結論
マルヨシセンターは香川県を地盤に、徳島・愛媛・兵庫で約33店の食品スーパーを営む地場チェーンだ。筆者の結論は割高である。一番の理由は、営業利益率が1%前後しかなく、利払いと税を引くと株主に残る利益がごく薄いことにある。
2015年に広島のイズミが約2割を出資し、2024年からはシステム・仕入・物流を一つにした。仕入れの値段が下がる効果は出始めたが、人件費と電気代の上昇がそれを食う。会社自身も次の期の純利益をほぼゼロと見込んでいる。
10年の中立では、店の数がわずかに減り、1店の年商は物価並みに伸び、利益率は今と同じ1%前後にとどまる。自己資本で稼ぐ利回りは資本コストに届かず、利益に掛けられる倍率は低い。純負債は時価総額を上回り、借り換えの金利が上がるほど利益は削られる。
優待と自前の土地は株主の支えに見える。だが本業の稼ぐ力から測った価値は、今の値段の半分に届かないと筆者は見る。
筆者が見ておきたいのは、イズミとの統合が店の運営まで深まるかどうかだ。そこまで進めば利益率は2%台に戻りうるが、今の開示からはまだ読み取れない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、持ち続けたい事業ではない。理由は単純で、稼ぐ力が資本コストに届かないまま、借金が重いからだ。売上の1%しか営業利益が残らない商売では、物価が上がっても株主の取り分はほとんど増えない。
土地を自前で持つことは安心材料に見える。だが店として使う限り、土地は家賃の節約以上の現金を生まない。売れば店がなくなる。帳簿の土地の厚みは、借金と退職金の約束でほぼ打ち消される。
安全域、つまり払う値段と価値の差のゆとりは、今の値段では見当たらない。この株を持つ意味は、イズミとの統合が深まり、利益率が2%台に乗る筋書きに賭けることになる。それは起こりうるが、確かとは言えない。
経営陣は借入を減らし、投資も改装に絞っており、資本の使い方そのものは慎重だ。それでも、稼ぐ力の弱い事業に資本を置き続ける限り、株主の価値は増えにくい。残した利益が資本コスト以上を稼がなければ、利益をためても価値は増えないからだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、地域の家庭が毎日買う生鮮と惣菜だ。売上の大半は食品で、テナントの家賃や取引先からの配送料などの営業収入が少し上乗せされる。報告するセグメントは小売の一つだけで、レストランなどは小さい。
店は香川県の高松周辺が中心で、徳島・愛媛・兵庫の淡路島に広がる。子会社のフレッシュデポが惣菜や加工品を作り、物流子会社のレックスが店へ運ぶ。レックスは2026年8月に残りの株を買い取り、完全子会社にした。
会社は「マルヨシクオリティ」を掲げ、鮮度と味の点検、時間帯ごとの品ぞろえ、店長が販促と経費を決める仕組みを進めている。改装した徳島の三加茂店は計画を上回り、愛媛の椿店が続いた。一方で契約が満了した高松の片原町店は閉じており、店の数は増えていない。
土地の大半は自社で持つ。土地の帳簿は66億円で時価総額を上回り、家賃の負担は年7億円ほどと売上に比べて軽い。そのぶん建物の建て替えは自前の資金でまかなう必要があり、借入が膨らむ原因にもなってきた。
惣菜と加工品を自社の工場で作れるのは、地場チェーンとしては強みの一つだ。弁当や刺身の味で差をつけやすく、粗利も取りやすい。ただ工場の稼働を保つには一定の店数が要り、店が減れば工場の固定費が重くなる。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは薄い。地元で長く続く店の信用と、生鮮の目利きはある。だが四国にはイズミのゆめタウン、イオン系のマルナカ、岡山のハローズ、食品を安く売るドラッグストアがひしめき、値段は競合が決める。
資本効率は低い。過去10年のROEの中央値は5%に届かず、資本コストを下回り続けた。営業利益率の最高は2%台で、過去20年に赤字の期が6度ある。
財務も重い。純負債は自己資本の1.6倍あり、自己資本比率は2割を切る。借入の返済は進んでいるが、設備投資は減価償却を下回る年が続き、店の古さが先々の負担になる。
イズミとの統合は数少ない明るい材料だ。仕入と物流で大手の規模を借りられるのは、年商400億円台の会社にとって大きい。ただし統合の効果の多くは、イズミの網に乗ることで得られるもので、自力の強みとは言いにくい。経営は堅実で、無理な出店や買収で資本を壊した跡はない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
食品スーパーの数量は人口とともに細る。四国の人口は全国より速く減り、客の数は10年で1割近く減ってもおかしくない。一方で物価の上昇は客単価を押し上げ、名目の売上は伸びる。問題は、人件費と電気代も同じかそれ以上に上がることだ。
最低賃金の引き上げは、パートの多いスーパーを直撃する。会社は1時間あたりの粗利を上げる工夫を続けているが、薄い利益率では少しの費用の上振れで赤字に転ぶ。2027/02期の予想が営業利益の半減になっているのは、その表れだ。
競争の形は、地域の大手への集約だ。イズミはフジを傘下に入れて四国でも大きくなり、イオン系のマルナカとハローズも出店を続ける。小さな地場チェーンは、大手と組むか、店を絞るかの選択を迫られている。
マルヨシセンターはイズミと組む道を選んだ。仕入と物流の統合は効いているが、店の運営は自前のままだ。10年のどこかで、より深い統合を求められる公算は大きいと筆者は見る。
物流と仕入の共同化は業界の流れでもある。店の少ない会社ほど、1店あたりの物流費と本部の費用が重くなる。33店という規模は単独で効率を上げるには小さく、どこかの網に乗ることが生き残りの条件になりつつある。冷蔵と冷凍の多いスーパーでは、水道光熱費が売上の2%を超え、営業利益より大きい。
資本政策と M&A
配当は長く同じ額の据え置きが続き、配当性向は2割ほどだ。自社株買いの実績はない。株主優待は100株以上に買い物券1万円分かギフトカード5千円分で、会社の費用(原価)にすると年0.1億円ほどと小さい。
大株主はイズミが19.8%、創業家の佐竹家と資産管理会社が合わせて約18%、取引先持株会が8.8%だ。安定した株主で過半近くを固めており、株主の声で資本の使い方が変わる会社ではない。
いちばん現実的な再編はイズミによる子会社化だが、そうした発表はない。仮に起きても、値段は本質価値でなく交渉で決まる。配当の原資は薄い利益で、利益が戻らなければ増配の余地もない。当面は借入の返済が優先される。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
イズミとの統合は、まだ効き始めたばかりだ。システム・仕入・物流を一つにしたのは2024年6月で、仕入原価の低下は2026/02期の増益にようやく表れた。イズミの規模で買い付ければ、地場チェーンには届かない値段で生鮮やプライベートブランドを仕入れられる。
改装した店は計画を上回った。三加茂店で上げた人時生産性を他の店に広げれば、人手不足の中でも利益率を2%近くまで戻せる。2021/02期には2.4%を出した実績もある。
土地の大半を自社で持つので、家賃の値上げに振り回されない。借入は毎年減っており、10年で純負債が半分になれば、金利が上がっても利払いは重くならない。
そしてイズミが残りの株を買う日が来れば、地場の店網と土地には相応の値段が付く。
電気代も、冷蔵庫の入れ替えなど省エネの投資で使う量を減らしており、単価の上昇をそのまま受けるわけではない。人口が減る地方でも、地域一番店の座を守れば客は集まる。
慎重な見方
利益率1%の小売は、費用が1%上振れするだけで赤字になる。2027/02期の予想は営業利益の半減で、純利益はほぼゼロだ。原油高と賃上げの波は一度で終わらず、物価高が続く限り毎年押し寄せる。
四国の人口は減り続ける。客の数が減る中で、ゆめタウン、マルナカ、ハローズ、ドラッグストアが同じ客を取り合う。値上げを先に通せるのは規模の大きい側で、地場の小さなチェーンは後を追うしかない。
設備投資は償却を下回り、店は古くなる。建て替える時には建築費の上昇で投資が膨らみ、借入に頼れば3.5%の金利がかかる。純負債は時価総額を上回っており、利払いの増加は純利益を直接削る。
イズミとの提携も、イズミの都合で動く。子会社化するにしても、少数株主に有利な値段になる保証はない。
省エネの投資は使う量を減らすが、単価の上昇には勝てない。水道光熱費はすでに営業利益の3倍近い。人手の取り合いでも、給料を上げやすいのは大手の側だ。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうが強い。統合の効果は本物だが、人件費と電気代の上昇がそれを上回る兆しが、会社自身の予想に出ている。確率は中立に厚く、やや悲観と悲観を合わせた重みを、上振れの二つより重くした。上振れの可能性はイズミとの一体化がどこまで進むかに懸かっており、その進み具合が判断を変える一番の材料になる。今の時価総額は、中立の筋書きの価値を大きく上回っている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 3,056 円29 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 463 円4 億円)。 今の値に割り戻すと 1,527 円14 億円、今との差 −67.3%、 期待の年率 −2.8%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 10,667 円100 億円 | 1,059 円10 億円 | +151.4% | +9.7% | 704 円7 億円 |
| やや楽観 | 18% | 6,027 円56 億円 | 738 円7 億円 | +45.0% | +3.8% | 1,218 円11 億円 |
| 中立 | 40% | 2,595 円24 億円 | 417 円4 億円 | −35.4% | −4.3% | 1,205 円11 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,011 円9 億円 | 339 円3 億円 | −71.1% | −11.7% | 324 円3 億円 |
| 悲観 | 12% | 419 円4 億円 | 155 円1 億円 | −87.7% | −18.9% | 69 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,056 円29 億円 | 463 円4 億円 | −24.6% | −2.8% | 3,519 円33 億円 |
今の株価時価総額 4,665 円44 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.5% を下回るほど割高。
楽観 6% イズミとの一体化で利益率が倍増 利益 8 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 10,667 円100 億円
イズミとの統合が仕入から店の運営にまで広がり、商品・販促・人の配置まで一体で動く。生鮮の調達力が上がり、改装した店が地域一番店として客を集める。店は34店まで少し増え、1店の年商は物価を上回って伸びる。営業利益率は2%台に乗り、過去の最高に並ぶ。借入は返済が進み、金利が上がっても利払いは重くならない。増えた利益で配当も上がり、優待も続く。資本コストを上回る利回りが定着し、普通の地場チェーンから、大手の網の中で稼ぐ店網へと見方が変わる10年になる。イズミが子会社化に動く場合も、この筋書きの稼ぐ力が値段の土台になる。
- 食品スーパー(小売事業):数量 34.0(店舗数(店))× 価格 18(1 店あたり年間の営業収益(億円。売上+テナント・配送などの営業収入))→ 売上 629 億円・営業利益 14 億円。店数 34・1 店の年商は今の 1.42 倍・営業利益率 2.20%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.9% が k 9.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.75 倍、時価総額 92 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:イズミとの一体化が店の運営まで進み、利益率が過去の最高に並ぶ必要がある。営業利益率が2%を超えたのは過去30年で数年しかなく、重みは小さく置いた。
やや楽観 18% 四国戦略の改装が実り、地域一番店が増える 利益 5 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 6,027 円56 億円
四国の店の改装が残りの店に広がり、人時生産性の改善で人件費の上昇を吸収する。店の数は今の33店を保ち、1店の年商は物価よりやや速く伸びる。営業利益率は1.6%まで戻り、コロナ前後の良い年の水準に届く。イズミとの仕入・物流の統合は効き続けるが、店の運営は自前のままだ。借入の返済が進み、純負債は少しずつ減る。配当は利益に合わせて増え、ROEは資本コストをわずかに上回る。地場の優良店として生き残る筋書きだ。電気代は省エネ投資で使う量が減り、物価並みの上昇に収まる。土地を自前で持つ強みが、家賃の上がる時代に効いてくる。
- 食品スーパー(小売事業):数量 33.0(店舗数(店))× 価格 18(1 店あたり年間の営業収益(億円。売上+テナント・配送などの営業収入))→ 売上 602 億円・営業利益 10 億円。店数 33・1 店の年商は今の 1.40 倍・営業利益率 1.60%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 9.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.77 倍、時価総額 53 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:改装店の成功は開示で確かめられ、人時生産性の改善も進む。ただ全店に広げて費用の上昇を上回れるかは未知で、中立より低く置いた。
中立 40% 中立:薄い利益率のまま店を守る 利益 2 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 2,595 円24 億円
店は契約満了や赤字店の閉鎖で31店に減り、1店の年商は物価並みに伸びる。客の数は人口とともに細るが、客単価がそれを補う。営業利益率は1%前後のままで、統合の効果は人件費と電気代の上昇でほぼ打ち消される。今の建物の償却は取得した時の値段のまま残り利益率を少し支えるが、建て替えの投資は建築費の上昇で膨らむ。借入は少しずつ減るが、金利の上昇で利払いは今より重い。今の配当は続き、優待も残る。株主の取り分は薄いまま、店網を守る10年になる。イズミとの関係は今の形のまま続き、大きな再編は起きない。純利益は2億円台に戻るが、自己資本に対する利回りは資本コストに届かず、利益をためても株主の価値はあまり増えない。
- 食品スーパー(小売事業):数量 31.0(店舗数(店))× 価格 18(1 店あたり年間の営業収益(億円。売上+テナント・配送などの営業収入))→ 売上 549 億円・営業利益 6 億円。店数 31・1 店の年商は今の 1.36 倍・営業利益率 1.02%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 9.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.5 倍。全体の PER 10.53 倍、時価総額 24 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去10年の営業利益率の中央値1%前後が続くと見るのが自然だ。統合の効果と費用の上昇が打ち消し合う形を中心に置いた。
やや悲観 24% 人件費と電気代に押され、店が減る 利益 1 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,011 円9 億円
賃上げと電気代の上昇が値上げに追いつかず、営業利益率は0.75%に下がる。ドラッグストアと、イズミ・マルナカの新しい店に客を取られ、店は30店に減る。建物の更新を先送りし、古い店から客が離れる。借入は思うように減らず、3.5%の金利が利益を削る。純利益は1億円ほどにとどまり、配当は据え置き、優待は中身を縮める。赤字にはならないが、資本コストを大きく下回る稼ぎが続き、株主の価値は細っていく。イズミとの提携は続くが、仕入の効果は物価の上昇に埋もれる。改装は数年に一度に減り、売場の魅力は少しずつ落ちていく。
- 食品スーパー(小売事業):数量 30.0(店舗数(店))× 価格 17(1 店あたり年間の営業収益(億円。売上+テナント・配送などの営業収入))→ 売上 516 億円・営業利益 4 億円。店数 30・1 店の年商は今の 1.32 倍・営業利益率 0.75%
倍率:ROE 2.9%(1.05 ÷ 36.2)と資本コストを大きく下回る。PER の上限は 1÷k = 12.5 倍だが、稼ぐ力が細り続ける筋書きなので 9.0 倍とした(稼ぐ力 1.05 ÷ 8% = 13 億円の内)。今の自己資本 32.7 億円に対する PBR は 0.29 倍で中立より低い。
確率:会社自身が次の期の営業利益を半減と見込む。賃上げと電気代の上昇は10年続く前提なので、上振れの筋書きより厚く置いた。
悲観 12% 構造的に負け、閉店と資産の切り売りへ 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 419 円4 億円
四国の人口減と大手の出店に押され、客数の減少が止まらない。値上げは大手に後れ、営業利益率はほぼゼロになる。不採算の店を閉じて26店まで縮み、減損と閉店の費用が続く。利払いを差し引くと毎年赤字で、自己資本は半分近くまで減る。配当はほぼ止まり、優待も縮む。最後は土地や店を大手に売って借入を返す道しか残らず、株主に残るのは資産を売った後のわずかな額だ。イズミとの提携も見直され、仕入と物流の効果が薄れる。地方の郊外の土地は値上がりせず、売っても借入と退職金の約束を払えば手元にはほとんど残らない。イズミや他の大手が店を引き取る形で事業は残っても、株主の取り分はごくわずかになる。
- 食品スーパー(小売事業):数量 26.0(店舗数(店))× 価格 16(1 店あたり年間の営業収益(億円。売上+テナント・配送などの営業収入))→ 売上 423 億円・営業利益 1 億円。店数 26・1 店の年商は今の 1.25 倍・営業利益率 0.20%
倍率:赤字の筋書きなので PBR で測る。稼ぐ力は無く、床は売れる資産から借金と約束を引いた残り(floor_assets_oku 4 億円)。今の自己資本 32.7 億円に対する PBR 0.12 倍。市場の倍率は使っていない。谷の年は営業利益が 0.85 億円と小さく、今の純負債 52.7 億円を足した EV ÷ 営業利益は 60 倍を超えるが、谷の 1 年の利益で測る数字ではなく、資産の床で測った。
確率:純負債が厚く利益率が薄いので、客数の減少が続けば赤字に落ちやすい。過去20年にも赤字の期が6度ある。イズミという買い手がいるので清算までは行きにくく、12%にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
食品スーパー(小売事業)
香川・徳島・愛媛・兵庫の食品スーパー約 33 店と、惣菜・加工品を作る子会社フレッシュデポ、物流のレックス。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたり年間の営業収益(億円。売上+テナント・配送などの営業収入) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 33.0 | 13 | 430 | 3 |
| 10 年後 中立 | 31.0 | 18 | 549 | 6 |
取り方:2026/02 期の営業収益 429.9 億円を期末の店数 33 店で割った 1 店あたりの年商。数量は店数(実質)、物価の分は 1 店の年商(価格)に入れる。報告セグメントは小売の 1 つだけ。
リスクと懸念
人件費と電気代の上昇
最低賃金の引き上げと電気代の上昇は、利益率1%の商売を直撃する。会社は2027/02期の営業利益を半減と見込み、費用の上振れを吸収しきれないと認めている。物価高が続く限り、毎年同じ圧力がかかる。
借金と金利
純負債は約53億円で時価総額を上回る。借り換えのたびに金利が上がれば、営業利益の3割前後が利払いに消える。返済を急げば建物の更新が遅れ、更新を急げば借入が増える板挟みにある。
大手との競争
イズミのゆめタウン、イオン系のマルナカ、ハローズ、ドラッグストアが同じ商圏で争う。値上げを先に通せるのは規模の大きい側で、地場の小さなチェーンは値段で後れを取りやすい。
四国の人口減
四国の人口は全国より速く減る。客の数が細る中で店を保つには客単価を上げ続けるしかない。値上げが客離れに転じれば、売上そのものが縮む。
イズミの意向
イズミは約2割を持つ関係会社で、仕入と物流もイズミの網に頼る。提携の条件が変わる、子会社化の値段が少数株主に不利になるなど、イズミ側の都合で価値が動きうる。
店の古さと建て替え
設備投資は減価償却を下回る年が続く。建て替えを先送りすれば客が離れ、まとめて建て替えれば建築費の上昇で投資が膨らむ。どちらでも株主の取り分は細る。
今後の分かれ目
- イズミが残りの株の公開買付けを発表したら
- 本業の価値は今の値段を下回るので、株主の受け取りは買付けの値段で決まる。分析の前提そのものが変わる。
- 営業利益率が3年続けて1.5%を超えたら
- 統合と改装の効果が費用の上昇を上回った証拠になる。やや楽観の重みを上げる。
- 2027/02期が最終赤字になったら
- 費用の上昇を吸収できない構造が確かになる。やや悲観と悲観に重みを移す。
- 純負債が30億円を下回ったら
- 金利上昇への耐性が上がり、利払いが軽くなる。中立の純利益を上げてよい。
- 大きな閉店や減損が続いたら
- 店網が縮む悲観の筋書きに近づく。土地を売って借入を返せるかを見る。
見ておくもの
- 既存店の客数と客単価
- 営業利益率と人件費・水道光熱費の比率
- 借入金の残高と支払利息
- イズミの保有比率と提携の中身
倍率と資本コストの決め方
店数(実質)×1店の年商(物価込み)で売上を積み、利益率は過去12年の範囲で置いた(中立は中央値並み)。減価償却は物価で増やさず、建て替えの分だけ新しい値段で足した。ROEがkを下回るので倍率は1÷k=12.5倍を上限とし、中立はその8割。悲観は売れる資産から借金と約束を引いた床で置いた。今や過去のPBR・PERは使っていない。2028/02期から新リース基準で家賃の一部が負債に載るが、10年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13→11.75 倍・やや楽観 PER 12.5→10.77 倍・中立 PER 10→10.53 倍)。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.5% を足した 8.0%。同じ領域のヤマナカ(7.8%)・オークワ(8.0%)と同じ低収益の地場スーパーの水準で、借金の重さの分だけヤマナカより上。イズミの意向やガバナンスは k に足さず筋書きで表した。事業は傾いておらず上乗せは置かない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 9.50%。