結論
ホリイフードサービスは、茨城を地盤に北関東・首都圏・東北で居酒屋を営む会社だ。筆者の結論は、今の値段は回復の勢いを先取りしすぎており、利益から見て割高というものだ。
コロナ禍で売上は半分以下になり、自己資本はほぼ消えた。2024 年に不動産会社のシティクリエイションホールディングスが TOB で親会社になり、そこから立て直しが進む。今期は値上げと訪日客向けのステーキ店が効き、営業利益は 5 億円台に戻る見込みだ。
ただ、居酒屋の需要は長い目で細る。若い人は酒を飲まなくなり、会社の宴会も戻りきらない。人件費は毎年上がり、店の家賃は売上が落ちても下がらない。
株主への還元は、配当ではなく手厚い株主優待が中心だ。優待の価値を数えても、利益の回復が今の値段に見合うほど続くとは、筆者は見ていない。
10 年の中心の筋書きでは、営業利益は名目で今とほぼ同じ 5 億円台にとどまる。物価を差し引けば、実質の稼ぎは 2 割以上減る。ROE は資本コストにほぼ並ぶ水準で、成長に高い値を払う理由は乏しい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、この会社を長く持ちたい理由は見つけにくい。居酒屋は参入が容易で、値段を決める力も弱い。10 年後に今より強くなっている姿を描くのは難しい。
今期の回復は評価できる。値上げを通し、訪日客向けの店で新しい稼ぎ方を見つけ、安く買える会社を買っている。親会社の下で経営の動きは速くなった。
それでも、家賃と人件費という固定の重みは変わらない。利益が少し落ちれば、家賃が残って赤字になる。過去にそれが二度起きている。
筆者は、今の値段は回復が長く続くことを前提にしすぎていると見る。優待は魅力だが、安全域の代わりにはならない。
もう一つ気になるのは、還元の形だ。配当が無く、還元は優待に偏る。優待は使える場所が限られ、現金ほどの値打ちは無い。オーナーとして受け取るなら、現金の配当のほうがよい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は、店を借りて料理と酒を出す、ごく普通の居酒屋の商売だ。主力は「うまいもん酒場えこひいき」などの和風の居酒屋で、2025 年 11 月末で約 80 店ある。茨城・栃木・群馬の北関東が 38 店、首都圏が 31 店、東北が 12 店だ。
今期の中間期は、北関東・首都圏がそれぞれ売上 13 億円前後で、店の段階の利益は 2.8 億円ずつあった。本部の費用が年 6 億円ほどかかり、それを引いた全社の営業利益は 3.5 億円だった。
新しい柱も育てている。訪日客向けの「KOBE Beef Emperor Steak」を浅草に開き、2 号店を京都に出した。客単価が高く、利益率もよい。
買収も始めた。2025 年 12 月に仙台・郡山の焼肉 3 店を、2026 年 6 月に近畿の持ち帰り寿司「スシマス」を買った。スシマスは純資産 10.7 億円の会社を 3.8 億円で買い、その後に本社の土地建物を 4 億円で売っている。
売上の大半は夜の酒と料理で、宴会と週末に客が集まる。12 月の忘年会の季節に利益が偏り、決算期を 11 月に変えたのも、この繁忙期を期の初めに置くためとみられる。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みはほとんど無い。低価格の居酒屋は、鳥貴族やワタミ、ヨシックスホールディングスなど競合が多く、店の数も料理も簡単にまねできる。
利益率の記録がそれを示す。営業利益率は 2000 年代に 11% あったが、2010 年代は 1〜6% に下がり、コロナ禍では大きな赤字になった。過去 10 年の ROE の中央値はマイナスだ。
今期の回復は本物だが、値上げと訪日客という追い風に乗った面が大きい。
財務も厚くない。自己資本は 13 億円で、借入が 14 億円ある。店はほぼすべて借りており、家賃は毎年必ず払う約束だ。現金は見かけほどの安全網にならない。
経営の質は親会社が入ってから上がった。メニューと価格の見直し、アプリの会員づくり、閉店の判断が速い。ただ、それは堀ではなく、手入れのうまさだ。競合も同じ手を打てる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食の市場は、コロナ禍からの戻りと値上げで、金額では伸びている。だが居酒屋は別だ。若い人の酒離れ、会社の宴会の減少、在宅で飲む習慣の定着で、居酒屋の客は長い目で減り続ける。
コストの側は厳しい。最低賃金は毎年上がり、パートの確保は年々難しい。米や肉、魚などの食材も上がる。値上げはある程度通るが、低価格を売りにする店ほど、上げられる幅は小さい。
勝ち残る道は 2 つある。1 つは、訪日客や専門の料理のように、客単価が高く値段を決めやすい店に移ること。もう 1 つは、後継ぎのいない中小のチェーンを安く買い、仕入れと本部をまとめて利益率を上げることだ。ホリイはその両方に手を付けた。
10 年の見通しとして、筆者は居酒屋の店舗数を 1 割減、1 店あたりの売上は物価をやや下回ると置く。
競合の顔ぶれも厳しい。鳥貴族は焼き鳥の均一価格で客を集め、ワタミやモンテローザは店を減らしながら業態を変えている。郊外では、ファミリーレストランや回転寿司が「軽く飲める店」として居酒屋の客を奪う。持ち帰り寿司や弁当の中食も、家で飲む人の受け皿として伸びている。ホリイが鮨桝を買ったのは、この流れに乗る狙いだろう。
資本政策と M&A
還元は配当でなく株主優待が中心だ。配当は無配が続く。優待は 500 株以上の株主に、ジャパネットの買い物券か自社の食事券を贈る。2,000 株で 10 万円相当と手厚く、1 年以上の保有で上乗せがある。原価で見た費用は年 0.5 億円前後と筆者は推定する。
2026 年 6 月には 5 万株、0.36 億円の自社株買いもした。
親会社のシティクリエイションホールディングスが約半分の株を持つ。資本の使い方は、親会社の方針で買収を重ねる形だ。買い手として安く買えているうちはよいが、買収で広げた店が重荷になる恐れもある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社は変わった。親会社が入ってから、値上げ、店の作り替え、アプリでの予約、そして買収と、手を次々に打っている。今期の営業利益は前の年の 3 倍近くに戻る見込みだ。
訪日客向けのステーキ店は、客単価が高く、利益率も高い。東京と京都に続いて店を増やせば、居酒屋の細りを補える。
買収は安く買えている。スシマスは純資産の 3 分の 1 の値段で買い、本社の土地を売って代金をほぼ取り戻した。後継ぎのいない飲食チェーンは全国に多く、同じ手を何度も使える。
優待は 2,000 株で 10 万円相当と手厚い。株主の数が増えれば、株の流動性も上がる。
居酒屋の店は、立地と内装を変えれば別の業態に作り替えられる。店の器を持っていること自体が、次の稼ぎ方への選択肢になる。人手不足で閉じる同業が増えるほど、残った店に客が集まる面もある。親会社の資金力があるので、良い買収の機会を逃さずに済む。今期の利益の戻りは、その手入れが数字に表れ始めた最初の年にすぎない。
慎重な見方
居酒屋の需要は構造的に細る。今期の回復は、値上げと訪日客という追い風の結果で、追い風は永遠ではない。
固定費が重い。店はほぼ借りており、家賃は売上が落ちても下がらない。最低賃金は毎年上がる。コロナ禍では売上が半分以下になり、自己資本がほぼ消えた。同じ構造が今も残る。
買収の利益も見かけほどではない。安く買えたのは、買った会社が稼げていなかったからだ。スシマスの営業利益率は 1% 台にすぎない。
親会社が半分を持ち、配当は無い。少数株主に戻るのは、利益から費用として引かれる優待だけだ。
今の値段は、今期の利益の 20 倍近くを払う計算になる。居酒屋の利益が 10 年先まで続き、しかも伸びるという前提でしか正当化できない。過去 20 年でその前提が成り立った時期は短い。
訪日客向けの店も、為替と観光の流れに左右される。インバウンドが落ち込めば、高い客単価の店ほど空席が目立つ。成長の柱を、最も振れの大きい需要に置いている。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうが強い。経営の動きは評価できるが、居酒屋の需要と固定費の構造は変わっていない。今期の利益が 10 年続く前提で値段を付けるのは楽観に過ぎる。確率は中立の 4 割弱を軸に、悲観の側へ 3 割強を置いた。
強気の言い分のうち、買収の巧さは本物だが、買った店の利益は小さく、10 年の価値を大きく変えるほどではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/11 期)
確率で加重した株価時価総額 801 円55 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 150 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 410 円28 億円、今との差 −64.3%、 期待の年率 −1.9%(資本コスト 9.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,904 円131 億円 | 305 円21 億円 | +91.9% | +6.7% | 177 円12 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,389 円96 億円 | 218 円15 億円 | +39.6% | +3.4% | 321 円22 億円 |
| 中立 | 37% | 857 円59 億円 | 160 円11 億円 | −11.6% | −1.2% | 376 円26 億円 |
| やや悲観 | 22% | 219 円15 億円 | 84 円6 億円 | −73.7% | −12.5% | 66 円5 億円 |
| 悲観 | 13% | 45 円3 億円 | 36 円3 億円 | −92.9% | −23.3% | 11 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 801 円55 億円 | 150 円10 億円 | −17.3% | −1.9% | 952 円65 億円 |
今の株価時価総額 1,151 円79 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 訪日客向けの店と買収が当たり、規模が倍になる 利益 8 億円 · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 1,904 円131 億円
訪日客向けの「KOBE Beef Emperor Steak」が東京・京都・大阪の観光地に広がり、客単価の高い店が利益を押し上げる。
買収も続く。後継ぎのいない地方の飲食チェーンを安く買い、仕入れと本部の仕事をまとめて利益率を上げる。持ち帰り寿司は近畿で店を増やす。
居酒屋の既存店は、アプリの会員と予約で客数を保つ。人手不足はセルフ注文とロボットで補う。
利益は今の 2 倍を超え、配当も始まる。ただ居酒屋の中心の需要が細る流れそのものは変わらない。
親会社の不動産の知見で、良い立地を安く借りられることも利益を押し上げる。利益の伸びは主に新しい店と買収から来る。
- 居酒屋・焼肉・ステーキ(東日本中心):数量 92.4(店舗数(店))× 価格 0.94(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 87 億円・営業利益 18 億円。店舗 1.1 倍(訪日客の店と買収)、利益率 21%
- 持ち帰り寿司(鮨桝食品):数量 40.0(店舗数(店・推定))× 価格 0.48(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。店舗 1.6 倍、利益率 6%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 33.9% が k 9.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 21.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.2 倍。全体の PER 14.2 倍、時価総額 114 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:親会社のもとで買収を重ねる方針は明確で、ステーキ店は高い利益を出している。ただ買収は始まったばかりで、居酒屋の需要は細るので 1 割に届かない。
やや楽観 20% 既存店を保ち、小さな買収で上乗せする 利益 6 億円 · PER 13.7 倍 · 株価時価総額 1,389 円96 億円
居酒屋の店舗数は閉店と出店が釣り合い、ほぼ横ばいで続く。値上げは物価並みに通り、アプリの会員による予約が客数を支える。
人件費は上がるが、配膳ロボットと注文の端末で店の人数を減らし、店の段階の利益率は 20% を保つ。
持ち帰り寿司は本部の仕組みを入れて黒字を厚くし、店も 2 割増える。
利益は 1.5 倍になり、配当が少しずつ始まる。株主優待も続き、少数株主への還元はおもに優待の形をとる。
この筋書きでも、居酒屋の客は少しずつ減る。それを値上げと買収で埋め続けることが前提になる。経営の手入れが 10 年途切れないことが条件だ。
- 居酒屋・焼肉・ステーキ(東日本中心):数量 84.0(店舗数(店))× 価格 0.92(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 78 億円・営業利益 16 億円。店舗横ばい、利益率 20%
- 持ち帰り寿司(鮨桝食品):数量 30.0(店舗数(店・推定))× 価格 0.47(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。店舗 1.2 倍、利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 28.2% が k 9.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 19.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.7 倍。全体の PER 13.72 倍、時価総額 80 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今期は値上げと訪日客で利益が大きく戻った。その水準を保ち、買収で少し足す筋書き。居酒屋の逆風を考えて 2 割。
中立 37% 居酒屋は細るが、値上げで利益を保つ 利益 4 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 857 円59 億円
居酒屋の需要は細る。若い人は酒を飲まなくなり、宴会も減った。店舗数は 10 年で 1 割減り、1 店あたりの客数も少し減る。
それでも値上げは物価に近い幅で通る。今期のように季節のメニューと価格を見直し、客単価を上げる。店の段階の利益率は 19% と今に近い。
本部の費用は物価で増えるが、事務の自動化で少し抑える。家賃は契約ごとに上がる。
営業利益は名目で今とほぼ同じ 5 億円台にとどまる。物価を差し引けば、実質の利益は 2 割以上減る形だ。配当は小さく始まり、優待が続く。
株主優待は続くが、その費用は利益から引かれている。少数株主から見ると、優待と小さな配当を受け取りながら、利益が実質で細る 10 年になる。
- 居酒屋・焼肉・ステーキ(東日本中心):数量 75.6(店舗数(店))× 価格 0.88(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 66 億円・営業利益 13 億円。店舗 0.9 倍、客数の減りで 1 店の売上は 1.27 倍、利益率 19%
- 持ち帰り寿司(鮨桝食品):数量 25.0(店舗数(店・推定))× 価格 0.46(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。店舗横ばい、利益率 3%
倍率:ROE 9% 台で k 9.75% にほぼ並ぶので、PER は 1÷k ≒ 12.59 倍(下限)。新しく投じるお金は資本コスト並みしか稼がない前提。
確率:居酒屋の客は長い目で減り、店も少しずつ閉じる。利益は名目で今と同じ水準を保つ筋書きが最も起こりやすいので 4 割弱。
やや悲観 22% 人件費と家賃に挟まれ、利益がほぼ消える 利益 1 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 219 円15 億円
値上げをすると客が離れる。低価格を売りにする居酒屋は、物価ほどには値段を上げられない。店舗数は 2 割減り、1 店の売上も物価に届かない。
一方で、パートの時給は最低賃金とともに毎年上がる。店の家賃は売上が落ちても変わらない。店の段階の利益率は 16% に下がる。
本部の費用と家賃の固定費が重く残り、営業利益は 1 億円台に落ちる。配当はほぼ出せず、優待も縮む。親会社の支援が無ければ、買収で広げた店も整理の対象になる。
この筋書きでは、会社の帳簿の自己資本は残っても、それを生む稼ぐ力が細る。資本コストに届かない ROE が続き、株主の価値は少しずつ目減りする。
- 居酒屋・焼肉・ステーキ(東日本中心):数量 65.5(店舗数(店))× 価格 0.83(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 54 億円・営業利益 9 億円。店舗 0.78 倍、利益率 16%(家賃が固定で残る)
- 持ち帰り寿司(鮨桝食品):数量 22.5(店舗数(店・推定))× 価格 0.42(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。利益率 1%
倍率:ROE 2〜3% で k 9.75% を大きく下回るので、上限は 1÷k ≒ 11.1 倍。稼ぐ力が細る途中なので 8 割の 9 倍。
確率:低価格の居酒屋は値上げの余地が小さく、人件費の上昇がそのまま利益を削る。家賃は売上が落ちても下がらない。2 割強を置いた。
悲観 13% 客離れが進み、赤字の店を抱える 利益 −4 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 45 円3 億円
客足が大きく遠のく。景気の悪化か、人手不足で店を開けられない日が増えるかのどちらかだ。店舗数は 4 割減り、1 店の売上も物価に届かない。
家賃と本部の費用は簡単には減らない。営業赤字が続き、閉店の損失も出る。2021〜2023 年のように、自己資本がまた細る。
親会社が支えれば会社は残るが、少数株主にとっての価値は小さい。買収で得た店も売るしかなくなる。優待は大きく縮み、配当は出ない。
優待の費用は利益から引き済みなので、自己資本の流れからは配当だけを引いており、還元の合計には優待の受け取り分を足している。
- 居酒屋・焼肉・ステーキ(東日本中心):数量 50.4(店舗数(店))× 価格 0.76(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 3 億円。店舗 0.6 倍、利益率 8%
- 持ち帰り寿司(鮨桝食品):数量 17.5(店舗数(店・推定))× 価格 0.39(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。赤字
倍率:赤字なので PBR。今の自己資本に 0.3 倍。床は純現金と敷金から、家賃の約束と閉店の費用を引いた額(floor_assets_why)。
確率:コロナ禍で売上が半分以下になり、自己資本がほぼ消えた過去がある。景気の悪化や人手不足で同じことが起こりうるので 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
居酒屋・焼肉・ステーキ(東日本中心)
「うまいもん酒場えこひいき」などの和風の居酒屋を北関東・首都圏・東北で営む。焼肉と訪日客向けのステーキ店も含む。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/11 | 84.0 | 0.69 | 58 | 12 |
| 10 年後 中立 | 75.6 | 0.88 | 66 | 13 |
取り方:2026/11 期の会社予想(売上 59.8 億円・営業利益 5.32 億円)と中間期の地域別の利益から、店の段階の利益を 11.5 億円(全社費の前)と推定。店舗数は 2025/11 末の 81 店に焼肉 3 店を足した。
持ち帰り寿司(鮨桝食品)
2026 年 6 月に買った近畿の持ち帰り寿司「スシマス」と弁当の事業。
| 数量店舗数(店・推定) | 価格1 店あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 25.0 | 0.35 | 9 | 0 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 0.46 | 11 | 0 |
取り方:買収前の 2025/08 期の売上 8.74 億円・営業利益 0.125 億円(M&A の開示)。店舗数は開示が無く 25 店と推定した。
リスクと懸念
居酒屋の需要の縮小
若い人の酒離れと会社の宴会の減少で、居酒屋の客は長い目で減る。値上げで客単価を上げても、客数の減りが続けば売上は伸びない。
人件費と食材の上昇
最低賃金は毎年上がり、パートの確保も難しい。低価格の業態は値上げの幅が小さく、コストの上昇がそのまま利益を削る。
家賃という固定の約束
店はほぼ借りている。家賃は売上が落ちても下がらず、売上が 2 割落ちれば利益は消える。新リース会計基準では、この約束が負債として帳簿に載る。
買収の失敗
親会社の方針で、稼げていない飲食チェーンを安く買う。立て直しに失敗すれば、のれんの減損や閉店の損失が出る。
親会社と少数株主
シティクリエイションホールディングスが約半分を持つ。配当は無く、資本の使い方は親会社の方針で決まる。優待の見直しも親会社の考え次第だ。
今後の分かれ目
- 訪日客向けのステーキ店が 5 店を超え、利益の 2 割を稼ぐ
- 居酒屋の細りを補える証拠になり、やや楽観の側へ寄せる。
- 既存店の客数が 2 年続けて前年を下回る
- 値上げの効果が客離れで消えている証拠で、やや悲観の側へ寄る。
- 配当を始める
- 還元が優待だけでなくなり、還元の合計を上げて見直す。
- 親会社による完全子会社化の提案が出る
- 単独で続く前提が変わるので、提示の条件で考え直す。
- 買収した会社の減損が出る
- 買収の質に疑いが出て、悲観の側へ寄る。
見ておくもの
- 既存店の売上と客数(月次)
- 訪日客向けステーキ店の店数と利益
- 店の段階の利益率(地域別のセグメント利益)
- 買収した会社の利益(鮨桝・焼肉)
- 優待の内容と配当の開始
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k の式だけから決めた。中立は ROE が k 9.75% にほぼ並ぶので PER は 1÷k ≒ 11.1 倍、楽観側は式の上限の 9 割前後に置いた。今の PER や同業の値付けは見ていない。株主優待は原価で年 0.5 億円と推定し、10 年の還元に足した(中立 5 億円・やや悲観 3.75 億円・悲観 2.5 億円)。費用は利益から引き済みなので、自己資本の流れでは配当だけを引いた。店は賃借なので、10 年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた(新リース会計基準で 2029/11 期ごろから形が変わる)。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→14.2 倍・やや楽観 PER 11.5→13.72 倍・中立 PER 11.1→12.59 倍)。
資本コスト 9.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に +1.5% で 9.0%。同じ領域のヨシックス(+0.8%)より、規模が小さく自己資本が一度消えた財務の弱さと、居酒屋の比率の高さの分だけ高い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 9.75%。