結論
MRKホールディングスは、補整下着の「MARUKO」を店で一人ひとりに合わせて売る会社だ。RIZAP グループが 57%を持つ子会社である。筆者の結論は「割高」だ。値段は自己資本の半分ほどで安く見えるが、稼ぐ力は薄く、余った現金の多くは親会社への貸付に回っている。
2026 年 3 月期の売上は 212 億円、営業利益は 5.8 億円だった。純利益 9.3 億円は税金の戻りに助けられ、実力は 6 億円前後だ。会社は来期の営業利益を 10 億円と見込み、店の統廃合と広告費の見直しで利益率を戻そうとしている。
財務は堅い。借入は 5 億円弱しかなく、現金は 24 億円ある。ただし、別に 35 億円を親会社のグループに貸している。今年は時価総額の 7%にあたる自社株も買った。
筆者は、中高年の女性の固定客という資産は認める。しかし客の高齢化と、親会社が現金の使い道を決める構造を考えると、今の値段はまだ高いと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「中身は悪くないが、主導権が株主にない」。補整下着の固定客は本物の資産だ。粗利は高く、借金はほとんどない。10 年後も事業は残るだろう。
だが、株主のものになる利益は小さい。営業利益は 6 億円前後で、自己資本 150 億円の 4%しか稼がない。資本コストを大きく下回る。来期の会社予想の 10 億円に戻っても、まだ足りない。
現金の使い道は親会社が決める。35 億円は親会社のグループへの貸付で、配当は利益の 1 割だ。今年の自社株買いは前向きだが、続く保証はない。
値段は自己資本の半分ほどだ。それでも割安とは言いにくい。稼ぐ力が資本コストに届かない会社では、帳簿の純資産は額面どおりの値打ちを持たないからだ。筆者は、今の値段でも、事業の稼ぎと現金の戻り方に比べて高いと見る。
何で稼ぐ会社か
柱は婦人下着で、売上の 88%を占める。子会社のマルコが、体の線を整える補整下着「カーヴィシャス」などを、全国の店で売る。客は 40 代以上の女性が中心で、店の担当者が採寸し、体に合わせて選ぶ。1 回の買い物の額が大きく、分割払いで売ることが多い。売掛金 55 億円の多くはこの分割の代金だ。
下着のほかに、化粧品や健康食品、女性向けのサプリメントも売る。最近は通販も伸びており、店とネットを組み合わせた定期の購入も増えている。2025 年度は 18 店を統廃合し、名古屋の栄に新しい店を出した。
残りは小さな事業の集まりだ。マタニティとベビーの衣料が 11 億円、結婚式場の運営が 10 億円、美容室などが 6 億円ある。どれも利益はほとんど出ていない。
親会社は RIZAP グループで、2026 年 3 月末で 57%を持つ。現金のうち 35 億円は親会社のグループに短期で貸している。経営の支援料も親会社に払う。
売り方の要は人だ。店の担当者が客の体を測り、季節ごとに買い替えや手入れの相談に乗る。こうした関係が長く続くことで、広告に頼らずに売上が立つ。
優良さと弱いところ
強みは、補整下着という狭い分野で積み上げた固定客だ。採寸して体に合わせる売り方は手間がかかり、ネット通販ではまねしにくい。いったん客になると、買い替えや関連の商品も買ってくれる。粗利は売上の 75%と高い。
しかし、その粗利の大半は店の人件費と家賃と広告費で消える。営業利益率はこの 10 年、6%を超えたことがなく、最近は 2〜3%だ。ROE の中央値は 2%台で、資本コストに遠く届かない。
客の高齢化も気になる。体型を補整する下着の需要は、若い世代ほど薄い。ゆったりした下着や、運動で体を整える考え方が広がった。親会社の RIZAP が運動の会社であるのは皮肉でもある。
財務の質は高いが、資本の使い方は株主に分かりにくい。現金を親会社に貸し、配当はわずかだ。堀、つまり他社がまねできない強みは固定客の範囲にとどまり、広がってはいない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の女性の下着の市場は、人口の減少と、楽な下着への好みの移りで、長くゆるやかに縮んでいる。補整下着は、その中でも高い価格帯のすき間だ。ワコールやトリンプのような大手は量販と百貨店で売り、マルコは店での対面の販売に絞る。
対面の販売には逆風と追い風がある。逆風は人手不足と家賃の上昇だ。採寸できる販売員を育てるには時間がかかり、給料は毎年上がる。追い風は、高齢の女性の健康と美容への関心だ。姿勢や体型を整えたいという需要は、高齢化でむしろ増える面もある。
販売の形も変わってきた。通販と店を組み合わせ、定期の購入で客をつなぎとめる。会員制の美容の商品やサプリメントで、客 1 人あたりの売上を増やす。
競争相手は、下着の大手のほか、通販の補整下着の新興の会社、そして運動や美容の会社だ。客の財布をめぐる競争は広い。筆者は、量は 10 年でゆるやかに減り、単価で補う形が自然だと見る。
価格の面では、補整下着は 1 着の値段が高く、景気が悪い年には買い替えが先送りされる。逆に、客 1 人ひとりとの関係が深いので、値上げは比較的通りやすい。
資本政策と M&A
資本の使い方は親会社の意向が強い。配当は年 1 億円弱と、利益の 1 割ほどだ。一方で 2026 年 2 月から 6 億円を上限に自社株を買い、9 月末までに 574 万株、5.7 億円を取得した。発行済み株式の 6%近い。
大きいのは親会社への貸付だ。2026 年 3 月末で 35 億円を RIZAP のグループに短期で貸している。前の期の 42 億円から減ったが、時価総額の 4 割に当たる。利息は入るものの、株主に戻る現金ではない。親会社の資金繰りが苦しくなれば、回収にも不安が出る。
株主優待は、グループの商品やサービスに使える券で、引当金は年 0.1〜0.3 億円と小さい。親会社が残りの株を買い取って完全子会社にする可能性はあるが、発表はない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
資産に比べて値段が安すぎる。時価総額 81 億円に対し、自己資本は 150 億円近い。現金 24 億円と親会社への貸付 35 億円だけで、時価総額の 7 割になる。借金はほとんどない。
利益も戻りつつある。会社は来期の営業利益を 10 億円と見込み、今期の 1.7 倍だ。18 店の統廃合と広告費の見直しが効き、主力の新シリーズも売れている。通販は前の年より 7%近く伸び、定期の購入も増えた。粗利 75%の商売なので、売上が少し伸びれば利益は大きく伸びる。
株主への姿勢も変わった。2026 年 2 月から発行済み株式の 6%を買い、9 月末でほぼ終えた。東証の要請もあり、還元はさらに厚くなりうる。
親会社の RIZAP が残りの株を買い取る可能性もある。そうなれば純資産に近い値段が出てもおかしくない。営業利益が 2005 年 8 月期のように 10%を超える日が戻れば、今の値段は大きく割安だ。
慎重な見方
利益が薄すぎる。営業利益 5.8 億円は売上の 3%で、自己資本 150 億円に対して 4%も稼いでいない。純利益 9.3 億円は税金の戻りによる見かけで、実力は 6 億円ほどだ。この 10 年、ROE の中央値は 2%台にとどまる。
客は高齢化している。補整下着を買う若い女性は少ない。楽な下着と運動で体を整える考え方が広がり、量は細る。店の販売員の人手不足と家賃の上昇は、薄い利益をさらに削る。
現金は株主のものではない。35 億円は親会社のグループに貸され、配当は利益の 1 割だ。親会社の RIZAP は過去に大きな赤字を出し、資金繰りに苦しんだ時期がある。貸付の回収にも不安が残る。
分割払いの売掛金 55 億円も重い。客が払えなくなれば、貸し倒れが利益を食う。自己資本の半分という値段は、この稼ぎの弱さと現金の戻らなさを映した、ほぼ正当な値段だ。
今年の自社株買いも、親会社の持ち分を増やす効果がある。少数株主のための還元とは言い切れない。
どちらに重みを置いたか
両方に理がある。資産の厚さは本物だが、稼ぎは資本コストに届かず、現金は親会社が使い道を決める。確率は中立に 4 割を置き、客の高齢化と貸付の不安を映して、やや悲観と悲観に合わせて 4 割弱を置いた。来期の利益の戻りの計画には、やや楽観に 2 割弱で重みを残した。楽観の極端な形は、過去 20 年近く届いていない利益率を前提にするので 1 割未満にとどめた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 131 円119 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 15 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 68 円62 億円、今との差 −22.5%、 期待の年率 +5.2%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 225 円204 億円 | 28 円25 億円 | +186.5% | +11.1% | 15 円14 億円 |
| やや楽観 | 18% | 187 円170 億円 | 22 円20 億円 | +137.6% | +9.0% | 38 円34 億円 |
| 中立 | 40% | 155 円140 億円 | 17 円15 億円 | +94.5% | +6.9% | 68 円62 億円 |
| やや悲観 | 24% | 75 円68 億円 | 11 円10 億円 | −2.2% | −0.2% | 21 円19 億円 |
| 悲観 | 12% | 35 円32 億円 | 3 円3 億円 | −56.1% | −7.9% | 5 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 131 円119 億円 | 15 円14 億円 | +66.5% | +5.2% | 147 円133 億円 |
今の株価時価総額 88 円80 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 通販と新商品で客が増え、利益率が 7%へ 利益 16 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 225 円204 億円
店と通販を組み合わせた売り方が定着し、40〜50 代の新しい客が増える。客数は 1 割近く増え、新シリーズと健康の商品で客 1 人あたりの購入額も物価を上回って伸びる。
店の統廃合と広告費の見直しが実り、婦人下着の利益率は 7%になる。結婚式場や美容は赤字を脱し、営業利益は 20 億円を超える。
親会社への貸付は縮み、配当と自社株買いが厚くなる。会社は資本コストに近い利益を出し、帳簿の純資産に見合う値打ちを持つ。
この形では、店の担当者が客の健康や美容の相談役になり、下着以外の商品も定期で届ける仕組みが育つ。
- 婦人下着及び関連(MARUKO):数量 105(購入客数の指数(2026/03 = 100))× 価格 1.40(客 1 人あたり年間購入額の指数(2026/03 = 1.00))→ 売上 273 億円・営業利益 19 億円。数量 105、単価 1.40 倍、利益率 7.0%
- マタニティ・婚礼・美容:数量 100(利用件数の指数(2026/03 = 100))× 価格 1.35(単価の指数(2026/03 = 1.00))→ 売上 36 億円・営業利益 1 億円。数量 100、単価 1.35 倍、利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.6% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)26 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 204 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率が 7%を超えたのは 2005 年 8 月期より前で、20 年近く届いていない。客数の増加と利益率の上昇がそろう必要があり、1 割を切る。
やや楽観 18% 会社の予想どおり利益が戻り、6%で落ち着く 利益 13 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 187 円170 億円
客数はほぼ横ばいで、高齢の客の減少を通販と新しい客が埋める。購入額は物価並みよりやや強く伸びる。店の統廃合と広告費の見直しで、婦人下着の利益率は 6%に戻る。
営業利益は 16 億円になり、今の 3 倍近い。小さな事業はほぼとんとんだ。純利益は親会社への貸付の利息を含めて 13 億円近い。
配当は少しずつ増え、自社株買いも時々行う。親会社への貸付は続く。会社は堅実に稼ぐが、資本の厚さに比べて利益はまだ物足りない。
株価は利益の伸びに合わせて上がるが、親会社の意向で還元が細いため、倍率は大きく上がらない。
- 婦人下着及び関連(MARUKO):数量 100(購入客数の指数(2026/03 = 100))× 価格 1.38(客 1 人あたり年間購入額の指数(2026/03 = 1.00))→ 売上 257 億円・営業利益 15 億円。数量 100、単価 1.38 倍、利益率 6.0%
- マタニティ・婚礼・美容:数量 95.0(利用件数の指数(2026/03 = 100))× 価格 1.32(単価の指数(2026/03 = 1.00))→ 売上 34 億円・営業利益 0 億円。数量 95、単価 1.32 倍、利益率 1.0%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)26 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 170 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:来期の会社予想は営業利益 10 億円で、店の統廃合の効果の裏づけがある。その延長として 2 割弱を置く。
中立 40% 客はゆるやかに減り、単価で補って利益率 5% 利益 10 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 155 円140 億円
客の高齢化で客数は 10 年で 5%減る。新しい商品と値上げで、客 1 人あたりの購入額は物価並みよりやや強く伸びる。婦人下着の売上は 240 億円になる。
店の人件費と家賃は上がるが、統廃合で店を絞り、利益率は 5%を保つ。営業利益は 12 億円だ。小さな事業はとんとんにとどまる。
純利益は貸付の利息を含めて 10 億円ほど。配当は少なく、自己資本は積み上がる。親会社への貸付は続き、株主への還元は細いままだ。
会社は堅く生き残るが、資本の厚さに比べた稼ぎは物足りないまま。株主への戻りは貸付の利息に頼る形が続く。
- 婦人下着及び関連(MARUKO):数量 95.0(購入客数の指数(2026/03 = 100))× 価格 1.36(客 1 人あたり年間購入額の指数(2026/03 = 1.00))→ 売上 240 億円・営業利益 12 億円。数量 95、単価 1.36 倍、利益率 5.0%
- マタニティ・婚礼・美容:数量 90.0(利用件数の指数(2026/03 = 100))× 価格 1.30(単価の指数(2026/03 = 1.00))→ 売上 31 億円・営業利益 0 億円。数量 90、単価 1.30 倍、利益率 0.0%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)26 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 140 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:量の縮みを単価で補う形が、この 10 年の売上の実績に近い。利益率は会社の来期予想の 4%台と過去の山の間に置き、最も起きやすい。
やや悲観 24% 客離れと人件費で利益がほぼ消える 利益 4 億円 · PER 9.7 倍 · 株価時価総額 75 円68 億円
楽な下着と運動で体を整える考え方が広がり、補整下着の客は 2 割近く減る。値上げは客離れを恐れて物価並みに届かない。採寸できる販売員の給料は上がり、店の家賃も下がらない。
婦人下着の利益率は 2.5%に落ち、小さな事業は赤字が続く。営業利益は 4 億円弱だ。
分割払いの代金の回収も悪くなる。配当は据え置かれ、自社株買いは止まる。親会社への貸付は残り、株主に戻る現金は増えない。
自己資本は積み上がるが、稼ぎは資本コストの 4 分の 1 ほどにとどまる。市場はこの会社の帳簿の純資産をさらに割り引いて見るようになる。
- 婦人下着及び関連(MARUKO):数量 82.0(購入客数の指数(2026/03 = 100))× 価格 1.30(客 1 人あたり年間購入額の指数(2026/03 = 1.00))→ 売上 198 億円・営業利益 5 億円。数量 82、単価 1.30 倍、利益率 2.5%
- マタニティ・婚礼・美容:数量 80.0(利用件数の指数(2026/03 = 100))× 価格 1.25(単価の指数(2026/03 = 1.00))→ 売上 27 億円・営業利益 −1 億円。数量 80、単価 1.25 倍、利益率 -4.0%
倍率:純利益 4.2 億円、自己資本 191 億円で ROE 約 2%。稼ぐ力(純利益 ÷ k)の倍率 12.1 倍の約 8 割(9.7 倍)で置き、余った現金は谷で一部を使う前提で 0.75 倍(26 億円)に戻り方 0.5 を掛けて足す。PBR は中立より低い。
確率:営業利益率は直近 3 期で 2〜4%と薄く、客の高齢化は止まらない。人手不足の賃上げが重なれば起きる形で、4 分の 1 近くを置く。
悲観 12% 店を畳み続け、親会社への貸付も焦げ付く 利益 −4 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 35 円32 億円
補整下着の需要が大きく細り、客は 3 分の 2 に減る。店を次々に畳むが、閉店の費用と残りの家賃がかかる。営業赤字が続く。
分割払いの代金の貸し倒れが増え、親会社のグループへの貸付も一部が戻らない。配当は止まる。
値打ちは事業の稼ぎでは測れない。残るのは現金と回収できる代金、土地と建物だ。それも親会社が使い道を決めるので、少数株主に届くのは半分ほどだ。
親会社が完全子会社化を図る場合も、値段は事業の弱さを映して低くなりやすい。少数株主にとって最も厳しい形である。2019〜2020 年 3 月期に続けて最終赤字を出した前例があり、絵空事ではない。
- 婦人下着及び関連(MARUKO):数量 65.0(購入客数の指数(2026/03 = 100))× 価格 1.22(客 1 人あたり年間購入額の指数(2026/03 = 1.00))→ 売上 148 億円・営業利益 −4 億円。数量 65、単価 1.22 倍、利益率 -3.0%
- マタニティ・婚礼・美容:数量 60.0(利用件数の指数(2026/03 = 100))× 価格 1.20(単価の指数(2026/03 = 1.00))→ 売上 19 億円・営業利益 −2 億円。数量 60、単価 1.20 倍、利益率 -8.0%
倍率:赤字で稼ぐ力はないので、床は売れる資産の税後に戻り方を掛けた額。今の自己資本 153 億円への PBR 0.21 倍(約 32 億円)で見る。内訳は floor_assets_why。
確率:2019〜2020 年 3 月期に最終赤字が続いた前例がある。親会社の RIZAP も過去に大きな赤字を出しており、貸付の回収の不安を含めて 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
婦人下着及び関連(MARUKO)
補整下着を店で採寸して売り、化粧品・健康食品・通販も手がける。
| 数量購入客数の指数(2026/03 = 100) | 価格客 1 人あたり年間購入額の指数(2026/03 = 1.00) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.00 | 186 | 7 |
| 10 年後 中立 | 95.0 | 1.36 | 240 | 12 |
取り方:客数の開示がないので推定。決算短信の婦人下着及び関連の売上 185.96 億円を客数の指数 100 とし、既存客の購入単価の上昇は単価の側に入れた。セグメント利益 6.79 億円。
マタニティ・婚礼・美容
マタニティとベビーの衣料、結婚式場の運営、美容室など。
| 数量利用件数の指数(2026/03 = 100) | 価格単価の指数(2026/03 = 1.00) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 1.00 | 27 | −1 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 1.30 | 31 | 0 |
取り方:決算短信の 3 つのセグメントの売上 10.85・10.00・5.89 億円の合計を指数 100 とした。利益は 0.03・−0.63・−0.40 億円の合計。
リスクと懸念
客の高齢化と好みの変化
補整下着の客は 40 代以上の女性が中心だ。若い世代は楽な下着を好み、運動で体を整える考え方も広がった。客が入れ替わらなければ、量はじわじわ細る。
親会社への貸付
2026 年 3 月末で 35 億円を RIZAP のグループに貸している。時価総額の 4 割に当たる。親会社の資金繰りが悪くなれば回収に不安が出るうえ、株主に戻る現金でもない。
分割払いの代金の回収
高額の下着を分割払いで売るので、売掛金は 55 億円ある。景気が悪くなり客が払えなくなれば、貸し倒れが利益を食う。貸倒引当金は 2.6 億円ある。
店の人件費と家賃
採寸できる販売員を育てるには時間がかかり、給料は毎年上がる。店は賃借で家賃は固定だ。売上が落ちても費用は減らず、営業利益率 3%前後の薄い利益はすぐ消える。
親会社の意向
RIZAP が 57%を持ち、経営の支援料も受け取る。配当や現金の使い道は親会社の都合で決まりうる。完全子会社化の値段が少数株主に有利とは限らない。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期に営業利益 10 億円の会社予想を達成したら
- 店の統廃合の効果が本物で、やや楽観の確率を上げる。
- 親会社への貸付を回収し、配当や自社株買いに回したら
- 現金が株主に戻る証拠で、戻り方を 0.75 以上に上げる。
- RIZAP が完全子会社化の TOB を発表したら
- 分析の対象から外れる。
- 婦人下着の売上が 2 期続けて減ったら
- 客の高齢化が効いている証拠で、やや悲観の確率を上げる。
- 貸倒引当金や分割の売掛金の延滞が増えたら
- 客の質が落ちている形で、利益率の見方を下げる。
見ておくもの
- 婦人下着のセグメント利益率
- 関係会社への貸付金の残高
- 分割の売掛金と貸倒引当金
- 配当と自社株買いの額
- RIZAP の持株比率と資金繰り
倍率と資本コストの決め方
今の株価からは置かず、婦人下着の客数と 1 人あたりの購入額で売上を積んだ。客数の開示はなく売上から推定した。倍率は ROE が k を下回るので 1÷k を上限に 8〜9 割。親会社への貸付 35 億円を余った現金に分け、親会社が使い道を決めるので戻り方を 0.5 にした。facts の株数は 8 月末なので、9 月末の自己株券買付状況報告書の 9,079 万株を使い、4 月以降の自社株買い 5.7 億円を自己資本の起点から引いた。店の賃借は 2028/03 期からリース負債に載るが、10 年後も家賃を費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.9→11.76 倍・やや楽観 PER 10.3→11.76 倍・中立 PER 9.7→11.76 倍・やや悲観 PER 10→9.7 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。