結論
フライングガーデンは、栃木、群馬、埼玉、茨城、千葉に60店を持つ郊外型のハンバーグの店だ。看板は、鉄板の上で客の目の前で切り分ける「爆弾ハンバーグ」で、売上の半分近くを占める。筆者の結論は、今の値段はほぼ適正だ、というものだ。
事業の質は、外食の小さなチェーンとしては高い。2026/03期は売上92億円、営業利益6億円と、どちらも過去最高だった。ROEは12〜13%で、資本コストを上回る年が続く。原価の上昇を値上げで回しながら、既存店の売上も伸ばした。借金は無い。
弱いのは資本の使い方だ。手元の現金と預金は17億円あり、時価総額の4割にあたる。配当は利益の1割ほどしか払わず、現金は積み上がってきた。この現金が株主に戻らない限り、その価値は割り引いて見るしかない。
10年後の中立は、店が70に増え、1店の売上が物価並みに伸びる姿と見る。営業利益は8億円台になるが、人件費と家賃が利益率を押さえる。本質価値は、今の時価総額の前後にとどまる。看板商品の強さは値段に入っており、大きな安全域は無いと筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、良い小さな事業だが、払う値段に大きな安全域は無い。
事業はわかりやすい。家族が車で来て、目の前で切り分けるハンバーグを食べる。10年後もこの店は北関東にあり、爆弾ハンバーグは看板のままだろう。値上げを通して既存店の売上を伸ばした実績は、ブランドの力の証拠だ。品目を絞り、自社の工場で作る仕組みは、人手不足の時代に強い。
一方で、株主のものになる利益という目で見ると、気になる点がある。利益の多くは新しい店と現金に回り、配当は1割ほどだ。新しい店が資本コスト以上を稼ぐなら、それでよい。だが、手元の現金17億円は利息しか生まない。これが積み上がるほど、全体の資本効率は下がる。
経営は資本コストを5〜6%と見ており、筆者の見方より低い。現金をどう使うか、あるいは戻すかの答えが出れば、評価は上がる。
今の値段は、利益の約9.5倍、純資産の約1.2倍だ。良い事業に付く値段としては安く見えるが、店が北関東に集まり、一つの商品に頼る分を割り引けば、ほぼ適正だと筆者は見る。
何で稼ぐ会社か
フライングガーデンは1976年に群馬県桐生市でピザとクレープの店として始まり、1984年に郊外型のレストランの1号店を開いた。今は栃木県小山市に本社を置き、北関東と埼玉、千葉で60店を直営で営む。フランチャイズは持たない。
稼ぎの柱は、牛と豚の合いびきのハンバーグを鉄板で出す「爆弾ハンバーグ」だ。客の半分以上が注文し、売上の48%を占める。ハンバーグとチキンは栃木県上三川町の自社の工場で作り、店では焼いて出すだけにしてある。品目を絞ることで、店の作業が単純になり、少ない人数で回せる。サラダバーや季節のデザート、白い飯のおかわり自由も客を呼ぶ。
店は国道沿いの郊外に建つ、車で来る家族向けの大きな店だ。1店の売上は年1.6億円ほどで、地域の外食の中では大きい。地元のプロバスケットボールのチームと組んだメニューのように、北関東の地元の店として根を張る。持ち帰りの専門店と、ネットやスーパーへの冷凍の品の販売も少し始めた。
費用の柱は、肉を中心とする食材、パートの人件費、店の土地と建物の費用、電気とガスだ。原価率は35%ほどで、肉類が仕入れの半分を占める。2028/03期の新しいリース会計に向けて不採算の店の整理を進めるとしており、店の多くは土地や建物を借りていると見られる。
出店は年1〜2店と慎重だ。人口の多い埼玉県と東京の郊外へ広げる計画で、2026年には深谷と新座に店を出す。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、「爆弾ハンバーグ」という看板商品と、それを支える自社の工場と店の作り方だ。地域の中では本物の強みと筆者は見る。
ハンバーグの店は、びっくりドンキー、さわやか、ステーキガストなど競争相手が多い。それでも北関東では、爆弾ハンバーグを目当てに家族が車で来る。2026/03期は値上げをしながら既存店の売上を伸ばし、客数も保った。値上げを通せるのは、ブランドの力がある証拠だ。
品目を絞った店の作りは、人手不足の時代に効く。ハンバーグとチキンを工場で作り、店では焼くだけにしているので、1店に正社員が2人ほどでも回る。
資本効率も良い。過去10年のROEの中央値は12.9%で、資本コストを上回る。2018/03期以降、借金をほぼ返し、今は無借金だ。
弱みも三つある。一つは、売上の半分を一つの商品に頼ること。牛肉や豚肉の値段が急に上がれば、利益は一気に削られる。二つ目は、店が北関東に集まっていること。地域の人口が減れば、客の数も細る。三つ目は資本の使い方だ。手元の現金は時価総額の4割に積み上がり、配当は利益の1割ほどだ。
2008〜2014年には赤字の年が何度もあった。今の好調が、長い歴史の中では新しいことも忘れてはいけない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
郊外のファミリー向けの外食は、成熟した市場だ。国内の外食の量は人口とともにゆっくり細る。北関東は首都圏より人口の減りが早く、車で外食する家族の数も少しずつ減る。
その中で勝ち負けを分けるのは、値上げを通す力と、人手を減らす工夫だ。食材、人件費、電気代はここ数年、毎年3%以上上がってきた。客が離れない値上げができる店と、できない店の差が、利益の差になって表れている。フライングガーデンは前者の側にいると筆者は見る。
ハンバーグの専門店どうしの競争は厳しい。びっくりドンキーは全国に300店を超える規模を持ち、静岡のさわやかは行列のできる店として知られる。すかいらーくのステーキガストやブロンコビリーも郊外で客を取り合う。ただ、北関東の幹線道路沿いでは、爆弾ハンバーグの知名度が強い。
人手不足は業界全体の重荷だ。パートの時給は最低賃金とともに年3%以上上がる。配膳のロボットや注文のタブレット、来客の予測と発注へのAIの活用で、人の手を減らす動きが広がる。
新しいリース会計の基準は、2028/03期から店の借り物の約束を貸借対照表に載せる。利益の形は少し変わるが、事業の稼ぎそのものは変わらない。会社はこれを機に、もうからない店を閉じる方針だ。
10年の中立では、店の数は1割強増え、1店の売上は物価並みに上がると見る。人件費と家賃が上がる分、利益率は今より少し下がる。
資本政策と M&A
還元は配当と株主優待だ。配当は2026/03期に創業50周年の記念配当を加えて実質で増やし、総額は年0.5億円ほど。配当性向は1割強にとどまる。会社は今後、今の水準を下限にさらに増やすとし、配当性向などの目標を検討している。自社株買いは無い。
株主優待は、3月末に200株以上持つ株主に2,000円分、1,000株以上に6,000円分、2,000株以上に12,000円分の食事券か商品を贈る。費用の開示は無いが、株主数と食材の原価率から年0.35億円ほどと推定する。10年で約3.5億円を還元に足して見る。
手元の現金と預金は17億円ある。借金は無い。これまで利益の大半は現金と新しい店に回ってきた。年の設備の投資は改装を含めて7億円ほどで、営業の現金の流れとほぼ同じ大きさだ。
会社は買収も含めて新しい業態を探すとしている。資本コストを5〜6%と見ているが、筆者はもう少し高いと見る。現金の使い道がはっきりしない間は、株主の取り分は割り引いて見るしかない。
買われる側の話は無い。創業者が会長として経営に残る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強気の見方は、看板商品の強さと、資本の使い方の改善の余地に目を向ける。
2026/03期は売上、営業利益、純利益のすべてで過去最高だった。食材と人件費が上がる中で、値上げをしながら既存店の売上を2.2%伸ばし、第1四半期も売上は1割増えた。爆弾ハンバーグを目当てに来る客は、値段が上がっても離れていない。
店を増やす余地もある。埼玉県と東京の郊外は人口が多く、北関東で磨いた店の型をそのまま持ち込める。会社は売上100億円を当面の目標に掲げ、毎年1〜2店を出し、5店以上を大きく改装する。新しい店の1店の売上は既存の店並みで、投資は1店1.6億円ほどだ。
財務は鉄壁だ。借金は無く、現金と預金は17億円ある。会社は資本コストと株価を意識した経営を掲げ、配当の目標の検討も始めた。配当性向を3割に上げるだけで、配当は今の3倍になる。
今の時価総額は利益の約9.5倍で、手元の現金を引けば事業は利益の6倍台で買える計算になる。看板商品を持ち、資本コストを上回って稼ぐ会社としては安い。冷凍の品をスーパーに売る道や、買収による新しい業態も、伸びしろとして残る。
慎重な見方
慎重な見方は、一つの商品と一つの地域に頼る危うさと、現金が戻らない点を突く。
売上の半分近くが爆弾ハンバーグだ。牛肉や豚肉の値段が急に上がれば、利益は一気に削られる。円安と世界の肉の需要の増加で、輸入の牛肉は高止まりしている。仕入れの半分が肉で、ほかの品で埋め合わせる道は細い。
店は北関東と埼玉に集まる。この地域の人口は首都圏より早く減り、車で外食する家族も減る。埼玉の郊外は、びっくりドンキーやステーキガストの店がすでに多い激戦の地だ。新しい地域で同じ人気が出るとは限らない。2025年度にも埼玉の店を一つ閉じた。
人手も重荷だ。正社員は1店2人ほどで、会社の目標の3人に届かない。平均の給与は1年で1割上がった。家賃と人件費は売上が落ちても残る。
過去を見れば、2008〜2014年に赤字の年が5回あった。今の高いROEは、ここ数年のものだ。
最後に、現金が株主に戻らない。配当は利益の1割強で、現金は時価総額の4割まで積み上がった。会社は自社株買いもしない。会社の見る資本コストは5〜6%で、現金を寝かせることへの危機感は薄い。
どちらに重みを置いたか
両方の言い分に理がある。看板商品の強さと、値上げを通した実績は本物で、強気の筋書きにも一定の確率を置いた。一方、一つの商品と一つの地域に頼る危うさ、人件費と家賃の重さ、現金が戻らない点は、今の値段の割安さを打ち消す。確率は中立を厚くし、やや強気をやや慎重より少し重くした。結果は、今の値段はほぼ適正という見立てになる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,606 円104 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 477 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 2,082 円60 億円、今との差 +38.0%、 期待の年率 +10.5%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 6,465 円187 億円 | 761 円22 億円 | +378.9% | +17.0% | 723 円21 億円 |
| やや楽観 | 23% | 5,216 円151 億円 | 605 円18 億円 | +285.8% | +14.5% | 1,339 円39 億円 |
| 中立 | 37% | 4,114 円119 億円 | 502 円15 億円 | +205.8% | +11.8% | 1,708 円49 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,096 円32 億円 | 298 円9 億円 | −7.6% | −0.8% | 279 円8 億円 |
| 悲観 | 10% | 190 円6 億円 | 164 円5 億円 | −76.5% | −13.5% | 35 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,606 円104 億円 | 477 円14 億円 | +170.6% | +10.5% | 4,083 円118 億円 |
今の株価時価総額 1,509 円44 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 埼玉と東京の郊外で当たり、80店へ 利益 10 億円 · PER 18.2 倍 · 株価時価総額 6,465 円187 億円
爆弾ハンバーグの人気が、埼玉の南部と東京の多摩の郊外でも通る。居抜きの店も使って出店を速め、店は10年で80に増える。
値上げは物価を上回って通り、1店の売上は4割上がる。工場で作る仕組みと、注文と配膳の機械化で人手を抑え、営業利益率は7.5%に上がる。営業利益は約13億円になる。
手元の現金の利息も入り、純利益は約9.6億円。配当は増え、配当性向は2割台に上がる。冷凍のハンバーグのスーパーへの販売も、小さな柱に育つ。
会社は北関東の地域の店から、首都圏の郊外の有名なチェーンへ姿を変える。現金は積み上がるが、出店の資金として回り続ける。株主優待の食事券も続く。
- 郊外型レストラン(フライングガーデン):数量 80.0(店の数(店。期末))× 価格 218(1店あたり売上(百万円))→ 売上 174 億円・営業利益 13 億円。80店、1店の売上+40%、利益率7.5%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 18.17 倍、時価総額 177 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店は年1〜2店の実績で、80店には年2店強の純増が10年続く必要がある。看板商品の人気が新しい地域でも通る前提で1割に置いた。
やや楽観 23% 売上100億を超え、利益率6%台後半 利益 8 億円 · PER 17.6 倍 · 株価時価総額 5,216 円151 億円
会社の計画どおり、毎年1〜2店を出し、もうからない店を閉じる。店は74に増える。値上げは物価並みに通り、1店の売上は35%上がる。
人件費と家賃は上がるが、工場と店の作りの工夫で吸収し、営業利益率は6.8%を保つ。営業利益は約10.6億円、純利益は約7.8億円になる。
配当は少しずつ増え、優待も続く。手元の現金は出店に使ってもなお積み上がり、20億円を超える。
事業は今より一回り大きく、強くなる。ただ、現金が積み上がる分だけ、全体のROEは少しずつ下がる。
埼玉の店は北関東と同じ人気を得て、売上の3分の1を占めるようになる。
- 郊外型レストラン(フライングガーデン):数量 74.0(店の数(店。期末))× 価格 210(1店あたり売上(百万円))→ 売上 155 億円・営業利益 11 億円。74店、1店の売上+35%、利益率6.8%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 17.57 倍、時価総額 140 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社は売上100億円と経常利益率6%以上を当面の目標に掲げ、2026/03期にほぼそこへ来た。出店と値上げが続く姿として2割強に置いた。
中立 37% 70店、利益率6%で伸びは緩やか 利益 6 億円 · PER 16.6 倍 · 株価時価総額 4,114 円119 億円
年に1〜2店を出し、ときどき閉じる。店は10年で70になる。1店の売上は、値上げで物価並みに上がるが、北関東の人口の減りで客の数は少し減り、3割の上昇にとどまる。
肉と人件費、家賃、電気代は物価で上がる。償却は建てた時の値段のままなので、そこは増えない。ただ新しい店と改装は高い建築費で建て、その償却が少しずつ足される。営業利益率は6%に落ち着き、営業利益は約8.5億円になる。純利益は約6.3億円だ。
配当は少しずつ増えるが、配当性向は2割に届かない。優待は続く。手元の現金は積み上がり、自己資本は107億円近くに増える。
事業は健全だが、現金が寝るぶん、株主の取り分の伸びは事業の伸びより遅い。
- 郊外型レストラン(フライングガーデン):数量 70.0(店の数(店。期末))× 価格 203(1店あたり売上(百万円))→ 売上 142 億円・営業利益 9 億円。70店、1店の売上+30%、利益率6%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.7% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 16.64 倍、時価総額 107 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去10年の営業利益率は1.5〜7.1%で、ここ4年は6〜7%台だ。出店の実績が年1店ほどで、人件費の上昇が続く姿がいちばん起こりやすく、4割弱に置いた。
やや悲観 20% 肉と人件費に押され、利益率3% 利益 3 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,096 円32 億円
輸入の牛肉の値段が高止まりし、パートの時給は年4%近く上がる。値上げをすれば客が減り、据え置けば利益が削られる。
埼玉の新しい店は思ったほど当たらず、閉店が出店に並ぶ。店は60のまま、1店の売上は物価に遅れて15%ほどの上昇にとどまる。
家賃と人件費は売上が落ちても残り、営業利益率は3%に下がる。営業利益は約3億円、純利益は約2.6億円だ。
配当は今の水準で据え置き、優待は縮める。手元の現金はあるが、使い道が無いまま会社の中にとどまる。
2028/03期からは借りている店の約束が貸借対照表に載り、もうからない店の減損も出やすくなる。
- 郊外型レストラン(フライングガーデン):数量 60.0(店の数(店。期末))× 価格 180(1店あたり売上(百万円))→ 売上 108 億円・営業利益 3 億円。60店、1店の売上+15%、利益率3%
倍率:ROEは5%弱で資本コスト7.5%を下回る。上限は1÷kの12.5倍、その約7割の9倍。稼ぐ力(純利益÷k=約33億円)の範囲に収まる。余った現金は谷で食う分を見て0.75倍に、戻り方0.5を掛けた。
確率:2020/03期と2021/03期に営業利益率は1.5〜2.5%まで落ちた。肉の値段の高止まりと人件費の上昇が重なれば、値上げが追いつかない年が続く。2割に置いた。
悲観 10% 看板が色あせ、店を畳む 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 190 円6 億円
構造的に負ける筋書きだ。爆弾ハンバーグは飽きられ、全国のハンバーグのチェーンと、安いファミリーレストランに客を取られる。北関東の人口の減りで、車で来る家族も細る。
店は48に減り、1店の売上は物価に大きく遅れる。家賃と人件費が残り、営業損益は赤字になる。閉店の費用と店の減損で、自己資本は大きく減る。
配当は減り、優待も縮める。手元の現金は閉店と赤字の穴埋めで細る。
残る価値は、現金と、閉じた店の保証金、売れる設備だけだ。それも少数の株主に戻る保証は無い。
無借金の財務のおかげで会社は続くが、看板を失った外食の店の網に高い値段を付ける買い手はいない。
- 郊外型レストラン(フライングガーデン):数量 48.0(店の数(店。期末))× 価格 165(1店あたり売上(百万円))→ 売上 79 億円・営業利益 −2 億円。48店、赤字
倍率:赤字が続き稼ぐ力では測れない。純現金と売れる資産から負債と閉店の費用を引いた床を見て、今の自己資本36.7億円の0.15倍。
確率:2008〜2014年に赤字の年が5回あった。看板商品の人気が落ち、地域の人口減が重なる構造的な負けは起こりうる。無借金で倒れにくい分、1割に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
郊外型レストラン(フライングガーデン)
北関東・埼玉・千葉で爆弾ハンバーグを看板にした郊外型の店を直営で営む。単一のセグメント。
| 数量店の数(店。期末) | 価格1店あたり売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 59.0 | 156 | 92 | 6 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 203 | 142 | 9 |
取り方:2026/03期末の59店(持ち帰りの専門店1店を含む)は決算説明会資料。売上92.0億円を59店で割って1店あたり約1.56億円。営業利益は全社の5.99億円で本社費を含む。償却費は年2.5億円ほどで、取得した時の値段のまま。
リスクと懸念
肉の値段
仕入れの半分が肉で、売上の半分近くが爆弾ハンバーグだ。輸入の牛肉の値段や円の動きで原価が急に上がれば、値上げが追いつくまで利益は大きく削られる。ほかの品で埋め合わせる余地は小さい。
人手と人件費
店はパートの手で回る。正社員は1店2人ほどで、会社の目標の3人に届いていない。平均の給与は1年で1割上がった。時給の上昇が値上げを上回れば、利益率は下がる。
一つの商品と一つの地域
売上の半分を一つの商品に頼り、店は北関東と埼玉に集まる。食の安全の事故や、地域の人口の減りがあれば、会社全体がすぐに響く。
家賃とリースの約束
店の多くは土地や建物を借りていると見られる。家賃は売上が落ちても下がらない。2028/03期からは借りた店の約束が貸借対照表に載り、もうからない店の減損が出やすくなる。
現金が戻らない
手元の現金と預金は時価総額の4割にあたる。配当は利益の1割強で、自社株買いも無い。使い道の無い現金が積み上がるほど、株主の取り分は事業の伸びほど増えない。
新しい地域での出店
成長は埼玉と東京の郊外への出店に頼る。そこはハンバーグの大手の店がすでに多い。2025年度にも埼玉の店を一つ閉じた。新しい地域で北関東と同じ人気が出る保証は無い。
今後の分かれ目
- 配当性向や総還元性向の目標を数字で出した、または自社株買いを始めた
- 積み上がった現金が株主に戻る道が見える。余った現金の戻り方を上げ、本質価値を見直す。
- 埼玉と東京の郊外の新しい店が、2年続けて既存店並みの売上を出した
- 北関東の外でも看板商品が通る証拠だ。やや強気の筋書きの確率を上げる。
- 既存店の売上が2期続けて前年を下回った
- 値上げに客がついてこなくなった合図だ。慎重な筋書きの確率を上げる。
- 原価率が38%を超えた
- 肉の値段の上昇を値上げで回せていない。利益率の見通しを下げる。
- 買収で新しい業態を手に入れた
- 現金の使い道ができる。買った値段と相手の稼ぎを見て、資本コストを上回るかで評価を分ける。
見ておくもの
- 既存店の売上と客数(月次)
- 原価率と人件費率
- 出店と閉店の数(埼玉・東京の郊外)
- 配当と配当性向の目標、自社株買いの有無
- 手元の現金と預金の残高
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。中立は全体のROEが資本コスト7.5%に並ぶ程度で、上限を1÷kの12.5倍とみてその約9割の11倍に置いた。今のPER9倍台やPBR1.2倍、同業の値付けは根拠に使っていない。新リース会計基準で2028/03期から店の賃借が貸借対照表に載り、営業利益は少し増え負債も増えるが、10年後の数字は家賃を費用に入れた今の形でそろえた。株主優待は会社の費用として利益から引かれているので、自己資本の流れには入れず、受け取りの分だけ還元に足した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.5→18.17 倍・やや楽観 PER 13→17.57 倍・中立 PER 12.5→16.64 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality +0.5%を足した8.0%。外食の大手のドトール・日レス(7.3%)、くら寿司(7.8%)よりは上、赤字がちな小さいチェーン(8.5〜9.5%)より下。看板商品と無借金の分だけ小さいチェーンより低い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.50%。