結論
伸和ホールディングスは、札幌を地盤に、焼鳥の居酒屋「炭火居酒屋 炎」と惣菜店「美唄焼鳥・惣菜 炎」を120店ほど営む会社だ。生つくねと塩ザンギが看板で、冷凍食品の卸もする。筆者の結論は割高である。事業は手堅いが、値段が稼ぐ力から大きく離れている。
売上は67億円、営業利益は2億円で、利益率は3%ほどだ。既存店の売上は値上げと客の戻りで伸び、店も毎年増やしている。小さな会社としては堅実な歩みである。
だが、時価総額は60億円で、純利益の40倍を超え、自己資本の7倍に達する。年2回、100株に1万円分の店の利用券を贈る手厚い優待が、株の人気を支えている面が大きい。優待は株主への還元だが、その分は会社の利益から出ている。
筆者は、店を倍近くに増やす楽観の筋書きでも、今の値段を正当化するのは難しいと見る。北海道の外への出店が成功し、利益率が今の倍になって、ようやく届く値段である。数字は軽く見たもので、優待の費用は推定である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、伸和ホールディングスは「地域で手堅く商う小さな店の集まり」だ。焼鳥と唐揚げを自社の工場で仕込み、居酒屋と惣菜店で売る。堅実な仕組みだが、他社がまねできない強みではない。
問題は値段だ。時価総額は純利益の40倍を超える。資本コストを8.25%と置けば、利益が年に4%ずつ伸び続けても、払える倍率は十数倍までだ。利益が今の3倍になっても、今の値段はまだ高い。
手厚い優待は、株主にとって本物の還元である。だが、それは会社の利益から出ており、利益を超えて値段を支える理由にはならない。優待の利回りで株を持つ人は、その費用が会社の稼ぎを削っていることを忘れやすい。
オーナーとして持ち続けたい事業かと問えば、値段しだいで是と答えうる。だが今の値段では、安全域は無い。稼ぐ力に見合う値段は、今の3分の1ほどだと筆者は見る。
何で稼ぐ会社か
事業は3つある。1つ目は居酒屋で、「炭火居酒屋 炎」を中心に43店を北海道で営む。朝から飲める店や昼飲みの店もあり、低い値段で焼鳥と唐揚げを出す。売上の6割ほどを占める。
2つ目は惣菜の店で、「美唄焼鳥・惣菜 炎」などを77店持つ。スーパーの売り場の一角や、レジの周りに小さな店を出し、焼鳥や唐揚げを持ち帰りで売る。1つの拠点に複数の売り場を持つ形もある。売上の3割ほどだ。
3つ目は冷凍食品の卸で、もともとの創業の事業である。岩見沢の自社工場で作った生つくねや唐揚げを、店と外部の客に出す。
強みは、工場と店のつながりだ。提携する養鶏場の鶏肉を自社の工場で仕込み、居酒屋と惣菜店と卸の3つで同じ商品を売る。仕入れの量がまとまり、原価を抑えられる。
成長の道は出店だ。2027/03期には130店を計画し、PPIHグループのユニーが営む東海の商業施設や北関東にも惣菜店を出す。2025年には函館のMEGAドン・キホーテにも出店した。社長と創業家とみられる株主が、株の8割強を持つ。居酒屋の多くは札幌の駅の近くと繁華街にある。
優良さと弱いところ
優良さは並みより下とみる。焼鳥と唐揚げは誰にでも作れる商品で、値段の安さと店の便利さで客を集める。名の通ったブランドではなく、北海道の外では知られていない。
利益率は3%ほどで、外食としても低い。居酒屋は家賃と人件費が重く、最低賃金の上昇がそのまま利益を削る。惣菜店はスーパーの中に小さく出すので家賃は軽いが、単価も低い。
良い点は、工場と店をつなぐ仕組みと、着実な出店だ。コロナの赤字から立ち直り、既存店の売上も伸びている。ROEは17%と高いが、それは自己資本が8億円と小さいからで、事業の強さの証しではない。
もう1つの特徴は株主の偏りだ。上位3名で8割強を持ち、市場で売買される株は少ない。手厚い優待は個人の株主を集めるが、値段は利益から離れやすい。
総じて、地域で手堅く商う小さな会社であり、高い値段に耐える堀は無い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食の市場は、コロナの落ち込みから戻り、金額では以前の水準を超えた。ただ、伸びの多くは値上げの分で、客の数は大きく増えていない。居酒屋は特に、若い人の酒離れと飲み会の減少で、長く縮んできた業態だ。
低価格の居酒屋では、鳥貴族や串カツ田中、ヨシックスの「や台ずし」などが店を増やす。北海道では、地元の居酒屋チェーンと全国の大手がぶつかる。値段の安さで客を集める業態は、人件費と食材の値上がりを値上げで返す力が弱い。
惣菜は、中食と呼ばれ、伸びている分野だ。共働きと単身の世帯が増え、家で食べる料理を買う人が増える。スーパーの売り場に小さな店を出す形は、家賃が軽く、出店しやすい。伸和の成長の多くは、ここに懸かる。
北海道の人口は全国より速く減る。札幌は横ばいでも、地方の町は縮む。道外への出店は、成長に欠かせない一方で、知名度の無い土地での勝負になる。
筆者は、居酒屋の量は10年で横ばいから少し減り、惣菜は道外への出店で伸びると見る。惣菜の店は、スーパーの側から見ても集客の柱になるので、売り場を貸す相手は探しやすい。
資本政策と M&A
配当は年37で、性向は4割ほどだ。これに加えて手厚い株主優待がある。3月末と9月末に、100株以上の株主へ店の利用券か商品を1万円分贈る。1年以上持てば1万2千円分になる。値段に対して年5%を超える優待で、配当と合わせた利回りは高い。
優待の費用は開示が無い。株主は約1,600人で、年2回の額面は合わせて3,500万円ほどになる。自社の店と商品で返すので、原価は年1,400万円ほどとみる。筆者はこれを10年で約1.4億円の還元として数えた。
借入は6億円、現金は10億円で、差し引きで少し現金が多い。ただし店の家賃は毎年払う固定の約束で、居酒屋の家賃は重い。
株主は、資産管理会社とみられるSTTが44%、個人2名が21%ずつを持つ。市場で売買される株は2割に満たない。TOBや再編の話は無い。新株予約権の行使で株は少しずつ増えている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
伸和は、コロナの赤字から立ち直り、毎年店を増やしている。2026/03期は売上が5%伸び、既存店の売上も居酒屋で4%増えた。値上げを通しても、客は離れていない。
成長の道ははっきりしている。惣菜店はスーパーの売り場に小さく出すので、出店の費用が軽い。PPIHグループのユニーの商業施設を通じて東海に出る道が開き、函館のMEGAドン・キホーテにも出した。全国に数百あるグループの店に広がれば、店の数は今の何倍にもなりうる。
自社の工場と提携の養鶏場を持つ仕組みは、小さな会社には珍しい。居酒屋と惣菜と卸で同じ商品を売り、仕入れの量をまとめる。店が増えるほど、工場の稼働が上がり、利益率も上がる。
ROEは17%と高い。手厚い優待は株主を大事にする姿勢の表れで、長く持つ株主が増える。株主の8割強を創業家が持ち、経営は安定している。店が倍になり、利益率が5%に上がれば、利益は今の5倍になる。朝から開く店や昼飲みの店のように、新しい客の使い方を自分で作れる会社でもある。
慎重な見方
値段が利益から離れすぎている。時価総額は純利益の40倍を超え、自己資本の7倍に達する。焼鳥の居酒屋と惣菜店という平凡な事業に、この倍率は付かない。
利益率は3%ほどで、外食としても低い。居酒屋は家賃と人件費が重く、最低賃金の上昇がそのまま利益を削る。北海道の人口は全国より速く減り、地盤の市場は縮む。
道外への出店も楽ではない。知名度の無い土地で、焼鳥と唐揚げは地元の店や大手のチェーンと並べて比べられる。PPIHとの取引は始まったばかりで、店の数の約束は無い。
株の人気は、手厚い優待に支えられている面が大きい。年2回の利用券は値段に対して5%を超える。だが優待の費用は会社の利益から出ており、利益が増えなければ続かない。優待を縮めた瞬間に、値段は大きく崩れうる。上位3名で8割強を持ち、市場の株は少ない。少ない株を優待目当ての個人が持てば、値段は稼ぐ力から離れやすい。成長の話は、まだ数字になっていない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。出店の道と工場の仕組みは本物だが、利益率3%の事業に純利益の40倍の値段は、どの筋書きでも説明しにくい。中立に4割弱、やや楽観と楽観に3割を置いても、値段は今の3分の1ほどにとどまる。道外の出店が数字で伸び、利益率が5%に近づけば、楽観側に寄せる。優待を縮める発表があれば、悲観側に寄せる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,268 円45 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 647 円9 億円)。 今の値に割り戻すと 1,914 円26 億円、今との差 −54.5%、 期待の年率 −0.7%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 9,029 円125 億円 | 1,236 円17 億円 | +143.8% | +9.3% | 821 円11 億円 |
| やや楽観 | 22% | 5,370 円74 億円 | 882 円12 億円 | +48.5% | +4.0% | 1,375 円19 億円 |
| 中立 | 38% | 3,297 円46 億円 | 679 円9 億円 | −5.5% | −0.6% | 1,511 円21 億円 |
| やや悲観 | 20% | 447 円6 億円 | 332 円5 億円 | −81.5% | −15.5% | 156 円2 億円 |
| 悲観 | 12% | 181 円3 億円 | 246 円3 億円 | −89.9% | −20.5% | 51 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,268 円45 億円 | 647 円9 億円 | −7.0% | −0.7% | 3,915 円54 億円 |
今の株価時価総額 4,210 円58 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 道外の惣菜店が広がり、店は倍に 利益 6 億円 · PER 18.6 倍 · 株価時価総額 9,029 円125 億円
PPIHグループの商業施設を足がかりに、惣菜店が東海と北関東に広がる筋書きだ。惣菜店は10年で今の2.5倍に増え、居酒屋も道内の未出店の町に3割増える。岩見沢の工場は稼働が上がり、仕入れの量もまとまる。値段は物価をやや上回って上がり、利益率は5%に上がる。卸も外部の客を増やす。純利益は今の5倍になり、ROEは20%前後を保つ。配当は利益の4割で増え、優待も続く。それでも事業の値段は利益の14倍ほどで、今の値段にようやく届く水準だ。居酒屋の朝飲みと昼飲みの形も道外で受け入れられ、客の層が広がる。工場は2つ目を建て、関東と東海の店に商品を送る。
- 飲食事業(居酒屋):数量 55.9(店舗数(店))× 価格 1.30(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 72 億円・営業利益 4 億円。56 店(1.3 倍)× 1 店 1.30 億円(1.40 倍)
- 物販事業(惣菜店):数量 193(店舗数(店))× 価格 0.38(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 73 億円・営業利益 4 億円。193 店(2.5 倍)× 1 店 0.38 億円(1.40 倍)
- 卸売事業(冷凍食品):数量 1,170(出荷量(トン・推定))× 価格 0.01(1 トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。1,170 トン(1.8 倍)× 0.0134 億円
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 30.1% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 19.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.6 倍。全体の PER 18.62 倍、時価総額 120 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:PPIHグループの商業施設を通じて東海と北関東に惣菜店が広がり、工場の稼働も上がる筋書き。取引は始まったばかりで、店を倍にする前提は重いので1割未満にした。
やや楽観 22% 計画どおり出店が進み、利益率4% 利益 4 億円 · PER 17.6 倍 · 株価時価総額 5,370 円74 億円
会社の計画どおりに出店が続く筋書きだ。惣菜店は10年で8割増え、道内の未出店の町と東海の商業施設に広がる。居酒屋は1割5分増える。既存店の売上は値上げで物価並みに伸びる。工場の稼働が上がり、営業利益率は4%になる。人件費の上昇は、朝飲みや昼飲みの新しい使い方と値上げで吸収する。配当は利益の4割で、優待も続く。ROEは高いが、事業の値段は利益の17.61倍ほどだ。今の値段には届かない。道外の惣菜店は、PPIHグループの商業施設に年に数店ずつ出る。工場の稼働は上がるが、2つ目の工場は要らない範囲にとどまる。
- 飲食事業(居酒屋):数量 49.5(店舗数(店))× 価格 1.27(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 63 億円・営業利益 3 億円。49 店(1.15 倍)× 1 店 1.27 億円(1.37 倍)
- 物販事業(惣菜店):数量 139(店舗数(店))× 価格 0.37(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 2 億円。139 店(1.8 倍)× 1 店 0.37 億円
- 卸売事業(冷凍食品):数量 845(出荷量(トン・推定))× 価格 0.01(1 トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。845 トン(1.3 倍)× 0.0134 億円
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 23.5% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.6 倍。全体の PER 17.61 倍、時価総額 70 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027/03期の130店の計画を土台に、道内と道外で着実に出店が続く筋書き。計画の営業利益率3.8%を少し上回る4%として2割強。
中立 38% 惣菜店が少しずつ増え、利益率は3%強 利益 3 億円 · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 3,297 円46 億円
居酒屋の量は、北海道の人口の減少と飲み会の減少で、10年で横ばいにとどまる。惣菜店は道内の未出店の町と、一部の道外の商業施設に出て、10年で4割増える。値段は物価並みに上がる。人件費と家賃も物価並みに上がり、営業利益率は3%強で今と変わらない。卸は横ばいだ。償却は店の内装と工場の分で年1億円弱、物価では増えない。配当は利益の4割で、優待も続く。純利益は今の2倍ほどになる。ROEは高いが、それは自己資本が小さいからで、倍率は利益の10倍台にとどまる。道外の出店は試しの段階にとどまり、店の数の伸びは道内が中心だ。
- 飲食事業(居酒屋):数量 43.0(店舗数(店))× 価格 1.24(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 53 億円・営業利益 2 億円。43 店(横ばい)× 1 店 1.24 億円(1.34 倍)
- 物販事業(惣菜店):数量 108(店舗数(店))× 価格 0.36(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 1 億円。108 店(1.4 倍)× 1 店 0.36 億円(1.34 倍)
- 卸売事業(冷凍食品):数量 650(出荷量(トン・推定))× 価格 0.01(1 トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。650 トン(横ばい)× 0.0134 億円
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.2% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.4 倍。全体の PER 16.41 倍、時価総額 42 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:居酒屋は横ばい、惣菜店は道内を中心に少しずつ増える筋書き。過去の営業利益率の最高の3.2%を超えない中立で、もっとも起こりやすいとみた。
やや悲観 20% 人件費に押され、利益率1% 利益 1 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 447 円6 億円
最低賃金が毎年大きく上がり、鶏肉と油の値段も上がる筋書きだ。低い値段が売りの居酒屋は、値上げを重ねると客が離れる。地方の町の居酒屋は閉め、店は1割減る。惣菜店は少し増えるが、道外では知名度が無く伸びない。営業利益率は1%に沈み、純利益は今の3分の1になる。優待は縮められ、配当も減る。株の人気の支えが外れ、値段は稼ぐ力に向けて下がる。帳簿の3割ほどの値段にとどまる。道外の惣菜店は採算に乗らず、いくつかを閉める。工場の稼働も下がり、固定の費用が重くなる。家賃は毎年払う約束なので、売上が減っても簡単には減らない。
- 飲食事業(居酒屋):数量 38.7(店舗数(店))× 価格 1.11(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 43 億円・営業利益 0 億円。39 店(0.9 倍)× 1 店 1.11 億円(1.20 倍)
- 物販事業(惣菜店):数量 84.7(店舗数(店))× 価格 0.34(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 29 億円・営業利益 0 億円。85 店(1.1 倍)× 1 店 0.34 億円
- 卸売事業(冷凍食品):数量 585(出荷量(トン・推定))× 価格 0.01(1 トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。585 トン(0.9 倍)× 0.0125 億円
倍率:ROE は約 4%で k を下回るので PER の上限は 1÷k=11.8 倍。家賃と人件費が固定で残り利益が細いので上限の 7 割弱の 8.0 倍。
確率:最低賃金の上昇と鶏肉の高騰を値上げで返せず、利益が細る筋書き。営業利益率が3%ほどしかなく、少しの費用の上昇で利益が消えるので2割を置いた。
悲観 12% 居酒屋が赤字になり、店を畳む 利益 −2 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 181 円3 億円
北海道の人口の減少と若い人の酒離れで、居酒屋の客が大きく減る。人手も集まらず、店を開けられない日が増える。居酒屋は10年で3割減り、残った店も赤字だ。道外の惣菜店は採算に乗らず、閉める。営業損益は赤字になり、閉店の費用と減損がかさむ。優待は止まり、配当も細る。株の人気は消え、値段は帳簿の一部まで下がる。創業家が8割強を持ち、少数株主に清算を決める力は無い。工場は縮めて残し、卸の外部の客に細々と商品を出す。借入は返せるが、残る現金は閉店の費用でほとんど消える。少数株主に残るのは、帳簿の一部にすぎない。
- 飲食事業(居酒屋):数量 30.1(店舗数(店))× 価格 1.02(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 31 億円・営業利益 −1 億円。30 店(0.7 倍)× 1 店 1.02 億円(1.10 倍)
- 物販事業(惣菜店):数量 69.3(店舗数(店))× 価格 0.30(1 店あたり売上(億円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。69 店(0.9 倍)× 1 店 0.30 億円
- 卸売事業(冷凍食品):数量 520(出荷量(トン・推定))× 価格 0.01(1 トンあたり売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。520 トン(0.8 倍)× 0.011 億円
倍率:赤字なので PBR で置く。価値は床の資産(約 2.5 億、floor_assets_why)。10 年後の自己資本 約 4.6 億に対し 0.54 倍。
確率:人口の減少と人手の不足で居酒屋が赤字に転じ、道外の出店も失敗する構造的な負け。2021〜2022/03期に赤字だった実績から1割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
飲食事業(居酒屋)
「炭火居酒屋 炎」など北海道の居酒屋。生つくね・塩ザンギが看板。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 43.0 | 0.93 | 40 | 1 |
| 10 年後 中立 | 43.0 | 1.24 | 53 | 2 |
取り方:店舗数は 2026 年 3 月末の 43 店。売上は事業計画の資料の飲食事業 39.8 億円で、1 店 0.925 億円。セグメント利益の開示は無く、全社の営業利益 2.0 億を売上と家賃の重さで按分した推定。
物販事業(惣菜店)
「美唄焼鳥・惣菜 炎」などスーパーの売り場の惣菜店。焼鳥と唐揚げを持ち帰りで売る。
| 数量店舗数(店) | 価格1 店あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 77.0 | 0.27 | 21 | 1 |
| 10 年後 中立 | 108 | 0.36 | 39 | 1 |
取り方:店舗数は 2026 年 3 月末の 77 店(拠点ではなく売り場の数)。売上は事業計画の資料の物販事業 20.7 億円。利益は全社の営業利益からの按分の推定。
卸売事業(冷凍食品)
岩見沢の自社工場で作る生つくね・唐揚げなどの冷凍食品の外部への卸。
| 数量出荷量(トン・推定) | 価格1 トンあたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 650 | 0.01 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 650 | 0.01 | 9 | 0 |
取り方:売上は全社 67.0 億から飲食と物販を引いた約 6.5 億円。冷凍の鶏肉の加工品を 1 トン約 0.01 億円と見て約 650 トンと推定。利益は按分の推定。
リスクと懸念
値段と稼ぐ力の差
時価総額は純利益の40倍を超え、自己資本の7倍に達する。手厚い優待が株の人気を支えており、優待を縮めたり利益が落ちたりすれば、値段は稼ぐ力に向けて大きく下がりうる。
人件費と家賃
居酒屋は人件費と家賃が重く、最低賃金の上昇がそのまま利益を削る。利益率は3%ほどしかなく、値上げが追いつかない年は利益が大きく減る。
北海道の人口の減少
地盤の北海道は人口が全国より速く減る。地方の町の店は客が細り、札幌に頼る形になる。道内だけで量を伸ばすのは難しい。
道外への出店の難しさ
東海や北関東への出店は、知名度の無い土地での勝負だ。PPIHとの取引は始まったばかりで、出店の数の約束は無い。失敗すれば、閉店の費用と減損が残る。
鶏肉と食材の値段
主力の焼鳥と唐揚げは鶏肉に頼る。鳥インフルエンザや飼料の高騰で鶏肉が上がれば、低価格の業態は値上げで返しにくい。
株の流動性と支配
上位3名で8割強を持ち、市場で売買される株は少ない。少ない株の値段は、利益より需給で動きやすい。
今後の分かれ目
- 道外の惣菜店が年10店以上のペースで増えたら
- 出店の道が数字で開けた印。やや楽観の確率を上げる。
- 営業利益率が5%に近づいたら
- 工場の稼働と出店の効果が利益に出た印。中立の利益率を上げる。
- 株主優待を縮めたら
- 株の人気の支えが外れる。還元の額を下げ、値段の下げを見込む。
- 最低賃金の上昇で営業利益が2期続けて減ったら
- 低価格の業態の限界が見えた印。やや悲観の確率を上げる。
- 大手の外食や流通から資本提携の話が出たら
- 道外への出店の道が太くなる。楽観側に寄せる。
見ておくもの
- 店舗数(居酒屋・惣菜店、道内と道外)
- 既存店の売上と客単価
- 営業利益率
- 鶏肉の値段と人件費
- 株主優待の内容
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価から置いていない。中立は10年後のROEが約13%でk 8.25%を上回り、RONIC=k+1/2×(ROE−k)≒10.9%、g 4%で正当化PER約14倍、低い利益率と小さな地域チェーンの弱さで7.5割の10.6倍とした(ヨシックスの中立11.8倍より、利益率の低さの分だけ低い)。今のPER約40倍は根拠にしていない。優待は会社の費用(原価)の年約0.14億円を10年分、還元に足した。2028/03期から新しいリースの会計で店の家賃が負債に載るが、10年後の数字は今と同じく家賃を費用に入れた形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.4→18.62 倍・やや楽観 PER 13→17.61 倍・中立 PER 10.6→16.41 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。