結論
グルメ杵屋は、うどんの「杵屋」とそばの「そじ坊」で知られる外食チェーンだ。売上の5割強がレストラン、3割強が関西空港の機内食と冷凍食品の製造で、残りを木津市場の賃貸、地方鉄道の水間鉄道、米や水産物の卸が占める。
筆者の結論は割高だ。2026年3月期の売上は441億円まで増えたのに、営業利益は5億円にとどまった。純利益は2億円強で、今の時価総額はその100倍近い。借入も重く、純有利子負債は86億円で時価総額の4割にあたる。
強みは、レストランに偏らない構成にある。ハラール対応を持つ機内食は他社に無い。冷凍おせちと冷凍弁当は、外食の人手不足の外側で伸びる。
だが足元は弱い。2027年3月期の第1四半期は、売上が前年より5%減り、営業は赤字だった。前の中期計画は、売上は達成したが経常利益は目標の6割に届かなかった。新しい中計は2030年3月期に経常利益25億円を掲げるが、実績の積み上がりが見えない。中立の10年後は純利益7億円、時価総額は70億円ほどとみる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を持ち続けたいとは言いにくい。事業は幅広いが、どれも利益が薄い。レストランは競合が多く、機内食は航空会社に左右され、冷凍食品は委託元の方針しだいだ。
強みは機内食のハラール対応にあり、これは本物だが、売上全体の1割台でしかない。残りの事業は資本を食う。本社の費用が全社の利益のほとんどを食い、手元に残る利益(オーナー利益)は2億円強だ。
資本の使い方にも疑問がある。純負債が86億円あり、利払いの増える時代に、成長投資の余力が小さい。新しい中計は5%の利益率を掲げるが、前の中計は経常利益で目標に届かなかった。
木津市場の土地は含み益がありそうだが、賃貸収益を利益に残すので、価値には二重に数えない。清算すれば借入と相殺されて手元に残る額は限られる。今の時価総額は、10年の中立の本質価値を大きく上回る。安全域は無く、確信度は低い。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は大きく四つある。第一はレストラン事業で、売上の5割強を占める。「杵屋」のうどんと「そじ坊」のそばが主力で、2026年3月末で359店。うち84店がFCだ。駅ビルとショッピングセンターの出店が多く、首都圏と大阪圏に集まる。海外はFCで十数店。
第二はODM・OEM事業で、売上の3割強。関西空港にある機内食工場(エイエイエスケータリング)は、ハラール専用キッチンを持ち、イスラム圏の航空会社の受注が多い。もう一つのアサヒウェルネスフーズは、冷凍おせちと冷凍宅配弁当を作る。委託する会社のブランドで、指定のレシピを作るのが基本だ。
第三は不動産賃貸で、売上は7億円ほどだが利益は3億円を超え、全体の4分の1を稼ぐ。大阪のミナミに近い木津市場の土地と建物を持ち、約100事業者に貸す。
第四は運輸、卸などだ。水間鉄道は5.5キロの地方鉄道で、米を扱う日本食糧卸や水産物を扱う木津市場の卸も持つ。新規に日本語学校を始めた。事業を重ねたのは、外食だけでは景気と人手の波が大きいという反省による。持株会社としてグループを統括し、本社費は全社の利益の大半を食うほど重い。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、機内食にある。ハラール専用の工場と認証、関西空港内に近い立地は、新規参入が難しい。冷凍食品も約2,500本のレシピと工場を持つ。
レストランは強みが薄い。うどんもそばも、競合が多く、駅ビルの家賃は固定費として重い。2026年3月期のレストランのセグメント利益は前期比で4割減った。値段を自分で決める力は弱い。
資本の効率は低い。過去10年のROEの中央値は2.7%で、資本コストを大きく下回る。営業利益率は2019年3月期の1.8%が直近の最高で、赤字の期は2008年以降で8回ある。
財務は重い。純有利子負債は86億円で自己資本比率は30%。営業利益は支払利息の2.7倍しかなく、金利が上がる世界では利払いが利益を食う。店舗は賃借で、家賃は売上が落ちても払う固定の約束だ。純負債に家賃の約束を足すと、見かけ以上に重い。経営は、同族の持株会社が筆頭株主で、持株比率は2割台と高い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
うどん・そばは外食の中では守りに強い業態だ。単価が低く、不況期の下方シフト(外食を安い店に移す動き)を受けやすい。ただ、駅ビルとショッピングセンターに偏る出店は、人の流れと施設の家賃に左右される。
人手不足と最低賃金の上昇は、深夜営業が無い分だけ居酒屋ほど重くはない。それでも人件費は2026年3月期の利益を削った。原材料も、小麦・そば粉・だしの値上がりが続く。競合は丸亀製麺(トリドール)、はなまるうどん、小諸そば、ゆで太郎などで、価格と品質で競う。
機内食は別の循環に乗る。訪日客と国際線の増便が追い風だが、航空会社の発注は景気と為替に左右される。関西空港の国際線は伸びており、イスラム圏の客向けのハラール需要は構造的に伸びる。冷凍おせちは、百貨店や通販で伸びる。冷凍宅配弁当は、共働きと高齢化で需要が広がる。
数量は、人口が減る日本のレストランではほぼ横ばい、機内食と冷凍食品は10年で3割ほど増えるとみる。ただし機内食は国際線の需要と為替、冷凍食品は大手の参入で価格が下がる懸念を、利益率の置き方に反映した。
資本政策と M&A
還元は配当性向30%以上を掲げ、安定配当を基本にする。2027年3月期も前期の水準を維持する計画だ。自社株買いは行っていない。
優待は3月と9月の年2回、100株で千円分、1,000株で1万円分の食事券で、杵屋グループと元気寿司、JBイレブンの店で使える。株主数は約1.7万人。優待の費用額は会社が開示していない。筆者は年1.6億円ほどと推定し、10年の還元に足した。根拠は、券面の合計が年5億円ほど、使用率が9割、原価率が3割台という掛け算だ。ここは大きくぶれる。
資本政策の柱は、中計の経営指標だ。2030年3月期に売上高経常利益率5%、ROE8%を掲げる。M&Aはグループシナジーの手段に含めると書くが、実績は多くない。借入が重い中で、新しい買収の余力は限られる。同族の持株会社MUKUMOTOが25%を持ち、会社の方針が長期で安定している一方、少数株主の意見は届きにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
グルメ杵屋は複数の事業を持ち、外食の波を他の事業で受け止められる。機内食は関西空港の国際線の増便に乗り、ハラール対応を持つ数少ない工場だ。2026年3月期の売上は4.8%増の441億円と、6期連続の増収になった。
冷凍食品は、冷凍おせちに加えて冷凍宅配弁当のODMを広げている。2025年5月に導入した大型の凍結設備が稼働し、生産能力を増やした。働く世代向けの弁当は、共働きと高齢化で需要が構造的に伸びる。
木津市場の賃貸は安定収入で、利益の4分の1を稼ぐ。新リース会計基準の適用前の今の数字で見ても、レストランの採算を引き上げれば、全社の利益は何倍にもなる。レストランの客単価は4%上がり、撤退基準を導入して、不採算店の整理を進めている。
中計の2030年3月期、経常利益25億円は、前期の5.7億円から見て大きいが、売上500億円で5%の利益率は外食の優良企業では当たり前の水準だ。達成すれば、利益の水準は一変する。
慎重な見方
2027年3月期の第1四半期は、売上が前年より5%減り、営業損益が約4億円の赤字だった。通期の会社予想は営業利益8億円だが、四半期で4億円の赤字を出して、残る3四半期で12億円の黒字を稼ぐのは難しい。
前の中計は、売上は達成したが経常利益は目標の10億円に対し5.7億円と4割届かなかった。新しい中計は経常利益25億円で、実績の4倍以上を掲げる。同じ計画の甘さが繰り返される恐れがある。
レストランは客数が落ち、セグメント利益は4割減った。人件費と原材料の上昇で、値上げが客数を削る。駅ビルの家賃は固定費で、売上が落ちても出ていく。
純有利子負債が86億円、営業利益は支払利息の2.7倍しかない。金利が上がれば、利払いが利益を食う。事業を広げすぎ、本社の費用が重い。今の時価総額は利益の100倍近く、将来の改善を先に織り込みすぎている。同族の持株会社が筆頭株主で、再建の主導権が少数株主にない点も気になる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。足元の第1四半期の赤字、前の中計の経常利益の未達、借入の重さは、どれも数字で確認できる。強気の見方は、機内食と冷凍食品の伸びを語るが、全体の利益に占める割合が小さい。確率はやや悲観を27%、悲観を15%に厚くし、中立は33%に絞った。上振れの合計は25%。最良でも、今の時価総額と同じ水準にしか届かない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 370 円85 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 127 円29 億円)。 今の値に割り戻すと 239 円55 億円、今との差 −74.5%、 期待の年率 −6.1%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,243 円284 億円 | 258 円59 億円 | +60.5% | +4.8% | 105 円24 億円 |
| やや楽観 | 18% | 680 円156 億円 | 188 円43 億円 | −7.2% | −0.7% | 156 円36 億円 |
| 中立 | 33% | 330 円76 億円 | 140 円32 億円 | −49.7% | −6.6% | 155 円35 億円 |
| やや悲観 | 27% | 136 円31 億円 | 83 円19 億円 | −76.5% | −13.5% | 59 円14 億円 |
| 悲観 | 15% | 101 円23 億円 | 42 円10 億円 | −84.7% | −17.1% | 21 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 370 円85 億円 | 127 円29 億円 | −46.8% | −6.1% | 497 円114 億円 |
今の株価時価総額 935 円214 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 中計の利益率5%に届き、機内食と冷凍食品が伸びる 利益 23 億円 · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 1,243 円284 億円
筆者が描く最良の姿は、2030年3月期の中計がほぼ実現し、その後も崩れない道だ。レストランは大型店を絞り、立地を選んで380店ほどになる。客単価は物価に加えて上積みされ、1店当たり売上は10年で1.40倍になる。営業利益率は6%に届く。
機内食と冷凍食品は大きく伸びる。関西空港の国際線の増便で、イスラム圏向けのハラール対応を持つ強みが効く。冷凍宅配弁当のODM(相手先ブランドの設計・製造)も広がり、量は10年で1.55倍になる。利益率は6.5%。
本社費は物価分だけ増える。営業利益は38億円、純利益は23億円に届く。自己資本は190億円ほどに積み上がるが、ROEは12%にとどまる。優待は続き、株主への還元は約59億円になる(優待の費用は利益から引き済みで、自己資本の流れには入れない)。
- レストラン:数量 380(店舗数(FC含む、店))× 価格 0.92(1店舗当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 351 億円・営業利益 21 億円。営業利益率6%
- ODM・OEM(機内食・冷凍食品):数量 38.3(製造・提供食数(百万食換算))× 価格 8.28(1百万食当たり売上(億円、名目))→ 売上 317 億円・営業利益 21 億円。営業利益率6.5%
- 不動産賃貸(木津市場):数量 25.6(貸している延床面積(千平方メートル))× 価格 0.38(1千平方メートル当たり年間賃料(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 5 億円。営業利益率50%
- 運輸・卸・その他:数量 77.0(取扱量(今の値段で換算した実質の売上、億円))× 価格 1.00(値段の指数(今を1))→ 売上 77 億円・営業利益 3 億円。営業利益率3.5%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.9% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.3 倍。全体の PER 12.34 倍、時価総額 284 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の目標を達成した上で、10年かけて同じ利益率を保つ必要がある。前の中計は経常利益が目標の6割に届かず、足元の第1四半期も赤字で、確率は低い。
やや楽観 18% レストランの利益率が戻り、ODMが堅調に伸びる 利益 14 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 680 円156 億円
レストランは360店で、1店当たり売上が10年で1.34倍と物価並みに増える。人件費の上昇を値上げで吸収し、営業利益率は4.5%まで戻る。コロナ前の2018年3月期の全社の営業利益率は1.4%で、そこから見ると高い水準だが、前の中計で撤退基準を入れた店舗の入れ替えが効いた姿だ。
機内食は関西空港の国際線の増便に乗り、冷凍食品は冷凍おせちと弁当で安定する。量は10年で1.4倍に増え、利益率は5.5%。木津市場の賃貸収入は、物価に沿って少しずつ上がる。
営業利益は25億円、純利益は14億円となる。ROEは9%弱と資本コストに届かない。株主への還元は配当と優待で約43億円。
- レストラン:数量 360(店舗数(FC含む、店))× 価格 0.88(1店舗当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 318 億円・営業利益 14 億円。営業利益率4.5%
- ODM・OEM(機内食・冷凍食品):数量 35.1(製造・提供食数(百万食換算))× 価格 8.04(1百万食当たり売上(億円、名目))→ 売上 282 億円・営業利益 16 億円。営業利益率5.5%
- 不動産賃貸(木津市場):数量 25.6(貸している延床面積(千平方メートル))× 価格 0.36(1千平方メートル当たり年間賃料(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 4 億円。営業利益率47%
- 運輸・卸・その他:数量 50.0(取扱量(今の値段で換算した実質の売上、億円))× 価格 1.34(値段の指数(今を1))→ 売上 67 億円・営業利益 1 億円。営業利益率2%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.9% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 156 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:前の中計では売上は計画を上回った。レストランの採算が戻り、機内食と冷凍食品が堅調という想定は現実的だが、1期目の赤字が示すとおり、利益の戻りは遅れやすい。
中立 33% 収益は戻るが薄く、機内食とODMが下支え 利益 7 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 330 円76 億円
中立の姿は、薄い利益を重ねる総合の外食グループだ。レストランは345店に微減する。客単価は物価並みに上げるが、客数がゆるやかに減り、1店当たり売上は10年で1.30倍にとどまる。営業利益率は2.8%。
機内食と冷凍食品は、量が10年で1.3倍に増える。関西空港の国際線の伸びが追い風だが、第1四半期は機内食が減っており、勢いは強くない。利益率は4.2%。木津市場の賃貸と日本語学校などの新規は小さい。
本社費は物価で増え、営業利益は14億円となる。借入の利払いが増えて、純利益は7億円。自己資本は126億円で、ROEは5%と資本コストを下回る。配当は利益の3割、優待は年1.6億円ほどと推定し、10年の還元は約32億円。優待の費用は利益から引き済みなので、自己資本の流れには入れていない。
- レストラン:数量 345(店舗数(FC含む、店))× 価格 0.86(1店舗当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 296 億円・営業利益 8 億円。営業利益率2.8%
- ODM・OEM(機内食・冷凍食品):数量 32.1(製造・提供食数(百万食換算))× 価格 8.04(1百万食当たり売上(億円、名目))→ 売上 258 億円・営業利益 11 億円。営業利益率4.2%
- 不動産賃貸(木津市場):数量 25.6(貸している延床面積(千平方メートル))× 価格 0.36(1千平方メートル当たり年間賃料(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 4 億円。営業利益率45%
- 運輸・卸・その他:数量 48.8(取扱量(今の値段で換算した実質の売上、億円))× 価格 1.34(値段の指数(今を1))→ 売上 65 億円・営業利益 1 億円。営業利益率1.5%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 76 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:前の中計の未達、第1四半期の赤字、店舗の採算の悪化が重なる足元から、中計どおりの回復は織り込みにくく、薄い黒字が続く姿を中心に置く。
やや悲観 27% 客数減と機内食の減少が続き、薄利が続く 利益 4 億円 · PER 8.9 倍 · 株価時価総額 136 円31 億円
レストランの客数が下がり続け、330店まで店が減る。1店当たり売上は10年で1.25倍にとどまる。人件費と賃借料の増加を吸収できず、営業利益率は2.2%。
機内食は航空会社の発注の変動に左右され、量は10年で1.15倍にとどまる。冷凍食品は競合の参入で値下がりし、価格は1.30倍。利益率は4%。
営業利益は9億円、金利上昇の分を引くと純利益は3億円強。自己資本は110億円、ROEは3%。配当は利益に連れて薄くなり、優待は3/4に縮む。10年の還元は約19億円。借入が重く、新しい投資の余力はほとんどない。
- レストラン:数量 330(店舗数(FC含む、店))× 価格 0.83(1店舗当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 272 億円・営業利益 6 億円。営業利益率2.2%
- ODM・OEM(機内食・冷凍食品):数量 28.4(製造・提供食数(百万食換算))× 価格 7.80(1百万食当たり売上(億円、名目))→ 売上 222 億円・営業利益 9 億円。営業利益率4%
- 不動産賃貸(木津市場):数量 25.6(貸している延床面積(千平方メートル))× 価格 0.35(1千平方メートル当たり年間賃料(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 4 億円。営業利益率42%
- 運輸・卸・その他:数量 48.8(取扱量(今の値段で換算した実質の売上、億円))× 価格 1.25(値段の指数(今を1))→ 売上 61 億円・営業利益 1 億円。営業利益率1.2%
倍率:ROE 3.2%(純利益 3.5 億円 ÷ 自己資本 110 億円)が資本コスト 9.0% 以下なので、PER の上限は 1÷k = 11.1 倍。ためた利益は額面の価値に届かない。稼ぐ力が弱く、借入が重いうえ、ためた自己資本も活用できないので、上限の 8.0 割の 8.9 倍に置いた。
確率:足元の第1四半期は売上が前年を下回り、営業赤字だった。客数低迷と機内食の減少が1年で解消するとは言いにくく、薄利が続く姿に厚みを持たせる。
悲観 15% 店の整理が続き、機内食も減って赤字に沈む 利益 −3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 101 円23 億円
レストランの客数が構造的に減り、店は290店まで縮む。1店当たり売上は10年で1.21倍にとどまり、人件費の増加を吸収できない。営業利益はほぼゼロになる。
機内食は国際線の需要が落ち、量が10年で1割減る。冷凍食品も価格競争で利益が出ない。営業利益は2億円強の赤字となる。本社費を削っても、利払いと減損で純損失が続く。
借入が重いので、配当と優待は止まる。木津市場の土地を売る選択肢は残るが、売却益から税と借入返済を引くと手元に残る額は限られる。親会社に当たる株主はおらず、同族の持株会社が筆頭株主で、再編の主体は内部にいる。
- レストラン:数量 290(店舗数(FC含む、店))× 価格 0.80(1店舗当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 232 億円・営業利益 0 億円。営業利益率0%
- ODM・OEM(機内食・冷凍食品):数量 22.0(製造・提供食数(百万食換算))× 価格 7.30(1百万食当たり売上(億円、名目))→ 売上 161 億円・営業利益 2 億円。営業利益率1.5%
- 不動産賃貸(木津市場):数量 25.6(貸している延床面積(千平方メートル))× 価格 0.34(1千平方メートル当たり年間賃料(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。営業利益率38%
- 運輸・卸・その他:数量 48.8(取扱量(今の値段で換算した実質の売上、億円))× 価格 1.10(値段の指数(今を1))→ 売上 54 億円・営業利益 0 億円。営業利益率0%
倍率:稼ぐ力が赤字なので、床は売れる資産に近い。今の自己資本93億円に0.25倍を掛けて置いた(店舗の減損と、借入の重さ、家賃の約束を引くと、帳簿の自己資本の3割に満たない)。
確率:足元の営業赤字と薄い利益、借入の重さを考えると、構造的に負ける姿は無視できない。過去にも赤字の期が8回ある。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
レストラン
杵屋・そじ坊などのうどん・そばを中心とした外食。駅ビルとショッピングセンターに多い。直営・委託とFCがある。
| 数量店舗数(FC含む、店) | 価格1店舗当たり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 359 | 0.66 | 237 | 4 |
| 10 年後 中立 | 345 | 0.86 | 296 | 8 |
取り方:2026年3月末のグループ店舗数359(FC84を含む)。レストランの売上構成比53.8%を連結売上441億円に掛けて約237億円とし、店数で割って1店当たり約0.66億円。FC店は本部の収入だけが売上に入るので、1店当たりは直営だけより小さい。セグメント利益は筆者の推定。先の1店当たり売上は、物価1.34倍に客数の減りを反映して中立で1.30倍。
ODM・OEM(機内食・冷凍食品)
関西空港の機内食工場と、冷凍おせち・冷凍宅配弁当の工場。委託元のブランドで作る。
| 数量製造・提供食数(百万食換算) | 価格1百万食当たり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 24.7 | 6.00 | 148 | 6 |
| 10 年後 中立 | 32.1 | 8.04 | 258 | 11 |
取り方:売上構成比33.5%を441億円に掛けて約148億円。食数は開示が無く、機内食と冷凍食品の平均単価を1食6百円と筆者が仮置きし、約2,470万食と推定した(平均単価は仮定)。先の食数は、関西空港の国際線の伸びと冷凍弁当の広がりで、中立で10年1.3倍(実質)。1食の単価は物価並みの1.34倍。セグメント利益は推定。
不動産賃貸(木津市場)
大阪の木津市場の土地と建物を貸し、約100事業者が入居する。
| 数量貸している延床面積(千平方メートル) | 価格1千平方メートル当たり年間賃料(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 25.6 | 0.28 | 7 | 3 |
| 10 年後 中立 | 25.6 | 0.36 | 9 | 4 |
取り方:木津市場の延床面積は約25,600平方メートル。2026年3月期の不動産賃貸の売上は約7.2億円、セグメント利益は約3.2億円(有価証券報告書の表より)。1千平方メートル当たり約0.28億円。賃料は物価の7割ほどが転嫁できる想定で、中立は10年1.30倍。
運輸・卸・その他
水間鉄道、日本食糧卸(米)、木津市場の水産卸、日本語学校など。
| 数量取扱量(今の値段で換算した実質の売上、億円) | 価格値段の指数(今を1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 48.8 | 1.00 | 49 | 1 |
| 10 年後 中立 | 48.8 | 1.34 | 65 | 1 |
取り方:連結売上441億円からレストラン・ODM・不動産を引いた約49億円。内訳が非開示で、鉄道の乗客数や米の取扱量が使えないため、今の値段で換算した実質の取扱量を数量の代わりに置いた。値段の指数は物価に沿って中立で10年1.34倍。利益は筆者の推定。
リスクと懸念
レストランの客数減と採算悪化
2026年3月期のレストランのセグメント利益は前期比で4割ほど減った。人件費と原材料の上昇が値上げで吸収しきれず、客数も戻らない。第1四半期も営業赤字で、立て直しの時期は読めない。
中計の達成の甘さ
前の中計は売上は達成したが経常利益は目標の10億円に5.7億円で、4割届かなかった。新しい中計は経常利益25億円で、実績の4倍以上。同じ計画の甘さが繰り返されるおそれがある。
借入の重さと金利
純有利子負債は86億円で時価総額の4割にあたり、営業利益は支払利息の2.7倍しかない。借入は借り換えのたびに高い金利になり、10年で利払いが2億円ほど増える。利益が薄い会社には重い。
機内食の発注と国際線の変動
機内食は航空会社の発注と関西空港の発着回数に左右される。第1四半期は機内食が減ったと伝えられた。ハラール対応の強みはあるが、顧客が少数の航空会社に偏るため、1社の離脱で売上が動く。
店舗の家賃と減損
店舗は駅ビルやショッピングセンターの賃借で、家賃は売上が落ちても出ていく固定の約束。客数が戻らないと、店舗の減損と閉店費用がかさむ。賃借料は売上の1割強、年25億円前後と筆者はみる。
同族の持株会社と少数株主
同族の持株会社MUKUMOTOが25%を持つ。経営が安定する一方、買収や再編などの局面で少数株主の意見は届きにくい。木津市場の資産活用なども、支配株主の判断に左右される。
今後の分かれ目
- 2028年3月期までに営業利益率が2%台に乗り、第1四半期の赤字が解消したら
- 中立から、やや楽観に重みを移す。中計の達成が見えてきたと判断する。
- 機内食の発注が回復し、関西空港の国際線の伸びが続いたら
- ODMの量を引き上げる。楽観・やや楽観の確度が上がる。
- レストランの閉店が続き、セグメント利益が赤字に転じたら
- やや悲観・悲観に重みを寄せる。借入の返済と減損が重くなる。
- 木津市場の土地を売却して借入を返済すると発表したら
- 賃貸収益を失う代わりに借入が減る。両者を差し引いて価値を見直し、含み益の税引き後を足す。
- 優待が縮小・廃止されたら
- 還元の受け取り分を減らして見直す。利益には影響しないが、株主の取り分は下がる。
見ておくもの
- レストランの既存店客数と店舗数の半期ごとの推移
- 機内食の受注と関西空港の国際線の発着回数
- 冷凍食品のODMの新規顧客
- 経常利益率の推移(中計の5%に対する進み)
- 純有利子負債と営業利益の比
- 優待の内容変更
倍率と資本コストの決め方
レストラン・ODM・不動産賃貸・運輸卸その他の四つに分け、数量(実質)×価格(名目)で10年を積んだ。ROEが資本コスト9%以下なので、中立のPERの上限は1÷k=11.1倍で、その9割の10倍に置いた。今の株価や過去のPER・PBRには寄せていない。悲観の床は木津市場の土地の売却価値から純負債を引いた額で、過去のPBRの谷は使っていない。木津市場の賃貸収益は利益に残したので、土地の価値は中立に足していない(二重を避けた)。優待は年1.6億円と推定して還元に足した。新リース会計基準でリース負債が載るが、10年後は家賃を営業費用に入れた今と同じ形でそろえた。減価償却は取得時の値段のままとして本社費だけを物価で増やした。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→12.34 倍・やや楽観 PER 9.4→11.11 倍・中立 PER 10→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityの+1.5%を足して9.0%。赤字は続いておらず、存続に疑いはないので、上乗せ(extra)は置かない。