結論
エスエルディーは、繁華街で 10 ブランド 25 店を営む外食の会社だ。アニメやキャラクターとのコラボカフェを企画・運営する事業を持ち、ポケモンカフェの運営も受託している。筆者は、今の値段を割高と見る。10 年後に積み上がる価値は、今の時価総額の 3 割前後にとどまる。
理由は、利益の振れの大きさだ。2026 年 2 月期は営業利益率が 3% 台と、コロナ後の回復を示した。だが 2027 年 2 月期は中間で通期予想を大きく下げ、経常利益は 0.4 億円ほどに落ちる見込みだ。
救いは、借金がほとんど無く、現金が借入を上回ることと、コラボの企画力という他社がまねしにくい実績だ。だがコラボは依頼元の IP(作品の権利)の人気に左右され、店は賃借で家賃が固定の約束になる。
もっとも、親会社の DD ホールディングスが飲食のノウハウを共有する点は、小さな会社には支えになる。だが利益が安定して積み上がる姿は、まだ見えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、エスエルディーは、持ち続けたい会社ではない。コラボの企画力という強みはあるが、それが毎年の利益として積み上がる形になっていない。
外食は固定の家賃と人件費が重く、客数が落ちると利益が一気に消える。コラボは依頼元の IP の人気と契約に左右され、10 年先に同じ顧客が残る保証がない。過去 12 年の営業利益率は 5% が最高で、堀と呼べる強みは見当たらない。
財務は借金が無く、現金がある点は評価できる。だが現金は預り金や未払金で薄まり、親会社の意向で株主へ戻りにくい。
時価総額は自己資本の約 2.9 倍で、足元の利益が急減していることを考えると、払う値段に安全域はない。
10 年先に残る純利益は 1 億円前後とみる。それに見合う値段は、今の 3 割強にとどまる。親会社による買収の期待は、価値には入れていない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、客の来る店と、コラボの企画だ。売上の約 7 割は飲食サービスで、関東・東北・東海・近畿・九州の繁華街に 10 ブランド・25 店を直営で構える。残る約 3 割がコンテンツ企画サービスだ。
コラボカフェは、アニメ、ゲーム、アーティスト、メーカーの作品を題材に、期間限定で店の内装や料理、グッズを作る仕事だ。依頼元から運営を受託する形と、自社で企画して売る形がある。コラボ専門店「Collabo_Index」を持ち、ポケモンカフェのオフィシャル運営も受託している。料理だけでなく、グッズの物販が利益を支える。会社は物販の内製化を進め、収益の構造を変えようとしている。
飲食は、内装の個性の強い店が多く、ブランドごとに客層を絞って内装と接客に手をかける。従業員は社員 133 名、アルバイト 808 名で、店を回すのは人手だ。
店は賃借が中心と推定され、家賃は売上に関係なく払う固定の約束になる。2021 年に新型コロナの影響で営業赤字に陥り、以後は店を絞って立て直してきた。新業態の開発プロジェクトも立ち上げ、既存の店の内装や設備にも投資している。
優良さと弱いところ
優良さは中程度より低い。コラボの企画力という他社がまねしにくい強みを持つが、利益が安定して積み上がる形になっていない。
過去の営業利益率は、最も良い年でも 5% にとどまる。2021〜2023 年は赤字に沈み、2024 年以降は 3% 台に戻したが、2027 年 2 月期の中間では再び大きく落ちた。外食は人件費と家賃、食材の比率が高く、値上げがその速さに追いつかなければ利益がすぐ消える。
コラボは依頼元の IP の更新と人気に左右される。ポケモンカフェのような大きな案件を失えば、稼働が落ちる。単一の依頼元に偏る危うさは、開示で確かめきれていない。
財務は借金がほとんど無く、現金が借入を上回る。ただ現金の一部は預り金や未払金と相殺され、見かけほど余裕はない。店の家賃も固定の約束だ。
資本コストには、IP 依存による寿命の上乗せを付けた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食は、人手不足と物価の上昇のなかにある。時給が上がり続け、店を回す人を確保できる会社だけが営業時間を保てる。物価が 3% で続く世界では、客単価は上がりやすいが、人件費と家賃、食材も同じ速さで上がる。
繁華街の飲食は、訪日客の増加で追い風が吹く一方、若い客の財布は価格に敏感だ。居酒屋やカフェは競合が多く、個性の強い店が人気を保つのは数年が限界とされる。
コラボカフェは、アニメやゲームの人気に乗る市場で、作品の人気が高いほど集客が強い。依頼元の IP を持つ企業が自社で運営に回る例が増えれば、運営の受託会社の取り分は薄くなりやすい。訪日客のコラボ需要は伸びており、2026 年 2 月期の中間ではキャラクターカフェの客数が前年比で 15% 増えた。
競合は、大手の外食企業が持つ同種のコラボ事業と、IP 企業の内製だ。会社は物販を内製化し、他社への企画提案も広げようとしている。外食の人手不足が続くなか、店を絞ってでも利益率を守る経営が問われる。ブランドを増やす戦略は、店長の育成が追いつかなければ品質のばらつきにつながる。
資本政策と M&A
配当は、2026 年 2 月期は無配だ。2027 年 2 月期の配当予想も未定とされる。自社株買いの実績はない。
親会社は株式会社 DD ホールディングスで、2017 年の公開買付けを経て筆頭株主になり、2019 年に連結子会社とした。DD グループの飲食のノウハウと調達力を使える一方、少数株主の利益と親会社の都合が食い違う場面は残る。
借入はほぼ無く、現金が借入を上回る。ただ現金の使い道は親会社の意向と店の更新投資に左右され、株主へ戻る保証は弱い。
M&A は、新業態の開発チームを立ち上げた段階にとどまる。時価総額が 16 億円と小さく、親会社による完全子会社化の可能性は残るが、発表はなく、価値には入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
コラボカフェは、飲食の客を集める力を持つ数少ない事業だ。ポケモンカフェの運営受託で積んだ実績と、物販の内製化が進めば、利益率は飲食より高い。2026 年 2 月期の中間では、キャラクターカフェの客数が前年比で 15% 増え、訪日客の需要も取り込んでいる。
借金はほとんど無く、現金が借入を上回る。親会社の DD ホールディングスは飲食のノウハウと調達力を持ち、小さな会社の弱点を補う。2024 年以降、営業利益率は 3% 台に戻り、ROE は 15〜46% と高かった。
2027 年 2 月期の下方修正は、店舗改装と減価償却、コラボの端境期が重なった一時的な落ち込みとみることもできる。第 1 四半期の売上は前年同期比で 7% 増えており、需要は崩れていない。新しい業態の開発と物販の内製化が実れば、利益率は 5% 近くまで戻る余地がある。コラボカフェは訪日客の来店も多く、円安の恩恵を受けやすい。
時価総額が小さく、親会社による完全子会社化の可能性もある。
慎重な見方
利益の振れが大きすぎる。2026 年 2 月期の経常利益は 1.3 億円だったのに、2027 年 2 月期は 0.4 億円まで下がる見通しだ。第 1 四半期の営業利益は 4 割減っている。売上が増えても利益が減るのは、人件費と家賃が先に上がる構造のためだ。店の改装や設備投資で減価償却も増えている。
コラボは依頼元の IP の人気と契約に左右される。ポケモンカフェのような大きな案件が終われば、稼働は大きく落ちる。依頼元が自社で運営に回れば、受託会社の取り分は薄くなる。
店は賃借が中心で、家賃は売上が落ちても減らない。2021〜2023 年は営業赤字に沈み、閉店と減損を繰り返した過去もある。借金が無いことは強みだが、現金の一部は預り金や未払金と相殺される。
時価総額は自己資本の約 2.9 倍で、PER は直近の利益で 17 倍近い。足元の利益が急減している点を考えると、安全域がない。親会社が筆頭株主である以上、現金が積み上がっても株主に戻る保証は弱い。
どちらに重みを置いたか
稼ぐ力の議論では、慎重な見方が強い。コラボの企画力は本物だが、利益に変わる速度が遅く、足元は下方修正が出ている。確率はやや悲観に 30%、悲観に 15% を置き、中立の 35% を最も厚くした。結果として、価値は今の時価総額の 3 割前後に出た。親会社による買収の期待は価値に入れていない。借金が無いことは救いだが、利益の安定が見えるまで安全域は取れない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 824 円13 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 53 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 418 円7 億円、今との差 −58.1%、 期待の年率 −1.3%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 2,643 円41 億円 | 224 円4 億円 | +187.6% | +11.1% | 143 円2 億円 |
| やや楽観 | 15% | 1,817 円28 億円 | 128 円2 億円 | +95.1% | +6.9% | 292 円5 億円 |
| 中立 | 35% | 1,065 円17 億円 | 64 円1 億円 | +13.3% | +1.3% | 395 円6 億円 |
| やや悲観 | 30% | 124 円2 億円 | 0 円0 億円 | −87.6% | −18.8% | 37 円1 億円 |
| 悲観 | 15% | 64 円1 億円 | 0 円0 億円 | −93.6% | −24.0% | 10 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 824 円13 億円 | 53 円1 億円 | −12.0% | −1.3% | 877 円14 億円 |
今の株価時価総額 997 円16 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 5% コラボカフェが育ち、飲食と合わせて営業利益率が 5% 近くまで上がる 利益 2 億円 · PER 18.8 倍 · 株価時価総額 2,643 円41 億円
ポケモンカフェの運営で積んだ実績が評価され、アニメ・ゲーム・ブランドのコラボの依頼が増える。コラボ専門店の客数は、訪日客の増加も加わって年 2% ずつ伸び、物販の内製化で利益率が上がる。飲食は既存ブランドの出店と内装投資で客数を保ち、値上げも通る。人件費は上がるが、機械化と店舗の整理で吸収する。営業利益率は 5% 近くに乗り、現金が積み上がる。配当は利益の 2 割ほどを払い、親会社のグループ内での位置づけも強まる。新しい業態が当たり、複数の店で同じ型を横に広げられる。店舗の改装は建築費の上昇で重いが、利益の伸びが上回る。
- 飲食サービス:数量 87.0(来店客数(万人))× 価格 0.41(客単価(万円))→ 売上 36 億円・営業利益 2 億円
- コンテンツ企画サービス:数量 37.6(来場者数(万人))× 価格 0.47(来場者あたりの売上(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 24.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.8 倍。全体の PER 18.79 倍、時価総額 38 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率が過去 12 年の最高(5%)近くまで戻る筋は、IP の供給と人手の確保の両方が要り、条件が重い。5%。
やや楽観 15% やや楽観:コラボの客数が伸び、利益率は 3% 台後半を保つ 利益 1 億円 · PER 17.5 倍 · 株価時価総額 1,817 円28 億円
コラボ専門店の客数は年 1% ほど伸び、物販の内製化が利益に効く。飲食は客数が 2% 減るが、客単価を物価並みに上げて補う。出店は慎重で、既存店の改装を中心に進める。営業利益率は 3% 台後半を保つ。借入はほぼ無く、現金が積み上がるが、親会社の意向もあり配当は小さい。人件費と家賃は物価で上がるが、客単価で吸収できる。新しい業態の開発は小さく試す段階にとどまり、投資の負担は軽い。借入に頼らず、手元の現金で改装を賄える。店舗の改装は建築費の上昇で重くなり、更新の投資で現金は細る。コラボの物販を内製化した効果で、売上総利益率が少しずつ上がる。飲食の新業態は小さく試し、失敗しても傷は浅い。
- 飲食サービス:数量 83.6(来店客数(万人))× 価格 0.41(客単価(万円))→ 売上 34 億円・営業利益 1 億円
- コンテンツ企画サービス:数量 34.4(来場者数(万人))× 価格 0.46(来場者あたりの売上(万円))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.8% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.5 倍。全体の PER 17.53 倍、時価総額 26 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026/02 期の営業利益率は 3.5% 前後。その水準を保ちつつコラボが伸びる筋は十分ありうる。15%。
中立 35% 中立:コラボは横ばい、飲食は客数が減り、営業利益率は 2% 台半ばにとどまる 利益 1 億円 · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 1,065 円17 億円
飲食の客数は店の入れ替えと人手不足で 4% ほど減り、客単価は物価並みに上がる。コラボ専門店は、IP の人気に左右されながら、客数が 1 割弱増える。ただ人件費と家賃、食材も同じ速さで上がり、営業利益率は 2% 台半ばにとどまる。コラボは売上の 3 割を占めるが、依頼元の IP の更新や条件の見直しで、利益が振れやすい。借入はほぼ無く、現金が緩やかに積み上がる。配当は親会社の意向もあり、利益の 1 割ほどにとどまる。店舗の改装は建築費の上昇で重い。減価償却は取得時の値段のままで、利益は見かけ上厚くなるが、更新の投資で現金は細る。
- 飲食サービス:数量 81.9(来店客数(万人))× 価格 0.40(客単価(万円))→ 売上 33 億円・営業利益 1 億円
- コンテンツ企画サービス:数量 32.9(来場者数(万人))× 価格 0.46(来場者あたりの売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.6% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.3 倍。全体の PER 15.3 倍、時価総額 15 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027/02 期の通期予想は経常利益が約 0.4 億円と大きく下がった。そこから 2% 台半ばの利益率へ戻る筋を最も厚い 35% とした。
やや悲観 30% やや悲観:コラボの依頼が細り、飲食の採算も落ちて、営業利益が薄くなる 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 124 円2 億円
アニメやキャラクターの人気は移ろいやすく、コラボ専門店は依頼元の IP が切れるたびに稼働が落ちる。物販の内製化も思ったほど進まない。飲食は人手不足で営業時間を短くし、客数が 1 割以上減る。値上げは通るが、人件費と家賃が先に上がり、利益率は 1% 近辺まで沈む。純利益は 0.1 億円ほどにとどまる。配当は出せず、自己資本は少し増えるだけだ。閉店費用と原状回復の費用がかかる。新しい業態の開発も、投資だけが先に出る。人手不足で採用費が膨らみ、店長の育成が追いつかない。ポケモンカフェのような大きな案件が終わると、稼働の穴を埋める次の企画が見つからない。
- 飲食サービス:数量 75.1(来店客数(万人))× 価格 0.38(客単価(万円))→ 売上 29 億円・営業利益 0 億円
- コンテンツ企画サービス:数量 29.7(来場者数(万人))× 価格 0.44(来場者あたりの売上(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円
倍率:稼ぐ力(純利益 0.1 億円 ÷ k)は約 1.1 億円で、純現金 2 億円から預り金・未払金を差し引いた分を戻り方 0.75 で見た約 1.5 億円のほうが大きい。大きい方の 1.5 億円を採り、今の自己資本 5.5 億円に対する PBR 0.27 倍とした。
確率:2027/02 期の中間で通期の予想を大きく下げた。利益が戻らない筋は起こりやすい。30%。
悲観 15% 悲観:IP の供給を失い、家賃の重い店を抱えて赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 64 円1 億円
ポケモンカフェなどの主要な依頼元との契約が更新されず、コラボ専門店の稼働が大きく落ちる。飲食は客数が 2 割以上減るが、家賃は店ごとに固定で残る。赤字の店が増え、閉店と原状回復の費用がかさむ。会社は店を絞って縮小均衡を探すが、自己資本は赤字で削られる。親会社との関係を含めた再編の話も出うる。新しい業態の投資は止まり、残る店の改装も先送りになる。現金は赤字で食われ、借入に頼る場面も出てくる。株主に残る価値は、現金と敷金・保証金から預り金・未払金と家賃の約束を引いた残りにとどまる。売れる資産は敷金・保証金と在庫、什器が中心で、帳簿の値段を大きく割り込む。
- 飲食サービス:数量 64.0(来店客数(万人))× 価格 0.36(客単価(万円))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円
- コンテンツ企画サービス:数量 18.8(来場者数(万人))× 価格 0.40(来場者あたりの売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円
倍率:赤字で PER は使えない。純現金と敷金・保証金の手取りから、預り金・未払金と家賃の約束を引いた残りを約 1.0 億円とみて、今の自己資本 5.5 億円に対する PBR 0.18 倍とした。
確率:外食は固定の家賃が残り、IP 依存のコラボは需要の振れが大きい。2021〜2023 年の赤字の経験もあり、15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
飲食サービス
関東・東北・東海・近畿・九州の繁華街で、10 ブランド 25 店をすべて直営で運営する。
| 数量来店客数(万人) | 価格客単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 85.3 | 0.30 | 26 | 1 |
| 10 年後 中立 | 81.9 | 0.40 | 33 | 1 |
取り方:決算全体の売上 36.56 億円のうち、構成比 7 割を飲食と置いた推定(第 1 四半期の構成比 7:3)。客数の開示はなく、客単価を約 0.3 万円(3 千円台)と見て 85.3 万人 × 0.30 万円と置いた推定。単位は 万人 × 万円 = 1 億円。セグメント利益は開示が粗く、売上に応じて配分した推定。
コンテンツ企画サービス
アニメ・キャラクター・ブランドとのコラボカフェ(ポケモンカフェの運営受託を含む)の企画・運営と物販。
| 数量来場者数(万人) | 価格来場者あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 31.3 | 0.35 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 32.9 | 0.46 | 15 | 1 |
取り方:売上構成比の約 3 割(10.96 億円)を、31.3 万人 × 1 人 0.35 万円(飲食と物販)と置いた推定。来場者数の開示はなく、売上からの割り戻し。利益は飲食より高い率を置いた推定(物販の内製化が進んでいる)。
リスクと懸念
コラボの依頼元への依存
ポケモンカフェなど大きな案件の契約が更新されなければ、コンテンツ事業の稼働が大きく落ちる。依頼元が自社運営に切り替える恐れもある。
利益の急減
2027 年 2 月期は中間で通期の経常利益予想を約 0.4 億円へ下げた。下げた理由の開示を確かめ、一過性かどうかを見分ける必要がある。
人件費と家賃の上昇
店は賃借が中心で、家賃は売上が落ちても減らない。時給の上昇が続けば、客数が減る局面で利益が一気に消える。
親会社との関係
DD ホールディングスが支配株主で、現金の使い道や配当、再編の判断は親会社の意向に左右される。少数株主の取り分が小さくなる恐れがある。
繁華街の店の入れ替わり
個性の強い店は数年で飽きられやすく、閉店と内装投資を繰り返す。減損が出る期もある。
IP の人気の移ろい
アニメやゲームの人気は短期で動く。次のコラボを継続的に取れなければ、物販の内製化も利益にならない。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 期続けて 4% を超える
- やや楽観の確率を上げ、価値を見直す。
- 主要なコラボ案件の契約が終了する
- やや悲観と悲観の確率を上げ、コラボの数量の見立てを下げる。
- 下方修正の理由が一過性(改装や減価償却)と開示される
- 中立の利益率を見直し、足元の落ち込みを軽く見る。
- 親会社による完全子会社化の発表がある
- 筋書きの前提が変わるので、分析を作り直す。
- 飲食の既存店客数が 2 期続けて前年を下回る
- 飲食の数量の見立てを下げる。
見ておくもの
- 飲食とコラボの売上構成と営業損益
- 既存店の客数・客単価
- 主要なコラボ案件の更新
- 店舗の増減と減損
- 親会社の持株比率と配当方針
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE が k の近辺の事業の下限 1÷k(約 11.4 倍)と式の上限(約 11.5 倍)の間で置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。数量は来店客数・来場者数の推定で、売上から割り戻した。セグメント利益は開示が粗く、推定。店舗は賃借が中心と推定し、家賃は固定の約束として悲観の利益率に入れた。新リース会計基準で賃借が BS に載ると純現金の形が変わるが、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→18.79 倍・やや楽観 PER 11.5→17.53 倍・中立 PER 11.45→15.3 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。