結論
ハブは、英国風パブ「HUB」と、少し上の年齢層向けの「82」を 110 店展開する会社だ。筆者の結論は「割高」である。2026 年 3 月からの半年は営業利益が 6 割増え、勢いは確かだ。ただ、その利益を 10 年続けても、今の値段の半分に届かない。
いま稼ぎが伸びているのは、駅や空港、商業施設に入る出店と、客数の回復による。2026 年 2 月期の営業利益は 5.3 億円、売上は 113 億円。会社の中期計画は 2027 年 2 月期に営業利益 7.1 億円、140 店だ。純利益 6 億円は、繰延税金資産の計上という一回限りの利益を含み、実力は 4 億円弱とみる。
外食の宿命として、家賃と人件費は毎年上がり、利益率は 5%前後で頭打ちになる。大株主の MIXI は 2 割を持ち、ロイヤルホールディングスも 15%を持つ。提携の中身が数字になるまでは、評価は慎重にならざるをえない。軽い設備で店を増やせる点は評価するが、それだけで今の値段は正当化できない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社を長く持ちたいか。筆者の答えは「事業は嫌いではない。ただ、値段が高すぎる」だ。
パブは、なくならない業態だ。ビールを飲む習慣は 10 年後も続く。ブランドも古い。軽い設備で出店でき、失敗しても傷が浅い。経営は借入を減らし、堅実に歩んでいる。ここは評価できる。
一方で、利益率は薄い。売上 100 に対して営業利益は 5 しか残らない。家賃と人件費が毎年上がるなか、これを維持するだけで精一杯だ。ROE が 10% を超えて続くかは、新店の成功率にかかっている。
安全域でも見劣りする。純現金は時価総額の 1 割ほどで、家賃の約束で打ち消される。会社の 3 年計画が全部達成されても、10 年後の価値は今の時価総額の半分に届かない。割安な外食株は他にあると筆者は見る。勢いに乗る時期ほど、冷静に数字を置く必要がある。
何で稼ぐ会社か
ハブは、英国のパブを日本に持ち込んだ会社だ。看板は「HUB」で、ビールやカクテルを立ち飲みや気軽な席で楽しむ店。20〜30 代が中心だ。もう一つの「82」は 30〜50 代向けで、少し落ち着いた雰囲気だ。
すべて直営で、2026 年 2 月末に 110 店。東京都に 61 店が集まり、売上の 82%は東日本だ。西日本は近畿と九州で 18%。これから「SmasH47」という方針で、駅、空港、商業施設の中への出店を増やす。
売上の最大の柱はドリンクだ。仕入れ高は年 34 億円で、アルコールが 19 億円、食材が 15 億円。アルコールは粗利が高いが、客単価は低い。
従業員は正社員 312 人と、アルバイト 506 人。人件費は店の費用の最大の項目だ。店は賃借で、差し入れた保証金は 10.7 億円。設備投資は年 5 億円、償却は 3 億円。
新店は駅の人通りに左右される。成功すれば立ち上がりが早く、失敗すれば閉めればよいという軽さがある。ただし閉店には保証金の回収や内装の損失が伴い、完全に軽いわけではない。
優良さと弱いところ
強みは、若者に使われる気軽さと、全国に広がる出店網だ。「HUB で飲む」という行動は定着し、ブランドは 40 年以上の歴史がある。駅や球場、空港など、他社が入りにくい場所への出店で独自の立地を作ってきた。
ただし堀、つまり他社がまねできない強みと呼べるほど深くはない。居酒屋やバル、立ち飲み店との競争は激しく、客は店の雰囲気で簡単に移る。価格は自社で決めにくい。
収益性は並みだ。営業利益率は 2018 年 2 月期に 7%あったが、コロナ禍で赤字になり、直近は 5%まで戻った。ROE は 19%と高く見えるが、これは繰延税金資産の計上による一回限りの利益のせいだ。自己資本比率は 51%、借入より現金が多い。
筆者は、ブランドは地味に強いと見る。ただ、薄い利益率と家賃の重さが、会社の価値の頭を押さえる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
居酒屋・パブ業界は、コロナ禍で最も打撃を受けた業態だ。2021 年 2 月期にハブの売上は 38 億円と前の期の 3 割まで落ち、営業利益は 16 億円の赤字になった。
いまは回復した。インバウンドの増加、歓送迎会の復活、駅ナカの人流の回復が追い風だ。2026 年 3〜8 月の売上は前年同期比 12%増、営業利益は 66%増。会社は通期計画を据え置いたが、上期だけで年間計画の 9 割近い営業利益を稼ぎ、下期の予想は保守的に見える。
構造的な課題は 3 つある。若者の飲酒量の減少、人手不足による賃上げ、そして家賃と光熱費の上昇だ。外食全体で時給は年 3〜5%上がり、パブも例外ではない。
一方で、ビールやカクテルの単価は引き上げやすい。パブの客は 1 回の支払いが小さく、値上げへの抵抗が少ない。ハブは新店で客数を増やし、既存店は値上げで補う形だ。競合は、ワタミ、鳥貴族などの居酒屋チェーンと、大手の立ち飲み・バルチェーン。ビールのメーカー系の直営パブとも競う。駅ナカという立地を押さえた点が、ハブ独自の差になっている。
資本政策と M&A
資本の使い方は堅実で、株主への配当は利益に連動する。
配当方針は配当性向 30%が目安で、2026 年 2 月期は特別配当を含めて総額 1.4 億円。借入は 13 億円まで減らし、現金は 26 億円。投資は新店が中心で、年 5 億円ほどだ。大きな買収の予定はない。
株主優待は、毎年 2 月末の 100 株以上の株主に、店舗で使えるギフトマネーを贈る。100 株で 2 千円分、1,000 株では 2 万円分。年間の費用は、全株主が最低額を受け取っても 1 億円に届かず、実際は 3 千万円前後と推定する。配当と合わせた総還元は、純利益の 3 割強にとどまる。
大株主は MIXI(20%)で、2024 年に別の投資組合の解散で筆頭株主になった。ロイヤルホールディングスも 15%を持つ。業務提携の中身は開示が薄い。完全子会社化に動く可能性は排除できないが、発表はない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
勢いは本物だ。2026 年 3〜8 月の売上は 12%増、営業利益は 66%増で、会社の通期計画をすでに 9 割近く達成した。新店の駅ナカ・空港の出店が当たり、既存店の客数も伸びている。
会社は 2027 年 2 月期に営業利益 7.1 億円、140 店を掲げ、創業 50 年の 2030 年に 200 店を目指す。軽い設備で出店でき、1 店あたりの投資は小さい。店数が 200 に近づけば、売上は今の 2 倍に近づく。
借入は減り、現金が上回る。配当は純利益の 3 割を払い、優待もある。MIXI の筆頭株主入りで、イベントや会員獲得でも相乗効果が見込める。ロイヤルホールディングスという外食の大手が株主にいる点も、仕入れや出店情報で支えになる。営業利益率が 7%に戻り、200 店に届けば、利益は今の 3 倍になる。居酒屋業界でも上位の利益率を保てば、10 年先でも成長が続く可能性がある。1 店あたりの投資が小さいぶん、増えた利益は現金として残りやすい。
慎重な見方
利益率が薄すぎる。営業利益 5.3 億円は売上の 4.7%で、売上が 5%落ちるだけで利益は半分になる。家賃は固定で、人件費は毎年 3〜5%上がる。コロナ禍の 2021 年 2 月期に営業利益が 16 億円の赤字に落ちたのが、この構造のもろさの証拠だ。
2026 年 2 月期の純利益 6 億円は、繰延税金資産の計上という一回限りの利益を含む。実力は 4 億円弱で、会社の来期予想は純利益 3.3 億円だ。上期の好調も、下期の会社計画は大幅減益を前提としている。
若者の飲酒離れ、人手不足、家賃の上昇という構造の逆風が続く。店数が 140 から 200 に増えるには、立地の質が落ちる。成長を急げば、新店の失敗が積み上がる。MIXI などの大株主の提携も、利益に結びついた実績がまだ見えない。今の値段は、この成長が全部成功することを織り込んでいる。人手不足で店長候補が育たなければ、出店計画そのものが遅れる。成長が止まった時、株価の根拠は何も残らない。
どちらに重みを置いたか
やや慎重な見方が強い。勢いは確かだが、利益率が薄く、家賃という固定の約束がある。計画の達成は難しく、達成しても今の値段に届かない。中立に 36%、やや悲観に 26%を寄せ、楽観は 7%に抑えた。上期の好調に裏づけがあるので、やや楽観は 19%を残した。悲観は、家賃という固定費の重さを踏まえ、1 割強に置いた。強気の根拠である上期の好調は、通期の会社計画にまだ反映されていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 730 円92 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 122 円15 億円)。 今の値に割り戻すと 430 円54 億円、今との差 −51.4%、 期待の年率 −0.4%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,658 円209 億円 | 278 円35 億円 | +118.8% | +8.1% | 136 円17 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,240 円156 億円 | 191 円24 億円 | +61.7% | +4.9% | 272 円34 億円 |
| 中立 | 36% | 839 円106 億円 | 143 円18 億円 | +11.0% | +1.0% | 353 円44 億円 |
| やや悲観 | 26% | 231 円29 億円 | 48 円6 億円 | −68.5% | −10.9% | 73 円9 億円 |
| 悲観 | 12% | 135 円17 億円 | 16 円2 億円 | −82.9% | −16.2% | 18 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 730 円92 億円 | 122 円15 億円 | −3.8% | −0.4% | 852 円107 億円 |
今の株価時価総額 885 円111 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 200 店に近づき、利益率が 7%に戻る 利益 12 億円 · PER 17.9 倍 · 株価時価総額 1,658 円209 億円
駅、空港、商業施設への出店が当たり続け、店舗数は 10 年で 160 に増える。1 店あたりの客数も落ちず、値上げは物価をやや上回って通る。営業利益率はコロナ前の山 7%まで戻り、営業利益は 16 億円になる。
MIXI との連携で会員向けの催しが増え、客数の下支えになる。既存店は人口減の逆風を、インバウンドと値上げで補う。借入はなくなり、配当と優待は拡大する。
ここまでそろうのは強気の側の最上位である。外食が 10 年にわたって出店を成功させ続けるのは、実績が乏しい。立地の質が落ちる前に、どこかで頭打ちになる可能性が高い。
- 英国風パブ(HUB・82)の直営店:数量 160(期末の店舗数(店舗換算。客数の増減は価格側でなく数量側に入れる))× 価格 1.44(1 店あたり年間売上(億円)。客単価の上昇を含む)→ 売上 231 億円・営業利益 16 億円。店舗数 160、1 店あたり売上 1.40 倍、営業利益率 7.0%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.4% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.8 倍。全体の PER 17.85 倍、時価総額 205 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:創業 50 年の 200 店構想に近づき、駅ナカの出店が当たり続ける形。出店の質が保たれることが条件で、外食では稀。
やや楽観 19% 140 店に届き、利益率が 6%台で安定する 利益 9 億円 · PER 17.0 倍 · 株価時価総額 1,240 円156 億円
中期計画どおり 140 店台まで出店し、客数は人口減で少し細るが、値上げが物価並みに通る。営業利益率は 6%に乗り、営業利益は 12 億円になる。会社の中期計画をやや上回る水準だ。新店は駅ナカと空港で、立地の質を保てる範囲にとどまる。
既存店は新店の分を除けば横ばい、新店の立ち上がりは安定する。配当と優待は拡大し、総還元は純利益の 3 割強を保つ。
外食の人件費は物価を上回って上がるが、値上げで吸収できる。借入はなくなり、現金が積み上がる。株主還元の拡大も期待できる。新店の質が保たれ、客数の逆風を値上げで補える形だ。
- 英国風パブ(HUB・82)の直営店:数量 143(期末の店舗数(店舗換算。客数の増減は価格側でなく数量側に入れる))× 価格 1.41(1 店あたり年間売上(億円)。客単価の上昇を含む)→ 売上 202 億円・営業利益 12 億円。店舗数換算 143、1 店あたり売上 1.37 倍、営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.0 倍。全体の PER 16.99 倍、時価総額 150 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:上期の営業利益が通期計画の 9 割近くに達し、中期計画の 140 店が現実味を帯びる。実績のある勢いが根拠。
中立 36% 出店は続くが、家賃と賃上げで利益率は 5%どまり 利益 6 億円 · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 839 円106 億円
出店は続き、店舗数は 130 に増える。ただ、1 店あたりの客数は人口減と新店の薄さで少し細り、店舗換算では 126 店分にとどまる。値上げは物価並みの 1.34 倍が通る。
営業利益率は 5%。会社の中期計画(4.9%)と同水準で、コロナ前の 7%には戻らない。人件費と家賃の上昇が値上げを食う形だ。営業利益は 8.7 億円になる。
償却は取得原価のままだが、新店の改装と設備の更新は建築費の上昇で膨らむ。配当は性向 3 割ほど、優待は小さく続く。現金は少しずつ積み上がる。会社の計画の延長線上にあり、強気にも弱気にも寄せない。
- 英国風パブ(HUB・82)の直営店:数量 126(期末の店舗数(店舗換算。客数の増減は価格側でなく数量側に入れる))× 価格 1.38(1 店あたり年間売上(億円)。客単価の上昇を含む)→ 売上 174 億円・営業利益 9 億円。店舗数換算 126(130 店 × 客数 0.97)、1 店あたり売上 1.34 倍、営業利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.4% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍。全体の PER 15.52 倍、時価総額 98 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:勢いは本物だが、下期の会社計画は保守的で、通期でも営業利益率は 5%前後。人手不足と家賃の上昇が毎年続くなか、利益率の改善は限られる。
やや悲観 26% 賃上げが先行し、利益率は 2%台に落ちる 利益 3 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 231 円29 億円
出店は 115 店で止まり、客数は若者の飲酒離れで細る。店舗換算は 108 店分に落ちる。ノンアルコールの比率が上がり、客単価も伸びにくい。値上げは客離れを恐れて 1.28 倍にとどまる。
人件費と家賃は物価以上に上がり、営業利益率は 2.5%まで下がる。営業利益は 3.6 億円。配当は 6 億円にとどまり、出店は止まる。
新リース会計基準でリース負債が載ると、見かけの財務の強さは大きく削られる。不採算店の閉鎖と減損で、自己資本の積み上がりも鈍る。出店の速度を落とし、既存店の改装に回す判断も迫られる。
- 英国風パブ(HUB・82)の直営店:数量 108(期末の店舗数(店舗換算。客数の増減は価格側でなく数量側に入れる))× 価格 1.32(1 店あたり年間売上(億円)。客単価の上昇を含む)→ 売上 143 億円・営業利益 4 億円。店舗数換算 108(115 店 × 客数 0.94)、1 店あたり売上 1.28 倍、営業利益率 2.5%
倍率:事業の純利益 2.6 億円、自己資本 60 億円で ROE 4.3%。k 7.75%を下回るので上限は 1÷k の 11.4 倍。利益が薄く、固定の家賃を抱える筋書きで、上限の 7 割(8.0 倍)に置く。余った現金は分けていない。
確率:人件費と家賃が値上げを上回って上がる形は、外食全体で実績がある。コロナ禍の赤字の記憶も新しい。
悲観 12% 飲酒離れと固定費で赤字に戻り、店を畳む 利益 −2 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 135 円17 億円
人流の減少や賃金の急騰で、売上が 2 割ほど落ちる。家賃は固定で、営業利益は赤字に沈む。不採算店を閉め、店舗数は 90 まで減る。コロナ禍と同じように、駅ナカの店ほど人流の影響を受けやすい。
閉店の費用と保証金の回収の遅れで、現金は細る。配当は止まり、優待も廃止される。従業員の流出も進み、残る店の運営水準も下がる。借入の返済が重荷になり、新店はほとんど出せない。
値打ちは稼ぐ力ではなく、純現金と回収できる保証金で測る。10 年後に事業は残るが、小さな会社になっている。ブランドは残るが、成長の物語は終わる。
- 英国風パブ(HUB・82)の直営店:数量 80.0(期末の店舗数(店舗換算。客数の増減は価格側でなく数量側に入れる))× 価格 1.26(1 店あたり年間売上(億円)。客単価の上昇を含む)→ 売上 101 億円・営業利益 −2 億円。店舗数換算 80(90 店 × 客数 0.89)、1 店あたり売上 1.22 倍、営業利益率 -2%
倍率:赤字で稼ぐ力はなく、値打ちは純現金と回収できる保証金の税後。今の自己資本 34 億円への PBR 0.5 倍(約 17 億円)で見る。床の資産の内訳は floor_assets_why に書く。
確率:人流の急減か、人手不足による営業時間の短縮で、固定の家賃が利益を飲み込む形。コロナ禍で実際に起きた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
英国風パブ(HUB・82)の直営店
駅前・商業施設・空港などで英国風パブを直営し、ドリンクと軽食を売る。単一セグメント。
| 数量期末の店舗数(店舗換算。客数の増減は価格側でなく数量側に入れる) | 価格1 店あたり年間売上(億円)。客単価の上昇を含む | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 110 | 1.03 | 113 | 5 |
| 10 年後 中立 | 126 | 1.38 | 174 | 9 |
取り方:有価証券報告書の飲食売上 113.35 億円を、2026 年 2 月末の店舗数 110 で割った。直営のみ。営業利益は 5.34 億円。店別の売上は開示がなく、既存店売上の増減率も開示がない。
リスクと懸念
家賃と人件費の上昇
全店が賃借で、差入保証金は 10.7 億円。家賃は売上の 1 割前後と推定でき、年 10 億円を超える。時給は年 3〜5%上がり、売上が落ちても家賃は減らない。2028 年 2 月期から新リース会計基準が適用され、リース負債が貸借対照表に載ると、純現金の見かけが変わる。
一回限りの利益の剥落
2026 年 2 月期の純利益 6.1 億円は、繰延税金資産の計上による利益を含む。来期の会社予想は 3.3 億円で、実力は 4 億円弱。純利益だけで今の値段を判断すると、割安に見えやすい。
新店の失敗
駅ナカや商業施設の出店は、人通りの変化に弱い。2030 年に 200 店を目指すなら、立地の質が落ち、不採算店の閉鎖費用が増える。出店を急ぐと、利益率を押し下げる。
若者の飲酒離れ
20〜30 代の飲酒量は長期で減っており、パブの主要顧客層が縮む。ノンアルコールや軽食への客単価の移行が進めば、アルコール粗利の高さが失われる。
大株主の動向
MIXI が 20%、ロイヤルホールディングスが 15%を持つ。提携の中身が不明なまま、持株の売却があれば需給が崩れる。逆に完全子会社化の動きがあれば、価格に上乗せが付く。発表はなく、筋書きの主役にはしない。
今後の分かれ目
- 2027 年 2 月期の営業利益が 8 億円を超えたら
- 上期の勢いが下期まで続いた証拠で、やや楽観の確率を上げる。
- 既存店の客数が前年を下回り、営業利益率が 4%を割ったら
- 回復が一服した形で、やや悲観の確率を上げる。
- 新規出店が 20 店を超える年が出たら
- 成長を取りにいく局面で、立地の質と閉店費用を見極める。
- MIXI などが公開買付けを発表したら
- 価格に上乗せが付く。分析の対象から外れる。
- 株主優待の縮小や廃止が発表されたら
- 総還元が細り、株主の取り分の見方を下げる。
見ておくもの
- 月次の既存店売上と客数
- 営業利益率と人件費率
- 年間の新規出店数と閉店数
- 新リース会計基準適用後のリース負債
- MIXI・ロイヤルホールディングスの持株比率
倍率と資本コストの決め方
今の株価からは置かず、店舗数 × 1 店あたり売上で積んだ。新店の客数と家賃は開示が薄く、売上の伸びと利益率は会社の中期計画と過去の実績から推定した。倍率は事業の ROE と資本コストから正当化 PER を出し、中立は上限の 8 割に置いた。株主優待の費用は 1 億円未満で、続く見込みを payout に小さく加えた。新リース会計基準で店の家賃が使用権資産とリース負債に変わるが、10 年後の数字は今と同じ家賃を費用に入れた形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13→17.85 倍・やや楽観 PER 12→16.99 倍・中立 PER 11.4→15.52 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。