結論
アドヴァングループは、欧州やアジアのタイル・石材・水まわり設備を輸入し、施主や工務店に直接売る会社だ。ショールームは東京、大阪、名古屋、福岡、沖縄にある。売上は 170 億円で、営業利益は 22 億円。自己資本は 603 億円と、時価総額の 2 倍ある。
筆者の結論は「割高」である。10 年後の価値は、今の時価総額を 3 割ほど下回る。資産は厚いが、本業の稼ぐ力が資産に追いついていない。自己資本は営業利益の 27 倍もあり、事業の自己資本利益率は 4% 前後にとどまる。
見かけの利益は大きい。2026/03 期の純利益は 81 億円だが、そのうち 67 億円は為替予約の評価益で、現金を伴う本業の稼ぎではない。営業利益は 10 年で 47 億円から 22 億円に半減した。売上も年 1.4% ずつ縮んでいる。
救いは、資産と還元だ。為替予約の含み益と投資有価証券が厚く、特別配当も出した。ただ大株主の不二総業が約 5 割を握り、少数株主の取り分は読みにくい。含み益は、実際の現金になる分だけ価値に加えた。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見るべき点は 3 つある。第 1 に、10 年後も事業が残るか。住宅と店舗で使う建材の需要は残るが、数量は人口とともに縮む。第 2 に、堀が広がるか。意匠性の高い輸入建材の窓口は強いが、値段を決める力は弱い。第 3 に、稼いだお金の使い道だ。
株主のものになる利益は、本業の営業利益から税と投資を引いたものだ。この会社は自己資本 603 億円に対して、本業の利益が 15 億円ほどしかない。資産のほとんどが土地・建物、有価証券、為替予約の含み益だからだ。
為替予約の含み益は、現金に変わる分だけ価値になる。筆者は税引き後 100 億円の半分を価値に加えた。残りは、親会社が半分を持つ会社の資本配分に任されるからだ。
安全域は、資産の厚みにある。それでも、本業が資本コストを稼げない限り、資産の分だけ価値が増えるとは限らない。今の値段は、この差を十分に織り込んでいる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は建材関連事業で、売上のほぼ全部を占める。欧州とアジアのトップメーカーと組み、タイル、石材、キッチンなどを輸入して売る。売り先は店舗や住宅の施主、工務店だ。値段はカタログとウェブで公開し、買い手によって変えない。
不動産賃貸事業は、子会社が本社ビルや物流センター、社宅をグループに貸す。売上のほとんどは社内向けで、外から稼ぐ事業ではない。物流管理業も、グループの商品の出し入れが中心だ。連結では社内の取引が消えるので、全社の営業利益は 22 億円にまで小さくなる。
同じ建材の領域でも、住宅設備の大手は国内で自社生産し、この会社は輸入に徹する。海外の有力メーカーと共同で商品を開発し、日本の施主向けに仕様を合わせる点が違いだ。
売上の数量は開示されていない。筆者は、1 平方メートルあたり 2.5 万円という仮定で、約 68 万平方メートル相当と推定した。
営業利益率は、2016 年の 31% から 2026 年の 13% に下がった。円安で輸入の仕入れが高くなったからだ。会社はこの影響を為替予約で和らげ、その利益は営業外に出る。2027/03 期の会社計画は売上 185 億円、営業利益 28 億円で、営業利益率は 15% に戻る見込みだ。
優良さと弱いところ
この会社の良さは、買い手が直接見て選ぶ高級輸入建材の窓口だということだ。東京など 5 か所のショールームと、関東・関西・九州の物流拠点で、小ロットを素早く届ける。カタログの値段を公開し、同じ値段で売る。意匠性の高い輸入品では、品ぞろえと在庫の強みが効く。
弱いのは、仕入れの為替への弱さと、国内需要の縮小だ。円安が進むと、仕入れ原価が上がり、値上げが追いつかない。新築住宅は減り、売上は 10 年で年 1.4% ずつ縮んだ。強い堀、つまり他社がまねできない強みとは言えない。
資本効率が低い。有形固定資産は 377 億円と、売上の 2 倍以上ある。物流センターやショールームなどの土地・建物を、自前で持つためだ。自己資本利益率は為替益を除くと 4% 台にとどまる。
経営は、保有株を減らす方針を示し、2025 年度に 200 万株を消却した。資本の使い方は変わりつつあるが、物流施設への投資は続く。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の建築用仕上げ材は、新築住宅の着工が減り、縮んでいく。人口が減り、住宅の数が増えないからだ。リフォームは底堅いが、人手不足で工期が延び、売上の計上がずれやすい。
輸入品の値段は、為替と海外の物流で決まる。円が安くなると、仕入れ原価が上がる。中東の情勢が悪化すれば、海上の航路が乱れ、納期が遅れる。会社は欧州とアジアのメーカーへの依存が高い。
競争相手は、国内の大手建材メーカーや、他の輸入商社だ。高級品では意匠で、普及品では値段で争う。市場の大きさと会社のシェアは、公表の数字が少なく、ここでは推定にとどめた。
景気の波は、住宅着工と店舗の改装に左右される。2021/03 期には、コロナ禍で営業利益が 52 億円から 41 億円に落ちた。
一方で、国内の建材は買い替えが進みにくく、輸入品は 10 年で単価が上がった。数量は実質で縮み、値段は物価並みに上がるのが、筆者の置いた中立の姿だ。
リフォームの市場は、築年数の長い住宅が増えるため、新築よりは堅い。ただ施主が工務店任せにする場合が多く、指名で選ばれる意匠性の高い商品に絞られる。会社がショールームを重視する理由はここにある。
資本政策と M&A
還元は積極的に見えるが、事情がある。2026/03 期の配当総額は 34 億円で、うち 20 億円は為替益の特別配当だ。自己株の取得も 16.7 億円実施した。2027/03 期は特別分がなく、配当総額は 13 億円の見込み。それでも本業の純利益の 7 割を超える水準だ。
為替予約の評価益は、2026/03 期末で 210 億円の残高がある(期末は 1 ドル 160 円前後)。150 円の前提では、約 143 億円(税引き後 100 億円)で、数年かけて現金に変わる。現金化の分が、特別配当や自社株買いの原資になる。
株主は、不二総業が 49.9% を持つ。会社の資本政策に影響するが、TOB の可能性は、kabufu の試算で 10 年以内に約 30% とある。
茨城県坂東市で工業用地を取得する予定で、物流への投資は続く。政策保有株の縮減は進めるが、一部は純投資に切り替えて持つ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
本業は底を打つ。2027/03 期の会社計画は、営業利益 28 億円で、前期比 25% 増だ。第 1 四半期の営業利益は 8.7 億円と、前年同期の 1.7 倍に増えた。値上げが効き、円安による仕入れ原価の上昇も一巡した。
カタログ価格を公開する商法は、顧客が価格を比べやすく、信頼につながる。意匠性の高い輸入建材は、国内メーカーが手を出しにくい領域で、ショールームが強い。リフォームと店舗の改装は、新築より景気に強い。
資産の厚みも大きい。自己資本は 603 億円で、時価総額の 2 倍ある。為替予約の含み益は 143 億円(150 円の前提)で、数年で現金に変わる。物流センター 3 か所に加え、売却できる土地もある。
特別配当と自己株取得で、還元の姿勢も変わった。不二総業という安定した大株主が、長期の視点で経営を支える。営業利益率が 2027/03 期の計画どおり 15% に戻り、含み益が還元されれば、割安に見える。
慎重な見方
売上は 10 年で年 1.4% ずつ縮み、営業利益は 47 億円から 22 億円に半減した。この流れは止まっていない。人口が減り、新築住宅は減る。10 年で数量が 15% 減るのは自然な姿だ。
利益の質も問題だ。2026/03 期の純利益 81 億円のうち、67 億円は為替予約の評価益で、円安が戻れば消える。営業利益は 22 億円と、純利益の 3 割にも届かない。
資本効率が低い。自己資本 603 億円に対し、本業の利益は 15 億円ほどで、自己資本利益率は 4% 前後。資本コストを大きく下回り、資産が価値を生んでいない。有形固定資産は 377 億円と、売上の 2 倍を超える。
大株主が 49.9% を持つため、少数株主に有利な再編は起きにくい。特別配当も一度きりの可能性がある。含み益が現金になっても、使い道は大株主の意向に左右される。資産が厚いことと、株主の取り分が増えることは別の話だ。
どちらに重みを置いたか
資産の厚みでは強気の言い分が勝つ。ただ本業の稼ぐ力では慎重な言い分が当たる。含み益は半分だけ価値に入れ、本業は資本コストを下回る姿を中立にした。
確率は中立に 38% を置き、悲観の側にやや厚くした。結果は、中立でも今の時価総額を大きくは上回らず、資本コストを下回る。総合では、今の値段が高い。含み益の現金化と本業の回復が計画どおりに進めば、上振れの余地はあるが、そのための条件は多い。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 637 円214 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 555 円186 億円)。 今の値に割り戻すと 684 円230 億円、今との差 −22.9%、 期待の年率 +3.0%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,185 円398 億円 | 744 円250 億円 | +117.5% | +8.1% | 116 円39 億円 |
| やや楽観 | 18% | 980 円329 億円 | 691 円232 億円 | +88.3% | +6.5% | 301 円101 億円 |
| 中立 | 38% | 763 円256 億円 | 596 円200 億円 | +53.2% | +4.4% | 516 円173 億円 |
| やや悲観 | 26% | 300 円101 億円 | 476 円160 億円 | −12.5% | −1.3% | 202 円68 億円 |
| 悲観 | 12% | 180 円60 億円 | 298 円100 億円 | −46.2% | −6.0% | 57 円19 億円 |
| 加重平均 | 100% | 637 円214 億円 | 555 円186 億円 | +34.4% | +3.0% | 1,192 円400 億円 |
今の株価時価総額 887 円298 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 値上げが定着し、営業利益率が 18% に戻る 利益 28 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 1,185 円398 億円
為替予約の含み益が現金に変わり、仕入れ原価の上昇も一巡する。値上げが定着し、カタログ価格が物価並みに上がる。リフォームと店舗の改装が堅調で、数量は今と同じ水準を保つ。営業利益率は 2020 年前後の水準に近い 18% まで戻る。含み益は特別配当と自社株買いで株主に回り、物流施設への投資も一巡して資本効率が上がる。ただ新築住宅の縮小は止まらず、数量が増えるわけではない。10 年の売上は 240 億円ほどで、営業利益は 43 億円。含み益の使い道も、株主に有利に決まる。会社が掲げる営業利益率の重視が実を結び、大株主も還元に前向きになる。ショールームを通じた高級品の比率も上がる。
- 建材関連(輸入タイル・石材・水まわり設備):数量 68.1(出荷量(万平方メートル換算))× 価格 3.50(平均単価(万円/平方メートル相当)。rev_factor は 1(万平方メートル × 万円 = 億円))→ 売上 238 億円・営業利益 43 億円。数量 1.00 倍・値段 1.40 倍、営業利益率 18.0%
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.2% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)40 億円。全体の PER 12.9 倍、時価総額 398 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:値上げが完全に定着し、資産が株主に戻る姿。数量が減る市場では実現しにくく、6% にとどめた。
やや楽観 18% 営業利益率が 16% 台まで戻り、数量は緩やかに減る 利益 24 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 980 円329 億円
会社の 2027/03 期の計画に近い回復が続く。円安による原価の上昇は一巡し、値上げが物価並みに通る。新築住宅の縮小で数量は 7% 減るが、リフォームと店舗の改装が支える。営業利益率は 16〜17% で、2027/03 期の計画 15% をやや上回る。為替予約の含み益は数年かけて現金になり、特別配当と自社株買いで株主に回る。物流センターなどへの投資が一巡し、固定費が下がる。事業の自己資本利益率は 4% 台で、資本コストには届かないが、利益は 24 億円に増える。ショールームの来店客が増え、意匠性の高い商品の比率が上がる。大株主も還元には前向きで、資本政策の面でも悪くない。
- 建材関連(輸入タイル・石材・水まわり設備):数量 63.3(出荷量(万平方メートル換算))× 価格 3.43(平均単価(万円/平方メートル相当)。rev_factor は 1(万平方メートル × 万円 = 億円))→ 売上 217 億円・営業利益 36 億円。数量 0.93 倍・値段 1.37 倍、営業利益率 16.5%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)30 億円。全体の PER 12.9 倍、時価総額 329 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社計画に近く回復する姿。10 年の売上が縮んできた実績があり、中立の次に厚く置いた。
中立 38% 数量は縮み、値段は物価並み。営業利益率は 15% で落ち着く 利益 19 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 763 円256 億円
新築住宅の着工は人口とともに減り、数量は 10 年で 15% 縮む。値段は物価並みに上がり、売上は 194 億円ほどになる。営業利益率は 15% と、2027/03 期の計画に近い水準で落ち着く。2016 年の 31% には戻らない。円安で原価が上がり、値上げで吸収する構図が続くからだ。為替予約の含み益は 150 円の前提で数年に分けて現金になり、一部は特別配当と自社株買いで株主に戻る。物流施設への投資で固定資産は増え、事業の自己資本利益率は 3% 台にとどまる。会社は傾かないが、資本コストを稼げない地味な 10 年だ。値上げは通るが、数量が縮むため、売上の伸びは物価に届かない。
- 建材関連(輸入タイル・石材・水まわり設備):数量 57.9(出荷量(万平方メートル換算))× 価格 3.35(平均単価(万円/平方メートル相当)。rev_factor は 1(万平方メートル × 万円 = 億円))→ 売上 194 億円・営業利益 29 億円。数量 0.85 倍・値段 1.34 倍、営業利益率 15.0%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.3% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)20 億円。全体の PER 12.9 倍、時価総額 256 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:最も確からしい姿として、最大の確率を置いた。売上が縮む実績と、会社計画の営業利益率 15% の両方を反映した。
やや悲観 26% 円安と需要減が重なり、営業利益率が 11% に下がる 利益 10 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 300 円101 億円
新築住宅の着工が大きく減り、数量は 10 年で 3 割弱縮む。円安が進んで仕入れ原価が上がるが、値上げが追いつかず、値段の伸びは物価に届かない。営業利益率は 11% まで下がる。為替予約の含み益は現金になるが、利益が減るため、配当は削られる。物流施設の固定費と減価償却は残る。売上は 150 億円ほどに縮み、固定費の重さが利益を直撃する。会社はショールームの数を減らしてしのぐ。自己資本利益率は 2% 前後で、資本が遊ぶ構図が一段と強まる。大株主の意向で、含み益の使い道は事業の維持に回る。売上は 150 億円ほどに縮み、固定費の重さが利益を直撃する。会社はショールームの数を減らして、しのぐことになる。
- 建材関連(輸入タイル・石材・水まわり設備):数量 49.0(出荷量(万平方メートル換算))× 価格 3.13(平均単価(万円/平方メートル相当)。rev_factor は 1(万平方メートル × 万円 = 億円))→ 売上 153 億円・営業利益 17 億円。数量 0.72 倍・値段 1.25 倍、営業利益率 11.0%
倍率:事業の自己資本利益率 1.7% は資本コストを大きく下回る。PER の上限 12.5 倍より低く、8.0 倍に置いた。自己資本の大半は事業用の土地・建物で、売れる資産に数えにくい。余った資産は戻り方 0.5 で足した。
確率:新築住宅の縮小と為替の悪化が重なる姿。売上が縮んできた実績を踏まえ、中立の次に厚く置いた。
悲観 12% 需要が構造的に縮み、固定費が重くなる 利益 4 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 180 円60 億円
新築住宅と店舗の改装が構造的に縮み、数量は 4 割減る。競合やネット通販に値段で押され、値段の伸びも 15% にとどまる。営業利益率は 7% まで下がる。物流センターとショールームの固定費が重く、事業は赤字寸前になる。為替予約の含み益は現金になるが、大株主の意向で事業の維持に使われ、株主には戻らない。減損も出る。資産の厚みだけが残り、本業の稼ぐ力は消える。売上は 120 億円ほどまで縮み、10 年の累計では赤字の期が出る。資産の売却も、大株主の同意なしには進まず、少数株主は待つしかない。売上は 120 億円ほどまで縮み、10 年の累計では赤字の期が出る。資産の売却も、大株主の同意なしには進まず、少数株主は待つしかない。
- 建材関連(輸入タイル・石材・水まわり設備):数量 40.9(出荷量(万平方メートル換算))× 価格 2.88(平均単価(万円/平方メートル相当)。rev_factor は 1(万平方メートル × 万円 = 億円))→ 売上 118 億円・営業利益 8 億円。数量 0.60 倍・値段 1.15 倍、営業利益率 7.0%
倍率:事業の自己資本利益率 0.6% では稼ぐ力から価値を置けない。床は、物流センター(簿価 88 億円の 7 割)・投資有価証券(92 億円の税引き後 7 割)・為替予約の含み益(税引き後 100 億円の半分)・他の事業用不動産(簿価 289 億円の 3 割)から純有利子負債 137 億円を引いた約 120 億円。清算されない限り、少数株主は現金の使い道を決められないため、戻り方 0.5 を掛けて約 60 億円とし、今の自己資本に 0.1 倍を掛けた。EV ÷ 営業利益でも見たが、営業利益がほぼ消えるため、床の資産で測った。
確率:構造的な負け:数量の縮小と固定費の重さが定着し、含み益も株主に戻らない。事業の基盤は小さく、1 割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建材関連(輸入タイル・石材・水まわり設備)
欧州・アジアのタイル、石材、キッチンなどを輸入し、施主・工務店に直接売る。グループ内の賃貸・物流は連結で消えるため、ここに含めた。
| 数量出荷量(万平方メートル換算) | 価格平均単価(万円/平方メートル相当)。rev_factor は 1(万平方メートル × 万円 = 億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 68.1 | 2.50 | 170 | 22 |
| 10 年後 中立 | 57.9 | 3.35 | 194 | 29 |
取り方:開示は連結売上 170.4 億円・営業利益 22.3 億円(建材関連 168.9 億円)。数量は開示がなく、平均 1 平方メートルあたり 2.5 万円(石材・タイル・設備の混合)と置いた推定で約 68 万平方メートル。不動産賃貸(内部売上含む 25.9 億円)と物流管理はグループ内の取引で連結では消えるため、全社で 1 区分とした。営業利益はここでは連結の 22.3 億円。
リスクと懸念
住宅・店舗の需要縮小
売上は 10 年で年 1.4% ずつ縮んだ。新築住宅は人口減で減る。リフォームも人手不足で工期が延び、売上の計上がずれやすい。
為替と仕入れ原価
仕入れは欧州とアジアで、外貨建てだ。円安は原価を押し上げ、値上げが追いつくまで利益率が下がる。為替予約の評価益は為替で大きく動き、純利益を振らす。
資産の厚みが価値に変わらない
自己資本 603 億円のうち、有形固定資産が 377 億円、投資有価証券が 92 億円ある。事業の稼ぎが資本コストを下回る限り、資産は価値を生まない。
大株主の影響
不二総業が 49.9% を持つ。資本政策や再編は大株主の意向に左右され、少数株主に有利な動きが起きるとは限らない。
海外の物流と調達
欧州とアジアのメーカーに依存する。中東の情勢などで海上の航路が乱れれば、納期が遅れ、売上の計上がずれる。
物流投資の重さ
物流センターと工業用地の取得で、固定資産がさらに増える。需要が縮む中で投資が増えれば、減価償却と金利が利益を圧迫する。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 15% を超える水準を 2 期続けて維持したら
- やや楽観・楽観の確率を上げる。値上げが定着したと見る。
- 為替予約の評価益が現金化され、特別配当や自社株買いが続いたら
- 余った資産の戻り方を 1.0 に近づけて見直す。価値が上がる。
- 円高が進み、為替予約の評価益が大きく減ったら
- 余った資産の価値を減らす。純利益の見かけが悪くなる。
- 新築住宅の着工がさらに減り、売上が 160 億円を割ったら
- 数量の見通しを下げ、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 不二総業が持株の売却や再編を提案したら
- 価格はプレミアムを含みうる。本質価値は事業の稼ぐ力と資産で測り直す。
- 保有する物流センターなどの不動産を売却する方針が数字で示されたら
- 含み益を余った資産として別に足して見直す。
見ておくもの
- 営業利益率(四半期)と売上の推移
- 為替予約の評価益の残高と現金化の進み
- 特別配当・自社株買いの実施
- 新築住宅の着工件数とリフォーム市場
- 物流・工業用地への投資額
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業の稼ぐ力と資本コスト 7.75% から式で決めた。今の株価や同業の倍率は使っていない。中立では事業の自己資本利益率が資本コストを下回るので、PER の上限は 1÷k の 12.5 倍で、その 8 割の 10.0 倍に置いた。為替予約の含み益は 150 円の前提で税引き後 100 億円と数え、戻り方 0.5 で足した。10 年後の数字は、家賃を営業費用に入れた今と同じ形で置いている(グループ内の賃貸は連結で消える)。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.9 倍・やや楽観 PER 10.5→12.9 倍・中立 PER 10→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。