結論
オーエムツーネットワークは、スーパーの店内で精肉を売る「インショップ」を150店、焼肉やステーキの外食を47店営む食肉の小売・外食会社だ。筆者の結論は、時価総額とほぼ同じ純現金が目を引くものの、株主に戻る額が限られ、10年で測った価値は今の値段の9割強、つまり適正の範囲に収まる、というものだ。
最大の特徴は財布の厚さだ。現金は108億円、借入はほぼない。純現金は約100億円で、時価総額103億円と並ぶ。市場は、事業にほとんど値をつけていない。
事業そのものは堅い。食肉は生活必需品で、前期の営業利益は13億円、赤字の期は一度もない。ただし、利益率は3〜4%台と薄く、前期は営業利益が1割減った。
問題は、現金が株主のものになりにくい点だ。親会社のエスフーズが54%を持ち、配当性向は25%にとどまる。10年で現金は40億円から100億円へ積み上がったが、戻ったのはわずかだ。自己資本181億円に対する利益は9億円で、ROEは5%と資本コストに届かない。
筆者は、現金の半分は戻らないものとして数えた。中立の筋書きでも、10年後の自己資本は260億円と膨らむが、効率は上がらない。強みは安定、弱みは親会社次第という点だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、現金を見るか、事業を見るかで評価が割れる会社だ。
現金だけを見れば、100億円の純現金は時価総額103億円とほぼ同じで、事業が無料でついてくる計算になる。ただし、親会社が54%を持つ会社の現金は、少数株主が自由にできない。10年間で現金が積み上がり、戻ったのは利益の25%だった。
事業の価値を見ると、前期の営業利益は13億円。ここから出る純利益は9億円で、ROEは5%と資本コストに届かない。事業の価値は、純利益の10倍前後、100億円弱だ。
安全域は、現金と無借金にある。赤字の期が一度もなく、景気の谷でも食肉は売れる。悲観の筋書きでも、純現金の半分は残ると見て、下値は固い。
一方、上値は限られる。親会社の意向が変わらない限り、現金は積み上がり、配当性向は3割前後にとどまる。10年で測ると、価値は今の値段の9割強。割安とは言えない。
何で稼ぐ会社か
オーエムツーネットワークは、食肉専門の小売と外食を営む。1958年に島根県益田市で養鶏場として始まり、食肉販売店を広げてきた。
中心の食肉小売は、売上の7割にあたる248億円。スーパーの店内にテナントとして入る「インショップ」が主で、2026年1月末で150店。精肉に加えて、惣菜を売る店が10店ある。出店先はスーパーのほか、百貨店、ディスカウントストア、ホームセンターで、同じ運営会社の店に5店以上出している先が9社ある。
外食は、売上の3割にあたる105億円で47店。焼肉・しゃぶしゃぶ28店、焼肉10店、アウトバックステーキハウス9店だ。前期は雄和を連結に入れ、売上が2割増えた。
親会社はエスフーズで、直接保有は53.9%。同社から食肉を仕入れ、同社に商品を販売する取引がある。持分法適用の関連会社フードリエ(議決権26.6%)は食肉加工を担い、持分法益は1.7億円ある。
従業員は連結で約750人、臨時従業員が約770人。店頭の販売員が中心で、労働組合はない。人手と店舗に頼る事業だ。
売上の過半は仕入れた食肉の販売なので、原価率が6割と高い。残りの粗利から、人件費と出店先への手数料を払い、営業利益は売上の3〜4%になる。
優良さと弱いところ
事業の質は、安定しているが、強いとは言いがたい。
強みは、親会社とつながった食肉の供給網だ。生産地から店頭まで、エスフーズ、フードリエ、当社と連なる。仕入れの安定と衛生管理は、スーパー側にとっても魅力になる。スーパーは精肉売場の人手と品質管理を外部に任せ、客を集める売場を維持できる。
弱みは、値段を自分で決められない点だ。仕入れ値は牛肉・豚肉の相場に左右され、売値はスーパーの競争で決まる。出店先を失えば、店ごとなくなる。営業利益率は過去10年で3.6〜5.8%と薄い。
資本の使い方は、保守的だ。ROEは過去10年の中央値で6%台。自己資本比率は77%、無借金に近い。純現金は10年で40億円から100億円に積み上がった。会社は「株主資本コストを上回るROE」を掲げるが、実績は届いていない。
ガバナンスの面では、親会社が54%を持つ。取引条件や現金の使い道は、親会社の意向に左右されやすい。少数株主は、親子の取引の価格が公正かを検証しにくい。
筆者が一番気にするのは、現金の行き先だ。事業が堅い分、現金が戻らないことが最大の難点になる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
食肉の小売は、成熟した市場だ。人口が減り、国内の消費量は緩やかに細る。一方、物価が上がる世界では、肉の値段は上がる。売上は名目で伸びやすいが、数量は増えにくい。
スーパー各社は、精肉売場を直営にするか、外部に任せるかを選ぶ。人手不足で売場の運営が重くなり、外部に任せる流れは続く。ただ、精肉は集客の柱でもあり、大手は直営に戻す判断もしうる。
競争は、地域ごとに分散している。全国規模のインショップ専業は少なく、地場の食肉店や、スーパー自身の精肉部門が相手だ。オーエムツーは150店の規模と親会社の供給網で、優位に立つ。
外食は、焼肉の需要が堅い一方、牛肉と人件費の上昇が利益を削る。インバウンドと企業のパーティー需要が追い風になるが、景気の谷では来店が落ちる。ステーキ業態はFCで、固定費が軽い。
物価3%の世界では、肉の仕入れ値も上がる。値上げを価格に転嫁できるかが、利益率の分かれ目になる。
最後に、新しいリース会計基準が2028年3月期から適用される。賃借する店舗の家賃が負債に載り、純現金の見かけが小さくなる。実際の損益は変わらないが、数字の形が変わる点に注意が要る。
外食の市場も、需要は底堅いが、競争は厳しい。焼肉は大手のチェーンが多く、立地と牛肉の調達力が勝負を決める。
資本政策と M&A
還元は安定配当が基本。前期の配当総額は2.4億円で、配当性向は25%。年1回の期末配当で、中間配当はない。自社株買いの実績は確認できなかった。内部留保は新規出店や新事業に使う方針だが、現金は10年で積み上がる一方だ。
株主優待は、1月と7月の年2回。100株でオリジナルギフトを3割引で買える。500株以上には3千〜5千円相当の品を選べる。費用は小さく、年1億円を下回るとみる。
M&Aは、食肉小売と外食の買収が中心。前期はオオタ総合食品と雄和を連結に入れた。取得額は大きくなく、現金の使い道としては控えめだ。買われる側としては、エスフーズが53.9%を持つ。完全子会社化の可能性は、現時点で観測がない。
純現金100億円のうち、運転資金や出店の準備を除く約60億円を、事業に要らない現金とみる。戻り方は、親会社の意向と実績から0.5とした。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
現金は108億円、借入はほぼゼロ。時価総額と同額の純現金を持ちながら、事業は赤字の期が一度もなく、毎年10億円を超える営業利益を出している。事業を無料で手に入れる状況は、そうはない。
経営目標に「株主資本コストを上回るROE」を掲げており、厚い現金の活用を迫られる立場にある。現金を配当や自社株買いに回せば、ROEは大きく上がる。
会社は「日本一の食肉小売店グループ」を目指し、買収を進めている。前期に連結へ入れたオオタ総合食品と雄和は、まだ利益が出きっていない。統合の効果で、利益率は目標の5%に近づく。
インショップは、スーパーの人手不足を背景に、需要が続く。精肉の運営を外部に任せる流れは強まり、150店は増える余地がある。
中間期の経常利益は前年同期比23%増で、通期予想の5割近くに達した。前期の営業減益から、反転の兆しが出ている。
純現金の厚さは、悲観の筋書きでも下値を固める。仮に事業が弱っても、現金の半分は株主に残る。株価の下は固く、上は大きい。この非対称性が、強気の最大の根拠だ。
会社自身も、ROEを意識した経営を掲げ始めた。配当は2022年1月期から前期にかけて、5割増えた。
慎重な見方
この現金は、少数株主には届かない。親会社のエスフーズが54%を持ち、10年で純現金は40億円から100億円へ積み上がった。その間に戻ったのは、利益の4分の1の配当だけだ。自社株買いの実績もない。
事業の稼ぎも薄い。営業利益率は3〜4%台で、前期は営業利益が12%減った。小売は10%、外食は16%減っている。人件費と牛肉・豚肉の仕入れ値が上がり、価格に転嫁しきれていない。
インショップは、出店先のスーパーに依存する。精肉は客を呼ぶ売場で、大手が直営に戻す判断をすれば、店ごとなくなる。同じ運営会社に5店以上出している先が9社あり、1社の解約でも影響は大きい。
親子の取引(仕入れと販売)の価格は、少数株主が検証しにくい。親会社の都合で事業が整理されれば、少数株主の取り分が小さくなるおそれがある。
ROEは5%で、資本コストに届かない。自己資本の厚さは強みでなく、効率の悪さの表れだ。
最後に、現金そのものの価値も割り引く必要がある。今は金利が低く、利息収入は小さいが、金利が上がれば増える。ただ、その分も親会社が吸い上げる形で使われるなら、少数株主の取り分は変わらない。
10年で現金は2倍以上になったが、利益はほとんど増えなかった。現金が積み上がる構造が続く限り、ROEは上がらない。
どちらに重みを置いたか
双方の言い分に理があり、確率は中立に3割半を置いた。強気側の根拠は純現金だが、戻り方に親会社の壁がある。慎重側の根拠は薄い利益率と親会社依存で、どちらも実績が裏づけている。
純現金のうち、事業に要らない60億円を半分だけ数えた。残りの現金と、事業の稼ぎを合わせても、10年後の価値は今の値段の9割強にとどまる。
決め手は、現金の戻り方だ。実績の配当性向25%が続く限り、割安とは言えない。親会社の方針が変わる、あるいは自社株買いが始まれば、強気側の確率が上がる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/01 期)
確率で加重した株価時価総額 2,996 円200 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 520 円35 億円)。 今の値に割り戻すと 1,778 円119 億円、今との差 +14.0%、 期待の年率 +8.5%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 4,859 円324 億円 | 879 円59 億円 | +267.8% | +13.9% | 574 円38 億円 |
| やや楽観 | 22% | 3,976 円265 億円 | 676 円45 億円 | +198.2% | +11.5% | 1,024 円68 億円 |
| 中立 | 36% | 3,327 円222 億円 | 508 円34 億円 | +145.9% | +9.4% | 1,381 円92 億円 |
| やや悲観 | 21% | 1,683 円112 億円 | 372 円25 億円 | +31.7% | +2.8% | 432 円29 億円 |
| 悲観 | 11% | 760 円51 億円 | 201 円13 億円 | −38.4% | −4.7% | 106 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,996 円200 億円 | 520 円35 億円 | +125.4% | +8.5% | 3,516 円234 億円 |
今の株価時価総額 1,560 円104 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 食肉小売の買収を重ねて規模が伸び、利益率が5%に乗る 利益 20 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 4,859 円324 億円
会社は「日本一の食肉小売店グループ」を掲げる。地場の食肉小売会社の買収を重ね、小売の客数は今より1割強増える。前期に連結へ入れたオオタ総合食品の効果が、本格的に出る。
スーパー各社が人手不足で精肉売場を外部に任せる流れが強まり、インショップの出店が増える。仕入れは親会社エスフーズとの連携で安定し、利益率は5%台に乗る。
外食は、焼肉の出店が当たり、客数が4割増える。持分法のフードリエも伸び、持分法益は2億円に届く。
純現金は積み上がるが、親会社の同意のもとで配当や買収に回る。ROEは約7%まで上がる。それでも自己資本が厚いため、資本コストの8%には届かない。買収した会社の統合には時間がかかり、のれんの償却も重荷になる。
- 食肉等の小売:数量 1,547(年間の会計件数(万件))× 価格 2,448(1件あたり客単価(円))→ 売上 379 億円・営業利益 20 億円
- 外食:数量 295(年間の来店客数(万人))× 価格 6,800(1人あたり客単価(円))→ 売上 200 億円・営業利益 9 億円
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 14.33 倍、時価総額 318 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:強気は、会社が掲げる経常利益率5%を達成し、食肉小売のM&Aが続く場合。前期の実績は4.0%、直近10年の営業利益率の最高は5.8%で、実現のハードルは低くない。親会社の意向にも左右されるため、1割にとどめた。
やや楽観 22% 出店と買収で緩やかに伸びる 利益 16 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 3,976 円265 億円
小売の客数は10年で7%増える。出店を年2〜3店のペースで続け、閉店を最小限に抑える。惣菜や加工品の比率を上げ、客単価も物価並みに上がる。
外食は客数が2割強増える。インバウンドと企業のパーティー需要が追い風になる。ステーキ業態のFC店は、固定費が軽く、利益率が安定する。
営業利益は20億円で、純利益は16億円。配当性向を30%台まで引き上げるが、資金は余り、純現金は100億円を超えたままだ。親会社の方針が変わらない限り、現金の使い道は広がらない。ROEは6%台にとどまる。
自己資本は265億円まで積み上がり、ROEは6%台にとどまる。親会社の方針が変わらない限り、現金の使い道は広がらない。
- 食肉等の小売:数量 1,478(年間の会計件数(万件))× 価格 2,430(1件あたり客単価(円))→ 売上 359 億円・営業利益 17 億円
- 外食:数量 263(年間の来店客数(万人))× 価格 6,750(1人あたり客単価(円))→ 売上 178 億円・営業利益 7 億円
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 13.38 倍、時価総額 253 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の経営目標(経常利益率5%)には届かないが、来期計画(営業利益14.5億円)が達成され、その後も緩やかに伸びる筋書き。実績は堅く、2割強を置いた。
中立 36% 利益率は少し下がるが、堅実に伸びる 利益 13 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 3,327 円222 億円
小売の客数は2%増にとどまる。食肉の消費量は人口とともに細るが、新規出店とM&Aがそれを埋める。客単価は物価並みの1.34倍に上がる。
人件費と牛肉・豚肉の仕入れ値は物価以上に上がり、利益率は小売で4.2%、外食で3.5%と、前期より0.5ポイントほど下がる。本社費は物価で増える。
営業利益は16億円。受取利息と持分法益を足した純利益は13億円と、前期より4億円増える。純現金は金利の上昇で利息が増えるが、配当性向30%では減らない。
ROEは5%台。自己資本が260億円と今の1.4倍に膨らむ一方、利益は1.4倍にしか増えず、効率は上がらない。
- 食肉等の小売:数量 1,409(年間の会計件数(万件))× 価格 2,412(1件あたり客単価(円))→ 売上 340 億円・営業利益 14 億円
- 外食:数量 231(年間の来店客数(万人))× 価格 6,700(1人あたり客単価(円))→ 売上 155 億円・営業利益 5 億円
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.0% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)45 億円。全体の PER 12.9 倍、時価総額 204 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:食肉は必需品で、スーパーのインショップは景気に左右されにくい。中立は、来期計画の営業利益14.5億円が名目で保たれる筋書きとし、最も重い確率を置いた。
やや悲観 21% スーパー側が自前化し、客数が細る 利益 8 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 1,683 円112 億円
出店先のスーパーが、精肉売場を直営に戻す動きが出る。出店料の引き上げを求められ、小売の利益率は3.4%に下がる。客数は5%減る。
外食は、原材料とエネルギーの高騰を価格に転嫁できず、利益率は2%台に落ちる。新規出店を絞る。
営業利益は9億円、純利益は8億円。配当は維持するが、現金の使い道が定まらず、純現金の価値は4分の3に割り引く。
親会社の意向に沿った事業の整理が進み、少数株主には不利な形で再編が起きるおそれもある。持分法で取り込むフードリエの利益も、原料高で細る。
持分法で取り込むフードリエの利益も、原料高で細る。純現金は減らないが、効率の悪さが続き、ROEは3%台にとどまる。
- 食肉等の小売:数量 1,312(年間の会計件数(万件))× 価格 2,340(1件あたり客単価(円))→ 売上 307 億円・営業利益 10 億円
- 外食:数量 200(年間の来店客数(万人))× 価格 6,400(1人あたり客単価(円))→ 売上 128 億円・営業利益 3 億円
倍率:事業ROEは約3.4%でkの8%に遠く及ばない。上限12.5倍の約6.4割の8.0倍に置いた。
確率:スーパー各社が精肉売場を自前に戻す、または出店料を引き上げる筋書き。前期は食肉小売の営業利益が10%減っており、現実味はある。2割強を置いた。
悲観 11% 大手スーパーが外部委託をやめ、外食も不振に 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 760 円51 億円
大手のスーパーが、精肉売場を外部に任せるのをやめる。出店先が減り、小売の客数は2割落ちる。利益率は2%まで下がる。
外食は、人件費と原材料の上昇を価格に転嫁できず、赤字に転落する。家賃は固定費として残るため、売上が落ちても減らない。
営業利益はゼロ近辺で、純利益は1億円。親会社エスフーズが事業の統合に動き、少数株主の取り分は純現金の半分を下回るおそれがある。
手元の現金は積み上がったまま、株主には戻らない。経営は存続できるが、株主が受け取れる価値は小さい。外食の不採算店の閉鎖で減損が出るが、無借金のため財務は揺らがない。
- 食肉等の小売:数量 1,105(年間の会計件数(万件))× 価格 2,160(1件あたり客単価(円))→ 売上 239 億円・営業利益 5 億円
- 外食:数量 168(年間の来店客数(万人))× 価格 5,750(1人あたり客単価(円))→ 売上 97 億円・営業利益 −1 億円
倍率:赤字に近いため、床で置いた。今の自己資本181億円に対して0.28倍。純現金100億円から預り金等を除かず戻り方0.5を掛けた50億円を床にした。
確率:10年の悲観は構造的な負け。インショップの契約解除が連鎖し、外食が赤字に落ちる筋書き。売場を預かる事業の弱みで、1割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
食肉等の小売
スーパーなどの店内に入るインショップ形式を中心に、精肉と食肉加工品、惣菜を売る。150店。
| 数量年間の会計件数(万件) | 価格1件あたり客単価(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 1,381 | 1,800 | 249 | 12 |
| 10 年後 中立 | 1,409 | 2,412 | 340 | 14 |
取り方:売上248.5億円を、1件あたり客単価約1.8千円(推定)で割った会計件数。件数と客単価は開示がなく、売上と店舗数150からの推定(1店あたり年約9万件、1日250件前後)。
外食
焼肉・しゃぶしゃぶ、アウトバックステーキハウス(FC)など47店。
| 数量年間の来店客数(万人) | 価格1人あたり客単価(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/01 | 210 | 5,000 | 105 | 4 |
| 10 年後 中立 | 231 | 6,700 | 155 | 5 |
取り方:売上105.2億円を、客単価約5千円(推定)で割った来店客数。店舗数47から1店あたり年約4.5万人(1日120人強)の推定。前期は雄和を新たに連結に入れた分で売上が20%増えた。
リスクと懸念
親会社エスフーズの支配
親会社が53.9%を持ち、取引条件と現金の使い道は親会社の意向に左右される。10年で純現金が積み上がり、株主への戻りは利益の25%にとどまる。再編が起きれば、少数株主に不利な条件になるおそれがある。
出店先スーパーの方針転換
インショップは、スーパーが売場を外部に任せる前提で成り立つ。大手が直営に戻したり、出店料を引き上げたりすれば、店ごとなくなる。同じ運営会社に5店以上出している先が9社あり、集中度は高い。
仕入れ値と人件費の上昇
牛肉・豚肉の相場と賃金の上昇で、前期は営業利益が1割減った。価格に転嫁しきれないと、営業利益率の3〜4%台が2%台に落ちる。
外食の採算
外食は前期に売上が2割増えたが、営業利益は16%減った。エネルギーと食材の高騰、人手不足で採算が悪く、M&Aで取り込んだ店が重荷になるおそれがある。
新リース会計基準
2028年3月期以降の適用で、賃借する店舗の家賃が負債に載る。純現金100億円は見かけほど強くなく、自己資本比率も下がる。固定費の約束としての家賃は、悲観の筋書きで利益率を圧迫する。
AIエージェントによる代替
店頭の販売と食肉の流通が中心で、AIエージェントによる代替の影響は小さい。
今後の分かれ目
- 配当性向を40%以上に引き上げる、または自社株買いを始める
- 現金の戻り方を0.75〜1.0に引き上げて数えられ、価値が1割ほど上がる。
- 大手スーパー1社がインショップの契約を解除する
- 小売の客数が1割落ち、やや悲観の筋書きに近づく。
- 営業利益率が小売で5%を超える
- 中立の利益率が低すぎることになり、価値が上方修正される。
- エスフーズがTOBや株式交換を発表する
- 買付価格が純現金と事業の価値を合わせた額を上回るかが焦点。少数株主の取り分は価格次第。
- 外食の営業利益が2期続けて赤字になる
- 外食の整理・撤退が進み、全社の利益率が下がる。
見ておくもの
- 食肉小売の既存店売上と、出店先スーパーとの契約の更新・解約
- 親会社エスフーズとの取引条件と、エスフーズの持株比率の変化
- 純現金(前期末100億円)の使い方:配当・自社株買い・M&A
- 営業利益率(前期は小売4.8%・外食3.9%)と、牛肉・豚肉の仕入価格
- 外食の出退店と、新リース会計基準の適用による数字の変化
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業ROEが資本コスト7.75%を下回る筋書きで上限を1÷k=12.5倍とし、食品小売の安定性と親会社依存を考えて、その6.4〜9割に置いた。今のPER・PBR、過去の倍率は使っていない。中立の営業利益は来期計画14.5億円を物価で伸ばしたが、人件費・仕入れ値の上昇で利益率を前期より0.5ポイント下げた。余った現金60億円は半分だけ数えた。減価償却は年3.6億円で、物価では増やしていない。新リース会計基準の適用で、賃借する店舗の家賃が負債に載り、純現金は見かけより小さくなる。10年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→14.33 倍・やや楽観 PER 10.8→13.38 倍・中立 PER 10→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.5% を足した(決まり v2)。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.75%。