結論
京都きもの友禅ホールディングスは、振袖を中心に着物を売り、貸す専門店チェーンだ。筆者の結論は割高である。2026年3月期に営業黒字へ戻ったが、利益は薄く、10年先の市場は今より小さい。
稼ぎの源は成人式だ。新成人は10年で1割ほど減る。着物離れも続く。店を絞って利益を残す再建が進んだものの、売上を伸ばす手段は限られる。
財務は見かけほど強くない。純現金は28億円あるが、友の会の積立金25億円は客から預かった前払いで、実質は借金に近い。余った現金としては数えられない。
会社は新社長の下で不採算店を閉じ、SNS広告を強め、振袖の受注を伸ばした。この改革は評価できる。ただ、今期の営業利益は4割減の予想で、黒字の基盤はまだ固まっていない。
時価総額は19億円と小さく、純資産の6割ほどだ。割安に見えるが、赤字が続けば純資産はすぐ細る。再建の成果は評価しつつ、細る市場の中で高い値は付けにくい。筆者は帳簿の値を額面で受け取らない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、縮む市場で小さな利益を守っている会社に、高い値は付けにくい。
見たい点は二つだ。一つは、市場が縮んでも利益を残せる事業か。もう一つは、預かった金を自分の金と混ぜていないか。前者は、店を減らして黒字を戻した実績が評価できるが、成長はない。後者は、友の会の積立金25億円を別に見ているので、純現金の厚さには頼らない。
営業利益は2.6億円で、時価総額19億円に対して悪くない水準だ。ただし利益の質が弱い。成人式の需要は新成人の数で決まり、価格を決める力もない。利益率が5%を超えたのは、過去12年で2017年3月期の一度だけだ。
分かりやすい事業だが、10年後に今より強いとは言えない。安全域を取るには、今の黒字がどこまで続くかを疑い、資産の裏づけが薄い部分は割り引く。それが筆者の立場である。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は振袖だ。成人式の振袖を、販売とレンタルの両方で提供する。全国に40店ほど構え、写真スタジオとオンラインストアも持つ。従業員は連結で373人だ。
顧客の入口は友の会である。積立式のお買い物カードで、積立額にボーナスが付く。積み立てた客が数年後に振袖を買う仕組みで、集客の費用を抑えられる。積立残高は2025年3月期末で25億円だった。
売り方は変わりつつある。購入からレンタルへ客が移り、単価は下がるが、振袖を長く保有する負担がなくなる。レンタル比率の拡大は、会社が成長要因に挙げている。
創業は1967年で、千葉の呉服店から始まった。2021年に持株会社へ移り、2024年6月に浅香竜也氏が社長に就いた。新体制は不採算店の閉鎖、販管費の削減、Web広告の強化を進めた。ネイルサロンなどの新事業は2024年に終えている。
2026年3月期の売上は60億円弱で、ピーク時の半分以下になった。それでも営業黒字を取り戻したのは、店とコストを小さくした成果だ。売上の大半を振袖が占めるため、成人式の動向が業績に直結する。
優良さと弱いところ
優良さは限られる。堀と呼べるのは、友の会が作る顧客基盤と、振袖の品ぞろえくらいだ。
価格を決める力は弱い。レンタル専業や写真館との競争があり、成人式の客は比較する。ネットの比較で、価格がさらに見えやすくなった。
資本効率も低い。過去10年の自己資本利益率の中央値はマイナスだった。2024年3月期と2025年3月期は営業赤字が10億円と7億円で、自己資本は2015年3月期の89億円から31億円まで減った。
経営の動きは前向きだ。新社長の下で不採算店を閉じ、広告費を見直し、2026年3月期は営業利益が2.6億円の黒字になった。復配も決めた。ただ、今期の営業利益は1.6億円と、また減る予想である。
弱点は事業が縮む市場に張り付いていることだ。新成人の数が減る限り、再建は店を減らすことで成り立つ。成長で稼ぐ会社ではなく、小さく持ちこたえる会社と見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
着物の市場は長い縮小が続いている。1世帯あたりの和服への支出は、1975年の1万8千円から2020年には約1千円まで減った。着物は日常から消え、ハレの日に使うものに変わった。
その中で、成人式の振袖は最後の大きな需要だ。新成人は2026年に約109万人で、2036年は約98万人に減る。10年で1割ほど減る計算で、数量は構造的に細る。
購入からレンタルへの移行が進む。レンタルは単価が下がるが、保管や手入れの負担が客に要らず、参入も容易だ。写真館や貸衣装の専業、ネット専業との競争が激しくなる。
同業は大手が少なく、地元の呉服店と写真館が主体だ。京都きもの友禅は店舗網と友の会で上位に位置する。ただ、それでも市場全体が縮むので、勝ってもパイは減る。
人件費と家賃の上昇は、店舗型の費用を押し上げる。広告をWebに移して集客費を抑えることはできるが、競合も同じ手を使う。成人式は日程が決まっており、需要の時期が集中するため、人手と店舗の効率にも限りがある。海外や他の用途への広がりは乏しく、国内の成人式という一点に需要が集まっている。
資本政策と M&A
資本政策は慎重だ。赤字の間は無配だったが、2026年3月期の末に小額の期末配当で復配し、今期も同額を続ける方針である。株主還元の余力は小さい。
友の会の積立金は客から預かった前払いで、事実上の借金である。純現金28億円のうち、25億円ほどはこの積立金に対応する。会社が自由に使える現金は多くない。
自己株式は約4%あり、譲渡制限付株式報酬として役員に処分した。株主優待は10%割引券1枚で、費用は小さい。
大株主に目立った親会社や創業家は見当たらない。M&Aの動きもなく、TOBの話も出ていない。自力での再建が前提である。
新リース会計基準では、店舗の賃借が貸借対照表に載る。家賃の約束は40店分あり、数字の見た目が変わる点に注意したい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
再建は軌道に乗った。2026年3月期の営業利益は2.6億円で、前の期の7億円の赤字から黒字へ戻った。不採算店は閉じ、広告をWebに移し、振袖の受注は前年より36%増えた。
会社には友の会という強い集客の仕組みがある。顧客は50万人を超え、積み立てた客が数年後に振袖を買う。広告に頼らない顧客基盤は、新規参入者がまねしにくい。旧来の呉服店は広告費をかけても客を呼べなくなっている。
レンタル比率が上がれば、同じ振袖を何度も貸せて、利益率が上がる。在庫の回転が良くなり、資金効率も改善する。新成人が減っても、シェアが上がれば売上は保てる。
時価総額は純資産の6割ほどで、利益が戻れば再評価される余地がある。復配も決まり、株主に報いる姿勢が出てきた。
新社長は社内の人材で、費用の見直しを具体的に進めた。経営の規律が戻ったことは、赤字続きだった過去の会社と違う点である。店を絞った後の損益分岐点は下がり、売上が少し伸びるだけで利益が出る体質になった。
慎重な見方
市場は構造的に縮む。新成人は10年で1割減り、着物離れも続く。再建は店を減らして費用を抑えたことで成り立っており、売上は伸びていない。
黒字は薄く、今期の営業利益は4割減の予想だ。振袖の受注増も一時的で、広告費を使った前倒しかもしれない。景気が悪化すれば、成人式の振袖は真っ先に節約される。振袖を買わずに借りる流れは単価を下げ、売上の規模をさらに縮める。
純現金28億円は、友の会の積立金25億円に見合う前払いであり、自由に使える現金ではない。積立金の解約が増えれば、手元資金が一気に細る。
価格を決める力は弱く、レンタル専業や写真館との競争が続く。人件費と家賃の上昇を転嫁できなければ、利益は残らない。再建の成果は、一度の黒字で語るには早い。しかも黒字の一部は、広告費の絞り込みによるものだ。赤字に戻れば純資産はすぐ細る。
過去10年のうち7年が赤字で、黒字の年も利益は薄かった。今回の黒字も広告費を絞った面が大きく、持続性は証明されていない。
どちらに重みを置いたか
再建の成果は評価するが、市場が縮む構造と、薄い利益の質のほうが重い。確率は中立に厚く置き、やや悲観と悲観を合わせて4割強とした。
友の会の債務を差し引くと、純現金の強さは見かけより小さい。楽観とやや楽観の合計は2割強にとどめた。受注の伸びが続き、利益率が5%近くに乗るなら、見方を改める。再建の持続力が見えるまで、安全域は確保できない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 126 円26 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 15 円3 億円)。 今の値に割り戻すと 66 円14 億円、今との差 −26.0%、 期待の年率 +4.7%(資本コスト 8.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 251 円52 億円 | 39 円8 億円 | +225.0% | +12.5% | 17 円4 億円 |
| やや楽観 | 16% | 199 円41 億円 | 29 円6 億円 | +156.3% | +9.9% | 37 円8 億円 |
| 中立 | 36% | 156 円32 億円 | 19 円4 億円 | +96.4% | +7.0% | 63 円13 億円 |
| やや悲観 | 28% | 67 円14 億円 | 5 円1 億円 | −18.8% | −2.1% | 20 円4 億円 |
| 悲観 | 14% | 30 円6 億円 | 0 円0 億円 | −66.4% | −10.3% | 4 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 126 円26 億円 | 15 円3 億円 | +58.7% | +4.7% | 141 円29 億円 |
今の株価時価総額 89 円18 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 振袖の受注増が続き、レンタルの比率が上がって利益率が6%に届く 利益 4 億円 · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 251 円52 億円
振袖の受注が伸び続け、レンタルの比率が上がって在庫の回転が良くなる。店は40店のまま、1店あたりの売上が増える。
Web広告の効率が上がり、友の会の顧客から次の世代へ紹介が広がる。シェアが上がって、新成人の減少を吸収する。他社が閉店する地域で、客を取り込める。
営業利益率は6%に乗る。過去12年でも最も高い水準だが、店の絞り込みとレンタルの効率化が効いた結果として説明できる。レンタルの比率が高まれば、同じ振袖を何度も貸せるからだ。
復配が定着し、配当と自社株の買いも続く。レンタルの在庫を使い回せるので、資金効率も上がる。ただ、成長の天井は市場の縮小で決まり、利益の伸びは限られる。
- 振袖・着物の販売とレンタル:数量 13,525(年間の契約件数(件、推定))× 価格 0.01(1件あたりの売上(億円、名目))→ 売上 80 億円・営業利益 5 億円。件数 1.00 倍・単価 1.34 倍、利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.9 倍。全体の PER 11.92 倍、時価総額 45 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注増が定着し、友の会の顧客基盤が効き続ける筋書き。新成人が減る中でシェアを取る必要があり、低めに置く。
やや楽観 16% 受注増は続き、利益率は5%で安定する 利益 3 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 199 円41 億円
新成人は減るが、シェアの上昇と単価の上昇で売上は保たれる。レンタルの比率が緩やかに上がる。
不採算店の閉鎖が一巡し、店は少し減るが、1店あたりの収益が上がる。広告費もWebに移って効率が上がる。新社長の下で、店ごとの採算管理が根づく。
営業利益率は5%で安定する。過去10年の山と同じ水準だ。純利益は3億円ほどで、配当は小さいが続く。振袖の購入は減るが、レンタルの利用は安定する。
友の会の積立金は横ばいで、会社の資金繰りは安定する。
レンタル専業との差が付き、地域の店舗網が強みとして残る。新社長の改革が定着し、赤字に戻る心配は小さくなる。
- 振袖・着物の販売とレンタル:数量 12,443(年間の契約件数(件、推定))× 価格 0.01(1件あたりの売上(億円、名目))→ 売上 72 億円・営業利益 4 億円。件数 0.92 倍・単価 1.32 倍、利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.2% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 34 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:再建が定着し、店と費用の絞り込みが効いて利益率が5%前後で安定する筋書き。会社の黒字転換が一段進めばこの形になる。
中立 36% 市場の縮小を店舗の絞り込みで吸収し、利益率は4% 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 156 円32 億円
新成人が10年で1割減り、着物離れも続く。契約件数は2割近く減るが、単価は物価に近い伸びで売上は横ばいに近い。
店は少しずつ減り、残る店の効率が上がる。客の来店がWebの予約に移り、店の人員も絞れる。家賃と人件費は物価で上がり、利益率は4%前後にとどまる。
営業利益は2.5億円ほど。純利益は2億円で、配当は小さい。
友の会は横ばいが続き、積立金は大きくは動かない。会社は小さく持ちこたえ、成長はしない。新成人の数に合わせて店も縮み、それでも赤字には陥らない。
株主還元は配当を中心に小さく続く。市場が縮む中では、これでも悪くない結果だ。
- 振袖・着物の販売とレンタル:数量 11,090(年間の契約件数(件、推定))× 価格 0.01(1件あたりの売上(億円、名目))→ 売上 63 億円・営業利益 3 億円。件数 0.82 倍・単価 1.30 倍、利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 24 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新成人の減少を、単価の上昇と店舗の効率化で吸収する形を中心に置く。会社の足元の黒字を前提に、利益率は4%を中心とした。
やや悲観 28% 競争と人件費上昇で利益が消える 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 67 円14 億円
新成人の減少に加え、着物離れが加速する。レンタル専業やネットとの価格競争が激しくなり、単価の伸びは物価に届かない。
契約件数は3割近く減り、店の固定費が重くのしかかる。値引きで客を集めても、粗利が薄くなって赤字を埋められない。家賃と人件費は物価で上がる。
営業利益率は0.5%に落ち、利益はほぼ消える。友の会の積立金の解約が増え、資金繰りが気になり始める。
配当は減らされ、自己資本は細る。
再建が元に戻るので、新社長の改革は実を結ばなかったことになる。過去の2024年3月期と2025年3月期の赤字と似た姿だ。
- 振袖・着物の販売とレンタル:数量 9,738(年間の契約件数(件、推定))× 価格 0.01(1件あたりの売上(億円、名目))→ 売上 52 億円・営業利益 0 億円。件数 0.72 倍・単価 1.22 倍、利益率 0.5%
倍率:純利益はほぼゼロで、稼ぐ力に値は付かない。友の会の債務を除いた売れる資産の価値で見て、今の自己資本 31 億円に PBR 0.25 倍。中立の PBR より低く置いた。
確率:市場の縮小に加え、レンタル専業との価格競争が激しくなり、利益がほぼ消える筋書き。過去の再建が元に戻る形で、現実味がある。
悲観 14% 市場の縮小が加速し、店舗網が維持できなくなる 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 30 円6 億円
着物離れが加速し、成人式の振袖はレンタルの小さな市場に変わる。契約件数は4割以上減る。
店舗の固定費が重く、赤字が続く。店を一気に減らしても、閉店費用が重い。賃貸契約の解約や在庫の処分でも損が出る。
友の会の積立金の解約が増えて、手元の現金が細る。客の信用が落ちれば、新しい積立も減る。仕入れ先への支払いも厳しくなる。
会社は店舗数を半分に絞り、規模を縮めて生き残りを図るが、利益は戻らない。店を絞るほど顧客との接点が減り、悪循環に入る。この筋書きでは、市場の縮小が会社の力を超える。成人式の需要は、新成人の数とレンタルの価格に左右される。
- 振袖・着物の販売とレンタル:数量 7,439(年間の契約件数(件、推定))× 価格 0.00(1件あたりの売上(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 −2 億円。件数 0.55 倍・単価 1.10 倍、利益率 -6.0%
倍率:構造的に負けた姿。純損失で稼ぐ力に値は付かず、売れる資産が床になる。今の自己資本 31 億円に PBR 0.20 倍。
確率:新成人の減少と着物離れが加速し、店舗網が維持できずに赤字が続く筋書き。2024年3月期と2025年3月期の赤字が再来する形だ。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
振袖・着物の販売とレンタル
全国40店ほどで、成人式の振袖を中心に販売とレンタルを行う。写真スタジオとオンラインストアを含む。
| 数量年間の契約件数(件、推定) | 価格1件あたりの売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 13,525 | 0.00 | 60 | 3 |
| 10 年後 中立 | 11,090 | 0.01 | 63 | 3 |
取り方:会社は単一セグメントで、件数の開示は見つからなかった。2026年3月期の売上59.5億円を、1件あたり44万円(販売とレンタルの平均の推定)で割り、約13,500件と推定した。営業利益は2.59億円(決算速報)。
リスクと懸念
新成人の減少
新成人は2026年に約109万人で、2036年は約98万人まで減る。振袖の需要は数の減少に直結し、店舗網の維持が難しくなる。
友の会の債務
積立残高は25億円で、客から預かった前払いだ。解約や払い戻しが増えると、手元の現金が一気に細る。純現金は見かけほど強くない。
価格競争
レンタル専業、写真館、ネット専業が競合する。レンタルの比率が上がるほど単価は下がり、価格を決める力が弱い。
固定費の重さ
40店の家賃と人件費は、売上が落ちても減らない。人件費は物価で上がり、家賃の約束は新リース会計基準でも残る。
再建の持続性
2026年3月期の黒字転換は、店の閉鎖と広告の見直しによる。今期は営業利益が4割減る予想で、基盤はまだ固まっていない。
景気の悪化
振袖は裁量的な消費で、景気が悪いと真っ先に節約される。リーマン級の谷では、売上が3割減る可能性がある。
今後の分かれ目
- 営業利益率が2期連続で5%を超えた
- 再建が定着したとみて、やや楽観と楽観の確率を引き上げる。
- 友の会の積立残高が2割以上減った
- 客離れの先行指標とみて、悲観の確率を引き上げる。
- 新成人向けの受注が前年を下回った
- 広告による前倒しの反動とみて、中立の利益率を引き下げる。
- レンタル比率の上昇で粗利率が改善した
- 利益率の上振れ要因として、中立の利益率の見直しを考える。
- 同業や投資ファンドによる買収の提案が出た
- 資産価値と顧客基盤を評価して、価格に応じて見直す。
見ておくもの
- 振袖の受注高と契約件数
- 友の会の積立残高
- 営業利益率とレンタル比率
- 店舗数と1店あたりの売上
- 新成人の人口
倍率と資本コストの決め方
倍率は式と事業の質から置いた。中立は ROE が k 8.5% を下回るので上限 1÷k = 11.1 倍とし、市場が縮み価格を決める力が弱いので 8.5 倍にした。今の PER や過去の PBR は根拠にしていない。純現金28億円は友の会の積立金25億円と見合う前払いなので、余った現金に数えていない。新リース会計基準の影響は、今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.92 倍・やや楽観 PER 9→11.76 倍・中立 PER 8.5→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.5% = 9%。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.75%。