結論
梅の花グループは、湯葉と豆腐の会席「梅の花」と、持ち帰りの寿司や総菜の「古市庵」を営む会社だ。筆者の結論は「割高」である。店の評判は根強いが、借金が重く、普通株主に残る利益はごくわずかだ。
2026 年 4 月期の売上は 298 億円、営業利益は 6.5 億円だった。売上の 2%しか残らず、そこから借金の利息 3 億円近くが引かれる。有利子負債は 155 億円、総資産の 7 割だ。純資産 21 億円のうち 8 億円は優先株で、普通株主の分は 13 億円にすぎない。
会社の中期計画も、3 年後の営業利益は 7 億円どまりだ。借金を返しながら出店し、インバウンドで客を増やす計画だが、利益の厚みは変わらない。金利が上がれば、借り換えのたびに利息が増える。
時価総額 82 億円は、普通株主の利益の 30 倍を超える。優待を目当てに株を持つ人が値段を支えているが、筆者は事業の稼ぎから見て、その値段に安全域はないと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「良い店、弱い会社」だ。梅の花の湯葉の会席は、10 年後もおそらく残る。独自の料理で、通う客もいる。そこは評価できる。
だが、株主のものになる利益が小さすぎる。営業利益 6.5 億円から利息を払い、優先株の配当を払うと、普通株主に残るのは年 2 億円ほどだ。今の値段はその 30 倍を超える。借金を返し終えるまで、利益は株主ではなく銀行に向かう。
安全域もない。売上が 1 割落ちれば赤字になり、自己資本はすぐ薄くなる。コロナ禍では実際にそうなり、優先株で穴を埋めた。
筆者は、この値段は事業の稼ぎではなく、優待を楽しむ株主の需要で支えられていると見る。優待の値打ちを足しても、払う値段には見合わない。店のファンとして通うのはよいが、オーナーとして持ちたい会社ではない。
何で稼ぐ会社か
事業は三つある。柱は外食で、売上の 57%を占める。福岡県久留米市で生まれた「湯葉と豆腐の店 梅の花」が 69 店あり、ほかに和食鍋の「すし半」、居酒屋の「さくら水産」、かに料理の「かにしげ」などを持つ。外食は 111 店だ。客は 50 代以上が中心で、法事や家族の集まりにも使われる。
二つ目はテイクアウトで、売上の 36%。持ち帰り寿司の「古市庵」が百貨店や駅ビル、スーパーの中に 100 店あり、梅の花の総菜の店も 55 店ある。中食、つまり家で食べる出来合いの食事の需要に乗る。
三つ目は外販で、セントラルキッチンで作った豆腐や湯葉の料理を通販や卸で売る。売上は 21 億円だが、赤字が続く。
店はほぼ賃借で、家賃は毎年払う固定の約束だ。全国 4 か所のセントラルキッチンで仕込み、店の手間を減らす。海外はタイとベトナムに 3 店ある。従業員は正社員 607 人で、パートとアルバイトが店を支える。店の多くは郊外の大きな建物で、庭や個室を備えた造りが会席の値打ちを生む。その分、建物の維持と家賃は重い。
優良さと弱いところ
強みは「梅の花」という名前だ。湯葉と豆腐の会席という独自の業態で、30 年以上通う客がいる。料理に手間がかかり、まねしにくい。古市庵も、百貨店の地下の持ち帰り寿司として知られる。
しかし、その強みは利益になっていない。営業利益率は最も良かった 1999 年 9 月期でも 6.7%で、この 10 年は 3%を超えたことがない。コロナ禍の 2021 年 4 月期には売上が 216 億円まで落ち、22 億円の営業赤字を出した。
財務は弱い。自己資本比率は 9%で、借金は自己資本の 7 倍を超える。2020 年以降、優先株を出して資本を補った。この 10 年、純利益は赤字の年の方が多く、ROE の中央値はマイナスだ。
堀、つまり他社がまねできない強みは、ブランドの面では確かにある。だが、それを利益に変える仕組みが弱い。人件費と家賃と食材費が上がるたびに、薄い利益が削られる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食の市場はコロナ禍から戻ったが、伸びは鈍い。会社自身も、外食は回復が続いても大きくは伸びにくく、再編と効率化が進むと見ている。客の数は人口とともに細る。梅の花の中心の客は 50〜70 代で、高齢化は追い風でもあり、先細りの種でもある。
伸びているのは中食だ。共働きと高齢の世帯が増え、出来合いの料理を家で食べる人は 10 年以上増え続けた。会社は年 2〜4%の拡大を見込む。古市庵の持ち帰り寿司は、この流れに乗る。ただ、スーパーやコンビニの寿司と総菜も質を上げており、競争は激しい。
インバウンドも新しい客だ。訪日客は地方にも足を伸ばし、湯葉と豆腐という日本らしい料理は外国人に受ける。会社はインバウンドの売上を年 2 割増やす計画だ。
逆風は費用だ。米や魚の値段、電気代、物流費が上がり、時給は年 3〜5%上がる。人手不足で店を開けられない時間も出る。会席の業態は人手がかかる分、費用の上昇が重くのしかかる。同じ和食でも、回転寿司や定食の大手は機械化で人手を減らしてきた。手間を売る梅の花は、その手が使いにくい。
資本政策と M&A
資本の使い方の自由はほとんどない。中期計画の 3 年間の現金の使い道は、設備に 20 億円、借金の返済に 15 億円、株主還元に 4 億円だ。還元には優先株の配当も含む。
優先株は 8 億円で、毎年 4%の配当を払う。普通株には変わらないので株は薄まらないが、普通株主より先に配当を取る。普通株の配当は年 0.9 億円だ。
株主優待は、店で使える割引証と食事券だ。100 株で 1 割引き(半年以上持てば 2 割引き)、500 株以上なら食事券も付く。2026 年 10 月から、長く持つ株主を厚くする形に変えた。費用の開示はなく、筆者は原価で年 0.5 億円前後と見る。
買収の計画はない。借金を返し、純資産を厚くするのが先だ。大きな株主が完全子会社にする動きもない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ブランドは本物だ。湯葉と豆腐の会席という業態は、30 年以上まねされていない。法事や家族の集まりで使われる店は、景気が悪くても客が離れにくい。
中食は伸びる。古市庵の持ち帰り寿司と梅の花の総菜は、共働きと高齢の世帯の増加に乗る。テイクアウトの営業利益は 5 億円で、外食に迫る。インバウンドも追い風だ。日本らしい料理を求める訪日客は地方にも来て、会社はその売上を年 2 割増やす計画だ。
借金は着実に減っている。中期計画では 3 年で 15 億円を返す。借金が減れば利息が減り、その分がそのまま普通株主の利益になる。営業利益が 7 億円、利息が 2 億円に下がれば、純利益は今の 2 倍になる。
赤字の外販も、手を打てば改善の余地が大きい。優待で集まった個人株主の多さは、店の客でもあり、経営を支える基盤でもある。コロナ禍の最悪期を、銀行と優先株の支えで乗り越えた事実も、事業に値打ちがあると貸し手が認めた証拠だ。海外ではタイとベトナムの店を足がかりに、2029 年 4 月期に 11 店へ増やす計画もある。
慎重な見方
借金が重すぎる。有利子負債は 155 億円で、自己資本の 7 倍を超える。金利が 1%上がれば、利息は年 1.5 億円増える。営業利益 6.5 億円の 4 分の 1 が消える計算だ。中期計画で 15 億円を返しても、10 年で借金がなくなるわけではない。
利益は薄く、もろい。この 10 年で純利益が赤字だった年は 4 回ある。コロナ禍では営業赤字が 22 億円に達し、優先株で資本を補った。売上が 1 割落ちれば、また赤字だ。
客は高齢化している。梅の花の中心は 50〜70 代で、若い世代の会席離れは進む。人件費と食材費は毎年上がり、手間のかかる会席ほど費用が重い。古市庵もスーパーやコンビニの寿司と競う。
今の値段は、普通株主の利益の 30 倍を超える。優待の割引のために株を持つ人が支えているだけで、事業の稼ぎでは説明できない。2028 年 4 月期からは店の賃借もリース負債として載り、借金の見かけはさらに膨らむ。外販の赤字も長く続いており、改善の道筋は見えない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が明らかに強い。ブランドと中食の伸びは本物だが、それが普通株主の利益になるまでに、借金の利息と優先株の配当という二つの壁がある。確率は中立に 4 割を置き、やや悲観と悲観に合わせて 4 割弱を置いた。楽観は借金が大きく減り利益率が上がる形で 5%にとどめた。コロナ禍で実際に資本が細った前例があり、悲観にも 1 割強を残した。中食とインバウンドの伸びは、やや楽観に 2 割弱で映した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/04 期)
確率で加重した株価時価総額 454 円40 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 133 円12 億円)。 今の値に割り戻すと 263 円23 億円、今との差 −71.5%、 期待の年率 −4.4%(資本コスト 9.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 2,413 円214 億円 | 281 円25 億円 | +192.3% | +11.3% | 135 円12 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,183 円105 億円 | 214 円19 億円 | +51.5% | +4.2% | 237 円21 億円 |
| 中立 | 40% | 288 円26 億円 | 158 円14 億円 | −51.7% | −7.0% | 178 円16 億円 |
| やや悲観 | 25% | 60 円5 億円 | 68 円6 億円 | −86.2% | −18.0% | 32 円3 億円 |
| 悲観 | 13% | 15 円1 億円 | 23 円2 億円 | −96.0% | −27.5% | 5 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 454 円40 億円 | 133 円12 億円 | −36.3% | −4.4% | 587 円52 億円 |
今の株価時価総額 922 円82 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.8% を下回るほど割高。
楽観 5% 借金が半分になり、中食とインバウンドで利益率が戻る 利益 12 億円 · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 2,413 円214 億円
インバウンドの客が地方の梅の花に足を運び、カジュアルな新業態も若い客をつかむ。外食は 130 店に増え、値上げは物価をやや上回って通る。古市庵は中食の伸びに乗り 180 店になる。外販は赤字を脱する。
営業利益率は 5%に近づき、営業利益は 21 億円になる。借金は 90 億円まで減り、利息の増加は返済で打ち消される。純利益は普通株主の分で 12 億円になる。
優先株は償還され、配当と優待は厚くなる。財務の不安が消え、ブランドの値打ちがようやく株主の利益として表に出る。海外の店も 10 店を超え、東南アジアで湯葉と豆腐の料理が知られるようになる。
- 外食(梅の花・すし半・さくら水産など):数量 130(店舗数(客数の増減を含めた店舗換算))× 価格 1.40(1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00、客単価の上昇を含む))→ 売上 280 億円・営業利益 22 億円。数量 130、単価 1.40 倍、利益率 8.0%
- テイクアウト(古市庵・梅の花の総菜):数量 180(店舗数(客数の増減を含めた店舗換算))× 価格 1.36(1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00))→ 売上 162 億円・営業利益 9 億円。数量 180、単価 1.36 倍、利益率 5.5%
- 外販(通販・卸):数量 130(出荷量の指数(2026/04 = 100))× 価格 1.36(単価の指数(2026/04 = 1.00))→ 売上 37 億円・営業利益 1 億円。数量 130、単価 1.36 倍、利益率 2.0%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 51.1% が k 9.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 30.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.1 倍。全体の PER 15.1 倍、時価総額 183 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率はこの 10 年で 3%を超えたことがなく、借金の返済と利益率の上昇が両方そろうのは、まれな筋書きなので 5%。
やや楽観 17% 中期計画の先で、借金を返しつつ利益が 2 倍に 利益 7 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 1,183 円105 億円
外食は新業態で 120 店に増え、インバウンドの客も上乗せになる。値上げは物価並みよりやや強く通る。古市庵は中食の需要で 170 店に増える。外販は赤字を止める。
営業利益は 14 億円になり、売上の 3.5%だ。借金は中期計画どおりに減り続け、利息の増加は小さく抑えられる。普通株主の純利益は 6.6 億円になる。
配当と優待は続き、純資産は少しずつ厚くなる。借金の重さは残るが、会社として危うさはなくなる。外販の赤字が止まることも、利益の底上げに効く。カジュアルな新業態が 30〜40 代の客を連れてくる。優先株の償還は、この筋書きでもまだ先だ。
- 外食(梅の花・すし半・さくら水産など):数量 120(店舗数(客数の増減を含めた店舗換算))× 価格 1.37(1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00、客単価の上昇を含む))→ 売上 253 億円・営業利益 18 億円。数量 120、単価 1.37 倍、利益率 7.2%
- テイクアウト(古市庵・梅の花の総菜):数量 170(店舗数(客数の増減を含めた店舗換算))× 価格 1.33(1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00))→ 売上 149 億円・営業利益 8 億円。数量 170、単価 1.33 倍、利益率 5.0%
- 外販(通販・卸):数量 120(出荷量の指数(2026/04 = 100))× 価格 1.33(単価の指数(2026/04 = 1.00))→ 売上 33 億円・営業利益 0 億円。数量 120、単価 1.33 倍、利益率 0.0%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 25.0% が k 9.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 17.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.39 倍、時価総額 88 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画は借金 15 億円の返済と出店を掲げ、テイクアウトは利益を出している。計画の延長として 2 割弱を置く。
中立 40% 店は保つが、利益は利息と優先配当に消える 利益 2 億円 · PER 10.3 倍 · 株価時価総額 288 円26 億円
外食は出店と閉店が釣り合い、115 店ほどになる。客数は高齢化で少し細り、店舗換算では 109 店分だ。値上げは物価並みに通る。古市庵は中食の伸びで 165 店に増え、単価は 1.3 倍になる。外販は赤字が縮む。
営業利益は 9 億円弱、売上の 2.5%だ。人件費と家賃の上昇を値上げで吸収するのが精一杯だ。借金は少しずつ返すが、借り換えの金利が上がり、利息は年 4 億円前後に増える。
優先株の配当を払うと、普通株主の純利益は年 2 億円ほどしか残らない。配当と優待は続くが、純資産はなかなか厚くならない。
- 外食(梅の花・すし半・さくら水産など):数量 109(店舗数(客数の増減を含めた店舗換算))× 価格 1.34(1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00、客単価の上昇を含む))→ 売上 224 億円・営業利益 15 億円。数量 109、単価 1.34 倍、利益率 6.5%
- テイクアウト(古市庵・梅の花の総菜):数量 165(店舗数(客数の増減を含めた店舗換算))× 価格 1.30(1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00))→ 売上 142 億円・営業利益 6 億円。数量 165、単価 1.30 倍、利益率 4.5%
- 外販(通販・卸):数量 110(出荷量の指数(2026/04 = 100))× 価格 1.30(単価の指数(2026/04 = 1.00))→ 売上 30 億円・営業利益 −1 億円。数量 110、単価 1.30 倍、利益率 -2.0%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 9.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.3 倍。全体の PER 10.26 倍、時価総額 22 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画の 3 年後の営業利益は 7 億円で、今とほとんど変わらない。この 10 年の利益率の実績にも近く、最も起きやすい。
やや悲観 25% 費用の上昇に負け、赤字の年が続く 利益 −4 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 60 円5 億円
客の高齢化が進み、会席の客数は細る。外食は不採算店を閉めて 100 店になり、客数の減少で店舗換算は 93 店分だ。値上げは客離れを恐れて 1.28 倍にとどまる。古市庵はスーパーの寿司に押され 150 店に減る。
人件費と食材費と家賃は下がらず、営業利益はほぼゼロになる。利息の負担は重く、純利益は赤字が続く。減損も重なる。
配当は止まり、優待も縮む。借金の返済は進まず、銀行の支援と資産の売却で食いつなぐ。借り換えの金利は上がり、利息がさらに重くなる。普通株主の純資産は削られていく。追加の優先株で穴を埋めれば、普通株主はさらに後ろに回る。
- 外食(梅の花・すし半・さくら水産など):数量 93.0(店舗数(客数の増減を含めた店舗換算))× 価格 1.28(1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00、客単価の上昇を含む))→ 売上 183 億円・営業利益 9 億円。数量 93、単価 1.28 倍、利益率 5.0%
- テイクアウト(古市庵・梅の花の総菜):数量 150(店舗数(客数の増減を含めた店舗換算))× 価格 1.25(1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00))→ 売上 124 億円・営業利益 4 億円。数量 150、単価 1.25 倍、利益率 3.5%
- 外販(通販・卸):数量 90.0(出荷量の指数(2026/04 = 100))× 価格 1.25(単価の指数(2026/04 = 1.00))→ 売上 24 億円・営業利益 −1 億円。数量 90、単価 1.25 倍、利益率 -5.0%
倍率:赤字で稼ぐ力はない。今の純資産 21 億円(優先株 8 億円を含む)への PBR 0.25 倍(約 5 億円、普通株主の分 12.8 億円の 4 割)で見る。EV(時価総額 + 純負債 133 億円)は営業利益の 200 倍近くになり、借金が値打ちのほぼ全部を占める。売れる資産の床は残らない。
確率:この 10 年で純利益が赤字の年は 4 回あり、費用の上昇が値上げを上回る形は実際に起きている。4 分の 1 を置く。
悲観 13% 売上が落ちて債務超過に近づき、普通株の値打ちが消える 利益 −9 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 15 円1 億円
人流の急減か、人手不足による営業時間の短縮で、売上が 2 割以上落ちる。家賃と人件費は残り、営業赤字が続く。外食は 80 店まで減り、古市庵も百貨店の閉店とともに減る。
普通株主の純資産は赤字で消え、債務超過に近づく。銀行は追加の優先株や借り換えの条件と引き換えに支援し、普通株は大きく薄まる。
配当も優待も止まる。店を閉めても、残りの賃借の期間の家賃や原状回復の費用がかかる。店のブランドは残っても、その値打ちは借金を貸した側と優先株の持ち主に先に渡る。普通株主の取り分はほとんど残らない。コロナ禍で一度起きかけた形が、今度は戻らないまま続く筋書きだ。
- 外食(梅の花・すし半・さくら水産など):数量 75.0(店舗数(客数の増減を含めた店舗換算))× 価格 1.22(1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00、客単価の上昇を含む))→ 売上 141 億円・営業利益 0 億円。数量 75、単価 1.22 倍、利益率 0.0%
- テイクアウト(古市庵・梅の花の総菜):数量 130(店舗数(客数の増減を含めた店舗換算))× 価格 1.20(1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00))→ 売上 103 億円・営業利益 1 億円。数量 130、単価 1.20 倍、利益率 1.0%
- 外販(通販・卸):数量 70.0(出荷量の指数(2026/04 = 100))× 価格 1.20(単価の指数(2026/04 = 1.00))→ 売上 18 億円・営業利益 −1 億円。数量 70、単価 1.20 倍、利益率 -8.0%
倍率:赤字が続き、普通株主の自己資本は消える。借金が資産を上回り、売れる資産の床は残らない。今の純資産 21 億円への PBR 0.06 倍(約 1 億円)を名目の残り値として置く。
確率:コロナ禍では実際に売上が 3 割落ち、営業赤字 22 億円で資本が細った。自己資本比率 9%の会社に同じ打撃が来れば起きうるので 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
外食(梅の花・すし半・さくら水産など)
湯葉と豆腐の会席、和食鍋、居酒屋、かに料理などの店を営む。
| 数量店舗数(客数の増減を含めた店舗換算) | 価格1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00、客単価の上昇を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 111 | 1.00 | 171 | 12 |
| 10 年後 中立 | 109 | 1.34 | 224 | 15 |
取り方:有報の外食セグメントの売上 170.53 億円を 2026/04 末の外食 111 店で割り、1 店あたり 1.536 億円を rev_factor とした。営業利益はセグメント利益 12.02 億円。
テイクアウト(古市庵・梅の花の総菜)
百貨店・駅ビル・スーパーの中で持ち帰り寿司と総菜を売る。
| 数量店舗数(客数の増減を含めた店舗換算) | 価格1 店あたり年間売上の指数(2026/04 = 1.00) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 161 | 1.00 | 106 | 5 |
| 10 年後 中立 | 165 | 1.30 | 142 | 6 |
取り方:有報のテイクアウトの売上 106.34 億円を 161 店で割り、1 店あたり 0.66 億円を rev_factor とした。セグメント利益 5.20 億円。
外販(通販・卸)
セントラルキッチンで作った豆腐・湯葉の料理を通販や卸で売る。
| 数量出荷量の指数(2026/04 = 100) | 価格単価の指数(2026/04 = 1.00) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 100 | 1.00 | 21 | −2 |
| 10 年後 中立 | 110 | 1.30 | 30 | −1 |
取り方:量の開示がないので推定。売上 20.90 億円を指数 100 とした。セグメント損失 1.89 億円。
リスクと懸念
借金と金利
有利子負債は 155 億円で総資産の 7 割、自己資本の 7 倍を超える。今の利息は年 3 億円近く。借り換えのたびに金利が上がれば、営業利益の半分以上が利息に消える。
家賃という固定の約束
店はほぼ賃借で、売上が落ちても家賃は減らない。2028 年 4 月期から新リース会計基準でリース負債が貸借対照表に載り、借金の見かけはさらに重くなる。
客の高齢化
梅の花の中心の客は 50〜70 代だ。若い世代の会席離れが進めば、客数はじわじわ細る。カジュアルな新業態で若い客をつかめるかが分かれ目になる。
優先株の負担
8 億円の A 種優先株に年 4%の配当を払う。普通株主より先に配当を取り、純資産のうち普通株主の分は 13 億円にすぎない。業績が悪化すれば、追加の優先株で普通株主がさらに後ろに回る恐れがある。
費用の上昇
米や魚、電気代、物流費、人件費が上がり続ける。会席は人手のかかる業態で、時給の上昇が重い。値上げで客が離れれば、薄い利益はすぐ消える。
優待の縮小
今の値段は優待を目当てにした個人株主に支えられている面がある。2026 年 10 月から優待を変え、新しい株主は割引率が下がった。さらに縮めば、株の需要が細る。
今後の分かれ目
- 有利子負債が中期計画どおり 3 年で 15 億円減ったら
- 利息の重さが和らぎ、やや楽観の確率を上げる。
- 営業利益が 2 期続けて 5 億円を割ったら
- 費用の上昇に負けている証拠で、やや悲観の確率を上げる。
- インバウンドの売上が年 2 割増の計画を超えたら
- 外食の客数の見方を上げる。
- 追加の優先株や増資を発表したら
- 普通株主の取り分が薄まり、悲観側に寄せる。
- 優待をさらに縮めるか廃止したら
- 株主の受け取りが減り、還元の見方を下げる。
見ておくもの
- 有利子負債の残高と支払利息
- 外食とテイクアウトのセグメント利益率
- 既存店の客数と客単価
- A 種優先株の償還の有無
- 株主優待の変更
倍率と資本コストの決め方
今の株価からは置かず、店舗数 × 1 店あたり売上で外食とテイクアウトを積んだ。客数の開示がなく、店舗換算で推定した。倍率は普通株主の ROE と k から出し、中立は 1÷k の 8 割。優先株 8 億円は普通株主の自己資本から外し、優先配当は純利益から引いた。優待の費用は開示がなく年 0.5 億円と推定して還元に足した。2028/04 期から店舗の賃借がリース負債として載るが、10 年後も家賃を費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.3→15.1 倍・やや楽観 PER 9.9→13.39 倍・中立 PER 8.2→10.26 倍)。
資本コスト 9.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。