結論
スターシーズは、長く赤字の続いた衣料品の小売から、系統用蓄電所の開発とGPUサーバーの販売へ一気に軸足を移した会社だ。筆者の結論は「割高」である。新しい事業はまだ利益の形が定まらず、しかも大量の新株予約権で今の株主の取り分が半分近くまで薄まりうるからだ。
売上は2026年2月期に104億円と倍増し、今期は300億円の計画を掲げる。ただ、上期の6〜8月は営業赤字に戻り、9月には蓄電所の売却を中止した。利益の大半を下期の案件の売却に頼る形で、読みにくい。
GPUサーバーの販売は、売上は大きいが利幅の薄い仲介の商売だ。蓄電所の開発は、送電網につなぐ権利が希少なうちは高く売れる。だが参入が増えれば、その利ざやは縮む。
2026年6月に出した新株予約権は約1,200万株分あり、全部行使されれば株数は今の2.4倍になる。集めた約120億円を資本コストより高い利回りで回せる証拠は、まだ無い。筆者は、今の値段は事業の稼ぐ力に比べて高すぎると見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「わからない事業」に入る。10年後に何で稼いでいるかが読めない。蓄電所の開発とGPUサーバーの販売は、どちらも今は追い風が強い。だが追い風で膨らんだ利益は、風が止まれば消える。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、まだほとんど無い。売上は伸びても、蓄電所の土地と設備、サーバーの在庫に現金が出ていく。足りない分は新株で賄うので、1株あたりの価値は薄まる。
経営の資本の使い方も、オーナーとして安心できる形ではない。集めた資金が資本コストを上回って回る実績が無いまま、株数だけが増えていく。安全域は見当たらない。筆者は、この会社を値段だけで持つ理由は無いと見る。
もし蓄電所を自分で持ち、電気の売買で毎年稼ぐ形に育てば、見方は変わる。ただ、それはまだ計画の段階にある。
何で稼ぐ会社か
今の事業は三つある。2026年2月期の売上104億円のうち、衣料品が52億円、GPUサーバーなどの販売が29億円、系統用蓄電池が22億円だった。
衣料品は創業からの事業で、婦人服やニットなどを売る。売上は10年前の半分ほどに縮み、営業赤字の年が続いてきた。今は事業の柱というより、会社の土台として残っている。
系統用蓄電池は、送電網に直接つなぐ大きな蓄電池の発電所、つまり蓄電所を開発する事業だ。土地と送電網への接続の権利を確保し、設備を整えて投資家に売る。会社は全国50か所、合計100メガワットの開発を掲げる。1件の売却で数億円の売上が立つので、四半期ごとの数字が大きく振れる。
GPUサーバーは、2025年9月に子会社スターシーズデジタルを作って始めた。AIの計算に使う高価なサーバーを仕入れて販売し、最近はリースも始めた。シーイーシーとGPUのデータセンターで基本合意し、加賀電子と委託生産でも組んだ。上期の売上155億円の大半はこの事業で、売上は大きいが利幅は数%にとどまる。
三つの事業の共通点は少ない。強いて言えば、どれも仕入れや開発に先にお金を払い、売れた時に回収する商売である。
優良さと弱いところ
今のところ、堀、つまり他社がまねできない強みは見当たらない。GPUサーバーは米国の半導体メーカーの製品を仕入れて売る商売で、売り手は大手の商社やITの会社が多い。値段は供給の多さで決まり、仲介の取り分は薄い。
蓄電所の開発には、送電網への接続の権利という希少な資産がある。権利を早く押さえた会社は、案件を高く売れる。ただ、これは今の制度と需給が生む一時の利ざやで、同じ権利を狙う会社は増えている。
資本効率は未知数だ。2026年2月期の自己資本利益率は2%台にすぎない。過去10年の大半は赤字で、新株予約権による資金集めを何度も繰り返してきた。経営は動きが速く、提携や案件の開示は多い。その一方で、9月の蓄電所売却の中止のように、開示した計画がそのまま実現しない例もある。
筆者がいちばん気にしているのは、利益が毎年続く形になっていない点だ。案件の売却とサーバーの仲介は、どちらも一度売れば終わる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
系統用蓄電池の市場は、今まさに立ち上がっている。再生可能エネルギーが増えるほど、昼の余った電気をためて夕方に流す蓄電所が要る。国の長期脱炭素電源オークションや補助金が後押しし、送電網への接続の申し込みは急増した。筆者の見立てでは、10年後も蓄電所の数は増え続けるが、開発の利ざやは参入の増加と電池の値下がりで薄くなる。
GPUサーバーは、AIの計算需要に乗って売上が膨らむ市場だ。データセンターの建設は世界中で続き、日本でも大手の通信会社やITの会社が投資を増やしている。ただ、サーバーの供給が追いつけば値段は下がり、仲介の取り分は細る。大手の商社やシステムの会社が同じ製品を売る。
衣料品の小売は、人口減とネット通販で縮む市場だ。低価格の大手チェーンが強く、小さな専門店が値上げで利益を守るのは難しい。
三つの事業はつながりが薄い。筆者は、この会社を一つの業界の物差しで測るより、成長市場の波に乗る開発と仲介の会社として見る。
つまり、市場の伸びは本物でも、その果実が開発や仲介をする小さな会社に残るとは限らない。値段を決めるのは、電池やサーバーを作る大手と、買い手の大きな投資家だ。
資本政策と M&A
資本政策の中心は、新株予約権による資金集めだ。2025年9月に行使価額が動く型を出し、2026年6月には行使価額を固定した第8〜10回の約1,200万株分を出した。全部行使されれば約120億円が入り、株数は今の2.4倍になる。割当先は海外の証券会社と、蓄電池の投資組合だ。10月には第8回の行使を会社が一時止めた。
配当はほぼ出していない。集めたお金は蓄電所の土地と設備、サーバーの仕入れに回る。買収と売却も多く、2025年に子会社を買い、別の子会社を手放した。買われる側になる可能性もあるが、主要株主の顔ぶれは短い間に何度も入れ替わっている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社は時代の一番強い二つの波に乗った。再生可能エネルギーの拡大で蓄電所は欠かせなくなり、AIの計算需要でGPUサーバーは足りない。どちらの市場も、これから10年は伸び続ける。
蓄電所の開発で一番難しいのは、送電網への接続の権利を取ることだ。スターシーズはすでに複数の案件の土地と権利を押さえた。案件を売れば、1件で数億円の利益が出る。今期の会社予想は経常利益12.5億円で、前期の8倍近い。
GPUでは、シーイーシーとのデータセンターの合意、加賀電子との委託生産、サーバーのリースと、売るだけの商売から積み上がる商売へ広げている。リースやデータセンターの運営が育てば、毎年入る利益が増える。
新株予約権で入る約120億円は、この成長の燃料になる。資金があれば、案件を自分で持ち続けて電気の売買で稼ぐこともできる。今の時価総額は、その将来をまだ半分も織り込んでいない。
衣料品も、店を絞って赤字を小さくすれば足を引っ張らなくなる。新しい二つの事業が稼ぐ間、土台として静かに残ればよい。
慎重な見方
利益の形がまだ無い。上期の6〜8月は営業赤字で、通期の利益は下期の蓄電所の売却に頼る。9月には売却を一度決めた案件を中止した。案件の売却は相手の資金繰りと制度に左右され、時期も値段も読めない。
GPUサーバーの販売は、売上が大きいだけの薄い商売だ。製品は米国の半導体メーカーのもので、同じ物を大手の商社やITの会社が売る。供給が追いつけば値段は下がり、在庫を抱えた仲介は損をする。
株の薄まりも重い。約1,200万株の新株予約権が全部行使されれば、今の株主の取り分は4割強に下がる。集めたお金が資本コストを上回って回る保証は無い。過去10年の大半は赤字で、資金集めを繰り返してきた。
衣料品は縮み続け、今も利益を生まない。三つの事業のどれにも、10年続く強みは見えない。追い風が止まれば、会社は元の小さな赤字の小売に戻りうる。
しかも経営は、開示した計画を何度も変えてきた。投資家が計画の数字をそのまま信じるのは危うい。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。追い風が本物でも、この会社がその利益を長く持ち続ける仕組みは、まだ見えない。利益の大半は案件の売却と仲介で、毎年続く稼ぎではない。確率は中立を35%とし、悲観側に4割を置いた。楽観は、蓄電所とデータセンターを自分で持って稼ぐ形に育つ姿で、8%とした。
株の薄まりは筋書きごとに行使の度合いを変えて表した。中立では半分が行使される前提だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 423 円37 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 30 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 203 円18 億円、今との差 −80.2%、 期待の年率 −7.8%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,541 円133 億円 | 161 円14 億円 | +66.3% | +5.2% | 136 円12 億円 |
| やや楽観 | 17% | 912 円79 億円 | 63 円5 億円 | −4.7% | −0.5% | 166 円14 億円 |
| 中立 | 35% | 389 円34 億円 | 19 円2 億円 | −60.1% | −8.8% | 143 円12 億円 |
| やや悲観 | 25% | 26 円2 億円 | 0 円0 億円 | −97.5% | −30.8% | 6 円1 億円 |
| 悲観 | 15% | 17 円1 億円 | 0 円0 億円 | −98.3% | −33.6% | 3 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 423 円37 億円 | 30 円3 億円 | −55.7% | −7.8% | 454 円39 億円 |
今の株価時価総額 1,023 円88 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 蓄電所とデータセンターを自分で持って稼ぐ 利益 26 億円 · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 1,541 円133 億円
新株予約権は全部行使され、約120億円が入る。会社はそれを元手に蓄電所を自分で持ち、電気の売買で毎年稼ぎ始める。開発した案件の一部は高く売り、10年後には年30件の売却と自前の運営が並ぶ。接続の権利を早く押さえた強みが生き、利益率は2割に達する。
GPUでは、シーイーシーとのデータセンターが動き出し、販売とリースで年800台を扱う。営業利益は38億円前後、純利益は26億円に届く。自己資本利益率は資本コストをわずかに上回る。株数は今の2.4倍だが、1株あたりでも今を上回る価値が残る。
衣料品も店を絞って小さな黒字に戻り、三つの事業がそろって利益を出す。経営は配当も始め、株主に利益を戻す会社に変わる。
- 衣料品の小売:数量 230(販売点数(万点・推定))× 価格 3,350(1点あたりの平均単価(円))→ 売上 77 億円・営業利益 2 億円。点数1.10倍・単価1.34倍・利益率2%
- 系統用蓄電所の開発・売却:数量 30.0(売却した蓄電所の件数(件))× 価格 3.10(1件あたりの売却額(億円))→ 売上 93 億円・営業利益 19 億円。30件・1件の値段1.25倍・利益率20%
- GPUサーバーの販売・リース:数量 800(販売台数(台・推定))× 価格 0.56(1台あたりの売値(億円))→ 売上 444 億円・営業利益 18 億円。800台・単価1.15倍・利益率4%(リース込み)
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.4% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.3 倍。全体の PER 12.28 倍、時価総額 317 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:二つの新事業がどちらも毎年入る利益に育つ必要があり、過去10年の大半は赤字だった。実現の道は細く8%とした。
やや楽観 17% 二つの波に乗り、利益が定着する 利益 14 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 912 円79 億円
新株予約権の7割ほどが行使され、約85億円が入る。蓄電所は年20件余りを売り、1件の値段は2割上がる。開発の利ざやは参入の増加で15%に縮むが、件数で補う。
GPUサーバーは年600台を売り、利益率は3%を保つ。衣料品は小さな黒字に戻る。営業利益は20億円、純利益は14億円近くになる。ただ自己資本利益率は8%前後で、資本コストには届かない。株数が増えた分、1株あたりの伸びは利益ほどではない。
経営は配当を少しずつ始めるが、資金の多くは次の案件に回る。利益は伸びても、会社の形は開発と仲介の会社のままだ。
- 衣料品の小売:数量 210(販売点数(万点・推定))× 価格 3,350(1点あたりの平均単価(円))→ 売上 70 億円・営業利益 1 億円。点数1.00倍・単価1.34倍・利益率1%
- 系統用蓄電所の開発・売却:数量 22.0(売却した蓄電所の件数(件))× 価格 2.98(1件あたりの売却額(億円))→ 売上 66 億円・営業利益 10 億円。22件・1件の値段1.20倍・利益率15%
- GPUサーバーの販売・リース:数量 600(販売台数(台・推定))× 価格 0.54(1台あたりの売値(億円))→ 売上 325 億円・営業利益 10 億円。600台・単価1.12倍・利益率3%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 158 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:蓄電所とGPUの需要は強く、会社の今期予想に近い利益が続く姿。利益が売却と仲介に偏るので17%とした。
中立 35% 新事業は残るが、利ざやは薄くなる 利益 5 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 389 円34 億円
新株予約権は半分ほど行使され、約60億円が入る。蓄電所は年15件ほど売れるが、電池の値下がりと参入の増加で、1件の値段は物価ほど上がらず、利益率は1割に縮む。
GPUサーバーは年400台を売る。だが供給が追いつき、仲介の利益率は2%を切る。衣料品は縮み、小さな赤字が続く。営業利益は7億円台、純利益は5億円ほどにとどまる。自己資本は増資で膨らみ、自己資本利益率は5%を割る。会社は残るが、株主は株の薄まりの分だけ損をする。
経営はなお新しい事業の種を探し、資金集めを続ける。株主から見れば、売上の大きさほどには価値の増えない10年になる。
- 衣料品の小売:数量 180(販売点数(万点・推定))× 価格 3,250(1点あたりの平均単価(円))→ 売上 59 億円・営業利益 −1 億円。点数0.86倍・単価1.30倍・利益率-1%
- 系統用蓄電所の開発・売却:数量 15.0(売却した蓄電所の件数(件))× 価格 2.73(1件あたりの売却額(億円))→ 売上 41 億円・営業利益 4 億円。15件・1件の値段1.10倍(電池の値下がりで物価に届かない)・利益率10%
- GPUサーバーの販売・リース:数量 400(販売台数(台・推定))× 価格 0.53(1台あたりの売値(億円))→ 売上 213 億円・営業利益 4 億円。400台・単価1.10倍(供給増で物価に届かない)・利益率1.8%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.4% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 57 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:蓄電所の開発の利ざやは参入の増加で縮み、GPUは薄い仲介にとどまる、最も起こりやすい姿として35%とした。
やや悲観 25% 行使が止まり、案件が細る 利益 0 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 26 円2 億円
株価が行使価額を下回り、新株予約権の行使はわずかで止まる。蓄電所の案件は資金不足で年4件ほどに細り、利益率は5%に落ちる。
GPUサーバーは大手に押され、年150台の販売にとどまる。衣料品は縮み続け、赤字が残る。営業利益はほぼゼロ、純利益もわずかだ。会社は再び資金集めと事業の入れ替えを迫られる。自己資本はほとんど増えず、市場は会社を資産の一部の値段でしか見なくなる。
土地と設備の一部は簿価を割って売られ、帳簿の自己資本も実際の価値より重く見える。株主の取り分は大きくは薄まらないが、増える価値も無い。
- 衣料品の小売:数量 150(販売点数(万点・推定))× 価格 3,000(1点あたりの平均単価(円))→ 売上 45 億円・営業利益 −1 億円。点数0.71倍・単価1.20倍・利益率-2%
- 系統用蓄電所の開発・売却:数量 4.0(売却した蓄電所の件数(件))× 価格 2.48(1件あたりの売却額(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。4件・1件の値段1.00倍・利益率5%
- GPUサーバーの販売・リース:数量 150(販売台数(台・推定))× 価格 0.48(1台あたりの売値(億円))→ 売上 73 億円・営業利益 1 億円。150台・単価1.00倍・利益率1%
倍率:稼ぐ力はほぼゼロで、純利益÷kの床も小さい。今の自己資本28億円の大半は在庫と土地で、売っても帳簿の値段は付きにくいので、今の自己資本に0.096倍を掛けた。手元の現金は配当の実績が無く株主に戻る見込みが薄い(戻り方0.5)ので、純現金と売れる資産の床も3億円前後にとどまる。
確率:上期の6〜8月は赤字に戻り、9月には売却を中止した。株価が行使価額を割れば資金も入らない。十分ありうる姿として25%とした。
悲観 15% 新事業から撤退し、赤字の小売に戻る 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 17 円1 億円
蓄電所の制度が変わり、案件は売れなくなる。会社は土地と設備を安く手放して撤退する。GPUサーバーも在庫の値下がりで損を出し、販売はごく小さくなる。新株予約権は行使されない。
残るのは縮んだ衣料品の小売だけで、赤字が続く。自己資本は損失で削られ、20億円台前半に落ちる。株主の取り分は薄まらないが、守るべき価値そのものが小さくなる。もう成長の会社とは呼べない姿だ。
撤退の損は自己資本を削り、在庫と土地の売却で残る現金も少ない。会社は再び小さな衣料品の会社として、生き残りを探すことになる。
過去にも、会社は事業の柱を替えるたびに資金を集め、その多くを失ってきた。悲観の筋書きは、その繰り返しがもう一度起きる姿である。
- 衣料品の小売:数量 120(販売点数(万点・推定))× 価格 2,875(1点あたりの平均単価(円))→ 売上 35 億円・営業利益 −1 億円。点数0.57倍・単価1.15倍・利益率-4%
- 系統用蓄電所の開発・売却:数量 1.0(売却した蓄電所の件数(件))× 価格 2.23(1件あたりの売却額(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。1件・1件の値段0.90倍・撤退の損
- GPUサーバーの販売・リース:数量 30.0(販売台数(台・推定))× 価格 0.48(1台あたりの売値(億円))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。30台・単価1.00倍・利益率0%
倍率:赤字で稼ぐ力の床は無い。今の自己資本28億円のうち在庫と土地は撤退で安くしか売れないので、今の自己資本に0.09倍を掛けた。
確率:過去10年の大半は赤字で、事業の柱を何度も入れ替えてきた。新事業が続かず元に戻る、構造的に負ける姿として15%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
衣料品の小売
婦人服やニットなどを店舗と通販で売る創業からの事業。
| 数量販売点数(万点・推定) | 価格1点あたりの平均単価(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 210 | 2,500 | 53 | 0 |
| 10 年後 中立 | 180 | 3,250 | 59 | −1 |
取り方:販売点数と単価の開示は無い。売上52.5億円を1点あたり2千円台半ばと見て約210万点とした推定。万点×円×0.0001で億円。利益は全社の営業利益1.84億円から、長く赤字の続いた衣料を小さな赤字と置いた推定(本社費は各事業に配った)。
系統用蓄電所の開発・売却
送電網につなぐ蓄電所の土地・接続の権利・設備を整え、投資家に売る。
| 数量売却した蓄電所の件数(件) | 価格1件あたりの売却額(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 9.0 | 2.48 | 22 | 2 |
| 10 年後 中立 | 15.0 | 2.73 | 41 | 4 |
取り方:会社は全国50か所・合計100メガワット(1件約2メガワット)を掲げる。2026年2月期の売上22.3億円を1件2.5億円前後と見て約9件の推定。利益率は開発の利ざやを7%前後と置いた推定。
GPUサーバーの販売・リース
AIの計算に使うGPUサーバーを仕入れて企業やデータセンターに売る。リースも始めた。
| 数量販売台数(台・推定) | 価格1台あたりの売値(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 60.0 | 0.48 | 29 | 1 |
| 10 年後 中立 | 400 | 0.53 | 213 | 4 |
取り方:台数の開示は無い。8基のGPUを積むサーバーを1台5千万円前後と見て、売上29.0億円から約60台の推定。利益率は仲介として2%前後の推定。今期上期は売上の大半がこの事業で、台数は数倍に増えている。
リスクと懸念
案件の売却に頼る利益
通期の利益は下期の蓄電所の売却に大きく頼る。2026年9月には、売却を決めた案件を中止した。売却の時期がずれるだけで、年の利益は黒字から赤字に変わる。
新株予約権による株の薄まり
第8〜10回の新株予約権は約1,200万株分あり、全部行使されれば株数は今の2.4倍になる。集めた資金が資本コストを上回って回らなければ、1株あたりの価値は下がる。
GPUサーバーの値崩れと在庫
サーバーの供給が追いつけば値段は下がる。仕入れて在庫を持つ仲介は、値下がりの損を直接かぶる。リースは顧客の支払いが滞れば回収の危うさも抱える。
蓄電所の制度と競争
蓄電所の採算は、国の制度と電力の市場価格で決まる。補助金や接続のルールが変われば、案件の値段は一気に下がる。参入が増えれば、接続の権利の希少さも薄れる。
経営と株主の入れ替わり
主要株主は短い間に何度も入れ替わり、事業の柱も数年ごとに変わってきた。方針が再び変われば、今の二つの事業が続く保証は無い。
衣料品の縮小
衣料品は10年で売上が半分ほどに縮み、利益をほとんど生まない。立て直しの道は見えず、閉店や撤退の費用が出る恐れがある。
今後の分かれ目
- 下期に蓄電所の売却が計画どおり進み、通期で経常利益12億円前後に届いた
- 開発の利ざやが本物だと判断し、やや楽観の確率を上げる。
- データセンターの運営やサーバーのリースで、毎年入る利益が数億円に育った
- 仲介から積み上がる商売に変わったとみて、楽観の利益率と倍率を引き上げる。
- 新株予約権の行使が進み、集めた資金で蓄電所を自社で持ち始めた
- 利益の安定は増すが、株の薄まりも進む。1株あたりの価値が増えるかは、利回りが資本コストを超えるかで判断する。
- 株価が行使価額を下回り、新株予約権の行使が止まった
- 資金が入らず、案件の数が細る。やや悲観と悲観の確率を厚くする。
- 蓄電所の制度や補助金が縮小された
- 開発の利ざやが消えるとみて、蓄電所の件数と利益率を下げる。
見ておくもの
- 蓄電所の売却の件数と1件あたりの利益
- GPUサーバーの売上と粗利率、在庫の残高
- 新株予約権の行使の進み具合と発行済株式数
- データセンター・リースの毎年入る利益
- 主要株主の異動と経営方針の変化
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見ずに決めた。資本コストは8.75%と高く、中立の自己資本利益率は5%弱と届かないので、PERの上限は1÷k=10.5倍になる。中立はその7割強に置いた。楽観だけ資本コストを少し超えるので式の上限の9割強とした。新株予約権の薄まりは holder_share で別に掛けた。悲観は今の自己資本に低いPBRを掛け、過去のPBRは使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→12.28 倍・やや楽観 PER 8.8→11.43 倍・中立 PER 7.6→11.43 倍・やや悲観 PBR 0.3→0.096 倍・悲観 PBR 0.2→0.09 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの+2.0%を足した(決まりv2)。2026年2月期は黒字で財務の存続に疑いはないので上乗せは無し。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.25%。