結論
フェスタリアホールディングスは、企画から製造、販売まで自社で行うジュエリーの小売会社だ。百貨店とショッピングセンターに 75 店、台湾に 9 店を持ち、ベトナムに自社工場がある。ブライダルリングが強い。
筆者の結論は割高だ。会社の規模は小さく、時価総額は 21 億円ほどである。10 年後の中立でも、時価総額は今の半分ほどにとどまる。理由は 2 つある。営業利益率が 2〜3% と薄いこと、そして純負債が時価総額と同じ規模で、金利の上昇に弱いことだ。
今期は売上が 9% 増えているのに、9 か月累計の営業利益は 4 割減った。原材料の高騰と人件費の増加が先に利益を食う構造が、すでに表れている。
婚姻数は年 2% 超で減り、百貨店の客数も細る。単価の上昇で補えるかが勝負になる。創業家が株の 3 分の 1 を持ち、安定感はあるが、少数株主に有利な保証はない。借入の返済が進むかどうかが、今後の評価の分かれ目になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、フェスタリアは「利益の薄い会社が借金で在庫を持つ」姿だ。オーナーが手元に残せる利益は、営業利益 2.9 億円から、金利の上昇と在庫の維持に要る資金を引くと、年 1 億円台にとどまる。
堀は強くない。ブライダルの顧客との関係は価値だが、百貨店の客数が減り、原材料の価格上昇を価格に通す力も弱い。ブランドの強さで価格を決められる会社と、同じ倍率は払えない。
経営の資本配分は、配当を利益の 1 割台に抑え、優待に力を入れる形だ。優待は株主に渡る価値だが、事業の稼ぐ力が弱い中で、借入の返済を優先した方が株主の価値は増える。
借金が重いので、安全域は薄い。時価総額は純負債とほぼ同じで、事業の価値は借金を引いた残りに過ぎない。割安に化けるには、婚姻数の減少が緩み、金の価格が落ち着き、借入が減ることが同時に要る。
何で稼ぐ会社か
フェスタリアは旧社名をサダマツといい、ジュエリーの企画・製造・販売を一貫して行う SPA(自社で作って自社で売る型)の会社だ。ブランドは、festaria bijou SOPHIA、veretta 8va、vielle などを持つ。2025 年 8 月期の売上は 94 億円だった。社名は 2019 年に現在の持株会社の形に変えた。
売上の約 93% が国内の宝飾店で、首都圏を中心に、百貨店とショッピングセンターに 75 店を構える。海外は台湾に 9 店あり、売上の約 5% を占める。残りの約 3% は、他社への卸売だ。
商品の中心はブライダル(婚約・結婚指輪)で、ファッションジュエリーが続く。製造はベトナムの自社工場が担い、企画から店頭までの流れを短くしている。
営業利益は 2.9 億円で、利益率は 3% ほどだ。借入は、金や石の在庫を持つ資金に回る。2026 年の優待は、100 株以上でオンラインショップの割引クーポンを出す。決算期は 8 月で、年末商戦の 12 月と卒業・結婚の春が繁忙期になる。
優良さと弱いところ
優良さは中程度より下だ。強みは 3 つある。第 1 に、ブライダルという需要が確かな商品を持つ。第 2 に、自社の工場を持ち、原価と品質を管理できる。第 3 に、創業家が長く経営を握り、方針が安定している。
弱みは 4 つある。第 1 に、金や石の価格に利益が左右され、価格に通すまでに時間差がある。第 2 に、百貨店中心の店舗網は、客数の減少の影響を受ける。第 3 に、営業利益率が 3% 前後と薄く、少しの費用増で利益が消える。第 4 に、自己資本比率が 22% と低く、借金が重い。
資本効率は、ROE が過去 10 年の中央値で 7% 弱だ。2020 年には営業利益率が −5.9% の大幅赤字も出した。
堀と呼べるのは、ブライダルの顧客との関係くらいで、価格決定力は強くない。10 年後に今より強いとは言いにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のジュエリー市場は、婚姻数の減少という構造的な逆風を受ける。市場全体の規模は縮み気味で、各社は単価の引き上げで売上を保つ。婚姻数は年 2〜3% のペースで減り、ブライダルリングの需要は数量で細る。一方、金や石の価格は上昇し、1 点あたりの単価を押し上げる。結婚式を挙げない「ナシ婚」も増え、婚約指輪の購入率は下がる傾向がある。
小売の主な舞台は百貨店で、客数の減少と店舗の閉鎖が続く。ネット通販や専門のブランドが顧客を奪う。フェスタリアは、オンラインショップの割引クーポンで、店頭とネットをつなぐ試みを進めている。
競合は、4℃などの大手の専門店、ブランド型の宝飾店、ネット専業だ。フェスタリアは、自社工場と SPA で価格を抑える強みがある。ただ、原材料の価格上昇を価格に通す力は、ブランド力の強い会社より弱い。
台湾など海外は、まだ小さいが、現地の婚礼需要を取り込む余地がある。国内の市場は成熟しており、伸びるのは単価の部分だけと見る。地金価格の上昇は、仕入れの在庫評価にも影響し、運転資金の負担が増える。婚礼の小規模化も、1 組あたりの購入額を抑える。
資本政策と M&A
資本政策は、借入で在庫と店舗を支える型だ。純負債は 22 億円で、時価総額と同じ規模になる。借り換えで金利が上がると、利払いが営業利益を大きく食う。
配当は年 1 株あたり小額で、総額は 0.25 億円と、純利益の 1 割台だ。株主優待は、100 株以上でオンラインショップの割引クーポンを出し、300 株以上は自社商品も選べる。費用は開示がなく、筆者は年 0.3 億円と見て、株主に渡る価値として還元に足した。小さいが、配当の 1.2 倍に当たる。
創業家の貞松氏の一族が、株の 3 分の 1 強を持つ。経営の安定には役立つが、非公開化の可能性も残る。kabufu のシミュレーションでは、10 年以内の買収の確率は約 2 割だ。ただ、買収価格が事業の価値を上回るかは読めず、筋書きの確率には織り込まなかった。
店舗は百貨店の売上連動型が多いと見られるが、開示では確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ブライダルは、結婚という人生の節目の需要で、景気に左右されにくい。フェスタリアは自社工場を持つ SPA で、価格を抑えながら品質を保つ。今期は売上が 9% 増え、ブライダル関連が好調で、売上は過去最高を更新している。ブライダルの顧客は、結婚後の記念品やペアの商品にも広がり、固定客が育つ。
原材料の高騰を受けて 4 月に価格改定をしたが、影響は限定的で、客数は落ちなかった。単価の上昇で売上が伸びる局面では、利益率も戻る余地がある。台湾に 9 店あり、海外の婚礼需要にも手を伸ばしている。
創業家が株の 3 分の 1 強を持ち、経営は安定している。優待で顧客とのつながりを保ち、オンラインの購買も広がる。時価総額が 21 億円と小さく、利益率が 1 ポイント上がるだけで、純利益は倍になる。自社工場の稼働が上がれば、原価率の改善も期待できる。借入が減れば、利払いの負担も軽くなり、上は大きい。創業家が経営を握り、方針が変わらない点も、長期で事業を磨くには向く。ブライダルの顧客は結婚という節目で選ぶため、ブランドへの信頼が積み上がれば、価格を上げても客は離れにくい。
慎重な見方
利益の質が悪い。今期は売上が 9% 増えたのに、9 か月累計の営業利益は 4 割減った。原材料の高騰と販管費の増加が、増収を上回っている。通期予想の進捗は 4 割に満たず、予想の達成は難しい。
婚姻数は年 2〜3% で減り、百貨店の客数も細る。ブライダルの数量は構造的に縮み、単価の上昇で補えなければ売上は減る。営業利益率は過去 12 年のうち 10 年が 3.2% 以下で、少しの費用増で赤字になる。2020 年には大幅な赤字も出した。
純負債が 22 億円と時価総額と同じ規模で、自己資本比率は 22% と低い。金利が 3.5% に上がれば、利払いが営業利益の大半を食う。
優待は株主に渡る価値だが、事業の稼ぐ力が弱い中では、負担が重い。創業家が株を持つ分、少数株主の発言力は弱い。売上が伸びても、利益に残らない構造が続けば、株価の割安さは解消されない。ブライダルの需要は景気に強いと言われるが、客数の減少と原価の上昇が重なる局面では、その前提も崩れる。
どちらに重みを置いたか
利益率の薄さと借金の重さという点で、慎重な見方が強い。強気の見方が正しくても、利益率が 1 ポイント上がる程度で、倍率は ROE が k に届かないため 1÷k が上限になり、価値は大きく動かない。確率は、中立を 4 割弱に置き、やや悲観と悲観を合わせて 4 割に厚くした。悲観は、借金の重さを反映して 10% を置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した株価時価総額 481 円17 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 119 円4 億円)。 今の値に割り戻すと 280 円10 億円、今との差 −53.1%、 期待の年率 +0.0%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,372 円49 億円 | 209 円8 億円 | +164.5% | +10.2% | 95 円3 億円 |
| やや楽観 | 18% | 763 円27 億円 | 159 円6 億円 | +54.2% | +4.4% | 166 円6 億円 |
| 中立 | 38% | 529 円19 億円 | 134 円5 億円 | +10.8% | +1.0% | 252 円9 億円 |
| やや悲観 | 28% | 187 円7 億円 | 81 円3 億円 | −55.2% | −7.7% | 75 円3 億円 |
| 悲観 | 10% | 81 円3 億円 | 42 円2 億円 | −79.5% | −14.6% | 12 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 481 円17 億円 | 119 円4 億円 | +0.3% | +0.0% | 600 円22 億円 |
今の株価時価総額 598 円21 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 6% ブライダルの単価が上がり、自社工場の利幅が出て、台湾も伸びる 利益 4 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 1,372 円49 億円
ブライダルリングの単価が上がり、金や石の値上がりを価格に通せるようになる。ベトナムの自社工場の稼働が上がり、原価率が改善する。国内は婚姻数の減少で点数が 5% 減るが、1 点あたりの単価の上昇がそれを上回る。台湾は店を 2 倍近くに増やし、現地の顧客に根づく。卸売も自社工場の稼働を支える形で、外販の先が増える。営業利益率は 4.5% と、2022 年の山を超える水準になる。借入は返済が進み、利払いの負担も下がる。純利益は 3.6 億円と、今の 2 倍になる。自己資本比率も改善し、配当を増やす余力が生まれ、優待も維持できる。
- 国内の宝飾小売(75 店):数量 18.3(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 6.75(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 124 億円・営業利益 6 億円。国内 18.3 万点 × 1 点 6.75 万円、営業利益率 4.5%
- 海外の宝飾小売(台湾 9 店):数量 2.2(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 5.04(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。台湾 2.2 万点 × 1 点 5.0 万円、営業利益率 6%
- 宝飾品の卸売:数量 1.4(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 2.80(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。卸 1.4 万点 × 1 点 2.8 万円、営業利益率 6%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.64 倍、時価総額 45 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:金の価格を価格に通せる力がつき、台湾も広がる複合の筋書き。婚姻数が減り、借金も重いので、確率は低い。
やや楽観 18% 価格改定が定着し、利益率は 3% 台半ばまで戻る 利益 2 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 763 円27 億円
原材料の上昇に合わせた価格改定が定着し、1 点あたりの単価は物価を上回って上がる。婚姻数の減少で国内の点数は 1 割強減るが、ブライダル以外のファッションジュエリーが下支えする。ベトナム工場の稼働も上がり、原価率は小さく改善する。台湾は店が 5 割増え、小さな黒字になる。営業利益率は 3.6% まで戻る。ただ、借入の借り換えで金利が 3.5% に上がり、利払いは今の 10 倍近くに増える。純利益は 2.2 億円にとどまり、ROE は 7% 台で資本コストに届かない。株主への還元は優待と小さな配当を続ける形で、借入の返済も少しずつ進む。
- 国内の宝飾小売(75 店):数量 17.0(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 6.48(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 110 億円・営業利益 4 億円。国内 17.0 万点 × 1 点 6.5 万円、営業利益率 3.6%
- 海外の宝飾小売(台湾 9 店):数量 1.8(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 4.82(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。台湾 1.8 万点 × 1 点 4.8 万円、営業利益率 4%
- 宝飾品の卸売:数量 1.3(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 2.68(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。卸 1.3 万点 × 1 点 2.7 万円、営業利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 24 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:原材料の上昇を価格に通せる状態が続き、ブライダルが堅調な筋書き。ただし婚姻数の減少と借金の重さで、伸びは限られる。
中立 38% 婚姻数の減少を単価の上昇で補い、利益率は 3% を保てるかどうか 利益 1 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 529 円19 億円
婚姻数は年 2〜3% のペースで減り、国内の販売点数は 10 年で 2 割減る。一方、金や石の値上がりと物価で単価は 4 割上がり、売上は今より 1 割ほど増える。営業利益率は 3.0% で、直近の 3.1% とほぼ同じだ。人件費と百貨店の出店コストも物価で上がるので、利益率は伸びない。借入の借り換えで金利が 3.5% に上がり、利払いが利益を食う。純利益は 1.4 億円前後にとどまり、配当は 2 割ほど、優待は毎年続く。ROE は 5% 台で資本コストを下回る。ブライダル以外の売上を伸ばせるかが利益の分かれ目で、台湾の黒字化も遅い。
- 国内の宝飾小売(75 店):数量 15.4(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 6.30(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 97 億円・営業利益 3 億円。国内 15.4 万点 × 1 点 6.3 万円、営業利益率 3.0%
- 海外の宝飾小売(台湾 9 店):数量 1.6(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 4.82(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。台湾 1.6 万点 × 1 点 4.8 万円、営業利益率 3%
- 宝飾品の卸売:数量 1.2(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 2.68(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。卸 1.2 万点 × 1 点 2.7 万円、営業利益率 5%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.3% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 16 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年のうち 10 年は営業利益率が 3.2% 以下だった。利益率は 2〜3% の箱の中という実績を中心に置く。
やや悲観 28% 婚姻数の減少と原材料高で数量が落ち、利払いが利益を食う 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 187 円7 億円
婚姻数の減少と百貨店の客数の減少で、国内の販売点数は 3 割落ちる。金や石の値上がりを価格に通しきれず、粗利率が下がる。店舗の人件費や出店コストは減らず、営業利益率は 1.8% に下がる。台湾は出店を増やしたが黒字化せず、利益はゼロにとどまる。借入の金利が 3.5% に上がり、利払いは営業利益の 6 割を超える。仕入れの金や石の在庫は、価格が下がれば評価損にもなりうる。純利益は 0.2 億円まで落ち、配当は縮み、優待も縮小を迫られる。新規出店は止まり、既存店の改装も後ろ倒しになって、店頭の魅力が落ちる悪循環に入りやすい。自己資本の積み上がりは鈍く、借入の返済に回せる資金も細る。
- 国内の宝飾小売(75 店):数量 13.5(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 6.03(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 81 億円・営業利益 1 億円。国内 13.5 万点 × 1 点 6.0 万円、営業利益率 1.8%
- 海外の宝飾小売(台湾 9 店):数量 1.2(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 4.68(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。台湾 1.2 万点 × 1 点 4.7 万円、営業利益率 0%
- 宝飾品の卸売:数量 1.0(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 2.60(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。卸 1.0 万点 × 1 点 2.6 万円、営業利益率 3%
倍率:稼ぐ力が薄く、床は売れる資産で測る。今の自己資本 16 億円に 0.30 倍(在庫の売却と借入の返済を経た後に残る額に近い)を掛けた。
確率:婚姻数の減少、金の高止まり、百貨店の客数減が重なれば、利益率は 2% を割る。借金の利払いが利益の大半を食う。
悲観 10% 借入の条件に触れ、店舗を畳みながら借金を返す 利益 −3 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 81 円3 億円
婚姻数の減少と百貨店の衰退が、想定を超える速さで進む。国内の販売点数は半分近くまで落ち、赤字の店舗の閉鎖を迫られる。金の価格の下落や高止まりで在庫の評価が崩れ、粗利率が下がる。借入の金利は 3.5% に上がり、返済と店舗の整理費用が重なる。経営は借入の条件に触れ、金融機関の支援を受けながら事業を絞る。創業家が持株を維持しても、配当は止まり、優待も縮小される。株主に残る価値は、在庫と店舗資産を売って借入を返した後のわずかな額になる。創業家の持株があっても、出資者としての追加の支援には限りがあり、再建は金融機関の判断に委ねられる。
- 国内の宝飾小売(75 店):数量 10.6(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 5.85(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 62 億円・営業利益 −1 億円。国内 10.6 万点 × 1 点 5.9 万円、営業利益率 −2%
- 海外の宝飾小売(台湾 9 店):数量 1.0(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 4.50(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。台湾 1.0 万点 × 1 点 4.5 万円、営業利益率 −2%
- 宝飾品の卸売:数量 0.8(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 2.60(1 点あたり平均売上(万円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。卸 0.8 万点 × 1 点 2.6 万円、営業利益率 0%
倍率:稼ぐ力が消えるので床は売れる資産で測る。今の自己資本 16 億円に 0.18 倍を掛けた。在庫や店舗資産を売っても借入と買掛金の返済後に残る額は小さい。
確率:売上の落ち込みと金利の上昇が重なり、赤字が続く。純負債が時価総額と同じ規模で、重い会社なので、悲観の確率を他の小売より厚くした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内の宝飾小売(75 店)
百貨店・ショッピングセンターでの自社ブランドのジュエリー(ブライダル中心)の販売と、オンラインショップ。
| 数量年間の販売点数(万点、推定) | 価格1 点あたり平均売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 19.3 | 4.50 | 87 | 3 |
| 10 年後 中立 | 15.4 | 6.30 | 97 | 3 |
取り方:国内の売上は、宝飾店の売上構成 92.6%(開示)から約 87.0 億円。点数と単価は開示がなく、ブライダル(10 万円超)とファッション(2〜3 万円)の平均を 4.5 万円と推定し、約 19.3 万点とした。数量は点数(婚姻数・来店客数で動く)、価格は 1 点あたりの名目の単価。セグメント利益は開示を確認できず、営業利益 2.89 億円を国内 2.78 億円・海外 0.09 億円・卸 0.16 億円・全社費 −0.14 億円と推定して分けた。
海外の宝飾小売(台湾 9 店)
台湾での自社ブランドのジュエリー販売。
| 数量年間の販売点数(万点、推定) | 価格1 点あたり平均売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 1.2 | 3.60 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.6 | 4.82 | 8 | 0 |
取り方:海外小売は売上構成 4.6%(開示)から約 4.3 億円。点数と単価は開示がなく、1 点 3.6 万円として約 1.2 万点と推定した。
宝飾品の卸売
他社への宝飾品の卸売(自社工場の製品の外販)。
| 数量年間の販売点数(万点、推定) | 価格1 点あたり平均売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 1.3 | 2.00 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.2 | 2.68 | 3 | 0 |
取り方:卸売は売上構成 2.8%(開示)から約 2.6 億円。点数と単価は開示がなく、1 点 2.0 万円として約 1.3 万点と推定した。
リスクと懸念
婚姻数の減少
ブライダルが中心なので、婚姻数が年 2〜3% で減ると、数量が構造的に縮む。単価の上昇で補えなければ、売上は減る。
原材料の価格と価格転嫁
金や石の価格が上がっても、価格に通すまでに時間差がある。今期は売上が 9% 増えたのに、9 か月累計の営業利益は 4 割減った。
重い借金と金利
純負債は時価総額と同じ 22 億円で、自己資本比率は 22% と低い。借り換えで金利が 3.5% に上がると、利払いが営業利益の大半を食う。
百貨店の客数減
店舗の中心は百貨店とショッピングセンターで、客数と出店の条件が、百貨店の再編に左右される。閉店や退店の費用も出る。
薄利の構造
営業利益率は 3% 前後で、人件費と出店コストの上昇で簡単に 1% 台に落ちる。2020 年には営業利益率が −5.9% の赤字も出した。
優待の負担
100 株以上にクーポンを出す優待は、株主には魅力でも、費用は年 0.3 億円と見られ、利益の薄い会社には重い。業績が悪化すれば縮小される。
今後の分かれ目
- 今期の通期の営業利益が、会社予想を 3 割以上下回って終わったら
- やや悲観と悲観の確率を上げる。来期の利益率の置き方も下げる。
- 婚姻数の減少が年 4% 以上に加速したら
- 国内の数量の置き方を下げ、悲観に寄る。
- 価格改定が定着し、売上の伸びと営業利益の伸びが同じ方向になったら
- やや楽観の確率を上げてよい。
- 借入の返済が進み、純負債が 15 億円を下回ったら
- 利払いの負担が軽くなり、純利益の置き方を上げてよい。
- 創業家による非公開化の提案が出たら
- 価格が事業の稼ぐ力を超えるかを確かめる。借金が重い会社なので、価格は純資産に近い水準になりやすい。
見ておくもの
- 月次の既存店売上と婚姻数
- 四半期の営業利益率と粗利率(金の価格の転嫁)
- 純負債と支払利息
- 優待の内容と配当性向
倍率と資本コストの決め方
倍率は資本コスト 9.0%(基本 7.5% に、借金 +0.75%・循環 +0.25%・値決め +0.25%・寿命 +0.25%)と、事業の ROE(5〜10%)から置いた。ROE が k 未満の筋書きは 1÷k の 11.1 倍が上限で、利益の質に応じて 7〜9 割に置いた。今の株価や同業の PER は見ていない。店舗の賃借料は営業費用に入れた形で 10 年後もそろえ、新リース会計基準(2028 年 9 月期から)で純負債が増えて見える点は価値の式に効かない。決算期が 8 月なので、起点は 2025 年 8 月期の実績に、2026 年 8 月期の 9 か月累計の悪化を純利益の起点(net_start)で反映した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→12.64 倍・やや楽観 PER 9.5→11.11 倍・中立 PER 8.5→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。