結論
アシードホールディングスは、自動販売機で飲料を売る会社と、飲料を作る工場を持つ会社の組み合わせだ。売上は約 254 億円で、自販機運営が 5 割強、飲料製造が 4 割強を占める。利益を稼ぐのは、売上で劣る製造のほうだ。
筆者の結論は、今の値段はやや割高、というものだ。2026 年 3 月期は営業利益が 4 割増の 10.7 億円で、営業利益率は 4.2% と過去最高になった。ただ、利益の 6 割強を出す製造の利益率 9.3% が続く保証はなく、自販機は台数の減少で縮む。
追い風は、ソフトパウチ飲料や茶葉の伸びと、自販機運営会社の買収だ。2026 年 4 月には日東ベンディング中国を子会社にした。
逆風は、キャッシュレスと無人店舗に押される自販機と、メーカーの値上げによる販売数の減少だ。筆者は、10 年の中立を営業利益 14.5 億円、純利益 9 億円と見る。純負債は 61 億円あり、自己資本利益率は資本コストに届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「利益の柱は製造、足を引っ張るのは自販機」だ。
受託製造の利益率は 9.3% と高いが、受託先の値下げ要求を受けやすく、堀は深くない。自販機は薄利で、台数の減少が止まらない。
自己資本利益率は 10 年の中央値で 9% だが、資本コストを超えるには、製造が伸び続ける必要がある。純負債は自己資本の 0.76 倍あり、金利が上がると利払いが増える。
買収で規模を取る資本配分は、価格を間違えれば価値を壊す。持分法で出資したベトナムの会社も、成果が見えるには時間がかかる。経営の資本の使い方を見極めたい。
筆者は、10 年の中立の価値は今の時価総額の 9 割前後と見る。払う値段に安全域があるかを問えば、今の値段は足元の過去最高益をそのまま織り込んでいて、余裕は小さい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は二つある。一つは、自動販売機に飲料を詰めて売る運営の事業で、売上の 54%。もう一つは、缶コーヒーや低アルコール飲料、ソフトパウチ飲料、茶葉を作る製造の事業で、売上の 43% だ。
自販機運営は、アシード、いいじまなどが担う。売上は 139 億円だが利益は 2.7 億円で、利益率は 2% にとどまる。設置の場所代、機械の償却、補充の人件費が重い。
飲料製造は、アシードビバレッジプラス、アシードブリュー、静岡ローストシステムなどが担う。売上は 112 億円(内部売上を含む)で利益は 10.4 億円、利益率は 9.3%。他社ブランドの受託生産が中心で、低アルコールの缶飲料やソフトパウチなど成長する品目を抱える。工場は静岡などにあり、茶葉の焙煎までを自社でこなす。
残りは、賃貸の不動産運用が売上 3.9 億円で利益 2.2 億円、システム開発などのその他が小さい。
ベトナムの会社に出資して持分法の関連会社にするなど、海外にも手を広げ始めた。従業員は連結で数百人規模で、工場は静岡などにある。
優良さと弱いところ
優良さは、製造の稼ぐ力と、自販機の弱さの二面でできている。
強みは、製造で受託の飲料を作る設備と技術だ。缶コーヒー、低アルコール飲料、ソフトパウチなどを広く作れるため、顧客のブランドの需要を取り込みやすい。製造の利益率は 9.3% と、受託としては高い。
弱みは三つある。一つは自販機で、利益率は 2%。メーカーの値上げと節約志向で販売本数が減り、台数も減る。二つは顧客の集中で、受託先の値下げ要求を受けやすい。三つは借入で、純負債は自己資本の 0.76 倍ある。買収で規模を取る一方、借入が膨らむのが気がかりだ。
経営は配当性向を 3 割程度に置き、増配の方針を示す。M&A は自販機運営の会社を買う動きが目立ち、規模を取りに行く。
不動産運用は小さいが、安定した利益を足す。経営者の資本配分は、買収と配当のバランスで評価が分かれる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の飲料市場は、人口の減少で数量が緩やかに細る成熟市場だ。
自動販売機の台数は長く減り続けている。キャッシュレス化、コンビニや無人店舗の増加、飲料メーカーの値上げによる販売本数の減少が重なる。自販機は場所代と補充の人件費が重く、運営会社の利益率は薄い。これを埋めるため、運営会社は買収で規模を取りに行く。
飲料製造は、メーカーが自社の設備を絞り、外部の受託へ出す流れに支えられる。低アルコール飲料、ソフトパウチ、茶葉は伸びる品目だが、競合の受託メーカーも多い。伊藤園やサントリー、コカ・コーラの自社工場、地域の受託メーカーと価格で競う。外食や小売のプライベートブランドの需要は、価格の安さで受託先を選ぶ傾向が強い。
10 年を通じて、数量は人口の減少で自販機が細り、製造は品目の入れ替えで緩やかに伸びる。価格は物価に連れて上がるが、受託先の値下げ要求で製造の価格は物価に届きにくい。人件費と物流費は物価で上がる。業界の再編は今後も続く。自販機の運営は、場所の確保をめぐる競争もあり、設置先への手数料が上がる圧力がある。
資本政策と M&A
資本政策の軸は、配当性向 3 割程度の増配と、M&A による規模の拡大だ。
年間配当は 2026 年 3 月期が総額 2.7 億円ほどで、配当性向は 29.8%。2027 年 3 月期は性向 29.6% で増配を予想する。自社株買いの実績は目立たない。
2026 年 4 月に日東ベンディング中国を子会社にし、ベトナムの会社を持分法の関連会社にした。2023 年には静岡ローストシステムなどを子会社にしている。買収で借入が増え、純負債は 61 億円ある。
株主優待は、100 株以上でグループの商品やクオカードなどを選べる。費用は年 0.7 億円ほどと推定する。
自販機の更新と買収で現金は細り、余った現金は無い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
受託製造は、飲料メーカーの外部委託の流れに乗って伸びる。ソフトパウチ飲料の生産は前期比 14% 増、茶葉は 35% 増で、成長品目の比率が上がっている。利益率は 9.3% と受託としては高い。
自販機運営は、買収で規模を取りながら、不採算の台を整理して利益率を上げている。2026 年 4 月に日東ベンディング中国を子会社にし、規模の経済が効き始めた。
営業利益は前期 40% 増で、2027 年 3 月期の第 1 四半期も 56% 増と好調だ。会社は配当性向 3 割で増配を続ける方針で、2027 年 3 月期の配当も増える予想だ。
ベトナムへの出資で、海外の飲料市場にも足場ができた。人口の増える市場で、日本の製造技術を輸出できる。人口の増える市場での製造・販売が、新しい数量を生む。
製造の受託先が増え、工場の稼働率が上がれば、利益率はさらに上がる。M&A で自販機の台数をまとめれば、補充の効率も上がる。
慎重な見方
自販機が縮む中で、利益を製造に頼りすぎている。自販機の利益率は 2% で、台数の減少、キャッシュレス化、メーカーの値上げによる販売本数の減少で、売上が減る方向だ。
製造の利益率 9.3% は、受託先との価格交渉に左右される。顧客の飲料メーカーが値下げを求めたり、自社の設備に戻したりすれば、利益は急に細る。工場は設備の更新に多額の投資が要り、稼働率が下がると固定費が重くなる。競合の受託メーカーも多い。
純負債は 61 億円で、自己資本の 0.76 倍。買収を続ければ借入が増える。借り換えのたびに金利が上がると、利払いが利益を食う。
営業利益率 4.2% は過去最高で、12 年の中央値は 2% 台にとどまる。受託製造の利益率が一度崩れると、全体の利益が一気に減る。足元の好調を 10 年の姿に持ち込むのは危うい。
経常利益が営業利益を 3.5 億円上回った前期は、営業外の一時的な収益を含む可能性がある。受託製造は顧客の都合で発注が動き、売上の見通しが立ちにくい。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分は、製造の成長と買収に支えられ、足元の数字が裏づける。慎重な言い分は、自販機の縮み、受託先の価格交渉力、借入に支えられる。
製造の利益率は高いが堀は深くない。中立は営業利益 14.5 億円にとどまり、自己資本利益率が資本コストに届かない。悲観の確率を 3 割台に置き、自販機の構造的な縮みを織り込んだ。
結論は、今の値段はやや割高、というものだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 866 円107 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 243 円30 億円)。 今の値に割り戻すと 534 円66 億円、今との差 −39.1%、 期待の年率 +2.4%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,847 円228 億円 | 372 円46 億円 | +153.0% | +9.7% | 178 円22 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,288 円159 億円 | 324 円40 億円 | +83.7% | +6.3% | 354 円44 億円 |
| 中立 | 35% | 958 円118 億円 | 275 円34 億円 | +40.6% | +3.5% | 432 円53 億円 |
| やや悲観 | 23% | 339 円42 億円 | 162 円20 億円 | −42.9% | −5.4% | 115 円14 億円 |
| 悲観 | 12% | 178 円22 億円 | 69 円9 億円 | −71.9% | −11.9% | 30 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 866 円107 億円 | 243 円30 億円 | +26.4% | +2.4% | 1,109 円137 億円 |
今の株価時価総額 877 円108 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:受託製造が伸び、営業利益は 25 億円 利益 17 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 1,847 円228 億円
飲料製造は、ソフトパウチや茶葉の需要と新しい受託先、買収で規模が実質で 1.6 倍になる。価格は物価に連れて 1.34 倍に上がる。利益率は 10% で、足元の 9.3% を超えるのは、工場の稼働率が上がるためだ。
自販機は台数が減り、規模は 0.95 倍にとどまるが、不採算の台を整理して利益率は 3% に上がる。
売上は 428 億円、営業利益は 25 億円、純利益は 17 億円。配当性向は 3 割を保つ。
それでも、メーカーの値上げや節約志向で自販機の数は減る方向で、成長の主役は製造に偏る。買収を続ける資金は、借入と利益でまかなう。
- 自販機運営(リテイル):数量 132(自販機の販売規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 177 億円・営業利益 5 億円。規模 0.95 倍、価格 1.34 倍
- 飲料製造:数量 179(製造・販売の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 240 億円・営業利益 24 億円。規模 1.60 倍、価格 1.34 倍
- 不動産運用:数量 3.9(賃貸の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.20(賃料の指数(今 = 1.0))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。規模 1.00 倍、価格 1.20 倍
- その他:数量 4.6(事業規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。規模 1.00 倍、価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.2% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.61 倍、時価総額 217 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受託の飲料製造が新しい顧客を取り、買収も加わって規模が 1.6 倍になる姿。自販機は縮むので 1 割に届かない 8% に置いた。
やや楽観 22% やや楽観:製造が伸び、営業利益は 19 億円 利益 13 億円 · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 1,288 円159 億円
飲料製造は、規模が実質で 1.4 倍に増える。価格は 1.34 倍。利益率は 9% で、足元と同じ水準を保つ。
自販機は規模が 0.9 倍に縮み、利益率は 2.5%。キャッシュレス化と無人店舗の増加で、台の売上が細る。その分を、買収による台数の積み増しで補う。
売上は 391 億円、営業利益は 19 億円、純利益は 13 億円。配当性向は 3 割を保つ。
不動産運用は賃料が緩やかに上がり、安定した利益を足す。製造の稼働率が上がり、固定費の負担が軽くなる効果も出る。買収で自販機の台数をまとめる動きは続き、補充の効率が上がる。
- 自販機運営(リテイル):数量 125(自販機の販売規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 168 億円・営業利益 4 億円。規模 0.90 倍、価格 1.34 倍
- 飲料製造:数量 157(製造・販売の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 210 億円・営業利益 19 億円。規模 1.40 倍、価格 1.34 倍
- 不動産運用:数量 3.9(賃貸の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.20(賃料の指数(今 = 1.0))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。規模 1.00 倍、価格 1.20 倍
- その他:数量 4.6(事業規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。規模 1.00 倍、価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.7 倍。全体の PER 11.67 倍、時価総額 148 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受託製造が堅調に伸びるが、自販機の縮みで全体の伸びは物価を少し上回る姿。
中立 35% 中立:製造が伸びて自販機が縮み、営業利益は 14.5 億円 利益 9 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 958 円118 億円
飲料製造は、規模が実質で 1.2 倍に増える。価格は 1.34 倍に上がる。受託先の値下げ要求があり、利益率は 8.5% と足元の 9.3% より少し下げる。
自販機は規模が実質で 0.85 倍に縮む。台数の減少が主因で、価格は 1.34 倍に上がっても売上は伸びず、利益率は 2% にとどまる。償却は設備の取得時の値段のままだが、更新の台は新しい値段で買うため、償却が増える。
本社費は物価で 1.34 倍に増え、7 億円ほどかかる。売上は 349 億円、営業利益は 14.5 億円、純利益は 9 億円。借入が借り換えで 3.5% に上がり、利払いが年 2 億円ほど増える。
配当性向は 3 割で、現金は自販機の更新とM&Aに回る。
- 自販機運営(リテイル):数量 118(自販機の販売規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 158 億円・営業利益 3 億円。規模 0.85 倍、価格 1.34 倍
- 飲料製造:数量 134(製造・販売の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 180 億円・営業利益 15 億円。規模 1.20 倍、価格 1.34 倍
- 不動産運用:数量 3.9(賃貸の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.20(賃料の指数(今 = 1.0))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。規模 1.00 倍、価格 1.20 倍
- その他:数量 4.6(事業規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。規模 1.00 倍、価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.4% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 105 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:製造の成長と自販機の縮みが打ち消しあい、利益率は足元より少し下がる形。最も起こりやすい形として最も厚く置いた。
やや悲観 23% やや悲観:自販機の縮みが速く、営業利益は 6 億円 利益 3 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 339 円42 億円
自販機の規模が実質で 0.75 倍に縮む。メーカーの値上げが続き、価格は 1.25 倍にとどまる。台の回転が落ち、利益率は 1% に下がる。
飲料製造は規模が 1.0 倍で、受託先の値下げ要求で利益率が 6.5% に下がる。
売上は 280 億円、営業利益は 6.7 億円、純利益は 3 億円。借入の利払いが利益を食い、配当性向は 3 割を保てない。
自販機の更新費用は建築費ではなく機械の値上げで膨らみ、現金は細る。不採算の台と拠点の整理が進む。受託製造は新しい顧客を取りにくくなり、設備の稼働率が下がる。
- 自販機運営(リテイル):数量 104(自販機の販売規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.25(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 130 億円・営業利益 1 億円。規模 0.75 倍、価格 1.25 倍
- 飲料製造:数量 112(製造・販売の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.25(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 140 億円・営業利益 9 億円。規模 1.00 倍、価格 1.25 倍
- 不動産運用:数量 3.9(賃貸の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.20(賃料の指数(今 = 1.0))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。規模 1.00 倍、価格 1.20 倍
- その他:数量 4.6(事業規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.20(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。規模 1.00 倍、価格 1.20 倍
倍率:ROE 2.5% は k 8.75% を下回り、PER の上限は 1÷k。堀は普通、g 4% の正当化 PER は 12.1 倍。製造の利益率が受託先に左右されるので上限の約 70% の 8.5 倍に置く。
確率:キャッシュレスと無人店舗に押され、自販機の台数が速く減る姿。製造の利益率も下がる。
悲観 12% 悲観:自販機が崩れ、受託も細って赤字に近づく 利益 −6 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 178 円22 億円
キャッシュレスと無人店舗に押され、自販機の台数は半分に減る。メーカーの値上げが続き、価格は 1.10 倍にとどまる。利益率はマイナスになる。
受託製造も、顧客の飲料メーカーの内製化や値下げ要求で規模が 0.8 倍に縮み、利益率は 3% に下がる。
営業利益は 4 億円ほどの赤字になる。借入の利払いが年 3 億円ほどに増え、純損益は 6 億円の赤字。配当は性向 3 割を保てない。
自販機の整理に伴う減損と撤去費が出て、株主の取り分は売れる資産と借入の差に近づく。他の飲料企業への事業の売却の話も出うる。
- 自販機運営(リテイル):数量 69.5(自販機の販売規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.10(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 77 億円・営業利益 −2 億円。規模 0.50 倍、価格 1.10 倍
- 飲料製造:数量 89.6(製造・販売の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.10(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 99 億円・営業利益 3 億円。規模 0.80 倍、価格 1.10 倍
- 不動産運用:数量 3.5(賃貸の規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.00(賃料の指数(今 = 1.0))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。規模 0.90 倍、価格 1.00 倍
- その他:数量 2.8(事業規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.00(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。規模 0.60 倍、価格 1.00 倍
倍率:床の資産で値を付けた。赤字で稼ぐ力は測れない。売れる資産の税後 22 億円を、今の自己資本 79 億円に掛けた(PBR 0.28 倍)。
確率:自販機の台数が半減し、受託先の内製化も重なる構造的な負け筋。純負債の重さと過去最高益の反動から 1 割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
自販機運営(リテイル)
アシード、いいじま、日東ベンディング中国などが自動販売機を設置して飲料を売る。売上の約 54%。
| 数量自販機の販売規模(今の値段で換算した売上・億円) | 価格値段の指数(今 = 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 139 | 1.00 | 139 | 3 |
| 10 年後 中立 | 118 | 1.34 | 158 | 3 |
取り方:売上 139 億円・セグメント利益 2.7 億円は決算短信の開示。台数・販売本数は開示がなく、今の売上を実質の規模とし、物価を価格の指数とした推定。
飲料製造
缶コーヒー、低アルコール飲料、ソフトパウチ飲料、茶葉などを他社ブランドの受託と自社向けに製造する。売上の約 43%。
| 数量製造・販売の規模(今の値段で換算した売上・億円) | 価格値段の指数(今 = 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 112 | 1.00 | 112 | 10 |
| 10 年後 中立 | 134 | 1.34 | 180 | 15 |
取り方:売上 112 億円(内部売上を含む)・セグメント利益 10.4 億円は決算短信の開示。生産実績は約 100 億円(前期比 101.9%)。数量は売上からの推定。
不動産運用
賃貸用不動産の運用。利益率が高い。
| 数量賃貸の規模(今の値段で換算した売上・億円) | 価格賃料の指数(今 = 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.9 | 1.00 | 4 | 2 |
| 10 年後 中立 | 3.9 | 1.20 | 5 | 2 |
取り方:売上 3.9 億円・利益 2.2 億円は決算短信の開示。賃料は物価に連れて上がるが、契約更新の遅れで 10 年 1.2 倍とみた。
その他
システム開発などのロジックイノベーション。
| 数量事業規模(今の値段で換算した売上・億円) | 価格値段の指数(今 = 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4.6 | 1.00 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4.6 | 1.34 | 6 | 1 |
取り方:売上 4.6 億円・利益 0.5 億円は決算短信の開示。数量は売上からの推定。
リスクと懸念
自販機の台数の減少
キャッシュレス化、無人店舗の増加、メーカーの値上げによる販売本数の減少で、自販機の売上が細る。会社も飲料関連の国内環境は厳しさが増すと見る。
受託先の値下げ要求
製造の利益率 9.3% は、顧客の飲料メーカーとの価格交渉で決まる。値下げ要求や設備の内製化で、利益が急に細るおそれがある。
借入と買収
純負債は 61 億円で、自己資本の 0.76 倍。買収で借入が増え、借り換えのたびに金利が上がる。買収の価格を間違えれば、のれんの減損が出る。
過去最高益の持続
営業利益率 4.2% は過去最高で、過去の中央値を大きく超える。経常利益が営業利益を 3.5 億円上回った前期は、営業外の一時的な収益を含む可能性がある。
海外出資
ベトナムの会社への出資は持分法の関連会社で、現地の経営の関与が弱い。成果が出るまでに時間がかかり、減損のおそれもある。
自販機の更新費用
自販機の機械は、更新のたびに新しい値段で買う。償却は取得時の値段のまま、更新の投資は物価で膨らみ、現金が細る。
今後の分かれ目
- 自販機の営業利益率が 1% を割る
- 事業の整理が進む。やや悲観の確率を上げる。
- 製造の利益率が 10% を超えて定着する
- 受託の強みが本物と確かめられる。楽観側の確率を上げる。
- 受託先の大口が内製化や値下げを要求する
- 製造の利益が細る。悲観の確率を上げる。
- 純負債が 100 億円を超える
- 買収の借入が重くなる。倍率を下げる。
- 他社から出資や統合の提案が出る
- 提示される価格は本質価値と別の話になる。10 年の中立の価値との差で判断する。
見ておくもの
- 飲料製造の売上と利益率
- 自販機の台数と営業利益率
- 純負債と利払い
- 買収の進み具合と減損
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。k 8.75%(quality +0.75)、g 4%。中立の ROE は 6% で k 以下なので PER の上限は 1÷k の 12.1 倍。利益の質に応じて上限の 8 割の 9.7 倍とした。今の株価や PER は見ていない。自販機の設置場所と店舗の賃借があり、リースの約束は純負債の見かけを割り引いて読んだ。新リース会計基準の影響で、10 年後の数字は家賃を営業費用に入れた形でそろえた。株主優待の費用は年 0.7 億円ほどと推定し、還元に足した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.7→12.61 倍・やや楽観 PER 10.3→11.67 倍・中立 PER 9.7→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。