結論
かんなん丸は、埼玉を地盤に32店の居酒屋とジムを営む小さな外食会社だ。「庄や」のフランチャイズから始まり、今は自社業態の「じんべえ太郎」が主力になった。2026年6月期の売上は19億円、営業損失は1億円。赤字は10期連続になる。筆者の結論は割高だ。いちばんの理由は、稼ぐ力が時価総額16億円に届かないことにある。
問題は店の収益より、本社の重さにある。店の段階では黒字だが、本社費が2億円かかり、売上19億円の会社には大きい。自己資本は2.4億円まで細り、借入は8億円ある。
会社は2027年6月期に営業利益ゼロ、2028年6月期に0.5%を見込む。筆者が中立に置く姿はそれに近く、店は30前後、営業利益は0.4億円だ。借入の金利が上がる中で、株主に残る利益はほとんどない。
有価証券報告書には継続企業の前提に関する重要事象の記載があるが、決算上の注記にはなっていない。現預金は4.7億円ある。生き残る可能性は高いが、株主の取り分は小さい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、この会社の問題は事業の質より規模だ。店の利益は出ているが、本社費が重く、株主に残るものがない。10年後に事業が存在することは確かでも、今より強いかは疑わしい。
株主のものになる利益を考えると、現状はゼロ以下だ。営業のキャッシュは3期続けてマイナスで、借入で穴を埋めている。借入を返し、利払いが上がる中で、黒字化しても株主に回る分は少ない。
筆者がいちばん気にするのは、資本の使い方が選べないことだ。現預金が増えても借入の返済で消え、新しい出店の余裕も乏しい。創業者が4割を持つので、再建の主導権も内部にある。
安全域は無い。楽観でも、時価総額16億円に届く姿は描けなかった。売上が倍になる、あるいは本社費を半分にできる、という証拠が出ない限り、中立の姿でも株主の取り分は小さいままだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、大衆すし酒場「じんべえ太郎」だ。13店で売上は7億円、前期比で16%増えた。自社で育てた業態で、すし居酒屋を駅前の中堅立地に出している。庄や・日本海庄や(大庄のフランチャイズ)が12店で売上は7.6億円、イタリアン「VANSAN」が4店で3.4億円、カラオケの「kobanちゃん」が1店ある。女性専用のパーソナルジム「FURDI」も2店運営するが、ジム部門は1億円に満たず赤字だ。
売上の85%は埼玉県で立つ。栃木・群馬・千葉に少し出している。この地域集中が、仕入れや人員配置を効率にする一方で、地域の景気や競合に弱くなる。
庄や型は客数が前期比で2割減り、売上も2割近く落ちた。会社は、庄や型の店から「じんべえ太郎」やカラオケに業態を転換して、立て直しを図る。転換した店が定着するには時間がかかり、前期は計画に届かなかった。
費用の面では、地代家賃が売上の10%、本社のコストが11%と重い。店の数が少ないまま本社を維持するので、店の黒字が本社費に吸われる。従業員は正社員が約100人、臨時従業員が約70人(8時間換算)。
優良さと弱いところ
堀は薄い。居酒屋は参入の壁が低く、じんべえ太郎のブランドも広域にはなっていない。強みを挙げるなら、地元に密着した立地と、すし居酒屋という業態の手軽さだ。店の利益は前期に前年の1.7倍に増え、メニュー改定の効果は出始めている。
弱みは三つある。第一に、規模が小さすぎる。32店では本社費を薄められない。第二に、財務が薄い。自己資本比率は17%、借入は売上の4倍強で、約定返済が毎年出る。第三に、庄や型に象徴される古い業態の客離れだ。
資本の使い方は守りに入っている。出店より既存店の立て直しが優先で、投資は年0.4億円と小さい。創業者の佐藤氏が3割強、関係会社を含めて4割を持つオーナー会社で、意思決定は早い反面、少数株主の発言力は限られる。10年間の自己資本利益率は赤字続きで、資本コストを大きく下回る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
居酒屋は長い縮小の途中にいる。飲酒人口が減り、若い世代の宴会離れも進んだ。コロナ禍で売上は大きく落ち、戻りは日常使いの業態で遅れている。有価証券報告書も、客数が増えず客単価の上昇で売上を補う状況だと書く。
低価格の居酒屋では、鳥貴族や磯丸水産のような全国チェーンが都市部の好立地を取る。かんなん丸は埼玉の駅前・郊外の中堅立地で戦うが、大手との違いを出しにくい。庄や型は大庄の商品力に頼るフランチャイズで、自社で価格や品書きを決める力が弱い。
費用は構造的に上がる。最低賃金の引き上げ、社会保険の適用拡大、食材の円安高が重なる。値上げは通りにくく、客数減とぶつかる。業界の中立では、店の収益は物価並みの売上増と人件費増が打ち消し合い、利益率は大きく改善しない。
10年の分かれ目は、じんべえ太郎の型が埼玉の外でも通じるか、本社費を売上に見合う大きさまで落とせるかの二つだ。小さな会社は、一つの業態の当たり外れで利益が大きく動く。市場全体が縮む中で、立地を押さえた会社だけが残るという構造も、地域の小さな運営会社にはきびしい。
資本政策と M&A
資本政策は、財務の立て直しが最優先だ。配当は2022年6月期を最後に止まっており、再開の見通しはない。自己株式は54万株を持つ。設備投資は年0.4億円と小さく、2026年6月期は営業の資金流出に借入の増加で対応した。期末に0.8億円の長期借入を実施している。
借入は短期1.5億円、1年内返済0.9億円、長期5.9億円の合計8.2億円。現預金は4.7億円で、うち約1.5億円は3か月超の定期預金とみられる。純負債は3.6億円だ。借入の実効金利は0.7%と低い。借り換えで3.5%近くになれば、利払いは年0.3億円まで増える。
株主優待は、6月末と12月末に飲食券などを贈る。費用の開示はなく、株主5,404人の構成から年0.07億円と推定した。小さいが、時価総額が小さい会社には無視できない額で、還元に数える。家賃は年1.9億円で、解約の約束も毎年出る固定費として残る。M&Aの動きはない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
店の利益は戻り始めている。料理飲食のセグメント利益は前期の0.6億円から1.1億円へ7割増えた。じんべえ太郎は売上が16%伸び、新しいメニューで原価率も下がった。営業損失は2年続けて縮み、会社は2027年6月期に黒字化を見込む。
さらに、庄や型から自社業態へ転換する余地が大きい。庄や型は10店あり、賃料の安い場所で転換すれば、同じ立地で客を取り戻せる。借入は返済の長い期日(最長7年9か月)で組んであり、すぐ詰まる形ではない。現預金は4.7億円と1年以内の返済を上回る。
10年の時間をかければ、埼玉の駅前という地盤に、すし居酒屋の型を重ねて店を40まで増やせる。本社費を売上に見合う大きさにしながら、店あたりの利益を14%まで上げれば、営業利益は2億円になる。創業者が筆頭株主で、立て直しの意思決定は速い。時価総額の小ささを考えれば、黒字が定着するだけで株価は大きく動く。コスト高は全社が受ける条件で、先に型を整えた会社が客を取る。
慎重な見方
赤字は10期連続で、改善のペースは遅い。営業損失は最悪の7億円から1億円まで縮んだが、黒字化は約束されたことがない。会社は2027年6月期の予想でも営業利益をゼロとしか言わない。
本社費2億円は売上19億円の1割を超え、店の利益で埋まらない。しかも物価で毎年増える。自己資本は2.4億円まで細り、赤字が続けば債務超過の手前だ。短期借入1.5億円の借り換えが止まれば、資金繰りは一気に詰まる。
客数は庄や型で2割減り、業態転換した店も定着が遅れて計画を下回った。居酒屋は縮む市場で、最低賃金の上昇は続く。差入保証金や資産除去債務も、閉店の局面で重くなる。有価証券報告書に重要事象の記載がある事実は、監査人も資金計画の仮定を主要な検討事項に挙げたことを意味する。
借入の金利が3.5%に上がれば、営業利益ゼロでも最終は赤字になる。黒字化の見通しが立たない会社に、株主が払える値段は小さい。再建に入れば、既存の株主は大きく薄められる。
どちらに重みを置いたか
割高。 慎重な見方が強い。強気の筋書きでも、株価の水準に届くのは利益率が2倍になって店も増える場合だけで、起こる確率は低い。確率は悲観側に寄せ、破綻の筋書きに4分の1を置いた。見る点は二つ。2027年6月期に営業黒字になるか、短期借入の借り換えが通るかだ。この二つが通れば中立の確率を上げ、通らなければ整理の確率をさらに上げる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 50 円2 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 12 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 25 円1 億円、今との差 −93.9%、 期待の年率 −17.1%(資本コスト 11.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 365 円14 億円 | 58 円2 億円 | +3.8% | +0.4% | 21 円1 億円 |
| やや楽観 | 12% | 150 円6 億円 | 24 円1 億円 | −57.5% | −8.2% | 21 円1 億円 |
| 中立 | 30% | 34 円1 億円 | 18 円1 億円 | −87.1% | −18.5% | 16 円1 億円 |
| やや悲観 | 28% | 12 円0 億円 | 4 円0 億円 | −96.0% | −27.5% | 5 円0 億円 |
| 悲観 | 25% | 1 円0 億円 | 0 円0 億円 | −99.7% | −43.7% | 0 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 50 円2 億円 | 12 円0 億円 | −84.6% | −17.1% | 63 円2 億円 |
今の株価時価総額 407 円16 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 11.0% を下回るほど割高。
楽観 5% 店を40まで増やし、利益率が戻る 利益 1 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 365 円14 億円
じんべえ太郎の型が埼玉の外でも通じ、メニュー改定で原価率が下がる。庄や型の不採算店は整理が終わり、残る店の利益率が14%に乗る。店は40まで増え、1店あたりの客数は実質で5%増える。本社費は店の増加に合わせて少し増えるが、売上に占める比率は下がる。営業利益は2億円前後、純利益は1.4億円になり、配当も再開する。この姿は、会社が掲げる営業利益率5%の目標を、10年かけて超えて達成した形だ。ただし店が増えれば保証金と内装の投資が先に出る。借入は返しながら増やすので、財務の薄さは10年の大半で残る。物価の上昇は価格に乗せ、人件費の上昇は店の生産性向上で吸収できた、という前提を置いた筋書きだ。
- 料理飲食(居酒屋・カラオケ・イタリアン):数量 40.0(店舗数(期末))× 価格 0.86(1店舗あたり年商(億円、名目))→ 売上 35 億円・営業利益 5 億円。出店再開で40店、1店年商0.87億円
- ジム(FURDI):数量 3.0(店舗数(期末))× 価格 0.26(1店舗あたり年商(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。ジム3店に増える
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.4% が k 11.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 9.95 倍、時価総額 14 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:増収・増益の型が戻り、出店を再開できる筋書き。赤字10期、自己資本2.4億円、借入8億円の会社には厚い道なので5%に抑えた。
やや楽観 12% 会社計画どおり黒字に戻り、店は35まで 利益 1 億円 · PER 10.7 倍 · 株価時価総額 150 円6 億円
黒字化は2年遅れで届く。じんべえ太郎の新メニューが定着し、庄や型は賃料の安い店へ入れ替わって、店は35まで増える。店の利益率は12.5%、本社費は物価並みに増えて営業利益は0.8億円。利払いが3.5%に上がる借入が重く、純利益は0.5億円にとどまる。配当は小さく、優待が株主への還元の中心になる。赤字の10年が終わっても、ROEの高さは自己資本の薄さが作る見かけの数字だ。会社は埼玉の駅前という地盤に、すし居酒屋の型を少しずつ重ねていく。急成長ではないが、店の数が増えるにつれて本社費の比率だけがゆっくり下がる。
- 料理飲食(居酒屋・カラオケ・イタリアン):数量 34.0(店舗数(期末))× 価格 0.84(1店舗あたり年商(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 4 億円。35店近く、1店年商0.84億円
- ジム(FURDI):数量 2.0(店舗数(期末))× 価格 0.26(1店舗あたり年商(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。ジムは2店のまま
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.6% が k 11.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 10.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.7 倍。全体の PER 10.67 倍、時価総額 6 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2028年6月期に営業利益率0.5%という会社予想の延長で黒字化し、そのまま小さく伸びる筋書き。実現しやすい上側として1割強を置いた。
中立 30% 黒字は薄く、店は30のまま 利益 0 億円 · PER 11.2 倍 · 株価時価総額 34 円1 億円
店は30前後で動かず、1店あたりの客数は実質で3%減る。物価の分は価格に乗り、売上は24億円ほどになる。店の利益率は12%まで戻るが、本社費は2.5億円近くが残り、営業利益は0.4億円。借入の金利が上がるので純利益は0.1億円しか残らない。10年の赤字の合計は借入の返済と優待を食い、自己資本は0.5億円にしぼむ。会社は生き残るが、株主に残る価値は小さい。物価の分を価格に乗せても、人件費の上昇で店の利益は増えない。業態転換で庄や型を減らし、じんべえ太郎を中心に据え直すが、それで取り戻せるのは店の利益までで、本社費の重さは最後まで残る。
- 料理飲食(居酒屋・カラオケ・イタリアン):数量 30.0(店舗数(期末))× 価格 0.80(1店舗あたり年商(億円、名目))→ 売上 24 億円・営業利益 3 億円。店は30前後、1店年商0.80億円
- ジム(FURDI):数量 2.0(店舗数(期末))× 価格 0.26(1店舗あたり年商(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。ジムは2店で収支ゼロ
倍率:事業の純利益 0 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 25.5% が k 11.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 18.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.2 倍。全体の PER 11.16 倍、時価総額 1 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:黒字化はするが薄利の横ばい。会社の予想が営業利益ゼロ近辺で、外食の人件費上昇が続くため、最も起きやすい形として3割を置いた。
やや悲観 28% 店を20に絞り、細々と生き残る 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 12 円0 億円
赤字が止まらず、庄や型を中心に10店ほどを閉める。残る店は20で、客数は実質で1割減る。本社費は3割削るが、売上に占める比率は下がらない。営業利益はほぼゼロ、利払いで最終は赤字が続く。貸し手が返済を延ばして会社は続くが、自己資本は0.4億円まで細り、優待は2年で打ち切る。株主の持ち分は、事業の稼ぎでなく資産の残りで決まる。会社はしばらく黒字に戻らず、現預金を取り崩しながら返済の延長を重ねる。閉店に伴う保証金の回収と資産除去の費用が、ほぼ相殺される形になる。庄や型の撤退で売上は落ちるが、不採算の店が消えるぶん店の利益率は少し戻る。
- 料理飲食(居酒屋・カラオケ・イタリアン):数量 20.0(店舗数(期末))× 価格 0.74(1店舗あたり年商(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。20店に縮小、1店年商0.74億円
- ジム(FURDI):数量 0.0(店舗数(期末))× 価格 0.26(1店舗あたり年商(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。ジムは撤退
倍率:稼ぐ力はなく、価値は資産の残りで決まる。今の自己資本2.4億円に0.2倍を掛けた。EV でも見たが、営業利益がほぼゼロで EV÷営業利益の倍率は意味を持たず、借入8億円を返せるかどうかが価値を決める。
確率:赤字が続いて店を絞り込み、貸し手の支援を受けて生き残る筋書き。10期連続赤字の実績に照らして3割近くを置いた。
悲観 25% 借入を返せず、整理に入る 利益 −1 億円 · PBR 0.0 倍 · 株価時価総額 1 円0 億円
短期借入1.5億円と1年内返済0.9億円の借り換えが通らなくなる。店は10に減り、売上は7億円まで縮む。本社費を1.2億円に落としても赤字が残り、減損と閉店費用が重なる。差入保証金が戻っても、借入と資産除去債務の返済が先で、株主への配分はほぼ残らない。再建になれば既存株は大きく薄められる。この筋書きは、居酒屋の客数減が続き、業態転換も実らず、金融機関が追加の支援を断る場合に起きる。店の黒字だけでは、本社費と利払いと返済を同時に賄えない。減損で自己資本が削られ、債務超過に入る点も大きい。店数が10まで減れば、仕入れの規模も落ち、残る店の利益率も保てない。
- 料理飲食(居酒屋・カラオケ・イタリアン):数量 10.0(店舗数(期末))× 価格 0.66(1店舗あたり年商(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。10店に縮小、1店年商0.66億円
- ジム(FURDI):数量 0.0(店舗数(期末))× 価格 0.26(1店舗あたり年商(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。ジムは撤退
倍率:借入の返済が先で、株主に残る分はほぼない。今の自己資本2.4億円に0.02倍を掛けた。
確率:借入の約定返済と赤字の累積に耐えられず、貸し手の主導で整理・再建に入る筋書き。短期借入の借り換えが止まれば現実に起こる形で、赤字10期の会社には4分の1が妥当と見た。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
料理飲食(居酒屋・カラオケ・イタリアン)
じんべえ太郎・庄や・日本海庄や・VANSAN・kobanちゃんの30店。埼玉が中心。
| 数量店舗数(期末) | 価格1店舗あたり年商(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 30.0 | 0.61 | 18 | 1 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 0.80 | 24 | 3 |
取り方:数量は期末の店舗数(32店からジム2店を除く)、価格は料理飲食セグメント売上18.43億円÷30店。利益はセグメント利益1.06億円(本社費を除く)。
ジム(FURDI)
女性専用のパーソナルジムのフランチャイズ2店。
| 数量店舗数(期末) | 価格1店舗あたり年商(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 2.0 | 0.20 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.0 | 0.26 | 1 | 0 |
取り方:その他セグメントの売上0.39億円÷2店。利益はセグメント損失0.10億円。
リスクと懸念
借入の借り換え
借入は8.2億円で、うち短期1.5億円と1年内返済0.9億円がある。営業のキャッシュが3期続けてマイナスで、貸し手が借り換えを止めれば資金繰りが詰まる。金利が3.5%に上がると、利払いは年0.3億円まで増える。
本社費の重さ
本社のコストは年2億円で、売上の1割を超える。店の黒字がこれに吸われ、物価で増える。店が増えない限り、構造は変わらない。
庄や型の客離れ
庄や型10店は客数が前期比で約2割減り、売上も落ちた。フランチャイズで品書きと価格を自社で決めにくく、業態転換の成否が収益を左右する。
居酒屋市場の縮小と人件費
飲酒人口の減少と若年層の宴会離れで客数は細る。最低賃金と社会保険の負担は上がり続け、価格転嫁には限りがある。
自己資本の細り
自己資本は2.4億円で、赤字が続けば債務超過の手前に来る。減損や閉店費用が出れば一気に減る。資産除去債務1.1億円も閉店時に出る。
オーナー支配と小型株の流動性
創業者側が4割を持ち、少数株主の発言力は小さい。株式の流動性は低く、売買が値をゆがめる。
今後の分かれ目
- 2027年6月期に営業利益が黒字になる
- 会社計画どおりの回復で、中立以上の確率を上げる。ただし黒字の幅が本社費を覆うかを見る。
- 短期借入の借り換えが止まる、または追加の担保を求められる
- 整理の筋書きの確率が一気に上がる。株主の取り分はほぼ消える。
- 庄や型の転換が終わり、じんべえ太郎が15店を超えて黒字を保つ
- 自社業態中心の型が証明される。出店再開の筋書きに確率を移す。
- 第三者割当や支援先が現れ、資本が増える
- 財務の不安は後退するが、既存株は薄まる。取り分の係数を見直す。
- 新リース会計の適用で、賃借が貸借対照表に載る
- 数字の形が変わるだけで価値は同じ。ただし自己資本比率はさらに下がって見える。
見ておくもの
- 営業利益の黒字転換
- 短期借入の借り換え
- じんべえ太郎の店数と売上
- 本社費の売上比
- 現預金と約定返済の残高
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価を見ず、店数と1店あたり年商、利益率、本社費から10年後の利益を積んだ。k 11% と長期成長 4% の式から出した正当化 PER の7〜8割に置いた。ROE は自己資本が薄いために高く出るが、これは見かけの数字で、倍率の根拠に使っていない。悲観は資産の残りで決め、過去の PBR からは置いていない。10年後の数字は家賃を営業費用に入れた今と同じ形で置いた。新リース会計で貸借対照表の形が変わっても価値は変わらない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8→9.95 倍・やや楽観 PER 8→10.67 倍・中立 PER 9.1→11.16 倍)。
資本コスト 11.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。基本 7.5% に quality +2.5%、事業が傾いている分の上乗せ +1.0% を足して k 11.0%。