結論
ヒラキは神戸の会社で、安い靴と衣料をカタログで売り、京阪神の18店でも売る。筆者の結論は割高だ。本業がほとんど稼げておらず、稼ぎを生む仕組みが細り続けているからだ。
柱だったカタログ通販は、2026/03期に売上が15%減った。紙のカタログで安い靴を選ぶ客が年々減り、ネットでは大手の通販と値段で比べられる。店舗は小さな黒字を保つが、本社の費用を賄いきれない。全社では3年続けて営業赤字になった。
会社は2027/03期に営業黒字2億円を見込む。筆者もこの程度の回復はありうると見る。ただ売上120億円で利益2億円では、自己資本60億円に対して稼ぐ力は薄い。
手元の現金はあるが、借金のほうが20億円ほど多い。店や倉庫の多くは自社の土地にあり、資産の裏付けはある。とはいえ赤字が続けば、その資産は少しずつ削られる。今の値段は、本業の回復をかなり先取りしている。
筆者は、本業の稼ぐ力が資本コストに届く道筋が見えるまで、資産の厚さだけで値段を支えるのは難しいと考える。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ヒラキは「資産はあるが、事業が稼がない会社」だ。オーナーとして持ち続けたい事業かと問えば、答えは否である。
事業の本質は、安い靴を大量に仕入れて売ることだ。この商売に堀はない。同じ靴はネットでも店でも、もっと大きな会社が安く売る。通販の客は減り、店は人口の減る郊外にある。10年後に今より強くなっている姿は、思い描きにくい。
資産の裏付けはある。店や倉庫の土地を自前で持ち、在庫も30億円ある。ただ、それを現金に変える決定は少数株主にはできない。赤字が続く間、資産は配当と赤字の穴埋めに使われていく。
今の値段は、自己資本の6割ほどだ。帳簿の上では安く見える。しかし稼ぐ力から見れば、むしろ高い。安全域があるとは言えない。
価値が上がる道は、通販を小さくして黒字を固めるか、資産を現金に変えて株主に戻すかの2つしかない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は2つある。カタログとネットの通信販売と、京阪神のディスカウント店だ。ほかに大手小売への卸が少しある。
通信販売は2026/03期に売上52億円で、小さな赤字だった。主力は数千円で買える自社企画の靴で、看板の「SP-ON」は通販で年12万足ほど売れる。カタログを郵送し、はがきや電話、ネットで注文を受ける。客は中高年が多く、注文の件数は前年を割り続けている。
店舗販売は売上65億円で、利益は1.3億円ほど出ている。神戸・姫路・播州の郊外に、靴と日用品を安く売る大型店を中心に18店を持つ。岩岡や生野の事業所、須磨の本部、日高・龍野・姫路の店は自社の土地と建物で、家賃の負担は小売の中では軽い。
商品の多くはアジアで作らせて輸入する。円安と運賃の上昇は、そのまま仕入れの値段に効く。
セグメントの利益を足しても、本社の費用4億円ほどを賄えない。これが全社の赤字の形だ。社員は230人あまりで、平均勤続は17年と長い。古い通販の仕組みを支える人と設備が、売上の減りに合わせて縮みきっていない。
通販の縮みに合わせて、この固い費用をどこまで削れるかが立て直しの中身になる。
優良さと弱いところ
優良さは低い。値段を決める力がなく、客を囲い込む仕組みも弱っている。過去12年の営業利益率は最高でも5.9%で、直近3年は赤字だ。ROEの10年の中央値は5.6%で、資本コストに届いたことがほとんどない。
強みが無いわけではない。安い靴を自社で企画し、大量に仕入れる力は長い。店舗の土地を自前で持つので、家賃の固定費に縛られにくい。地元では「安い靴ならヒラキ」という名前も通っている。
ただ、どれも利益の厚みに変わっていない。安さを売り物にする商品は、より大きな相手と同じ土俵で比べられる。ネットではアマゾンや楽天の靴、店ではしまむらやABCマートの安い棚が競合だ。
経営は中期計画でROE5%以上を掲げたが、結果はマイナスだった。有利子負債を減らす方針は守っている。
値段で勝負する会社が利益を守るには、規模か費用の軽さが要る。ヒラキはどちらも足りない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
安い靴と衣料の通販は、縮む市場だ。紙のカタログで買う中高年は年々減り、若い客は最初からスマホで探す。物販のネット通販は15兆円を超えて伸びているが、伸びの大半はアマゾンや楽天、ZOZOのような大きな場に集まる。
カタログ起点の通販は、どこも苦しい。ベルーナやスクロール、千趣会は、客の高齢化とカタログの印刷代・郵送代の上昇に追われ、事業の入れ替えを急いだ。ヒラキの通販はその中でも規模が小さく、広告を厚くして客を集める体力がない。
物価3%の世界では、紙と郵便、物流の人件費は物価以上に上がりやすい。一方、安い靴の値上げは客の目が厳しく通りにくい。通販の利益率は、構造として削られる側にある。
店舗のディスカウントは、物価高でむしろ客を集めやすい。ただ京阪神の郊外は人口が減っており、ドラッグストアやしまむら、業務スーパーとの取り合いも激しい。筆者は、店の売上は物価並みに保てても、数量は少しずつ細ると見る。
通販と店舗の両方を持つことは、かつては強みだった。今は、縮む通販の固定費を店舗の稼ぎで支える形になっている。10年の分かれ目は、通販をどこまで小さく、軽くできるかにある。
資本政策と M&A
配当は年1億円ほどだ。赤字の年も減らさずに続けてきた。会社は当面、収益の立て直しを優先すると言い、配当性向の目標は置いていない。自社株買いは近年していない。
株主優待は、3月末に100株以上を持つ株主へ2,000円の自社買物券を送る。株主数の開示は確かめられず、原価で年0.1億円前後と推定する。10年で約1億円の還元として数えた。
借金は有利子負債が66億円、現金同等物は46億円で、差し引き20億円ほどの純負債がある。中期計画は借金の削減を掲げる。大きな買収の歴史はなく、これからも見込みにくい。小さく赤字の続く会社なので、事業の売却や業界の再編の受け手になる道は、10年の中で一定の確率である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
立て直しは始まっている。2027/03期の第1四半期は営業黒字に戻り、会社は通期で2億円の黒字を見込む。通販は受注の減った分だけカタログの部数と人を減らせば、赤字は止まる。店舗は物価高の中で安さが効き、すでに黒字を保っている。
資産の裏付けも厚い。本部や倉庫、いくつもの店が自社の土地にある。帳簿の自己資本は60億円で、今の値段の倍に近い。土地の多くは古くに買ったもので、帳簿より高く売れる余地もある。
借金は減っている。純負債は1年で40億円から20億円ほどに下がった。配当は赤字でも守っており、株主への姿勢も悪くない。
小さな会社なので、通販を持て余す同業や、郊外の土地を欲しがる小売に買われる道もある。その時は資産の価値がそのまま株主に届く。通販の縮みが止まり、店の利益率が昔の水準に戻れば、営業利益は5億円に届く。
この会社は小さいので、少しの改善が利益に大きく効く。安い靴を求める客は、物価高の時代にむしろ増える。
慎重な見方
本業はもう稼げない。2026/03期は通販の売上が15%減り、全社で3年続けて営業赤字だった。紙のカタログで安い靴を買う客は、10年で大きく減る。カタログの部数を減らせば、客の減りはさらに速まる。
店舗も強くはない。売上65億円で利益1.3億円にとどまり、本社の費用4億円を賄えない。京阪神の郊外は人口が減り、しまむらやドラッグストアと安さを競う。値上げは通りにくく、仕入れは円安と運賃で上がる。
資産があっても、使い道を決めるのは会社だ。赤字と配当で毎年数億円が出ていけば、10年で資産はかなり削られる。少数株主が土地を売らせることはできない。
純負債が減ったのも、定期預金を崩した結果が大きい。借金そのものは66億円ある。稼ぐ力がないまま借り換えの金利が上がれば、利払いも重くなる。今の値段を正当化するには、まだ見えない回復が要る。
資産の厚さは、赤字の間は値段を支えない。安さだけの商売は、10年の間に何度でも値下げ競争に巻き込まれる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。通販の客離れは構造の問題で、店舗の小さな黒字では埋まらない。会社の黒字化の計画は信じてよいが、その水準でも資本コストには遠い。確率は中立に最も厚く置き、やや悲観と悲観を楽観側より厚くした。資産の裏付けは、悲観の深さを浅くする理由として効いている。会社の計画どおりに黒字へ戻れば中立、通販が赤字のまま縮めばやや悲観、という分かれ方をみている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 268 円13 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 193 円9 億円)。 今の値に割り戻すと 231 円11 億円、今との差 −67.4%、 期待の年率 −4.2%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 777 円38 億円 | 312 円15 億円 | +53.8% | +4.4% | 87 円4 億円 |
| やや楽観 | 17% | 386 円19 億円 | 236 円12 億円 | −12.1% | −1.3% | 106 円5 億円 |
| 中立 | 38% | 271 円13 億円 | 220 円11 億円 | −30.6% | −3.6% | 187 円9 億円 |
| やや悲観 | 23% | 123 円6 億円 | 148 円7 億円 | −61.7% | −9.2% | 62 円3 億円 |
| 悲観 | 14% | 62 円3 億円 | 72 円4 億円 | −81.1% | −15.4% | 19 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 268 円13 億円 | 193 円9 億円 | −34.9% | −4.2% | 461 円22 億円 |
今の株価時価総額 708 円34 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 通販の縮みが止まり、店も増える 利益 4 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 777 円38 億円
ネットの注文がカタログの減りを補い、通販の受注件数は10年で1割弱の減りにとどまる。自社企画の安い靴が口コミで広がり、通販は利益を出せる規模に戻る。店舗は物価高で安さが効き、京阪神で2店を増やす。営業利益率は4%に戻り、2018/03期の水準に近づく。借金は減り、配当は増える。それでもROEは資本コストに届かず、価値は利益の伸びの分にとどまる。土地を欲しがる小売に声をかけられる余地も、この筋書きでは残る。通販と店舗が両方で利益を出せば、本社の費用も賄える。土地の価値に目を付けた同業が提案を持ち込めば、株主が報われる道も開ける。
- 通信販売・卸:数量 95.0(受注件数(万件・年))× 価格 0.69(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 66 億円・営業利益 3 億円。件数 95 万(0.91 倍)× 0.69 万円(1.34 倍)、利益率 5%
- 店舗販売:数量 20.0(店舗数(店))× 価格 4.86(1 店あたりの売上(億円))→ 売上 97 億円・営業利益 7 億円。20 店 × 4.86 億(1.34 倍)、利益率 7%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 38 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:通販の件数が 1 割弱の減りで止まり、店を 2 つ増やす筋書き。直近 3 年で通販は毎年減り続けており、件数が止まった実績が無いので 1 割に届かない 8% にした。
やや楽観 17% 通販は 2 割減で黒字、店は堅い 利益 2 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 386 円19 億円
通販の受注件数は10年で2割ほど減るが、カタログの部数と受注の人員を減らし、利益は小さく残る。店舗は18店を守り、安さで客を集めて利益率6%を出す。本社の費用は物価で増えるが、通販の縮小に合わせた人の削減で一部を吸収する。営業利益は2億円台後半になる。配当は年1億円から少しずつ増える。ROEは3%前後で資本コストの3分の1にとどまり、利益を生まない資産が帳簿に残る形は変わらない。借金の返済も進み、利払いの心配は小さくなる。通販と店の両方を持つ形が、ようやく費用に見合う規模に落ち着く。価値は今の値段の半分ほどにとどまる。
- 通信販売・卸:数量 82.0(受注件数(万件・年))× 価格 0.69(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 57 億円・営業利益 2 億円。件数 82 万(0.79 倍)× 0.69 万円、利益率 3.5%
- 店舗販売:数量 18.0(店舗数(店))× 価格 4.86(1 店あたりの売上(億円))→ 売上 87 億円・営業利益 5 億円。18 店 × 4.86 億(1.34 倍)、利益率 6%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.8% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 19 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:通販の減りがゆるみ、店の利益率が 6% に戻る筋書き。2021/03 期に全社で 5.8% を出した実績があり、それより一段低い所なので 17% にした。
中立 38% 通販は 3 割減、会社の計画並みの小さな黒字 利益 1 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 271 円13 億円
通販の受注件数は10年で3割減る。紙のカタログで買う客が年々減り、ネットの新しい客はそれを補いきれない。カタログの部数と受注の人員を減らし、通販は小さな黒字を保つ。店舗は数を守るが、郊外の人口減で1店あたりの数量は少し細る。値段は物価並みに上げ、利益率は5.5%ほどになる。本社の費用は物価で増える分を、通販の縮小に合わせた削減で一部吸収する。営業利益は2億円弱で、会社の計画並みだ。配当を続け、借金は少しずつ減る。ROEは2%前後で、資本コストに遠く届かない。配当は年1億円ほどで続く。事業は残るが、資本に見合う稼ぎにはならない。
- 通信販売・卸:数量 70.0(受注件数(万件・年))× 価格 0.69(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 48 億円・営業利益 1 億円。件数 70 万(0.67 倍)× 0.69 万円(1.34 倍)、利益率 3%
- 店舗販売:数量 18.0(店舗数(店))× 価格 4.62(1 店あたりの売上(億円))→ 売上 83 億円・営業利益 5 億円。18 店 × 4.62 億(数量 0.95・物価 1.34)、利益率 6%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.6% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 13 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の 2027/03 期の計画(営業利益 2 億)並みの黒字が 10 年続く筋書き。通販の件数が年 3〜4% 減るのは直近の流れをゆるめた所で、いちばん起きやすいとみた。
やや悲観 23% 通販が赤字に沈み、本業は赤字続き 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 123 円6 億円
通販の受注件数は10年でほぼ半分になる。部数を減らすほど新しい客が来ず、通販は赤字のまま縮む。安い靴の値上げは通らず、単価は物価に負ける。店舗は1店を閉じ、利益率は4%に下がる。本社の費用を賄えず、全社は毎年2億円台の営業赤字を出す。配当は数年で半分に減らす。赤字と配当で手元の現金は減り、借金を返す余裕もなくなる。自社の土地は残るが、会社は売らずに持ち続ける。価値は、資産の一部に買い手の目が向く程度にとどまる。配当と赤字の穴埋めは、手元の現金と定期預金を崩して払う。本業が縮む中で、資産は少しずつ目減りしていく。
- 通信販売・卸:数量 55.0(受注件数(万件・年))× 価格 0.65(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 36 億円・営業利益 −1 億円。件数 55 万(0.53 倍)× 0.65 万円(1.26 倍)、利益率 −2%
- 店舗販売:数量 17.0(店舗数(店))× 価格 4.17(1 店あたりの売上(億円))→ 売上 71 億円・営業利益 3 億円。17 店 × 4.17 億(数量 0.92・価格 1.25)、利益率 4%
倍率:赤字なので PBR で置く。稼ぐ力はマイナスで、値は自社の土地と在庫に付く分だけ。少数株主は売却を決められないので、今の自己資本 60 億に 0.1 倍。
確率:通販の件数がほぼ半分になり、全社で赤字が続く筋書き。2024/03 期から 3 年続けて営業赤字の実績があり、それが続く形なので 2 割強にした。
悲観 14% 通販が崩れ、店を閉じて資産を食う 利益 −5 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 62 円3 億円
スマホの通販とフリマのアプリが、中高年の客まで連れていく。通販の受注件数は10年で6割減り、カタログは採算を割る。店舗は4店を閉じ、残る店も安さの競争で利益がほぼ出ない。物流と本部の固定費が残り、全社は毎年5億円近い営業赤字を出す。配当は3年ほどで止め、優待も縮める。会社は閉じた店の土地を売って借金を返すが、赤字の穴埋めで資産の多くは消える。少数株主に残るのは、本部と倉庫の土地のわずかな値打ちだけだ。配当と赤字の穴埋めは、現金と店の土地の売却代金で払う。会社は残っても、株主の取り分は小さい。赤字の会社に、買い手もつきにくい。
- 通信販売・卸:数量 40.0(受注件数(万件・年))× 価格 0.62(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 25 億円・営業利益 −1 億円。件数 40 万(0.38 倍)× 0.62 万円(1.2 倍)、利益率 −6%
- 店舗販売:数量 14.0(店舗数(店))× 価格 3.70(1 店あたりの売上(億円))→ 売上 52 億円・営業利益 1 億円。14 店 × 3.7 億(数量 0.85・価格 1.2)、利益率 1%
倍率:赤字なので PBR で置く。値は売れる資産の残り(floor_assets_why)で、今の自己資本 60 億に 0.05 倍。
確率:通販の件数が 6 割減り、店も 4 つ閉じる筋書き。過去 12 年で赤字の期が 4 回あり、客離れが止まっていないので 14% にした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
通信販売・卸
カタログとネットで安い靴・衣料を売る通販。大手小売への卸 1.4 億を含む。
| 数量受注件数(万件・年) | 価格1 件あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 104 | 0.52 | 54 | 0 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 0.69 | 48 | 1 |
取り方:受注件数の開示は無い。1 件 5,150 円と見て、通販 52.2 億+卸 1.4 億から 104 万件と推定。利益は有報のセグメント損失(通販 −0.31・卸 −0.03)。
店舗販売
京阪神の郊外に 18 店。靴と日用品のディスカウント店と靴専門店。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 18.0 | 3.63 | 65 | 1 |
| 10 年後 中立 | 18.0 | 4.62 | 83 | 5 |
取り方:店舗数 18(有報)。売上 65.35 億を 18 店で割って 1 店 3.63 億。利益は有報のセグメント利益 1.34 億。
リスクと懸念
通販の客離れ
通販の売上は2026/03期に15%減った。紙のカタログで買う中高年は年々減り、ネットでは大手と値段で比べられる。部数を減らすと新しい客も減り、縮みが速まるおそれがある。
円安と運賃
商品の多くはアジアで作って輸入する。円安や海上運賃の上昇は仕入れの値段に直接効く。安さが売り物なので値上げは通りにくく、利益率が削られやすい。
本社の固定費
セグメントの利益を足しても、本社の費用4億円ほどを賄えない。人件費と物流費は物価以上に上がりやすく、売上が細れば赤字は広がる。
借金と金利
有利子負債は66億円ある。純負債は減ったが、稼ぐ力が薄いまま借り換えの金利が上がれば、利払いが利益を食う。
郊外の人口減と競合
店は京阪神の郊外にある。人口が減る中で、しまむらやドラッグストア、業務スーパーと安さを競う。1店あたりの数量は細りやすい。
今後の分かれ目
- 2027/03期に計画どおり営業利益2億円を出す
- 立て直しが数字で確かめられる。中立の筋書きが固まり、やや楽観の確率を少し上げる。
- 通販の売上が2年続けて前年並みに止まる
- 客離れが止まった兆し。楽観側の確率を上げる。
- 再び営業赤字に戻る
- 通販の縮みに費用が追いつかない形。やや悲観と悲観の確率を上げる。
- 閉店した店や倉庫の土地を売り、借金を大きく返す
- 資産が現金に変わり、悲観の床が上がる。売却益を配当や自社株買いに回せば、さらに価値が株主に届く。
- 同業や小売から買収の提案が出る
- 土地と在庫の価値が値段に乗る。前提を見直す。
見ておくもの
- 通販の受注件数と売上
- 店舗のセグメント利益率
- 本社の費用(調整額)
- 有利子負債の残高
- 配当と優待の変更
倍率と資本コストの決め方
今の株価は使っていない。10 年後の ROE は中立で約 2% と k 9.5% に遠く、PER の上限は 1÷k=10.8 倍。客の減る事業なので中立は上限の 7.5 割の 8.1 倍とした。今の PBR 0.57 倍は割安の根拠にしていない。悲観側は自己資本でなく、売れる資産の残りと戻り方で置いた。2028/03 期から新リース会計で賃借の店が負債に載るが、多くの店は自社の土地で、形の変化は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.7→10.53 倍・やや楽観 PER 8.6→10.53 倍・中立 PER 8.1→10.53 倍)。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。