結論
安楽亭は、焼肉の「安楽亭」と、ステーキの「ステーキのどん」「フォルクス」などを合わせて 294 店営む外食グループだ。利益の 85% を、子会社のアークミールが稼ぐ。
筆者の結論は割高。焼肉の本家は売上が減り続け、利益の柱は 1 つだけだ。外食は人件費と家賃が先に上がり、借金もある。今の時価総額に見合う稼ぐ力は見えない。
2026 年 3 月期は売上 308 億円、営業利益 14 億円、営業利益率は 4.7%。純利益は 8.5 億円だが、グループ内の配当金など一時の要因が混じる。今期の会社予想は経常が 13% 減る。
株主優待は手厚く、100 株で六千五百円分の食事券が年に 2 回届く。これは株主の取り分だが、費用は年に 0.7 億円と推定され、価値を大きく動かすほどではない。
10 年後の純利益は 9 億円前後にとどまり、自己資本利益率は 6% 弱で、資本コストに届かない。強気の筋書きでも、今の時価総額には届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見たとき、持ちたい会社かと問えば、いまは持たない。
アークミールは悪くない事業だが、利益の柱が 1 本で、焼肉の本家が足を引っ張る。利益率は 4〜5% と薄く、人件費と食材が上がれば、すぐ赤字に近づく。財務も、コロナ禍で純資産が 3 割近く減った事実を忘れてはならない。
10 年後の自己資本利益率は 6% 弱で、資本コストの 8.7% に届かない。稼いだ利益を再投資しても、価値は増えない。この水準の会社に払ってよい倍率は、利益の 10 倍ほどが上限だ。
今の値段は純資産の 2 倍強、利益の約 20 倍にあたる。安全域がない。
見直す条件は、安楽亭の縮小が止まることと、利益率が 6% を超えて定着することだ。
どちらも、決算の数字で確かめられる。確かめられるまでは、今の値段は払い過ぎである。
何で稼ぐ会社か
事業は 2 本の柱だ。焼肉の安楽亭・七輪房が 152 店、アークミールのステーキ・しゃぶしゃぶ業態が 134 店ある。連結の店は 294 店で、前期の 305 店から減った。
2026 年 3 月期の売上は、アークミールが 196 億円(6 割強)、安楽亭・七輪房が 107 億円だ。アークミールは売上が 6% 増え、営業利益率は 7.9%。安楽亭・七輪房は売上が 6% 減り、利益率は 2.6% に落ちた。
アークミールは「ステーキのどん」「フォルクス」「しゃぶしゃぶどん亭」を営む。安楽亭は、不採算の焼肉 4 店をフォルクスなどに業態転換し、11 店を閉めた。
店は郊外のロードサイドが中心で、多くは賃借だ。1 店あたりの客数は天候と食材価格に左右される。
稼ぎ方は薄利の積み上げで、原価率は約 4 割、残りで人件費と家賃を払う。牛肉の相場と人手の確保が、利益を決める。
店の数は、1 店ごとの採算で決まる。採算の悪い店を閉め、客の多い立地にフォルクスなどの業態を移す動きが続いている。新しい店は、郊外の集客力のある場所に限られる。連結には、フランチャイズ店と暖簾店も含まれる。
優良さと弱いところ
優良さを一言で言えば、改善途上の外食で、堀は浅い。
強みは、アークミールが持つ「どん」ブランドの知名度と、郊外のロードサイドに店を持つ立地だ。利益率は 7.9% と、外食の中でも高い部類に入る。株主優待が手厚く、個人株主が多いことも、客を呼ぶ仕組みとして働く。
弱みは大きい。本家の安楽亭は、売上が 6% 減り、利益は 4 割減った。今期の第 1 四半期も売上は 1 割減る。焼肉は食べ放題の競合が多く、牛肉価格の上昇を値上げで吸収しにくい。
財務も強くない。自己資本比率は 32% で、純有利子負債は 31 億円ある。コロナ禍の 2021 年 3 月期と 2022 年 3 月期には、営業赤字が合わせて 37 億円に達した。営業利益率は過去 10 年で 5% を超えたことがなく、自己資本利益率の中央値は 1% に満たない。
筆者は資本コストを 7.9% と、基本より 1.2 ポイント高く置いた。景気に弱い点、借金、本家の縮小が理由である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食の数量は、店の数と客数で決まる。人口が減る日本では、店舗網は飽和に近い。焼肉は食べ放題の価格競争が強く、店の数が減る流れが続く。
価格は物価に合わせて上げられるかが勝負になる。最低賃金は年に 3〜5% 上がり、牛肉と輸入食材も円安で高い。値上げが通りにくい業態は、利益が削られる。ステーキとしゃぶしゃぶは、焼肉より客単価の設定に自由度がある。
競合は多い。焼肉ではあみやき亭や牛角、ステーキではいきなり!ステーキやブロンコビリーが並ぶ。ファミリーレストランも、すかいらーくなどが郊外で競う。
郊外のロードサイド店は、家賃が都心より低いが、車で来る客が減ると客数が落ちる。若い世代の外食離れと、中食への流れも逆風だ。
10 年の見立ては、アークミールの店が横ばいで、安楽亭の焼肉は店と客が減り続ける。価格は物価並みに上がる。
食材の面では、輸入牛肉の関税や為替の影響が大きい。円安が進むほど、牛肉の仕入れ価格は上がる。値上げをためらえば、利益率が先に削られる。
人手不足で時給が上がり、深夜や休日の営業を絞る店も出る。
資本政策と M&A
資本政策の特徴は、配当を薄くして、株主優待で報いることだ。配当性向は約 8% にとどまる。借金の返済を優先する方針とみる。
株主優待は年 2 回、100 株で六千五百円分の食事券と、指定商品の引換券を贈る。株主は 8,700 名ほどで、費用は年に 0.7 億円と推定する。開示は取得していない。優待は株主の受け取りだが、費用は利益から引かれているため、10 年の還元に年の費用 × 10 年を足した。
借金と家賃も軽くない。純有利子負債は 31 億円。店は賃借が多く、家賃は年に 20 億円を超えると推定する。純負債は、リースの約束を含まない。
2026 年 10 月 19 日付で、豊山開発が保有比率 23% の大量保有報告書を出した。同社の狙いは未確認で、筋書きの確率には織り込んでいない。償却は年 8 億円前後と推定する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
アークミールが強い。売上は前期に 6% 増え、営業利益は 13% 増えた。今期の第 1 四半期も売上は 6% 増えている。ステーキとしゃぶしゃぶの客単価は、焼肉より高く、値上げが通る余地がある。
安楽亭は不採算店の整理を終えつつある。4 店をフォルクスなどに転換し、11 店を閉めたことで、1 店あたりの利益が上がる。
2024 年 3 月期から 3 期連続で営業利益は 14〜15 億円を保っており、コロナ後の立て直しは確かだ。借金は返済が進み、純有利子負債は 2 年で 13 億円減った。
株主優待の手厚さで、個人株主が離れにくい。豊山開発の大量保有で、経営の安定や買収の可能性もある。その場合、割増しの価格が付く。
アークミールの店は、改装を進めるほど客単価と客数の両方が上がっている。新しい業態への転換が進めば、焼肉の弱さを補える。
コロナ後の立て直しは、営業利益の水準が 3 期続いた点で、確かな実績になっている。
慎重な見方
今の利益は、アークミールが 1 人で稼いでいる。本家の安楽亭は売上が減り続け、利益率は 2.6% に落ちた。第 1 四半期の売上は 11% 減で、縮小は止まっていない。会社の今期予想も、経常で 13% の減益だ。
外食は、人件費と食材、家賃が物価より先に上がる商売だ。値上げで吸収できなければ、利益率は 5% 以下に戻る。2021 年から 2 年で営業赤字 37 億円を出した事実が、固定費の重さを示す。
借金は 31 億円あり、純資産に対して自己資本比率は 32% と、財務の余裕は少ない。金利が上がると、利払いも増える。
自己資本利益率は 6% 弱で、資本コストに届かない。純資産の 2 倍強という値付けは、期待が先に走っている。
第 1 四半期の安楽亭の減収が続くかどうかが、この先の見立ての分かれ目になる。
借金の多さは、金利が上がる局面で、利益を削る方向に働く。
豊山開発の保有が高まれば、少数株主の立場はさらに弱くなる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。アークミールの強さは本物だが、焼肉の本家の縮小と財務の弱さが、価値の上限を決める。
強気の見方が当たるのは、アークミールの値上げ余地と借金の返済だ。確率は、楽観とやや楽観に 2 割台、悲観側に 3 割台を置いた。
特に、焼肉の縮小が続く間は、全社の利益の伸びを期待しにくい。
優待の手厚さは、株主への還元として評価に加えた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,673 円123 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 309 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 1,461 円67 億円、今との差 −60.8%、 期待の年率 −2.2%(資本コスト 7.9%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 5,448 円252 億円 | 448 円21 億円 | +58.1% | +4.7% | 413 円19 億円 |
| やや楽観 | 18% | 4,263 円197 億円 | 366 円17 億円 | +24.1% | +2.2% | 833 円38 億円 |
| 中立 | 38% | 3,189 円147 億円 | 336 円16 億円 | −5.5% | −0.6% | 1,339 円62 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,092 円50 億円 | 301 円14 億円 | −62.7% | −9.4% | 348 円16 億円 |
| 悲観 | 12% | 325 円15 億円 | 76 円4 億円 | −89.3% | −20.0% | 48 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,673 円123 億円 | 309 円14 億円 | −20.1% | −2.2% | 2,982 円138 億円 |
今の株価時価総額 3,730 円172 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.9% を下回るほど割高。
楽観 7% アークミールが育ち、焼肉の縮小も止まる 利益 15 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 5,448 円252 億円
アークミールは「どん」ブランドの知名度を武器に、ロードサイドで客を増やす。客数は 10 年で 25% 増え、客単価は物価を 3% 上回る。営業利益率は 8.2% を保つ。
焼肉の安楽亭は、不採算店の整理を終え、縮小が止まる。客数は 5% 減にとどまり、営業利益率は 4% に戻る。
全社の営業利益は 28 億円、利益率は 5.9% で、コロナ後の最高を更新する。借金は返済が進み、純現金に近づく。
配当と自社株買いは増えるが、純利益の 12% 程度にとどまる。それでも自己資本利益率は 8% 台で、資本コストにわずかに届かない。
株主優待は続く。
- アークミール(ステーキ・しゃぶしゃぶ):数量 1,290(年間来店客数(万人・推定))× 価格 2,622(客単価(円・推定))→ 売上 338 億円・営業利益 28 億円。客数が 25% 増え、値上げも通る
- 安楽亭・七輪房(焼肉):数量 441(年間来店客数(万人・推定))× 価格 3,082(客単価(円・推定))→ 売上 136 億円・営業利益 5 億円。縮小が止まり、小幅の減少
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.9% が k 7.90% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍。全体の PER 14.74 倍、時価総額 224 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:アークミールの伸び、焼肉の底入れ、値上げの定着の全部がそろう必要があり、7%。
やや楽観 18% アークミールが堅調で、営業利益率が5%台に乗る 利益 12 億円 · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 4,263 円197 億円
アークミールは客数が 1 割強増え、客単価は物価を 1% 上回る。営業利益率は 7.8% を保つ。
安楽亭は店の閉鎖が続き、客数が 1 割減る。営業利益率は 3.5% で、低いままだ。
全社の営業利益は 23 億円で、前期の 14 億円の 1.6 倍だ。物価で売上が 1.4 倍に増える分が大きく、実質ではほぼ横ばいに近い。
借金は減るが、純利益の 1 割しか還元に回らない。自己資本利益率は 7% で、資本コストを下回る。
優待は続くが、価値を大きく動かす額ではない。
安楽亭の縮小が続く点は、変わらない。
- アークミール(ステーキ・しゃぶしゃぶ):数量 1,156(年間来店客数(万人・推定))× 価格 2,572(客単価(円・推定))→ 売上 297 億円・営業利益 23 億円。客数が 1 割強増える
- 安楽亭・七輪房(焼肉):数量 418(年間来店客数(万人・推定))× 価格 3,082(客単価(円・推定))→ 売上 129 億円・営業利益 5 億円。客数が 1 割減る
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.5% が k 7.90% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.9 倍。全体の PER 13.87 倍、時価総額 168 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:アークミールの強さが続き、焼肉の縮小が緩む展開。値上げ余地を評価して 18%。
中立 38% アークミールは横ばい、焼肉は縮小し、利益率は4%台半ば 利益 9 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 3,189 円147 億円
アークミールの客数は横ばいで、客単価は物価並みに上がる。営業利益率は 7.3% で、前期の 7.9% を下回る。
安楽亭は店と客が減り続け、客数は 15% 減る。営業利益率は 3.0% にとどまる。
本社費は物価で 1.34 倍に増え、償却は年 8 億円前後から 11 億円前後に増える。全社の営業利益は 18 億円で、前期の 1.2 倍と、物価の伸びに届かない。
借金は返済が進むが、自己資本利益率は 6% 弱で、資本コストに届かない。配当は薄く、優待は続く。
豊山開発の動向は、この筋書きには織り込まない。
- アークミール(ステーキ・しゃぶしゃぶ):数量 1,032(年間来店客数(万人・推定))× 価格 2,546(客単価(円・推定))→ 売上 263 億円・営業利益 19 億円。客数は横ばい、値上げは物価並み
- 安楽亭・七輪房(焼肉):数量 394(年間来店客数(万人・推定))× 価格 3,082(客単価(円・推定))→ 売上 122 億円・営業利益 4 億円。店と客が減り続け、15% 減る
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 7.90% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍。全体の PER 12.69 倍、時価総額 118 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:アークミールは横ばい、焼肉は縮み、利益率は前期並みの 4% 台半ばにとどまる最もありそうな展開。38%。
やや悲観 25% 転嫁が遅れ、焼肉の縮小も続いて利益率が2%台に落ちる 利益 4 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 1,092 円50 億円
人件費と食材の上昇を、値上げで吸収しきれない。アークミールの客数は 8% 減り、客単価は物価を 3% 下回る。営業利益率は 5.5% に下がる。
安楽亭は客数が 3 割減り、利益率はほぼゼロになる。全社の営業利益は 8 億円で、前期の半分近くに落ちる。
家賃は物価で膨らみ、利益を食う。借金の返済は遅れ、利払いも増える。優待は縮小し、年の費用は 25% 減る。
自己資本利益率は 3% で、稼ぐ力は資本コストを大きく下回る。
財務の余裕が薄れ、新店と改装の投資も絞られる。
優待は縮小するが、続ける方針は変わらない。
- アークミール(ステーキ・しゃぶしゃぶ):数量 949(年間来店客数(万人・推定))× 価格 2,470(客単価(円・推定))→ 売上 235 億円・営業利益 13 億円。客数が 8% 減り、転嫁が遅れる
- 安楽亭・七輪房(焼肉):数量 325(年間来店客数(万人・推定))× 価格 2,990(客単価(円・推定))→ 売上 97 億円・営業利益 1 億円。客数が 3 割減る
倍率:ROE 約 3% は資本コスト 7.9% を大きく下回り、稼ぐ力が落ちる筋書き。倍率は上限 11.5 倍に引き上げず、8 倍とした。
確率:今期予想の減益と、第 1 四半期の安楽亭の 1 割減が続く展開。実際に今期は減益予想で、25%。
悲観 12% 不況と借金で、営業赤字に戻る 利益 −3 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 325 円15 億円
景気が悪化し、外食の客数が落ちる。コロナ禍と同じように、家賃と人件費が残り、営業は赤字に沈む。
アークミールの客数は 2 割減り、安楽亭は半減する。客単価は物価を下回る。全社の営業利益は 3 億円の赤字になる。
借金の返済が滞り、店の閉鎖と減損で純資産は 25 億円ほど削られる。配当は止まり、優待も半分になる。
清算に近い価値が下値になる。敷金と設備を売って借金を返すと、株主の取り分はわずかだ。
買い手が現れても条件は低く、少数株主は会社の使い道に口を出せない。
豊山開発が支配を強めても、少数株主への還元が増える保証はない。
- アークミール(ステーキ・しゃぶしゃぶ):数量 826(年間来店客数(万人・推定))× 価格 2,280(客単価(円・推定))→ 売上 188 億円・営業利益 4 億円。客数が 2 割減り、値下げ圧力
- 安楽亭・七輪房(焼肉):数量 232(年間来店客数(万人・推定))× 価格 2,760(客単価(円・推定))→ 売上 64 億円・営業利益 −2 億円。客数が半減し、赤字に沈む
倍率:営業赤字で稼ぐ力では測れず、清算に近い価値で測る。今の自己資本 83 億円に約 0.18 倍を掛けた額が、売れる資産から純有利子負債を引いた残りとほぼ一致する。
確率:不況で客数が減り、固定費と借金が重くのしかかる構造的な負け。コロナ禍の営業赤字 2 年の実績もあり 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
アークミール(ステーキ・しゃぶしゃぶ)
ステーキのどん、フォルクス、しゃぶしゃぶどん亭などを営む子会社。134 店。
| 数量年間来店客数(万人・推定) | 価格客単価(円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,032 | 1,900 | 196 | 16 |
| 10 年後 中立 | 1,032 | 2,546 | 263 | 19 |
取り方:売上と利益は決算の業態別(売上 196.1 億円・セグメント利益 15.5 億円)。客単価は推定で千九百円前後とし、売上を割って客数を出した。
安楽亭・七輪房(焼肉)
焼肉の安楽亭と七輪房。郊外のロードサイド店が中心で、152 店。
| 数量年間来店客数(万人・推定) | 価格客単価(円・推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 464 | 2,300 | 107 | 3 |
| 10 年後 中立 | 394 | 3,082 | 122 | 4 |
取り方:売上と利益は決算の業態別(売上 106.7 億円・セグメント利益 2.7 億円)。客単価は推定で二千三百円前後とした。2 業態の利益の合計 18.3 億円から本社費 3.9 億円を引くと、全社の営業利益 14.4 億円になる。
リスクと懸念
安楽亭・七輪房の縮小
焼肉の本家は売上が 6% 減り、利益は 4 割減った。第 1 四半期も 11% 減だ。店の閉鎖が続き、減損が出る可能性が残る。
人件費と食材価格
最低賃金は上がり続け、牛肉は円安と世界の需要で高い。値上げで吸収できなければ、営業利益率は 5% を割る。
借金と金利
純有利子負債は 31 億円で、自己資本比率は 32%。借り換えの金利が上がれば、利払いが増える。コロナ禍の営業赤字 2 年の傷が残る。
固定費の重さ
店は賃借が多く、家賃は売上が落ちても下がらない。年に 20 億円を超えると推定する。不況で客数が減れば、利益が急に消える。
支配株主の動き
豊山開発が保有比率を 23% に高めた。同社の狙いは未確認で、少数株主の取り分に影響する可能性がある。上場廃止や、条件の低い買収の筋書きもある。
今後の分かれ目
- 安楽亭・七輪房の売上減が止まり、利益率が 4% を超える
- 本家の底入れを確認でき、楽観とやや楽観の確率を上げる。
- 今期の営業利益が 13 億円を割る
- 人件費と食材の転嫁が追いつかず、悲観側の確率を上げる。
- 豊山開発が TOB を提案する
- 買収価格は割増しとなり、短期の価値は上ぶれする。10 年の本質価値の見立ては変えない。
- アークミールの利益率が 8% を超えて定着する
- 値上げが定着した証拠。やや楽観に確率を寄せる。
- 牛肉の価格が急落する
- 原価率が下がり、利益率の追い風になる。ただし、価格競争で値下げに回れば効果は薄い。
見ておくもの
- アークミールの営業利益率(8% の維持)と既存店の客数
- 安楽亭・七輪房の売上と店数の減少
- 純有利子負債の減少と、金利上昇による利払い
- 豊山開発の保有比率と、会社の発表
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や同業の PER から置かず、事業の自己資本利益率と資本コストから決めた。中立の自己資本利益率は 5.9% で、資本コスト 7.9% に届かないため、倍率の上限は 1÷k の 11.5 倍、置いた値はその 9 割だ。割引は資本コストに入れ、倍率では二重に引かない。償却は年 8 億円前後と推定した(開示は取得していない)。既存設備は物価で増やさず、改装と出店の分だけ新しい値段で上乗せし、10 年後は 11 億円前後とみた。本社費は物価で 1.34 倍にした。リースの約束(家賃は年 20 億円超と推定)は固定費として悲観で残した。新リース会計(2028 年 3 月期から)で数字の形が変わるが、今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)で置いた。株主優待は、年 0.7 億円と推定した費用を 10 年分、還元に足した(中立 1.0・やや悲観 0.75・悲観 0.5)。費用は利益から引き済みで、自己資本の流れには入れていない。今の株価は計算に使っていない。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 7.9% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.2% を足して 8.7%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.70% → 7.90%。