結論
オークワは、和歌山を中心に奈良・三重・大阪・愛知など153店ほどを構える、地方の食品スーパーだ。営業収益は2,527億円と大きい一方、営業利益は18.8億円、純利益は2.6億円にとどまる。稼ぐ力が極端に細い会社である。
筆者の結論は「割高」だ。今の時価総額は約318億円で、純資産743億円の半分に届かない。ただ、その純資産は店舗や土地に固定され、事業が生む利益は純資産の1%台しかない。割安に見える数字は、稼ぎの弱さの裏返しにすぎない。
足もとは悪化している。2026年9月、会社は2027年2月期の営業利益を21億円から13億円へ、純利益を6.5億円から0.5億円へ下方修正した。上期は営業赤字だった。物価高の節約志向で、既存店の客数と買上点数が計画を下回った。
会社は2026年4月に、中期経営計画の目標数値を取り下げている。もとの計画は2027年2月期に営業利益70億円だった。実績との差はあまりに大きい。
配当は年約10.6億円で、15年ほど変わらない。純利益を大きく上回るが、減価償却の範囲で賄えている間は続く。10年の稼ぎを積み上げても、価値は今の値段に届かない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目では、オークワは「安く見えるが、安くない」会社だ。純資産743億円に対して時価は318億円。しかし、その資産は稼ぎを生んでいない。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益は、ほぼゼロに近い。営業利益は18.8億円でも、減損と利払いと税を引くと、純利益は2.6億円だ。営業収益に対する利益は0.1%である。
店舗は資産であり、同時に重荷でもある。減価償却は年64億円、設備投資は年58億円で、稼いだ現金が店の維持に消えていく。資産が売上を生むが、株主の取り分に回るのは残り滓にすぎない。
経営の計画は、実績に対して楽観的すぎた。もとの中期計画は2027年2月期に営業利益70億円を掲げたが、今は13億円の見込みで、目標数値は取り下げられた。
安全域は、土地と建物の厚みにある。ただし、それは売って初めて現金になる。経営が自ら売る意思を示さない限り、少数株主はその価値を取り出せない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、食品と日用品を店で売る差益だ。2026年2月期の売上高は2,395億円、うちスーパーマーケット事業が2,382億円を占める。ほかにテナント収入などが入り、営業収益は2,527億円になる。
店舗は4つの業態に分かれる。品ぞろえと価格で地域一番を狙う「スーパーセンター」、常時低価格の「プライスカット」、標準の「レギュラー」、そして新しく検討する惣菜・ベーカリー専門店だ。2024年7月には、従来より小さい売り場のスーパーセンターを愛知県の知多市に出した。
地域では、和歌山が47店、奈良が32店、三重が21店、大阪が20店、岐阜が13店、愛知が12店と続く。和歌山を中心に関西・東海へ広がる構えである。
グループには、外食の「オークフーズ」、農産物の加工・配送を担う「サンライズ」(50%出資)、施設管理を受託する会社がある。外食の売上は14億円ほどと小さい。
従業員は連結で2,068名、パートタイマーなどが平均7,981名と、人手に頼る商売だ。物価と最低賃金が上がるなか、人件費の増加を売上で吸収できるかが利益を決める。
優良さと弱いところ
優良さを分ける要素は、売上の伸びと、店舗の効率だ。オークワはこの両方で、同業の上位に遅れている。
利益率の低さが物語る。営業利益率は過去10年で0.5〜1.3%、コロナで買いだめが起きた2021年2月期でも2.8%だった。2026年2月期は0.7%で、同じ領域の他社が2〜6%を出すなか、最も低い側にある。
客数の減少も止まらない。2025年の上期は、既存店の客数が2.6%減り、買上点数が2.2%減った。売上は客単価の上昇で支えたが、客を失う流れは変わらない。
財務は強くない。自己資本比率は57.5%と高めだが、有利子負債は約179億円ある。純有利子負債は108億円で、営業利益を利息の10倍ほどでしか支払えない。減価償却は年64億円、設備投資は年58億円と重く、稼ぎの多くは店の維持に消える。
資本の使い方も評価しにくい。2026年2月期は、減損損失を11億円出しながら、配当10.7億円と自社株買い10億円を実行した。利益で賄えない還元を、積み上げた資産の取り崩しで支えている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
食品スーパーは、日々の生活に欠かせない需要を扱うため、景気の谷にも強い。リーマン時でも既存店売上の落ち込みは1〜2割にとどまった。需要の量そのものは、人口が減っても急には崩れない。
ただ、中身は変わっている。物価の上昇が続くなか、客単価は上がるが、客数と買上点数は減る。節約志向が強まれば、客は安い店に動く。オークワの客数減少は、この流れの典型である。
競争は地域ごとに激しい。近畿・東海では、イオンや平和堂、地場の有力チェーンが近くに並ぶ。店舗数が多いほど規模の利益が出るため、小さい会社は価格でも調達でも不利になる。ドラッグストアやディスカウントストアも、食品を安く売る。
人口減少は、和歌山や奈良のような地方で特に重い。店の数は横ばいから微減で、1店あたりの売上を守るのが精一杯だ。
再編は進む。地方チェーンの統合が続く領域で、オークワの規模は2,500億円規模と中堅にとどまる。10年の間に、統合の対象になる可能性も高い。長い目でみれば、小さな会社ほど調達や物流で不利になり、利益率の差が開く構造である。
資本政策と M&A
還元は安定を重んじる。配当は15年ほど変わらず、年約10.6億円だ。純利益2.6億円を大きく上回るが、減価償却の年64億円がある限り、現金は回る。会社は「安定した配当を継続する」としている。
自社株買いは、3年で約40億円の計画で進めた。2026年2月期は10億円を実行し、株数にはすでに反映されている。ただ、利益に比べて大きく、借入を増やして賄う面がある。
M&Aは目立たない。過去には外食や小規模な店舗の取得があったが、近年は大きな買収をしていない。2022年に、子会社のヒラマツを吸収合併した程度だ。
大株主は個人が中心で、公益財団法人大桑教育文化振興財団が3.73%、紀陽銀行が3.39%、日本マスタートラスト信託口が5.45%を持つ。親会社に当たる大株主は確認できない。TOB(株式公開買い付け)の可能性は、当サイトの参考値で10年以内に2割ほどある。
政策保有株は、上場8銘柄で約36億円だ。紀陽銀行が14億円、平和堂が9億円と続く。含み益の開示は確認できず、評価には入れていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
オークワには、立て直しの余地がある。食品スーパーは需要が底堅く、仕組みの見直しで利益率が大きく変わる業態だ。同じ領域の他社は営業利益率が2〜6%あり、オークワが1%台で止まっている理由は構造ではなく、運営の効率にあるとも言える。
業態の再構築が実り始めている。惣菜・ベーカリー専門店の都市部出店、小型のスーパーセンター、アプリを軸にしたマーケティングなど、会社は若年層の集客力不足を課題として認め、手を打っている。
資産は厚い。有形固定資産は778億円、自己資本比率は57.5%だ。店の多くは自前の土地と建物で、家賃の負担が軽い。売上が伸びれば、利益は急に増える構造を持つ。
還元の余地もある。配当は15年変わらず、利益が戻れば増配できる。自社株買いも、3年で約40億円の枠で進めた実績がある。
地方チェーンの統合が進む領域だ。規模を持つ買い手が現れれば、資産の価値が顕在化する可能性もある。もちろん、これは経営が自ら動くか、外から提案が来た場合の話であり、短期の株価の材料にすぎないかもしれない。それでも、現金と資産の厚みがある会社は、立て直しに時間をかけられる。
慎重な見方
利益が出ない構造は変わっていない。2026年2月期の営業利益率は0.7%、純利益は2.6億円にすぎない。2027年2月期は営業利益13億円まで下方修正され、上期は営業赤字だった。節約志向が強まるなか、販促を打っても客数が戻らない。
客数と買上点数は減り続けている。客単価の上昇は、実質の売上が伸びていることを意味しない。物価を除けば、店の数が同じでも売上は細る。
計画は何度も外れた。2027年2月期に営業利益70億円を掲げた中期計画は、2026年4月に目標数値を取り下げられた。経営の見通しは信頼しにくい。
固定費の重さが効く。減価償却は年64億円、設備投資は年58億円で、稼ぎのほとんどが店の維持に使われる。人件費と光熱費は物価以上に増え、価格に転嫁しきれない。
配当と自社株買いは利益を上回り、借入に頼って続けている。純有利子負債は108億円だ。客離れが続けば、減損が重なり、資産が目減りする。
どちらに重みを置いたか
資産の厚みと立て直しの余地という強気の言い分は事実だが、利益が出ない構造と客数の減少という慎重な言い分のほうが、足もとの数字で裏づけられている。
そこで、中立に最も厚く置き、やや悲観と悲観を合わせて36%とした。楽観とやや楽観は合わせて28%である。計画を取り下げた経営と、半期ごとの下方修正の連続を、確率で重くみた。
結果として、本質価値は今の時価総額を下回った。純資産の半分という値段は、稼ぐ力の弱さをすでに織り込んでおり、割安とは言えない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 470 円191 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 223 円91 億円)。 今の値に割り戻すと 369 円150 億円、今との差 −52.8%、 期待の年率 −1.2%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,311 円534 億円 | 319 円130 億円 | +108.5% | +7.6% | 130 円53 億円 |
| やや楽観 | 20% | 737 円300 億円 | 283 円115 億円 | +30.4% | +2.7% | 204 円83 億円 |
| 中立 | 38% | 390 円159 億円 | 246 円100 億円 | −18.7% | −2.0% | 242 円98 億円 |
| やや悲観 | 24% | 246 円100 億円 | 172 円70 億円 | −46.5% | −6.1% | 100 円41 億円 |
| 悲観 | 10% | 99 円40 億円 | 61 円25 億円 | −79.5% | −14.7% | 16 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 470 円191 億円 | 223 円91 億円 | −11.5% | −1.2% | 692 円282 億円 |
今の株価時価総額 782 円318 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 業態再構築が実り、利益率が2%台まで戻る 利益 43 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,311 円534 億円
業態の再構築と、自社ブランド商品の拡大が実る。惣菜を軸にした都会型の店と、小型のスーパーセンターが育ち、客数の減少に歯止めがかかる。店は153店を保ち、1店あたりの実質売上は今の水準を維持する。
荒利益率が上がり、人件費の増加は業務革新で吸収する。営業利益率は2.2%まで上がる。これは2021年2月期の2.8%には届かないが、足もとの0.7%の3倍だ。
営業収益は3,386億円、営業利益は75億円、純利益は43億円になる。減損が減り、純利益÷営業利益は0.57まで高まる。配当は増配に向かい、自社株買いも続く。ただ、ROEは5%台にとどまる。
- スーパーマーケット(食品スーパー・スーパーセンター):数量 153(店舗数(店))× 価格 22(1店舗あたりの営業収益(億円・名目))→ 売上 3,386 億円・営業利益 75 億円。店舗は153店。1店あたりの実質売上は今の水準を保つ
倍率:事業の純利益 43 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.1% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 534 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率が過去10年の最高2.8%に近い2%台まで戻る必要がある。計画を取り下げた現状を考え、8%と低めに置いた。
やや楽観 20% コスト削減と商品力で、利益率が1%台半ばへ戻る 利益 24 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 737 円300 億円
店は152店と、ほぼ今の数を保つ。客数の減少は続くが、買上点数の改善と客単価の上昇で、1店あたりの実質売上は3%の減少にとどまる。
営業利益率は1.6%まで上がる。荒利益率の改善と人件費の抑制が効くが、減損は毎年残る。営業収益は3,263億円、営業利益は52億円、純利益は24億円だ。
配当は、利益が戻るので維持する。ただ、純利益÷営業利益は0.46と、過去の中央値0.33を上回る程度にとどまる。自己資本は761億円に増えるが、ROEは3%台と、資本コストには届かない。会社の言う「営業利益100億円」の長期目標は、この筋書きでも遠い。一方で、赤字に沈む姿は避けられ、減損も15億円を超えない程度に収まる。
- スーパーマーケット(食品スーパー・スーパーセンター):数量 152(店舗数(店))× 価格 21(1店舗あたりの営業収益(億円・名目))→ 売上 3,263 億円・営業利益 52 億円。店舗は152店。1店あたりの実質売上は3%減
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.2% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 300 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:コスト削減と商品開発で、利益率が足もとを超える筋書き。蓋然性のある強気の姿として20%を置いた。
中立 38% 客数の減少が続き、利益率は1%強にとどまる 利益 13 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 390 円159 億円
店は150店まで減る。年に1店ほどの純減が続き、客数の減少で1店あたりの実質売上は7%ほど細る。物価の上昇で客単価は上がるが、売上の伸びは物価に届かない。
営業利益率は1.2%にとどまる。2023年と2024年の2月期の1.2%と同じ水準で、2026年2月期の0.7%を少し上回る。人件費と光熱費の上昇を、荒利益の改善で吸収する。営業収益は3,087億円、営業利益は37億円だ。
減損と利払いが毎年残るので、純利益は13億円、純利益÷営業利益は0.34と、過去の中央値に近い。配当は年約10.6億円を維持するが、利益を上回る分は減価償却の範囲で賄う。ROEは2%弱にとどまる。
- スーパーマーケット(食品スーパー・スーパーセンター):数量 150(店舗数(店))× 価格 21(1店舗あたりの営業収益(億円・名目))→ 売上 3,087 億円・営業利益 37 億円。店舗は150店。1店あたりの実質売上は7%減(客数の減少。価格の指数は物価1.34倍に実質0.93倍を掛けた1.25倍)
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 1.8% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 159 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:客数が減り続け、利益率が1%強で止まる筋書き。いちばん確からしい姿として38%を置いた。
やや悲観 24% 節約志向と競合で、利益がほぼ消える 利益 2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 246 円100 億円
店は140店に減り、1店あたりの実質売上は15%細る。ディスカウントストアやドラッグストアに客を奪われ、販促を打っても客数が戻らない。
営業利益率は0.5%まで落ちる。2027年2月期の見込み0.5%と同じ水準が続くイメージだ。営業収益は2,633億円、営業利益は13億円、純利益は1.8億円。減損と利払いが、稼ぎのほとんどを食う。
配当は、利益を大きく超えるので減らす。自己資本は695億円と、10年で50億円ほど細る。それでも店舗は売却して現金化でき、この時点の評価は、稼ぐ力ではなく売れる資産の床で置く。
- スーパーマーケット(食品スーパー・スーパーセンター):数量 140(店舗数(店))× 価格 19(1店舗あたりの営業収益(億円・名目))→ 売上 2,633 億円・営業利益 13 億円。店舗は140店。1店あたりの実質売上は15%減
倍率:事業のROEは0.3%で資本コスト8.0%に遠く届かず、稼ぐ力は純利益1.8億円÷k=約22億円にすぎない。そこで値は、売れる資産の床(約100億円、今の自己資本の約0.13倍)で置いた。市場の値付けは根拠にしない。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.135 倍・時価総額 100 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:節約志向と競合の価格攻勢で、利益がほぼ消える筋書き。半期ごとの下方修正が続く現状から、24%と中立に近い厚みで置いた。
悲観 10% 構造的に負ける:客離れと減損で、赤字が続く 利益 −20 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 99 円40 億円
客離れが止まらず、店は120店まで減る。1店あたりの実質売上は25%細り、値引きで客を呼んでも利益が出ない。閉店のたびに減損が出て、撤去の費用がかかる。
営業利益率はマイナス0.8%まで落ちる。営業収益は1,992億円、営業利益は16億円の赤字、純損益は20億円の赤字になる。人件費と光熱費は物価以上に上がり、価格に転嫁できない。
配当は急減し、ほぼ出なくなる。自己資本は631億円まで細る。それでも会社は存続し、店舗の土地と建物、投資有価証券が株主の価値を下支えする。配当の原資は、閉店した店舗の売却でつくる。最後の10年は、立て直しではなく、縮小均衡を探る期間になる。
- スーパーマーケット(食品スーパー・スーパーセンター):数量 120(店舗数(店))× 価格 17(1店舗あたりの営業収益(億円・名目))→ 売上 1,992 億円・営業利益 −16 億円。店舗は120店。1店あたりの実質売上は25%減。赤字
倍率:稼ぐ力はなく、事業の赤字が続く。値は、売れる資産の床(約40億円、今の自己資本の約0.05倍)で置いた。閉店と投げ売りで固定資産の回収が悪く、保守的に見た。市場の値付けは根拠にしない。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.054 倍・時価総額 40 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:客数の減少が止まらず、店が大きく減って赤字が続く構造的な負けの姿。現金と資産が下支えするので10%を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
スーパーマーケット(食品スーパー・スーパーセンター)
和歌山・奈良・三重・大阪・岐阜・愛知・静岡で153店を運営し、食品と日用品を売る。外食やテナント収入も営業収益に含める。
| 数量店舗数(店) | 価格1店舗あたりの営業収益(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 153 | 17 | 2,527 | 19 |
| 10 年後 中立 | 150 | 21 | 3,087 | 37 |
取り方:連結営業収益2,526.6億円と営業利益18.8億円は2026年2月期の決算による。店舗数153店(2025年8月の開示)で割って1店あたり約16.5億円とした。外食(14億円)とテナント収入も営業収益に含め、利益も分けない。物価3%の分は価格に入れ、客数の減少による実質の細りも価格の側で表す。
リスクと懸念
利益が出ない構造と半期ごとの下方修正
営業利益率は過去10年で0.5〜1.3%(コロナ期のみ2.8%)にとどまる。2027年2月期は営業利益を21億円から13億円へ、純利益を6.5億円から0.5億円へ下方修正した。上期は営業赤字だった。
客数・買上点数の減少
既存店の客数は2.6%減、買上点数は2.2%減(2025年上期)。売上は客単価の上昇で支えているが、実質では細る。節約志向が強まれば、客は安い店へ移る。
中期計画の目標取り下げ
もとの中期計画は2027年2月期に営業利益70億円を掲げたが、2026年4月に目標数値を取り下げた。経営の見通しが実績と離れ、会社の計画を前提に価値を置くと大きく外れる。
固定費と設備投資の重さ
減価償却は年64億円、設備投資は年58億円。稼ぎの多くが店の維持に消える。人件費と光熱費は物価以上に増え、価格に転嫁しきれない。減損損失は2026年2月期で11億円出た。
配当・自社株買いが利益を上回る
配当は年約10.6億円で、純利益2.6億円を大きく上回る。自社株買いも10億円実行した。借入と減価償却で賄っており、純有利子負債は108億円。方針を守れば財務が細り、守らなければ株主還元への信頼が揺らぐ。
地方の人口減と競合
和歌山・奈良・三重など人口減の地域が中心だ。イオンや平和堂、ドラッグストア、ディスカウントストアが、近くで食品を安く売る。店の数を維持するだけで精一杯になる。
統合・TOBの可能性と少数株主の位置
地方チェーンの再編が進む領域で、TOBの可能性は当サイトの参考値で10年以内に2割ほどある。資産の価値は売って初めて現金になり、経営が売る意思を示さない限り、少数株主は取り出せない。
今後の分かれ目
- 既存店の客数が前の年を上回り、2期続けて回復する
- 客数の減少に歯止めがかかった証拠になる。楽観・やや楽観の確率を上げる。
- 営業利益率が2%を超えて定着する
- 業態再構築が実った証拠になる。中立の営業利益率を引き上げる。
- 新しい中期経営計画で、具体的な数値目標と店舗の整理方針が示される
- 経営の方向が見える。内容に応じて筋書きの確率を見直す。
- 営業赤字が通期で続く、または減損が15億円を超える
- 構造的な負けに近づく合図になる。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 配当を利益に合わせて減らす、または店舗・不動産の売却方針を示す
- 財務の安全度が上がる。売却の額によって、資産の評価を見直す。
- 他社による統合の提案やTOBが出る
- 値段が提示価格に寄る。内容次第で価値の見方を見直す。
見ておくもの
- 既存店の売上・客数・買上点数・客単価
- 荒利益率と営業利益率
- 減損損失と店舗数(出店・閉店)
- 新しい中期経営計画の数値目標
- 配当と自社株買い、純有利子負債
- 地方チェーンの統合の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価やPERを見ず、事業のROEが資本コスト8.0%(基本7.5%に循環-0.25・値決め+0.25・借金+0.25・寿命+0.25)を全筋書きで下回ることから、PERの上限1÷k=12.5倍のうち稼ぐ力の弱さを見て7〜9割に置いた。やや悲観と悲観は、稼ぐ力ではなく、固定資産とその他の資産を売り負債を引いた床で置いた。今の時価総額は約318億円だが、純資産743億円の半分以下という見かけの割安は、ROEが1%台という稼ぎの弱さの裏返しとみて根拠にしていない。純現金ではなく純有利子負債108億円で、余った現金は足していない。実行済みの自社株買い10億円は株数に反映済みで、起点と還元の両方に入れていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.5 倍・やや楽観 PER 10→12.5 倍・中立 PER 9→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality+0.5%(循環-0.25・値決め+0.25・借金+0.25・寿命+0.25)を足してk 8.0%。