結論
ペッパーフードサービスは、立ち食いステーキ「いきなり!ステーキ」を中心に、国内に直営約130店、フランチャイズ約48店を展開する外食会社だ。2018年の急拡大の反動で2019年・2020年に大赤字となり、不採算店の整理を続けて2024年12月期に営業黒字へ戻った。2025年12月期の売上は145.5億円で、営業利益は0.42億円、利益率は0.3%にすぎない。
強みは、アプリ会員150万人と希少部位の期間限定メニューによる来店の頻度である。2026年の中間決算は売上が12.6%増で、通期の経常利益予想も2.46億円に引き上げた。財務も有利子負債がなく、現預金は20億円、自己資本比率は57%と、危機の頃とは違う。
懸念は、利益の小ささと本社費の重さだ。ステーキ事業の利益15.3億円のうち、本社の費用が約13億円を食い、営業利益は数千万円しか残らない。店舗の賃料は年11億円ほどと推定され、固定費として残る。過去の中期計画は未達が続いている。
中立では、10年後の売上は約217億円、営業利益は約5.8億円、純利益は約3.4億円。確率で重みづけした総合は、今の時価総額125億円を大きく下回り、割高の側に出る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ペッパーフードサービスは「立て直し途上の、利益の小さい外食」だ。売上145億円に対して営業利益は0.4億円。2018年の拡大と2019年・2020年の大赤字という過去が、事業の危うさを示している。
事業の強みは、アプリ会員と希少部位の仕入れで、店舗の黒字化は進んでいる。だが堀は弱く、客数が減れば賃料と人件費の固定費で利益が簡単に消える。
財務は有利子負債がなく、現預金20億円はあるが、運転資金と退店費用で使い道がある。これは安全域というより、事業が傾いたときの時間稼ぎだ。
払う値段が安全域を持つのは、稼ぐ力に対して十分に安い時だけだ。今の時価総額125億円は、2027年の予想純利益2億円の約60倍、純資産の3.7倍にあたり、中計(2029年の純利益4.9億円)が実現しても割高が残る。
筆者は、営業利益率が3%を超えて数年続くまでは、買う理由が見つからないと考える。
何で稼ぐ会社か
売上の95%がいきなり!ステーキ事業で、売上138.3億円、セグメント利益15.3億円。国内は直営130店、委託5店、フランチャイズ43店で、海外にも台湾・フィリピン・インドネシアなど12店ある。一人あたりの注文が大きく、希少部位の期間限定メニューやアプリ会員向けクーポンで来店を促す。2025年12月に東京・神田に次世代型店舗、ゴーストキッチン(宅配専門)の1号店も出した。
レストラン事業は売上6.5億円で、赤字0.7億円。2025年3月に海鮮居酒屋「かいり」3店を譲り受けて広げているところで、立ち上がりの費用が出ている。商品販売は冷凍ステーキ、ガーリックライス、スパイスの通販で、売上は0.5億円と小さい。
その他事業は、フランチャイズの開発支援と購買の部門で、費用が先行して赤字0.8億円。
中期経営計画(2026〜2029年)は、2029年に売上199億円、営業利益5.4億円、店舗262店を掲げる。新規出店54店とレストラン10店、海外の拡大、DX、M&Aによる第二の柱づくりを挙げる。
優良さと弱いところ
堀は弱い。ステーキの外食は、いきなり!ステーキの立ち食い・量り売りという型で一時は全国に広がったが、競合(ステーキのどん、ブロンコビリー、ハンバーグ店、牛丼チェーンの高価格帯)に型を真似されやすく、客を縛る力は弱い。2018〜2019年の店舗急拡大とその後の客離れが、それを示している。
強みは、希少部位の仕入れ力と調理の標準化、アプリ会員150万人のデータ、店舗の黒字化(ステーキ事業の利益率11%)である。ただし本社費が重く、会社全体では0.3%の利益率しか残らない。
資本効率はROEが過去10年の中央値でマイナスで、利益の質は低い。毎年、店舗の減損(2025年は0.97億円)が特別損失に出る。
経営は一瀬健作社長が2022年から不採算店の整理を進めて黒字に戻したが、中期計画を何度も引き下げてきた点を割り引いて見る必要がある。新株予約権(行使価額修正条項付)の発行で株式が希薄化してきた過去もある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食市場は、コロナ後に人流が戻って回復しているが、食材価格の上昇と人手不足による労務費の増加が収益を圧迫する。業界の前提は業種ノートの外食の節にあり、数量は人口減で横ばいから微減、価格は物価並みに上がる。
ステーキの専門業態は、牛肉の輸入価格(米国・豪州産)と為替に利益が左右される。肉の値上がりを価格に乗せると客数が減り、乗せないと利益が減る。高価格の肉は景気の影響を受けやすい。
競合は、ブロンコビリー、ステーキのどん、ステーキ宮、フォルクスのような郊外型の肉料理チェーンと、ハンバーグ店、焼肉店、牛丼の高価格帯である。立ち食い・量り売りという型は目新しさが薄れ、いまは通常のステーキ店との競争になっている。
海外は、東南アジアでフランチャイズを広げる方針で、台湾、フィリピン、インドネシアで開店した。ただし現地の食文化と牛肉の価格に左右され、収益への寄与はまだ小さい。
店舗の賃借が多く、敷金も大きい(差入保証金は 11 億円)。出退店の自由度が低い。新リース会計基準(2028年12月期から適用の見込み)で数字の形が変わる。
資本政策と M&A
配当は無配で、中期計画にも配当の数値目標はない。余剰資金は内部留保か株主還元かを検討するとしているが、成長投資と設備投資を優先する方針で、4年間で54店の出店と海外・M&Aに回る。自社株買いもない。株主優待は2025年から年2回(6月末・12月末)で、500株以上に食事券または自社商品。引当金は0.86億円で、年1億円に満たないので数字には入れていない。
財務は有利子負債がなく、現預金19.95億円、純資産34.2億円、自己資本比率57%。ただし受入保証金3.2億円、買掛金8.2億円、株主優待引当金、資産除去債務4.3億円があり、手元の現金の多くは運転資金と退店・出店の備えである。
賃借料は開示がないが、直営約138店で年11億円ほどと推定される。差入保証金(敷金)は11.2億円で資産に計上している。
過去に行使価額修正条項付新株予約権で資金を調達し、株式は希薄化してきた。2026年6月には業績連動型の有償ストックオプションを発行した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
いきなり!ステーキは、立て直しが進み、黒字が定着してきた。2024年・2025年と営業黒字を続け、2026年の中間決算は売上が12.6%増、通期の経常利益予想も2.46億円に引き上げた。ステーキ事業の利益率は11%と高く、店舗レベルの収益力は戻っている。
財務は有利子負債がなく、現預金は20億円で、新規出店を借入なしで進められる。アプリ会員150万人と希少部位の期間限定メニューで来店頻度を高め、客単価も物価並みに上がる。
中期計画どおり店舗が262店に増え、海外のフランチャイズが広がれば、本社費の負担が薄まる。本社費は約13億円で固定的だから、店舗の利益が増えるほど営業利益は大きく伸びる。利益率が5%を超える可能性は十分にある。
2018年のように一気に店を増やすのではなく、黒字店を見極めてからフランチャイズ中心で広げる方針に変わっており、同じ失敗を繰り返しにくい。
M&Aで第二の柱ができ、レストラン事業が黒字化すれば、利益の質も上がる。
慎重な見方
利益率が0.3%では、事業の失敗に耐えられない。ステーキ事業の利益15億円を、本社費13億円がほぼ食い、残りは数千万円。店舗の賃料は年11億円ほどと推定され、売上が落ちても減らない固定費だ。
毎年、店舗の減損が出ている。2025年12月期は営業黒字でも減損0.97億円で純損失になった。過去の中期計画は2023年版の2025年売上181億円に対し、実績は146億円と、何度も未達になっている。
2018年の急拡大とその後の客離れで、2019年・2020年に合計67億円の純損失を出した前例がある。ステーキは牛肉の輸入価格と為替に弱く、客の財布が締まれば真っ先に外される。立ち食い・量り売りという型は真似されやすい。
新株予約権と有償ストックオプションで、株式は薄まる方向にある。中計が実現しても2029年の純利益は4.9億円で、時価総額125億円に対して小さすぎる。
黒字化が続いても、市場が先に評価を織り込みすぎており、少しの失望で大きく下がる位置にある。
どちらに重みを置いたか
事業の立て直しは本物だが、利益が小さく、過去の計画未達と大きな赤字の前例がある点を重く見て、慎重な側に確率を寄せた。中立に4割弱を置き、やや悲観と悲観で4割弱とした。
営業利益率が3%を超えて数年続くなら、楽観側の確率を上げる。逆に、既存店売上が前年割れになるか、減損が2億円を超えるなら、悲観側を重くする。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 67 円41 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 30 円18 億円、今との差 −85.5%、 期待の年率 −10.4%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 251 円154 億円 | 10 円6 億円 | +27.4% | +2.5% | 16 円10 億円 |
| やや楽観 | 18% | 102 円63 億円 | 3 円2 億円 | −48.5% | −6.4% | 19 円12 億円 |
| 中立 | 38% | 63 円39 億円 | 0 円0 億円 | −69.1% | −11.1% | 24 円15 億円 |
| やや悲観 | 25% | 28 円17 億円 | 0 円0 億円 | −86.5% | −18.1% | 7 円4 億円 |
| 悲観 | 13% | 20 円12 億円 | 0 円0 億円 | −90.5% | −20.9% | 3 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 67 円41 億円 | 1 円1 億円 | −66.7% | −10.4% | 68 円42 億円 |
今の株価時価総額 205 円126 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 楽観:店舗が1.4倍になり、本社費を薄めて営業利益率が5%台まで上がる 利益 11 億円 · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 251 円154 億円
直営・委託店が185店に増える。希少部位とアプリ会員150万人を使った来店頻度で既存店が伸びる。フランチャイズと海外(台湾・フィリピン・インドネシア)が加わり、資本の軽い収入が増える。
レストランは「かいり」を軸に20店へ増え、黒字になる。商品販売は通販の定着で伸びる。
売上は約283億円、営業利益は約16億円、利益率は5.7%。本社費は店数が増えても物価分の上昇に収まり、固定費が薄まる。有利子負債のない財務で出店を自前で賄い、配当を始める。
会員データを使った販促が精度を上げ、客数を維持したまま単価を上げられる。海外のフランチャイズ収入も本社費をまかなえる規模になる。
- いきなり!ステーキ事業:数量 185(直営・委託の国内店舗数(店))× 価格 1.39(1 店あたり売上(億円。FC収入・商品販売を店数に按分))→ 売上 258 億円・営業利益 34 億円。店 185、客単価と来店頻度で単価 1.36 倍
- レストラン事業:数量 20.0(直営店舗数(店))× 価格 1.09(1 店あたり売上(億円))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。かいり中心に 20 店
- 商品販売・その他:数量 8.0(年間販売点数(万点))× 価格 4,200(1 点あたり平均金額(円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。通販が定着し黒字化
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.8% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 11.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.5 倍。全体の PER 13.46 倍、時価総額 148 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期経営計画(2029年に営業利益5.4億円)を上回って進み、その水準が10年続く筋書き。過去の計画は未達が続いており、ハードルは高い。
やや楽観 18% やや楽観:中期計画に近い出店と既存店の伸びで、利益率3.5% 利益 6 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 102 円63 億円
直営・委託店は165店。不採算店の整理が終わり、新規出店の成功率が上がる。単価は物価並みの1.34倍で、客数は横ばい。
レストランは16店で小さな黒字、商品販売は赤字が縮む。
売上は約246億円、営業利益は約8.6億円、利益率は3.5%。本社費は物価で増える分を、DXの省力化で吸収する。
出店の資金は現金と営業のキャッシュで賄い、借入はない。配当は小さく始まる程度で、内部留保が厚くなる。
フランチャイズと海外の店舗が増えて収入が積み上がる一方、本社の費用は店舗数ほどには増えない。回転の良い店が利益を押し上げ、悪い店は早めに閉める運営が定着する。
- いきなり!ステーキ事業:数量 165(直営・委託の国内店舗数(店))× 価格 1.37(1 店あたり売上(億円。FC収入・商品販売を店数に按分))→ 売上 227 億円・営業利益 26 億円。店 165、単価 1.34 倍
- レストラン事業:数量 16.0(直営店舗数(店))× 価格 1.07(1 店あたり売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。16 店で小さな黒字
- 商品販売・その他:数量 6.0(年間販売点数(万点))× 価格 4,000(1 点あたり平均金額(円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。赤字が縮む
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 63 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年の黒字転換が定着し、中期計画の店舗増を6割ほど達成する筋書き。直近の中間決算は売上が12.6%増で、勢いはある。
中立 38% 中立:店舗は微増で、営業利益率は2.7%。中期計画には届かない 利益 3 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 63 円39 億円
直営・委託店は150店。不採算店の整理後に新規出店が続くが、一部は閉店する。店あたりの売上は物価に追いつく1.32倍。客数は人口減で伸びない。
レストランは12店で収支が少し黒字。商品販売は赤字が残る。
売上は約217億円、営業利益は約5.8億円、利益率は2.7%。本社費は物価で1.2倍強に上がる。店舗の減損が毎年1.5億円ほど出て、純利益は3.4億円にとどまる。
賃借料は年11億円(推定)で、売上が落ちても減らない固定費。物価で上がる。出店の投資が現金を使い、自己資本が積み上がる。
2026年の予想が実現すれば、その勢いが数年続いて利益率が少しずつ上がる。ただし中期計画で掲げる262店には届かない。
- いきなり!ステーキ事業:数量 150(直営・委託の国内店舗数(店))× 価格 1.35(1 店あたり売上(億円。FC収入・商品販売を店数に按分))→ 売上 203 億円・営業利益 22 億円。店 150、単価 1.32 倍
- レストラン事業:数量 12.0(直営店舗数(店))× 価格 1.05(1 店あたり売上(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。12 店で薄い黒字
- 商品販売・その他:数量 4.0(年間販売点数(万点))× 価格 3,900(1 点あたり平均金額(円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。赤字が残る
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.2% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 39 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:計画は何度も未達で、2025年12月期の営業利益率は0.3%。2026年の予想(1.8%)が数年続いて少し上がる形を中立とした。
やや悲観 25% やや悲観:食材高と人件費で店の利益が削られ、収支がほぼ均衡 利益 1 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 28 円17 億円
直営・委託店は125店に減り、閉店と減損が続く。単価は物価に届かない1.25倍で、客数は競合のステーキ・ハンバーグ店に取られる。
レストランは8店で赤字が残り、商品販売も小さいまま。
売上は約168億円、営業利益は約1.4億円で、本社費13億円超が店の利益をほぼ食う。純利益は0.5億円ほどで、減損が出れば赤字になる。
現金は出店と減損の穴埋めで減る。自己資本は店舗の減損で目減りする。配当も自社株買いもない。
増資の可能性も残り、株式の価値は薄まりやすい。経営は閉店を進めて固定費を削るが、削る速度が賃料の更新に縛られる。
- いきなり!ステーキ事業:数量 125(直営・委託の国内店舗数(店))× 価格 1.28(1 店あたり売上(億円。FC収入・商品販売を店数に按分))→ 売上 160 億円・営業利益 16 億円。店 125、単価 1.25 倍
- レストラン事業:数量 8.0(直営店舗数(店))× 価格 0.95(1 店あたり売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。赤字が残る
- 商品販売・その他:数量 2.5(年間販売点数(万点))× 価格 3,500(1 点あたり平均金額(円))→ 売上 1 億円・営業利益 −1 億円。縮小
倍率:PBR 0.5 倍を今の自己資本 34 億円に掛けた。稼ぐ力が薄く、現預金 20 億円と敷金 11 億円が評価の中心。差入保証金の戻りと閉店費用を見て中立の PBR より低く置いた。
確率:牛肉の輸入価格と賃金の上昇を価格に転嫁しきれず、2024年・2025年の薄い利益がそのまま続く筋書き。
悲観 13% 悲観:2018〜2020年の再来。急な客離れと固定費で赤字に転落 利益 −14 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 20 円12 億円
客数が急に減る(食の安全問題、競合の値下げ、物価上昇による財布の締まり)。店舗の賃料と人件費は減らず、直営店の採算が崩れる。
店舗は90店に減り、営業利益は約15億円の赤字になる。レストランは撤退する。
自己資本比率は数年で急に下がり、現預金も尽きかける。増資や資本提携で救済を求め、既存株主の持ち分は薄まる。株主優待は止まる。
株主に残る価値は、敷金の返還と現預金から負債と退店費用を引いた分程度で小さい。
それでも会社は直ちに消えず、ステーキ店の黒字店を残して再建を試みる。ただし赤字の間に現預金が尽きるかどうかが分かれ目になる。
- いきなり!ステーキ事業:数量 90.0(直営・委託の国内店舗数(店))× 価格 1.18(1 店あたり売上(億円。FC収入・商品販売を店数に按分))→ 売上 106 億円・営業利益 −2 億円。店 90、単価 1.15 倍、赤字
- レストラン事業:数量 4.0(直営店舗数(店))× 価格 0.90(1 店あたり売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。撤退に向かう
- 商品販売・その他:数量 1.0(年間販売点数(万点))× 価格 3,000(1 点あたり平均金額(円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。縮小
倍率:PBR 0.35 倍を今の自己資本 34 億円に掛けた。稼ぐ力は赤字で、評価は現預金と敷金の戻りに限られる。
確率:過去に実際に起きた形。2019年12月期は店舗の急拡大の反動で純損失27億円、2020年は40億円だった。同じことが起きる確率を1割強に置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
いきなり!ステーキ事業
立ち食いのステーキ店を直営・委託・フランチャイズで展開する主力事業。売上の95%を占める。
| 数量直営・委託の国内店舗数(店) | 価格1 店あたり売上(億円。FC収入・商品販売を店数に按分) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 135 | 1.02 | 138 | 15 |
| 10 年後 中立 | 150 | 1.35 | 203 | 22 |
取り方:売上 138.3 億円、セグメント利益 15.3 億円(利益率 11.1%)は決算短信の開示。直営と委託は合わせて 135 店(直営130、委託5)。FC 収入と海外の取り分は店数に按分した推定。
レストラン事業
海鮮居酒屋「かいり」、炭焼ステーキ、とんかつなど、いきなり!ステーキ以外の飲食店。
| 数量直営店舗数(店) | 価格1 店あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 8.0 | 0.81 | 7 | −1 |
| 10 年後 中立 | 12.0 | 1.05 | 13 | 0 |
取り方:売上 6.5 億円、セグメント損失 0.70 億円は開示。直営 8 店。2025 年 3 月に「かいり」3 店を譲り受けた分が入り、通年ではまだ立ち上がっていない。
商品販売・その他
冷凍ステーキ・スパイスなどの通販、フランチャイズの開発支援と購買の間接収益部門。
| 数量年間販売点数(万点) | 価格1 点あたり平均金額(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2.4 | 3,000 | 1 | −1 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 3,900 | 2 | 0 |
取り方:商品販売 0.53 億円と その他 0.20 億円の合計 0.73 億円は開示。利益は商品販売 0.0 億円とその他 -0.84 億円の合計。点数と単価は売上からの推定。
リスクと懸念
薄い利益率と重い本社費
営業利益率は 0.3%。ステーキ事業の利益 15.3 億円のうち、本社費など約 13 億円が食う。客数が 1 割動くと営業利益はすぐに赤字になる。
店舗の賃料と減損
賃借料は開示がないが、直営約 138 店で年 11 億円ほどと推定される固定費。減損が毎年出ており、2025 年は 0.97 億円で純損失になった。
計画の未達
2023 年版の計画は 2025 年売上 181 億円だったが、実績は 146 億円。2026〜2029 年の計画(2029 年に営業利益 5.4 億円、262 店)も、過去の実績を見て割り引く必要がある。
牛肉の価格と為替
主な仕入れは輸入の牛肉で、為替や産地の価格で原価が動く。値上げを客が嫌えば客数が減る。
希薄化
過去に行使価額修正条項付新株予約権で資金を調達した。2026 年 6 月に業績連動型の有償ストックオプションも発行しており、株式の薄まりは続く。
急な客離れ
2019 年 12 月期の純損失 27 億円、2020 年は 40 億円と、拡大の反動で急に赤字に落ちた前例がある。食の安全や SNS での評判で客数が急に動く。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 期続けて 3% を超える
- 店舗の利益が本社費を上回って積み上がったとして、中立の営業利益率を 2.7% から 3.5% に上げて見直す。
- 既存店売上が 2 四半期続けて前年を割る
- 客離れの兆しとして、やや悲観と悲観に確率を移す。
- 店舗の減損が年 2 億円を超える
- 出店の質が落ちたとして、純利益÷営業利益を下げ、悲観の確率を上げる。
- 新株予約権の行使や増資で株式が 10% 以上増える
- 希薄化を 1 株あたりの価値から差し引いて見直す。
- 海外フランチャイズの店舗が 26 店を超えて収入が増える
- 資本の軽い収入として、楽観側の確率を上げる。
見ておくもの
- 営業利益率と本社費
- 既存店売上と客数
- 店舗の減損と閉店
- 出店数と海外フランチャイズ
- 新株予約権・ストックオプションによる希薄化
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。k 8.75%、弱い堀(残る割合 1/3)で、ROE が k を下回る筋書きは 1÷k(約 10.5 倍)が上限。中立の 8.5 倍はその 8 割。今の PER(約 60 倍)や PBR(3.7 倍)は使っていない。同じ領域の会社(焼肉坂井、WDI、チムニー等)の k・確率の物差しに揃えた。賃借料は開示がなく推定 11 億円で、営業費用に入れた形のまま 10 年後を置いた。新リース会計基準(2028 年 12 月期から)で営業利益は少し増え、純有利子負債(リース負債)の形が変わる。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→13.46 倍・やや楽観 PER 9.5→11.43 倍・中立 PER 8.5→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +2.0% を加えて 9.5%。薄い利益率と過去の急な赤字転落を反映した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。