結論
ハークスレイは、ほっかほっか亭の運営会社として知られるが、稼ぎの中身はもう弁当屋ではない。2026 年 3 月期の営業利益 31 億円のうち、店舗の転貸と不動産の売却を担う部門が 22 億円を占める。弁当そのものは 3 億円だ。
筆者の結論は、今の値段はほぼ適正で、割安とは言い切れない、というものだ。時価総額は純資産の半分と安く見える。だが有利子負債は 315 億円あり、金利が上がる 10 年では利払いが利益を削る。
追い風は二つある。店舗を借りて貸す事業は稼働店が 1,030 まで増え、毎月の収入が積み上がる。食品加工は買収で売上が 237 億円まで育った。
逆風は借金と金利だ。純有利子負債は営業利益の 6 倍を超え、借り換えのたびに金利が上がる。弁当は節約志向で客数が伸びず、買収ののれん償却も重い。
10 年で見る中立は、営業利益が 40 億円ほどに伸び、純利益が 20 億円強になる姿だ。借金を返しながら配当を増やすので、普通株主の取り分は薄い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「見た目の安さ」に注意が要る。
時価総額は純資産の半分で、純利益に対する倍率も一桁だ。だがこれは、借金と不動産の入った貸借対照表を、株価がすでに織り込んでいる姿だ。利益は営業利益の半分も株主に届かない。
良い点は、店舗の転貸という地味だが粘る事業があることだ。毎月の収入が積み上がり、看板の信用が出店者を呼ぶ。含み益のある不動産も持つ。
心配な点は、借り入れで買収を重ねる経営だ。のれんは回収できるとは限らず、金利が上がれば利払いが利益を削る。
筆者は、10 年の中立の価値が今の時価総額とほぼ重なると見る。買収の成果が出れば上振れ、借金が重荷になれば下振れる。確実に安いと言える材料は少ない。
払う値段に安全域があるかを問えば、不動産の含み益と純資産の厚みが下値を支える。ただしそれは売却して初めて手にできる価値だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は三つある。ほっかほっか亭の「中食」、店舗を借りて貸す「店舗アセット&ソリューション」、買収で育てた「物流・食品加工」だ。
中食は、直営店とフランチャイズの本部を担う。店は全国で 700 前後と推計され、前期の売上は 144 億円ほど、利益は 3.2 億円だった。原材料と包材の値上げを価格に乗せたが、節約志向で客足は戻りきっていない。
店舗アセットは、稼ぎの中心だ。飲食店や小売店のために物件を借り、転貸して管理する。稼働店舗は 1,030 に増え、売上は 143 億円、利益は 22 億円だった。自社で持つ不動産に手を入れて売る事業もあり、前期は 2 棟を売った。
物流・食品加工は、2024 年に買ったホソヤコーポレーションが加わり、売上が 237 億円まで増えた。中華惣菜や落花生など、食品の製造と物流を担う。利益は 8 億円で、のれんの償却が重い。2026 年 3 月には植物工場でレタスをつくるJリーフも傘下に入れた。
どの部門も国内の食と暮らしに根ざし、景気の波には比較的強い。ただし三つの事業は、人手と家賃、金利という同じ費用の重しを共有している。
優良さと弱いところ
優良さを分けるのは、転貸の網の粘り強さと、借金の重さだ。
強みは、店舗アセットのストック収入にある。借りた店を貸す契約は、毎月の収入が積み上がり、景気の波に強い。ほっかほっか亭の看板を持つ会社だから、出店者への信用力も高い。賃貸等不動産の時価は簿価を 4 割近く上回る。
弱みは三つある。一つめは借金で、有利子負債は 315 億円、利益の 3.6 年分を超える。二つめは利益の質だ。不動産の売却益が毎年出るわけではなく、前期の好調は一部がその上振れだった。三つめは買収で、のれんの償却が続き、本業の利益を覆い隠す。
経営は、買収で事業の組み替えを進める攻めの姿勢だ。配当は増やす方針を掲げ、5 期続けて増配した。ただし資本は買収に回り、普通株主への還元は控えめだ。
筆者は、買収の実行力は評価できるが、のれんの回収には時間がかかると見ている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
この会社が戦う場は、三つに分かれる。
中食の市場は、弁当の宅配とコンビニに挟まれて競争が激しい。ほっかほっか亭は注文を受けてから店で炊き、揚げる強みがあるが、店の人手と家賃が重い。人口が減る国内で、客数は伸びにくい。値上げで客単価を上げる局面が続く。
店舗の不動産は、出店の需要が底堅い。外食やドラッグストアの出店が続き、飲食店の居抜きの転貸にも需要がある。ただし建築費と金利が上がると、新しく貸せる物件の利回りは薄くなる。物件を高く売れる局面は、金利の上昇で終わりに近づく。
食品加工は、人手不足と物流費の上昇で、外部に任せる流れが強い。ホソヤのような中堅の工場は、価格を物価に合わせて上げられるかが勝負になる。ただし大手食品メーカーの下請けの性格が強く、値上げの交渉力は大きくない。
10 年を通じて、人口は減るが外食と中食の消費は名目で伸びる。選別が進み、店舗網と物流の効率で勝つ会社だけが利益を伸ばす。
この会社は、三つの市場のどこでも首位ではない。だから規模の力で勝つのでなく、物件・店・工場を組み合わせた運営の効率で稼ぐ形になる。
資本政策と M&A
資本政策の軸は、買収への投資と、配当を減らさない約束だ。
中期計画は 2028 年 3 月期までに、買収に 120 億円、設備に 58 億円を投じる。純利益は 25 億円、自己資本利益率は 8.3% を目標にする。実現すれば、買収が稼ぎを押し上げる。
配当は前期が総額 5 億円強で、今期は 6 億円弱を見込む。配当性向は 35% 前後で、減らさず増やす方針を掲げる。自社株買いは「機動的に」とされるが、予定はない。
借金は 315 億円で、現金は 124 億円。買収を借入で賄うと、金利の上昇が直撃する。株主優待は、300 株以上でクオカードを年 1 回出す。費用は年 1 億円に届かず、還元の額としては小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ハークスレイは、不動産と食品加工を持つ会社に変わった。店舗アセットは稼働店が 1,030 に増え、毎月の収入が積み上がる。前期の利益 22 億円は、中期計画の線を超える。
食品加工は、ホソヤの通年の寄与で売上が 237 億円に育った。のれんの償却が終わる数年後には、利益が大きく伸びる。物流の人手不足は、外注の流れを強め、受託の価格を上げやすくする。
時価総額は純資産の半分で、賃貸等不動産の含み益 50 億円を足せば、さらに安い。配当は 5 期続けて増え、利回りは 4% を超える。
中期計画の純利益 25 億円が実現すれば、今の値段は 5 倍にも届かない。買収を重ねた経営の実行力は、すでに数字になっている。
店舗の稼働が増えるほど、毎月の収入は安定し、借金の返済も進む。看板の信用が、新しい出店者を呼び込む。金利が上がっても、転貸料は家賃の上昇とともに改定できる。
看板のあるほっかほっか亭が、出店者の信用を支える土台になる。
慎重な見方
利益の質は見かけより弱い。前期の営業利益 31 億円には、不動産の売却益が含まれる。売却は毎年あるものではなく、金利が上がれば高く売れる局面も終わる。
借金は 315 億円で、現金を引いても純 191 億円ある。10 年のうちに借り換えが進めば、利払いは今の倍以上になる。純利益は営業利益の半分に届かず、株主の取り分は小さい。
弁当は人手と家賃が重く、利益は 3 億円しかない。節約志向で客数が戻らず、値上げにも限りがある。
買収は成否が見えにくい。ホソヤののれん償却は利益を圧迫し、中期計画の買収 120 億円が借入で賄われれば、財務はさらに重くなる。配当を増やす約束は、借金の返済と両立しない。
賃貸等不動産の含み益は、売らなければ手に入らない。売却益を毎年の利益に数えれば、事業の実力を高く見誤る。経営陣が自社で持つ不動産を売って利益を作る姿勢は、株主にとって好ましいとは限らない。
金利が上がる 10 年は、借金で買収を重ねた会社に最も厳しい。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分は、店舗アセットのストック収入と、含み益のある不動産に支えられている。慎重な言い分は、借金と金利の上昇、利益の質に支えられている。
金利が上がる 10 年では、借金の重さが効くと見て、確率は中立に厚く、やや悲観を楽観と同程度に置いた。悲観は不動産の売却益が消え、店舗の空きが増える形で 1 割にした。
結論は、強気にも慎重にも倒れず、ほぼ適正に落ち着く。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,216 円225 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 310 円57 億円)。 今の値に割り戻すと 759 円140 億円、今との差 +11.9%、 期待の年率 +8.5%(資本コスト 8.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,229 円412 億円 | 465 円86 億円 | +297.3% | +14.8% | 215 円40 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,731 円320 億円 | 379 円70 億円 | +211.1% | +12.0% | 422 円78 億円 |
| 中立 | 40% | 1,376 円255 億円 | 324 円60 億円 | +150.9% | +9.6% | 680 円126 億円 |
| やや悲観 | 22% | 476 円88 億円 | 243 円45 億円 | +6.1% | +0.6% | 158 円29 億円 |
| 悲観 | 10% | 365 円68 億円 | 135 円25 億円 | −26.2% | −3.0% | 50 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,216 円225 億円 | 310 円57 億円 | +125.1% | +8.5% | 1,526 円282 億円 |
今の株価時価総額 678 円125 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 店舗網と食品加工が育ち、買収が実を結ぶ 利益 34 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,229 円412 億円
店舗アセットは稼働店が 1,250 まで増え、毎月の収入が積み上がる。家賃の上昇を転貸料に乗せ、1 店あたり売上は物価並みに伸びる。
食品加工は買収が当たり、取扱規模が 1.45 倍になる。のれんの償却が終わり、利益率は 4.5% に戻る。中食は新規出店が続き、利益は黒字を保つ。
営業利益は 60 億円、純利益は 34 億円。借金は返済が進み、利払いは 8 億円にとどまる。自己資本利益率は 8% を超え、配当は 3 割強を保つ。
不動産の売却益は毎年は出ない前提で、保有物件の賃料収入が土台になる。
- 中食(ほっかほっか亭):数量 750(店舗数(店・推計))× 価格 2,798(1 店あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 210 億円・営業利益 8 億円。店 750、1 店 1.36 倍
- 店舗アセット&ソリューション:数量 1,250(稼働店舗数(店))× 価格 1,888(1 店あたりの年間売上(万円・名目。転貸料と不動産売却を含む))→ 売上 236 億円・営業利益 35 億円。店 1,250、1 店 1.36 倍
- 物流・食品加工:数量 344(取扱規模(今の値段で換算した売上・億円。買収の積み増しを含む))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 460 億円・営業利益 21 億円。規模 1.45 倍、価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 34 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 412 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店舗の稼働増、食品加工の黒字化、金利の上昇の小ささが重なる必要がある。借金の重さから 1 割に届かない 8% に置いた。
やや楽観 20% 転貸のストックが積み上がり、利益は 50 億円規模へ 利益 26 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,731 円320 億円
店舗アセットの稼働店は 1,190 に増え、利益率は 14% を保つ。食品加工は買収の効果が出て、取扱規模が 3 割増える。
中食は店の入れ替えで黒字を守るが、利益は小さい。借金は買収のために増え、利払いは 8.5 億円になる。
営業利益は 49 億円、純利益は 26 億円。自己資本利益率は 7% に届かず、配当性向は 3 割台を保つ。
金利の上昇が借入の重さを増しても、転貸の収入が支える。不動産の売却は小さな案件にとどまる。
中期計画の純利益 25 億円には届かないが、今の水準よりは確かに増える姿だ。
- 中食(ほっかほっか亭):数量 720(店舗数(店・推計))× 価格 2,756(1 店あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 198 億円・営業利益 7 億円。店 720、1 店 1.34 倍
- 店舗アセット&ソリューション:数量 1,190(稼働店舗数(店))× 価格 1,832(1 店あたりの年間売上(万円・名目。転貸料と不動産売却を含む))→ 売上 218 億円・営業利益 31 億円。店 1,190、1 店 1.32 倍
- 物流・食品加工:数量 308(取扱規模(今の値段で換算した売上・億円。買収の積み増しを含む))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 413 億円・営業利益 17 億円。規模 1.30 倍、価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 320 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の改善が続く姿。借金の重さと金利の上昇があり、確率は中立より薄く置いた。
中立 40% 中立:転貸が支え、利払いが利益を削る 利益 21 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,376 円255 億円
店舗アセットの稼働店は 1,150 に増え、1 店あたり売上は物価の 1.34 倍に届かない 1.30 倍になる。建築費と金利が上がり、不動産の売却益は今より減る。利益率は 13% とした。
食品加工は買収で規模が 2 割増え、価格は 1.32 倍。のれんの償却が減り、利益率は 3.6% に戻る。
中食は店が 700 のまま、利益率は 2.8% にとどまる。
営業利益は 41 億円、純利益は 21 億円。借り換えで利払いが年 9 億円に増える。自己資本利益率は 5% 台、配当性向は 3 割台で、現金は積み上がらない。
- 中食(ほっかほっか亭):数量 700(店舗数(店・推計))× 価格 2,674(1 店あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 187 億円・営業利益 5 億円。店 700、1 店 1.30 倍。価格転嫁が物価に届かない
- 店舗アセット&ソリューション:数量 1,150(稼働店舗数(店))× 価格 1,804(1 店あたりの年間売上(万円・名目。転貸料と不動産売却を含む))→ 売上 208 億円・営業利益 27 億円。店 1,150、1 店 1.30 倍。売却益は今より小さい
- 物流・食品加工:数量 284(取扱規模(今の値段で換算した売上・億円。買収の積み増しを含む))× 価格 1.32(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 375 億円・営業利益 14 億円。規模 1.2 倍、価格 1.32 倍
倍率:事業の純利益 21 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 254 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店舗のストック収入と食品加工の拡大が、金利の上昇と弁当の苦戦を打ち消す。最も起こりやすい形として最も厚く置いた。
やや悲観 22% 金利と人件費が重く、利益は今を割る 利益 11 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 476 円88 億円
店舗アセットは出店者の廃業で稼働店が 1,060 に縮み、不動産の売却益はほとんど出ない。利益率は 11% に下がる。
食品加工は人件費の上昇を価格に乗せきれず、利益率は 2.8% にとどまる。中食は店を 620 に減らし、赤字に近づく。
営業利益は 26 億円と今を割る。利払いが 9 億円を超え、純利益は 11 億円まで細る。
配当は維持するが増配は止まり、買収も止まる。店舗の減損が出て、自己資本の伸びも鈍る。
中食の客数は戻らず、弁当の値上げは限界に近づく。食品加工の外注先は価格の引き下げを迫り、買収した工場の稼働も上がらない。
借金の返済を優先するため、成長の投資は絞られ、株主への還元も増えない。
- 中食(ほっかほっか亭):数量 620(店舗数(店・推計))× 価格 2,571(1 店あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 159 億円・営業利益 2 億円。店 620、1 店 1.25 倍
- 店舗アセット&ソリューション:数量 1,060(稼働店舗数(店))× 価格 1,693(1 店あたりの年間売上(万円・名目。転貸料と不動産売却を含む))→ 売上 180 億円・営業利益 20 億円。店 1,060、1 店 1.22 倍
- 物流・食品加工:数量 249(取扱規模(今の値段で換算した売上・億円。買収の積み増しを含む))× 価格 1.25(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 311 億円・営業利益 9 億円。規模 1.05 倍、価格 1.25 倍
倍率:ROE 3.2% が k 8.25% 以下なので PER は 1÷k=11.4 倍まで。稼ぐ力が細り、借金の重さも残るので、上限の約 70% の 8.0 倍に置く。
確率:借り換えで金利が上がり、弁当と食品加工が価格に転嫁できない姿。借金の重さから 2 割強に置いた。
悲観 10% 悲観:金利と空き店舗で転貸が傷み、借金が重荷になる 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 365 円68 億円
外食と小売の出店者の廃業が続き、転貸の稼働店は 900 まで減る。不動産の市況も悪化し、売却益は消えて保有物件の評価損が出る。
食品加工は買収したのれんを減損し、取扱規模は縮む。中食は不採算の店を畳み、赤字になる。借り換えに応じる銀行が減り、条件は厳しくなる。
営業利益は 10 億円まで落ち、利払い 9.5 億円を払うと、純利益はほぼ消える。
配当は減り、買収も止まる。再建には物件の売却が要り、株主の取り分は不動産の売却額から借入を引いた残りに近づく。
株主優待や配当は縮み、公開買付けの標的になる可能性も残る。
- 中食(ほっかほっか亭):数量 480(店舗数(店・推計))× 価格 2,366(1 店あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 114 億円・営業利益 0 億円。店 480、1 店 1.15 倍
- 店舗アセット&ソリューション:数量 900(稼働店舗数(店))× 価格 1,527(1 店あたりの年間売上(万円・名目。転貸料と不動産売却を含む))→ 売上 137 億円・営業利益 11 億円。店 900、1 店 1.10 倍
- 物流・食品加工:数量 225(取扱規模(今の値段で換算した売上・億円。買収の積み増しを含む))× 価格 1.10(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 248 億円・営業利益 4 億円。規模 0.95 倍、価格 1.10 倍
倍率:床の資産で値を付けた。純現金はマイナスだが、賃貸等不動産の時価 192 億円と棚卸資産の一部を売って借入を返すと 70 億円ほど残る。自己資本 241 億円に対する PBR は 0.28 倍。稼ぐ力(0.6 億円 ÷ k)はこれより低いので、床の資産で置く。EV(時価総額+純有利子負債)で見ると営業利益の 24 倍と高いが、利益でなく不動産の売却額で価値を置くので、利益の倍率では測らない。
確率:景気の悪化で出店者が退き、不動産の売却益が消え、借り換えで金利も上がる構造的な負け筋。借金の重さで株主の傷は深く、1 割に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
中食(ほっかほっか亭)
ほっかほっか亭の直営店とフランチャイズ本部。注文を受けてから店で調理する弁当を売る。
| 数量店舗数(店・推計) | 価格1 店あたりの年間売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 700 | 2,057 | 144 | 3 |
| 10 年後 中立 | 700 | 2,674 | 187 | 5 |
取り方:店舗数はほっかほっか亭総本部と直営・FC を合わせた 700 前後(会社特集の記載)の推計。売上は連結 524 億円から、店舗アセット 143 億円と物流・食品加工 237 億円を引いた残りの 144 億円で、セグメントの売上は開示の増減と合わせた推定。利益は決算説明の 3.2 億円(前期は赤字 0.7 億円)。価格は売上を店数で割った 1 店あたり 2,057 万円。
店舗アセット&ソリューション
飲食店・小売店の物件を借りて転貸し、管理する。自社保有の不動産に手を入れて売る事業を含む。
| 数量稼働店舗数(店) | 価格1 店あたりの年間売上(万円・名目。転貸料と不動産売却を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,030 | 1,388 | 143 | 22 |
| 10 年後 中立 | 1,150 | 1,804 | 208 | 27 |
取り方:稼働店舗数は決算補足説明の 1,030 店。売上 143 億円・利益 22 億円は決算説明会の開示。価格は売上を稼働店で割った 1,388 万円で、2 棟の不動産売却の売上を含む。売却益は毎年は続かないので、中立は利益率を今より下げて置く。
物流・食品加工
中華惣菜・ピーナッツ・乾物などの製造と、食品物流。買収で積み上げた事業。
| 数量取扱規模(今の値段で換算した売上・億円。買収の積み増しを含む) | 価格値段の指数(今 = 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 237 | 1.00 | 237 | 8 |
| 10 年後 中立 | 284 | 1.32 | 375 | 14 |
取り方:売上 237 億円・利益 8 億円は決算説明会の開示(のれん償却後)。取扱量が品目ごとに開示されないため、今の売上を実質の規模とし、買収による拡大もここに入れた推定。物価の分は価格の指数に入れる。
リスクと懸念
金利の上昇で利払いが利益を削る
有利子負債は 315 億円で、借り換えのたびに金利が上がる。10 年で 3.5% に近づけば、利払いは今の 3 倍近くになり、営業利益の 2 割を食う。買収を借入で賄うと、さらに重くなる。
不動産の売却益が続かない
前期の利益の上振れは、不動産 2 棟の売却が主因だった。売却益は市況で大きく変わる。金利が上がると買い手の利回りが厳しくなり、売却益が出る局面は狭まる。
買収ののれんの減損
ホソヤコーポレーションなどの買収で、のれんの償却が続く。収益が計画を下回れば減損になり、自己資本と利益を同時に削る。中期計画は 120 億円の買収を見込み、規模はさらに増える。
弁当の客数と人手
ほっかほっか亭は注文を受けてから調理するため、人手と家賃が重い。節約志向で客数が伸びず、値上げで客離れが出れば、3 億円の利益は赤字に戻る。
出店者の廃業と空き店舗
転貸の収入は、店舗を借りる出店者の経営が支える。外食や小売の廃業が増えると、借りた物件の家賃だけが残る。解約できない家賃の約束は、固定費として重くのしかかる。
食の安全と食品事故
食品の製造と宅配を抱えるため、異物混入や食中毒が起きれば、営業停止と評判の悪化につながる。工場の集約が進むほど、1 か所の事故の影響は大きい。
今後の分かれ目
- 不動産の売却益が減り、店舗アセットの利益が 18 億円を割る
- やや悲観の確率を上げる。10 年の利益の土台が弱まる。
- 純有利子負債が営業利益の 5 倍を下回る
- 財務の不安が和らぐ。楽観側の確率を上げる。
- ホソヤなどの買収でのれんの減損が出る
- 買収の成果への信頼が下がる。やや悲観の確率を上げる。
- 稼働店舗数が 1,200 を超えて増え続ける
- ストック収入が積み上がる。楽観側の確率を上げる。
- 金利が想定より早く上がり、借り換えの金利が 4% を超える
- 純利益が大きく削られる。悲観側の確率を上げる。
- 経営陣が自己株式の取得や上場廃止を伴う再編に動く
- 公開買付けの値付けは本質価値と別の話になる。提示価格と純資産の差を見て判断する。
見ておくもの
- 店舗アセットの稼働店舗数と不動産の売却件数
- 純有利子負債と利払いの推移
- 物流・食品加工の利益率とのれん償却額
- ほっかほっか亭の既存店売上と出店数
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。k 8.25%(quality +1.25)、g 4%、堀は普通。中立の ROE は 5.6% で k 以下なので PER の上限は 1÷k の 11.4 倍。借金の重さから 9.5 倍とした。今の株価や PER は見ていない。店舗の転貸は借りた物件の家賃を費用に入れた形で、新リース会計基準(2028 年 3 月期から)で数字の形が変わるが、本質価値は今の形でそろえて置いている。賃貸等不動産の含み益は売却益が利益に入るため、別に足していない。株主優待は年 1 億円未満で、還元には足さない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.12 倍・やや楽観 PER 10.5→12.12 倍・中立 PER 9.5→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。