結論
アイエーグループは、神奈川を地盤にオートバックスの店を運営する加盟店の会社だ。車検の専門店と式場、地元の建設不動産も持つ。筆者の結論は割安である。利益のおよそ5倍という値段は、車の数が減り続けるという悲観をほぼ織り込んでいる。
事業は派手さを欠く。カー用品の利益率は3%台で、本部にロイヤルティ、つまり看板の使用料を払う立場だ。式場は婚姻の数が減る中で戦う。それでも車検と整備、タイヤの交換は景気に左右されにくく、ここ4期の営業利益は13億円から18億円へ着実に増えた。借金はほぼ返し終え、自己資本比率は6割ある。
弱点は資本の使い方だ。還元は利益の2割ほどにとどまり、現金と帳簿が積み上がる。このままでは資本の稼ぎは資本コストを下回っていく。筆者は、事業の安定と今の値段の低さが、その弱点を上回ると見る。積み上がる現金のうち、いずれ株主に戻る分も値段には入っていない。事業そのものの上振れは小さくても、値段の低さと溜まる現金だけで安全域がある。
上振れの鍵は2つある。1つは還元の強化で、利益の5倍の値段で自社株を買えば株主の取り分は大きく増える。もう1つは本部による加盟店の買い取りで、その時は帳簿の価値が目安になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「地味だが安い、まっとうな事業」だ。車検と整備は景気に強く、神奈川という人口の多い地盤を持つ。借金はほぼ無く、利益は毎年黒字を積んでいる。今の値段は利益の5倍ほどで、帳簿の自己資本の4割にすぎない。
オーナーとして持ち続けたいかと問えば、条件付きで「はい」だ。事業が10年後に消える姿は考えにくい。車は減っても古くなり、整備と交換の需要は残る。ただ堀、つまり他社がまねできない強みは厚くない。看板は本部のもので、値段は競合に決められる。
気になるのは資本の配分だ。稼いだ利益の8割を手元に残す会社は、その使い道で価値が決まる。店の更新と小さなM&Aに回るなら資本の稼ぎは下がる。自社株買いに回るなら株主の取り分は増える。今の値段なら、前者でも大きな損は出にくく、後者なら報われる。安全域はあるが、厚くはない。
もう一つの見どころは、加盟店という形そのものだ。本部が看板と商品を磨けば、加盟店は投資を抑えて恩恵を受けられる。
何で稼ぐ会社か
売上の8割はカー用品だ。オートバックス、大型店のスーパーオートバックス、車検専門のテクノキューブの加盟店として、首都圏・東北・東海・関西に40店ほどを持つ。オートバックスの加盟店の中でも最大級の1社である。タイヤ、バッテリー、オイル、カーナビを売り、取り付けと車検・整備で工賃を取る。最近は中古車の販売と買取のカーズ事業にも力を入れる。
稼ぎ方は、店に来た客に用品と作業をまとめて売ることだ。車検は2年ごとに必ず来る需要で、来店のきっかけになる。タイヤの交換と組み合わせれば、1台あたりの売上が増える。一方で、品ぞろえと仕入れの多くは本部に頼り、売上に応じたロイヤルティを払う。利益率が本部や直営中心の同業より低いのは、この形のためだ。
残りの2割はブライダルと建設不動産だ。ブライダルは「アルカンシエル」の名で東海・関西に5つの式場を持ち、利益率は6%台とカー用品より高い。建設不動産は地元の建築工事と収益物件の売買、太陽光とEV充電の工事を手がけ、年によって売上が倍に振れる。持っている土地や建物を自社の店に貸す賃貸も、毎年2億円近い利益を生む。
店の多くは借りており、家賃は売上が落ちても払い続ける固定費である。
店の数は、カー用品が地点ベースで40ほど、式場が5つで、グループで60店を超える。中期経営計画では既存の地域に店を足し、2030年に売上460億円、営業利益20億円を目指す。
優良さと弱いところ
優良さは並みとみる。強みは店の密度と車検の需要だ。神奈川を中心に店を固めて置いているので、整備と車検の客を近くで取り込める。車検は法律で決まった需要で、景気が悪くても大きくは減らない。2021/03期の赤字は店の減損などの一時の要因で、その後は毎年黒字を積み、営業利益は4期で1.4倍になった。
財務は堅くなった。10年前に80億円あった純有利子負債は、今は17億円まで減った。在庫と借金に頼る小売の中では、身軽な部類に入る。
弱みは値決めの力だ。加盟店なので、看板と仕入れの条件は本部が決める。タイヤとオイルは通販やディーラーと値段で比べられ、上げにくい。整備士の人件費は上がり続けており、前期はカー用品の売上が増えたのに利益は減った。式場は婚姻の数の減少という逆風を正面から受ける。
資本の使い方も課題だ。中期経営計画は「ROE 8%以上」を掲げるが、還元は3年で6〜8億円と利益の2割に満たない。現金が積み上がれば、ROEは自然に下がる。
総じて、事業の質は崩れていないが、資本の質がそれに追いついていない会社だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
カー用品と整備の市場は、国内の車の数で決まる。車の数は人口の減少と都市の車離れでゆっくり減り、業種ノートでは10年で1割ほどの縮みを中立とみる。それでも平均の車齢は延びており、古い車ほど部品の交換と整備が要る。車検関連の市場は過去10年、ほぼ横ばいを保ってきた。
競争は大手2社の店網の争いだ。オートバックスとイエローハットが全国に店を持ち、そこにディーラーの整備部門と、タイヤの通販、ガソリンスタンドの整備が割り込む。アイエーはオートバックスの陣営の中で、神奈川という人口の多い地域を押さえている。郊外の車社会と首都圏の人口の両方を持つ、恵まれた地盤だ。
大きな変化はEVだ。エンジンオイルや点火プラグの需要は消え、代わりにバッテリーとタイヤ、空調の整備が残る。EVは車体が重くタイヤの減りが速いので、タイヤの交換はむしろ増える面もある。ただEVの整備は、メーカー系のディーラーに囲い込まれやすい。
式場の市場は厳しい。婚姻の数は年に2%前後減り、挙式をしない夫婦も増えている。生き残る式場は、宴会と法人のイベントで稼働を埋める。
建設不動産は地元の景気と金利に左右される。建築費の上昇は受注の単価を押し上げるが、物件の売買は金利が上がると細りやすい。
資本政策と M&A
配当は年2回で、毎年少しずつ増やしている。今期は前期より1割弱多い配当を予定する。それでも配当の総額は利益の2割に届かず、自社株買いも小さい。中期経営計画は3年の投資を33〜46億円とし、そのうち還元は6〜8億円、M&Aを含む成長投資に15〜20億円を充てる。
筆頭株主は創業家の資産管理会社とみられ、経営は創業家が担う。親会社は無く、オートバックスセブンとは加盟店契約で結ばれ、少額の株を持ち合う。敵対的な買収は起きにくい。一方で、本部が加盟店を買い取って直営にする動きが業界にあり、オートバックスが買い手になる道はありうる。その時は帳簿の価値が一つの目安になる。
株主優待は無い。家賃は固定の約束で、新しいリースの会計基準では2028/03期から借りた店がBSに載る。純有利子負債が見かけより大きく出る点は覚えておきたい。
筆者が望むのは、積み上がる現金を自社株買いに回すことだ。利益の5倍の値段で自社株を買えば、株主の取り分は確実に増える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
利益の5倍という値段は安すぎる。営業利益は4期で13億円から18億円に増え、純有利子負債は10年で80億円から17億円に減った。事業は毎年現金を生み、財務は年々軽くなっている。
車検と整備は景気に強い。法律で2年ごとに来る需要で、車が古くなるほど部品の交換も増える。EVは車体が重くタイヤが早く減るので、タイヤの交換はむしろ増える。神奈川を中心に店を固めて置くドミナント出店で、近くの客を取り込める。中期経営計画は2030年に営業利益20億円を掲げ、ここ数年の実績はそれに沿っている。
式場は利益率がカー用品より高い。宴会と法人のイベントで稼働を埋めれば、婚姻の減少を補える。建設不動産も地元の大型案件と太陽光・EV充電の工事で伸びる。
資本の使い方も変わりうる。現金が積み上がれば、自社株買いを求める声は強くなる。利益の5倍で自社株を買えば、1株の価値は大きく増える。本部のオートバックスが加盟店を買い取る動きもあり、その時は帳簿の価値が下支えになる。
悪い材料は値段に出尽くしている。
慎重な見方
利益の5倍には理由がある。資本の稼ぎが弱く、それを変える気配が無いからだ。還元は利益の2割に満たず、残りは現金と店に積まれる。帳簿が膨らむほどROEは下がり、10年後には資本コストを大きく下回る。
値決めの力も無い。加盟店なので看板も仕入れも本部しだいで、売上に応じたロイヤルティを払い続ける。タイヤとオイルは通販とディーラーに値段で比べられる。前期はカー用品の売上が増えたのに利益は減った。整備士の人件費はこれからも上がり、値上げで全部は取り返せない。
車の数は確実に減る。都市部の若い世帯は車を持たず、カーシェアが広がる。EVの整備はメーカー系のディーラーに囲い込まれ、エンジンまわりの部品の需要は消える。式場は婚姻の数の減少を正面から受け、閉鎖の費用もいずれ出る。
家賃は固定の約束だ。売上が1割落ちれば、利益は半分以上消える。2021/03期の赤字は、その脆さの表れだった。帳簿の4割という値段は、こうした先細りを考えればむしろ妥当である。
安い株が安いまま10年過ぎることは珍しくない。
どちらに重みを置いたか
強気の見方がやや強い。資本の使い方の弱さと値決めの力の無さは本当だが、それは利益の5倍という値段にすでに入っている。車検と整備の需要の固さ、借金の少なさ、毎年の黒字を見て、中立に4割弱、楽観側に3割強を置いた。悲観は家賃の固定費と式場の閉鎖を重く見て、合わせて3割強とした。還元が増える兆しが見えれば楽観側に寄せる。逆に式場の閉鎖が続けば慎重側に戻す。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 13,699 円200 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 2,049 円30 億円)。 今の値に割り戻すと 7,579 円111 億円、今との差 +64.8%、 期待の年率 +13.1%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 21,434 円313 億円 | 2,771 円40 億円 | +426.2% | +18.1% | 2,421 円35 億円 |
| やや楽観 | 22% | 17,915 円261 億円 | 2,442 円36 億円 | +342.5% | +16.0% | 4,478 円65 億円 |
| 中立 | 37% | 15,554 円227 億円 | 2,201 円32 億円 | +286.0% | +14.5% | 6,569 円96 億円 |
| やや悲観 | 20% | 7,977 円116 億円 | 1,536 円22 億円 | +106.8% | +7.5% | 1,903 円28 億円 |
| 悲観 | 11% | 2,400 円35 億円 | 1,029 円15 億円 | −25.5% | −2.9% | 377 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 13,699 円200 億円 | 2,049 円30 億円 | +242.4% | +13.1% | 15,748 円230 億円 |
今の株価時価総額 4,600 円67 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 神奈川の整備網が育ち、式場も戻る 利益 23 億円 · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 21,434 円313 億円
神奈川を中心にした店の密度が武器になる。車検と整備、タイヤの交換は近くの店に客が集まり、ドミナント出店、つまり同じ地域に店を固めて置く戦略が当たる。車の販売と買取のカーズ事業も育ち、カー用品の売上は物価を除いても 2 割伸びる。式場は宴会とイベントで稼働を上げ、利益率は 9% に届く。建設不動産は太陽光と EV 充電の工事で受注を増やす。営業利益は 30 億円台に乗り、利益率は過去の山に近い 5% 台に戻る。ただ還元は利益の 2 割強のままで現金が溜まり、資本の稼ぎは資本コストを少し下回る。溜まった現金を自社株買いに回す決断が出れば、株主の取り分はさらに増える。EV の普及も、重い車体でタイヤが早く減る分だけ、交換の需要を押し上げる。
- カー用品(オートバックス加盟店・車検):数量 23,750(国内のカー用品と取付・整備の対象市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 2.1%(シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍)=実質の市場に対する売上の割合(名目))→ 売上 509 億円・営業利益 23 億円。市場 2.375 兆円(実質・今の 0.95 倍)× シェア 1.60% × 物価 1.34 倍、利益率 4.5%
- ブライダル(アルカンシエル):数量 42.0(国内の婚姻組数(万組))× 価格 1.38(婚姻 1 万組あたりの売上(億円。取り分と単価を含む名目))→ 売上 58 億円・営業利益 5 億円。婚姻 42 万組 × 1 万組あたり 1.38 億円(物価 1.34 倍 × 単価と取り分の上乗せ 1.15 倍)、利益率 9%
- 建設不動産:数量 50.0(完成工事・物件売却の件数(件・推定))× 価格 0.95(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 3 億円。推定 50 件 × 1 件 0.95 億円(物価 1.34 倍)、利益率 6%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.3 倍。全体の PER 12.33 倍、時価総額 282 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:既存エリアへの出店と車の販売・買取の強化が実を結び、式場の稼働も中計どおり上がる筋書き。中計の数字は直近 2 期おおむね届いているが、カー用品の利益率は前期に下がったので 1 割に止めた。
やや楽観 22% 中計の 2030 年目標に届く 利益 19 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 17,915 円261 億円
中期経営計画の 2030 年の目標に届く筋書きだ。車の数は減るが、平均の車齢が延びて整備と部品の交換は増える。タイヤとバッテリー、車検の取り込みで、カー用品の売上は物価を除いても 1 割ほど伸びる。式場は婚姻の数が減る中でも、宴会と法人のイベントで稼働を保つ。建設不動産は地元の大型案件と物件の入れ替えで利益を積む。営業利益は 20 億円台の後半に届き、利益率は 4% 台の後半になる。配当は毎年少しずつ増えるが、還元は利益の 2 割強にとどまり、純現金が積み上がる。資本の稼ぎは資本コストの 8 割ほどにとどまり、その差が株主の取り分を削る。それでも事業は毎年現金を生み、悪くない 10 年になる。
- カー用品(オートバックス加盟店・車検):数量 23,000(国内のカー用品と取付・整備の対象市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 2.0%(シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍)=実質の市場に対する売上の割合(名目))→ 売上 456 億円・営業利益 18 億円。市場 2.3 兆円(今の 0.92 倍)× シェア 1.48% × 物価 1.34 倍、利益率 4%
- ブライダル(アルカンシエル):数量 41.0(国内の婚姻組数(万組))× 価格 1.29(婚姻 1 万組あたりの売上(億円。取り分と単価を含む名目))→ 売上 53 億円・営業利益 4 億円。婚姻 41 万組 × 1.29 億円(物価 1.34 倍 × 1.075 倍)、利益率 8%
- 建設不動産:数量 45.0(完成工事・物件売却の件数(件・推定))× 価格 0.95(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 43 億円・営業利益 2 億円。推定 45 件 × 0.95 億円、利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.6% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 225 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の 2030 年の目標(売上 460 億円・営業利益 20 億円)に、数年遅れも含めて届く筋書き。直近 4 期の営業利益は 13〜18 億円で計画に沿って伸びてきたので、2 割強を置いた。
中立 37% 車は減るが整備で支え、物価の分だけ伸びる 利益 15 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 15,554 円227 億円
国内の車の数は 10 年で 1 割減る。それでも車は古くなり、車検と整備、タイヤの交換は減りにくい。アイエーは既存の地域に店を足し、取り分を少し広げて市場の縮みを埋める。売上は物価の分だけ伸び、カー用品の利益率は 3% 台の半ばを保つ。式場は婚姻の数が 2 割近く減り、単価の上げで売上を横ばいに保つ。建設不動産は年によって大きく振れるが、ならせば小さな柱にとどまる。営業利益は 20 億円強、純利益は 15 億円前後で、今より少し多い程度だ。配当は増えるが還元は利益の 2 割強で、残りは現金と店に回る。資本の稼ぎは資本コストの 3 分の 2 ほどに下がり、帳簿の価値の半分ほどで値が付く。地味だが、崩れもしない 10 年だ。
- カー用品(オートバックス加盟店・車検):数量 22,500(国内のカー用品と取付・整備の対象市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 1.8%(シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍)=実質の市場に対する売上の割合(名目))→ 売上 416 億円・営業利益 15 億円。市場 2.25 兆円(実質・今の 0.90 倍)× シェア 1.38% × 物価 1.34 倍、利益率 3.6%
- ブライダル(アルカンシエル):数量 40.0(国内の婚姻組数(万組))× 価格 1.20(婚姻 1 万組あたりの売上(億円。取り分と単価を含む名目))→ 売上 48 億円・営業利益 3 億円。婚姻 40 万組(今の 0.82 倍)× 1.20 億円(物価 1.34 倍)、利益率 7%
- 建設不動産:数量 40.0(完成工事・物件売却の件数(件・推定))× 価格 0.95(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 2 億円。推定 40 件 × 0.95 億円(物価 1.34 倍)、利益率 5%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.8% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 186 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業種ノートの中立(カー用品・整備の市場は数量で 1 割減)に、出店で取り分を少し広げる形。イエローハットの中立と同じ物差しで、もっとも起こりやすいとみた。
やや悲観 20% 車離れと人件費で利益が細る 利益 9 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 7,977 円116 億円
車の数は 10 年で 15% 減り、都市部では車を持たない世帯が増える。整備士の取り合いで人件費は物価より速く上がり、タイヤの値段は通販とディーラーに押される。店の家賃は売上が落ちても下がらず、カー用品の利益率は 2% 台に沈む。式場は婚姻の数が 25% 減り、単価の上げも追いつかずに稼働が落ちる。建設不動産は地元の受注が細る。営業利益は 12 億円前後に下がり、純利益は 9 億円ほどになる。配当は据え置かれ、現金は店の更新と借金の返済に回る。帳簿は残るが、それを生かす稼ぎが無く、値段は稼ぐ力に見合う水準まで下がる。本部が加盟店の統廃合を進めれば、地方の店から閉める判断も迫られる。
- カー用品(オートバックス加盟店・車検):数量 21,250(国内のカー用品と取付・整備の対象市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 1.6%(シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍)=実質の市場に対する売上の割合(名目))→ 売上 345 億円・営業利益 9 億円。市場 2.125 兆円(今の 0.85 倍)× シェア 1.25% × 価格 1.30 倍、利益率 2.5%(家賃は固定)
- ブライダル(アルカンシエル):数量 36.0(国内の婚姻組数(万組))× 価格 1.12(婚姻 1 万組あたりの売上(億円。取り分と単価を含む名目))→ 売上 40 億円・営業利益 1 億円。婚姻 36 万組 × 1.12 億円(1.25 倍)、利益率 3%
- 建設不動産:数量 30.0(完成工事・物件売却の件数(件・推定))× 価格 0.89(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。推定 30 件 × 0.89 億円、利益率 3%
倍率:ROE は約 3.3%で k を大きく下回る。値段は稼ぐ力(純利益÷k)までで PER の上限は 12.1 倍。家賃が固定費として残り利益の振れが大きいので、上限の 7.5 割の 9.0 倍。
確率:車の数の減りが速く、整備士の人件費が上がって値上げが追いつかない筋書き。2021/03 期に赤字に落ちたように、店の固定費が重いので 2 割を置いた。
悲観 11% 店を畳み、土地と在庫の価値まで沈む 利益 1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 2,400 円35 億円
車の数は 10 年で 4 分の 1 減り、カーシェアと EV の普及で整備の中身も変わる。エンジンまわりの部品と油脂の需要が消え、EV の整備はメーカー系のディーラーに流れる。オートバックスの本部は店の統廃合を進め、加盟店のアイエーは不採算の店を閉める。式場は 2 つ以上を閉め、閉鎖の費用を払う。家賃と人件費が残る中で営業利益はほぼゼロになり、配当は減らす。値段は、土地と在庫を売って借金を返した残りに近づき、帳簿の自己資本の 2 割ほどで止まる。創業家の会社で、清算を少数株主が決めることはできない。土地は神奈川の郊外にあり売れるが、在庫は投げ売りになる。
- カー用品(オートバックス加盟店・車検):数量 18,750(国内のカー用品と取付・整備の対象市場(億円・今の値段で測った実質))× 価格 1.3%(シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍)=実質の市場に対する売上の割合(名目))→ 売上 248 億円・営業利益 1 億円。市場 1.875 兆円(今の 0.75 倍)× シェア 1.10% × 価格 1.20 倍、利益率 0.5%
- ブライダル(アルカンシエル):数量 30.0(国内の婚姻組数(万組))× 価格 1.03(婚姻 1 万組あたりの売上(億円。取り分と単価を含む名目))→ 売上 31 億円・営業利益 −2 億円。婚姻 30 万組 × 1.03 億円、利益率 −5%(式場を閉める)
- 建設不動産:数量 20.0(完成工事・物件売却の件数(件・推定))× 価格 0.82(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。推定 20 件 × 0.82 億円、収支とんとん
倍率:ROE が k を大きく下回るので PBR で置く。営業利益が小さく EV÷営業利益は 40 倍を超えるが、値段は利益でなく床の資産で決まる筋書き。価値は稼ぐ力(純利益÷k で 6 億円ほど)より、床の資産(土地・在庫・現金から負債を引いた約 35 億、floor_assets_why)が大きい。今の自己資本 168 億に対し 0.21 倍。
確率:車の数が 4 分の 1 減り、式場も閉める構造的な負けの筋書き。過去 20 年で赤字が 2 回あり、加盟店として本部の方針にも縛られるので 1 割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
カー用品(オートバックス加盟店・車検)
オートバックス・スーパーオートバックス・車検のテクノキューブの加盟店を首都圏・東北・東海・関西で運営。車の販売・買取も。売上の 8 割。
| 数量国内のカー用品と取付・整備の対象市場(億円・今の値段で測った実質) | 価格シェア × 物価の倍率(10 年 1.34 倍)=実質の市場に対する売上の割合(名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 25,000 | 1.3% | 326 | 12 |
| 10 年後 中立 | 22,500 | 1.8% | 416 | 15 |
取り方:業種ノートのカー用品市場約 1.7 兆円に整備の取り込み分を足して対象市場を約 2.5 兆円とした(イエローハットと同じ置き方。推定)。売上 326.3 億円÷2.5 兆円でシェア約 1.3%。市場は実質、物価は価格の側。セグメント利益は有報の値。
ブライダル(アルカンシエル)
東海・関西中心に 5 つの式場(ゲストハウスウエディング)を運営し、宴会・法人イベントも受ける。
| 数量国内の婚姻組数(万組) | 価格婚姻 1 万組あたりの売上(億円。取り分と単価を含む名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 48.5 | 0.90 | 44 | 3 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 1.20 | 48 | 3 |
取り方:婚姻は 2024 年に約 48.5 万組。売上 43.5 億円をこれで割った(推定の置き方)。式場の組数の開示は無い。宴会・イベントの売上も含む。
建設不動産
地元の建築工事、収益物件の売買、太陽光・EV 充電の工事。
| 数量完成工事・物件売却の件数(件・推定) | 価格1 件あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 40.0 | 0.71 | 29 | 2 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 0.95 | 38 | 2 |
取り方:件数の開示は無いので 1 件約 0.7 億円と置いて外部売上 28.5 億円から件数を推定。前期 14 億円から 2.6 倍に振れたので、ならした水準で 10 年を置く。
リスクと懸念
車の数の減少と車離れ
人口の減少と都市部の車離れで、国内の車の数は長く減る。店の来客は車の数に比例するので、数量が1割落ちると、家賃と人件費が固定のまま利益は大きく削られる。
EVによる整備の中身の変化
EVはエンジンオイルや点火プラグが要らず、整備はメーカー系のディーラーに囲い込まれやすい。タイヤとバッテリーの需要は残るが、工賃の稼ぎ方が変わる。対応が遅れれば客を失う。
加盟店としての立場
看板と仕入れの条件、店の出し方は本部の方針に縛られる。ロイヤルティの条件が変われば利益率が動く。本部が直営化を進めれば、加盟店の地位そのものが問われる。
整備士の人件費の上昇
整備士は全国で足りず、賃金は物価より速く上がっている。前期はカー用品の売上が伸びたのに利益が減った。値上げが追いつかなければ、利益率は2%台に沈む。
婚姻の減少と式場の閉鎖
婚姻の数は年に2%前後減り、挙式をしない夫婦も増えている。式場は建物と人の固定費が重く、稼働が落ちれば赤字になり、閉鎖には費用がかかる。
資本の使い方
還元は利益の2割ほどで、現金が積み上がる。成長投資とM&Aに回した資金が資本コストを下回る稼ぎしか生まなければ、帳簿が増えるほど株主の価値は薄まる。
今後の分かれ目
- 自社株買いを大きく増やし、総還元が利益の5割を超えたら
- 積み上がる現金が株主に戻る。ROEが下がらず、楽観側の確率を上げてよい。
- カー用品の利益率が4%台に戻ったら
- 整備と車検の取り込みが値上げと人件費を上回った印。やや楽観の筋書きに近づく。
- オートバックスセブンが加盟店の買い取りや資本提携を持ちかけたら
- 帳簿の価値に近い値段がつく道が開く。株主にとっては上振れの材料になる。
- 式場を1つ以上閉めると発表したら
- 一時の損失は出るが、赤字の芽を摘む判断でもある。やや悲観の確率を少し上げる。
- 車検の台数が2年続けて減ったら
- 整備の需要の固さという前提が崩れる。中立の数量を下げる。
- M&Aで大きな買収を決めたら
- 買う事業と値段を見る。利益の5倍の自社株より高い倍率で買うなら、資本の使い方への懸念が強まる。
見ておくもの
- カー用品のセグメント利益率と車検の台数
- 総還元(配当+自社株買い)の利益に対する割合
- 式場の施行件数と宴会の売上
- オートバックスセブンの加盟店政策(直営化・統廃合)
- 純現金の積み上がり方と成長投資の中身
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価から置いていない。還元が利益の2割強のため10年後の自己資本が膨らみ、全ての筋書きで事業のROEはk 8.25%を下回る。正当化PERの上限は1÷k=12.1倍で、利益の質で7.5〜9割を選んだ。今のPER約5倍・PBR 0.4倍は根拠にしていない。悲観は土地・在庫・現金から負債を引いた約35億で置いた。新リース会計基準で2028/03期から借りた店がBSに載るが、10年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.9→12.33 倍・やや楽観 PER 10.3→12.12 倍・中立 PER 9.7→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。