結論
北雄ラッキーは、札幌を中心に食品スーパー「ラッキー」を 33 店営む地場の会社だ。筆者の結論は割高である。値段は帳簿の 7 割ほどだが、売上に対する営業利益は 1% に届かず、資本の稼ぎは資本コストの 3 分の 1 ほどしかない。
食品スーパーは景気に強い。人は不況でも食べる。だが北海道の食品の売場は、アークス、イオン北海道、コープさっぽろという大きな相手に囲まれている。規模で劣るラッキーは、仕入れと物流の費用で勝てない。
財務も軽くはない。借入は 48 億円、リースの債務が 10 億円ある。金利が上がれば、薄い利益はさらに削られる。土地を 60 億円ほど持つのは心強いが、売らない限り株主の手には渡らない。
筆者は、帳簿の価値より稼ぐ力で値段を見るべき会社だと考える。会社の予想どおり利益が戻っても、今の値段を正当化するには足りない。
上振れの道は、道内の再編で大手が買い手に回ることだ。その時は土地と店の価値が目安になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「つぶれにくいが、稼げない」事業だ。食品は毎日売れ、店も土地も残る。だが規模で劣り、値段を自分で決められない。利益率 1% の事業は、少しの逆風で赤字に落ちる。
オーナーとして持ち続けたいかと問えば、答えは「いいえ」に近い。帳簿の 7 割という値段は安く見える。だが帳簿の多くは土地と建物で、それを使って稼ぐ利益は資本コストの 3 分の 1 しかない。稼げない帳簿は、年ごとに価値を失う。
安全域は無いとみる。土地を売れば帳簿の価値が出るかもしれないが、それを決めるのは株主ではない。借入とリースも重く、悪い年が続けば帳簿は思ったより早く減る。
筆者がいちばん気にしているのは、薄い利益と重い借入の組み合わせだ。売上が 2% 落ちるだけで利益は消え、借入は残る。事業そのものは消えないが、株主の取り分は細い糸でつながっているにすぎない。
何で稼ぐ会社か
札幌市と周辺、旭川などに食品スーパー「ラッキー」を 33 店持つ。売上は年 370 億円台で、生鮮と総菜、日配の食品が中心だ。自社の「ラッキー生鮮・デリカセンター」で総菜と刺身を集めて作り、各店に配る。2021 年に動き出したこの拠点が、店の作業を減らす要になっている。
商品では、高品質の「テイスティラッキー」と、有機の食材を集めた「ナチュラルラッキー」を前に出す。安さだけでなく、品質で地場の同業と違いを出す狙いだ。2023 年からは全店にセルフレジを入れ、レジの人手を減らした。
ほかに、持っている建物の一部を貸して年 2 億円台の賃料を得る。小さいが、安定した稼ぎだ。
店の土地と建物の多くは自社で持ち、土地の帳簿の価値は 60 億円ある。一方で借入とリースも多く、店の改装と建て替えは借りたお金で賄ってきた。人件費は年 40 億円を超え、電気代も 10 億円ある。売上が少し落ちるだけで、利益が消える費用の形だ。
社長の桐生宇優氏が代表を務める資産管理会社が、株の 2 割強を持つ。
決算は 2 月で、店の改装は毎年 1〜2 店ずつ進める。
優良さと弱いところ
優良さは低いとみる。食品スーパーは需要が消えない事業で、ラッキーも赤字の年はほとんど無い。だが利益率は 10 年以上 1% 前後を出ず、資本コストを超える稼ぎを上げた年は無い。
弱みは規模だ。北海道の食品の売場では、アークスが 1 兆円近い売上で仕入れと物流を握り、イオン北海道とコープさっぽろも大きい。33 店のラッキーは、同じ商品を同じ値段で売っても、仕入れの値段で負ける。品質の総菜で差を出そうとしているが、まだ利益率には表れていない。
財務も弱点だ。借入とリースで 58 億円あり、純利益の 30 年分を超える。金利が 3.5% に上がれば、利払いの増えだけで今の純利益が消えかねない。
堀、つまり他社がまねできない強みは見当たらない。
経営は創業家の流れをくむ社長が担い、安定配当と店の改装を地道に続けてきた。手堅いが、利益率を引き上げる大きな手は打っていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
食品スーパーの市場は、人の数と物価で決まる。業種ノートでは、客数はほぼ横ばいから少し減り、客単価が物価で上がって売上が名目で伸びると見る。値上げをしても買い上げの点数を落とさない会社が、勝ち残る。
北海道は事情がもっと厳しい。人口は全国より速く減り、札幌の外の町では店の客が年々細る。札幌市そのものは横ばいに近いが、高齢化で 1 人あたりの食べる量は減る。
競争も激しい。アークスは道内の地場スーパーを束ねた大手で、イオン北海道は全国のイオンの仕入れの力を使う。コープさっぽろは宅配と店の両方で強い。さらにドラッグストアが食品の売場を広げ、安さで客を奪う。
費用の面では、人件費と電気代が重い。寒い土地の店は冬の暖房と冷蔵に電気を使い、最低賃金は毎年上がる。セルフレジと集中調理で人手を減らせる会社と、減らせない会社の差が開く。再編の波は続き、規模の小さい地場の会社は、いずれ買う側か買われる側を選ぶことになる。
ネットスーパーと宅配も広がっている。コープさっぽろの宅配は道内で強く、店に来ない客を取り込む。ラッキーはこの分野で後れを取っている。
資本政策と M&A
配当は年 1 回で、1 株あたりの額を据え置く安定配当の方針だ。総額は 0.6 億円ほどで、前期の利益の 6 割近くにあたる。自社株買いは近年していない。
株主優待は 2 月末の株主に JCB ギフトカードか北海道の特産品を贈る。費用の開示は無いが、年 0.1 億円に届かない額とみる。10 年で 1 億円弱を還元に数えた。
内部の資金は、店の新設と改装に充てると会社は言う。借入の返済も進め、前期は短期の借入を 14 億円減らした。
筆頭株主は社長の資産管理会社で、敵対的な買収は起きにくい。ただ道内の再編の中で、大手が地場の会社を買う動きはありうる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
値段は帳簿の 7 割にすぎない。土地を 60 億円持ち、それだけで今の時価総額を上回る。食品スーパーは不況に強く、ラッキーも赤字の年はほとんど無い。今期は営業利益を 6 割近く増やす予想で、利益率は 1% 台に戻りかけている。
生鮮・デリカセンターは稼働を上げており、集中調理で店の人手を減らせる。セルフレジも全店に入った。高品質の総菜と有機の食材で、安売りの大手と違う客をつかめる。
道内の再編も追い風だ。アークスや全国の大手が地場の会社を買えば、土地と店の価値に近い値がつく。配当は利益の 6 割近くと手厚く、優待もある。借入も前期に大きく減らした。
利益率がわずか 0.5 ポイント上がるだけで、営業利益は倍になる。薄い利益の会社ほど、改善の効きは大きい。電気代の高止まりが落ち着けば、それだけで利益は戻る。今の値段は、その上振れをまるで見ていない。セルフレジと集中調理の投資はすでに終わり、これからは効果を刈り取る番だ。
慎重な見方
帳簿の 7 割という値段には理由がある。利益率は 10 年以上 1% 前後で、資本の稼ぎは資本コストの 3 分の 1 しかない。土地は店の下にあり、売れば商売ができなくなる。稼げない帳簿は値段の支えにならない。
規模の差は埋まらない。アークスとイオン北海道は仕入れと物流で圧倒し、ドラッグストアも食品で安さを競う。北海道の人口は全国より速く減る。人件費と電気代は物価より速く上がり、薄い利益はすぐ消える。
借入とリースは 58 億円あり、金利が 3.5% に上がれば利払いの増えで純利益は半分以下になる。今期の増益の予想も、第 1 四半期は赤字で始まった。
会社の予想が外れる時、薄い利益は真っ先に消える。過去 10 年、営業利益は 1〜5 億円の幅を行き来しただけで、伸びた実績は無い。配当の 6 割という性向も、利益が減れば維持できない。帳簿の価値を頼りに買うのは、経営が土地を売る気が無い限り、待ちぼうけに終わる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。土地の価値は本物だが、株主がそれを受け取る道は経営と大株主しだいで、稼ぐ力が値段を決める。中立に 4 割弱、悲観側に 4 割弱、楽観側に 2 割強を置いた。再編で大手が買い手に名乗り出るか、利益率が 2 年続けて 1% を超えれば、楽観側に寄せる。逆に、閉店や減配が出れば悲観側に寄せる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 1,417 円18 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 497 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 994 円13 億円、今との差 −68.9%、 期待の年率 −5.0%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 3,727 円47 億円 | 696 円9 億円 | +38.2% | +3.3% | 265 円3 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,540 円32 億円 | 617 円8 億円 | −1.3% | −0.1% | 568 円7 億円 |
| 中立 | 38% | 1,622 円21 億円 | 562 円7 億円 | −31.8% | −3.7% | 830 円10 億円 |
| やや悲観 | 25% | 356 円5 億円 | 443 円6 億円 | −75.0% | −13.0% | 200 円3 億円 |
| 悲観 | 13% | 237 円3 億円 | 150 円2 億円 | −87.9% | −19.0% | 50 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,417 円18 億円 | 497 円6 億円 | −40.2% | −5.0% | 1,914 円24 億円 |
今の株価時価総額 3,200 円40 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 6% 札幌の店を磨き、利益率が過去の山を超える 利益 4 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 3,727 円47 億円
札幌の人口はほぼ横ばいを保ち、ラッキーは改装した店で客を取り戻す。生鮮・デリカセンターで総菜と生鮮を集めて作り、店の作業を減らす。セルフレジで人手の不足もしのぐ。高品質の自社の総菜が評判を呼び、客単価は物価より少し速く上がる。店は 1 つ増えて 34 店になり、売上は 500 億円を超える。利益率は 1.6% と過去の山を超え、純利益は 4 億円近くになる。借入の返済も進み、金利の上昇の痛みは小さい。地場のスーパーを集める再編の中で、買い手の側に立つ道も開ける。優待と配当も手厚くなり、株主の顔ぶれは長く持つ個人が増える。
- 食品スーパー(ラッキー)と不動産賃貸:数量 34.0(店の数(店))× 価格 15(1 店あたりの売上(億円・名目。客数と客単価を含む))→ 売上 524 億円・営業利益 8 億円。34 店 × 1 店 15.4 億円(実質の客数と単価で 1.02 倍 × 物価 1.34 倍)、利益率 1.6%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.0% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 47 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店の改装と生鮮・デリカセンターの効率化が実を結び、利益率が 1% 台の半ばに乗る筋書き。過去 12 年の山は 1.3% で、それを超えた実績は無いので 6% に止めた。
やや楽観 18% 会社の予想どおり、利益率 1% 台を取り戻す 利益 3 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 2,540 円32 億円
物価の上昇は食品スーパーの客単価を押し上げる。ラッキーは値上げの波に乗り、客数を大きく減らさずに売上を物価の分だけ伸ばす。店は 33 店を保ち、改装を順に進める。電気代と人件費の上げは、セルフレジと集中調理で吸収する。利益率は 1.2% まで戻り、純利益は 2 億円台の半ばになる。配当は 1 株あたりの額を少し上げ、優待も続く。借入は少しずつ減り、利払いは横ばいに収まる。ただ資本の稼ぎは資本コストの半分に届かず、帳簿の価値を下回る値段が続く。第 1 四半期の赤字は季節の振れで、年間では利益が戻る。店の数を保ったまま、1 店あたりの稼ぎを少しずつ太らせる形だ。
- 食品スーパー(ラッキー)と不動産賃貸:数量 33.0(店の数(店))× 価格 15(1 店あたりの売上(億円・名目。客数と客単価を含む))→ 売上 498 億円・営業利益 6 億円。33 店 × 1 店 15.1 億円(実質横ばい × 物価 1.34 倍)、利益率 1.2%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.6% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 32 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の今期予想(営業利益 3.6 億円)の線を延ばし、利益率を 2024/02 期の 1.3% に近い 1.2% まで戻す筋書き。直近 2 期は 0.6% だったので 2 割弱。
中立 38% 人口減の北海道で、物価の分だけ伸びる 利益 2 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 1,622 円21 億円
北海道の人口は 10 年で 1 割近く減り、札幌の外の店から客が細る。ラッキーは不採算の店を 2 つ閉め、31 店に絞る。客単価は物価の分だけ上がるが、買い上げの点数は少しずつ減る。電気代と人件費も物価で上がり、利益率は会社の今期予想に近い 0.9% にとどまる。古い建物の償却は増えないが、建て替えと改装の費用は建築費の上昇で膨らむ。借入の金利は 1% 前後から 3.5% へ上がり、利払いが純利益を 1 億円近く削る。純利益は 1.6 億円ほどで、配当と優待はほぼ今の水準で続く。地味だが店は残る 10 年である。
- 食品スーパー(ラッキー)と不動産賃貸:数量 31.0(店の数(店))× 価格 15(1 店あたりの売上(億円・名目。客数と客単価を含む))→ 売上 454 億円・営業利益 4 億円。31 店 × 1 店 14.7 億円(実質の客数で 0.97 倍 × 物価 1.34 倍)、利益率 0.9%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.5% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 20 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業種ノートの中立(食品スーパーは客数ほぼ横ばい〜微減、客単価が物価で伸びる)に、北海道の人口減で店を 2 つ減らす形。地場の同業(アークス・イオン北海道)と同じ物差しで、もっとも起こりやすいとみた。
やや悲観 25% 電気代と人件費に押され、利益がほぼ消える 利益 1 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 356 円5 億円
北海道の人口減は札幌にも及び、ドラッグストアとディスカウント店が食品の売場を広げる。ラッキーは値上げで客を逃し、店を 29 店まで減らす。人件費と電気代は物価より速く上がり、冬の暖房と冷蔵の電気代は削れない。家賃と償却は売上が落ちても下がらない。利益率は 0.45% に沈み、借入の利払いを引くと純利益は 0.5 億円ほどしか残らない。配当は減らされ、優待も縮む。帳簿の土地と建物は残るが、それを生かす稼ぎが無い。値段は稼ぐ力に見合う水準まで下がる。閉めた店の土地は売れても、借入の返済に消える。株主に残るのは、細った利益と古い店の帳簿だけだ。
- 食品スーパー(ラッキー)と不動産賃貸:数量 29.0(店の数(店))× 価格 14(1 店あたりの売上(億円・名目。客数と客単価を含む))→ 売上 395 億円・営業利益 2 億円。29 店 × 1 店 13.6 億円(実質 0.93 倍 × 価格 1.30 倍)、利益率 0.45%(家賃・電気は固定)
倍率:ROE は 1% を割り、値段は稼ぐ力(純利益÷k)までで PER の上限は 12.1 倍。固定費が重く利益の振れが大きいので上限の 7.5 割の 9.0 倍。PBR は 0.08 倍と低いが、借入・リース・退職給付が重く床の資産は約 3 億しかないので、稼ぐ力の方が値段を決める。EV(時価総額+純有利子負債 42 億)÷営業利益は 26 倍と高く出るが、これは利益が薄いためで、借入を含めた事業の値段としても割安とは言えない。
確率:人手不足の賃上げと電気代が値上げを上回り、利益率が 0.5% を割る筋書き。2025〜26/02 期の 0.6% がすでにその入口に近いので 2 割半を置いた。
悲観 13% 赤字が続き、店を売って借入を返す 利益 −4 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 237 円3 億円
アークスやイオン北海道、コープさっぽろが規模で仕入れと物流の費用を下げ、価格で攻める。ラッキーは規模で劣り、客数が 2 割落ちる。店は 25 店まで減り、営業赤字が続く。減損と閉店の費用で、自己資本は半分以下に減る。借入の返済のために、土地と店を売る。配当は止まり、優待も廃止される。値段は、土地と在庫を売って借入とリース、退職給付を払った残りに近づく。創業家の資産管理会社が 2 割強を持ち、清算や身売りを少数株主が決めることはできない。土地は札幌の郊外にあり売れるが、店の建物は値が付かない。退職給付の支払いも残り、株主の取り分はわずかになる。
- 食品スーパー(ラッキー)と不動産賃貸:数量 25.0(店の数(店))× 価格 12(1 店あたりの売上(億円・名目。客数と客単価を含む))→ 売上 298 億円・営業利益 −2 億円。25 店 × 1 店 11.9 億円(実質 0.88 倍 × 価格 1.20 倍)、利益率 −0.8%
倍率:赤字なので PBR で置く。稼ぐ力はゼロで、値段は床の資産(約 3 億、floor_assets_why)まで。今の自己資本 59 億に対し 0.05 倍。
確率:大手の再編から取り残され、赤字が続く構造的な負けの筋書き。営業利益率が 1% 前後しかなく、少しの逆風で赤字に落ちる体質なので 1 割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
食品スーパー(ラッキー)と不動産賃貸
札幌圏を中心に食品スーパー 33 店。生鮮・総菜を自社の集中調理拠点で作る。建物の一部の賃料(年 2.5 億円)も含む。
| 数量店の数(店) | 価格1 店あたりの売上(億円・名目。客数と客単価を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 33.0 | 11 | 372 | 2 |
| 10 年後 中立 | 31.0 | 15 | 454 | 4 |
取り方:店の数は短信の 2026 年 2 月末の 33 店。売上 372.0 億円を店の数で割った(推定の置き方。客数・客単価の開示は無い)。営業利益は賃貸の利益を含む全社の値。
リスクと懸念
規模で勝る大手との競争
アークス、イオン北海道、コープさっぽろは仕入れと物流で勝る。同じ商品で値段を競われると、利益率 1% の会社は持ちこたえにくい。ドラッグストアの食品売場も客を奪う。
人件費と電気代の上昇
最低賃金は毎年上がり、寒冷地の店は暖房と冷蔵の電気代が重い。人件費 40 億円、電気代 10 億円に対し営業利益は 2 億円台で、費用が 5% 上がるだけで利益は消える。
金利の上昇と借入の重さ
借入 48 億円とリース 10 億円がある。借り換えの金利が 3.5% に上がれば利払いは年 1 億円以上増え、今の純利益とほぼ同じ額になる。
北海道の人口減
北海道の人口は全国より速く減る。札幌の外の店から客が細り、閉店の費用と減損が出る。店の数が減れば、集中調理の拠点の稼働も落ちる。
建て替えの費用の膨らみ
古い店の建て替えと改装は建築費の上昇で高くなる。償却は増えにくいが、現金は出ていく。借りて賄えば利払いが増え、還元に回るお金が減る。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 年続けて 1% を超えたら
- 集中調理とセルフレジの効果が利益に出た印。やや楽観の筋書きに近づく。
- 道内の大手が資本提携や買収を持ちかけたら
- 土地と店の価値に近い値がつく道が開く。株主には上振れの材料になる。
- 店を 2 つ以上閉めると発表したら
- 人口減が店の数に出た印。中立の店の数を下げ、やや悲観の確率を上げる。
- 優待や配当を減らしたら
- 利益の細りが還元に及んだ印。悲観側の確率を上げる。
見ておくもの
- 既存店の売上と客数
- 営業利益率(1% を超えるか)
- 借入の残高と金利
- 道内の食品スーパーの再編の動き
- 店の数の増減
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価から置いていない。全ての筋書きで ROE は k 8% を下回り、PER の上限は 1÷k=12.1 倍。利益の質で 7.5〜9 割を選んだ。今の PBR 0.7 倍は根拠にしていない。悲観は土地・在庫・現金から借入・リース・退職給付を引いた約 3 億で置いた。新リース会計基準で 2028/02 期から借りた店が BS に載るが、10 年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.9→12.5 倍・やや楽観 PER 10.3→12.5 倍・中立 PER 9.7→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。