結論
ミアヘルサホールディングスは、首都圏を中心に保育園の運営と調剤薬局を営む会社だ。介護施設と、食品の小さな事業も手がける。2026 年 3 月期の売上は 249 億円、営業利益は 8.2 億円だった。
稼ぎの中心は保育で、セグメント利益 12.6 億円は、全体の 7 割を占める。調剤は 5 億円、介護は 0.6 億円にとどまる。ここから本社費 10 億円を引くと、営業利益が残る。
筆者の結論は、今の値段はおおむね適正というものだ。保育は安定しているが、調剤と介護は国が価格を決める事業で、人件費の上昇を価格に乗せにくい。会社は 2027 年 3 月期に営業利益を 6 億円へ 27% 減らすと見ている。
自己資本比率は 25% と薄い。借入は減ったが、純有利子負債 11 億円は純資産の 3 割に当たる。
見るべきは、保育の利益率が保てるかどうかだ。公定価格の改定と保育士の処遇改善が、この会社の稼ぎを決める。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は悪くないが、安くもない。保育は国が決めた価格で安定して稼ぎ、利益率も高い。ただ、稼ぎの 7 割を 1 つの事業に頼り、残りの調剤と介護は利益が薄い。
筆者が気にするのは、資本の使い方だ。純利益は 2〜3 億円で、配当と優待で多くが出ていく。借入の返済は進んだが、新設にも資金が要る。資本は薄く、減損が出れば自己資本比率が 25% を割りかねない。
もう 1 つは、価格の自由度のなさだ。薬価も公定価格も、国が決める。人件費が上がれば、利益はそのまま削られる。営業利益率は 3% にとどまり、これ以上は置けない。
良い点は、保育の稼ぐ力が景気に左右されないことだ。それでも、10 年で今の値段を大きく超える姿は描きにくい。派手さはなく、配当を受け取りながら制度の動きを見守る種類の会社である。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つある。2026 年 3 月期の売上 249 億円の内訳は、子育て支援が 103 億円、医薬が 99 億円、介護が 35 億円、食品が 11 億円だ。セグメント利益は子育て支援が 12.6 億円、医薬が 5 億円、介護が 0.6 億円である。
子育て支援は、認可保育園 51 園と認証保育園 4 園を運営する。園児は 9,285 人で、収入は国と自治体が決める公定価格が中心だ。駅前の複合施設などに出す。2025 年 4 月と 2026 年 4 月に認可園を 1 園ずつ新設し、2027 年 4 月にも 1 園を開く予定だ。保育士の処遇改善は、公定価格の改定で賄う仕組みである。
医薬は、調剤薬局 45 店を営む。大病院の門前が 25 店、クリニックモール型が 20 店である。処方箋は年に約 73 万枚で、新店を足して 5.6% 増えた。2026 年 3 月期は、一部の薬局で減損 4.5 億円を出した。
介護は、サービス付き高齢者向け住宅と、併設の通所介護、ホスピス対応型ホーム(定員 61 名)を運営する。食品は、連結の売上の 4% ほどの小さな事業である。
優良さと弱いところ
同社の強みは、保育の運営力と、駅前に園を出せる立地の確保にある。保育の利益率は 12% と、調剤の 5% の 2 倍以上ある。公募で認可園を取る力があり、新設の園児数が増益の柱だ。
弱みは 3 つある。第 1 に、価格を自分で決められない。保育は公定価格、調剤は薬価と調剤報酬、介護は介護・診療報酬で、全部が国の決める価格である。第 2 に、人件費の比重が重い。保育士も薬剤師も取り合いで、全社員の賃上げが 2026 年 4〜6 月期の利益を削った。第 3 に、資本が薄い。自己資本比率は 25% で、純利益は配当に近い。
堀、つまり他社にまねされにくい強みは、強いとは言えない。調剤は上位チェーンに規模で劣り、保育は自治体の公募で競争になる。筆者は、残る割合を普通よりやや低くみる。
経営は、大株主の持分が大きい。2026 年 10 月には、個人株主の共同保有を含む持株割合が約 49% と報告された。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
保育は、少子化の中でも当面は底堅い。待機児童が減り、新設は都市部の駅前に絞られる。公定価格は毎年、賃金の上昇を受けて見直される。ただし 10 年の先では、出生数の減少が園児数を押し下げる。人気園は残り、立地の悪い園から閉まる。保育士の処遇改善は続き、公定価格の加算で賄われる。
調剤は、高齢化で処方箋は増える。ただし薬価は毎年下がり、調剤報酬も効率化の方向で見直される。大病院の門前は、逆紹介で処方箋が地元のクリニックへ移る。医療モール型は、新規の出店余地がまだある。業界は大手チェーンへの集約が進み、小さな会社は事業承継で買われる側に回りやすい。
介護は、報酬の改定で収入が決まる。サ高住の入居率は 96% と埋まっているが、ホスピスの診療報酬は 2026 年 6 月に見直され、利益が大きく縮む見込みだ。通所介護は稼働率が 79% まで上がった。
10 年の中立では、園児も利用者も横ばいで、価格は公定価格の改定を受けて物価の 1.2〜1.3 倍で上がる。AI は調剤の事務を省くが、保育と介護は人の手が要るため、利益は縮めない。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。年の配当は 0.84 億円で、3 年続けて据え置いている。配当性向は 2026 年 3 月期に約 42% と、純利益が減った分だけ高く見える。方針は、継続的で安定した配当を基本にする。自社株買いはない。
株主優待は、QUO カードを年 2 回渡す。100 株で年 0.2 万円分で、2025 年 3 月分から回数が倍になった。費用は開示がなく、筆者は年 0.4 億円ほどと見る。
資本の使い方は、新設の保育園と調剤のモール出店に回す。借入は 6 年で減り、純有利子負債は 11 億円になった。ただし自己資本比率は 25% で、新しいリース会計が 2028 年 3 月期に始まると、借入の見かけは増える。土地と建物の賃借の約束も残る。
親会社はいないが、大株主の持分が大きく、買収の話は出ていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
保育の稼ぐ力は本物だ。利益率は 12% で、調剤の 2 倍以上ある。園児は 9,000 人を超え、認可園は毎年のように増える。公定価格は賃金の上昇を受けて改定され、2026 年 3 月期の売上は 5.7% 増えた。会社が掲げた中計の営業利益 8.3 億円は、1 年早く達成した。
調剤は、クリニックモール型の新店が育っている。2025 年に開いた 4 店で処方箋は 5.6% 増えた。介護はホスピスの入居が安定し、不採算の事業所の整理で、赤字から黒字に変わった。
2027 年 3 月期の営業利益 6 億円は、会社が慎重に置いた予想だ。2026 年 4〜6 月期は、予想を上回って着地した。全社費は物価で膨らむが、保育の利益が増えれば吸収できる。
時価総額は 31 億円で、純資産 39 億円を下回る。10 年で営業利益が 10 億円に戻れば、純利益は 5 億円台になり、今の値段は割安に映る。配当は据え置かれ、優待も付く。
慎重な見方
稼ぐ力が細っている。2027 年 3 月期は営業利益が 27% 減る予想で、2026 年 4〜6 月期は営業利益が 67% 減った。薬価の改定と、全社員の賃上げが重なった。調剤は仕入原価率が上がり、利益が 3% 減った。
価格を決められない事業だ。保育は公定価格、調剤は薬価、介護は診療報酬で、全て国が決める。賃金が先に上がり、価格の改定は後に来る。保育は少子化で、長い目では園児が減る。
資本が薄い。自己資本比率は 25% で、純利益は配当と優待に近く、貯まる現金がほとんどない。2026 年 3 月期は減損を 4.5 億円出し、純利益は 33% 減った。減損が続けば、財務の余裕は乏しい。
大株主の持分が大きく、少数株主の意向は通りにくい。時価総額は 31 億円と小さく、売買は薄い。稼ぎの 7 割は 1 つの事業で、その事業が制度の変更を受ければ、全体が揺らぐ。値段が安いのは、この構造を映しているのではないか。
どちらに重みを置いたか
保育の稼ぐ力と、配当を保つ姿勢は本物だ。ただ、公定価格と薄い資本が、利益の増え方を抑える。強気の見方と慎重な見方は、ほぼ拮抗していると判断し、確率は楽観側を 26%、悲観側を 36% とした。慎重な見方の中身は、価格の自由度と資本の薄さで、保育の稼ぎそのものを疑う内容ではない。そのため、悲観の確率は大きくは寄せなかった。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,028 円57 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 476 円13 億円)。 今の値に割り戻すと 1,316 円37 億円、今との差 +18.0%、 期待の年率 +8.4%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 5,470 円153 億円 | 789 円22 億円 | +461.3% | +18.8% | 438 円12 億円 |
| やや楽観 | 19% | 3,760 円105 億円 | 635 円18 億円 | +294.2% | +14.7% | 835 円23 億円 |
| 中立 | 38% | 2,020 円57 億円 | 471 円13 億円 | +123.4% | +8.4% | 947 円27 億円 |
| やや悲観 | 25% | 468 円13 億円 | 425 円12 億円 | −20.0% | −2.2% | 223 円6 億円 |
| 悲観 | 11% | 418 円12 億円 | 139 円4 億円 | −50.1% | −6.7% | 61 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,028 円57 億円 | 476 円13 億円 | +124.6% | +8.4% | 2,504 円70 億円 |
今の株価時価総額 1,115 円31 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 保育も調剤も伸び、報酬の改定が賃金に追いつく 利益 9 億円 · PER 16.8 倍 · 株価時価総額 5,470 円153 億円
保育は園児が 1 割増え、公定価格の改定も賃金の上昇に追いつく。調剤はクリニックモール中心の出店が続き、処方箋は 15% 増える。介護はホスピス対応型ホームが埋まり、赤字を脱して黒字が定着する。
全社費を物価で増やしても、子育て支援の利益が積み上がって吸収する。営業利益は 15 億円、純利益は 9 億円ほど。営業利益率は 4% 台で、過去 7 年の山(3% 台)を超える。保育の運営ノウハウを使った新設と、同業の調剤薬局の承継が噛み合った時だけ届く水準だ。
ただし、これは薬価と調剤報酬の改定が毎回穏やかで、保育士の処遇改善の費用も公定価格で賄われるという 2 つの条件が揃う前提である。
- 医薬(調剤薬局):数量 841,485(処方箋枚数(枚・年間))× 価格 1.74(処方箋 1 枚あたり売上(万円))→ 売上 146 億円・営業利益 8 億円。処方箋 1.15 倍・単価 1.28 倍
- 子育て支援(保育園):数量 10,214(園児数(人))× 価格 151(園児 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 154 億円・営業利益 19 億円。園児 1.1 倍・単価 1.36 倍
- 介護:数量 1,357(利用者数(人・推定))× 価格 402(利用者 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 55 億円・営業利益 2 億円。利用者 1.15 倍・単価 1.34 倍
- 食品(その他):数量 2,782,000(食数(食・推定))× 価格 0.07(1 食あたり売上(万円))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。食数 1.3 倍
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.0% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.8 倍。全体の PER 16.84 倍、時価総額 150 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:保育の新設・調剤の承継・報酬改定の 3 つが同時に好転する必要があるので、7% にとどめた。
やや楽観 19% 園児と処方箋が緩やかに増える 利益 7 億円 · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 3,760 円105 億円
保育の園児は 5% 増え、調剤の処方箋は 1 割増える。モールの新店が育ち、介護も黒字を保つ。公定価格と調剤報酬は物価に近い水準で改定される。
人件費の上昇は保育の利益を削るが、新しい園の稼働が上がって補う。薬局は薬価の引き下げを技術料の加算で埋める。介護は今の黒字を保つが、診療報酬の改定の影響は残る。
営業利益は 12 億円、純利益は 6.7 億円。会社が掲げる増益の流れを、10 年続ける姿に近い。配当は純利益の 26% で増え、自己資本は厚みを増す。ただし新設の費用は建築費の上昇で膨らみ、利回りは今の園ほど出ない。
- 医薬(調剤薬局):数量 804,899(処方箋枚数(枚・年間))× 価格 1.66(処方箋 1 枚あたり売上(万円))→ 売上 134 億円・営業利益 7 億円。処方箋 1.1 倍・単価 1.22 倍
- 子育て支援(保育園):数量 9,749(園児数(人))× 価格 147(園児 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 144 億円・営業利益 17 億円。園児 5% 増・単価 1.33 倍
- 介護:数量 1,274(利用者数(人・推定))× 価格 390(利用者 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 50 億円・営業利益 2 億円。利用者 8% 増・単価 1.30 倍
- 食品(その他):数量 2,568,000(食数(食・推定))× 価格 0.07(1 食あたり売上(万円))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。食数 2 割増
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.7% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.3 倍。全体の PER 15.27 倍、時価総額 102 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の増収と、保育の新設・調剤のモール出店を続ける会社の方針に沿った筋書き。会社の中計(営業利益 8.3 億円)は 2026 年 3 月期に達成済みで、起きうるとみて 19% を置いた。
中立 38% 園児は横ばい、処方箋は緩やかに増え、利益率は今より低い 利益 4 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 2,020 円57 億円
保育の園児は横ばいで、公定価格は物価の 1.3 倍に近い改定を受ける。調剤は処方箋が 5% 増え、薬価の改定が毎年の逆風になる。介護は今の水準にとどまる。
人件費の上昇が価格の改定に先行し、利益率は子育て支援が 10.5%、医薬が 4.8% と、今よりやや低い水準で推移する。全社費は物価と同じく 1.34 倍に膨らむ。
営業利益は 7.5 億円、純利益は 4.1 億円ほど。会社の来期予想(営業利益 6 億円)から、緩やかに戻る姿だ。営業利益率は 2.4% で、過去 7 年の山(3.3%)を超えない。配当は年 0.8 億円ほどで据え置きに近く、純利益の 2 割台が株主に回る。
- 医薬(調剤薬局):数量 768,312(処方箋枚数(枚・年間))× 価格 1.63(処方箋 1 枚あたり売上(万円))→ 売上 125 億円・営業利益 6 億円。処方箋 5% 増・単価 1.20 倍(薬価の引き下げで物価に届かない)
- 子育て支援(保育園):数量 9,285(園児数(人))× 価格 144(園児 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 134 億円・営業利益 14 億円。園児は横ばい・単価 1.30 倍
- 介護:数量 1,180(利用者数(人・推定))× 価格 384(利用者 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 45 億円・営業利益 1 億円。利用者は横ばい・単価 1.28 倍
- 食品(その他):数量 2,354,000(食数(食・推定))× 価格 0.07(1 食あたり売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。食数 1 割増
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 55 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027 年 3 月期の会社予想(営業利益 6 億円)から、物価並みの改定と緩やかな増加で戻る流れ。利益率は過去 7 年の山を超えない。
やや悲観 25% 薬価・報酬の改定が賃金に届かず、利益率が縮む 利益 2 億円 · PER 6.0 倍 · 株価時価総額 468 円13 億円
薬価と調剤報酬の改定が続き、薬局の利益率が 4% に下がる。処方箋は増えても、1 枚あたりの稼ぎが細る。保育は少子化で園児が 3% 減り、公定価格の改定は賃金の上昇に追いつかず、利益率が 10% に下がる。
介護はホスピスの報酬改定で薄利にとどまり、減損も繰り返される。全社費は物価で膨らみ、セグメントの利益を食い続ける。
営業利益は 4 億円で、物価を考えれば実質で半分以下に縮む。純利益は 2.1 億円。配当は年 0.8 億円を保つが、純利益の 4 割に迫り、優待を含めると利益の大半を株主に戻す形になる。借入の返済は進まず、財務の余裕は乏しい。起きやすい筋書きだ。
- 医薬(調剤薬局):数量 731,726(処方箋枚数(枚・年間))× 価格 1.55(処方箋 1 枚あたり売上(万円))→ 売上 113 億円・営業利益 5 億円。処方箋は横ばい・単価 1.14 倍
- 子育て支援(保育園):数量 9,006(園児数(人))× 価格 137(園児 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 124 億円・営業利益 12 億円。園児 3% 減・単価 1.24 倍
- 介護:数量 1,180(利用者数(人・推定))× 価格 360(利用者 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 43 億円・営業利益 0 億円。利用者は横ばい・単価 1.20 倍
- 食品(その他):数量 2,140,000(食数(食・推定))× 価格 0.06(1 食あたり売上(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。食数は横ばい
倍率:ROE は約 4% で k 7.5% を大きく下回る。RONIC は約 6% まで下がり、式の PER は約 8 倍。新たに投じる資本の稼ぎが k を下回り、純利益も物価を考えれば縮むので、上限の 1÷k(約 12.5 倍)には近づけず、約 6 倍に置いた。
確率:薬価と調剤報酬は毎年のように引き下げられ、保育の公定価格の改定も賃金の上昇より遅れがちだ。2027 年 3 月期の減益予想とも合い、起きやすい筋書きとして 25% を置いた。
悲観 11% 報酬の引き下げと少子化で、稼ぐ力が消える 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 418 円12 億円
薬価と調剤報酬の引き下げが重なり、薬局の利益率が 3.5% まで落ちる。大病院の門前薬局は、逆紹介で処方箋が減る。保育は少子化で園児が 1 割減り、公定価格の改定が賃金に届かない。介護は稼働が落ち、赤字になる。
会社は全社費を 1 割削るが、それでもセグメントの利益を打ち消してしまう。営業利益はほぼゼロ、純利益はわずかな赤字になる。
配当は純利益の 2 割に細り、優待も縮む。純資産には買収で生じたのれんも含まれ、資産の売却価値は帳簿を大きく割る。賃借の約束も残り、少数株主に戻る価値は大きく削られる。
- 医薬(調剤薬局):数量 673,188(処方箋枚数(枚・年間))× 価格 1.43(処方箋 1 枚あたり売上(万円))→ 売上 96 億円・営業利益 3 億円。処方箋 8% 減・単価 1.05 倍
- 子育て支援(保育園):数量 8,356(園児数(人))× 価格 128(園児 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 107 億円・営業利益 9 億円。園児 1 割減・単価 1.15 倍
- 介護:数量 1,062(利用者数(人・推定))× 価格 330(利用者 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 35 億円・営業利益 0 億円。利用者 1 割減・単価 1.10 倍
- 食品(その他):数量 2,033,000(食数(食・推定))× 価格 0.06(1 食あたり売上(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。食数 5% 減
倍率:稼ぐ力はほぼゼロで、純利益は小さな赤字。純資産にはのれんが含まれ、賃借の約束も残るので、資産の売却価値は帳簿を大きく割る。今の自己資本 39.1 億円に約 0.30 倍(約 12 億円)を掛けた。純有利子負債 11 億円を足した EV で見ても、営業利益がほぼゼロで倍率は意味を持たない。利益ではなく資産で見るため PBR を使った。
確率:薬価・調剤報酬の引き下げと、保育の少子化、介護の稼働低下が重なる構造的な負け。自己資本比率が 25% と薄く、耐える余力が小さいので 11% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
医薬(調剤薬局)
首都圏を中心に調剤薬局 45 店を営む。大病院の門前 25 店と、クリニックモール型 20 店。
| 数量処方箋枚数(枚・年間) | 価格処方箋 1 枚あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 731,726 | 1.36 | 99 | 5 |
| 10 年後 中立 | 768,312 | 1.63 | 125 | 6 |
取り方:売上 99.48 億円・セグメント利益 5.02 億円は開示値。処方箋枚数は、決算補足資料の四半期の枚数(2026 年 3 月期の 4 四半期の合計)を足して約 73.2 万枚とし、1 枚あたり売上は売上をその枚数で割って約 1.36 万円と置いた。
子育て支援(保育園)
認可保育園 51 園、認証保育園 4 園を運営する。収入は国と自治体が決める公定価格が中心。
| 数量園児数(人) | 価格園児 1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 9,285 | 111 | 103 | 13 |
| 10 年後 中立 | 9,285 | 144 | 134 | 14 |
取り方:売上 102.95 億円・セグメント利益 12.57 億円は開示値。園児数は 2026 年 3 月期第 4 四半期の 9,285 人。1 人あたり売上は売上を園児数で割って約 111 万円と置いた(子育てひろばなどの収入も含む)。
介護
サービス付き高齢者向け住宅、併設の通所介護、ホスピス対応型ホーム(定員 61 名)を運営する。
| 数量利用者数(人・推定) | 価格利用者 1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,180 | 300 | 35 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,180 | 384 | 45 | 1 |
取り方:売上 35.39 億円・セグメント利益 0.56 億円は開示値。利用者数は推定で、入居と通所を合わせた 1 人あたり年間売上を 300 万円ほどと仮定して約 1,180 人と置いた。
食品(その他)
食品の小さな事業。連結の売上の 4% ほど。
| 数量食数(食・推定) | 価格1 食あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,140,000 | 0.05 | 11 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2,354,000 | 0.07 | 15 | 1 |
取り方:売上 10.70 億円・セグメント利益 0.37 億円は開示値。食数は推定で、1 食あたり売上を 0.05 万円ほどと仮定して約 214 万食と置いた。
リスクと懸念
価格を自分で決められない
保育は公定価格、調剤は薬価と調剤報酬、介護は診療報酬と、全ての収入が国の決める価格である。賃金の上昇に改定が遅れると、利益率が縮む。営業利益率は 3% で、緩衝材が薄い。
保育の稼ぎへの集中
セグメント利益の 7 割が保育で、残りの調剤と介護は利益が薄い。公定価格の改定や保育士の処遇改善、少子化の進み方次第で、全体の稼ぎが大きく動く。
人手の確保と賃上げ
保育士・薬剤師・介護職員は取り合いで、全社員の賃上げが 2026 年 4〜6 月期の営業利益を 67% 減らした。賃金は上がり続け、価格の改定が追いつかなければ利益が削られる。
減損と薄い資本
2026 年 3 月期は調剤の一部の薬局で 4.5 億円の減損を出した。自己資本比率は 25% で、減損が続けば財務の余裕が乏しい。のれんも純資産に含まれる。
薬価・調剤報酬の改定
薬価は毎年のように下がり、仕入原価率も上がっている。大病院の門前は逆紹介で処方箋が地元のクリニックへ移る。調剤の利益率は 5% しかなく、改定の影響が大きい。
大株主と賃借の約束
大株主の持分が大きく、個人株主の共同保有を含む持株割合は約 49% と報告され、少数株主の意向は通りにくい。土地と建物の賃借の約束も重く、2028 年 3 月期に新しいリース会計が始まると、借入の見かけが増える。
今後の分かれ目
- 公定価格が賃金の上昇を上回って改定される
- 保育の利益率が上がり、楽観側の確率を上げる。
- 薬価や調剤報酬が大幅に引き下げられる
- 調剤の利益が減り、やや悲観の確率を上げる。
- 追加の減損や施設の閉鎖が出る
- 自己資本比率が下がり、悲観側の確率を上げる。
- 保育園の新設や薬局の承継が続く
- 園児や処方箋が増え、中立の数量を押し上げる。新設の利回りを見て判断する。
- 大株主による非上場化(MBO など)が発表される
- 買付けが行われれば、価格次第で少数株主に区切りがつく。公表された動きは今のところ無い。
見ておくもの
- 保育の園児数と公定価格の改定
- 調剤の処方箋枚数と薬価・調剤報酬の改定
- 介護の入居率とホスピスの報酬
- 全社員の賃上げと人件費
- 大株主の持株割合の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は式(正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)、k 7.5%、g 4%)と事業の経済性だけで置いた。ROE が k を上回る筋書きは中立の下限(1÷k の約 12.5 倍)以上、k に届かない筋書きは式の値の 7〜9 割に置いた。今の株価・過去の PER・PBR は使っていない。10 年後は、薬局と園の賃借料を営業費用に入れた今と同じ形で置いた。新リース会計(2028 年 3 月期)で営業利益は増え、借入は見かけで増えるが、価値は変えない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.7→16.84 倍・やや楽観 PER 12.5→15.27 倍・中立 PER 9→13.33 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.5 を足した(決まり v2)。減損や公募の不採択は k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.50%。