結論
大和は、金沢の香林坊店と富山店で百貨店を営む会社だ。出版、印刷、人材サービスも手がける。筆者は、今の値段を割高と見る。10 年後に積み上がる価値は、今の時価総額の 3 分の 1 に届かない。
理由は、利益の薄さと借金の重さだ。売上は 160 億円あるが、営業利益は 2 億円足らず。利払いを賄うのがやっとで、2026 年 2 月期は金沢ニューグランドホテルの減損で 11 億円の純損失になった。2026 年 10 月にそのホテルを売却したが、通期の純損失は 9 億円の予想で、配当は出していない。
救いは、ホテルという赤字の元を手放したことと、出版・印刷・人材が安定して稼ぐことだ。ただ、百貨店の客数は金沢と富山の人口とともに減る。本社費と利払いが利益を食う構造は、売却後も残る。
含み益の期待は、事業の利益を生まない限り、評価に入らない。
もっとも、会社が地元で築いた信用と、金沢・富山という立地そのものは本物だ。問題は、その強みが利益に変わっていないことにある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、大和は避ける会社だ。事業は 100 年を超え、地元の信用もあるが、10 年たっても利益が増える構造が見えない。
営業利益は 2 億円足らずで、利払いと同じ程度。借金が 69 億円あり、金利が 3.5% まで上がれば、営業利益が消える。ホテルへの投資は減損で壊れ、自己資本が削られた。資本の使い方は、失敗の記録が長い。
自己資本は 49 億円あるが、帳簿のほとんどは店舗の土地と建物だ。百貨店を続ける限り、その資産は取り出せない。含み益があっても、利益を生まない資産は、価値にならない。
払う値段に、安全域はない。今の時価総額は自己資本の半分以下に見えるが、稼ぐ力に対しては高い。
要するに、買収されて価値が顕在化する期待以外に、持ち続ける理由が見当たらない。
経営の面では、本業の改善より先にホテルの減損という失敗が表に出た。資本の配分は、これから問われる。
何で稼ぐ会社か
大和の売上の約 8 割は百貨店業だ。金沢の香林坊大和と富山大和で、衣料、雑貨、食品、外商を扱う。百貨店の売上は、中間期で 67 億円、営業利益は 1.4 億円。利益率は 2% 前後にとどまる。
残りは、ホテル、出版、印刷、人材サービスだ。ホテルは金沢ニューグランドホテルを子会社で運営してきたが、2026 年 10 月 1 日付で株式と貸付債権を譲渡した。出版と印刷は地元向けで、利益率が高い。人材サービスは、地元企業の人手不足を背景に売上が伸びている。
セグメント利益の合計は、連結の営業利益を大きく上回る。差の約 4 億円強が本社費などで、百貨店の運営と借入の管理にかかる固定費が重い。会社は事業構造改革費用を計上し、体制の見直しを進めている。
外商は百貨店の利益の源だが、顧客の高齢化で先細る。食品と催事は集客の柱で、観光客が来る金沢では強い。
百貨店の売上の大半は、衣料品と食品、そして外商が占める。出版と印刷は、地元の企業や自治体からの受注が中心で、景気の波は小さいが成長も遅い。人材サービスは、金沢と富山の企業の採用を支援する事業で、近年は売上が増えている。
優良さと弱いところ
優良さは低い。百貨店は、地方の中核都市で長く商売をしてきた信用と、外商という顧客基盤が強みだ。金沢は新幹線の開業以降、観光客が増えた。ただ、百貨店という業態は、通販とショッピングセンターに顧客を奪われ続けてきた。
過去 10 年の営業利益率は 2% を超えたことがほとんどない。2019 年 2 月期は店舗閉鎖損失で 48 億円の純損失、2021 年はコロナで営業赤字、2026 年はホテルの減損で再び純損失。赤字の年が多い。
財務は弱い。自己資本比率は 18.6%、有利子負債は 69 億円。営業利益は支払利息の 1.4 倍にとどまる。北國銀行が株主として支えているが、借入の期限が近づくたびに、借り換えの条件が問われる。
筆者は、資本コストに借金と寿命の上乗せを付けた。事業の質は、倍率と確率にも出る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
地方の百貨店は、構造的に縮む業態だ。人口が減り、ファッション需要は通販に流れ、郊外のショッピングセンターが買い物の中心になった。大都市の百貨店はインバウンドで売上を保ったが、地方は恩恵が小さい。金沢は例外的に観光客が多いが、客の中心は食と土産で、百貨店の高額品とは別の需要だ。
競合は、金沢と富山の郊外型ショッピングセンターと、通販だ。百貨店同士の統合も進んだが、大和は独立を保っている。香林坊アトリオとの複合型の立地が強みで、観光客の流れを取り込める。
物価が 3% で続く世界では、客単価は上がりやすい。ただし、客数の減少が上回れば、売上は減る。固定費の大きい百貨店では、売上の 1 割の減少が、営業利益をすべて消す。
人材サービスは、人手不足の地元企業からの需要が強く、百貨店と別の成長の芽になる。
地方都市の百貨店は、人口と観光の二つの力のせめぎ合いで決まる。こうした環境では、各店が生き残る道は、地域一番店としての集客力を保つか、不動産の再開発で稼ぐかに絞られる。大和は前者を選んでいるが、設備の更新費用は重く、利益を食う。
資本政策と M&A
配当は、2026 年 2 月期と 2027 年 2 月期の中間とも無配。期末は未定とされる。自己資本比率が 18.6% と低く、借入の返済が先になる。自社株買いの実績もない。
2026 年 10 月に、金沢ニューグランドホテルを Superior 合同会社へ譲渡した。譲渡に伴い、事業譲渡関連費用と事業構造改革費用が合わせて 2.3 億円前後出る見込みだ。譲渡の資金として、北國銀行から 20 億円を借り入れた(期間 1 年)。借り換えの条件が、財務の分かれ目になる。
M&A の観点では、自己資本を下回る時価総額と、都心の不動産を持つことから、買い手が現れる余地はある。ただし、公開買付けや非公開化の報道は確認できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
百貨店は、金沢の一等地にあり、香林坊アトリオとの複合施設で観光客を取り込める。北陸新幹線の延伸で、観光の流れは続く。ホテルという赤字の元を手放し、会社は百貨店と、出版・印刷・人材という利益率の高い事業に集中できる。2027 年 2 月期の営業利益は 2.5 億円と、前期より 3 割増える予想だ。
自己資本は 49 億円で、時価総額は 21 億円。会社の価値が土地と建物の含み益だけで測れるなら、今の値段は大きく割安だ。北國銀行が株主と貸し手として支える限り、資金繰りの心配は小さい。
物価が 3% で続けば、客単価は上がり、百貨店の売上は名目で伸びる。人手不足の地元企業を相手にする人材サービスも、成長が続く。
人材サービスは、地元企業の人手不足を背景に売上が伸びている。百貨店の弱さを補う別の柱として育つ。
改装や催事で食品と化粧品の売場を強くすれば、客数の減少を一定程度は止められる。銀行が支える間に、本社費の削減と不採算店の整理が進めば、利益率は上向く。
慎重な見方
数字は割高を示している。営業利益は 2 億円足らずで、有利子負債は 69 億円。営業利益は支払利息の 1.4 倍しかなく、金利が 3.5% まで上がれば、利益は消える。2027 年 2 月期は純損失 9 億円の予想で、配当もない。
百貨店の客数は、金沢と富山の人口減と通販の拡大で減り続ける。過去 10 年、営業利益率は 2% を超えたことがなく、構造が変わる兆しがない。ホテルは売却したが、売却の資金は 1 年の借入で、借り換えの条件が不透明だ。
自己資本が厚く見えるのは、店舗の土地と建物が帳簿にあるからだ。百貨店を続ける限り売れず、利益も生まない。事業に使えない資産は、価値に数えにくい。
会社は構造改革費用を計上しながら、通期の純損失を 9 億円と予想している。改革の効果は、数字に出るまで時間がかかる。
中間決算は営業利益 1.4 億円で通期予想も 2.5 億円と低く、利払いを引けば経常で 1.5 億円。改革費用を除いても、利益が自己資本を増やす速度は遅い。
どちらに重みを置いたか
稼ぐ力と財務の議論では、慎重な見方が優る。ホテルの売却と、百貨店の地の利は評価できるが、利払いと本社費が利益を食う構図は変わらない。確率は、やや悲観に 30%、悲観に 12% を置き、中立の 38% を最も厚くした。結果として、価値は今の値段の 3 分の 1 以下に出た。
土地の含み益という好材料は、開示で確かめられるまで評価に入れない。慎重な見方を採る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 305 円17 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 24 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 141 円8 億円、今との差 −61.3%、 期待の年率 −1.0%(資本コスト 9.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 794 円45 億円 | 107 円6 億円 | +147.5% | +9.5% | 45 円3 億円 |
| やや楽観 | 15% | 562 円31 億円 | 53 円3 億円 | +69.0% | +5.4% | 92 円5 億円 |
| 中立 | 38% | 320 円18 億円 | 27 円2 億円 | −4.7% | −0.5% | 132 円7 億円 |
| やや悲観 | 30% | 168 円9 億円 | 0 円0 億円 | −54.0% | −7.5% | 50 円3 億円 |
| 悲観 | 12% | 75 円4 億円 | 0 円0 億円 | −79.4% | −14.6% | 9 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 305 円17 億円 | 24 円1 億円 | −9.8% | −1.0% | 328 円18 億円 |
今の株価時価総額 364 円20 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 5% 北陸の観光と客単価で売上が伸び、利益率が 4% 台に 利益 4 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 794 円45 億円
北陸新幹線の延伸と国内外の観光客の増加で、香林坊店と富山店の客数が維持される。外商と高額品の客単価は物価以上に上がり、売上は 190 億円近くに増える。ホテルの売却で赤字が止まり、借入の返済も進む。出版・印刷・人材の事業は、地元企業の人手不足を背景に伸びる。営業利益は 8 億円近くになるが、利払いと本社費が重く、純利益は 4 億円にとどまる。配当は再開し、少しずつ増える。店舗の改装投資は建築費の上昇で重いが、利益の伸びで賄える。借入は返済が進み、金利上昇の影響が薄れる。人材サービスの伸びも加わり、百貨店の弱さを補う。
- 百貨店業:数量 800(買上客数(万人))× 価格 0.23(客単価(万円))→ 売上 187 億円・営業利益 6 億円
- 出版・印刷・人材サービス:数量 3,600(案件数(件))× 価格 71(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 9 億円
- ホテル業:数量 0.0(販売室数(万室泊))× 価格 2.10(1 室泊あたりの売上(万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 42 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:地方の百貨店が客数を維持して利益率を上げる筋は、条件が重なる。5% とした。
やや楽観 15% やや楽観:ホテルの赤字が消え、百貨店が堅調 利益 3 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 562 円31 億円
ホテルの売却で、毎年の赤字と減損のリスクが消える。百貨店の客数は 4% ほど減るが、客単価の上昇で売上は伸びる。人手不足の地元企業を相手にした人材サービスが成長し、出版・印刷も安定する。営業利益は 5 億円台に回復し、借入は少しずつ減る。配当は再開するが、自己資本比率が低いため、還元は小さい。減価償却は取得時の値段のままで、会計の利益は見かけ上厚くなるが、改装の投資は建築費の上昇で重い。地元企業向けの人材サービスの売上が増え、出版・印刷も安定する。改装した売場の売上が伸び、金沢の観光客の購買も増えて、本社費の上昇を吸収する。借入の返済は進むが、金利は高止まりする。
- 百貨店業:数量 768(買上客数(万人))× 価格 0.23(客単価(万円))→ 売上 176 億円・営業利益 4 億円
- 出版・印刷・人材サービス:数量 3,300(案件数(件))× 価格 69(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 23 億円・営業利益 8 億円
- ホテル業:数量 0.0(販売室数(万室泊))× 価格 2.10(1 室泊あたりの売上(万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.6% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 29 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027/02 期の通期予想は営業利益 2.5 億円への回復。ホテルを手放した後の姿が実現する筋は十分ありうる。
中立 38% 中立:客数は 1 割弱減るが値上げで売上を保ち、利益率は 1.5% 台 利益 1 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 320 円18 億円
百貨店の客数は、金沢と富山の人口減と通販への流出で 10 年で 1 割弱減る。客単価は物価に沿って上がり、売上は 150 億円台後半を保つ。ホテルを売却したので、毎期の赤字はなくなる。出版・印刷・人材は安定して利益を出すが、本社費が物価で膨らみ、利益の多くを食う。営業利益率は 1.5% 台。借入の金利が 3.5% 前後に上がり、利払いが利益を削る。配当は再開しても少額にとどまる。店舗の改装投資は建築費の上昇で重くなる。減価償却は取得時の値段のままで、会計の利益は見かけ上厚くなるが、更新の投資で現金は細る。借入は返済が進まず、借り換えを繰り返す。
- 百貨店業:数量 736(買上客数(万人))× 価格 0.22(客単価(万円))→ 売上 165 億円・営業利益 2 億円
- 出版・印刷・人材サービス:数量 3,000(案件数(件))× 価格 68(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 21 億円・営業利益 7 億円
- ホテル業:数量 0.0(販売室数(万室泊))× 価格 2.10(1 室泊あたりの売上(万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.7% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 16 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社予想は営業利益 2.5 億円。ホテルを除いた姿を中立にして最も厚い 38%。
やや悲観 30% やや悲観:客数の減少が加速し、営業利益が消える 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 168 円9 億円
百貨店の客数が 10 年で 15% 減り、客単価は物価ほど上がらない。ファッションの需要が通販とショッピングセンターに流れ、テナントの入れ替えも進まない。営業利益はほぼゼロになり、金利が上がった借入の利払いで純利益が赤字になる。配当は出せない。自己資本は少しずつ減り、銀行への依存が強まる。店舗の改装を先送りし、設備の老朽化が進む。借入の条件交渉に時間を取られる。人材サービスの利益も、競合の増加で細る。新店や改装の投資を抑える結果、売場の魅力が落ち、客数の減少がさらに進む。借入の借り換えでは、担保の追加を求められる。
- 百貨店業:数量 680(買上客数(万人))× 価格 0.21(客単価(万円))→ 売上 145 億円・営業利益 1 億円
- 出版・印刷・人材サービス:数量 2,850(案件数(件))× 価格 65(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 19 億円・営業利益 6 億円
- ホテル業:数量 0.0(販売室数(万室泊))× 価格 2.10(1 室泊あたりの売上(万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
倍率:営業利益が利払いを賄えないため PER は使えない。今の自己資本 45.5 億円に PBR 約 0.2 倍を掛ける形で置いた。稼ぐ力が弱い構造の負けに入りつつある筋。 EV で見ると営業利益がほぼゼロのため倍率は意味を持たない。債務を引いた後の株主の取り分が自己資本の約 2 割という見立て。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.2066 倍・時価総額 9 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:2026/02 期は減損で赤字、通期の予想も純損失 9 億円。客数の減少と利払いで利益が消える筋は起こりやすい。30%。
悲観 12% 悲観:百貨店の営業を縮小し、債務の重さで自己資本が削られる 利益 −6 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 75 円4 億円
百貨店の客数が 3 割以上減り、売場を縮小しても固定費が追いつかない。営業赤字が続き、利払いが重なって純損失が毎年出る。自己資本が 10 年で半分以下になる。銀行は追加の担保を求め、会社は店舗の一部を売却して返済に回す。出版・印刷・人材の稼ぎだけでは本社費と利払いを賄えない。配当は出せず、株主には残余の価値だけが残る。店舗の一部を閉じ、売却した資金を返済に回す。会社は縮小均衡を目指すが、固定費の削減は遅れる。店舗の一部を閉鎖し、土地を売却して債務を返す。残る事業は出版・印刷・人材が中心で、百貨店は縮小均衡になる。
- 百貨店業:数量 520(買上客数(万人))× 価格 0.20(客単価(万円))→ 売上 106 億円・営業利益 −3 億円
- 出版・印刷・人材サービス:数量 2,400(案件数(件))× 価格 62(1 件あたりの売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円
- ホテル業:数量 0.0(販売室数(万室泊))× 価格 2.10(1 室泊あたりの売上(万円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
倍率:赤字で PER は使えない。残る事業の稼ぐ力と換金できる資産を合わせて約 4.2 億円と置き、直近期末の自己資本 54.4 億円に掛ける形にした(PBR 約 0.08 倍)。有利子負債が重く、自己資本は赤字で大きく減る前提。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.0773 倍・時価総額 4 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:地方百貨店の閉店が続く構造的な負けの筋。12% は、自己資本比率 19% で赤字が続く会社に置く水準として妥当。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
百貨店業
金沢の香林坊大和と富山大和。衣料・雑貨・食品・外商。
| 数量買上客数(万人) | 価格客単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 800 | 0.17 | 134 | 2 |
| 10 年後 中立 | 736 | 0.22 | 165 | 2 |
取り方:百貨店の年間売上 133.5 億円(中間の 67.2 億円から推定)を、買上客数 800 万人 × 客単価 1.669 万円と置いた推定。客数は開示がなく売上からの推定。利益は中間のセグメント利益 1.36 億円から年額 2.4 億円と推定。
出版・印刷・人材サービス
地元向けの出版と印刷、地元企業向けの人材サービス。
| 数量案件数(件) | 価格1 件あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 3,000 | 51 | 15 | 6 |
| 10 年後 中立 | 3,000 | 68 | 21 | 7 |
取り方:出版・印刷・人材の年間売上 15.3 億円(中間の外部売上から推定)を、案件 3,000 件 × 1 件 51 万円と置いた推定。件数は開示がなく推定。単位は 1 万円 × 件 = 0.0001 億円。利益は中間のセグメント利益(出版 1.18・印刷 0.92・人材 0.70 億円)から年額 5.5 億円と推定。
ホテル業
金沢ニューグランドホテルの運営。2026 年 10 月 1 日付で譲渡済み。
| 数量販売室数(万室泊) | 価格1 室泊あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 7.0 | 1.57 | 11 | −2 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 2.10 | 0 | 0 |
取り方:ホテルの年間売上 11.0 億円(中間の 5.84 億円から推定)を、7.0 万室泊 × 1 室泊 1.57 万円と置いた推定。室数は開示がなく推定。譲渡済みで、10 年後の筋書きでは数量 0。利益は中間の -0.96 億円から年額 -1.5 億円と推定。
リスクと懸念
借入の借り換えと財務制限
有利子負債は 69 億円で、ホテル譲渡の資金として北國銀行から 20 億円(期間 1 年)を借りた。借り換えの条件が悪化すれば、事業の縮小を迫られる。
百貨店の客数の減少
金沢と富山の人口減と通販の拡大で、客数は減り続ける。固定費が大きく、売上の 1 割減が営業利益を消す。
利払いの増加
借入の金利が 3.5% 前後に上がると、営業利益を超えて利払いが増える。現在の営業利益は支払利息の 1.4 倍しかない。
ホテル売却に伴う追加の費用
事業譲渡関連費用と事業構造改革費用で 2 億円超の損失が見込まれる。貸付債権の回収や、譲渡後の保証の残りがないかも確かめる必要がある。
本社費と人件費の上昇
本社費は約 4 億円強で、物価と賃金で増える。売上が減っても減らない固定費が、利益を圧迫する。
無配の継続と株主還元
配当は 2 期続けて無配で、再開の時期は未定。自己資本比率が低く、返済が先になる。
今後の分かれ目
- 営業利益が 2 期続けて 5 億円を超える
- やや楽観の確率を上げ、借入の返済と配当の再開を見る。
- 北國銀行からの 20 億円の借入が借り換えられ、条件が悪化する
- やや悲観と悲観の確率を上げ、k の借金の項目を見直す。
- 百貨店の客数が年 3% を超えて減る
- 客数の見立てを下げ、中立の利益率を下げる。
- 店舗の売却や再開発が数字で開示される
- 売却益と債務の返済を別に足し、価値を見直す。
- 公開買付けや非公開化の発表がある
- 筋書きの前提が変わるので、分析を作り直す。
見ておくもの
- 百貨店の客数と客単価
- ホテル譲渡後の損益と特別損失
- 有利子負債と借り換えの条件
- 本社費の水準
- 配当の再開
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE が k を下回る事業の上限 1÷k から、借金の重さと客数の減少を考えて置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。数量は買上客数・案件数・室数の推定で、売上から割り戻した。店舗の土地・建物の含み益は開示で確かめられないため、中立の価値には足していない。新リース会計基準で賃借が BS に載ると純負債の形が変わるが、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→10.81 倍・やや楽観 PER 8.5→10.81 倍・中立 PER 8→10.81 倍)。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。