結論
KOZOホールディングスは、持ち帰りずしの小僧寿しを核に、ラーメンのどさん子などの飲食店と、食品の卸の会社を買い集めてきた。筆者の結論は、今の値段は割高だというものだ。
売上は 2025 年 12 月期に 194 億円まで膨らんだが、営業損益は赤字のままだ。2014 年からの 12 年で黒字は 2 回しかない。自己資本は 5 億円に満たず、総資産の 1 割を切る。
会社は赤字を新株予約権の行使や子会社の増資で埋めてきた。過去 20 年に株を大きく増やした年は 5 回ある。この形が続けば、仮に利益が出ても、今の株主の取り分は薄まっていく。
店は主に借りて営むので、売上が落ちても家賃は残る。人件費と食材費が上がる中で、値上げを通す力は弱い。時価総額 54 億円は、10 年後に見込める稼ぎの何倍にも当たる。
売上の規模だけを見れば、外食と卸の中堅に見える。だが中身は、利ざやの薄い卸と、縮む持ち帰りずしの店網だ。規模が利益に結びついた年は、まだ無い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、持ち続けたい事業の条件を一つも満たさない。強い名前も、値上げを通す力も、利益で自己資本を厚くした実績も無い。
赤字の会社が増資で生き延びる形は、株主にとって最も損な形だ。会社が存続しても、新しい株が出るたびに、今の株主の取り分は削られる。仮に立て直しが成功しても、その果実の一部は増資に応じた人のものになる。
時価総額 54 億円は、10 年後の中立の純利益 1 億円の 50 倍を超える。自己資本の 10 倍を超える値段でもある。低い株価の見た目に安さを感じても、1 株の中身はそれ以上に薄い。
安全域は無い。筆者は、立て直しの数字が 2〜3 年続けて黒字で出るまでは、値段を払う理由が無いとみる。会社の値打ちを決めるのは売上の大きさではなく、株主の取り分として残る利益だからだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは四つの柱からなる。2026 年 12 月期の上期の数字で見る。
一つ目は小売・販売で、持ち帰りずしの小僧寿しと宅配ピザのデリズだ。157 店で上期の売上は 27 億円、損失は 0.7 億円だった。
二つ目は飲食で、ラーメンのどさん子などのブランドと居酒屋を、主に加盟店で営む。267 店のうち 8 割強が加盟店で、本部は加盟料と食材の卸で稼ぐ。上期の売上は 23 億円、利益はほぼゼロだ。
三つ目は流通で、食品の卸の東洋商事とモリヨシを持つ。上期の売上は 48 億円と全体の半分近くを占めるが、仕入れ値の上昇を転嫁しきれず、0.4 億円の損失だった。スーパーが総菜を自前で作る動きで、受注も減っている。
四つ目は海外で、北米の持ち帰りずしと欧州のラーメン店などだ。上期の売上は 9 億円、損失は 0.4 億円だった。英国の会社は一部の株を売り、持分法から外れた。
四つを合わせると、売上の半分は利ざやの薄い卸で、残りは店の売上と加盟店からの収入だ。連結ではグループの中の取引が消え、売上は年 200 億円ほどになる。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは無い。会社の規模はあるが、規模が強みになる形をまだ作れていない。
小僧寿しは、かつて持ち帰りずしで日本一の店数を誇った名前だ。だが今は、回転ずしとスーパーの総菜、コンビニに客を奪われ、名前の力は薄れた。どさん子も古いブランドで、ラーメンの競争は激しい。
買い集めた会社は業態も客もばらばらで、仕入れや物流の重なりは小さい。本社の費用だけが積み上がる。卸の事業は利ざやが薄く、規模で勝る大手の卸に価格で劣る。
資本の使い方は、株主の目からは最も弱い所だ。赤字を埋めるための増資が繰り返され、利益で自己資本を厚くした実績が無い。買収で売上を大きくしたが、1 株あたりの稼ぎは増えていない。
手元の現金は 6 億円ほどで、運転資金と家賃の支払いに回る。財務の余裕は乏しい。規模を生かす投資に回すお金も、店を磨き直すお金も足りない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食と中食の国内市場は 35 兆円ほどで、人口が減る中でも名目では物価の分だけ伸びる。ただし人件費の上昇を最も強く受ける業種で、値上げを通せる会社と通せない会社の差が広がっている。
持ち帰りずしの市場は、回転ずしの大手が持ち帰りを強め、スーパーとコンビニもすしを並べることで細ってきた。小僧寿しの店数はピークの 1 割にも満たない。
ラーメンと居酒屋は店の数が多く、競争は激しい。客の好みの移り変わりも速い。加盟店で広げる本部は、加盟店が稼げる仕組みを作れなければ、契約の更新で店を失う。
食品の卸は、仕入れ値の上昇を取引先に転嫁できるかが利益を決める。スーパーが総菜を自前の工場で作る動きは、中小の卸の受注を削る。物流費と人件費の上昇も、薄い利ざやを直撃する。
10 年では、人手不足と最低賃金の上昇が続く。セルフレジや調理の機械に投資できる大手と、投資の余力が無い小さな会社の差はさらに開く。外食の再編は続き、中小のチェーンは大手に買われるか、静かに店を閉じていく。海外の日本食の人気は追い風だが、利益を出せる会社は限られる。
資本政策と M&A
配当は長く出していない。株主への戻りは、グループの店で使える少額の食事の割引券だけだ。株主数の開示は確かめられず、費用は年 0.05 億円ほどとみる。10 年で 0.5 億円となり、還元に足した。
お金の流れは逆向きだ。会社は赤字を埋めるため、新株予約権の行使と子会社の第三者割当で資金を集めてきた。2026 年の上期も、子会社の増資で 3 億円を集め、新株予約権で株を 250 万株増やした。
筆者の見方では、10 年でも増資は続き、株数は 2 割から倍ほど増える。そのたびに今の株主の取り分は薄まる。
店は主に借りて営む。家賃は固定の約束で、自己資本比率 1 割弱という数字は、見かけ以上に脆い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は、売上 200 億円を超える規模をすでに持つ。持ち帰りずし、ラーメンと居酒屋、食品の卸、海外の店をそろえ、仕入れと物流をまとめれば利益が出る土台はある。
2026 年 12 月期の上期は、赤字が前の年より縮んだ。会社は 2027 年 12 月期の黒字を見込む。赤字の店を閉じ、加盟店の収入と卸の利ざやで稼ぐ形に切り替えている。
売上の 2% の利益でも、営業利益は 4〜5 億円になる。自己資本が薄い分、利益が出れば ROE は 2 割を超える。小さな利益の改善が、株主の取り分に大きく効く形だ。上期の流通の損失も、値上げの転嫁が進めば縮む。
北米の持ち帰りずしと欧州のラーメン店は、日本食の人気に乗って伸びる余地がある。海外の利益が国内の重さを補えば、会社の形は大きく変わる。外食の再編の中で、規模を持つこの会社が買われる側に回る道もある。今の値段は、こうした変化の芽に払う値段だという見方だ。
慎重な見方
赤字は 20 年近く続いた。2014 年からの 12 年で黒字は 2 回しかなく、その年も利益は売上の 1% に届かない。会社の黒字の予想は、これまで何度も外れてきた。今回の黒字の見込みも、裏づけは薄い。
売上が増えたのは買収のためで、稼ぐ力が上がったからではない。卸は利ざやが薄く、仕入れ値の上昇を転嫁しきれない。小僧寿しは客を回転ずしとスーパーに奪われ、店を閉じ続けている。
店は借りて営むので、売上が落ちても家賃は残る。人件費と最低賃金は毎年上がり、値上げを通す力の無い会社から利益を削る。設備に投資する余力も無い。
何より、赤字を埋める増資が止まらない。過去 20 年に株を大きく増やした年は 5 回あり、2026 年も続いている。仮に利益が出ても、株数が増えれば今の株主の取り分は薄まる。自己資本 5 億円に対して時価総額 54 億円は、中身の薄さに比べて高すぎる。株価の低さは、安さではなく、株数の多さの表れにすぎない。
どちらに重みを置いたか
両者とも、売上の規模と自己資本の薄さは認めている。差は、黒字が定着するかと、増資がいつ止まるかだ。12 年で黒字が 2 回という実績と、今も続く増資を見ると、慎重な見方の裏づけが強い。確率は赤字と希薄化が続く側に寄せ、黒字への転換は強気側に小さく残した。中立でも利益は小さく、増資の分だけ取り分も減るので、10 年で測った値打ちは今の値段に遠く届かない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 4 円12 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 1 円4 億円、今との差 −91.8%、 期待の年率 −13.8%(資本コスト 11.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 20 円60 億円 | 1 円3 億円 | +17.0% | +1.6% | 1 円4 億円 |
| やや楽観 | 18% | 8 円25 億円 | 0 円0 億円 | −53.1% | −7.3% | 2 円5 億円 |
| 中立 | 35% | 2 円7 億円 | 0 円0 億円 | −85.9% | −17.8% | 1 円3 億円 |
| やや悲観 | 25% | 1 円2 億円 | 0 円0 億円 | −96.2% | −28.0% | 0 円1 億円 |
| 悲観 | 15% | 0 円1 億円 | 0 円0 億円 | −98.5% | −34.4% | 0 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4 円12 億円 | 0 円0 億円 | −77.3% | −13.8% | 4 円12 億円 |
今の株価時価総額 18 円53 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 11.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 寄せ集めの店網が一つの会社として回り始める 利益 5 億円 · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 20 円60 億円
買い集めた会社の仕入れと物流がまとまり、流通の子会社がグループの店に食材を安く回す。小僧寿しは宅配と持ち帰りに絞り、売れない店を閉じて 1 店の売上を物価以上に上げる。
どさん子などのラーメンと居酒屋は、加盟店の出店で店数を 1 割増やす。北米の持ち帰りずしと欧州のラーメン店も出店を重ね、海外の利益が全体を支える。
営業利益は 7 億円台と、売上の 2% 強に届く。資金を集める増資は 10 年で 1 回にとどまり、株の希薄化は 1 割ほどで止まる。配当も後半に始まる。自己資本は 20 億円近くまで厚くなり、会社はようやく普通の外食の会社の形になる。
- 小売・販売(小僧寿し・デリズ):数量 140(店数(店))× 価格 0.48(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 67 億円・営業利益 2 億円。店数 −11%・1 店の売上 +41%(宅配と持ち帰りの比率が上がり、値上げが通る)
- 飲食(どさん子などのラーメン・居酒屋):数量 300(店数(直営と加盟店、店))× 価格 0.24(1 店あたりの本部の年間の売上(億円))→ 売上 72 億円・営業利益 3 億円。店数 +12%(FC の出店)・1 店の売上 +40%
- 流通(食品の卸):数量 16.0(拠点数(拠点))× 価格 9.00(1 拠点あたりの年間の売上(億円))→ 売上 144 億円・営業利益 1 億円。拠点 +1・1 拠点の売上 +40%(外食向けの卸が戻る)
- 海外(北米・欧州):数量 30.0(拠点数(拠点))× 価格 1.50(1 拠点あたりの年間の売上(億円))→ 売上 45 億円・営業利益 2 億円。拠点 +13・1 拠点の売上 +41%(北米と欧州の出店)
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 48.6% が k 11.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 23.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.9 倍。全体の PER 11.86 倍、時価総額 58 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:赤字は 20 年近く続き、黒字の年は 2 回しかない。それでも 2027 年 12 月期の会社予想は黒字で、流通と海外を足した規模はある。立て直しが形になる見込みは小さく、7% に置いた。
やや楽観 18% 会社の計画どおり黒字に戻り、小さな利益が続く 利益 3 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 8 円25 億円
赤字の店を閉じ、飲食の加盟店からの収入と流通の卸で、会社は小さな黒字に戻る。小僧寿しは店数を 2 割近く減らし、残る店で持ち帰りと宅配を伸ばす。
飲食は加盟店の数を保ち、加盟料と食材の卸で稼ぐ。流通はスーパーの内製化で客を一部失うが、外食向けの卸で埋める。グループの店への卸も増え、仕入れの重なりが少しずつ利益になる。海外は少しずつ店を増やし、日本食の人気に乗る。
営業利益は 4 億円ほどで、売上の 1% 台半ばだ。増資は小さく 1 回、配当は出さない。株主への戻りは少額の食事の割引券にとどまる。自己資本は 9 億円ほどで、まだ薄い。
- 小売・販売(小僧寿し・デリズ):数量 130(店数(店))× 価格 0.46(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 60 億円・営業利益 1 億円。店数 −17%・1 店の売上 +35%
- 飲食(どさん子などのラーメン・居酒屋):数量 270(店数(直営と加盟店、店))× 価格 0.24(1 店あたりの本部の年間の売上(億円))→ 売上 63 億円・営業利益 2 億円。店数 +1%・1 店の売上 +37%
- 流通(食品の卸):数量 14.0(拠点数(拠点))× 価格 8.80(1 拠点あたりの年間の売上(億円))→ 売上 123 億円・営業利益 1 億円。拠点 −1・1 拠点の売上 +36%
- 海外(北米・欧州):数量 24.0(拠点数(拠点))× 価格 1.45(1 拠点あたりの年間の売上(億円))→ 売上 35 億円・営業利益 1 億円。拠点 +7・1 拠点の売上 +36%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 30.9% が k 11.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 17.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.0 倍。全体の PER 11.05 倍、時価総額 28 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026 年 12 月期の上期は赤字が前の年より縮んだ。会社は 2027 年 12 月期の黒字を見込む。黒字の定着は過去に一度も無いので、強気側の中心でも 18% に置いた。
中立 35% 店を閉じながら損益ゼロの近くを漂い、増資で食いつなぐ 利益 1 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 2 円7 億円
小僧寿しの店は人手と家賃の重さで閉店が続き、10 年で 4 分の 3 に減る。残る店は値上げで 1 店の売上を物価並みに保つが、人件費と食材費に追われ、利益はほとんど残らない。
飲食は加盟店の数がわずかに減り、加盟料と卸の収入で小さな利益を出す。流通はスーパーの内製化で拠点を 2 つ失い、薄い利ざやのまま売上を保つ。海外はほぼ横ばいだ。
営業利益は 2 億円に届かず、売上 220 億円ほどに対して 1% 未満だ。資金繰りのため、新株予約権や子会社の増資で 10 年に約 7 億円を集める。株数は 2 割ほど増え、配当は無い。
- 小売・販売(小僧寿し・デリズ):数量 120(店数(店))× 価格 0.46(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 55 億円・営業利益 0 億円。店数 −24%(閉店が続く)・1 店の売上 +34%
- 飲食(どさん子などのラーメン・居酒屋):数量 250(店数(直営と加盟店、店))× 価格 0.23(1 店あたりの本部の年間の売上(億円))→ 売上 57 億円・営業利益 1 億円。店数 −6%・1 店の売上 +33%
- 流通(食品の卸):数量 13.0(拠点数(拠点))× 価格 8.64(1 拠点あたりの年間の売上(億円))→ 売上 112 億円・営業利益 1 億円。拠点 −2(スーパーの内製化)・1 拠点の売上 +34%
- 海外(北米・欧州):数量 18.0(拠点数(拠点))× 価格 1.42(1 拠点あたりの年間の売上(億円))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。拠点 +1・1 拠点の売上 +33%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.4% が k 11.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 11.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 9.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.4 倍。全体の PER 9.45 倍、時価総額 9 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 20 年の大半が赤字で、黒字の年も利益は売上の 1% に届かない。業種のノートの外食の悲観(人件費を値上げで吸収できない)に近い形を中心に置いた。
やや悲観 25% 赤字が止まらず、増資で薄まりながら縮む 利益 −2 億円 · PBR 0.8 倍 · 株価時価総額 1 円2 億円
人件費と食材費の上昇を値上げで返せず、客が離れる。小僧寿しの店は 3 分の 1 が閉じ、残る店も赤字だ。閉じた店の家賃と原状回復の費用が、数年にわたって損を増やす。
飲食の加盟店も、本部への支払いの重さから契約を更新しない店が増える。流通はスーパーの内製化で取引先を失い、利ざやはさらに薄くなる。
営業赤字は年 2 億円近く続く。会社は新株予約権と子会社の増資を何度も重ね、10 年で約 18 億円を集めて赤字を埋める。株数は倍近くになり、自己資本はほぼゼロのまま漂う。会社は残るが、株主に戻るものはわずかだ。
- 小売・販売(小僧寿し・デリズ):数量 100(店数(店))× 価格 0.40(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 40 億円・営業利益 −1 億円。店数 −36%・1 店の売上 +18%(値上げで客が離れる)
- 飲食(どさん子などのラーメン・居酒屋):数量 220(店数(直営と加盟店、店))× 価格 0.20(1 店あたりの本部の年間の売上(億円))→ 売上 44 億円・営業利益 0 億円。店数 −18%・1 店の売上 +17%
- 流通(食品の卸):数量 12.0(拠点数(拠点))× 価格 8.00(1 拠点あたりの年間の売上(億円))→ 売上 96 億円・営業利益 0 億円。拠点 −3・1 拠点の売上 +24%
- 海外(北米・欧州):数量 15.0(拠点数(拠点))× 価格 1.30(1 拠点あたりの年間の売上(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 0 億円。拠点 −2・1 拠点の売上 +22%
倍率:赤字で稼ぐ力は 0 とみる。価値は売れる資産の床(floor_assets_oku)3 億円で決まる。2025 年 12 月期の自己資本 4 億円に対する PBR 0.75 倍。
確率:2014〜2025 年の 12 年で黒字は 2 回だけで、赤字が続く形がいちばん確かな実績だ。人件費の上昇も重く、25% に置いた。
悲観 15% 家賃と人件費に押しつぶされ、店網が崩れる 利益 −4 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 0 円1 億円
人手不足で店を開けられない日が増え、小僧寿しの店は半分以下になる。売上が落ちても家賃は落ちず、閉店の費用が重なって赤字が膨らむ。
飲食の加盟店は離れ、ブランドの値打ちが薄れる。流通は大口の取引先を失い、海外の店も赤字で売りに出す。閉店のたびに減損と原状回復の費用が出る。営業赤字は年 4 億円近くになる。
会社は増資を重ねて生き延びるが、出す株の値段は下がり続ける。10 年で 25 億円を超える資金を集めても、自己資本はほぼ残らない。今の株主の取り分は半分を割る。最後に残る値打ちは、卸の在庫と売掛金くらいだ。
- 小売・販売(小僧寿し・デリズ):数量 70.0(店数(店))× 価格 0.36(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 25 億円・営業利益 −1 億円。店数 −55%・1 店の売上 +6%
- 飲食(どさん子などのラーメン・居酒屋):数量 180(店数(直営と加盟店、店))× 価格 0.18(1 店あたりの本部の年間の売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 0 億円。店数 −33%・1 店の売上 +5%
- 流通(食品の卸):数量 10.0(拠点数(拠点))× 価格 7.50(1 拠点あたりの年間の売上(億円))→ 売上 75 億円・営業利益 −1 億円。拠点 −5・1 拠点の売上 +16%
- 海外(北米・欧州):数量 12.0(拠点数(拠点))× 価格 1.20(1 拠点あたりの年間の売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。拠点 −5・1 拠点の売上 +13%
倍率:赤字で稼ぐ力は 0 とみる。価値は売れる資産の床(floor_assets_oku)1.5 億円で決まる。2025 年 12 月期の自己資本 4 億円に対する PBR 0.38 倍。
確率:2018 年 12 月期には債務超過に陥った。自己資本比率は 1 割弱で、資金の出し手が離れれば崩れは速い。構造的に負ける筋書きとして 15% に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
小売・販売(小僧寿し・デリズ)
持ち帰りずしの小僧寿しと宅配ピザのデリズの店(直営と加盟店)。
| 数量店数(店) | 価格1 店あたりの年間の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 157 | 0.34 | 53 | −1 |
| 10 年後 中立 | 120 | 0.46 | 55 | 0 |
取り方:2026 年 12 月期 中間短信の売上 26.65 億円・損失 0.67 億円を 2 倍にして年に直した。店数 157(中間期末)で割り、1 店約 3,400 万円とした。
飲食(どさん子などのラーメン・居酒屋)
ラーメンと居酒屋のブランドを主に加盟店で営み、加盟料と食材の卸で稼ぐ。
| 数量店数(直営と加盟店、店) | 価格1 店あたりの本部の年間の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 267 | 0.17 | 46 | 0 |
| 10 年後 中立 | 250 | 0.23 | 57 | 1 |
取り方:中間短信の売上 22.87 億円・利益 0.03 億円を 2 倍にした。店数 267 の 8 割強が加盟店で、本部の売上は加盟店の売上より小さい。
流通(食品の卸)
東洋商事とモリヨシが、スーパーや外食に食材と総菜を卸す。
| 数量拠点数(拠点) | 価格1 拠点あたりの年間の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 15.0 | 6.45 | 97 | −1 |
| 10 年後 中立 | 13.0 | 8.64 | 112 | 1 |
取り方:中間短信の売上 48.36 億円・損失 0.41 億円を 2 倍にした。拠点数 15 で割った。グループの店への卸を含み、連結では一部が消える。
海外(北米・欧州)
北米の持ち帰りずしと欧州のラーメン店など。
| 数量拠点数(拠点) | 価格1 拠点あたりの年間の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 17.0 | 1.07 | 18 | −1 |
| 10 年後 中立 | 18.0 | 1.42 | 26 | 0 |
取り方:中間短信の売上 9.06 億円・損失 0.35 億円を 2 倍にした。拠点数 17 で割った。
リスクと懸念
赤字の継続と増資による希薄化
2014 年からの 12 年で黒字は 2 回だけだ。赤字は新株予約権の行使や子会社の増資で埋めてきた。過去 20 年に株を大きく増やした年は 5 回あり、続けば今の株主の取り分は薄まる。
薄い自己資本と資金繰り
自己資本は 5 億円弱で、自己資本比率は 1 割を切る。2018 年 12 月期には債務超過になった。資金の出し手が離れれば、事業の継続そのものが揺らぐ。
家賃という固定の約束
店は主に借りて営む。売上が落ちても家賃は残り、閉店には原状回復の費用もかかる。2028 年からの新しいリースの会計では、家賃の約束が負債として表に出る。
人件費と食材費の上昇
最低賃金の上昇と人手不足で、店の人件費は年 3〜5% 上がる。米や魚の値上がりも重い。値上げを通す力が弱く、利益が削られやすい。
卸の受注減
流通は売上の半分近くを占めるが、利ざやは薄い。スーパーが総菜を自前で作る動きで受注が減り、仕入れ値の上昇も転嫁しきれていない。
今後の分かれ目
- 2027 年 12 月期に営業黒字を出し、翌年も続く
- 赤字が止まった印で、やや楽観の筋書きに近づく。
- 新株予約権や子会社の増資を新たに決める
- 赤字を増資で埋める形が続いている印で、やや悲観の筋書きに近づく。
- 小僧寿しの店数が年 1 割以上減る
- 中核の店網が崩れている印で、悲観の筋書きに近づく。
- 外食の大手がこの会社や子会社を買う
- 再編の中で値段が付く。ただし赤字の会社の買収値段は、資産の値打ちに近くなる。
- 海外の売上が国内の小売を上回る
- 稼ぎの重心が海外に移り、強気側の筋書きに近づく。
見ておくもの
- 四つのセグメントの売上と損益
- 小僧寿しと飲食の店数(直営・加盟店)
- 新株予約権の行使と増資の額
- 自己資本と自己資本比率
- 流通の取引先の数と利ざや
- 海外の拠点数と損益
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の PBR 10 倍超から置かず、店数×1 店の売上で積んだ利益と式から決めた。赤字の会社なので、悲観側は売れる資産の床で置いた。2028 年からの新しいリースの会計で家賃が負債に載るが、10 年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。セグメント外の本社費は物価で増やし、内部の取引の消去は売上だけにかかるとみた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.86 倍・やや楽観 PER 9→11.05 倍・中立 PER 8.8→9.45 倍)。
資本コスト 11.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。k = 基本 7.5% + quality 3.0% + 上乗せ 1.0% = 11.5%。外食で低収益の焼肉坂井ホールディングスやペッパーフードサービスの 9.5% より、赤字の継続と度重なる増資の分だけ高くした。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 11.50% → 11.25%。