結論
バナーズは埼玉県熊谷市の会社で、稼ぎの核は賃貸不動産だ。売上の 8 割はホンダ車の販売店だが、利益の中身はほとんど賃貸にある。ほかに、ダブルリード楽器(オーボエ・ファゴット)の専門店を持つ。
筆者の結論は割高だ。10 年後の中立でも、時価総額は今を下回る。理由は借金にある。純負債は 25 億円で、時価総額の 1.2 倍に当たる。借り換えの金利が 3.5% に上がると、利払いが今の 5 倍近くに膨らみ、営業利益の伸びを食う。
賃貸は売上 4.3 億円で利益 3.1 億円と、利益率は 7 割を超える。ただ、本庄の再開発に 36 億円が投じられており、稼ぎが増える前に金利が先に増える。
自動車は利益率が 1% と薄い。賃貸が伸びる姿は描けるが、株主の手元に残る利益は増えにくい。安全域は薄い。賃貸の価値は認めるが、今の値段には、その分がすでに乗っていると見る。ほかに、全社の費用や金利の上昇も、利益を押し下げる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、バナーズは「良い不動産を持つが、借金で身動きが取れない会社」だ。賃貸の利益率は 7 割あり、地方の物件としては悪くない。ただ、再開発に投じた金額に比べて、今の賃貸収入は小さい。投じた資本に対する利益の率は、金利を下回る。
オーナー利益、つまり株主が自由に使える利益で見ると、利益の多くは借金の利息と、建物の更新投資に消える。建築費は物価より速く上がり、償却は取得時の値段のままなので、会計の利益は更新投資の負担を隠す。
経営の資本配分は、借金で不動産を増やす方向にあり、慎重な見方が要る。配当性向 5 割以上という方針は、投資が続く間は守りにくい。
不動産に含み益があれば価値は上がるが、賃貸等不動産の時価は確認できなかったので、足していない。今の値段に安全域はない。割安に化けるには、賃貸の時価が簿価を大きく上回ることが要る。
何で稼ぐ会社か
バナーズは 1950 年の設立で、埼玉県本庄市の工場跡地にテナントビルを建てて貸したのが、賃貸事業の始まりだ。現在は 3 つの事業を持つ。2026 年 3 月期の売上は 57 億円だ。
不動産利用は、土地・建物・駐車場の賃貸で、売上は 4.3 億円と小さいが、利益は 3.1 億円と連結の営業利益を上回る。群馬県と埼玉県の複数の物件に加え、本庄の大型ショッピングセンターの再開発が進む。2025 年 10 月には入間市の物件も買った。
自動車販売は、子会社のホンダニュー埼玉が Honda Cars を 3 店で運営する。売上は 46 億円と連結の 8 割を占めるが、利益は 0.5 億円で、前年から半減した。整備と保険の販売も手がける。
楽器販売は、子会社の日本ダブルリードが新宿でダブルリード楽器の専門店を営む。欧州製の楽器を輸入し、入門用から高級品まで売る。売上は 6.6 億円で、利益は 0.5 億円だ。
従業員は 98 人で、うち 78 人が自動車販売だ。本社の人員は 5 人と少なく、持株会社に近い形で、不動産の運用と子会社の管理を担う。
優良さと弱いところ
優良さは低い。強みは、賃貸の利益率の高さと、土地を自社で持つ安定性だ。賃貸の利益率は 7 割を超え、地方の商業施設としては高い。ダブルリード楽器の専門店は、扱う店が少なく、顧客に根強い支持がある。
弱みは 3 つある。第 1 に、利益の大半が賃貸 1 つに頼り、自動車と楽器は薄利だ。第 2 に、自己資本比率は 29% と低く、純負債が重い。第 3 に、本庄の再開発に資金が固定され、収益が出るまでに時間がかかる。
ホンダの販売店は、メーカーが仕入れ値と新車の価格を決めるので、値決めの力がない。電動化で整備の収益も変わりうる。
資本効率の面では、ROE は過去 10 年の中央値で 6% 前後、2020 年には赤字もあった。経営は配当性向 5 割以上を掲げるが、重い投資で借金が増える局面では、実行は難しい。堀と呼べるほどの優位はない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
3 つの事業は、ほぼ別の業界だ。
賃貸は、地方の商業施設の需要がカギだ。埼玉北部や群馬は、人口が減るなかでも、郊外の大型商業施設が地域の買い物の中心になっている。ただ、ネット通販とのすみ分けが進み、テナントの入れ替わりが速い。賃料の上昇は物価より遅れやすい。建築費は物価を超えて上がり、新築の採算は厳しくなる。
自動車は、国内の新車販売が人口の減少とともに緩やかに縮む。ホンダは電動化へ向かい、販売店には整備の収益が変わる転換期になる。ホンダの販売店は系列ごとに再編が進み、小さな運営会社ほど押される。
楽器は、吹奏楽の人口が少子化で減るなか、ダブルリードは専門性の高い市場で、数量は緩やかに減る。輸入品なので、円安の影響を受ける。
全体で、物価の上昇が賃料と車の値段を押し上げる一方、金利の上昇が借金の重い会社の利益を削る。競合は、賃貸では近隣の大型商業施設、自動車では他系列と同じホンダの販売会社だ。楽器は、大手の楽器店とネット通販が競合になる。いずれの市場でも、人口の減少で数量が伸びる余地は小さく、成長は価格の上昇に頼ることになる。
資本政策と M&A
資本の使い方は、借金で不動産に投じる型だ。2026 年 3 月期は長期借入で 4 億円を借り、短期でも 2 億円ほど借り増した。本庄の再開発は、建築費と賃料のバランスを見ながら進めるとしているが、金利の上昇で採算は厳しくなる。
配当は、性向 5 割以上を目標とし、機動的な自社株買いも検討するとしている。ただ、重い投資と借金の中で、この方針を続けられるかは読みにくい。株主優待はない。
筆頭株主はエルガみらい研究所で、約 2 割を持つ。ほかに建設会社などが続く。時価総額が 22 億円と小さく、保有する不動産に比べて低いため、買収や再編の対象になりうる。kabufu のシミュレーションでは、10 年以内の買収の確率は 25% ほどだ。ただ、買収があるかは買い手次第で、筋書きの確率には織り込まなかった。
リースは、ホンダ店舗 3 店の賃借料が年 0.6 億円、楽器店が年 0.2 億円と小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
バナーズの本質は、地方の一等地に自社の土地を持つ不動産会社だ。賃貸の利益率は 7 割を超え、本庄の再開発が完成すれば、賃貸の面積は 3 割増える。物価が上がれば、テナントの売上と賃料も上がり、土地の値打ちも物価に連れて上がる。
簿価が 65 億円ある不動産に対し、時価総額は 22 億円で、純資産 28 億円も下回る。借金が 35 億円あっても、不動産の価値が簿価に近ければ、株主の取り分は十分にある。自動車の利益は 1 年で半減したが、ホンダの新型車で回復する余地がある。ダブルリード楽器は専門店が少なく、顧客の信頼を得た店は価格競争に巻き込まれにくい。
配当性向 5 割以上と自社株買いの検討を掲げ、株主還元に前向きだ。筆頭株主のエルガみらい研究所が約 2 割を持ち、経営の方向は安定している。賃貸収入が増え、金利の上昇を賃料が吸収すれば、上は大きい。時価総額が小さく、不動産に近い値で再編が起きれば、評価は一気に切り上がる。
慎重な見方
稼ぎの核の賃貸は、売上 4.3 億円と小さい。連結の営業利益 2.8 億円のうち、自動車と楽器の利益は 1 億円に満たず、全社費が 1.2 億円ある。賃貸に投じた資金に対する収益率は低く、金利の上昇に耐えられない。
純負債は 25 億円と時価総額を超える。借り換えで金利が 3.5% に上がると、利払いは今の 5 倍に膨らみ、営業利益の伸びを食う。本庄の再開発に 36 億円が固定され、建築費は物価を超えて上がる。賃料が建築費に追いつかなければ、採算が崩れる。
営業キャッシュフローは 1 億円と、前年の 5 億円から激減し、投資は 4 億円を超えた。借入で賄っている構造は続かない。自動車は利益が 1% で、ホンダの電動化と店舗再編の影響を受ける。
簿価の 65 億円は時価ではない。郊外の商業施設の時価が簿価を下回れば、減損で自己資本は削られる。さらに、自動車と楽器は薄利で、賃貸の稼ぎを食う局面もある。
どちらに重みを置いたか
借金の重さと金利の上昇という点で、慎重な見方が強い。強気の見方の本質は不動産の含みだが、時価は確認できず、足せない。確率は、中立を 4 割弱に置き、やや悲観と悲観を合わせて 4 割に厚くした。悲観は、他の小売より高い 13% を置いた。賃貸の含みは時価が確認できず、足していない。強気の見方が当たるのは、再開発の完成と賃料の上昇がそろった場合に限られる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 129 円20 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 54 円8 億円)。 今の値に割り戻すと 93 円14 億円、今との差 −34.6%、 期待の年率 +2.6%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 269 円41 億円 | 91 円14 億円 | +153.4% | +9.7% | 22 円3 億円 |
| やや楽観 | 16% | 205 円31 億円 | 76 円12 億円 | +98.4% | +7.1% | 45 円7 億円 |
| 中立 | 38% | 162 円25 億円 | 66 円10 億円 | +60.3% | +4.8% | 86 円13 億円 |
| やや悲観 | 27% | 62 円9 億円 | 37 円6 億円 | −30.5% | −3.6% | 27 円4 億円 |
| 悲観 | 13% | 18 円3 億円 | 7 円1 億円 | −82.5% | −16.0% | 3 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 129 円20 億円 | 54 円8 億円 | +28.9% | +2.6% | 183 円28 億円 |
今の株価時価総額 142 円22 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 本庄の再開発が満室で稼働し、賃料が物価を超えて上がる 利益 4 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 269 円41 億円
本庄のショッピングセンターが満室で稼働し、入間の物件も加わって、賃貸の面積は今の 3 割増になる。地方の商業施設は賃料が上がりにくいが、物価の上昇が続く中でテナントの売上が伸び、賃料も物価を少し上回って上がる。自動車はホンダの新型車が当たり、台数を保ったまま整備と保険の収益が積み上がる。借金は増えるが、金利を賃料の伸びが上回る。営業利益は今の 2 倍になり、純利益は 3.5 億円まで増える。ROE は 8% を超えるが、資本コストにはまだ届かない。この場合でも、倍率は上限に近づくだけで、利益の伸びほど価値は増えない。
- 不動産利用(賃貸):数量 32.0(賃貸の稼働面積(千㎡、推定))× 価格 0.25(1 千㎡あたり年賃料(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 6 億円。賃貸 32 千㎡ × 1 千㎡あたり年賃料 0.253 億円、利益率 72%
- 自動車販売(Honda Cars 3 店):数量 1,100(年間の販売台数(新車・中古車、推定))× 価格 0.06(1 台あたり売上(億円・名目、整備・保険を含む))→ 売上 64 億円・営業利益 1 億円。新車・中古車 1,100 台 × 1 台 580 万円、営業利益率 1.8%
- 楽器販売(ダブルリード):数量 20,000(年間の販売点数(楽器・リード・用品、推定))× 価格 0.00(1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。2 万点 × 1 点 4.6 万円、営業利益率 8%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 41 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:再開発の完成、賃料の上昇、自動車の利益率回復が同時に起きる筋書き。借金が重く、建築費も上がるので、そろう確率は高くない。
やや楽観 16% 再開発が予定どおり完成し、賃貸が稼ぎの柱になる 利益 3 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 205 円31 億円
本庄の残る 1 棟が完成し、賃貸の面積は今より 25% 広がる。賃料は物価並みに上がり、不動産は売上が今の 1.7 倍、利益は 5 億円に迫る。自動車は台数が 5% 減るが、値上げと整備の収益でカバーする。楽器は少子化で数量が緩やかに減る。一方で、再開発の資金は借入で賄い、借金は 30 億円を超える。借り換えが 3.5% の金利になるので、営業利益の伸びの 3 割ほどが利払いに消える。純利益は 2.6 億円まで増える。自己資本は 40 億円に近づくが、ROE は 6% 台にとどまり、資本コストに届かない。
- 不動産利用(賃貸):数量 30.0(賃貸の稼働面積(千㎡、推定))× 価格 0.24(1 千㎡あたり年賃料(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 5 億円。賃貸 30 千㎡ × 1 千㎡あたり年賃料 0.242 億円、利益率 70%
- 自動車販売(Honda Cars 3 店):数量 1,045(年間の販売台数(新車・中古車、推定))× 価格 0.06(1 台あたり売上(億円・名目、整備・保険を含む))→ 売上 58 億円・営業利益 1 億円。新車・中古車 1,045 台 × 1 台 555 万円、営業利益率 1.4%
- 楽器販売(ダブルリード):数量 19,000(年間の販売点数(楽器・リード・用品、推定))× 価格 0.00(1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。1.9 万点 × 1 点 4.4 万円、営業利益率 7%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 31 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:本庄の再開発の完成と賃料の物価並みの上昇までは見込める。ただ借金が増える分、利益の伸びは営業利益より小さい。
中立 38% 賃貸が増えるが、金利と販管費の上昇で利益は横ばい 利益 2 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 162 円25 億円
本庄の再開発が 1 棟だけ完成し、賃貸は今より 15% ほど面積が増える。賃料は物価より遅れて上がり、10 年で 3 割増にとどまる。自動車は新車の需要が人口減で 1 割減り、値上げでようやく売上を保つ。本社費も物価で増え、営業利益は 4 億円程度になる。一方、借金は 33 億円まで増え、借り換えで金利が 3.5% に上がると、利払いは今の 5 倍に膨らむ。純利益は今と同じ 2 億円前後にとどまる。自己資本は配当の分を引いても 38 億円まで増えるが、ROE は 5% 台で資本コストを下回る。賃貸の伸びを、金利と費用の上昇が打ち消す、静かな 10 年になる。
- 不動産利用(賃貸):数量 28.0(賃貸の稼働面積(千㎡、推定))× 価格 0.24(1 千㎡あたり年賃料(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 4 億円。賃貸 28 千㎡ × 1 千㎡あたり年賃料 0.235 億円、利益率 68%(新棟の償却を含む)
- 自動車販売(Honda Cars 3 店):数量 990(年間の販売台数(新車・中古車、推定))× 価格 0.06(1 台あたり売上(億円・名目、整備・保険を含む))→ 売上 55 億円・営業利益 1 億円。新車・中古車 990 台 × 1 台 555 万円、営業利益率 1.2%
- 楽器販売(ダブルリード):数量 18,000(年間の販売点数(楽器・リード・用品、推定))× 価格 0.00(1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。1.8 万点 × 1 点 4.4 万円、営業利益率 6.5%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 23 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 10 年、売上は 36〜56 億円、営業利益は 0〜3 億円の箱の中で動いてきた。賃貸の増収と、利払いと費用の増加が打ち消し合う姿を中心に置く。
やや悲観 27% テナントが入れ替わらず、自動車の台数が落ちる 利益 1 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 62 円9 億円
本庄の再開発が完成しても、郊外の商業施設は大型店との競争でテナントが埋まらず、空室と賃料の値引きが続く。賃貸の利益率は 6 割に下がる。自動車は、ホンダの電動化への切り替えと人口減で台数が 2 割減り、整備と保険で補いきれず、利益はほぼ消える。楽器は少子化で点数が 25% 減る。固定費の本社費は減らず、借入は 36 億円まで増えて利払いは 1.3 億円になる。純利益は 0.8 億円まで落ち、今の 4 割を切る。配当は大きく縮む。再開発地の稼働が上がらないうちは、借金の返済が優先され、株主への還元は後回しになる。
- 不動産利用(賃貸):数量 26.0(賃貸の稼働面積(千㎡、推定))× 価格 0.23(1 千㎡あたり年賃料(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 4 億円。賃貸 26 千㎡ × 1 千㎡あたり年賃料 0.226 億円、利益率 62%(空室と値引き)
- 自動車販売(Honda Cars 3 店):数量 880(年間の販売台数(新車・中古車、推定))× 価格 0.05(1 台あたり売上(億円・名目、整備・保険を含む))→ 売上 47 億円・営業利益 0 億円。新車・中古車 880 台 × 1 台 540 万円、営業利益率 0.3%
- 楽器販売(ダブルリード):数量 15,000(年間の販売点数(楽器・リード・用品、推定))× 価格 0.00(1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。1.5 万点 × 1 点 4.3 万円、営業利益率 4%
倍率:ROE が 2% 台と k を大きく下回り、正当化 PER は 1÷k=11.1 倍が上限。稼ぐ力が薄く借金が重いので、上限の 7 割強の 8.0 倍に置いた。
確率:地方の商業施設はテナントの入れ替わりが難しく、自動車の利益率はすでに 1% に近い。人手不足で整備士の確保にも費用がかかる。借金が重いので、収益が少し落ちるだけで純利益が半分以下になる。
悲観 13% 再開発の失敗で借金だけが残り、減損と赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 18 円3 億円
本庄の再開発に入る大型テナントが撤退し、賃貸の稼働率が 6 割台に落ちる。建築費の高止まりで投下資本が回収できず、不動産の簿価は大きく減損される。自動車はホンダの店舗再編で 3 店が 2 店になり、赤字が続く。借入は 38 億円に増え、利払いが 1.4 億円に達して、純損益は赤字に沈む。配当は止まり、借入の返済のために不動産の一部を売却せざるをえなくなる。自己資本は減損で 20 億円まで減り、株主に残る価値は、売却と返済の後にわずかな不動産が残る程度になる。ここまで来ると、ホンダ店舗の売却や楽器事業の整理も選択肢になる。
- 不動産利用(賃貸):数量 22.0(賃貸の稼働面積(千㎡、推定))× 価格 0.22(1 千㎡あたり年賃料(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。賃貸 22 千㎡ × 1 千㎡あたり年賃料 0.217 億円、利益率 50%(大型テナント撤退)
- 自動車販売(Honda Cars 3 店):数量 660(年間の販売台数(新車・中古車、推定))× 価格 0.05(1 台あたり売上(億円・名目、整備・保険を含む))→ 売上 36 億円・営業利益 0 億円。新車・中古車 660 台 × 1 台 540 万円、営業利益率 −1%(3 店が 2 店に)
- 楽器販売(ダブルリード):数量 12,000(年間の販売点数(楽器・リード・用品、推定))× 価格 0.00(1 点あたり売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。1.2 万点 × 1 点 4.3 万円、営業利益率 0%
倍率:稼ぐ力が消え、借金の返済のため不動産を売る局面。床は売れる資産から負債を引いた残りで測る。今の自己資本 28 億円に 0.10 倍を掛けた。営業利益が 0.4 億円と小さく EV÷営業利益は 76 倍に見えるが、価値は売却後の純資産で測っており、利益の倍率では評価していない。
確率:借入で賄った再開発が稼げず、金利の上昇が重なる。純負債が時価総額を上回る会社なので、悲観の確率を他社より厚くした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産利用(賃貸)
群馬・埼玉の賃貸物件と、本庄市のショッピングセンター(再開発中)。
| 数量賃貸の稼働面積(千㎡、推定) | 価格1 千㎡あたり年賃料(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 24.0 | 0.18 | 4 | 3 |
| 10 年後 中立 | 28.0 | 0.24 | 7 | 4 |
取り方:賃貸の面積は開示がない。売上 4.34 億円を、郊外の商業施設・駐車場の平均賃料 年 1.8 万円/㎡で割り、約 2.4 万㎡と推定した。数量は稼働面積、価格は面積あたりの年賃料。利益はセグメント利益 3.13 億円(償却を含む)。
自動車販売(Honda Cars 3 店)
子会社ホンダニュー埼玉による Honda Cars の新車・中古車の販売、整備、保険。
| 数量年間の販売台数(新車・中古車、推定) | 価格1 台あたり売上(億円・名目、整備・保険を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,100 | 0.04 | 46 | 0 |
| 10 年後 中立 | 990 | 0.06 | 55 | 1 |
取り方:販売台数は開示がない。3 店・従業員 78 人の規模から約 1,100 台と推定し、売上 45.6 億円を割って 1 台あたり 415 万円(整備・保険の売上を含む)とした。利益はセグメント利益 0.45 億円。
楽器販売(ダブルリード)
子会社日本ダブルリードによる、ダブルリード楽器(オーボエ・ファゴットなど)の輸入・販売・修理。
| 数量年間の販売点数(楽器・リード・用品、推定) | 価格1 点あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 20,000 | 0.00 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 18,000 | 0.00 | 8 | 1 |
取り方:点数は開示がない。売上 6.6 億円を、消耗品のリードから高級楽器までの平均 3.3 万円で割り、約 2 万点と推定した。利益はセグメント利益 0.45 億円。
リスクと懸念
借り換えの金利上昇
純負債は 25 億円で、時価総額を超える。借り換えで金利が 3.5% に上がると、利払いは今の 5 倍近くになり、営業利益の伸びを食う。自己資本比率は 29% と低い。
本庄の再開発
帳簿 36 億円が再開発に固定されている。建築費が物価を超えて上がり、賃料が追いつかなければ、投資の採算が崩れ、減損の対象になる。
賃貸収入の集中
利益の大半が賃貸 1 つに集まる。大型テナントが撤退すれば、利益が大きく減り、借入の返済に響く。
ホンダの電動化と店舗再編
自動車は利益率が 1% と薄い。ホンダの販売体制の再編や電動化で整備の収益が変われば、3 店の採算が崩れる。利益は前年に半減した。
キャッシュフローの悪化
営業キャッシュフローは 1 億円と前年の 5 億円から激減し、投資は 4 億円を超えた。借入で賄う構造は、金利の上昇で続けにくくなる。
楽器の数量減
吹奏楽の人口は少子化で減る。ダブルリードは専門性が高いが、数量は緩やかに縮み、輸入価格の上昇も続く。
今後の分かれ目
- 本庄の再開発の最後の 1 棟が満室で開業したら
- 賃貸の面積が 15〜30% 増え、やや楽観の確率を上げる。ただし借入の増え方を同時に確かめる。
- 借入金の平均金利が 3% を超えたら
- 純利益の伸びは営業利益の伸びを下回る。やや悲観の確率を上げる。
- 賃貸等不動産の時価が簿価を大きく上回ると開示されたら
- 含み益を価値に足す余地が出て、悲観の床を引き上げる。
- 自動車販売のセグメント利益が赤字に転じたら
- 全社費の負担が重くなり、やや悲観に寄る。
- 買収や再編の提案が出たら
- 価格が不動産の時価に近ければ、事業の価値は評価されていない。
見ておくもの
- 借入金の残高と平均金利、営業キャッシュフロー
- 本庄ショッピングセンターの稼働率・開業時期
- 賃貸等不動産の時価の開示
- ホンダニュー埼玉のセグメント利益
倍率と資本コストの決め方
倍率は資本コスト 8.5%(基本 7.5% に、借金 +0.75%・循環 +0.25%・値決め +0.25%・寿命 +0.25%)と、事業の ROE(5% 台で k 未満)から、1÷k の 11.1 倍を上限に置いた。EV÷営業利益は今 16.7 倍で、20 倍を超えない。今の株価や同業の PER は見ていない。賃借料は営業費用に入れた形で 10 年後もそろえた。新リース会計基準は、店舗の賃借が小さいので価値には効かない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→11.76 倍・やや楽観 PER 9.5→11.76 倍・中立 PER 9→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。