結論
ストリームは、PC・家電・周辺機器をネットで売る会社だ。ECサイト「ecカレント」などを運営し、売上の 96% がネット通販である。売上は 328 億円、営業利益は 2.8 億円、時価総額は 28 億円にとどまる。
筆者の結論は、今の値段は高く、割高に近いというものだ。売上は伸びているが、営業利益率は 1% に届かず、稼ぎが資本コストに届かない。
利益率は 12 年のうち 10 年が 1.5% 以下だった。コロナ特需の 2021 年 1 月期に 2.4% まで上がったのが唯一の山だ。2026 年 1 月期は 0.9% で、会社は 2027 年 1 月期も同じ水準を見込む。
強みは、財務が軽いことだ。純現金が 7 億円あり、借金の心配は小さい。弱みは、値段を価格比較サイトと大手モールに決められることである。
筆者は、EC 市場の伸びに乗って売上は増えるが、利益の厚みは増えないと見る。ためた利益の稼ぎが資本コストに届かないため、10 年たつと価値は目減りする。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「質は低め、値段は高め」に映る。長く持ちたい会社の条件は満たしていない。
理由は堀の無さだ。品ぞろえも配送も真似され、価格は比較サイトで決まる。営業利益率は 12 年のうち 10 年が 1.5% 以下で、利益の質は高くない。
資本の使い方は無難だ。借金は無く、利益の 4 割を配当に回し、残りを現金で持つ。ただ、薄利の商いでためた利益の稼ぎは、資本コストに届かない。
安全域は純現金にある。ただ、その多くは買掛金の裏にあるため、見かけほど厚くはない。
筆者は、売上の伸びを利益の伸びと取り違えない。EC 市場に乗って売上は増えるが、1% の利益率は動かないと見る。
大株主が少数株主と同じ利害を持つとは限らない点も、オーナーとして持ち続ける安心感を損なう。
小さな会社の一つの強みは、固定費の軽さだ。
何で稼ぐ会社か
ストリームは、PC・家電・周辺機器などを扱うネット通販の会社だ。開示上は、インターネット通販、ビューティー&ヘルスケア、その他の三つに分かれる。
ネット通販が売上の 96% を占める。「ecカレント」「イーベスト」「特価COM」などのサイトを通じて、個人と法人に売る。化粧品・健康食品は子会社エックスワンが扱うが、売上の 2.5% にとどまる。レンタル事業は 2026 年 1 月に終了した。
利益は薄い。売上 328 億円に対し、営業利益は 2.8 億円。仕入れ値と販売価格の差が小さく、広告費と物流費で利益が決まる。
主要株主は、ヤマダデンキの約 20% と個人の約 20%。ヤマダデンキは、旧ベスト電器の合併で株主になった。
決算は 1 月で、2027 年 1 月期の会社予想は、売上 339 億円、営業利益 2.9 億円、純利益 1.9 億円だ。
売上の大半は仕入れた商品の再販売で、商品の企画や製造は持たない。サイトの運営、仕入先との条件、在庫の持ち方、物流の効率が競争力のすべてである。取扱品目は数万点に及ぶ。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、家電と PC の品ぞろえと、ネットで安く売る運営の経験にある。法人向けや特価品に強く、大手の隙間で売上を伸ばしてきた。
弱みは、堀が無いことだ。品ぞろえも配送も、アマゾンや楽天、大手家電量販店の EC に追いつかれやすい。価格は比較サイトで決まり、値上げはできない。
利益率は不安定だ。営業利益率は 2018 年 1 月期に 0.4%、2019 年 1 月期に 0.1% まで落ち、2021 年 1 月期に 2.4% の山をつけた。足元は 0.9% である。赤字の期が過去 12 年に 4 回ある。
財務は軽い。自己資本比率は 4 割台で、純現金が 7 億円ある。ただし、純現金の多くは仕入先への支払いまでの預かりに近く、余った現金ではない。
経営は、大株主のヤマダデンキと個人が約 2 割ずつを握り、少数株主の影響力は小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
家電・PC の EC は、小売の中でも EC 化の進んだ分野だ。家電の EC 市場は 2.7 兆円で、EC 化率は 43% と高い(出典:業界調査)。
成長は EC 化率の上昇と物価の上昇で続く。ただ、家電そのものの買い替えは人口減で頭打ちで、筆者は実質の EC 市場を 10 年で 15% ほど増えると見る。
価格は不利だ。パソコンや家電は技術の進歩で、同じ値段で性能が上がる。販売価格は物価の 3% に届かず、10 年で 1.3 倍ほどと置く。
競争は厳しい。アマゾン、楽天、ヨドバシ、ビックカメラなど店舗網を持つ大手の EC が、品ぞろえ・配送・ポイントで攻める。価格比較サイトでは最安値が一目でわかり、利益率は薄くなる。
当社のような中堅は、法人向けや特定の分野に絞って生き残る。大手に顧客を奪われれば、固定費の重さが利益を直撃する。
ネット通販の競争の軸は、品ぞろえと配送の速さ、ポイントの還元である。広告費が高くなると、小さな会社は価格で戦うしかなくなる。法人向けの継続的な取引を持てるかが、大手との差を決める。
資本政策と M&A
配当は 2027 年 1 月期の予想で配当総額が 0.8 億円ほどになり、予想の純利益の 4 割強にあたる。自社株買いの方針は強くない。
自己株式は 89 万株ほどで、発行済みの 3% 強。
純現金は 7 億円あるが、仕入先への支払いと運転資金に見合う分が大きく、余剰とは見ていない。
大型の買収の実績は無い。中期経営計画は、確認できる開示がなかった。
主要株主のヤマダデンキが約 20%、個人が約 20% を持つ。統計上の 10 年以内の TOB の確率は 2 割ほどだ。
配当は利益の 4 割ほどで、残りは現金として積み上がる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
EC 化は家電・PC でまだ伸びる。EC 化率は 4 割を超えたが、法人購買のネット化や、シニア層のネット通販の利用が加わり、市場はさらに膨らむ。当社は売上が 328 億円まで増え、2026 年 1 月期は前年から 8% 伸びた。
利益率も上向き始めた。2027 年 1 月期の中間は営業利益が大きく増えたと報じられた。物流の効率化と在庫の管理が進めば、利益率は 1% の壁を越える。
財務は軽く、純現金は 7 億円。配当は利益の 4 割を保つ。時価総額は純現金を引くと 21 億円で、利益が 2 億円台を維持すれば割安に映る。
主要株主のヤマダデンキとの関係が深まれば、販路や仕入れで協力できる余地もある。小さな会社だからこその機動力もある。
売上が増える局面では、固定費の軽い当社は利益が大きく伸びやすい。利益率が 0.5 ポイント上がるだけで、営業利益は 6 割増える。
大手の EC が手を出しにくい法人の小口の注文や、型落ちの在庫品の販売でも、当社は居場所を築いてきた。
慎重な見方
薄利の商いは、わずかな条件の変化で赤字に落ちる。営業利益率は 12 年のうち 10 年が 1.5% 以下で、2019 年 1 月期は赤字に近かった。2021 年 1 月期の 2.4% はコロナ特需の例外だ。
大手モールとの競争は厳しくなる一方だ。アマゾンや楽天は品ぞろえと配送で上回り、価格比較サイトでは最安値だけが選ばれる。当社には独自の商品も自社のブランドも無い。
パソコンや家電は同じ値段で性能が上がるため、売上の価格は物価に届かない。売上が増えても、利益は増えにくい。
純現金 7 億円の多くは買掛金の裏にある。ためた利益の稼ぎが資本コストに届かないため、利益を内部にためるほど価値は薄まる。今の値段は高い。
2027 年 1 月期の中間の増益も、一時的な需要や特需によるものかもしれない。
小さな会社が薄利で競争を続けるのは、体力の消耗戦だ。広告費や送料の増加を吸収できる余力は限られ、赤字に落ちた年を思い出す必要がある。
どちらに重みを置いたか
筆者は、慎重な見方のほうが強いと判断した。EC 市場の伸びは本物だが、堀が無く、利益率は 1% 前後で動かない。ためた利益の稼ぎが資本コストに届かないため、中立でも今の時価総額を下回る。確率は中立に最も重みを置き、やや悲観を楽観より厚くした。純現金があるため、悲観は 1 割にとどめた。さらに、価格比較で値段を決められない構造は、10 年のうちに一度は赤字の年を招くと考える。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した株価時価総額 91 円25 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 26 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 57 円16 億円、今との差 −42.8%、 期待の年率 +1.5%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 231 円64 億円 | 48 円13 億円 | +179.0% | +10.8% | 17 円5 億円 |
| やや楽観 | 18% | 149 円41 億円 | 36 円10 億円 | +85.3% | +6.4% | 33 円9 億円 |
| 中立 | 38% | 100 円28 億円 | 28 円8 億円 | +27.7% | +2.5% | 49 円13 億円 |
| やや悲観 | 28% | 35 円10 億円 | 17 円5 億円 | −47.2% | −6.2% | 15 円4 億円 |
| 悲観 | 10% | 24 円7 億円 | 7 円2 億円 | −69.2% | −11.1% | 3 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 91 円25 億円 | 26 円7 億円 | +16.5% | +1.5% | 116 円32 億円 |
今の株価時価総額 100 円28 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% EC 化の波に乗り、品ぞろえと物流で利益率が 1% 台後半まで上がる 利益 5 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 231 円64 億円
家電と PC の買い物がネットへ移り続け、EC 市場は 10 年で 3 割ほど膨らむ。当社は法人向けと周辺機器の品ぞろえで、市場より少し速く伸びる。
価格は物価並みに上がる。在庫回転の改善と物流の自動化で、営業利益率は 1.8% まで上がる。コロナ特需の山には届かないが、通常の年としては最高の水準だ。
利益が増えた分は配当と自社株買いに回り、財務はいっそう軽くなる。それでも、価格比較サイトと大手モールに値段を決められる構造は変わらない。薄利で回す商いである点に、変わりはない。
法人向けの取引が増え、PC の入れ替え需要も取り込む。価格比較に左右されにくい売上の比率が上がるのが、この筋書きの鍵だ。
- ネット通販(PC・家電・周辺機器ほか):数量 36,450(国内の家電・PC の EC 市場(億円、今の値段で測った実質)× 当社のシェア)× 価格 1.6%(市場 1 億円あたりの当社売上(シェア × 物価の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 593 億円・営業利益 11 億円。市場(実質)× シェア
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.4% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.48 倍、時価総額 64 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率の山は 2021 年 1 月期の 2.4% で、コロナ特需の 1 期だけ。1% 台後半が 10 年続くのは例外なので 1 割を切る確率にした。
やや楽観 18% シェアを少し伸ばし、利益率が 1% 台前半に定着する 利益 4 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 149 円41 億円
EC 市場の拡大に乗り、当社の取扱高は市場よりやや速く伸びる。物流と在庫の管理が改善し、営業利益率は 1.3% 前後に落ち着く。
価格は物価にわずかに届かない上昇にとどまる。大口の取引先を増やし、法人向けの安定した売上が積み上がる。
配当は利益の 4 割を保ち、残りは現金として積み上がる。成長は市場並みで、利益率の改善が主役の筋書きだ。
新サイトの導入や在庫の管理の改善が当たり、売上の増加が利益に結びつく。ただ、価格を決める力は弱いままだ。
時間とともに会社の収益が安定し、配当の増額余地も出る。
- ネット通販(PC・家電・周辺機器ほか):数量 33,750(国内の家電・PC の EC 市場(億円、今の値段で測った実質)× 当社のシェア)× 価格 1.6%(市場 1 億円あたりの当社売上(シェア × 物価の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 541 億円・営業利益 7 億円。市場(実質)× シェア
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 41 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027 年 1 月期の中間は営業増益と報じられ、利益率が上向く兆しがある。ただ定着は未確認で、中立の半分ほどの確率にした。
中立 38% EC 市場の伸びに乗るが、利益率は 1% で動かない 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 100 円28 億円
家電と PC の EC 市場は、EC 化率の上昇で 10 年に 15% ほど実質で伸びる。当社はシェアを守り、取扱高は市場並みに増える。
価格は物価の 3% に届かず、10 年で 1.3 倍にとどまる。パソコンや家電は技術の進歩で同じ値段で性能が上がり、値下がり圧力が続くためだ。
営業利益率は 1% 前後。ネット通販の競争が激しく、価格比較で値上げの余地は小さい。売上は大きく伸びても、利益の厚みは増えない。
配当は利益の 4 割を保ち、残りは現金として積み上がる。ROE は 6% 台にとどまる。
- ネット通販(PC・家電・周辺機器ほか):数量 31,050(国内の家電・PC の EC 市場(億円、今の値段で測った実質)× 当社のシェア)× 価格 1.6%(市場 1 億円あたりの当社売上(シェア × 物価の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 490 億円・営業利益 5 億円。市場(実質)× シェア
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 28 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率は 12 年のうち 10 年が 1.5% 以下。2027 年 1 月期の回復は兆しだが、中央値の 1% 前後に戻る形をもっとも起こりやすいと見て 4 割弱を置いた。
やや悲観 28% 大手モールとの価格競争に押され、利益率が 0.5% に落ちる 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 35 円10 億円
アマゾンや楽天、大手家電量販店の EC が品ぞろえと配送で攻め、当社の取扱高は伸びない。値引きで客を守るため、1 個あたりの売上は物価に遅れる。
営業利益率は 0.5% に落ち、赤字の期も混じる。固定費である物流と人件費が重くなる。
配当は利益の 4 割を守れず、積み上がった現金も少数株主には戻りにくい。ヤマダデンキの持分が 2 割ほどあるが、経営への関与は限られる。
広告費と送料の負担が増え、人員と倉庫を縮めて対応する。売上は横ばいだが、利益の厚みは失われる。
市場の成長に乗れないまま、会社は縮小均衡に向かう。ヤマダデンキの動向が経営の変数になる。
- ネット通販(PC・家電・周辺機器ほか):数量 27,000(国内の家電・PC の EC 市場(億円、今の値段で測った実質)× 当社のシェア)× 価格 1.5%(市場 1 億円あたりの当社売上(シェア × 物価の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 393 億円・営業利益 2 億円。市場(実質)× シェア
倍率:やや悲観は ROE が k を大きく下回り、PER で置くと稼ぐ力は 2 億円台にとどまる。清算されない限り少数株主が換金できない前提で、売れる資産の 19 億円に戻り方 0.5 を掛けた 9.5 億円を、今の自己資本 29 億円に対する PBR で置いた(中立の PBR より低い)。
確率:2018 年 1 月期と 2019 年 1 月期は営業利益率が 0.4% と 0.1% に落ちた。大手モールの攻勢が続くため、強気側の筋書きより厚く置いた。
悲観 10% 大手モールに顧客を奪われ、赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 24 円7 億円
大手モールの品ぞろえと送料の優遇が効き、当社の取扱高は 2 割以上減る。値引きで客を守っても利益は出ず、営業赤字が続く。
倉庫と人員を縮めるが、固定費の削減が売上の減少に追いつかない。配当は止まり、自己資本は評価損と赤字で目減りする。
会社の価値は稼ぐ力ではなく、手元の現金と在庫・売掛金の回収で測られる。ヤマダデンキを含む大株主が関与を強めれば、再編の可能性もある。
事業の縮小や他社との統合も選択肢になる。株主にとって、価値は手元の現金と売掛金の回収に頼る形になる。
倉庫の整理と人員の削減が進み、規模は今の 3 分の 2 ほどに縮む。従業員の流出も起きる。
- ネット通販(PC・家電・周辺機器ほか):数量 20,250(国内の家電・PC の EC 市場(億円、今の値段で測った実質)× 当社のシェア)× 価格 1.3%(市場 1 億円あたりの当社売上(シェア × 物価の指数。10 年の中立は 1.30 倍))→ 売上 270 億円・営業利益 −1 億円。市場(実質)× シェア
倍率:悲観は純利益が赤字で PER では置けない。値は売れる資産の 13 億円に戻り方 0.5 を掛けた 6.5 億円とし、減損後の自己資本 26 億円に対する PBR で表した(やや悲観より低い)。EV ÷ 営業利益は赤字のため意味を持たず、EV でも見た結果、割安・割高の言い方はしない。
確率:2019 年 1 月期は赤字に落ち、2013 年 1 月期と 2014 年 1 月期にも赤字がある。単一の事業で薄利なので無視できないが、純現金があるため 1 割にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ネット通販(PC・家電・周辺機器ほか)
ECサイト「ecカレント」などで、PC・家電・周辺機器を個人と法人に売る。化粧品・健康食品などの他事業を含む全社。
| 数量国内の家電・PC の EC 市場(億円、今の値段で測った実質)× 当社のシェア | 価格市場 1 億円あたりの当社売上(シェア × 物価の指数。10 年の中立は 1.30 倍) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 27,000 | 1.2% | 328 | 3 |
| 10 年後 中立 | 31,050 | 1.6% | 490 | 5 |
取り方:家電 EC の市場 約 2.7 兆円(業界調査)に対し、当社売上 327.7 億円は約 1.2%。開示はネット通販が 96.2% で、全社を 1 つにした市場×シェアの推定。数量は実質、価格は物価の指数。
リスクと懸念
大手モールとの価格競争
アマゾン・楽天・大手家電量販店の EC は、品ぞろえ・配送・ポイントで上回る。価格比較で最安値が選ばれるため、利益率は 1% 前後と薄く、わずかな値引きで赤字に落ちる。
薄い利益率
営業利益率は 12 年のうち 10 年が 1.5% 以下。2021 年 1 月期の 2.4% はコロナ特需の例外。広告費・物流費・送料の増加は利益を直撃する。
大株主の影響
ヤマダデンキと個人がそれぞれ約 2 割を持つ。大株主の都合で資本政策が決まりやすく、少数株主の取り分は限られる。
在庫と値下がり
PC・家電は型落ちで値下がりが速い。在庫の評価損は薄い利益を一度に消す。
事業の単一化
売上の 96% が家電・PC の EC に偏る。化粧品や健康食品は 2.5% で、収益の柱にはならない。
特需の反動
2021 年 1 月期の特需の後、利益は 2023 年 1 月期から細った。2027 年 1 月期の回復が一時的な需要によるものなら、反動が来る。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 1.5% を 2 年続けて超えたら
- 中立の利益率を上げ、楽観側の確率を厚くする。
- 大手モールが当社の主力商品で値下げや送料無料を広げたら
- やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 配当性向の引き上げや自社株買いが発表されたら
- ためた利益の稼ぎが k に届かないため、還元の増加は価値を増やす方向に働く。
- 法人向けの取引が売上の 2 割を超えて伸びたら
- 利益の質が上がり、価格競争の影響が薄れる。楽観の確率を上げる。
- ヤマダデンキによる出資比率の引き上げや買収提案が出たら
- 買い手の条件次第。時価総額が小さく、純現金があるため、評価し直す。
見ておくもの
- 営業利益率(四半期)
- 家電 EC 市場の規模と EC 化率
- 法人向け売上の比率
- 在庫回転と評価損
- 配当と自社株買いの方針
倍率と資本コストの決め方
セグメントは単一で、家電 EC 市場 2.7 兆円と当社売上から市場×シェアで推定した。数量は実質、価格は物価の指数。価格は機器の技術進歩による値下がり圧力で、中立は物価の 3% より低い 1.30 倍。倍率は ROE と k から、弱い堀の式で上限を出し、その 9 割に置いた。今の株価や過去の倍率には寄せていない。倉庫・事務所の賃借はあるが約束額は確認できておらず、新リース会計基準で数字の形が変わる点は 10 年後を今の形でそろえて置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.79→12.48 倍・やや楽観 PER 9.28→11.76 倍・中立 PER 6.74→11.76 倍・やや悲観 PBR 0.323→0.333 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.25% = 8.75%。大株主の動きや特需の反動は筋書きと確率で表し、k には重ねない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.50%。