結論
アップガレージグループは、中古のカー用品とバイク用品を買い取って売る専門店チェーンだ。直営店とフランチャイズ(加盟店)で国内に約 270 店を持つ。売上は 154 億円で、上場以来 5 期続けて過去最高を更新した。
筆者の結論は、今の値段は割安、というものだ。車好きの買取と販売という狭い市場で、店舗網と買取の集客力という小さな堀を持つ。自己資本利益率は 15% 前後、自己資本比率は 7 割で、借入はなく現金が 20 億円ある。
追い風は、出店の継続とロイヤリティ率の引き上げだ。2027 年 3 月期は営業利益 14 億円の予想で、会社は 2029 年 3 月期に 22.8 億円を目標に置く。
逆風は、フリマアプリへの買取の流出と、車離れ・電気自動車化による市場の細りだ。筆者は、10 年の中立は店舗が 1.5 倍に増え、営業利益が 23 億円になる姿と見る。株式の 7 割を持つ支配株主がいる点は、少数株主にとって不確実さが残る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「小さな堀を持つ、資本の軽いフランチャイズ」だ。
店頭買取という集客力と、ロイヤリティの積み上げが組み合わさり、自己資本利益率は 15% 前後を保つ。借入がなく、現金が 20 億円ある財務も堅い。
心配な点は、堀が深くないことだ。フリマアプリに品が流れれば店の仕入れが細る。市場は車好きに限られ、車離れと電気自動車化で細る方向にある。また、株式の 7 割を持つ会社がいる。少数株主の利益が常に最優先とは限らない。
筆者は、10 年の中立の価値は今の時価総額の 1 倍台と見る。出店が続けば利益は物価を超えて伸びる。ただ、500 店で出店余地が尽きれば、その後の成長は物価並みになる。
払う値段に安全域があるかを問えば、悲観でも純現金と在庫が床になる点は心強い。経営が増配を続ける姿勢も、オーナーとして評価できる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、中古品の買取と販売の差益に、フランチャイズ加盟店から入るロイヤリティを重ねた形だ。
「アップガレージ」は、中古のカー用品、タイヤ・ホイール、バイクパーツ、工具を、店頭で買い取って売る。直営店と加盟店で 250 店を超え(2025 年 1 月)、2026 年 3 月期は直営 10 店、加盟 8 店、自転車専門店 1 店、米国 1 店を出した。今期も計 21 店の出店を計画する。
売上の約 6 割がリユース業態で、前期は 12.8% 増えた。残り約 4 割は、タイヤ流通センターの加盟店への卸や、ネクスリンクのタイヤ・ホイールの卸売などの流通卸売業態で、6.6% 増えた。法人からの買取は 2.7 倍に伸びた。
2026 年 3 月期の営業利益は 11 億円で、利益率は 7.2% と前期よりやや下がった。出店に伴う設備投資と家賃、人への投資が先行したためだ。一方でロイヤリティ率は 3% から 3.8% に引き上げ、新しい値付けシステムで粗利率は改善した。
人材紹介(BoonBoonJob)など周辺の事業もあるが、収益の柱ではない。
優良さと弱いところ
優良さを分けるのは、買取の仕入れ力と、加盟店網の広さだ。
中古品は、買い取れなければ売るものがない。ユーザーが売る時に思い浮かぶ店であることが、この会社の集客力であり、堀だ。タイヤ・ホイールやカスタムパーツのように、店が目利きを要する品は、フリマアプリより店頭が向く。法人買取の拡大も、仕入れの太さを表す。
加盟店は、家賃や人件費を加盟店自身が持つため、本部の資本は軽くて済む。ロイヤリティが積み上がる構造は、自己資本利益率が 15% 前後と高い理由の一つだ。
弱みは三つある。一つは市場の天井で、車離れと電気自動車化でガソリン車向けの部品は細る。二つは支配株主で、E&E が株式の約 71% を持ち、流通する株は少ない。三つは店舗の家賃で、売上が落ちても払い続ける固定の約束になる。
経営は、増配を続ける方針を掲げ、2029 年 3 月期に自己資本利益率 20%・配当性向 40% を目標とする。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のリユース市場は 2024 年に約 3.3 兆円、15 年連続で拡大している。環境省は 2030 年に 4.6 兆円を目指す。
その中で、中古のカー用品・バイク用品は車好きが支える狭い市場だ。国内の自動車保有台数は人口の減少で横ばいから微減になり、若い層の車離れも続く。ただ、保有車の平均車齢が伸びるほど、タイヤ・ホイール・補修部品の需要は残りやすい。
競合は三つある。一つは、フリマアプリ(メルカリ、ヤフオク)で、個人間の取引に品が流れる。二つは、オートバックスやイエローハットのような新品中心の専門店で、中古の品も扱い始めた。三つは、地域の中古パーツ店とタイヤ専門店だ。
電気自動車が増えれば、エンジン周りの部品は需要が減るが、消耗品のタイヤは電気自動車でも交換が要る。ホイール・タイヤ・カスタムの外装は残る。10 年で、数量は店舗網の拡大で伸び、価格は中古相場が物価に連れて上がる。ただ、国内の出店余地は 500 店ほどで尽きる。会社が国内 500 店体制を掲げるのも、その天井を見ているからだ。
資本政策と M&A
資本政策の軸は、増配と出店への投資だ。
配当は 2026 年 3 月期に純利益の約 37% を払い、2027 年 3 月期は 16% の増配を予想する。上場以来、増配を続ける方針で、配当性向は 4 割を目標に置く。自社株買いの実績は目立たない。
純現金は 20 億円あり、借入がない。出店や買取の仕入れ資金に使いながら、余った分が積み上がる。支配株主の E&E は約 71% を持つ。流通する株が少ないので、経営は配当で株主に報いる形になりやすい。
株主優待は、100 株以上で商品券が贈られ、300 株以上を 1 年以上持つと額が 3 倍になる。費用は年 0.5 億円ほどと推定する。
2012 年に経営陣による買収で一度上場を廃止し、2021 年に再上場した経緯がある。米国には 2024 年に 1 号店を出し、3 号店も準備している。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
出店が続く限り、営業利益は伸び続ける。会社は 2029 年 3 月期に売上 207 億円・営業利益 22.8 億円、2035〜2040 年に営業利益 100 億円・時価総額 1,000 億円を目指す。国内 500 店体制を見据え、2027 年 3 月期も 21 店を出す。
ロイヤリティ率を 3% から 3.8% に引き上げ、新しい値付けシステムで粗利率も改善した。営業利益率は 2027 年 3 月期に 8.2%、2028 年 3 月期に 10% の予想がある。法人買取は 2.7 倍に伸び、仕入れの太さを示す。
経営の資本の使い方も株主向きだ。上場以来の連続増配を続け、借入はない。自己資本利益率は 15% を超え、2029 年 3 月期には 20% を目指す。
米国の出店も始まり、バイクとカスタム文化が強い市場で新しい数量が生まれる。タイヤ・ホイールの卸売は、加盟店網の拡大とともに伸びる。
車の平均車齢が伸びる国で、中古の補修部品とタイヤの需要は長く残る。
慎重な見方
市場が細る中で、出店で売上を作っている会社だ。国内の自動車保有台数は人口の減少で伸びず、車離れが続く。電気自動車が増えれば、エンジン周りの部品の需要は消える。
買取は、メルカリやヤフオクのようなフリマアプリに流れやすい。個人が自分で売れば、店の手数料を省ける。仕入れが細れば、店の差益も薄くなる。
2026 年 3 月期は、売上が 10% 増えても営業利益は 5.7% しか増えず、営業利益率は 7.2% に下がった。出店の設備投資と家賃、人件費が先行した。店舗の家賃は売上が落ちても払う固定費で、既存店が弱ると利益率が一気に下がる。
ロイヤリティ率の引き上げ(3% から 3.8%)は、加盟店の不満と離反につながりかねない。株式の 71% を持つ E&E が、配当や資金の使い道で少数株主と異なる判断をする可能性もある。
会社の中計の営業利益 22.8 億円は 3 年後の目標で、10 年の姿としては楽観の域にある。
どちらに重みを置いたか
強気の言い分は、出店の計画、ロイヤリティ率の引き上げ、増配方針に支えられ、数字の裏づけがある。慎重な言い分は、市場の天井と車離れ、フリマアプリの流出、支配株主の存在に支えられる。
堀は深くないが、資本の軽い構造と純現金が安全域を作る。中立は店舗 1.5 倍・営業利益 23 億円で、会社の目標をやや下回る水準に置いた。やや悲観と悲観を合わせて 3 割強とし、市場の天井を織り込んだ。
結論は、今の値段は 10 年の中立の稼ぐ力に比べて割安、というものだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,869 円307 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 607 円48 億円)。 今の値に割り戻すと 2,300 円182 億円、今との差 +63.8%、 期待の年率 +12.3%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 7,242 円574 億円 | 921 円73 億円 | +481.4% | +19.2% | 816 円65 億円 |
| やや楽観 | 25% | 5,480 円434 億円 | 770 円61 億円 | +345.2% | +16.1% | 1,562 円124 億円 |
| 中立 | 34% | 4,349 円345 億円 | 669 円53 億円 | +257.4% | +13.6% | 1,706 円135 億円 |
| やや悲観 | 21% | 1,242 円98 億円 | 401 円32 億円 | +17.0% | +1.6% | 345 円27 億円 |
| 悲観 | 10% | 353 円28 億円 | 107 円9 億円 | −67.2% | −10.5% | 46 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,869 円307 億円 | 607 円48 億円 | +218.8% | +12.3% | 4,476 円355 億円 |
今の株価時価総額 1,404 円111 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 楽観:500 店体制に近づき、営業利益は 37 億円 利益 26 億円 · PER 21.3 倍 · 株価時価総額 7,242 円574 億円
出店が進み、国内は 500 店体制に近づく。店舗の売上規模は実質で 2.1 倍、価格は物価に連れて 1.34 倍に上がる。買取の強化で仕入れが安定し、粗利率も改善する。
営業利益率はリユース業態で 12.5% まで上がる。会社の 2029 年 3 月期の計画(営業利益 22.8 億円)を超える水準が、10 年の間に続く姿だ。
売上は 375 億円、営業利益は 37 億円、純利益は 26 億円。配当は 4 割を保つ。
米国の店も軌道に乗れば、さらに上振れる。それでも中古のカー用品は車好きの需要に支えられた市場で、規模には天井がある。
- リユース業態(直営店・フランチャイズ):数量 194(リユース店舗の売上規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 260 億円・営業利益 33 億円。店舗規模 2.1 倍、価格 1.34 倍
- 流通・卸売業態:数量 86.1(卸売の売上規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 115 億円・営業利益 9 億円。卸売規模 1.4 倍、価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 23.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 21.27 倍、時価総額 558 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店が計画どおり進み、フランチャイズのロイヤリティと粗利率の改善が定着する姿。支配株主がいて少数株主に不確実な点があるので 1 割に置いた。
やや楽観 25% やや楽観:出店は計画の 8 割、営業利益は 28 億円 利益 20 億円 · PER 20.6 倍 · 株価時価総額 5,480 円434 億円
出店は計画の 8 割ほどで進み、店舗の売上規模は実質で 1.75 倍になる。価格は 1.34 倍に上がる。
営業利益率はリユース業態で 11.5% と、中立より高く、2027 年 3 月期の会社予想(営業利益率 8.2%)より高い。ロイヤリティ率の引き上げ(3% から 3.8%)が全店に回ることが裏づけだ。
売上は 320 億円、営業利益は 28 億円、純利益は 20 億円。配当は 4 割を保ち、借入を使わずに出店を賄う。
卸売は店舗網の拡大に連れて伸びるが、利益率は薄い。米国の店は黒字化が遅れ、全体の足を引く年もある。
- リユース業態(直営店・フランチャイズ):数量 162(リユース店舗の売上規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 216 億円・営業利益 25 億円。店舗規模 1.75 倍、価格 1.34 倍
- 流通・卸売業態:数量 76.9(卸売の売上規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 103 億円・営業利益 8 億円。卸売規模 1.25 倍、価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.2% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 20.6 倍、時価総額 419 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店と値付けの改善が続くが、フランチャイズの質と中古相場で一部が計画を下回る姿。
中立 34% 中立:店舗は 1.5 倍、営業利益は 23 億円 利益 16 億円 · PER 20.0 倍 · 株価時価総額 4,349 円345 億円
店舗の売上規模は実質で 1.5 倍になる。店舗数の増加が主で、既存店は横ばいだ。価格は物価に連れて 1.34 倍。
営業利益率はリユース業態で 10.8%、全社で 8.2% になる。過去の最高 7.7% を超えるのは、ロイヤリティ率の引き上げと値付けシステムによる粗利率の改善が裏づけだ。本社費は物価で 1.34 倍に増える。
売上は 280 億円、営業利益は 23 億円、純利益は 15.6 億円。配当は 4 割で、借入は無いまま現金が積み上がる。
店舗の家賃は固定費で、売上が物価並みに増えても家賃も同じ率で増える。
- リユース業態(直営店・フランチャイズ):数量 138(リユース店舗の売上規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 186 億円・営業利益 20 億円。店舗規模 1.5 倍、価格 1.34 倍
- 流通・卸売業態:数量 70.7(卸売の売上規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.34(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 95 億円・営業利益 7 億円。卸売規模 1.15 倍、価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 20.03 倍、時価総額 329 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店は続くが、国内の店舗が飽和に近づき、既存店の伸びが物価並みにとどまる形。最も起こりやすい形として最も厚く置いた。
やや悲観 21% やや悲観:出店が鈍り、営業利益率は 6% 台 利益 8 億円 · PER 9.6 倍 · 株価時価総額 1,242 円98 億円
出店は鈍り、店舗の売上規模は実質で 1.2 倍にとどまる。フリマアプリへの流出で価格は 1.25 倍に抑えられる。
営業利益率はリユース業態で 8% に下がる。家賃と人件費は物価で増えるが、粗利は物価に追いつかない。
売上は 209 億円、営業利益は 11.5 億円で、今とほぼ同じ。純利益は 8 億円。配当は 3.5 割に下がる。
卸売の規模も縮み、海外 EC は赤字が続く。ロイヤリティの引き上げが、加盟店の離反を招くおそれもある。新しい店の立ち上がりが遅れ、出店の費用だけが先に出る年が増える。
- リユース業態(直営店・フランチャイズ):数量 111(リユース店舗の売上規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.25(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 139 億円・営業利益 11 億円。店舗規模 1.2 倍、価格 1.25 倍
- 流通・卸売業態:数量 58.4(卸売の売上規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.20(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 70 億円・営業利益 4 億円。卸売規模 0.95 倍、価格 1.20 倍
倍率:ROE 7.9% は k 7.5% を超える。堀は普通、g 4% の正当化 PER は 13.7 倍。車好きの市場に限られ、出店の余地に天井があるので上限の約 70% の 9.6 倍に置く。
確率:出店余地が尽き、フリマアプリへの流出と車離れで既存店が減る姿。
悲観 10% 悲観:買取がフリマに流れ、赤字に近づく 利益 −2 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 353 円28 億円
買取の主力がフリマアプリに流れ、店の仕入れが細る。電気自動車化でエンジン周りの部品が売れなくなり、店舗の売上規模は実質で 0.8 倍に縮む。価格は 1.10 倍にとどまる。
営業利益は赤字になる。店舗の家賃は売上が落ちても払うため、固定費だけが残る。出店は止まり、不採算店の閉鎖とフランチャイズの解約が相次ぐ。
卸売の規模も縮み、海外事業は撤退する。配当は下限に縮み、優待も打ち切られる。
株主の取り分は、純現金と在庫、保証金の差に近づく。支配株主が少数株主の持ち分を買い取る話も出うる。再建の道は、不採算店の整理と加盟店網の縮小しか残らない。
- リユース業態(直営店・フランチャイズ):数量 73.8(リユース店舗の売上規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.10(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 81 億円・営業利益 2 億円。店舗規模 0.8 倍、価格 1.10 倍
- 流通・卸売業態:数量 43.0(卸売の売上規模(今の値段で換算した売上・億円))× 価格 1.10(値段の指数(今 = 1.0))→ 売上 47 億円・営業利益 1 億円。卸売規模 0.7 倍、価格 1.10 倍
倍率:床の資産で値を付けた。赤字で稼ぐ力は測れない。純現金と在庫・保証金の売れる資産の税後 28 億円を、今の自己資本 51 億円に掛けた(PBR 0.55 倍)。
確率:買取がフリマアプリに流れ、車離れで店舗が余る構造的な負け筋。支配株主の存在も重なるので 1 割に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
リユース業態(直営店・フランチャイズ)
中古のカー用品・バイク用品・タイヤ・ホイールを買い取って売る専門店。直営店の売上とフランチャイズ加盟店からのロイヤリティ・卸売上。売上の約 6 割。
| 数量リユース店舗の売上規模(今の値段で換算した売上・億円) | 価格値段の指数(今 = 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 92.3 | 1.00 | 92 | 9 |
| 10 年後 中立 | 138 | 1.34 | 186 | 20 |
取り方:売上構成比約 6 割(決算説明)から 92 億円と置いた推定。セグメント利益は開示がなく、全社の営業利益 11.0 億円から本社費 3 億円を戻して配分した推定。店舗数は国内でおよそ 270 店(2025 年 1 月に 250 店、年 20 店前後の純増から)。
流通・卸売業態
タイヤ流通センターの加盟店向け卸、ネクスリンク(タイヤ・ホイールの卸売)、海外 EC など。売上の約 4 割。
| 数量卸売の売上規模(今の値段で換算した売上・億円) | 価格値段の指数(今 = 1.0) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 61.5 | 1.00 | 62 | 5 |
| 10 年後 中立 | 70.7 | 1.34 | 95 | 7 |
取り方:売上構成比約 4 割(決算説明)から 61 億円と置いた推定。利益は開示がなく、卸の薄い利益率を踏まえた推定。
リスクと懸念
フリマアプリへの買取の流出
メルカリやヤフオクで個人が直接売れば、店の仕入れが細る。店頭買取は、タイヤやホイールのような目利きと手間のかかる品で強いが、小物のカー用品は流出しやすい。
車離れと電気自動車化
国内の保有台数は横ばいから微減で、若い層は車を持たない。電気自動車が増えれば、エンジン周りの部品の需要は消える。ホイールやタイヤの需要は残るが、市場の天井は低い。
支配株主
E&E が株式の約 71% を持ち、流通する株は約 3 割にとどまる。出来高が細く、株価が振れやすい。少数株主の利益が常に最優先とは限らない。
店舗の家賃とフランチャイズ
直営店の家賃は売上が落ちても払う固定費。ロイヤリティ率を 3% から 3.8% に上げたことで、加盟店の収益が圧迫され、離反や出店の鈍りにつながるおそれがある。
出店に伴う利益率の低下
2026 年 3 月期は出店に伴う費用で営業利益率が 7.5% から 7.2% に下がった。新店の立ち上がりが遅れれば、会社が予想する 2027 年 3 月期の営業利益率 8.2% に届かない。
海外事業の赤字
米国の出店は 2024 年に始まったばかりで、3 号店を準備中。海外 EC はマイナス成長だった。現地の人件費と家賃が重く、黒字化に時間がかかる可能性がある。
今後の分かれ目
- 既存店売上高が 2 期続けて前年を割る
- 出店頼みの成長が崩れたサイン。やや悲観の確率を上げる。
- 営業利益率が 10% を超えて定着する
- ロイヤリティ率の引き上げと値付けの改善が本物と確かめられる。楽観側の確率を上げる。
- フリマアプリ大手が買取の強化に乗り出す
- 仕入れ競争が激しくなり、粗利率が下がる。悲観の確率を上げる。
- 支配株主が株式の売却や非公開化を提案する
- 提示される価格は本質価値と別の話になる。10 年の中立の価値との差で判断する。
- 自社株買いや特別配当が発表される
- 余った現金の戻り方が 1.0 に近づく。価値の見方を上げる。
見ておくもの
- 既存店売上高と買取点数
- 営業利益率とロイヤリティ収入
- 出店数(直営・加盟・米国)
- 純現金の水準と配当性向
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。k 7.5%(quality 0)、g 4%。中立の ROE は 13% で k を超え、正当化 PER は 17.5 倍。堀は普通、利益は車好きの市場に限られるので上限の 8 割の 14.0 倍とした。今の株価や PER は見ていない。店舗の賃借は直営店にあり、リースの約束は純現金の強さを割り引いて読んだ。新リース会計基準(2028 年 3 月期から)は、10 年後の数字を家賃を営業費用に入れた形でそろえた。株主優待の費用は年 0.5 億円ほどと推定し、還元に足した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 17.3→21.27 倍・やや楽観 PER 15.6→20.6 倍・中立 PER 14→20.03 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。