結論
ゼビオは、スポーツ用品とゴルフ用品の大型店を、全国に約 970 店展開する小売りだ。スーパースポーツゼビオ、ヴィクトリア、ゴルフパートナーなどの店を持つ。筆者の結論は、財務と資産は厚いが、利益率は薄く、ROE が資本コストに届かないというものだ。
2026 年 3 月期は、売上 2,523 億円に対し、営業利益は 24 億円、利益率は 0.9% だった。減損 36 億円やゼビオアリーナ仙台の改修と寄附に伴う損失などで、特別損失が 74 億円出て、最終は 22 億円の赤字になった。
2027 年 3 月期の会社の計画は、売上 2,646 億円、営業利益 70 億円、純利益 75 億円。第 1 四半期は営業利益 39 億円で、計画を超えて進んでいる。ただ、過去 10 年の利益率は 0.9〜4.7% の間で動き、中央値は 2.4% だった。
自己資本は 1,178 億円で、時価総額 458 億円の 2.6 倍ある。純現金は 129 億円、自己資本比率は 57% だ。それでも ROE は過去 10 年の中央値 1.8% と低い。資産の厚みが、利益に変わっていない。
10 年後の中立は、営業利益 80 億円、ROE 5% 前後。資本コスト 8.5% には届かないが、足元が営業利益 24 億円と谷にあるため、今の時価総額を上回る価値は残る。ただ、確率で重ねると今の値段は適正の範囲で、安全域は厚くない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ゼビオは「資産は厚いが、稼ぐ力が弱い小売」に見える。
良い点は 3 つある。自己資本が時価総額の 2.6 倍あること、純現金が 129 億円あること、そして営業利益が谷から戻り始めたことだ。2027 年 3 月期の第 1 四半期は、営業利益が前年から 39% 増えた。
気になる点も 3 つ。1 つ目は、固定費が重いこと。売上が少し落ちるだけで利益が消える。2 つ目は、メーカー直販に侵食される恐れがあること。3 つ目は、資本の使い方が遅いことで、自己資本 1,178 億円に対し、営業利益は 24 億円しかない。
安全域は、PBR 0.4 倍という値段そのものにある。ただし、その安さは、ROE が資本コストを下回る期間が長く続く可能性を映している。筆者は、純現金と在庫を差し引くと、事業は割高ではないが、割安とまでは言えないと見る。
何で稼ぐ会社か
店で売る商品は、5 つの部門に分かれる。2026 年 3 月期の売上で見ると、一般競技スポーツ・シューズが 894 億円(35%)、ゴルフが 802 億円(32%)、アウトドアなどが 313 億円(12%)、スポーツ衣料が 282 億円(11%)、ウィンタースポーツが 72 億円(3%)、その他(食品・宿泊など)が 159 億円(6%)である。会社は全体を「一般小売事業」の 1 つの区分で開示しており、部門別の利益は出ていない。
店の種類は、大型のスポーツ専門店(スーパースポーツゼビオ、ヴィクトリア)、ゴルフ専門店(ゴルフパートナー、PGA TOUR スーパーストア)、そして小型の専門業態(X'tyle はスポーツファッション、ザイアス、パステル)がある。ゴルフパートナーは中古クラブの買い取りと販売が強い。X'tyle は既存店の中に入る形で増え、2026 年 3 月期の出店 130 店のうち 81 店がこの形だった。
店は全国に 972 店(2026 年 3 月末)、売場は約 20.9 万坪。東京の売上が 24%、海外は 3% にとどまる。EC は全部門で伸びているが、会社は金額を出していない。
仕入れは売上のおよそ 6 割で、粗利益率は 39% 前後。販売費・一般管理費の中身は、人件費 317 億円、店舗費(家賃など)305 億円、販売費 94 億円、広告費 69 億円で、固定費が重い。
優良さと弱いところ
堀(他社がまねできない強み)は弱い〜中程度である。筆者は、強い堀とは見ない。
強みは 3 つある。全国の店の数と大きさ(国内のスポーツ専門店で最大級)、ゴルフ中古という仕入れと販売の仕組み、そしてメーカーと組んだ品ぞろえの交渉力だ。店で試して買える体験は、EC だけでは代わりにくい。
弱みはそれ以上に目立つ。売っているのはナイキやアディダスなど他社の商品で、メーカーは直販を広げている。値決めは小売が握りにくく、粗利益率が上がりにくい。店は家賃と人件費で営業利益の 25 倍の固定費を抱え、売上が 1 割落ちると利益が消える形だ。
数字も堀の弱さを映す。営業利益率は過去 10 年で 0.9〜4.7%、ROE は 0.4〜4.4%。資本コストの 8% を超えた期はない。自己資本が厚いのに、稼ぐ力が追いついていない。
経営は変化を始めた。2024 年 5 月に「資本コストと株価を意識した経営」を公表し、不採算の店や事業、投資の見直しを進めている。2027 年 3 月期を「構造改革の締めくくり」とした。実行は、利益率が戻るかで試される。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のスポーツ用品市場は、2025 年に約 1.73 兆円(出荷ベース)で、前年から 3% 伸びた。ただし実需の伸びは弱く、値上げによる単価の上昇が数字を支えた、と調査会社は見る。人口が減る中、数量は横ばいから微減が基本線である。
部門ごとに事情が違う。ゴルフは用品の高単価化と中古の回転で堅調だが、競技人口の高齢化は避けられない。ランニングとシューズは好調で、2026 年 3 月期のゼビオの一般競技スポーツ・シューズは 4.6% 増だった。ウィンタースポーツは暖冬で 15% 減。衣料は 4% 減と弱い。
競争の形は変わっている。メーカーの直販サイトとモールが広がり、同業ではアルペン(スポーツデポ・ゴルフ 5)が全国で競う。店は「買う場所」から「試す場所」へ寄る力が働く。
構造の変化は 2 つある。1 つ目は、人件費と家賃の上昇で、大型店の固定費が重くなること。2 つ目は、新リース会計基準の導入で、家賃が貸借対照表に載り、見かけの利益や負債の形が変わることだ。
ゼビオの対象は、筆者の推計で国内のスポーツ用品の小売約 3 兆円のうちの一部である。同業のアルペンも営業利益率は 3% 前後で、業界全体が薄利だ。値上げで売上は伸びるが、人件費と家賃の上昇に吸われ、利益率の改善は難しい。
資本政策と M&A
還元は薄い。配当は 2026 年 3 月期が年約 14.5 億円で、DOE(純資産配当率)は 1.2%。自社株買いは同期に 2.6 億円だった。営業キャッシュフロー 97 億円より、設備投資 104 億円のほうが大きい。
自己資本は 1,178 億円と時価総額の 2.6 倍あり、純現金は 129 億円。自己資本比率は 57%。それでも ROE が低いため、東証の要請に沿って、2024 年 5 月に資本コストを意識した経営を公表した。2027 年 3 月期の ROE 計画は 6.4%、ただし資本コスト(会社の自己評価は 3.6%)を上回る水準にとどまる。
政策保有株は 7 銘柄・15.8 億円と小さい。最大は美津濃で 11.7 億円。
大株主は、集計サイトによれば、サンビック(約 20%)、諸橋近代美術館(約 11%)、ティー・ティー・シー(約 10%)。創業家に近い法人・財団が約 4 割を持つ形だ。株主優待もあり、ゼビオグループの店で使える割引券(20% 券を年 2 枚、10% 券を年 8 枚、100 株以上)が出る。費用は開示がなく、筆者は年 4 億円前後と推定し、10 年分を還元に足した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ゼビオは、谷の底から戻る途中にある。2026 年 3 月期の営業利益 24 億円は、閉店・減損・投資の見直しで一時的に押し下げられた数字で、第 1 四半期の営業利益は前年から 39% 増え、半期の計画を 1 四半期で超えた。粗利益率は 38% から 39% へ上がり、ヴィクトリアとの共同仕入、大型 EC、低効率店の閉鎖が効き始めている。
財務は厚い。自己資本が時価総額の 2.6 倍あり、純現金が 129 億円ある。店の閉鎖や投資の見直しが一巡すれば、減損の費用は消え、営業利益率は 2018 年 3 月期の 4.7% に近づく。X'tyle は既存店の中に入る形で、新しい家賃をほとんど増やさずに売場の効率を上げる。
株主還元も変わる。資本コストを意識した経営を公表し、DOE 1.2% の配当は引き上げ余地が大きい。ROE が 6% に戻り、配当と自社株買いが増えれば、PBR 0.4 倍は見直される。今の株価は、構造改革の成果を何も織り込んでいない。
慎重な見方
ゼビオの利益率は、過去 10 年で 1 度も資本コストを超えたことがない。営業利益率の中央値は 2.4% で、2026 年 3 月期は 0.9% まで落ちた。会社は計画の達成を言い続けるが、2025 年 11 月には通期の経常利益の予想を 77 億円から 51 億円へ下方修正し、結果はそれも下回った。
売っているのは他社の商品だ。ナイキやアディダスなどのメーカーは直販を広げ、モールも値段で競う。店は試す場所になり、買う場所でなくなる恐れがある。店舗費 305 億円と人件費 317 億円は固定費で、売上が 1 割落ちるだけで、営業利益は消える。
自己資本が厚いことは、価値を意味しない。1,178 億円のうち 881 億円は在庫で、閉店セールでは 3 割ほどしか戻らない。敷金・保証金や店の設備は、店が負けたときに価値を失う。減損はすでに毎年のように出ており、これを一過性と呼ぶのは楽観が過ぎる。
資本の使い方も遅い。配当は DOE 1.2% で、自社株買いは 2.6 億円。資本コストを意識すると言いながら、行動は小さい。PBR 0.4 倍は、安いのではなく、妥当な値段だ。
どちらに重みを置いたか
強気の主張は、足元の戻りと財務の厚みに支えられていて、軽く見られない。だが、過去 10 年の利益率の実績と、固定費の重さ、メーカー直販の圧力は、慎重な見方を支える。中立は、営業利益率が 2% 台後半に戻る姿に置き、過去の中央値より少し高めにとどめた。楽観は、利益率が 3% 台に乗る場合のみで、確率は薄い。純現金と在庫の厚みがあるので、悲観の底は浅い。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,679 円695 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 634 円262 億円)。 今の値に割り戻すと 1,164 円482 億円、今との差 +7.6%、 期待の年率 +7.9%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,083 円1,276 億円 | 1,160 円480 億円 | +292.2% | +14.6% | 339 円140 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,455 円1,016 億円 | 967 円400 億円 | +216.2% | +12.2% | 684 円283 億円 |
| 中立 | 36% | 1,838 円761 億円 | 677 円280 億円 | +132.4% | +8.8% | 905 円375 億円 |
| やや悲観 | 24% | 871 円360 億円 | 338 円140 億円 | +11.8% | +1.1% | 290 円120 億円 |
| 悲観 | 12% | 586 円243 億円 | 193 円80 億円 | −27.9% | −3.2% | 94 円39 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,679 円695 億円 | 634 円262 億円 | +113.8% | +7.9% | 2,313 円957 億円 |
今の株価時価総額 1,082 円448 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 構造改革が実り、利益率が過去最高に近づく 利益 105 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 3,083 円1,276 億円
経営構造改革が終わり、閉店と減損の費用が出なくなる。ヴィクトリアとの共同仕入、大型 EC、商品の見直しで粗利益率が上がり、売上は 3,800 億円台まで伸びる。X'tyle は既存店の中に入り込み、アウトドア・衣料の売上が 1.25 倍になる。
営業利益は 143 億円で、利益率は 3.7%。2018 年 3 月期の 109 億円を超える。海外は小さいままだが、国内の客単価が物価並みに上がる。
配当性向を上げ、自社株買いも加えて、10 年で利益の半分強を返す。ROE は 6% 台に上がるが、自己資本が厚いため、資本コストには届かない。
- 一般競技スポーツ・シューズ・ウィンター:数量 111(国内の対象スポーツ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.34(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 1,489 億円・営業利益 57 億円。数量 1.15 倍(EC と X'tyle で客数が増える)、価格 1.34 倍。利益率 3.8%
- ゴルフ:数量 84.2(国内のゴルフ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.32(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 1,112 億円・営業利益 49 億円。数量 1.05 倍、価格 1.32 倍(中古の回転と新品の値上げ)。利益率 4.4%
- アウトドア・衣料・その他:数量 94.3(国内の対象商品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.32(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 1,244 億円・営業利益 42 億円。数量 1.25 倍(アウトドア・衣料の X'tyle 拡大)、価格 1.32 倍。利益率 3.4%
倍率:事業の純利益 105 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.0% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 1,276 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:不採算店の整理、X'tyle の拡大、EC、粗利益率の改善がそろい、2018 年 3 月期の営業利益率 4.7% に近い水準が定着する筋書き。過去 10 年で 4% を超えたのは 1 期だけなので、1 割を切る確率にとどめた。
やや楽観 20% 改革の成果が出て、利益率が 3% 台に乗る 利益 83 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 2,455 円1,016 億円
閉店と減損が一巡し、営業利益率は 3% 台前半まで戻る。一般競技スポーツ・シューズは、ランニングとシューズの好調が続き、売上が 1,380 億円になる。ゴルフは横ばいで、アウトドア・衣料が伸びる。
売上は 3,550 億円、営業利益は 110 億円。2023 年 3 月期の 83 億円を超える。配当は利益の 3 割台まで上がり、自社株買いも少し加わる。
ただし、すべての店が伸びるわけではない。ゴルフは新品の数量が横ばいで、値上げと中古の回転が利益を支える。ROE は 6% 台で、資本コストの手前にとどまる。
- 一般競技スポーツ・シューズ・ウィンター:数量 104(国内の対象スポーツ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.32(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 1,377 億円・営業利益 44 億円。数量 1.08 倍、価格 1.32 倍。利益率 3.2%
- ゴルフ:数量 80.2(国内のゴルフ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.30(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 1,043 億円・営業利益 40 億円。数量 1.00 倍、価格 1.30 倍。利益率 3.8%
- アウトドア・衣料・その他:数量 86.7(国内の対象商品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.30(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 1,127 億円・営業利益 32 億円。数量 1.15 倍、価格 1.30 倍。利益率 2.8%
倍率:事業の純利益 83 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 1,016 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の営業利益は 2026 年 3 月期の 24 億円から 70 億円へ戻る計画で、第 1 四半期は計画を超えた。実績が見えているので 2 割を置いたが、過去に計画が崩れた年が多く、中立より薄くした。
中立 36% 店は整理され、利益率は 2% 台後半で落ち着く 利益 62 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,838 円761 億円
店数は整理が続き、売場面積は少し減るが、EC と X'tyle で客数を補う。一般競技スポーツ・シューズは売上 1,260 億円、ゴルフは新品の需要が高齢化で細り 980 億円、アウトドア・衣料その他は 970 億円。売上は 3,200 億円で、物価の分だけ名目で伸びる。
営業利益は 80 億円で、利益率は 2.5%。2023 年 3 月期(3.5%)より低く、2025 年 3 月期(2.8%)に近い。毎年の閉店・減損費用 5 億円を、利益の中に入れてある。
配当は利益の 4 割台まで上がり、自社株買いも少し加わる。ROE は 4% 前後で、資本コストに届かない。
- 一般競技スポーツ・シューズ・ウィンター:数量 96.6(国内の対象スポーツ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.30(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 1,256 億円・営業利益 34 億円。数量 1.00 倍(店の整理を EC・新業態が補う)、価格 1.30 倍。利益率 2.7%
- ゴルフ:数量 76.2(国内のゴルフ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.28(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 975 億円・営業利益 31 億円。数量 0.95 倍(競技人口の高齢化)、価格 1.28 倍。利益率 3.2%
- アウトドア・衣料・その他:数量 75.4(国内の対象商品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.28(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 965 億円・営業利益 20 億円。数量 1.00 倍、価格 1.28 倍。利益率 2.1%
倍率:事業の純利益 61 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 761 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の計画は 2027 年 3 月期に営業利益 70 億円まで戻すというが、過去 10 年の中央値は 2.4% だった。改革は進む一方、スポーツ小売の値決めは難しく、実績は 2% 台に戻るのが最も確からしいとみて、最大の確率を置いた。
やや悲観 24% 価格競争で利益率が 1% 台に戻る 利益 30 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 871 円360 億円
メーカー直販の EC とモールに客が流れ、新品の値引き競争が続く。ゴルフは国内の競技人口の減少で数量が減り、シューズ・衣料も在庫処分が増える。
売上は 2,600 億円で、営業利益は 37 億円、利益率は 1.4%。2021 年 3 月期(1.4%)の水準に近い。閉店と減損の費用は毎年かかる。人件費と家賃は物価の分だけ上がり続け、値上げで売上を増やしても、利益には残らない。配当は据え置きに近く、自社株買いはない。
純現金と在庫が厚いので、資金繰りに困る形ではないが、自己資本は眠ったまま増える。会社は構造改革を続けるが、効果は費用に食われる。ROE は 2% 台に下がる。
- 一般競技スポーツ・シューズ・ウィンター:数量 85.0(国内の対象スポーツ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.22(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 1,037 億円・営業利益 17 億円。数量 0.88 倍、価格 1.22 倍。利益率 1.6%
- ゴルフ:数量 65.8(国内のゴルフ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.18(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 776 億円・営業利益 16 億円。数量 0.82 倍、価格 1.18 倍。利益率 2.0%
- アウトドア・衣料・その他:数量 67.9(国内の対象商品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.18(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 801 億円・営業利益 10 億円。数量 0.90 倍、価格 1.18 倍。利益率 1.2%
倍率:事業の ROE 2.2% は k 8.50% 以下なので、PER は 1÷k=11.8 倍が上限。利益が薄く、自己資本が眠る形。上限の 7 割台後半に置く。純現金と在庫の売れる値打ち(悲観の床 243 億円)を割らないよう、利益から見た倍率は下げすぎない。(上限の約 76% の 9.0 倍)
確率:メーカー直販の EC、ECモール、同業の値引きが続き、足元でも営業利益率は 0.9% まで落ちた。過去 10 年で 2% を下回った期が 3 回あるので、2 割台半ばを置いた。
悲観 12% 店が負けて縮み、資産の値打ちで評価される 利益 6 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 586 円243 億円
ナイキやアディダスなどのメーカーが直販を広げ、品ぞろえで差がつかなくなる。大型店の家賃(年約 300 億円)と人件費(約 320 億円)は固定費で、売上が 3 割落ちると利益が消える。
売上は 1,700 億円、営業利益は 5 億円にほぼ消える。店の閉鎖を急ぎ、閉鎖費用と減損が重なる。配当は半分以下に減り、自己資本が使われずに残る。
その場合、会社は稼ぐ力ではなく、純現金と在庫の売れる値打ちで評価される。それでも自己資本の 1,178 億円がそのまま戻るわけではなく、在庫の処分と店の解約費用で大きく目減りする。
- 一般競技スポーツ・シューズ・ウィンター:数量 62.8(国内の対象スポーツ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.10(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 691 億円・営業利益 4 億円。数量 0.65 倍、価格 1.10 倍。利益率 0.6%
- ゴルフ:数量 44.1(国内のゴルフ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.05(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 463 億円・営業利益 4 億円。数量 0.55 倍、価格 1.05 倍。利益率 0.8%
- アウトドア・衣料・その他:数量 52.8(国内の対象商品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段))× 価格 1.05(値段の指数(今=1.00。物価込みの名目))→ 売上 554 億円・営業利益 2 億円。数量 0.70 倍、価格 1.05 倍。利益率 0.3%
倍率:稼ぐ力(事業の純利益 約 6 億円)は評価の足しにならず、売れる資産で見る。今の自己資本 1,178 億円に 0.21 倍を掛け、243 億円とした。内訳は、純現金 129 億円、在庫 881 億円の 3 割(約 264 億円)、そこから店の閉鎖・賃貸契約の解約費用 約 150 億円を引いた額。土地建物は数えない。
確率:メーカー直販とモールが小売の粗利益を奪い、大型店の家賃を支えきれなくなる構造的な負け筋。ただし純現金と在庫の厚みがあり、すぐに行き詰まる形ではないので、確率は 12% にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
一般競技スポーツ・シューズ・ウィンター
シューズ、ランニング、球技、ウィンタースポーツなどの用品。スーパースポーツゼビオ、ヴィクトリアが主力。
| 数量国内の対象スポーツ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段) | 価格値段の指数(今=1.00。物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 96.6 | 1.00 | 966 | 9 |
| 10 年後 中立 | 96.6 | 1.30 | 1,256 | 34 |
取り方:市場の規模は、筆者の推計で小売ベースの約 1.2 兆円(実質)。売上 966 億円は、一般競技スポーツ・シューズ 894 億円とウィンター 72 億円の合計で、割るとシェアは約 8%。営業利益 8.5 億円は、会社が部門別の利益を出していないため、全体の営業利益 23.7 億円を売上で割り振った。
ゴルフ
新品・中古のゴルフ用品。ゴルフパートナー、PGA TOUR スーパーストアなど。
| 数量国内のゴルフ用品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段) | 価格値段の指数(今=1.00。物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 80.2 | 1.00 | 802 | 9 |
| 10 年後 中立 | 76.2 | 1.28 | 975 | 31 |
取り方:市場の規模は、筆者の推計で小売ベースの約 6,000 億円(実質、中古を含む)。売上 802 億円(2026 年 3 月期)を割るとシェアは約 13%。営業利益 9.0 億円は、全体の営業利益を売上で割り、中古の粗利益が高い分を少し厚めに置いた推定。
アウトドア・衣料・その他
アウトドア、スポーツ衣料、X'tyle(スポーツファッション)、ザイアス(ドラッグ)、パステル(文具)、食品・宿泊など。
| 数量国内の対象商品の実質規模 × ゼビオのシェア(十億円・2026 年の値段) | 価格値段の指数(今=1.00。物価込みの名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 75.4 | 1.00 | 754 | 6 |
| 10 年後 中立 | 75.4 | 1.28 | 965 | 20 |
取り方:市場の規模は、筆者の推計で約 1.5 兆円(実質)。売上 754 億円は、アウトドア・その他 313 億円、スポーツ衣料 282 億円、その他 159 億円の合計で、割るとシェアは約 5%。営業利益 6.2 億円は、全体の営業利益を売上で割り振った推定。
リスクと懸念
メーカー直販とモールへの客の流出
ナイキやアディダスなどは自社サイトとモールに力を入れている。店は試す場所になり、買う場所でなくなると、粗利益率が削られる。会社は粗利益率 39% を保つが、これは試されていない。
固定費の重さ(家賃・人件費)
2026 年 3 月期は家賃などの店舗費が 305 億円、人件費が 317 億円で、営業利益の 12 倍を超える。売上が 1 割落ちると、営業利益が消える形だ。新リース会計基準でこの固定費の見え方が変わる。
改革の費用が続く
2026 年 3 月期は減損 36 億円、ゼビオアリーナ仙台の改修と寄附に伴う損失 24 億円など、特別損失が 74 億円出た。会社は 2027 年 3 月期を締めくくりの年とするが、閉店・減損は小売の常で、毎年出る費用と見るのが安全だ。
天候とゴルフ需要
暖冬の年はウィンタースポーツが落ち、2026 年 3 月期は 15% 減った。ゴルフは売上の 3 割強を占め、競技人口の高齢化で新品の数量が細る。中古は強いが、買い取りの仕入れ価格に左右される。
創業家関連が大株主
サンビック(約 20%)、諸橋近代美術館(約 11%)、ティー・ティー・シー(約 10%)が並ぶ。出資の約 4 割が創業家関連と、集計サイトの数字からは見える。経営の方針が株主の意向に左右される余地がある。
ゴルフ・スポーツ用品の価格上昇への耐性
物価の上昇でも、客数が落ちると値上げは通らない。2025 年のスポーツ用品市場は、単価の上昇で底上げされた。実需が伸びない中での値上げは、いつか止まる。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期の営業利益が計画の 70 億円に届いたら
- 改革の効果が実績で見えたことになる。中立の営業利益率を 2.5% から 3% に近づけ、楽観寄りの確率を厚くする。
- 営業利益率が 2 期連続で 3% を超えたら
- 利益の底上げが定着した証拠。やや楽観の確率を上げる。ただし ROE が 6% を超えるまでは、倍率は上げない。
- 閉店と減損の特別損失が、2027 年 3 月期にも 30 億円を超えて出たら
- 改革が終わっていない。中立で入れた毎年 5 億円の費用を増やし、やや悲観の確率を上げる。
- 配当を引き上げ、DOE が 1.2% から 2% を超えたら
- 資本の使い方が変わる兆し。余った現金の戻り方を 0.5 から上げ、純現金の評価を引き上げる。
- ゴルフの売上が 2 期連続で前年を下回ったら
- 主力のゴルフの数量が細り始めた証拠。ゴルフの数量を下方に直す。
- 筆頭株主の持分に動き(売却・追加取得)があったら
- TOB や再編の可能性を考える。確率は 10 年で 2 割強とみられるが、評価の数字は動かさず、事実が出てから見直す。
見ておくもの
- 営業利益率(2026 年 3 月期 0.9% → 計画 2.6%)と、特別損失の大きさ
- 粗利益率(39%)と、EC・メーカー直販の影響
- ゴルフ・一般競技スポーツ・シューズ・アウトドアの既存店の動き
- 純現金・在庫(881 億円)・敷金の推移と、配当・自社株買いの方針
- 店数(969 店)と売場面積の推移
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 458 億円や PBR 0.4 倍を見る前に、売上を 3 つの部門に分け、数量 × 値段 × 利益率から 10 年後の利益を積み、資本コスト 8.5% から倍率を決めた。中立は ROE が 5% 前後で、倍率は式の上限(1÷k)の 8 割に置いた。純現金 129 億円のうち、運転資金として売上の約 0.4 か月分(約 84 億円)を残した 45 億円を、余った現金として足した。結果は、中立では今の時価総額を上回るが、5 つの筋書きを確率で重ねると 1 割弱下回り、適正の範囲に入った。ROE が低く、価値の大半は 10 年先の利益の回復に頼っている。家賃は営業費のまま、10 年後の数字も今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.6→11.76 倍・やや楽観 PER 9.6→11.76 倍・中立 PER 9.4→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。