結論
サーラコーポレーションは、愛知県東部と静岡県西部で都市ガスとLPガスを売る地域企業だ。ガスを土台に、設備工事、住宅、輸入車の販売、動物薬の卸、不動産へ手を広げている。売上の約半分がエネルギー事業である。
筆者の結論は「適正」だ。利益は過去最高を更新しているが、10年先の本質価値は今の時価総額とほぼ同じとみる。一番の理由は、稼ぐ力が資本コストにぎりぎり届かないことだ。
伸びる芽はある。設備工事・保守は利益率が10%近い。電力小売は、ガスの次の柱に育てる方針が示されている。2026年は9か月で営業利益が通期予想を超えた。
重しもはっきりしている。ガスの顧客は人口減と電化で細る。輸入車と動物薬の卸は2025年に赤字だった。中期計画は5年で450億円を投じるが、目標の投下資本利益率は6%で、資本コストの8%に届かない。
中立の10年後は、営業利益が約120億円、ROEが7%台になる。倍率は10倍強にとどまる。強気の筋書きでも、時価総額は今の約2.6倍で、そこから自己資本の厚みと還元がついてくる。割安と言い切るには、稼ぎの質が足りない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社を持ち続けたいかと問えば、答えは「条件つき」だ。
良い点は三つある。地域でのガスの寡占、負債の重くない財務、設備工事という採算の良い事業だ。ガスの導管は他社が簡単には真似できない。2025年は利益が過去最高で、2026年はさらに伸びている。
気になる点も三つ。第一に、ガス需要が長期で細ること。第二に、資本の使い方だ。5年で450億円を投じても、目標の投下資本利益率は6%と、資本コスト7.5%を下回る。借りて投資し、資本コストを割る稼ぎしか出せないなら、価値は増えない。第三に、赤字事業を抱えたまま複合経営を続けていることだ。
オーナー利益は、純利益59億円から、ガス設備の維持と新規投資に回る分を引いた形で小さい。配当性向40%以上は、そこから出る。
安全域でみると、筋書きの加重平均は今の時価総額とほぼ等しい。時価総額が自己資本を下回るのは、資本を稼ぎに変える力が弱い会社への市場の割引でもある。割安かどうかは、中計の ROE 10% が見えるかにかかる。
何で稼ぐ会社か
サーラコーポレーションは、浜松から豊橋・東三河にかけて、暮らしと事業のインフラを束ねるグループだ。出発点は都市ガスとLPガスで、いまも売上の約48%を占める。
エネルギー事業は都市ガス約24万件、LPガス約29万戸(2019年の公表値)の顧客基盤を持つ。電力小売は2016年に家庭向けを始め、ガスとのセット売りを広げている。ガスは冬に収益が偏るため、決算は冬の寒さに左右される。
設備工事とメンテナンスは売上352億円。空調や設備の更新、保守、蓄電池を法人に売る。利益率は10%近く、グループで最も採算が良い。
ハウジングは売上448億円。注文住宅の「サーラ」ブランドに、2024年12月に連結した安江工務店が加わった。リフォームを中計の成長の柱に据える。
動物薬と畜産機器の卸(アスコ)は売上234億円で、2025年は赤字。輸入車の販売・整備(サーラカーズジャパン)は売上180億円で、同じく赤字だった。プロパティは商業施設・ホテル・賃貸で売上73億円、営業利益4億円。
従業員は連結で約4,170人。地域の暮らしに近い事業を、グループのサーラ名で一つに見せる戦略を2019年から進めている。ガス・電力で顧客と接点を持ち、住宅や工事の相談につなげる。これがグループの稼ぎ方の基本形だ。
優良さと弱いところ
事業の質を一言でいえば、「堅いが、広くて薄い」だ。ガスは地域に張り巡らせた導管と顧客との関係が堀になる。浜松から東三河の都市ガスは、事実上の地域寡占にある。
ただし堀は思うほど深くない。LPガスは価格競争の余地があり、電力小売は大手電力との競争で利ざやが薄い。ガス全体も、電化の流れで長期の数量は減る。
グループの利点は、顧客基盤を使って工事・住宅・改修を売れることだ。一方、事業が広がりすぎて資本が分散している。営業利益率は10年を通じて1.7%から2.9%、ROEの中央値は7%台にとどまる。資本コストを継続的に上回った年は少ない。
2025年は営業利益が2桁増となったが、中身はガス事業の回復と安江工務店の寄与が大きい。アニマルヘルスケアと輸入車の赤字は、複合経営のもろさでもある。経営は中計で ROE 10% を掲げる。筆者は、高い目標を置く姿勢は評価するが、5年で届くかには慎重だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ガス事業の長期の数量は、人口減と電化で細る。愛知東部と静岡西部は人口が大きくは減らない地域だが、世帯数の伸びが止まり、省エネ機器の普及で一軒あたりの使用量も落ちる。2050年の脱炭素に向けて、ガスの位置づけは変わっていく。
それでも価格は物価並みに上がる。ガスは仕入れ価格を転嫁できる仕組みがあり、売上は数量減を価格で支えやすい。問題は利益で、転嫁が遅れる年は採算が落ちる。
電力小売は、家庭向けと法人向けの双方で大手電力・新電力と競う。利ざやは薄いが、ガスとのセット売りで顧客を逃がしにくい。
設備工事・保守は、人手不足が最大の制約になる。需要は老朽設備の更新と省エネで底堅く、値上げも通りやすい。ただし受注を増やすには人を確保する必要がある。
住宅は、国内の新築が長期で縮む。そのため会社は改修(ストック住宅)に軸足を移した。市場は大きいが、地場の工務店や大手メーカーと競う乱戦だ。
輸入車は特定メーカーとの契約に依存し、販売網の見直しという外部要因を受ける。動物薬は畜産農家の減少で国内市場が縮み、卸の統合が進む。
競合は事業ごとに異なる。ガスでは東邦ガスや静岡ガスなど近隣の大手が隣り合う。同じ領域のEC・流通の会社とは事業が全く違い、日本瓦斯(LPガス)が事業の近い例になる。
資本政策と M&A
資本政策は、攻めと還元を同時にやる形だ。2026年からの5年間で成長投資450億円を見込む。従来より100億円多く、増えた分は借入と政策保有株の売却で賄う。株主還元は5年で212億円。配当性向は40%以上で、累進配当を掲げる。年間配当は前期より増やす予定で、自己株式の取得も始めた。
自己資本比率は40%程度に保つ方針で、実際は42%。借入は純有利子負債で約290億円ある。金利が上がる局面では利払いが増え、10年で年7億円ほど利益を削る。
M&Aでは2024年12月に安江工務店を連結子会社にした。住宅改修の基盤を買った形で、買収の効果は今後の数字で試される。
政策保有株は子会社のサーラエナジーが上場株を31銘柄・約43億円持ち、中計で売却を財源に回す方針を示した。社長の個人持株は過去の開示で2%前後。従業員持株会が7%強を持つ。
TOBで買われる可能性は、地域のガス事業と事業の複雑さがあり、高くはない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2025年の営業利益は73億円で、過去最高だ。2026年は9か月で81億円に達し、通期予想の78億円を超えた。全セグメントが増益だった。
エネルギー事業は、ガスの採算が戻り、電力が柱として育ち始めた。設備工事・保守は利益率が10%近く、人手不足でも値上げが通る。蓄電池・省エネの更新需要は10年続く。
ハウジングは安江工務店が加わり、改修で売上300億円を狙える。不動産は250億円の投資ポートフォリオを築く。アニマルヘルスと輸入車は赤字でも小さく、立て直しが効けば利益が上乗せされる。
資本政策も変わった。配当性向は30%から40%以上へ引き上げ、自己株式の取得を始め、政策保有株を売る。PBR 1倍超を2028年までに目標とした経営の意識は本物だ。
地域の寡占と工事の底堅さがあるので、下値も限られる。2030年に営業利益120億円、ROE 10%が実現すれば、会社は資本コストを超える稼ぎ手へ評価を変える。
慎重な見方
利益が過去最高といっても、営業利益率は3%に届かない。10年の中央値でROEは7%台で、資本コストを継続的に超えた実績がない。
ガスの顧客は人口減と電化で構造的に細る。LPガスは価格競争があり、電力は大手との利ざや競争だ。ガスの採算は仕入れ価格の転嫁の時差で振れやすく、2026年の増益が続くかは見きわめがつかない。
設備工事は人手がボトルネックで、数量を伸ばせない。ハウジングは新築が縮み、改修は地場工務店との乱戦で、安江工務店の買収価格を回収できるかは未知数だ。
中計が掲げる投下資本利益率6%は資本コストを下回る。5年で450億円を使えば、増える利益より利払いが先に増える。輸入車と動物薬の赤字は、複合経営の利点がないことを示す。
営業利益120億円は2年前の実力の約2倍で、物価の分を除けば約1.3倍だ。そこに届かず、ガスの採算が過去の30億円に戻れば、時価総額はいまを下回る。
自己資本比率が42%と厚いのは安心材料に見えるが、稼ぎに変えられていない資本の裏返しでもある。ROEが資本コストに届かないなら、帳簿の厚みは価値の裏づけにならない。電化が進んでも、導管という固定資産は簡単に減らせない。縮む需要に重い設備が残る構図は、利益率をじわじわ削る。
どちらに重みを置いたか
ガスの安定と設備工事の伸びは本物で、2026年の増益も本物だ。ただ、資本コストを超える稼ぎは中計の目標にとどまり、実績が乏しい。慎重な見方の方がわずかに強いと判断し、確率を悲観寄せに置いた(やや悲観29%・悲観12%、強気側は合わせて23%)。結果として、確率で加重した本質価値は今の時価総額の約3%下になった。差は小さく、割安とも割高ともいえない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した株価時価総額 1,678 円1,090 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 666 円433 億円)。 今の値に割り戻すと 1,278 円830 億円、今との差 +14.6%、 期待の年率 +7.7%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 3,693 円2,398 億円 | 878 円570 億円 | +309.9% | +15.2% | 274 円178 億円 |
| やや楽観 | 17% | 2,708 円1,759 億円 | 785 円510 億円 | +213.3% | +12.1% | 594 円386 億円 |
| 中立 | 36% | 1,893 円1,229 億円 | 702 円456 億円 | +132.7% | +8.8% | 934 円607 億円 |
| やや悲観 | 29% | 910 円591 億円 | 605 円393 億円 | +35.9% | +3.1% | 439 円285 億円 |
| 悲観 | 12% | 425 円276 億円 | 431 円280 億円 | −23.2% | −2.6% | 103 円67 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,678 円1,090 億円 | 666 円433 億円 | +110.2% | +7.7% | 2,344 円1,523 億円 |
今の株価時価総額 1,115 円724 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 中計の120億円を超え、電力と改修で稼ぎ直す 利益 148 億円 · PER 16.0 倍 · 株価時価総額 3,693 円2,398 億円
中期経営計画の営業利益120億円を2030年前後に達成し、その後も伸びる筋書きだ。電力小売が収益の第2の柱に育ち、ガスの契約減を補う。工事・保守は人手不足の中でも値上げが通り、蓄電池や空調の更新需要を取り込む。ハウジングは安江工務店との相乗で改修が300億円規模になり、利益率が4%台に乗る。アニマルヘルスケアと輸入車は赤字を脱し、小さくても黒字になる。不動産投資は計画どおり250億円のポートフォリオに近づく。
結果として営業利益は約190億円、利益率は4%台半ばになる。自己資本利益率(ROE)は10%を超え、資本コストをはっきり上回る。この形になれば、地域に根ざした複合企業が「眠った資産株」から「稼ぐ株」へ評価を変える。ただし10年前の営業利益率は2%台で、それをここまで引き上げるのは容易ではない。
- エネルギー&ソリューションズ:数量 60.0(ガス・電力の契約件数(万件・推定))× 価格 28(1件あたり年売上(万円))→ 売上 1,692 億円・営業利益 68 億円。契約は横ばい・単価は物価超え
- エンジニアリング&メンテナンス:数量 1,350(現場人員(人・推定))× 価格 4,936(1人あたり年売上(万円))→ 売上 666 億円・営業利益 70 億円。蓄電・空調更新で数量+35%
- ハウジング:数量 1,440(引渡し・工事件数(件相当・推定))× 価格 5,158(1件あたり売上(万円))→ 売上 743 億円・営業利益 33 億円。改修拡大
- アニマルヘルスケア:数量 4.0(取引先数(千先・推定))× 価格 784(1先あたり年購入額(万円))→ 売上 314 億円・営業利益 9 億円。黒字化
- カーライフサポート:数量 3,000(販売・入庫台数(台相当・推定))× 価格 802(1台あたり売上(万円))→ 売上 241 億円・営業利益 7 億円。整備で黒字化
- プロパティ:数量 256(運用資産(億円・推定))× 価格 0.64(運用資産1億円あたり年売上(億円))→ 売上 165 億円・営業利益 12 億円。投資が計画に迫る
倍率:事業の純利益 148 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.7% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.0 倍。全体の PER 16.02 倍、時価総額 2,371 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の目標は高く、10年で超える確率は低い。ガス・電力の採算が上振れし、工事も人手不足の中で単価を取れる必要があるため、1割に届かない確率にとどめる。
やや楽観 17% 中計に近づき、赤字2事業が黒字に戻る 利益 117 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 2,708 円1,759 億円
中期計画の道筋に近づく筋書きだ。電力と工事・保守が伸び、ガスは件数減を単価の上昇で支える。改修は安江工務店の顧客基盤を生かして着実に積み上がり、ハウジングの利益率は3%台後半へ上がる。アニマルヘルスケアは物流の集約で黒字に戻り、輸入車は整備の比重を上げて小さな黒字になる。
営業利益は約150億円、利益率は4%強。会社が掲げる目標より遅れるが、10年前の実力からは大きく改善する。自己資本は還元を差し引いても厚みを増し、ROEは9%台に届く。資本コストを上回る水準だが、超過の幅は小さい。
実際、2026年は9か月の営業利益が通期予想を超えており、この筋書きの入口には立っている。ただしガスの採算は、仕入れ価格の転嫁の時差で毎年揺れる。増益が数年続いて初めて、実力と呼べる。
- エネルギー&ソリューションズ:数量 58.2(ガス・電力の契約件数(万件・推定))× 価格 28(1件あたり年売上(万円))→ 売上 1,606 億円・営業利益 58 億円。契約減は小幅
- エンジニアリング&メンテナンス:数量 1,250(現場人員(人・推定))× 価格 4,831(1人あたり年売上(万円))→ 売上 604 億円・営業利益 57 億円。数量+25%
- ハウジング:数量 1,344(引渡し・工事件数(件相当・推定))× 価格 5,084(1件あたり売上(万円))→ 売上 683 億円・営業利益 25 億円。改修が伸びる
- アニマルヘルスケア:数量 3.8(取引先数(千先・推定))× 価格 784(1先あたり年購入額(万円))→ 売上 298 億円・営業利益 6 億円。小さな黒字
- カーライフサポート:数量 2,850(販売・入庫台数(台相当・推定))× 価格 802(1台あたり売上(万円))→ 売上 229 億円・営業利益 5 億円。小さな黒字
- プロパティ:数量 240(運用資産(億円・推定))× 価格 0.63(運用資産1億円あたり年売上(億円))→ 売上 151 億円・営業利益 10 億円。投資が計画の約7割
倍率:事業の純利益 117 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.1% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.79 倍、時価総額 1,730 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:電力の育成と改修の拡大が計画どおり進む筋書き。赤字事業の立て直しが効くかが分かれ目で、実績(2026年は増益)を見て2割弱を置く。
中立 36% ガスは細り、工事と改修が穴を埋める 利益 90 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 1,893 円1,229 億円
ガスの契約件数が人口減と電化でゆっくり減り、都市ガス・LPガスの数量は10年で5%ほど細る。それでも価格が物価並みに上がるので、エネルギー事業の売上は伸びる。利益の中身は、電力の上積みと設備工事・保守の伸びだ。工事は人手がボトルネックなので、数量の伸びは15%にとどめる。
ハウジングは新築が縮むなか、改修と安江工務店の顧客基盤で数量を保つ。アニマルヘルスケアと輸入車は小さな黒字に戻る程度だ。不動産は計画の約8割が積み上がる。
営業利益は約120億円、利益率は3%台後半。2026年に計画を上回る増益が出ているが、ガスの採算は年によって30億円から43億円まで揺れた。この揺れを均した形で置く。ROEは7%台で資本コストをわずかに下回る。投資450億円の稼ぎが計画の6%(投下資本利益率)で止まるなら、新しい投資は資本コストに届かないままだ。
- エネルギー&ソリューションズ:数量 57.0(ガス・電力の契約件数(万件・推定))× 価格 27(1件あたり年売上(万円))→ 売上 1,539 億円・営業利益 51 億円。件数5%減・単価は物価並み
- エンジニアリング&メンテナンス:数量 1,150(現場人員(人・推定))× 価格 4,725(1人あたり年売上(万円))→ 売上 543 億円・営業利益 46 億円。人手制約で数量+15%
- ハウジング:数量 1,260(引渡し・工事件数(件相当・推定))× 価格 5,009(1件あたり売上(万円))→ 売上 631 億円・営業利益 18 億円。新築減を改修が補う
- アニマルヘルスケア:数量 3.6(取引先数(千先・推定))× 価格 784(1先あたり年購入額(万円))→ 売上 282 億円・営業利益 3 億円。小さな黒字
- カーライフサポート:数量 2,700(販売・入庫台数(台相当・推定))× 価格 802(1台あたり売上(万円))→ 売上 217 億円・営業利益 2 億円。小さな黒字
- プロパティ:数量 216(運用資産(億円・推定))× 価格 0.62(運用資産1億円あたり年売上(億円))→ 売上 133 億円・営業利益 7 億円。計画の約8割
倍率:事業の純利益 90 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.4% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 1,200 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:最も起こりやすい形。ガスの件数は人口減と電化でゆっくり減り、価格の上昇で売上を保つ。工事・改修が伸びて全体の営業利益率は3%台後半。
やや悲観 29% ガスの採算が崩れ、赤字事業が重しになる 利益 62 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 910 円591 億円
ガスの採算が過去の水準に戻り、中計の投資が思うように稼げない筋書きだ。LPガスは卸の価格競争と顧客の電化で件数が1割減り、価格転嫁が遅れる年も出る。都市ガスは地域の寡占を保つが、電力小売は大手との競争で薄い利ざやにとどまる。
工事・保守は景気後退と人件費の上昇で利益率が7%台に下がる。ハウジングは新築の縮小が改修の伸びを上回り、利益率は2%に戻る。動物薬の卸と輸入車は赤字を脱しきれず、損益はほぼゼロにとどまる。
営業利益は約85億円、利益率は3%弱で、足元の水準と大差ない。投資450億円は借入で賄うため、利払いの増加が重しになる。ROEは5%台まで落ち、資本コストを下回る。それでも配当は守られ、自己資本は積み上がる。
- エネルギー&ソリューションズ:数量 54.0(ガス・電力の契約件数(万件・推定))× 価格 26(1件あたり年売上(万円))→ 売上 1,415 億円・営業利益 40 億円。件数1割減・価格転嫁が遅れる
- エンジニアリング&メンテナンス:数量 1,050(現場人員(人・推定))× 価格 4,725(1人あたり年売上(万円))→ 売上 496 億円・営業利益 37 億円。利益率が下がる
- ハウジング:数量 1,080(引渡し・工事件数(件相当・推定))× 価格 4,859(1件あたり売上(万円))→ 売上 525 億円・営業利益 11 億円。新築縮小
- アニマルヘルスケア:数量 3.4(取引先数(千先・推定))× 価格 761(1先あたり年購入額(万円))→ 売上 259 億円・営業利益 0 億円。損益ゼロ
- カーライフサポート:数量 2,400(販売・入庫台数(台相当・推定))× 価格 778(1台あたり売上(万円))→ 売上 187 億円・営業利益 0 億円。損益ゼロ
- プロパティ:数量 192(運用資産(億円・推定))× 価格 0.60(運用資産1億円あたり年売上(億円))→ 売上 115 億円・営業利益 5 億円。積み上がり遅い
倍率:事業の純利益62億円・事業ROE約5.5%。ROEが資本コスト7.5%以下なのでPERの上限は1÷k=12.5倍。ROEが資本コストを割る構造的な弱さを考え、稼ぐ力から上限の約7割の9.0倍に置いた(引き上げない)。
確率:ガス事業の採算が過去の水準(営業利益30億円前後)に戻り、投資450億円の稼ぎも計画に届かない筋書き。歴史的に利益率が2%台で、この形が実績に近いため3割弱と厚めにする。
悲観 12% ガス需要が構造的に縮み、複合の利点も失う 利益 27 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 425 円276 億円
脱炭素と電化が思った以上に早く進み、ガスの契約が構造的に縮む筋書きだ。LPガスの顧客は2割以上離れ、都市ガスも業務用の電化で数量が落ちる。価格を上げて補おうとすると、さらに顧客が離れる。電力小売は大手との競争で利益が出ない。
輸入車は取扱ブランドの販売網見直しで規模を失い、動物薬の卸は国内の畜産縮小で赤字が続く。ハウジングは新築が3割近く落ち、安江工務店の買収の効果も出ない。この形になると、事業を束ねる利点が薄れ、グループの本社費だけが重くのしかかる。
営業利益は約45億円、利益率は2%を割る。投資450億円の一部が回収できず、減損も出る。純利益は27億円まで落ち、ROEは3%前後。地域の寡占と工事の底堅さで赤字までは行かないが、優良とは呼べない会社になる。
- エネルギー&ソリューションズ:数量 46.8(ガス・電力の契約件数(万件・推定))× 価格 25(1件あたり年売上(万円))→ 売上 1,179 億円・営業利益 24 億円。件数2割超減
- エンジニアリング&メンテナンス:数量 950(現場人員(人・推定))× 価格 4,408(1人あたり年売上(万円))→ 売上 419 億円・営業利益 25 億円。数量減・値下げ圧力
- ハウジング:数量 960(引渡し・工事件数(件相当・推定))× 価格 4,673(1件あたり売上(万円))→ 売上 449 億円・営業利益 5 億円。新築3割減
- アニマルヘルスケア:数量 2.8(取引先数(千先・推定))× 価格 703(1先あたり年購入額(万円))→ 売上 197 億円・営業利益 −4 億円。赤字継続
- カーライフサポート:数量 1,800(販売・入庫台数(台相当・推定))× 価格 718(1台あたり売上(万円))→ 売上 129 億円・営業利益 −3 億円。赤字継続
- プロパティ:数量 160(運用資産(億円・推定))× 価格 0.55(運用資産1億円あたり年売上(億円))→ 売上 88 億円・営業利益 3 億円。一部減損
倍率:事業の純利益27億円・事業ROE約2.6%。稼ぐ力(純利益÷k)は338億円で、減損を含む傷んだ事業としてその約7割の9.0倍に置いた。床は稼ぐ力で測り、帳簿の自己資本には掛けない。
確率:脱炭素と電化でガス契約が構造的に縮み、輸入車・動物薬の赤字が続く筋書き。10年の長さでは無視できないが、地域の寡占と工事の底堅さがあるので1割強にとどめる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
エネルギー&ソリューションズ
都市ガス・LPガス・電力の供給と、法人向けのエネルギー提案。売上の半分近くを占める屋台骨。
| 数量ガス・電力の契約件数(万件・推定) | 価格1件あたり年売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 60.0 | 20 | 1,209 | 43 |
| 10 年後 中立 | 57.0 | 27 | 1,539 | 51 |
取り方:都市ガス約24万件・LPガス約29万戸(2019年・経産省資料)に電力を足して約60万件相当と推定。売上1,208億円を割って1件あたり約20万円。営業利益は42.9億円(率3.6%)。
エンジニアリング&メンテナンス
設備工事・空調・保守・蓄電池など、法人向けの工事とメンテナンス。
| 数量現場人員(人・推定) | 価格1人あたり年売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 1,000 | 3,526 | 353 | 35 |
| 10 年後 中立 | 1,150 | 4,725 | 543 | 46 |
取り方:連結従業員約4,170人のうち約1,000人が担うと推定。売上352.6億円を割って1人あたり約3,500万円。営業利益34.5億円(率9.8%)。
ハウジング
注文住宅・リフォーム・不動産。2024年12月に連結した安江工務店を含む。
| 数量引渡し・工事件数(件相当・推定) | 価格1件あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 1,200 | 3,738 | 449 | 9 |
| 10 年後 中立 | 1,260 | 5,009 | 631 | 18 |
取り方:新築・リフォーム・建築を件数に均して約1,200件相当と推定。売上448.5億円で1件あたり約3,700万円。営業利益9.1億円(率2.0%)。
アニマルヘルスケア
動物用医薬品と畜産機器を畜産農家・獣医に販売する卸(アスコ)。
| 数量取引先数(千先・推定) | 価格1先あたり年購入額(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 4.0 | 585 | 234 | −6 |
| 10 年後 中立 | 3.6 | 784 | 282 | 3 |
取り方:取引先を約4千先と推定し、売上234.2億円から1先あたり約590万円。営業損益は5.7億円の赤字。
カーライフサポート
輸入車の販売と整備(サーラカーズジャパン)。
| 数量販売・入庫台数(台相当・推定) | 価格1台あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 3,000 | 599 | 180 | −6 |
| 10 年後 中立 | 2,700 | 802 | 217 | 2 |
取り方:新車・中古・整備を台数に均して約3,000台相当と推定。売上179.6億円で1台あたり約600万円。営業損益は6.3億円の赤字。
プロパティ
商業施設・ホテル・賃貸などの不動産運営と不動産投資。
| 数量運用資産(億円・推定) | 価格運用資産1億円あたり年売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 160 | 0.46 | 74 | 4 |
| 10 年後 中立 | 216 | 0.62 | 133 | 7 |
取り方:運用資産を約160億円と推定し、売上73.5億円で資産あたり約0.46億円。営業利益4.1億円(率5.6%)。
リスクと懸念
ガス需要の長期的な縮小
人口減・省エネ機器・脱炭素による電化で、都市ガスとLPガスの契約と使用量は長期で細る。価格で補えても、数量が落ちれば導管などの固定費が重くなる。売上の半分が影響を受ける。
投資450億円の回収
中計は5年で450億円を投じ、増えた分は借入と政策保有株の売却で賄う。目標の投下資本利益率は6%と資本コストを下回る。利益が計画に届かなければ、利払いだけが増える。
赤字事業の長期化
2025年にアニマルヘルスケアは5.7億円、カーライフサポートは6.3億円の営業損失だった。畜産農家の減少や輸入車の販売網の見直しは自助努力で変えにくく、構造改革が遅れれば減損もありうる。
ガスの採算の揺れ
仕入れ価格の転嫁が遅れる年は、ガスの利益が30億円まで落ちる。2025年は43億円に戻ったが、これが平常かは分からない。冬の気温にも利益が左右される。
人手不足と人件費
設備工事・保守は、現場の人員が数量の上限を決める。賃上げが続けば、利益率の高い事業でも採算が下がる。連結従業員は約4,170人で、採用の遅れは直接の成長制約になる。
南海トラフ地震
事業地域の愛知東部・静岡西部は、南海トラフ地震で大きな被害を受ける恐れがある。ガスの導管、住宅、不動産に同時に影響し、事業の地域集中がリスクを増幅する。
安江工務店の統合
2024年12月に連結した安江工務店と子会社4社の統合が、改修を伸ばす計画の前提になる。買収の効果が出ず、のれんの減損が出る場合は、利益と自己資本の両方が傷む。
今後の分かれ目
- 電力小売がガスに次ぐ利益柱に育ち、営業利益が2桁億円に乗った場合
- ガス減少を補える確かな根拠になり、強気の筋書きへ寄る。
- ガス事業の営業利益が30億円前後に戻った場合
- 2025年の回復は一過性だったことになり、やや悲観の筋書きに近づく。
- アニマルヘルスケアと輸入車が黒字化または売却・撤退で赤字が消えた場合
- 複合経営の重しが外れ、利益率が1ポイント近く改善する。
- 安江工務店の改修が計画どおり売上300億円規模に向かった場合
- ハウジングが安定した稼ぎ頭になり、中立から強気側に寄る。
- 政策保有株の売却資金が自己株式の取得に回った場合
- 1株あたりの価値は改善するが、事業価値そのものは変わらない。
- 金利がさらに上がり、借入の利払いが想定より増えた場合
- 純利益が削られ、投資の稼ぎが資本コストにさらに届かなくなる。
見ておくもの
- ガス・電力の契約件数と電力事業の営業利益
- 設備工事・保守の受注と利益率
- アニマルヘルスケアと輸入車の黒字化
- ハウジングの改修売上と安江工務店の統合
- 投下資本利益率と純有利子負債の推移
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額や PER・PBR には寄せず、6つの事業を数量×価格で積み上げ、事業のROEと資本コストから正当化PERを計算した。資本コストは7.5%(基本7.5%+quality 0.5%)。中立のROEは7%台で資本コストを下回るため、上限は1÷k=12.5倍、その85%の10.6倍に置いた。強気は上限の約9割、やや悲観・悲観は稼ぐ力から置き、谷の倍率や過去のPBRは使っていない。結果の本質価値は今の時価総額の約3%下になったが、倍率の置き方を変えても±15%程度の幅に収まる。リースは、家賃を営業費用に入れた今の形でそろえて置いた(新リース会計基準でBSの形は変わるが、価値は変わらない)。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.9→16.02 倍・やや楽観 PER 11.3→14.79 倍・中立 PER 10.6→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した(決まり v2)。個別の事業リスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.50%。