結論
メディカルシステムネットワークは、全国に472店の調剤薬局を営む会社だ。売上の約1割は薬局の外にある。薬局と医薬品卸の売買を仲介する医薬品ネットワーク、後発薬の製造販売、医薬品物流、レセコンの販売などで、薬局を裏から支える事業だ。
筆者の結論は、やや割高である。
2026年3月期の売上は1,322億円(前期比8%増)、営業利益は33億円、純利益は10.7億円。営業利益は当初見込みを下回り、純利益は前期にあった譲渡益の反動で減った。
会社が示す第7次中期計画(2030年3月期まで)は、営業利益50億円、ROE 11%を掲げる。しかし2027年3月期の予想は、報酬改定とデジタル投資で営業利益30億円と、2期ぶりに減る。
筆者が見るのは、利益の質と借入だ。薬局の値段は国が決め、物価の3%を満額では転嫁できない。自己資本比率は22%と薄い。営業利益は40億円台に伸びても、ROEは6%と資本コスト9%に届かない。今の値段は、その事実を織り込んでいない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、悪い会社ではないが、安いとも言えない。筆者はそう見る。
事業の質は、並みだ。処方箋は景気に左右されず、需要は10年後も残る。ただ、値段を国が決める事業は、利益が国の財布の事情に左右される。利益率2.5%では、ミスの余地が小さい。
財務は弱い。自己資本比率が22%で、純有利子負債は自己資本の1.4倍。2026年3月期は営業キャッシュフローが34億円の赤字に落ちた。会社は一時的と説明するが、借入に頼る形は変わらない。
経営は、ROE 11%、営業利益50億円を掲げる。前の中期計画(第6次)は目標に届かなかった。薬局の新規出店は計画25店に対し17店と、計画を下回った。
中立の純利益は15.5億円、ROEは6%で、資本コストに届かない。値段は安全域を与えない。筆者が見るのは、売上債権の流動化の再開と、営業キャッシュフローの回復だ。
何で稼ぐ会社か
事業は4つある。薬局、薬局支援、賃貸・設備、給食だ。
地域薬局は、2026年3月期末で472店。病院の近くや医療モールで、処方箋を受けて調剤する。この1年で17店を出し、9店を買収し、11店を閉めた。既存店の処方箋の枚数は前年を1.7%下回ったが、1枚あたりの技術料は前期より約4%上がった。処方箋の枚数の減りを、単価の上昇で補う形だ。
薬局支援は、医薬品ネットワークが柱だ。薬局や病医院と医薬品卸の間に入り、単品ごとの価格交渉や決済を代行する。加盟は1万2,003件で、受発注の取扱高は7,558億円(前期比11%増)に及ぶ。後発薬の製造販売は売上69億円、医薬品物流は売上61億円で、取引は約3,700店。LINEを使った薬局のデジタル支援は、6,658店が導入した。
賃貸・設備は、薬局の立地開発と医療モール、サービス付き高齢者向け住宅の運営。給食は、病院や福祉施設の給食を受託する。
連結の従業員は4,014人。うち薬局が3,519人を占める。薬剤師の確保が、出店の制約になっている。連結の売上のうち、薬局以外の賃貸・給食・その他は約4%にとどまり、収益の柱はあくまで薬局と薬局支援の二つだ。
優良さと弱いところ
強みは、薬局と医薬品の流通の両方を持つ点にある。薬局472店の購買力と、1万2,000件の加盟薬局が、医薬品の仕入れ交渉の力になる。後発薬の製造や物流にも広げ、薬局の外で稼ぐ形を作りつつある。
弱みは三つある。第一に、利益率が低い。営業利益率は2.5%で、過去12年の最高でも4.3%。第二に、値段を自社で決められない。調剤報酬と薬価は国が決め、2年おきの改定で圧縮される。第三に、借入が重い。純有利子負債は242億円で自己資本の1.4倍、自己資本比率は22%だ。営業利益は支払利息の約7倍。
2026年3月期は、後発薬の加算の算定誤りで返戻があり、売上債権の流動化を一部止めた。売掛金が約70億円増え、借入も同じだけ増えた。営業キャッシュフローは34億円の赤字になった。会社は一時的とするが、資金繰りの余裕は薄い。
堀は弱いと見る。処方箋に頼らない事業を育てるのは正しい方向だが、利益に占める割合はまだ小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
調剤の市場は大きいが、伸びは鈍い。2024年度の調剤医療費は約8.4兆円。薬局は全国に6万店を超え、再編が進んでいる。
処方箋の枚数は、人口減と長期処方で細る。薬価は毎年下がり、調剤報酬は2年おきに見直される。かかりつけ薬局の評価や、モール型への減算など、規模の大きい薬局ほど報酬が薄くなる流れがある。物価と賃金が上がっても、報酬の引き上げは限られる。薬剤師の人件費の上昇を、薬局が自力で吸収する形だ。
業界は大手による買収が続く。メディカルシステムネットワークも、毎期10〜15店を閉めながら、M&Aとモールで年20店ほどの出店を計画する。
AIとデジタルの影響は、二面ある。リーマン級の谷でなくても、人口減で処方箋の総数は細る方向にある。調剤の機械化と服薬指導のオンライン化で、薬剤師の手間は減る。しかし、処方箋の電子化とネット薬局の広がりで、立地の強みは薄れうる。会社は、デジタル投資に4年で約30億円を充てる。
リーマン級の谷では、処方箋は景気に左右されにくく、薬局はディフェンシブだ。ただ、財政の悪化は報酬の削減として、後から効く。
資本政策と M&A
還元は、配当性向35%を長期の目標とする。2026年3月期は性向32.8%で、2027年3月期も同額を予定する。純利益が減る見込みのため、性向は35%になる。第7次中期計画の4年間で、営業キャッシュフロー累計約200億円のうち、株主還元に30億円、成長投資に150億円、財務強化に20億円を充てる。
借入の中心は短期の借入金と長期借入金だ。有利子負債は377億円で、総資産の47%にあたる。りそな銀行とみずほ銀行の当座貸越枠(合計88億円)がある。金利が3.5%まで上がれば、利払いが年約6億円増える。
差入保証金が45億円ある。薬局の賃貸借の保証で、貸主の信用が悪化すれば回収できない。新しいリース会計は2028年3月期から効き、借りて営む資産が貸借対照表に載る。
大株主は、合同会社エスアンドエスが9.3%で最大。光通信が13.3%を保有すると、2026年10月に報告された。支配株主はいない。TOBの参考確率は22%だが、筋書きには入れていない。
株主優待は確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
薬局は需要が景気に左右されず、10年後も残る。メディカルシステムネットワークは、薬局472店に加え、薬局支援を育てている。医薬品の受発注の取扱高は7,558億円と、前期比11%増えた。支援する薬局は1万7,000件を超え、市場の約4割をめざす。
後発薬の製造販売と物流は、2026年3月期に増益だった。会社は、この二つの利益構成比を4年後に10%、10年後に20%へ高める計画だ。利益率の高い事業が増えれば、全体の利益率は上がる。
薬局は、モール出店と買収で年20店ずつ増やす。売上債権の流動化が再開すれば、借入も減る。第7次中期計画のとおり営業利益50億円、ROE 11%に届けば、今の時価総額は割安になる。
薬局の薬剤師が足りない状況でも、機械化と支援事業で人手を補えれば、利益率は守れる。
10年後に営業利益77億円まで伸びれば、純利益は32億円、時価総額は今の2倍を超える。
薬局支援が育つほど、処方箋と報酬の波から利益が離れていく。
慎重な見方
営業利益率は2.5%で、過去12年の最高でも4.3%。値段は国が決め、2年おきの報酬改定で圧縮される。2027年3月期は、報酬改定で約3億円の減益と、会社自身が見る。
借入も重い。純有利子負債は自己資本の1.4倍で、営業利益は支払利息の約7倍にすぎない。2026年3月期は営業キャッシュフローが34億円の赤字で、売上債権の流動化の停止が理由とされるが、再開の時期は示されていない。
前の中期計画は未達、新規出店も計画25店に対し17店。既存店の処方箋は1.7%減った。
営業利益が40億円台まで伸びても、ROEは6%で資本コスト9%に届かない。純利益10.7億円は、前期の譲渡益の反動で見かけより低いが、そもそも稼ぐ力が資本に見合わない。値段は妥当な水準にとどまる。
過去には2020年3月期に赤字も出した。借入が重い会社が、報酬の引き下げを受ければ、純利益はすぐに消える。
中期計画の目標も、これまで何度も先送りされてきた。
どちらに重みを置いたか
薬局と薬局支援を併せ持つ形と、支援事業の成長は確かだが、値段を国が決める構造と、借入の重さ、利益率の低さも同じくらい確かだ。確率は強気8%、やや強気22%、中立38%、やや悲観22%、悲観10%に置いた。
中立の純利益は15.5億円、ROEは6%で、資本コストに届かない。価値は今の時価総額を下回る。強気に寄せなかった点は、確認しておく。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 564 円165 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 166 円48 億円)。 今の値に割り戻すと 346 円101 億円、今との差 −33.0%、 期待の年率 +3.5%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,331 円389 億円 | 342 円100 億円 | +224.2% | +12.5% | 134 円39 億円 |
| やや楽観 | 22% | 825 円241 億円 | 239 円70 億円 | +106.3% | +7.5% | 234 円68 億円 |
| 中立 | 38% | 589 円172 億円 | 171 円50 億円 | +47.3% | +4.0% | 289 円84 億円 |
| やや悲観 | 22% | 188 円55 億円 | 86 円25 億円 | −46.9% | −6.1% | 60 円18 億円 |
| 悲観 | 10% | 103 円30 億円 | 17 円5 億円 | −76.8% | −13.6% | 12 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 564 円165 億円 | 166 円48 億円 | +41.3% | +3.5% | 729 円213 億円 |
今の株価時価総額 516 円151 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 支援・物流・製造が育ち、営業利益が70億円台に乗る 利益 32 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,331 円389 億円
薬局の店舗はM&Aとモール出店で1.15倍に増え、1店あたり売上は名目で1.30倍に上がる。調剤報酬の引き下げが緩く、処方箋の減りを単価の上昇が補う。
支援事業は、サポート施設が1.5倍に増え、物流と後発薬の販売が育つ。薬局支援は規模で利益率が上がる。
売上は2,061億円、営業利益は77億円、純利益は32億円。ROEは11%で、会社の目標ROE 11%に届く。
株主への還元は、配当性向35%に近づき、10年で約100億円になる。
(名目の前提)薬局は店数1.15倍、1店あたり売上1.30倍。支援は施設数1.5倍、1施設あたり売上1.40倍。本社費用は1.34倍。減価償却は物価で増やさない。借入の借り換え金利は3.5%。
- 地域薬局(調剤薬局チェーン):数量 543(店舗数(店))× 価格 3.09(1店あたり売上(億円))→ 売上 1,677 億円・営業利益 59 億円。数量 1.15倍・単価 1.30倍・営業利益率 3.5%
- 薬局支援・医薬品事業:数量 25,500(サポート施設数(件))× 価格 0.01(1施設あたり売上(億円))→ 売上 317 億円・営業利益 54 億円。数量 1.50倍・単価 1.40倍・営業利益率 17.0%
- 賃貸・給食・その他:数量 50.0(施設・拠点(件・推定))× 価格 1.35(1拠点あたり売上(億円))→ 売上 68 億円・営業利益 2 億円。数量 1.00倍・単価 1.34倍・営業利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.2% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.08 倍、時価総額 389 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社が掲げる第7次中期計画(2030年3月期に営業利益50億円)を超え、2035年のビジョン(営業利益100億円)にも近づく必要がある。薬局の報酬が据え置かれ、支援事業が計画どおり伸び、借入も減らす。三つが重なる確率は低い。同じ領域の強気(7〜12%)の下端に置いた。
やや楽観 22% 薬局は踏みとどまり、支援事業の伸びで計画に近づく 利益 22 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 825 円241 億円
薬局は店数が1.12倍に増え、1店あたり売上は1.26倍になる。調剤報酬の改定は毎回きつく、物価を満額では転嫁できない。
支援事業はサポート施設が1.42倍に増え、売上は1.9倍近くになる。利益率は16%から15.5%に少し下がる。
売上は1,935億円、営業利益は57億円、純利益は22億円。ROEは8.2%で、資本コストをわずかに上回る。
配当性向は35%を保ち、10年で約70億円になる。
(名目の前提)薬局は店数1.12倍、1店あたり売上1.26倍。支援は施設数1.42倍、1施設あたり売上1.33倍。本社費用は1.34倍。減価償却は物価で増やさない。
- 地域薬局(調剤薬局チェーン):数量 529(店舗数(店))× 価格 2.99(1店あたり売上(億円))→ 売上 1,583 億円・営業利益 49 億円。数量 1.12倍・単価 1.26倍・営業利益率 3.1%
- 薬局支援・医薬品事業:数量 24,140(サポート施設数(件))× 価格 0.01(1施設あたり売上(億円))→ 売上 285 億円・営業利益 44 億円。数量 1.42倍・単価 1.33倍・営業利益率 15.5%
- 賃貸・給食・その他:数量 50.0(施設・拠点(件・推定))× 価格 1.35(1拠点あたり売上(億円))→ 売上 68 億円・営業利益 2 億円。数量 1.00倍・単価 1.34倍・営業利益率 2.5%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 241 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年3月期は売上が8%増え、営業利益も5%増えた。薬局支援のサポート件数と医薬品物流が伸びている。この勢いが続き、薬局の減益が止まる筋書きを、強気側の中心に置いた。
中立 38% 営業利益は物価並みに伸びて40億円台。ROEは資本コストに届かない 利益 16 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 589 円172 億円
薬局は店数が1.10倍にとどまる。年間の出店・買収は計20店でも、毎期10〜15店は閉める。1店あたり売上は1.22倍で、物価の1.34倍に届かない。調剤報酬と薬価は国が決め、物価の上昇を満額では転嫁できないためだ。処方箋は減るが、単価が上がる。
支援事業はサポート施設が1.35倍、売上は1.75倍になり、利益率は14%に下がる。
売上は1,837億円、営業利益は43億円、純利益は15.5億円。会社が掲げる2030年3月期の営業利益50億円の手前で、10年では物価並みの伸びにとどまる。
ROEは6%で、資本コストに届かない。配当性向35%で、10年で約50億円になる。
(名目の前提)薬局は店数1.10倍、1店あたり売上1.22倍。支援は施設数1.35倍、1施設あたり売上1.30倍。本社費用は1.34倍。減価償却は物価で増やさない。借入の金利は3.5%。
- 地域薬局(調剤薬局チェーン):数量 519(店舗数(店))× 価格 2.90(1店あたり売上(億円))→ 売上 1,505 億円・営業利益 42 億円。数量 1.10倍・単価 1.22倍・営業利益率 2.8%
- 薬局支援・医薬品事業:数量 22,950(サポート施設数(件))× 価格 0.01(1施設あたり売上(億円))→ 売上 265 億円・営業利益 37 億円。数量 1.35倍・単価 1.30倍・営業利益率 14.0%
- 賃貸・給食・その他:数量 50.0(施設・拠点(件・推定))× 価格 1.35(1拠点あたり売上(億円))→ 売上 68 億円・営業利益 2 億円。数量 1.00倍・単価 1.34倍・営業利益率 2.7%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.1% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 172 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:薬局は処方箋の枚数が減り、報酬も毎回圧縮される。一方、支援事業は着実に伸びる。この二つが釣り合い、営業利益が物価並みに増える筋書きを、中心に置いた。会社の予想(2027年3月期の営業利益30億円)は、報酬改定とデジタル投資で一時的に下がる。
やや悲観 22% 報酬が毎回削られ、薬局の利益が半分になる 利益 5 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 188 円55 億円
薬局は店数が0.95倍に減る。閉店が出店を上回り、1店あたり売上も名目で1.12倍にとどまる。薬剤師の人件費は上がり続け、利益率は2.2%に下がる。
支援事業も、後発薬の製造が供給の問題で伸びず、売上は1.38倍、利益率は11%になる。
売上は1,456億円、営業利益は15億円、純利益は5億円。ROEは2%。
配当性向は保てず、10年で約25億円にとどまる。
(名目の前提)薬局は店数0.95倍、1店あたり売上1.12倍。支援は施設数1.15倍、1施設あたり売上1.20倍。本社費用は1.20倍。減価償却は物価で増やさない。借入の金利は3.5%で、利息が利益を削る。
- 地域薬局(調剤薬局チェーン):数量 448(店舗数(店))× 価格 2.66(1店あたり売上(億円))→ 売上 1,193 億円・営業利益 26 億円。数量 0.95倍・単価 1.12倍・営業利益率 2.2%
- 薬局支援・医薬品事業:数量 19,550(サポート施設数(件))× 価格 0.01(1施設あたり売上(億円))→ 売上 208 億円・営業利益 23 億円。数量 1.15倍・単価 1.20倍・営業利益率 11.0%
- 賃貸・給食・その他:数量 45.0(施設・拠点(件・推定))× 価格 1.21(1拠点あたり売上(億円))→ 売上 54 億円・営業利益 0 億円。数量 0.90倍・単価 1.20倍・営業利益率 0.0%
倍率:ROE は2.2%と k 9% を大きく下回る。PER の上限 1÷k = 12.5 倍の約64%の8.0倍に置いた。利益が薄く、借入が重い筋書きのため。
確率:調剤報酬は2年に一度見直され、薬価は毎年下がる。モール型への減算の動きや、処方箋の枚数の減りもある。2027年3月期の報酬改定だけで約3億円の減益と会社は見る。これが続き、薬局の利益が細る筋書きを、同じ領域の悲観側(20〜25%)の中ほどに置いた。
悲観 10% 薬局が構造的に稼げなくなり、赤字と減損が積み上がる 利益 −30 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 103 円30 億円
報酬の削減で、薬局の営業利益は消える。店数は0.75倍に減り、1店あたり売上は名目でも上がらない。のれん・店舗・サービス付き高齢者向け住宅の減損が出て、自己資本は75億円まで削られる。
支援事業は売上が0.8倍に縮み、利益率は5%。本社費用は1.10倍で、全体の営業利益は25億円の赤字。
売上は1,002億円。純損失は10年の累計で約30億円と置く。
配当は出せず、10年で約5億円にとどまる。
(名目の前提)薬局は店数0.75倍、1店あたり売上1.00倍。支援は施設数0.8倍、1施設あたり売上1.00倍。本社費用は1.10倍。減価償却は物価で増やさない。
- 地域薬局(調剤薬局チェーン):数量 354(店舗数(店))× 価格 2.38(1店あたり売上(億円))→ 売上 841 億円・営業利益 0 億円。数量 0.75倍・単価 1.00倍・営業利益率 0.0%
- 薬局支援・医薬品事業:数量 13,600(サポート施設数(件))× 価格 0.01(1施設あたり売上(億円))→ 売上 121 億円・営業利益 6 億円。数量 0.80倍・単価 1.00倍・営業利益率 5.0%
- 賃貸・給食・その他:数量 40.0(施設・拠点(件・推定))× 価格 1.01(1拠点あたり売上(億円))→ 売上 40 億円・営業利益 0 億円。数量 0.80倍・単価 1.00倍・営業利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力はほぼゼロ。売れる資産の床(floor_assets_oku)をそのまま時価総額に置いた。今の自己資本173億円に対する PBR は約0.17倍。のれんや差入保証金は売りにくく、売掛金の流動化が止まれば借入の返済が先になるため、帳簿の自己資本は価値の床にならない。
確率:報酬の大幅な引き下げ、処方箋の減少、薬剤師の確保難が重なり、薬局の利益が消える。過去にも2020年3月期に赤字を出した。自己資本比率が22%と薄く、借入が重いため、10年の構造的な悲観では床の値が低い。同じ領域の悲観(9〜14%)に合わせた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
地域薬局(調剤薬局チェーン)
472店の地域薬局(モール型を含む)。処方箋を受けて調剤する。薬価と調剤報酬は国が決める。ケアプランセンターとドラッグストア7店も含む。
| 数量店舗数(店) | 価格1店あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 472 | 2.38 | 1,121 | 36 |
| 10 年後 中立 | 519 | 2.90 | 1,505 | 42 |
取り方:2026年3月期末の地域薬局472店。セグメント売上1,271億円から、医薬品ネットワーク・製造販売・物流・システムなどの支援部門を引いた約1,121億円と推定(開示は地域薬局ネットワーク事業を一つにまとめている)。1店あたり約2.4億円。営業利益は、事業全体のセグメント利益60.3億円を、地域薬局36億円と支援部門24億円に分けた推定。地域薬局は2026年3月期に減益だった。
薬局支援・医薬品事業
医薬品ネットワーク(薬局や病医院と医薬品卸の売買を仲介)、後発薬の製造販売(フェルゼンファーマ)、医薬品物流(メディロジネット)、レセコンなどのシステム、債権流動化、LINEのデジタル支援。
| 数量サポート施設数(件) | 価格1施設あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 17,000 | 0.01 | 151 | 24 |
| 10 年後 中立 | 22,950 | 0.01 | 265 | 37 |
取り方:サポートする薬局・病医院は1万7,000件超(会社説明)。売上は、製造販売69億円、物流61億円、残りの手数料・システムなどを足した約151億円と推定。1施設あたり約0.009億円(約90万円)。営業利益は、事業全体のセグメント利益60.3億円から地域薬局の推定を引いた約24億円。会社は医薬品製造販売と物流の利益構成比を4年後に10%へ上げる計画。
賃貸・給食・その他
薬局の立地開発と建物賃貸、医療モール、サービス付き高齢者向け住宅4棟、病院・福祉施設の給食、訪問看護。
| 数量施設・拠点(件・推定) | 価格1拠点あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 50.0 | 1.01 | 50 | 1 |
| 10 年後 中立 | 50.0 | 1.35 | 68 | 2 |
取り方:賃貸・設備関連24.2億円、給食22.9億円、その他3.4億円の合計約50.4億円(販売実績表)。拠点数は開示がなく、50と推定。営業利益は賃貸1.6億円、給食−0.2億円、その他−0.2億円の合計。
リスクと懸念
調剤報酬と薬価の改定
調剤報酬は2年おきに見直され、薬価は毎年下がる。2027年3月期は報酬改定で約3億円の減益になると会社は見る。モール型への減算や、規模の大きい薬局への評価の引き下げは、出店の形そのものに響く。
借入の重さと金利
有利子負債は377億円、自己資本比率は22%。営業利益は支払利息の約7倍にとどまる。借入が中心のため、金利が3.5%まで上がれば、利払いは年約6億円増える。短期借入金も多く、借り換えの条件が悪化すれば資金繰りに響く。
売上債権の流動化の停止
2026年3月期は、後発薬の加算の算定誤りで返戻があり、売上債権の流動化を一部止めた。売掛金が約70億円増え、営業キャッシュフローは34億円の赤字になった。再開が遅れれば、借入が高止まりする。
薬剤師の確保と人件費
薬局には薬剤師の配置義務がある。確保できなければ、出店も営業も止まる。人件費の上昇を報酬で転嫁しにくく、薬局の利益率を押し下げる。
M&Aとのれんの減損
買収で積んだのれん、店舗、サービス付き高齢者向け住宅は、減損のリスクがある。2026年3月期は9店を買収した。計画に届かない場合は、純利益が大きく削られる。
後発薬と製造の供給
後発薬の製造販売は、製造委託先の事情で供給が止まる、製品を回収するなどのリスクがある。売上目標100億円は1年遅れ。業界では出荷調整が続いている。
個人情報とデジタル投資
処方箋やカルテなど、機微な個人情報を扱う。漏えいすれば賠償や行政処分がある。デジタル投資は4年で約30億円で、回収の不確実性がある。
今後の分かれ目
- 売上債権の流動化が再開し、営業キャッシュフローが黒字に戻る
- 借入の重さが解ける合図だ。やや強気の筋書きに寄る。
- 2027年3月期の営業利益が会社予想の30億円を上回る
- 報酬改定の影響を支援事業が吸収している合図で、強気側に寄る。
- 医薬品製造販売と物流の営業利益が計画どおり伸びる
- 利益の質が上がる合図だ。営業利益率が3%を超えるかが分かれ目になる。
- 次の調剤報酬改定で、モール型や大手への減算が強まる
- 薬局の利益が細る合図で、やや悲観に寄る。
- 借入が増え続け、営業キャッシュフローの赤字が続く
- 資金繰りが締まる合図で、悲観側に寄る。
- のれんや店舗の減損が出る
- 買収の質に疑いが出る合図だ。やや悲観に寄る。
見ておくもの
- 地域薬局の既存店の処方箋枚数と1枚あたりの技術料
- 営業キャッシュフローと売上債権の流動化の再開
- 医薬品製造販売・物流の売上と利益
- 調剤報酬の改定の内容(モール型への減算)
- 純有利子負債と金利
- 新規出店数とM&A、閉店数
倍率と資本コストの決め方
店数と1店あたり売上、サポート施設数と1施設あたり売上から利益を積み、倍率は式で置いた。今の市場の評価(PBR 0.8倍・PER 14倍前後)には寄せていない。k は基本7.5%に quality 0.5%(循環−0.5・値決め+0.25・借金+0.5・寿命+0.25)を足した8.0%で、同じ領域(ドラッグストア・調剤)の7〜7.75%より借入の分だけ高い。ROEが k を下回る筋書きは、PER の上限 1÷k = 12.5 倍の約6〜8割に置いた。堀は弱いと見て、強気側でも上限の約86%にとどめた。薬局の家賃は営業費用に入っており、新リース会計(2028年3月期)の影響は、借りて営む資産の負債が増える分、利払い前の指標が変わるのみ。AIは、調剤の機械化とネット薬局の両面で報酬と数量に効くが、免許業務で値段が公定のため、数量は大きく減らさず、k の寿命に+0.25を入れた。減価償却は物価で増やさない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→12.08 倍・やや楽観 PER 10.5→11.11 倍・中立 PER 9→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.5% = 8.0%。同業のクオール(7.75%)やほくやく・竹山(7.5%)より借入が重い分だけ高く置いた。報酬改定のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 9.00%。