結論
ナフコは、九州・中国を中心に 34 府県へ 359 店を出す、ホームセンターと家具の専門店だ。福岡県北九州市に本社があり、福岡県だけで 73 店。家具・ホームセンターを併せた大型の郊外店が中心で、営業収益は 2026 年 3 月期で 1,753 億円。
筆者の結論は、10 年の価値が今の時価総額(488 億円)を大きく下回る(差は 4 割強の割高)というものだ。営業利益は 2022 年 3 月期の 120 億円から 2026 年 3 月期の 16 億円まで落ち、ROE は 0.1% にとどまる。会社の目標(売上高経常利益率 5% 以上)に対し、実績は 0.8%。
強みは、自前の土地と建物を持つ厚い財務だ。自己資本比率は 70.8%、土地の簿価は 493 億円、純資産は 1,528 億円で、時価総額はその 3 割。借入金は 177 億円で、現金・預金 115 億円を引くと実質の借金は小さい。
弱みは、利益率が毎年下がってきたことだ。売上は 2014 年 3 月期の 2,222 億円から 1,753 億円に縮み、物価の上昇を価格に移せず、人件費・物流費・水道光熱費が売上の 33.5% を食う。2026 年 3 月期は減損 9.3 億円が出て、純利益は 2.2 億円だった。
中立では、店舗数は 355 店でほぼ横ばい、営業利益率は 2% 台前半、営業利益は 50 億円ほどに戻る。資本コストは 8.0%(基本 7.5% に値決め +0.5%)、事業の PER は 9.0 倍で測った。
いちばん気にしているのは、2027 年 3 月期の会社予想(営業利益 29 億円)の達成度だ。第 1 四半期は 17.0 億円と前年比 6.7% の減益で、通期は据え置かれている。
バリュー投資の観点から
価値投資の観点では、ナフコは「資産は厚いが、その資産が稼いでいない」会社だ。この種の会社の価値は、事業が毎年稼ぐお金で決まる。簿価の高さは、稼ぎが戻らなければ価値の根拠にならない。
よい点は 3 つある。自己資本比率 70.8% で、土地 493 億円がすべて自社所有。地域集中の店舗網は、九州で 1 県 20 店前後の密度がある。資産管理会社と海外ファンドという、会社の資本の使い方に意見を言える大株主がいる。
気になる点は、稼ぐ力の低下だ。営業利益は 4 年で 120 億円から 16 億円に落ち、ROE は 0.1%。10 年の ROE の中央値は 3.3% で、資本コストの 8.0% の半分にも届かない。配当は利益の 6 倍を払い続け、現金は 2 年で 215 億円減った。
筆者は、中立で営業利益率が 2% 台前半に戻ると見る。ROE は 2% 前後で、資本コストに届かない。このとき事業の価値は純利益の 9 倍ほどにとどまり、簿価(1,528 億円)よりずっと小さい。今の時価総額(488 億円)はその 2 倍弱にあたる。
市場は、純資産の 3 割という値段に、再編や資産の活用への期待(kabufu の推計で 10 年以内の TOB・買収の確率 21.6%)を織り込んでいるとみられる。事業が稼がなければ、土地の価値は店を畳んで売るときにしか株主に届かない。
何で稼ぐ会社か
ナフコは、福岡県北九州市に本社を置くホームセンターと家具の専門店。九州・中国地方を中心に、郊外の大型店を広げてきた。2026 年 3 月末は 359 店を 34 府県に出店し、福岡 73・熊本 29・山口 26・長崎 24・広島 23・鹿児島 21・兵庫 19 などを持つ。従業員は 1,227 人。非連結の単体会社で、子会社 2 社は小さい。
営業収益は 2026 年 3 月期で 1,752.7 億円(売上高 1,744.8 億円)。売上の内訳は、資材・DIY・園芸用品が 804.7 億円(46.2%、粗利率 35.6%)、生活用品が 461 億円(26.4%、28.4%)、家具・ホームファッションが 312 億円(17.9%、41.1%)、残りがペット用品などその他。全体の粗利率は 34.0%、販管費は売上の 33.5%、営業利益率は 0.9%。
出店は 4 つの形で行う。商圏人口に合わせ、ホームセンターと家具の「併合店」、ホームセンター単独店、300 坪型の小型ホームセンター、家具専門に近い「ツーワン・スタイル」。300 坪から 3,000 坪の幅で、地域ごとに集中して出す(ドミナント)。
PB(自社企画)商品の比率が 45.5% で、家具は 69.5%。輸入品の比率も高めて粗利を守る。主力の経営指標は売上高経常利益率で、中期的に 5% 以上を掲げるが、近年の実績は 1% を割る。
大株主は北九州市の資産管理会社とみられる深勝興産(31.57%)で、個人株主 6 人が 3〜4% ずつ持つ(関係は有報で未確認)。海外ファンドの THE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND(シンガポールの運用会社系、7.56%)も上位にいる。
優良さと弱いところ
堀は、地域集中の店舗網と PB 商品の 2 つだが、どちらも深くはない。
九州・中国の福岡・熊本・山口・長崎などに 1 県 20 店前後の店を集中して出し、物流センターから配送を効率化している。家具とホームセンターを併せた大型店は、同じ商圏に来店目的を 2 つ作る強みがある。PB 商品は家具で 7 割近く、全体で 45.5%。粗利率の高い PB の比率を上げることが、会社の利益改善策になっている。
弱いのは、価格を決める力だ。売上は 12 年間で縮み、2026 年 3 月期の営業利益率は 0.9%。人件費や配送費の上昇を価格に移せず、「物価高で買い控え」と「競合各社との競争激化」が理由と、会社自身が説明している。競合はドラッグストア、ディスカウント、ニトリ系の家具専門店、大手ホームセンター(カインズ、コメリ、DCM など)、EC。
財務は厚い。自己資本比率 70.8%、土地は簿価 493 億円で、すべて自社所有。店舗のほぼ全部が自社の土地建物なので、賃料の負担が小さい代わりに、減価償却が年 59 億円かかり、閉店のたびに減損と原状回復(資産除去債務 67 億円)が出る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ホームセンター業界は、市場規模が約 4 兆円(日本 DIY・ホームセンター協会の推計、2024 年度末)で、店舗数は 5,000 店を超える。人口減で国内の名目成長は年 0〜2% にとどまり、上位がシェアを広げる再編途上の構造だ。
需要は、住宅着工とリフォーム、天候(猛暑・寒波・台風)、物価で決まる。商品は資材・DIY・園芸、日用品、家具と幅が広く、ドラッグストアが日用品と食品を、ニトリ系が家具を、EC が資材と園芸を、それぞれ侵食している。
参入の壁は、広い土地と駐車場を要する大型店の立地と、仕入れの規模にある。上位のカインズ(非上場)、コメリ、DCM、コーナン、アークランズなどは共同購買と PB 開発を進める。ナフコは売上 1,700 億円台と、上位に比べて小さく、共同購買の枠にも入っていない。
分かれ目は、PB 商品の粗利改善、店舗の面積あたり売上、物流と人件費の効率化、そして人口減の地方でどの店を残すか。ナフコは家具の比率が高い分、耐久財の買い控えに弱く、地方の人口減で郊外の大型店の客数も細る。ここで見るのは、店をどれだけ残し、どの店で利益を出すかだ。
資本政策と M&A
配当は 1 株あたり年額を据え置いてきた。2026 年 3 月期は配当総額が 14.3 億円で、純利益 2.2 億円の 6 倍を超える(配当性向 638%)。2025 年 3 月期も 835%。純利益が落ちても配当を維持する姿勢で、2024 年 3 月期までは配当性向 5 割前後だった。
自己株式は、2025 年 3 月期に 40.5 億円を取得し、保有は 520 万株(発行済の 17.5%)に増えた。それ以降の取得は無い。現金・預金は、2024 年 3 月期の 330 億円から 2026 年 3 月期の 115 億円へ減った。
設備投資は年 55〜61 億円で、減価償却(年 59 億円)にほぼ等しい。2026 年 3 月期の営業 CF は 31 億円で、設備投資・配当・リース返済を賄えず、短期借入金の返済と現金の取り崩しで補った。
余った現金は無い。むしろ、配当と設備投資が営業 CF を上回り、現金が減り続けている。この資本配分は、利益が戻る前提でなければ続かない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
利益率が戻る入口は見えている。2027 年 3 月期の会社予想は営業利益 29 億円(前期比 79% 増)で、第 1 四半期は 17.0 億円。2026 年 3 月期は、物流センターと店舗配送の見直しで販管費を 23 億円減らした。PB 商品の値入れ改善と輸入品の拡大も続く。
大株主に、深勝興産(31.6%)と、価値の実現を掲げる海外ファンド(7.6%)がいる。時価総額は純資産の 3 割で、在庫 665 億円と土地 493 億円の使い方を見直せば、現金化できる価値が大きい。配当と自社株買いの強化、遊休地の売却・賃貸の動きが起きる条件は揃っている。
店舗網も強い。九州・中国で 1 県 20 店前後の密度があり、家具とホームセンターを併せた大型店は同じ商圏で 2 つの来店目的を作れる。熊本、石川での新店が動き出した。2027 年 3 月期の第 1 四半期は純利益が 18% 増えた(営業利益は減益で、前年同期にあった減損 4.4 億円が今期は無かったため)。減損が出なければ、純利益は営業利益に近づく。
慎重な見方
12 年の実績が、すべてを物語っている。営業収益は 2,222 億円(2015 年 3 月期)から 1,753 億円へ縮み、営業利益は 120 億円(2022 年 3 月期)から 16 億円に落ちた。2026 年 3 月期は、配送費と経費を削って営業利益が 29% 増えたが、売上は 3.6% 減っている。
2026 年 3 月期の純利益 2.2 億円は、減損損失 9.3 億円を引いた後の数字で、前期の 5.7 億円に続いて減損が出ている。2027 年 3 月期の第 1 四半期は営業利益が 6.7% の減益で、「仕入コスト上昇」と「競争激化」が理由。通期予想(営業利益 29 億円)の前提は厳しい。
配当が利益を大きく上回る。配当 14.3 億円に対し営業 CF は 30.6 億円、設備投資は 61.3 億円。現金・預金は 2 年で 215 億円減った。この資本配分は続けられない。
簿価の厚さは稼ぐ力の裏づけにならない。土地は 493 億円の簿価でも、郊外の大型店は、店として稼がなければ価値が低い。家具は耐久財で買い控えが続き、ニトリ系との差も縮まらない。
どちらに重みを置いたか
財務の厚さと資産の使い方の余地では強気の見方に実があるが、売上の縮小、営業利益の 4 年連続の低下、配当が利益を大きく上回る資本配分を見ると、慎重な見方のほうが具体的だ。中立は、店舗数がほぼ横ばいで、営業利益率が 2% 台前半までしか戻らない形に置いた。純資産の厚みは、利益が戻るまでは株主の取り分にならない、という見方を取った。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,728 円425 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 687 円169 億円)。 今の値に割り戻すと 1,268 円312 億円、今との差 −36.0%、 期待の年率 +2.0%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,814 円938 億円 | 1,554 円382 億円 | +171.1% | +10.5% | 429 円106 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,588 円636 億円 | 927 円228 億円 | +77.5% | +5.9% | 703 円173 億円 |
| 中立 | 37% | 1,597 円393 億円 | 618 円152 億円 | +11.9% | +1.1% | 820 円201 億円 |
| やや悲観 | 24% | 958 円235 億円 | 488 円120 億円 | −27.0% | −3.1% | 347 円85 億円 |
| 悲観 | 11% | 771 円190 億円 | 285 円70 億円 | −46.7% | −6.1% | 116 円29 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,728 円425 億円 | 687 円169 億円 | +22.0% | +2.0% | 2,415 円594 億円 |
今の株価時価総額 1,980 円487 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 株主還元の圧力で資産が動き、出店を再開して営業利益率が 4% 台に戻る 利益 75 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,814 円938 億円
株主の求めに応じて、会社が資産と資本の使い方を見直す。在庫の圧縮、遊休地の売却や賃貸、自社株買いの再開が進み、純資産の厚みが少しずつ利益に変わる。
出店も再開し、店舗数は 380 店に増える。家具とホームセンターを併せた「併合店」の再出店が中心で、九州・中国で築いたドミナント(地域集中)が効く。PB 商品の比率が 5 割に近づき、粗利率が上がる。
営業利益率は 4% 台半ばに戻り、営業利益は 120 億円近くになる。配当は利益の 8 割を超え、自社株買いも加わる。それでも ROE は 5% に届かず、資本コストを下回る。
- ホームセンター・家具の店舗網(九州・中国中心の 359 店):数量 380(店舗数(店))× 価格 6.84(1 店あたり年間売上(営業収益、億円・名目))→ 売上 2,597 億円・営業利益 117 億円。店舗 380 店 × 1 店あたり 6.84 億円(1.40 倍。実質で 4% 上昇)、営業利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 75 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 938 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:深勝興産と、価値の実現を掲げる海外ファンドが大株主にいて、遊休資産の活用や還元の強化が動く余地はある。ただし利益率が 5 年続けて下がってきた実績が先にあり、そろう確率は低く見て 1 割弱に置いた。
やや楽観 20% 価格と経費の見直しが効き、営業利益率が 3% 台前半まで戻る 利益 51 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 2,588 円636 億円
価格と経費の見直しが効く。PB 商品の値入れ改善、輸入品の拡大、配送と物流の効率化が続き、粗利率は 34% 台後半に上がる。販管費は賃上げで増えるが、売上がそれ以上に伸びて吸収する。
店舗数は 366 店と小幅に増え、新店は旗艦型に絞る。九州・中国の既存店は増床と改装で守り、採算の合わない小型店は閉める。熊本・石川のような新店が計画どおりに立ち上がり、関東・中部の飛び地は広げない。
営業利益率は 3% 台前半で、営業利益は 80 億円ほど。過去 10 年の中央値に近い。配当は利益の 7 割で、ROE は 3% 台。資本コスト 8.0% には届かない。
- ホームセンター・家具の店舗網(九州・中国中心の 359 店):数量 366(店舗数(店))× 価格 6.54(1 店あたり年間売上(営業収益、億円・名目))→ 売上 2,394 億円・営業利益 81 億円。店舗 366 店 × 1 店あたり 6.54 億円(1.34 倍。物価並み)、営業利益率 3.4%
倍率:事業の純利益 51 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.2% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 636 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027 年 3 月期の会社予想(営業利益 29 億円)が達成され、その後も PB 商品の値入れ改善と経費の見直しが続く筋書き。過去 10 年の利益率の中央値(3% 台)に近づく形で、強気側の中心として 2 割に置いた。
中立 37% 店舗網は横ばいで、営業利益率は 2% 台前半までしか戻らない 利益 31 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,597 円393 億円
店舗数は 355 店とほぼ横ばい。新店は年に 2〜3 店、閉店は年に 2〜3 店で、全体の面積はほとんど変わらない。1 店あたりの売上は、物価が上がる 10 年で 1.27 倍にとどまる。ドラッグストア、ディスカウントストア、大手ホームセンターに客を奪われ、物価ほどは値上げできない。
粗利率は 34% 前後で動かず、販管費は賃上げとエネルギー価格で売上並みに増える。営業利益率は 2% 台前半、営業利益は 50 億円ほど。毎年 4 億円ほどの減損が出る。
配当は年 14 億円前後を保ち、純利益(30 億円前後)の約半分を戻す。ROE は 2% 前後で、資本コストを大きく下回る。自己資本は少しずつ増え、会社は大きくなるが、株主のもうけは増えない。
- ホームセンター・家具の店舗網(九州・中国中心の 359 店):数量 355(店舗数(店))× 価格 6.20(1 店あたり年間売上(営業収益、億円・名目))→ 売上 2,201 億円・営業利益 53 億円。店舗 355 店 × 1 店あたり 6.20 億円(1.27 倍。物価より低い)、営業利益率 2.4%
倍率:事業の純利益 31 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.0% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 392 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店舗数はほぼ横ばいで、物価ほどは価格を上げられず、経費の上昇も重い、最もありそうな筋書き。2026 年 3 月期の 0.9% と過去の中央値の間に置いた。
やや悲観 24% 競合に客を奪われ、経費の上昇が吸収できず営業利益率が 1% を割る 利益 7 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 958 円235 億円
競合に客を奪われる。ドラッグストアは日用品と食品、ニトリ系は家具、ネットは資材と園芸を取っていき、郊外の大型店の客数が減る。店舗数は 340 店に減る。
販管費は賃上げで増え、売上の減少が固定費の重さを際立たせる。営業利益率は 1% を割り、営業利益は 18 億円ほど。減損は毎年 6 億円出る。
配当は年 12〜14 億円を保つが、純利益(7 億円)を大きく上回り、利益の積み上げは止まる。自己資本は 1,500 億円を割るが、事業の稼ぐ力はほとんど無い。配当の原資は純利益でなく、繰越利益剰余金と現金・預金の取り崩しで、10 年の還元の合計(約 120 億円)は純利益の合計(約 60 億円)の 2 倍になる。
- ホームセンター・家具の店舗網(九州・中国中心の 359 店):数量 340(店舗数(店))× 価格 5.86(1 店あたり年間売上(営業収益、億円・名目))→ 売上 1,992 億円・営業利益 18 億円。店舗 340 店 × 1 店あたり 5.86 億円(1.20 倍)、営業利益率 0.9%
倍率:稼ぐ力は小さく(純利益 6.7 億円)、値は売れる資産が決める。今の自己資本 1,528 億円に PBR 0.154 倍を掛けた 235 億円は、下の床の売れる資産に合わせた。
確率:営業利益は 2024 年 3 月期の 52 億円から 2025・2026 年 3 月期の 13〜16 億円へ落ちた。この水準が続く筋書きは、すでに起きている現実に近いため、強気側より厚く置いた。
悲観 11% 大型店の採算が崩れ、閉店と減損が続いて赤字になる 利益 −39 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 771 円190 億円
大型店の採算が崩れる。物価と賃金の上昇に価格が追いつかず、客数も減る。店舗数は 300 店まで減り、閉店のたびに減損と資産除去の費用が出る(資産除去債務は 67 億円)。
営業赤字が続き、純損失は 40 億円ほどになる。配当は 7 億円まで減らすが、純損失の年も払うため、原資は現金・預金と繰越利益剰余金の取り崩しになる。在庫の圧縮のため値引き販売が増え、粗利率が下がる。借入金への依存が高まり、財務の余裕も小さくなる。
株式市場はもはや事業の稼ぐ力を見ず、売れる資産の価値で値を付ける。土地は店舗の立地で、売れる価格は簿価(493 億円)を下回る可能性が高い。九州に偏った店舗網の売却や他社への事業譲渡が視野に入る。
- ホームセンター・家具の店舗網(九州・中国中心の 359 店):数量 300(店舗数(店))× 価格 5.47(1 店あたり年間売上(営業収益、億円・名目))→ 売上 1,640 億円・営業利益 −26 億円。店舗 300 店 × 1 店あたり 5.47 億円(1.12 倍)、営業利益率 −1.6%
倍率:営業赤字が続き、稼ぐ力は値を支えない。今の自己資本 1,528 億円に PBR 0.124 倍を掛けた 190 億円は、下の床の売れる資産に合わせた。
確率:大型店の採算が崩れ、減損が毎年出る筋書き。減損は 2025 年 3 月期に 5.7 億円、2026 年 3 月期に 9.3 億円とすでに出ており、確率は低いが無視できない 1 割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ホームセンター・家具の店舗網(九州・中国中心の 359 店)
九州・中国を中心に 34 府県へ出店する大型の郊外型店。資材・DIY・園芸、生活用品、家具・ホームファッションの 3 本柱を、PB(自社企画)商品と輸入品を混ぜて売る。一般客からプロの業者まで幅広い客層を対象にする。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたり年間売上(営業収益、億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 359 | 4.88 | 1,753 | 16 |
| 10 年後 中立 | 355 | 6.20 | 2,201 | 53 |
取り方:2026/03 期の営業収益 1,752.7 億円(売上高 1,744.8 億円+営業収入 8.0 億円。非連結)を、2026 年 3 月末の店舗数 359 店で割った 1 店あたり 4.88 億円とした。数量は店舗数(実物)、価格は 1 店あたりの売上(客数と客単価の合成、名目)。営業利益 16.4 億円は決算の実績。カテゴリ別の売上(資材・DIY・園芸 804.7 億円、生活用品 461 億円、家具・ホームファッション 312 億円、その他)は粗利率が 28〜41% と違うが、店舗の費用が共通なのでセグメントは店舗網ひとつにした。10 年の中立は、店舗数 355 店(新店と閉店がほぼ見合う。2026/03 期は新設 2・閉店 3)、1 店あたり売上は 1.27 倍(物価の 1.34 倍より低い)。ドラッグストア・ディスカウント・大手ホームセンターに客を取られ、2014〜2026 年に売上が 2,222 億円から 1,753 億円へ縮んだ実績に合わせ、実質で 5% ほど下がる形に置いた。 【数量・率の点検】数量は店舗数(実物)、率は物価込みで、二重がけなし。
リスクと懸念
利益率の低下が止まらない
営業利益は 2022 年 3 月期の 120 億円から 2026 年 3 月期の 16 億円に落ちた。2026 年 3 月期は経費削減で増益に転じたが、売上は 3.6% 減った。2027 年 3 月期の第 1 四半期も、営業利益は 6.7% の減益だった。
競合との競争
ドラッグストア(日用品・食品)、ニトリ系(家具)、大手ホームセンター(カインズ・コメリ・DCM)、EC(資材・園芸)が、それぞれ得意分野を侵食する。会社自身が「異業種含む競合各社との競争激化」を、2026 年 3 月期の下振れの理由に挙げている。
減損の連続
減損損失は 2025 年 3 月期が 5.7 億円、2026 年 3 月期が 9.3 億円。店舗は自社の土地建物が中心で、赤字店が増えると減損と閉店費用(資産除去債務 67 億円)が出る。純利益が 2.2 億円まで落ちた直接の原因。
配当が利益を上回る
年 14.3 億円の配当は、2026 年 3 月期の純利益 2.2 億円の 6 倍を超え、2025 年 3 月期も 8 倍。現金・預金は 2 年で 330 億円から 115 億円に減った。利益が戻らなければ、配当か設備投資のどちらかを削る必要がある。
在庫の重さ
商品は 665 億円で、売上原価の約 7 か月分。2026 年 3 月期は 22.5 億円増えた。季節商品や家具の売れ残りが評価損や値引きにつながり、粗利率を下げる。
天候と災害
園芸・雨具・暖房・冷房などの売上は天候に左右される。2025 年 3 月期は台風・地震による災害損失 3.4 億円が特別損失に出た。九州に店が偏っているため、地域の災害の影響を受けやすい。
大株主の動向
深勝興産(31.6%、2026 年 5 月の報告では関係者を合わせ約 32%)と、海外ファンドの THE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND(7.6%)が上位にいる。自社株の保有が 17.5% あり、流通する株は少ない。再編・TOB の確率は kabufu の推計で 21.6% だが、時期も条件も読めない。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期の営業利益が会社予想(29 億円)に届き、翌期も 40 億円台に乗る
- 利益率の戻りが確かになり、中立を 3% 台前半に引き上げる必要が出る。強気側の筋書きに寄る。
- 第 2 四半期以降も営業利益が前年を下回り、通期予想を引き下げる
- 利益の底が確かでなくなり、中立を 1% 台に下げる。慎重側の筋書きに寄る。
- 減損損失が 2 年以上続けて 10 億円を超える
- 大型店の採算が崩れている証拠になり、店舗数と利益率を下げる。慎重側の筋書きに寄る。
- 会社が遊休資産の売却や賃貸、自社株買い、配当の見直しなど資本政策を発表する
- 厚い純資産の一部が株主の取り分に変わる。強気側の筋書きに寄る。
- PB 比率が 50% を超え、粗利率が 35% 台に乗る
- 営業利益率が 1 ポイント上がる効果があり、中立の見直しが必要になる。
- 現金・預金が 100 億円を割り、短期借入金が増える
- 配当と設備投資を借入で賄う形になる。資本配分の見直しが避けられない。
見ておくもの
- 営業利益(2027 年 3 月期の会社予想は 29 億円)と、第 2 四半期の進捗
- 粗利率(2026 年 3 月期は 34.0%)と PB 比率(45.5%)の動き
- 既存店の売上と、カテゴリ別(資材・DIY・園芸、生活用品、家具)の売上
- 減損損失(2026 年 3 月期は 9.3 億円)と、閉店・新店の数
- 現金・預金(115 億円)、短期借入金(177 億円)、配当と設備投資の水準
- 大株主の動き(深勝興産、SFP ファンド)と、資本政策・自社株の扱い
倍率と資本コストの決め方
店舗数(実物)× 1 店あたりの売上(名目)の 1 つのセグメントで積み、価格は 10 年 1.27 倍(物価の 1.34 倍より低い。12 年の売上の縮小に合わせた)。営業利益率は、2026 年 3 月期の 0.9% と過去の中央値(3% 台)の間の 2.4% に置いた。資本コストは基本 7.5% に quality +0.5%(値決め +0.5)で k は 8.0%。倍率は、ROE が k を下回るので PER の上限 1÷k = 12.5 倍と式(g 2.0%)から出し、今の PER や PBR、過去の PBR の底からは置かなかった。純資産 1,528 億円の厚みは、稼ぐ力が戻らない限り価値に入れていない(土地の時価は未確認)。悲観は稼ぐ力でなく、商品・土地・現金から負債と閉店費用を引いた売れる資産を床とした。結果、価値は時価総額 488 億円を下回った。市場は純資産の 3 割という値段に、資産活用や再編の期待を織り込んでいるとみられるが、中立には入れていない。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。