は焼肉だ。「あみやき亭」を中心に、スエヒロ館、ホルモン青木、ホルモンセンターなどを合わせて162店あり、売上の58%、220億円を占める。2009年に買い取ったスエヒロレストランシステムも焼肉とレストランを手がける。
第二の柱はレストランで、「感動の肉と米」や京都ダイニング正義などが71店、売上は97億円だ。前の期から26%伸びたのは、2025年度にクーデションカンパニーを連結に加え、24店が増えたことが大きい。焼鳥は美濃路、もつしげなどが52店で売上39億円。そのほかにしゃぶ亭ふふふ、すしまみれ、京都ラーメンたかばしなど25店が21億円を稼ぐ。
全店が直営で、フランチャイズの記載はない。店は愛知・岐阜・三重・静岡の中部と、関東、滋賀・京都に集まる。9都府県への集中は、有価証券報告書が自然災害のリスクに挙げる。2026年3月期は、新規出店11店、撤退13店、業態変更7店だった。従業員は連結で635人、パートなどを8時間に換算して2,400人あまり。店で働く人の確保が経営の鍵になる。
優良さと弱いところ
筆者が評価するのは、財務の堅さと、幅広い業態を持つ点だ。焼肉、焼鳥、レストラン、ラーメン、すしと、客層と価格帯の違う店を複数持つ。1つの業態が不振でも他が支える作りで、買い取った業態を店ごとに転換する経験も積んでいる。借金は少なく、現金が厚い。コロナ期の2021年3月期と2022年3月期に営業赤字が合わせて58億円に達したが、純現金は30億円台を保った。
弱点は四つある。第一に、利益率の低さと振れの大きさ。営業利益率は10%超から赤字、5%台まで動いた。第二に、値決めの力が弱い。焼肉は牛肉の価格に左右され、「リーズナブル」を強みにした店ほど値上げが難しい。第三に、利益が2期続けて落ちた。第四に、中長期目標の経常利益率15%は、実績の6%台と大きく離れており、計画の信頼性が低い。
政策保有の株式は、有価証券報告書に「該当なし」とあり、無駄な持ち合いはない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
焼肉は、国内の外食の中でも競争の激しい業態だ。市場は約1兆円規模とされ、家計の焼肉外食の支出はコロナ前を上回って過去最高になった。ただし焼肉店の倒産は2024年度に過去最多を記録し、2025年も高水準が続いた。焼肉の原価は、コロナ前の約1.3倍とされる。輸入牛や交雑牛を使うチェーンは、原材料高と価格転嫁の限界に挟まれている。
人手不足と最低賃金の上昇で、人件費は毎年3〜5%上がる。物価3%の世界では、仕入れ、人件費、家賃、光熱費が毎年3%ほど上がるので、値上げが通る強い店だけが利益率を守れる。
あみやき亭は、安さを売りにする大衆型の焼肉で、値上げの余地が小さい。2025年10月にも、猛暑と節約志向で焼肉の既存店が弱いとして通期予想を引き下げ、2026年10月にも再び引き下げた。
業界のノートは、外食は店数の増減で売上が決まり、利益率は原価と人件費の上昇に押されると置く。あみやき亭もその中に入る。
店の運営に必要な家賃と、肉の仕入れは、売上が落ちても減らない固定の約束に近い。客数が1割落ちると、利益はそれ以上に減る。コロナ期に営業赤字が34億円まで膨らんだのは、この仕組みによる。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。年間の配当の総額は約7億円で、純利益の約55%に当たる。増配や株式分割を検討する方針で、2024年には株式分割と増配を発表した。自社株買いの記載は見つけられなかった。
株主優待は、100株で食事券1枚、300株以上で4枚、3年以上の保有でさらに上乗せされる。「感動の肉と米」とニュールックを除くグループ店で使える。年間の費用は開示から読み取れなかったが、全株が対象でも額面で2億円ほどで、使われる割合と原価を考えると1億円ほどと見積もった。優待は株主に渡る還元なので、十年の還元に足す。
純現金は83億円で時価総額の約3割。うち、運転資金や敷金、閉店費用に見合う約38億円を事業に要る分とみて、残る45億円を余剰と見た。この現金は、会社の使い方次第で、戻ってくる値打ちが変わる。
投資は新規出店と業態転換が中心で、2026年3月期の設備投資は17億円、営業の現金収入は38億円だった。大型のM&Aは、2009年のスエヒロ、近年のクーデションと、小型の買収が続く。新リース会計基準は2028年3月期(2027年4月開始)に適用され、使用権資産が貸借対照表に載るが、十年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
悪い材料は費用の増加が中心で、需要が崩れたわけではない。2026年3月期の売上は6.7%伸び、2027年3月期の第1四半期も10%伸びた。焼肉の既存店は猛暑と節約志向で弱いが、レストランは「感動の肉と米」と買い取った業態で伸びている。利益が落ちた分は、新規出店の費用と原価の先行で、店が育てば戻る。
財務は強い。現金88億円、借入10億円、自己資本比率76%で、純現金は時価総額の3割ある。コロナ期でも潰れなかった。余った現金は、出店や自社株買いで使い道を作る余地がある。
焼肉の需要は強く、家計の外食支出は過去最高だ。価格改定が通れば、利益率は2018年の9.6%に戻る可能性がある。会社が掲げる経常利益率15%に近づく局面もあり得る。優待もあり、個人株主が離れにくい。
全店直営で、店の運営を自社で管理できるため、不振の店を早く見つけて閉め、転換できる。2026年3月期は13店を閉め、7店の業態を変えた。この新陳代謝が効けば、1店あたりの売上と利益率は上がっていく。
慎重な見方
上期の営業利益は8.5億円と、会社の計画の11億円を2割以上下回り、通期の予想も営業利益25億円から20億円に引き下げた。2025年10月にも引き下げており、2年続けて下方修正している。売上は伸びているのに利益が減るのは、構造的に原価と人件費が価格を上回って上がっている証拠だ。
焼肉の倒産は過去最多の水準で、輸入牛の原価はコロナ前の1.3倍。安さを売りにする店は、値上げのたびに客を失う。会社の経常利益率の目標15%に対し、実績は6%台で、差が大きい。
現金は厚いが、事業に要る分もある。運転資金、敷金、閉店費用で約38億円は事業に必要で、余るのは45億円ほど。しかも、この現金は少数株主が自由に使えない。今の値段は、利益が回復して配当性向が上がる前提を織り込んでいる。
新規出店と買い取りで店数を増やしても、利益は増えていない。2026年3月期は店が11店増え、24店が連結に加わったのに、営業利益は16%減った。店を増やすほど原価と人件費の重さが増す構造なら、出店は利益の伸びを保証しない。
どちらに重みを置いたか
財務の守りと業態の幅では強気の言い分が説得力を持つ。一方、2年続けての下方修正、原価高を価格に載せられない構造、経常利益率15%の目標とのずれでは、慎重な言い分が明確に勝つ。そこで中立の利益率を2026年3月期の5.9%より少し低く置き、確率はやや悲観をやや楽観より厚くした。悲観は現金が厚いので1割にとどめた。総合の差は、中立でも利益が物価ほどにしか伸びない点から来ている。会社の実力を否定するのではなく、今の値段が回復を先取りしているという見立てである。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,208 円248 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 454 円93 億円)。 今の値に割り戻すと 902 円185 億円、今との差 −32.1%、 期待の年率 +2.3%(資本コスト 7.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,800 円575 億円 | 691 円142 億円 | +162.9% | +10.1% | 244 円50 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,838 円378 億円 | 560 円115 億円 | +80.6% | +6.1% | 480 円99 億円 |
| 中立 | 38% | 1,326 円273 億円 | 487 円100 億円 | +36.5% | +3.2% | 689 円142 億円 |
| やや悲観 | 25% | 432 円89 億円 | 346 円71 億円 | −41.5% | −5.2% | 194 円40 億円 |
| 悲観 | 10% | 324 円67 億円 | 219 円45 億円 | −59.1% | −8.6% | 54 円11 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,208 円248 億円 | 454 円93 億円 | +25.1% | +2.3% | 1,662 円341 億円 |
今の株価時価総額 1,328 円273 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 焼肉の値上げが通り、レストランも育って利益率が7%台に乗る 利益 32 億円 · PER 16.7 倍 · 株価時価総額 2,800 円575 億円
牛肉などの原価の上昇を、客が許す価格改定と商品構成の見直しで吸収できる展開だ。焼肉の既存店は客数を保ったまま客単価が物価を1割ほど上回って伸び、焼肉の利益率は10%に戻る。「感動の肉と米」を中心にレストランが店数を100店分まで増やし、ここも8%の利益を出す。焼鳥とその他も店を絞り込んで質を高める。本社の費用は物価ほどは増えない。売上は660億円台、営業利益は49億円ほどで、営業利益率は7%台。2018年3月期の9.6%には届かないが、コロナ前の水準に近づく。純利益は32億円ほどに増え、還元は純利益の6割を保つ。ここまで揃うのは外食では珍しく、原価が上がり続ける今の焼肉では難しい展開だ。
- 焼肉:数量 175(店舗数)× 価格 2.04(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 356 億円・営業利益 36 億円。焼肉:175 店 × 1 店あたり 2.0363 億円(物価 1.34 倍 × 実質 1.12 倍)、利益率 10.0%
- レストラン:数量 100(店舗数)× 価格 2.01(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 201 億円・営業利益 16 億円。レストラン:100 店 × 1 店あたり 2.0117 億円(物価 1.34 倍 × 実質 1.10 倍)、利益率 8.0%
- 焼鳥・その他:数量 90.0(店舗数(焼鳥52+その他25))× 価格 1.16(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 104 億円・営業利益 7 億円。焼鳥・その他:90 店 × 1 店あたり 1.1572 億円(物価 1.34 倍 × 実質 1.10 倍)、利益率 6.5%
倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 16.74 倍、時価総額 575 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:原価高と人手不足が続く中で、客単価の上昇と出店が両方成功する必要がある。確度は低いので7%に置いた。
やや楽観 20% 原価高を価格で吸収し、利益率が6%台で安定する 利益 23 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 1,838 円378 億円
価格改定が少しずつ通り、焼肉の客単価は物価をわずかに上回る。コロナ後の出店と業態転換が定着し、店数は焼肉168店、レストラン92店、焼鳥その他84店分まで増える。焼肉の利益率は9%、レストランは7%、焼鳥その他は5.5%台で、全社の営業利益率は6%台前半に乗る。売上は590億円ほど、営業利益は36億円ほど、純利益は23億円ほどだ。還元は純利益の6割を保つ。足元の利益率の低下は原価と人件費の先行で、価格が追いつけば戻るという見立てになる。ただし中計の経常利益率15%には遠く、2018年3月期の9.6%にも届かない。大きく伸びるわけではなく、今の利益が物価とともに少しずつ増える十年だ。
- 焼肉:数量 168(店舗数)× 価格 1.91(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 321 億円・営業利益 29 億円。焼肉:168 店 × 1 店あたり 1.909 億円(物価 1.34 倍 × 実質 1.05 倍)、利益率 9.0%
- レストラン:数量 92.0(店舗数)× 価格 1.92(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 177 億円・営業利益 12 億円。レストラン:92 店 × 1 店あたり 1.9203 億円(物価 1.34 倍 × 実質 1.05 倍)、利益率 7.0%
- 焼鳥・その他:数量 84.0(店舗数(焼鳥52+その他25))× 価格 1.08(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 91 億円・営業利益 5 億円。焼鳥・その他:84 店 × 1 店あたり 1.0835 億円(物価 1.34 倍 × 実質 1.03 倍)、利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.0% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 14.74 倍、時価総額 378 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の売上は伸びており、価格改定の余地もある。ただし利益は2期連続で落ち、今期予想も下方修正されたので、やや楽観は2割にとどめた。
中立 38% 売上は物価と出店で増えるが、利益率は5%台で動かない 利益 18 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,326 円273 億円
店は焼肉165店、レストラン88店、焼鳥その他80店分まで少し増え、1店あたり売上は物価並みに伸びる。売上は545億円ほどになる。ただし牛肉の価格、最低賃金、物流費、家賃の上昇を、客が許す値上げで全部は払いきれない。焼肉の利益率は8%、レストランは6.5%、焼鳥その他は5%で、全社の営業利益率は5%台前半と、2026年3月期の5.9%を少し下回る。営業利益は29億円、純利益は18億円ほど。今の13億円と比べて名目では5割増だが、物価の1.34倍を考えると実質ではほぼ同じだ。配当性向は6割を保ち、優待も続く。コロナ前の10%超には戻らない、地味な十年になる。
- 焼肉:数量 165(店舗数)× 価格 1.82(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 300 億円・営業利益 24 億円。焼肉:165 店 × 1 店あたり 1.8181 億円(物価 1.34 倍 × 実質 1.00 倍)、利益率 8.0%
- レストラン:数量 88.0(店舗数)× 価格 1.83(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 161 億円・営業利益 11 億円。レストラン:88 店 × 1 店あたり 1.8288 億円(物価 1.34 倍 × 実質 1.00 倍)、利益率 6.5%
- 焼鳥・その他:数量 80.0(店舗数(焼鳥52+その他25))× 価格 1.05(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 84 億円・営業利益 4 億円。焼鳥・その他:80 店 × 1 店あたり 1.052 億円(物価 1.34 倍 × 実質 1.00 倍)、利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 13.33 倍、時価総額 272 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の3年先の予想(2028年3月期の営業利益27億円)に物価を載せた線と、直近の下方修正を踏まえた落としどころ。
やや悲観 25% 牛肉と人件費が先に上がり、利益率が3%台にとどまる 利益 8 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 432 円89 億円
輸入牛や交雑牛の価格が高止まりし、人手不足で時給が毎年上がる。客は値上げを嫌って来店を減らし、1店あたりの実質売上は5%ほど落ちる。会社は不採算店を閉めて店数を減らし、焼肉は155店、レストランは80店、焼鳥その他は72店分まで縮む。焼肉の利益率は5.5%、レストランは4.5%、焼鳥その他は3%に下がり、全社の営業利益率は3%ほど。営業利益は14億円、純利益は8億円ほどだ。売上は480億円と今より3割近く多いが、物価の分で、利益には残らない。配当は維持するが、性向は7割まで上がる。それでも借金はなく、事業は続く。出店のたびに投資を回収できず、のれんと店舗の減損が出る年もある。
- 焼肉:数量 155(店舗数)× 価格 1.73(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 268 億円・営業利益 15 億円。焼肉:155 店 × 1 店あたり 1.7272 億円(物価 1.34 倍 × 実質 0.95 倍)、利益率 5.5%
- レストラン:数量 80.0(店舗数)× 価格 1.74(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 139 億円・営業利益 6 億円。レストラン:80 店 × 1 店あたり 1.7374 億円(物価 1.34 倍 × 実質 0.95 倍)、利益率 4.5%
- 焼鳥・その他:数量 72.0(店舗数(焼鳥52+その他25))× 価格 1.00(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 72 億円・営業利益 2 億円。焼鳥・その他:72 店 × 1 店あたり 0.9994 億円(物価 1.34 倍 × 実質 0.95 倍)、利益率 3.0%
倍率:ROE 約3.1% は k 7.5% を大きく下回る。PER の上限 1÷k=12.1倍の約62%(7.5倍)を置いた。余った現金は別に足す(戻りを0.75に割り引く)。
確率:焼肉店の倒産が過去最多の水準で、原価はコロナ前の1.3倍という業界の姿と、足元で利益が下がり続ける事実から、やや悲観を厚めの25%に置いた。
悲観 10% 原価高と客離れで赤字が続き、現金を取り崩す 利益 −6 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 324 円67 億円
牛肉の高騰と人手不足が続く中、焼肉は値上げのたびに客が減り、価格競争からも抜けられない。競合の大手チェーンと、安さで勝負する新興の焼肉店に客を奪われ、1店あたりの実質売上は1割以上落ちる。店は減らしても家賃は残り、閉店費用と減損が重なる。営業は赤字が続き、会社は配当を止める。売上は350億円まで落ち、営業利益は6億円の赤字になる。借金は少なく、現金も厚いので、存続には困らない。ただ、十年かけて現金を取り崩し、再建の道筋は少数株主から見えにくい。事業の稼ぐ力では値が付かず、価値は手元の現金と店舗の資産に近づく。2021年3月期と2022年3月期に、コロナで営業赤字が34億円まで膨らんだ実績があり、構造的な赤字は想像できる。
- 焼肉:数量 130(店舗数)× 価格 1.60(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 208 億円・営業利益 2 億円。焼肉:130 店 × 1 店あたり 1.5999 億円(物価 1.34 倍 × 実質 0.88 倍)、利益率 1.0%
- レストラン:数量 60.0(店舗数)× 価格 1.55(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 93 億円・営業利益 0 億円。レストラン:60 店 × 1 店あたり 1.5545 億円(物価 1.34 倍 × 実質 0.85 倍)、利益率 0.0%
- 焼鳥・その他:数量 55.0(店舗数(焼鳥52+その他25))× 価格 0.89(1店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 49 億円・営業利益 0 億円。焼鳥・その他:55 店 × 1 店あたり 0.8942 億円(物価 1.34 倍 × 実質 0.85 倍)、利益率 0.0%
倍率:営業赤字で稼ぐ力では値が付かない。悲観の床は今の純現金に近く、少数株主が使い道を決められないため、十年後の自己資本に0.38倍を掛けた。
確率:コロナ期に営業利益が大幅な赤字になった実績があり、焼肉は原価と客単価の板挟みで赤字転落も現実的。ただし現金が厚いので、悲観は1割にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
焼肉
あみやき亭、スエヒロ館、ホルモン青木、ホルモンセンター、チファジャなどの焼肉店。
| 数量店舗数 | 価格1店あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 162 | 1.36 | 220 | 20 |
| 10 年後 中立 | 165 | 1.82 | 300 | 24 |
取り方:焼肉の売上219.8億円を期末の店数162店で割り、1店あたり約1.36億円とした。数量は店舗数で、客数の変化と物価は1店あたり売上の側に入れる。事業別の利益は開示がなく、利益率9%を推定した。
レストラン
感動の肉と米、スエヒロ館、京都ダイニング正義などのレストラン。
| 数量店舗数 | 価格1店あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 71.0 | 1.36 | 97 | 7 |
| 10 年後 中立 | 88.0 | 1.83 | 161 | 11 |
取り方:レストランの売上96.9億円を期末の店数71店で割り、1店あたり約1.36億円とした。2026年3月期に連結に加えたクーデションの店は期中から数えるため、1店あたりの売上はやや低めに出る。利益率7%を推定した。
焼鳥・その他
美濃路、もつしげなどの焼鳥と、しゃぶ亭ふふふ、すしまみれ、京都ラーメンたかばしなど。
| 数量店舗数(焼鳥52+その他25) | 価格1店あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 77.0 | 0.79 | 60 | 3 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 1.05 | 84 | 4 |
取り方:焼鳥39.2億円とその他21.3億円の合計60.4億円を、店数77店で割り、1店あたり約0.79億円とした。利益率5%を推定した。事業別の利益は開示がない。全社費用は約7.5億円を調整に置く。
リスクと懸念
原価と人件費の先行
牛肉などの原材料と時給の上昇が、価格改定より先に利益を削っている。2026年3月期の営業利益は16%減り、2027年3月期の通期予想も営業利益25億円から20億円に引き下げられた。
焼肉店の競争と倒産
焼肉店の倒産は過去最多の水準が続く。安さを売りにする店ほど値上げが難しく、あみやき亭の大衆型の焼肉もその圧力を受ける。
人材の確保
有価証券報告書が発生可能性・影響度とも高いと挙げるリスク。連結従業員は635人、パートなどを換算して2,400人あまりで、店の運営は短時間の労働に頼る。
店舗の減損と閉店費用
2026年3月期は撤退13店、新規出店11店、業態変更7店。不振の店は減損や原状回復の費用がかかる。ブランドを買い取って転換する手法は、うまくいかなければ追加の損失を出す。
食の安全
食中毒や産地偽装などの事故が起きれば、チェーン全体の客足が落ちる。生肉や内臓を扱う焼肉は、衛生の管理が特に重い。
地域の集中と災害
店は愛知など9都府県に集まる。地震や風水害、感染症が重なると、全店に影響が出る。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の通期営業利益が20億円を超えて着地したら
- 費用の増加は一時的だったと見て、やや楽観の確率を上げる。
- 通期営業利益が18億円を下回ったら
- 原価高が構造的として、やや悲観の確率を上げる。
- 焼肉の既存店売上が前年を大きく上回り、客単価の上昇が客数を落とさないと確かめられたら
- 焼肉の利益率を引き上げて見直す。
- 余った現金が自社株買いや増配に向かったら
- 余剰現金の戻り方を上げて見直す。
- 優待の拡充や縮小が発表されたら
- 優待の年間費用を見直し、還元に反映する。
- 中長期目標の経常利益率15%に近づく具体策が出たら
- 計画の信頼性を上げ、中立の利益率を上げる。
見ておくもの
- 焼肉の既存店売上高と客単価・客数
- 営業利益率と原材料費率・人件費率
- 店舗数(新規出店・撤退・業態変更)
- 余剰現金の使い道(自社株買い・増配)
- 株主優待の改定
倍率と資本コストの決め方
焼肉、レストラン、焼鳥・その他の3つを店舗数×1店あたり売上で積み上げた。物価3%は1店あたり売上の指数(10年1.34倍)に入れ、客数の増減と商品構成は実質の倍率で表した。事業別の利益は開示がなく、利益率は推定。全社費用は約7.5億円を物価で増やして調整に置いた。倍率は資本コスト7.5%(quality +0.75%)とROE約6%から、ROEがkを下回るのでPERの上限1÷kに対し約8割を置いた。今のPERやPBR、過去の倍率は使っていない。純現金83億円のうち、事業に要る約38億円を除いた余り45億円を、帳簿どおり戻る値で別に足した。株主優待の年間費用は開示がなく約1億円と推定し、十年の還元に足した(自己資本の流れには入れていない。費用は既に利益から引かれているため)。新リース会計基準(2028年3月期から)で数字の形が変わるが、十年後は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。悲観は原価と客離れの構造的な負けで置き、床は今の純現金に近い。今の株価には寄せていない。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.75%(循環 +0.5、値決め +0.25)。事業は傾いていないので上乗せなし。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 7.50%。