結論
ファーマライズは全国に約400店の調剤薬局を持つ中堅のチェーンだ。筆者の結論は割高である。薬の値段と調剤の報酬は国が決め、2年ごとに削られる。借入は自己資本の1.3倍あり、営業利益の3割近くが利払いに消える。
2026年5月期の営業利益は約10億円で、売上の1.4%しか残らない。2期続いた赤字からは抜けたが、純利益は1億円ほどだ。中計は2028年5月期に営業利益16億円を掲げるが、過去12年でその水準に届いた年はない。
筆者は10年後の自己資本利益率(ROE)を6%台とみる。資本コストの8%に届かない会社の利益には、高い値段は払えない。スズケンが2割を持つので、店の網に買い手が付く場面はありうる。ただ、それは筋書きの上側の話で、今の値段の支えにはならない。
需要そのものは高齢化で底堅く、店が急に消える会社ではない。問題は、増えた処方箋の稼ぎが国の改定と薬剤師の給料と銀行への利払いに分けられ、株主の手元にほとんど残らないことだ。店を増やすほど借入とのれんも増える形も、筆者には好ましく映らない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ファーマライズは「国が値段を決める商売を、借入で広げた会社」だ。調剤の需要は高齢化で底堅く、店は簡単には潰れない。だが株主のものになる利益は、薬価の改定と利払いのあとに残るわずかな額だ。
筆者がいちばん気にしているのは、値段を決める力が無いことだ。薬剤師の給料は物価とともに上がるのに、売上の値段は国が下げる。この挟み撃ちは、店を増やしても消えない。
オーナーとして持ちたいのは、借入を減らしてROEが資本コストに届く道が数字で見えた時だ。安全域は、今の値段には無いと考える。
帳簿の自己資本は66億円あるが、その大半はのれんだ。買った店の稼ぎが落ちれば、この帳簿の値打ちは簡単に削られる。売れる資産で見ても、店を売って借入を返すと残りは少ない。オーナー利益、つまり再投資を引いて株主に残る利益は、年に数億円の規模にとどまる。
何で稼ぐ会社か
ファーマライズは1984年創業で、東京に本社を置く。売上は約695億円で、その85%が調剤薬局だ。店は406で、2026年2月に関東の三幸メディカルの16店を買って加えた。
調剤薬局は、病院や診療所が出す処方箋を受けて薬を渡す商売だ。売上は薬の代金と、薬剤師の仕事に対する報酬からなる。どちらも国が値段を決め、患者の負担は1〜3割で、残りは健康保険から入る。店の多くは病院の近くに構える門前の薬局で、建物は借りている。
2つ目の柱は物販で、ドラッグストアを営む。売上は約80億円だが、営業利益は赤字だ。ほかに、病院のカルテなど医学資料を預かる事業と、医療機関を1つの建物に集めた医療モールを営む。どちらも小さいが、利益率は15%を超える。
健康サポート薬局は81店、地域連携薬局は86店ある。在宅の患者に薬を届ける仕事や、認知症の相談の場も手がける。
稼ぎの仕組みは単純だ。処方箋が1枚来るたびに、薬の代金と調剤の手数料が入る。薬の代金は仕入れとの差がわずかで、利益の多くは手数料の側から出る。だから国が手数料の点数をどう決めるかが、会社の利益をほぼ決める。店の売上は近くの病院の患者の数に左右され、病院が移転や閉院をすれば店の値打ちも一緒に消える。
優良さと弱いところ
強みは、店の網と、卸の大手スズケンとの提携だ。スズケンは2割を持つ主要株主で、薬の仕入れと買収の資金の両面で後ろ盾になる。後継者のいない小さな薬局を買って店を増やす力は、中堅の中では確かだ。
弱さは3つある。第1に、値段を決める力が無い。薬価は毎年のように下がり、調剤の報酬も門前の薬局ほど削られる。第2に、借入が重い。純負債は86億円で、のれんは73億円ある。第3に、資本の稼ぎが薄い。過去10年のROEの中央値は1%台で、店の減損で赤字の年もあった。
薬剤師の給料は人手不足で上がり続ける。上位のアインやクオールは規模で仕入れと採用に勝り、中堅との差は広がりやすい。
経営は創業家が握り、買収で店を増やす路線を続けてきた。ただ、買った店の稼ぎが資本コストを上回った証拠はまだ乏しい。のれんが自己資本を上回る今の形は、資本の使い方として重すぎると筆者は考える。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
調剤の市場は約8兆円で、処方箋の枚数は高齢化で緩やかに増える。だが国の医療費は膨らみ続け、国は薬価と調剤の報酬を削って抑えにかかる。数量は伸びても、1枚あたりの稼ぎは物価に届かない構造だ。
報酬の配分も変わっている。国は大病院の前に並ぶ門前の薬局を減らし、地域のかかりつけや在宅に報酬を寄せる。電子処方箋とオンラインの服薬指導が広がれば、店の立地の値打ちも薄れる。
薬局は全国に6万店あり、上位10社でも2割ほどしか持たない。後継者のいない個人の薬局が多く、買収による再編は続く。買う側はアイン、クオール、日本調剤のような大手と、ドラッグストアの調剤の併設だ。ファーマライズは中堅として買う側にいるが、借入の余力は大きくない。
筆者は、10年で業界の上位への集約が進み、中堅は大手か卸の傘下に入る道もあるとみる。
人の面の逆風も強い。薬剤師の数は増えているが、都市と地方の偏りが大きく、地方の店ほど人を集める費用がかさむ。調剤の機械化と電子処方箋は事務の手間を減らすが、その分の稼ぎも報酬の改定で国に取り戻されやすい。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。2026年5月期の配当は総額1.6億円で、純利益を上回った。配当性向は140%で、利益より配当の安定を優先している。自社株買いはしていない。株主優待は100株以上の株主に商品券などを贈るが、費用は年に1億円に満たない。
財務は借入に頼る。有利子負債は約146億円で、現預金は60億円だ。買収のたびに借りて、のれんが積み上がった。
大株主は創業家の資産管理会社が約3割、スズケンが約2割を持つ。2人で過半に届くので、他社が敵対的に買うことはできない。スズケンが残りを取り込む再編は起こりうる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
調剤の需要は高齢化で底堅い。処方箋の枚数は増え続け、景気にもほとんど左右されない。2026年5月期は営業利益が3倍強に戻り、2期続いた赤字から抜けた。三幸メディカルの16店も加わり、来期は1年分の利益が乗る。
再編は追い風だ。後継者のいない小さな薬局は多く、スズケンの後ろ盾があれば安く買える。地域連携薬局と健康サポート薬局は全体の2割に達し、国が報酬を寄せる側の店を持っている。
のれんの償却が進めば、会計の利益は自然に増える。中計の営業利益16億円に届けば、ROEは10%近くに上がる。スズケンが残りの株を取り込む再編になれば、店の網に値段が付く。
医学資料の保管と医療モールは小さいが、利益率は15%を超える。病院とのつながりは、新しい店を出す場所を見つける力にもなる。金利の上昇も、のれんの償却が終わる分と店の統合の効果で吸収できる。
薬剤師の不足は、裏を返せば新しい競合が店を出しにくいということだ。人を抱えた既存のチェーンほど、地域で残る店を握れる。
慎重な見方
値段を決めるのは国だ。薬価は毎年のように下がり、門前の薬局の報酬も削られてきた。薬剤師の給料は人手不足で物価以上に上がる。この挟み撃ちで、営業利益率は過去12年のうち多くの年で3%に届かなかった。
借入が重い。純負債は86億円、のれんは73億円あり、自己資本は66億円しかない。金利が上がれば利払いは年に2億円増え、営業利益の多くが消える。店の減損がまた起これば、自己資本は簡単に薄くなる。
中計の目標は過去に届いたことのない水準だ。店の家賃は売上が落ちても下がらない。電子処方箋とオンラインの服薬指導が広がれば、門前の立地の値打ちも薄れる。
物販のドラッグストアは赤字で、食品を安く売る大手との競争に勝てていない。配当は利益を上回っており、利益が増えなければ続けにくい。
買収で店を増やすほど、のれんと借入が積み上がる。1店に1億円近くを払う今の買収の値段では、報酬が削られた時に減損の形で跳ね返る。規模でも中堅にとどまり、大手との仕入れと採用の差は縮まらない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。需要の底堅さは本物だが、値段を国に決められ、借入の利払いが利益を削る構造は店を増やしても変わらない。中立を最も厚くし、やや悲観と悲観を合わせて4割弱に置いた。中計の営業利益16億円に届くか、借入を減らす方針が数字で出るかで見直す。スズケンによる再編の可能性は上側の確率に少し含めたが、噂の段階の話に重みは置かない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 473 円54 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 141 円16 億円)。 今の値に割り戻すと 281 円32 億円、今との差 −44.7%、 期待の年率 +1.9%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,535 円177 億円 | 261 円30 億円 | +253.6% | +13.5% | 108 円12 億円 |
| やや楽観 | 18% | 858 円99 億円 | 191 円22 億円 | +106.5% | +7.5% | 189 円22 億円 |
| 中立 | 37% | 513 円59 億円 | 156 円18 億円 | +31.8% | +2.8% | 248 円28 億円 |
| やや悲観 | 27% | 116 円13 億円 | 104 円12 億円 | −56.7% | −8.0% | 59 円7 億円 |
| 悲観 | 12% | 46 円5 億円 | 43 円5 億円 | −82.4% | −15.9% | 11 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 473 円54 億円 | 141 円16 億円 | +21.0% | +1.9% | 614 円71 億円 |
今の株価時価総額 508 円58 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 調剤の再編で買う側に立ち、店が480に増え利益率が中計を超える 利益 15 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 1,535 円177 億円
調剤の業界再編で、ファーマライズが小さな薬局を買い続ける筋書きだ。後継者のいない個人の薬局は全国に多く、スズケンの仕入れと資金の後ろ盾で年に10店前後を取り込む。店は480に増え、地域の医療機関と組む健康サポート薬局が増える。
国は薬局の数を絞り、在宅や高度な薬を扱う店に報酬を寄せる。その流れに乗れた店は、処方箋1枚あたりの稼ぎを守れる。調剤の利益率は3.5%に上がり、営業利益は30億円近くになる。
利益で借入を返し、利払いは増えない。ROEは資本コストを上回り、配当も増える。スズケンとの共同の仕入れで、薬の仕入れの値引きも厚くなる。
- 調剤薬局:数量 480(店の数(期末))× 価格 190(1店あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 912 億円・営業利益 32 億円。480店×1店1.9億円(1.30倍。薬価の引き下げを在宅と高度な調剤で補う)、3.5%
- 物販(ドラッグストア):数量 35.0(店の数(推定))× 価格 306(1店あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 107 億円・営業利益 2 億円。35店×物価並み、1.5%
- 医学資料保管・管理:数量 330(預かりの契約の数(推定))× 価格 2.68(1契約あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。契約330×物価並み、16%
- 医療モール経営:数量 12.0(モールの数(推定))× 価格 67(1か所あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。12か所×物価並み、18%
倍率:ROE約12%、k 9.5%、g 4%、残る割合1/2でRONIC 10.1%、正当化PER (1−0.04÷0.101)÷0.04 ≒ 15.1倍。調剤報酬の改定で利益が国に左右されるので8割の11.83倍。
確率:中計の営業利益16億円は過去12年で届いていない水準だ。その先でさらに倍に近づく筋なので6%とした。過去の山の利益率5.6%(2012年5月期)には戻らない前提でも、達成の道は細い。
やや楽観 18% 中計の利益を達成し、在宅と地域連携で店の稼ぎを保つ 利益 9 億円 · PER 10.6 倍 · 株価時価総額 858 円99 億円
中計の目標を数年遅れで達成し、その先も緩やかに伸びる筋書きだ。店は買収と閉店を差し引いて450に増える。地域連携薬局と在宅の調剤が増え、処方箋1枚あたりの稼ぎは薬価の引き下げをある程度打ち返す。
薬剤師の給料は物価以上に上がるが、店の統合と電子処方箋で事務の手間が減る。調剤の利益率は3.0%に上がり、営業利益は20億円を超える。
利払いは金利の上昇で少し増えるが、のれんの償却が減る分で吸収する。ROEは資本コストをわずかに上回り、配当は利益に沿って増える。赤字の物販は店を絞り、小さな黒字に戻る。
- 調剤薬局:数量 450(店の数(期末))× 価格 181(1店あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 815 億円・営業利益 25 億円。450店×1店1.8億円(1.24倍)、3.0%
- 物販(ドラッグストア):数量 35.0(店の数(推定))× 価格 297(1店あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 104 億円・営業利益 1 億円。35店×1.30倍、1.0%
- 医学資料保管・管理:数量 320(預かりの契約の数(推定))× 価格 2.68(1契約あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。契約320×物価並み、15.5%
- 医療モール経営:数量 11.0(モールの数(推定))× 価格 67(1か所あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。11か所×物価並み、17%
倍率:ROE約9%、k 9.5%、g 4%、残る割合1/2でRONIC 8.6%、正当化PER (1−0.04÷0.086)÷0.04 ≒ 13.4倍。利益の大半が報酬の改定に左右されるので8割の10.6倍。
確率:2026年5月期は営業利益が3倍強に戻り、三幸メディカルの16店も加わった。中計の営業利益16億円を数年遅れで超える筋として18%とした。
中立 37% 店は少しずつ増えるが、薬価の引き下げと人件費で稼ぎは薄いまま 利益 6 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 513 円59 億円
店の数は緩やかに増えるが、1店の稼ぎは物価に届かない筋書きだ。店は430に増え、処方箋の枚数は高齢化で少し伸びる。だが国は2年ごとの改定で薬価と調剤の報酬を削り、1店の売上は10年で1.18倍にとどまる。
薬剤師と事務の給料は物価並みに上がる。調剤の利益率は2.6%と今より少し上がるだけで、営業利益は15億円ほどになる。借入の金利が上がり、利払いは今より年に2億円ほど増える。
純利益は5億円台で、ROEは6%台にとどまり資本コストに届かない。配当は今の水準を保ち、自社株買いはしない。借入は少しずつ減るが、買収を続ける限り大きくは減らない。
- 調剤薬局:数量 430(店の数(期末))× 価格 172(1店あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 741 億円・営業利益 19 億円。430店×1店1.7億円(1.18倍。薬価の引き下げで物価に届かない)、2.6%
- 物販(ドラッグストア):数量 33.0(店の数(推定))× 価格 286(1店あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 94 億円・営業利益 1 億円。33店×1.25倍、0.5%
- 医学資料保管・管理:数量 300(預かりの契約の数(推定))× 価格 2.60(1契約あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。契約300×1.30倍、15%
- 医療モール経営:数量 10.0(モールの数(推定))× 価格 67(1か所あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。10か所×物価並み、17%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 59 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:薬価の毎年の引き下げと薬剤師の人件費の上昇が、店の増加と処方箋の伸びとほぼ打ち消し合う。過去10年の営業利益率が1〜3%に収まってきた事実を落としどころとして37%とした。
やや悲観 27% 報酬の引き下げに人件費が重なり、利益がほぼ利払いに消える 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 116 円13 億円
国の医療費の抑制が強まり、調剤の報酬が大きく削られる筋書きだ。門前の薬局、つまり大病院の前に構える店ほど報酬を下げられ、1店の売上は10年で1.08倍にとどまる。薬剤師の給料は物価並みに上がり、調剤の利益率は1.9%に落ちる。
不採算の店を閉じ、店は400に減る。営業利益は7億円ほどで、利払いがその多くを食べる。純利益は1億円前後で、配当は減る。
店の家賃は売上が落ちても下がらない。借入の返済が優先され、株主の取り分はわずかになる。店の譲渡で借入を減らす道は残るが、値段は買い手が決める。報酬が削られた局面では、店を売る値段も下がっている。
- 調剤薬局:数量 400(店の数(期末))× 価格 158(1店あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 631 億円・営業利益 12 億円。400店×1店1.58億円(1.08倍)、1.9%
- 物販(ドラッグストア):数量 28.0(店の数(推定))× 価格 263(1店あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 74 億円・営業利益 −1 億円。28店×1.15倍、−1%
- 医学資料保管・管理:数量 280(預かりの契約の数(推定))× 価格 2.50(1契約あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。契約280×1.25倍、13%
- 医療モール経営:数量 9.0(モールの数(推定))× 価格 65(1か所あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。9か所×1.30倍、15%
倍率:ROEは1%台で資本コストを大きく下回り、稼ぐ力(純利益÷k)は十数億円しかない。今の自己資本66億円に0.2倍を掛け、店の譲渡の値打ちから借入を引いた残りの13億円とみる。
確率:2024〜2025年5月期は2期続けて赤字だった。報酬の改定が厳しく出る年が続けば同じ形に戻るので27%とした。
悲観 12% 門前の薬局が報酬の削減で赤字に沈み、借入の約束に触れる 利益 −8 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 46 円5 億円
調剤の報酬が構造的に削られ、門前の薬局が赤字に沈む筋書きだ。国は薬局の数を減らす方向に報酬を組み替え、オンラインの服薬指導と薬の配送も広がる。店は360に減り、1店の売上は10年でほぼ横ばいになる。
薬剤師の給料と店の家賃は下がらず、営業利益は赤字になる。のれんの減損で自己資本は大きく減り、配当は止まる。借入の約束に触れ、銀行は返済の前倒しを求める。
会社は店を同業に売って借入を返す。買い手は大手の調剤チェーンや卸で、値段は安い。株主に残るのは、借入を返したあとのわずかな残りだ。救済の出資があれば、既存の株主の取り分はさらに薄まる。
- 調剤薬局:数量 360(店の数(期末))× 価格 143(1店あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 516 億円・営業利益 4 億円。360店×1店1.43億円(0.98倍)、0.8%
- 物販(ドラッグストア):数量 20.0(店の数(推定))× 価格 240(1店あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 48 億円・営業利益 −1 億円。20店、−3%
- 医学資料保管・管理:数量 260(預かりの契約の数(推定))× 価格 2.40(1契約あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。契約260、10%
- 医療モール経営:数量 8.0(モールの数(推定))× 価格 65(1か所あたりの年間の売上(百万円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。8か所、12%
倍率:赤字で稼ぐ力は床にならない。店の譲渡の値段は報酬の削減で下がり、借入を返すとほとんど残らない。今の自己資本66億円に0.08倍を掛けた約5億円とみる。
確率:自己資本比率20%で純負債は自己資本の1.3倍ある。報酬の構造的な削減で赤字が続けば株主の取り分がほぼ消えるので12%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
調剤薬局
全国約400店の調剤薬局。処方箋を受けて薬を渡し、薬の代金と調剤の報酬を得る。
| 数量店の数(期末) | 価格1店あたりの年間の売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 406 | 146 | 593 | 14 |
| 10 年後 中立 | 430 | 172 | 741 | 19 |
取り方:期末406店(三幸メディカルの16店を含む)で、売上593.3億円を割った1店あたり約1.46億円。利益はセグメント利益13.86億円。三幸の分は約3か月だけ入っている。
物販(ドラッグストア)
ドラッグストアでの一般用医薬品・日用品の販売。
| 数量店の数(推定) | 価格1店あたりの年間の売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 35.0 | 229 | 80 | −1 |
| 10 年後 中立 | 33.0 | 286 | 94 | 1 |
取り方:店の数の開示が見当たらないため35店と推定し、売上約80億円を割った。セグメント損益は−0.83億円。
医学資料保管・管理
病院のカルテ・フィルムなどの医学資料を預かり管理する。
| 数量預かりの契約の数(推定) | 価格1契約あたりの年間の売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 300 | 2.00 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 300 | 2.60 | 8 | 1 |
取り方:契約の数の開示が無いため300と推定し、売上約6億円を割った1契約200万円。利益率は約15.5%。
医療モール経営
診療所と薬局を1つの建物に集めた医療モールを営み、賃料を得る。
| 数量モールの数(推定) | 価格1か所あたりの年間の売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 10.0 | 50 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 10.0 | 67 | 7 | 1 |
取り方:モールの数を10と推定し、売上約5億円を割った1か所5,000万円。セグメント利益0.87億円。
リスクと懸念
調剤の報酬と薬価の引き下げ
薬価と調剤の報酬は国が2年ごとに決める。門前の薬局ほど報酬が削られる流れで、売上の85%を占める調剤の1店の稼ぎが物価に届かない。
借入と金利
純負債は86億円で自己資本の1.3倍ある。金利が上がれば利払いは年に2億円ほど増え、10億円前後の営業利益の多くが消える。
のれんの減損
買収で積んだのれんは73億円で、自己資本の1.1倍ある。買った店の稼ぎが落ちれば減損で自己資本が大きく減る。2024〜2025年5月期は2期続けて赤字だった。
薬剤師の人件費と採用
薬剤師は人手不足で、給料は物価以上に上がりやすい。大手は採用と教育の規模で勝り、中堅の店は人を確保する費用がかさむ。
店の家賃
店の多くは借りている。家賃は売上が落ちても下がらない固定の約束で、報酬が削られた年ほど利益を圧迫する。2028年5月期からの新リース会計基準で負債はさらに大きく見える。
今後の分かれ目
- 中計の営業利益16億円に届いたら
- 店の稼ぎが報酬の改定に耐えられる証拠として、やや楽観の確率を上げる。
- 調剤の報酬の改定で門前の薬局の報酬がさらに大きく削られたら
- やや悲観に重みを移す。
- スズケンが持株を引き上げる、または完全子会社化を持ちかけたら
- 店の網に値段が付く場面として、時価総額の見方を見直す。
- のれんの減損で純利益が赤字になったら
- 買収の値段が高すぎた証拠として、悲観の確率を上げる。
- 借入を減らす方針を数字で示したら
- 利払いの重さが軽くなるので、中立の純利益と資本コストを見直す。
見ておくもの
- 調剤報酬・薬価の改定の内容
- 既存店の処方箋の枚数と1枚あたりの単価
- 純負債とのれんの額
- 中計の営業利益16億円の進み
- スズケンの持株比率
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価やPBRを見ずに、ROEとk 9.5%から決めた。中立のROEは6%台で資本コストに届かないので、PERは1÷kの12.5倍の8割に置いた。利益率は過去12年の山(5.6%)より低く置いた。2028年5月期からの新リース会計基準で賃借の店の分が負債に載るが、10年後の数字は今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.2→11.83 倍・中立 PER 10→10.53 倍)。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。