結論
ハードオフコーポレーションは、家電・音響機器・楽器・衣料・ホビー用品まで、中古品を買い取って売る国内屈指のチェーンだ。新潟に本社を置き、1993年に1号店を出した。2026年3月期の売上は393億円で30期連続の増収、営業利益は34億円で過去最高だった。筆者の結論は、事業の質に比べて今の値段は低く、10年の本質価値は今の時価総額を2割5分ほど上回るというものだ。
稼ぎの仕組みは二本立てになっている。自社で運営する直営店が売上の大半を占め、加盟店(FC)が本部に収める手数料が、少ない手間で厚い利益を生む。FC事業は売上が19億円なのに、利益は13億円ある。
店は2026年3月末で1,078店。直営が545店、FCが533店だ。会社は国内2,000店、海外1,000店を中長期の目標に掲げる。出店は年40店前後を保ち、急拡大は避ける姿勢だ。
弱みは、利益率が見た目より薄いことと、買収の消化がこれからなことだ。営業利益率は9%前後で、本社費が重い。2025年10月に北海道のエコノスを買い、53店が加盟店から直営に移った。この買収が利益に表れるのは2027年3月期以降である。10年後の中立は、売上が900億円強、営業利益が82億円、純利益が57億円と置く。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「堅実な事業を、手ごろな値段で買う」ことになる。30期連続の増収は、景気に左右されにくい事業の証しだ。買取と再販という仕組みは堅く、FCという軽い資産の稼ぎもある。自己資本比率は64%で、借金に頼らない。
資本の使い方は評価できる。出店は年40店前後と無理がなく、買収も北海道の同業と、市場の一体感がある案件だ。配当は純資産の6%を目安に、利益の4割から5割を返している。
気になるのは、利益率が薄く、本社費が重い点だ。FCは軽いが、直営の比率が高まれば、家賃と人件費の固定費が増える。ここは、利益が山を超える時も、谷に落ちる時も、効きやすい。
安全域は、ある。中立で10年後の価値は、今の値段をかなり上回る。利益率が下がる筋書きでも、厚い自己資本が下値を支える。事業は好きだが、買収の消化と利益率の上がり方を見極めてから、持ち続けたい。
何で稼ぐ会社か
事業は、中古品の買取と販売である。主力の「ハードオフ」は、家電・パソコン・音響機器・楽器・カメラなどを扱う。衣料と雑貨・家具の「オフハウス」、ゲームやトレーディングカードの「ホビーオフ」、本・CDの「ブックオフ」の加盟店もある。ほかに楽器・ブランド品などの専門業態も持つ。
期末の店舗は2026年3月で1,078店。業態別では、ハードオフが437店、オフハウスが333店、ホビーオフが98店、ブックオフが65店だ。直営が545店、FCが533店で、この2つを別の事業として開示している。
直営のリユース事業は売上373億円、セグメント利益57億円。FC事業は売上19億円、セグメント利益13億円。FCは加盟店から手数料や商品の供給代金を得る仕組みで、店の家賃や人件費は加盟店が負担する。本部の取り分が薄い代わりに、利益率が高い。
海外は、FCを含めて北米とアジアに19店ほどある。米国は小型の専門店に切り替え、台湾では100店まで広げる余地があると会社は見る。2024年11月にグループで1,000店に到達し、次は2,000店を狙う。
優良さと弱いところ
堀は、30年かけて築いた店の網と、ジャンルごとの専門性である。ハードオフの店は、家電や楽器の査定に長けた店員を置き、動くかどうかを確かめて値を付ける。この目利きが、買い取りの入口になる。FC網があるので、人口の少ない地方でも店を出せる。筆者は、堀の強さを「普通より少し上」と見るが、強い堀とまでは言わない。
収益の質は改善してきた。営業利益率は2021年3月期の3.7%から、2024年3月期以降は9%前後に上がった。国内の既存店売上は、2026年3月期も4.3%増えた。自己資本比率は64%と厚い。
気になる点もある。営業利益率は2016年3月期の11.2%を超えたことがなく、人件費と新店の開業費用が先に出る。2026年3月期は、売上が17%増えたのに、営業利益は5%しか増えなかった。エコノスの買収で、自己資本比率は71%から64%へ下がり、のれんの償却も始まった。
そして、買収の消化である。エコノスは北海道に約70店を持つ。53店を直営に切り替えた分は、家賃や人件費を自社で持つ。これまでFCとして手数料だけを得ていた店を、リスクを取って運営する形に変えた。うまく運べば利益が増えるが、失敗すれば固定費が重くなる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のリユース市場は、15年連続で広がっている。リユース経済新聞の推計では、2025年の店頭販売は約1兆3,000億円で、前年より6.8%増えた。環境意識と物価高が追い風だ。社長は、好調の要因を「消費者のリアル店舗への回帰」と語り、一時的な特需ではないと見る。
中古品の値段は、物価と一緒に動く。買取の値段も同じだけ上がるので、粗利の額を決めるのは数量だ。10年の中立では、市場の数量は実質で1割ほど増えると置く。人口が減る国内でも、中古品を選ぶ人が増える余地がある。
競合は多い。ゲオ傘下のセカンドストリート、ブックオフ、トレジャー・ファクトリー、コメ兵などの専門チェーンが品目ごとに競う。家電や音響機器、楽器の分野では、同社の専門性が強みになる。ネット側ではメルカリなどのフリマアプリが最大の競合で、個人が直接売り買いすれば、店の買取に入る品は減る。
同社は国内の店頭市場に対して、売上のシェアがまだ3%ほどだ。会社は人口10万人に1店を出店の目安にしている。それで割ると国内の余地は大きいが、人手と良い物件が制約になる。不況の時は、節約の需要が中古品を押し上げる。
資本政策と M&A
資本政策は、配当を安定させつつ、出店と買収に資金を回す形だ。配当は純資産配当率(DOE)6%程度を目安にしており、2026年3月期の性向は約47%だった。2027年3月期は増配を予定し、性向は約39%になる。配当は、利益が伸びれば増やし、利益が落ちても減らしにくい設計だ。
M&Aは、買う側として積極的だ。2025年10月に、北海道でリユースを展開するエコノスを約19億円で買収した。のれんは10億円、15年で償却する。ほかに、保有していたワットマンの株式を、同社のMBOに応募して売った。売却益11.6億円は2027年3月期に出る。大型の買収は見当たらない。買われる側のTOBは、kabufuの推定で10年以内に20%だ。大株主の構成は確かめられなかった。
財政は厚いが、借入が増え始めた。現預金は33億円、自己資本比率は64%。2026年3月期は、事業の買取に11億円、設備に13億円を投じ、短期借入を19億円増やした。
株主優待は内容を確かめられなかったため、還元には数えない。自社株買いは、近年は目立った実績がない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
国内の店頭市場は約1兆3,000億円で、同社のシェアは3%ほどだ。1,000店に到達し、次の目標は2,000店。出店は年40店前後と無理がなく、FCのおかげで資金も少なくて済む。既存店は4%台の伸びを保ち、リアル店舗に戻る流れが追い風になっている。
2027年3月期は、売上が16%増え、営業利益は20%増える計画だ。エコノスの通期寄与と、純増57店の出店が効く。中間期の売上は26%増の見通しで、勢いは強い。FCの利益13億円は、売上19億円の7割に近い。店が増えるほど、本部の取り分は増える。
海外にも芽がある。台湾は100店まで広げる余地があり、米国は小型の専門店で再出発した。2030年に米国で100店を目指す。利益率が10%に乗るなら、純利益は10年で3倍に近づく。自己資本比率が64%と厚いので、借入を使った成長にも余裕がある。
堀も深まっている。家電・楽器・音響機器は、動作確認と目利きが要る分野で、専門の店員を育てた店ほど買取の入口が太い。ネット通販と店の在庫を一体で動かす仕組みも整い、1店あたりの売上は物価を超えて伸びてきた。
慎重な見方
利益率は薄い。営業利益率は9%前後で、2016年3月期の11.2%を超えたことがない。2026年3月期は、売上が17%増えたのに営業利益は5%しか増えなかった。新店の開業費用と人件費が先に出るのだ。
買収の消化にも不安がある。エコノスの53店を直営にした分は、家賃と人件費を自社で持つ。これまで手数料だけを得ていた店が、固定費の重い直営店に変わった。うまく立て直せなければ、のれんの償却も重荷になる。
競争も強い。セカンドストリートは出店を続け、フリマアプリは家電や楽器の個人売買を広げている。家電やゲームは、新品の値下げや新製品の投入で中古相場が崩れやすい。米国では、これまで人の定着に苦しみ、小型店に切り替えている最中だ。
そして借入が増え始めた。自己資本比率は71%から64%へ下がり、短期借入は19億円増えた。出店と買収を続けるほど、レバレッジは高まる。2027年3月期の純利益は、売却益11.6億円を含む。それを除けば、利益はほぼ横ばいだ。
どちらに重みを置いたか
出店の余地と、FCという軽い稼ぎは本物で、強気の見方に分がある。ただし、利益率が薄く、買収の消化が済んでいないことを考えると、利益率が山を超える筋書きの確率は低くしたい。このため、中立は営業利益率を9%ほどにとどめ、過去の山(11.2%)には届かせなかった。
確率は、慎重な側にやや寄せた。やや悲観を25%、悲観を12%に置き、中立を36%とした。強気側は合わせて27%である。それでも、出店で利益が伸びる分と、厚い自己資本が効き、本質価値は今の時価総額を上回った。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 5,834 円812 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,048 円146 億円)。 今の値に割り戻すと 3,561 円495 億円、今との差 +39.8%、 期待の年率 +10.5%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 12,034 円1,674 億円 | 1,689 円235 億円 | +438.8% | +18.3% | 961 円134 億円 |
| やや楽観 | 20% | 9,160 円1,275 億円 | 1,430 円199 億円 | +315.8% | +15.3% | 2,118 円295 億円 |
| 中立 | 36% | 7,392 円1,029 億円 | 1,229 円171 億円 | +238.5% | +13.0% | 3,104 円432 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1,611 円224 億円 | 676 円94 億円 | −10.2% | −1.1% | 572 円80 億円 |
| 悲観 | 12% | 799 円111 億円 | 273 円38 億円 | −57.9% | −8.3% | 129 円18 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,834 円812 億円 | 1,048 円146 億円 | +170.2% | +10.5% | 6,883 円958 億円 |
今の株価時価総額 2,547 円354 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 出店とFC網が計画を上回り、利益率が山に迫る10年 利益 85 億円 · PER 19.6 倍 · 株価時価総額 12,034 円1,674 億円
出店は年50店ほどのペースで続き、国内の直営は1,100店に近づく。FC網も800店規模になる。新店の採算は既存店に近く、エコノスの53店は直営の運営に慣れて利益を出す。
海外は、米国の小型専門店と台湾の大型店が当たり、海外だけで数百億円の売上が見える。FCの利益は店とともに増える。
営業利益率は10%に乗る。本社費は売上に応じて増えるが、規模の効果で率は下がる。配当はDOE6%の目安を保ち、自社株買いも時々行う。ここまで来れば、中古品の店としては国内の別格の存在だ。同業との差が広がる。
買取の入口が店頭、宅配、出張とそろい、仕入れの量が品切れを起こさない。家電や楽器のように査定に専門性が要る分野では、他社が追いつきにくい。FCの加盟店も増え、本部の利益が積み上がる。
- リユース事業(直営店・通販・買取):数量 1,100(直営店舗数(店。期末の数。国内の人口10万人に1店の出店余地と、年30〜40店の出店計画で動かす))× 価格 1.03(1店あたりの年間売上(億円。物価込み))→ 売上 1,129 億円・営業利益 169 億円。直営1,100店。1店の売上は物価に加え、エコノス通期化と専門店の寄与で伸びる
- FC事業(加盟店への供給と手数料):数量 800(FC加盟店舗数(店。期末の数))× 価格 0.05(1店あたりの年間の本部収入(億円。物価込み))→ 売上 39 億円・営業利益 27 億円。FC800店。本部収入は物価並み
倍率:事業の純利益 85 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.9% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 19.57 倍、時価総額 1,674 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内2,000店という目標は、会社が掲げる長い線である。直営店の採算とFC網が伸び続けるなら成り立つが、利益率が山に迫る条件も重なる必要がある。上振れの確率は1割弱に置く。
やや楽観 20% 計画に近いペースで出店し、利益率が9%台に乗る10年 利益 68 億円 · PER 18.6 倍 · 株価時価総額 9,160 円1,275 億円
出店は年40店前後を保ち、直営は1,000店近く、FCは750店近くになる。エコノスの店は、通期でも想定どおりの利益を出す。既存店は物価並みに伸びる。
海外は台湾が育ち、米国も小型専門店が複数の州で採算に乗る。営業利益率は9%台半ばになり、直近3期の水準を上回る。
DXと物流の整備で、人手を抑える。配当は性向40%台半ばまで少しずつ上がる。借入は営業キャッシュフローで返し、財務は厚いままだ。買い手にとって、堅い成長株の姿だ。
海外では台湾の出店が続き、現地の需要が日本の中古品の輸出にも効く。FCは国内の空白地域で増え、本部の収入は店数とともに積み上がる。家電・楽器の査定の専門性が、他社との差を保つ。
- リユース事業(直営店・通販・買取):数量 990(直営店舗数(店。期末の数。国内の人口10万人に1店の出店余地と、年30〜40店の出店計画で動かす))× 価格 1.01(1店あたりの年間売上(億円。物価込み))→ 売上 995 億円・営業利益 144 億円。直営990店。出店が計画どおり進む
- FC事業(加盟店への供給と手数料):数量 740(FC加盟店舗数(店。期末の数))× 価格 0.05(1店あたりの年間の本部収入(億円。物価込み))→ 売上 36 億円・営業利益 25 億円。FC740店
倍率:事業の純利益 68 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.4% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 18.58 倍、時価総額 1,274 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027年3月期は売上16%増、営業利益20%増の計画で、中間期の売上も26%増の見通しだ。出店とエコノスの通期化という裏づけがあり、実績に近い上振れである。
中立 36% 出店で規模は育つが、利益率は山を超えない10年 利益 58 億円 · PER 17.7 倍 · 株価時価総額 7,392 円1,029 億円
国内の店頭市場は実質で1割ほど大きくなる。同社は出店を年30〜40店の範囲で続け、直営は880店、FCは680店ほどになる。直営の1店の売上は、物価に加え、エコノスの通期化で約8%上乗せされる。売上は10年で2倍以上になる。
海外は店が増えるが、利益は小さいままだ。FCの利益は、店が増えるぶん少しずつ増える。
賃料と人件費は物価どおりに上がり、本社費も売上とともに増える。営業利益率は9%ほどで、過去の山の手前で止まる。純利益は57億円ほどで、今の2倍強。配当はDOE6%の目安で、性向40%強を保つ。売却益は一過性なので、ここでは別に扱う。
- リユース事業(直営店・通販・買取):数量 880(直営店舗数(店。期末の数。国内の人口10万人に1店の出店余地と、年30〜40店の出店計画で動かす))× 価格 0.99(1店あたりの年間売上(億円。物価込み))→ 売上 873 億円・営業利益 127 億円。直営880店。1店の売上は物価並みに、エコノス通期化の約8%を足す
- FC事業(加盟店への供給と手数料):数量 680(FC加盟店舗数(店。期末の数))× 価格 0.05(1店あたりの年間の本部収入(億円。物価込み))→ 売上 33 億円・営業利益 23 億円。FC680店。本部収入は物価並み
倍率:事業の純利益 57 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.5% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 17.69 倍、時価総額 1,028 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店と既存店の勢いは続くが、人件費と家賃、買収の消化費用で、利益率は過去の山の手前にとどまる。直近の実績と会社の計画の延長にある、最も起こりやすい姿である。
やや悲観 25% 出店が鈍り、家賃と人件費が利益を削る10年 利益 22 億円 · PER 9.7 倍 · 株価時価総額 1,611 円224 億円
良い物件が取れず、人手も足りないため、出店は年20店ほどに落ちる。直営は700店、FCは580店ほどになる。エコノスの直営化した店は、期待どおりの利益を出せず、のれんの償却が重くなる。
家電やゲームの中古相場は、新製品の影響で下がる。フリマアプリへの流出も続く。1店の売上は物価に届かず、通期化の上乗せも半分しか効かない。
賃料と人件費は物価どおりに上がるため、営業利益率は5%に届かない。純利益は今よりやや小さくなり、配当は維持するが、増配はできない。海外は費用が先に出て、収益化が遅れる。借入は増えたままだ。
- リユース事業(直営店・通販・買取):数量 700(直営店舗数(店。期末の数。国内の人口10万人に1店の出店余地と、年30〜40店の出店計画で動かす))× 価格 0.94(1店あたりの年間売上(億円。物価込み))→ 売上 661 億円・営業利益 73 億円。直営700店。1店の売上は物価に届かない
- FC事業(加盟店への供給と手数料):数量 580(FC加盟店舗数(店。期末の数))× 価格 0.05(1店あたりの年間の本部収入(億円。物価込み))→ 売上 27 億円・営業利益 18 億円。FC580店。本部収入の伸びは物価に届かない
倍率:ROE 6.4% は k 7.5% を下回るので、PER の上限は 1÷k = 13.8 倍。利益が伸びない構造的な負けの途中なので、上限の約 7 割(9.7 倍)に置いた。
確率:エコノス買収後の消化費用や、新店の立ち上がりの遅れ、家電・ゲームの相場の崩れは、すでに起きている構造である。利益の伸びが売上に届かなかった2026年3月期の実績も根拠になる。
悲観 12% 買取が細り、直営の固定費だけが残る10年 利益 −1 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 799 円111 億円
フリマアプリに家電・楽器・衣料を奪われ、店の買取が細る。家電やゲームの中古相場も崩れ、在庫の評価損が出る。直営の新店は採算を割り、閉店が相次いで、直営は560店に減る。
エコノスの店は立て直せず、のれんを減損する。FCの加盟店も離れ、450店ほどに縮む。海外からは撤退する。
賃料と人件費は物価で上がり続けるため、固定費が利益を食い、営業利益はほぼゼロになる。配当は方針を保てず、大きく減らす。借入はあるが、営業キャッシュフローで返せる範囲にとどまる。優良な小売ではなくなっている。
新製品の投入サイクルが速く、家電の中古価値が短期間で下がる。若い客はフリマで買う習慣が定着し、店の来店客が高齢に偏っていく。
- リユース事業(直営店・通販・買取):数量 560(直営店舗数(店。期末の数。国内の人口10万人に1店の出店余地と、年30〜40店の出店計画で動かす))× 価格 0.82(1店あたりの年間売上(億円。物価込み))→ 売上 460 億円・営業利益 35 億円。直営560店。1店の売上は物価を大きく下回る
- FC事業(加盟店への供給と手数料):数量 450(FC加盟店舗数(店。期末の数))× 価格 0.04(1店あたりの年間の本部収入(億円。物価込み))→ 売上 19 億円・営業利益 10 億円。FC450店。本部収入も物価を下回る
倍率:営業利益がほぼゼロになる筋書きなので、PBR で測る。床は商品在庫と敷金・保証金、現金などの資産だが、家賃の約束と借入が残るため、今の自己資本 202 億円の約 0.55 倍(約 111 億円)に置いた。
確率:フリマへの流出、家電相場の崩れ、買収の失敗、海外の撤退が重なる構造的な負け。2016年3月期から2021年3月期まで利益率が6年連続で下がった実績もあり、1割強は置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
リユース事業(直営店・通販・買取)
ハードオフ・オフハウス・ホビーオフなどの直営店と、ネット通販、エコノスなどの買収した子会社による中古品の買取と販売。
| 数量直営店舗数(店。期末の数。国内の人口10万人に1店の出店余地と、年30〜40店の出店計画で動かす) | 価格1店あたりの年間売上(億円。物価込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 545 | 0.68 | 373 | 57 |
| 10 年後 中立 | 880 | 0.99 | 873 | 127 |
取り方:リユース事業の売上372.7億円(2026年3月期)を、期末の直営店545店で割って、1店あたり約0.684億円と置いた。期中に新規30店が開き、エコノスの53店も下期から連結したため、期末店舗数に対する売上は、通期で稼働した時より小さく出ている。将来の1店あたりの売上は、物価の指数(10年で1.34倍)に、この一巡分(約8%)を足して動かす。営業利益は、セグメント利益56.8億円(本社費などの調整前)。全社の営業利益33.9億円との差は調整額に置いた。
FC事業(加盟店への供給と手数料)
ハードオフ・オフハウス・ブックオフなどの加盟店に対する、商品の供給、ロイヤルティ(手数料)、運営の指導。
| 数量FC加盟店舗数(店。期末の数) | 価格1店あたりの年間の本部収入(億円。物価込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 533 | 0.04 | 19 | 13 |
| 10 年後 中立 | 680 | 0.05 | 33 | 23 |
取り方:FC事業の売上19.3億円(2026年3月期)を、期末のFC加盟店533店で割って、1店あたり約0.036億円(約3,600万円)と置いた。加盟店の店の売上ではなく、本部が受け取る収入である。営業利益は、セグメント利益13.1億円で、利益率は約7割。本部が店の家賃と人件費を持たないため、高い。
リスクと懸念
買収の消化(エコノス)
北海道の約70店のうち53店が加盟店から直営に変わった。家賃と人件費を自社で持つため、立て直せなければ固定費が利益を食う。のれんの償却も続く。
利益率の薄さと本社費
営業利益率は9%前後で、2016年3月期の11.2%を超えたことがない。新店の開業費用と人件費が先に出るため、売上が増えても利益の伸びは小さくなりやすい。
家電・ゲームの相場
家電やゲームは、新品の値下げや新製品の投入で中古の相場が崩れやすい。ホビー用品は流行の影響も受ける。専門性が強みの一方、相場の下落が利益に響く。
フリマアプリと競合の出店
家電・楽器・衣料はフリマアプリで個人売買がしやすく、店の買取に入る品を細らせる。ゲオ傘下のセカンドストリートなど競合の出店も続く。
海外の立て直し
米国は人材の定着に苦しみ、小型専門店への切り替え中だ。2030年に100店という目標は、現状から大きく離れている。費用が先に出る。
借入の増加と新リース会計
自己資本比率は71%から64%へ下がり、短期借入が19億円増えた。直営545店の賃借が2028年3月期からの新リース会計で貸借対照表に載り、数字の見た目はさらに弱くなる。
今後の分かれ目
- エコノスの直営化した店が、通期で想定どおりの利益を出せば
- 営業利益率が9%台半ばに上がり、本質価値は楽観〜やや楽観の筋書きに近づく。
- 出店が年40店前後のペースで続き、新店が1年以内に採算に乗れば
- 売上が10年で2倍以上になり、中立の筋書きを上回る。
- 家電・ゲームの中古相場が、新製品の影響で大きく崩れれば
- 在庫の評価損と値引きで粗利が落ち、やや悲観の筋書きに近づく。
- 米国の小型専門店が採算に乗れば
- 海外が利益の柱の一つになり、成長の伸びしろが広がる。
- フリマアプリへの流出で買取点数が落ちれば
- 直営店の仕入れが細り、固定費が重くなって、悲観の筋書きに近づく。
- 自社株買いや増配が実行されれば
- 還元が厚くなり、1株あたりの価値は上がるが、事業の価値が増えるわけではない。
見ておくもの
- 国内の既存店売上高と、新店の立ち上がり
- 直営と FC の営業利益率、エコノスの直営化した店の採算
- 出店数と閉店数(直営・FC別)
- 営業利益率(9%前後の水準を超えるか)
- 短期借入と自己資本比率
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER(約14倍)を見て筋書きを作ってはいない。先に直営店舗数 × 1店あたりの売上(物価の指数)で直営を、FC店舗数 × 1店あたりの本部収入でFCを積み、営業利益率は過去の山(11.2%)の手前、約9%に置いた。倍率は ROE 約13%と資本コスト7.5%から出した正当化 PER 約18倍の約85%、15倍台とした。結果が今の時価総額を2割5分ほど上回るのは、出店とエコノスの通期化で利益が10年で倍以上に伸びるためで、今の株価に寄せた結果ではない。店の家賃は営業費用に入れた形で置いており、新リース会計(2028年3月期から BS に載る)の後は営業利益が少し増え、純有利子負債にリース負債が加わるが、ここでは今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 17.9→19.57 倍・やや楽観 PER 16.1→18.58 倍・中立 PER 15.3→17.69 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本の 7.5% から 0.25% 差し引く。同じ領域のトレジャー・ファクトリー(0%)より、財務が厚く、増収が長く続いてきた分だけ軽い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.25% → 7.50%。