結論
CAPITAは、東京・巣鴨に本社を置き、関東でガソリンスタンドを営み、ビルを貸す小さな会社だ。2026年からは銀行出身の社長のもとで、後継ぎのいない中小企業を買う事業を始めた。筆者の結論は「割高」で、一番の理由は、本業の稼ぎが本社の費用をやっと上回る程度しかないことだ。
2026年3月期は自転車の店とスタンドの一部を閉じ、古いビルを売った。最終の利益は売却益で黒字だが、営業損益は赤字だった。会社は今期の営業利益を3億円と見込むが、その多くは不動産の売買と買った会社の利益だ。
借金は増えた。売るための不動産と、関西のシニア向けの物件を借入で買い、純有利子負債は約18億円になった。大株主の桃の木が9月の公開買付けで持ち分を4割強に高め、会社の行方を握る。
累進の配当と手厚い優待で個人の株主を増やそうとしているが、それを支える利益はまだ細い。買収が次々に当たる筋書きでなければ、今の値段は正当化しにくい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「事業の中身が変わる途中にある、小さな持株会社」だ。燃料を売るスタンドは長い下り坂にあり、堀もない。賃貸の不動産は堅いが、規模は小さい。
価値を決めるのは、これから行う買収だ。後継ぎのいない会社を帳簿の値段で買い、経営はそのまま任せる。うまくいけば、手堅い会社を安く集める良い仕組みになる。だが買収の成否は、払う値段と買った後の規律にかかる。今はまだ1件の実績しかない。
株主への還元が利益より先に立つ点も気になる。累進の配当と手厚い優待は、利益が細い今は、資本を削って配る形に近い。筆者は、買収で増えた利益が数年続けて出るのを確かめるまで、今の値段に安全域は見ない。
もう一つは大株主だ。4割強を握る桃の木の狙いが見えない限り、少数株主は会社の行方を読みにくい。持ち主として長く付き合うには、見えない部分が多すぎる。
何で稼ぐ会社か
事業は3つに分かれる。2026年3月期の売上は、ガソリンスタンドを中心とする石油が約17億円、不動産が約2.7億円、新しく始めたファンドが0.2億円弱だった。不採算の自転車の店は閉じた。
石油はENEOS系のフルサービスのスタンドだ。店員が給油し、洗車や中古車の販売、外国の高級車の整備も請け負う。安さを求める客はセルフの店に行くので、この会社の客は、きめ細かいサービスを求める年配の人やタクシー・運送の会社が中心だ。スタンドの数は閉鎖で4拠点ほどに減った。
不動産は、巣鴨の本社ビルなど8物件ほどを貸す。社長は東京の古いビルを売り、利回りの高い関西の物件、特に元気な高齢者が住むホームに組み替える方針だ。運営は専門の会社に任せ、家賃だけを受け取る。2026年3月期には売るための不動産を5件買い、売買の利ざやも狙う。
ファンドは、2025年11月に株式交付で子会社にした大阪・茨木のバイオ・サイト・キャピタルが担う。研究施設の賃貸と投資を行う会社で、2026年4月には残りの株も買って完全子会社にすると決めた。社員は連結で23人だ。
優良さと弱いところ
強みは乏しい。ガソリンスタンドは、燃料の値段を元売りに決められ、近くのセルフの店と競う。フルサービスで年配の客をつかんでいるが、車の電動化と客の高齢化で燃料の量は細っていく。過去12年の営業利益率は高い年でも2.6%で、資本に対する稼ぎは中央値で2%弱だった。
不動産の賃料は安定しているが、物件は少なく、規模の強みはない。関西の物件の利回りは高いが、借入で買うので金利が上がれば利ざやは縮む。
新しい社長は銀行で長く財務を見てきた人で、資本の使い方を意識している。ただ、事業承継の買収で稼ぐ形はまだ1件の実績しかない。買った会社の値段と、その後の利益を見てからでないと、経営の目利きは評価できない。
資本の使い方には危うさもある。利益が細い今、累進の配当と手厚い優待を約束したのは、株主を増やして上場を保つための色合いが濃い。稼ぐ力より先に還元を約束する形は、長い目で見て株主のためになるとは限らない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ガソリンスタンドの市場は縮み続けている。国内のガソリンの販売量は、車の燃費の改善と電動化、人口の減少で、ピークから3割近く減った。スタンドの数も30年でほぼ半分になった。過疎地では閉鎖が続き、都市部ではセルフの大型店が客を集める。フルサービスの店は、整備や洗車などの燃料以外の稼ぎで生き残りを図っている。
不動産の賃貸は、金利の上昇が逆風だ。東京の物件の値段は高く、借入の金利を引くと利回りが残りにくい。関西は値段がまだ低く、訪日客と大阪の再開発を背景に需要が見込めるという見方がある。高齢者向けの住まいは、人口の高齢化で長く需要が続く。
事業承継の買収は、後継ぎのいない中小企業が多い日本では大きな市場だ。ただ、同じことを狙う投資ファンドや上場の買収会社も増え、良い会社の値段は上がっている。
筆者は、この会社の燃料の量は10年で3割減ると見る。不動産と買収で埋められるかどうかが、会社の行方を決める。
燃料の量の減少は、フルサービスの店ほど早く効く。整備や洗車の稼ぎで支えるにも、腕のある整備士の確保が壁になる。電気自動車の充電は、スタンドの稼ぎの代わりにはまだならない。
資本政策と M&A
配当は、利益の4割を目安とする方針から、減らさない累進の配当に変えた。2027年3月期の配当の総額は約0.8億円を予定する。優待も手厚く、3,000株以上で年10万ポイントを配る。株主数を約700人から1,500人に増やす目標を掲げる。優待の費用は開示がないが、年0.3億円前後とみる。
2026年7月に1株を2株に分けた。買収には株式交付で自己株を使い切り、今後は不動産の売却代金と借入を使う。自己資本比率は4割前後を目安にするという。
大株主は飲食店を営む桃の木で、2026年9月の公開買付けで第2位の株主から株を買い、4割強を持つ。上場は保つ方針だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社は生まれ変わろうとしている。不採算の自転車の店と一部のスタンドを閉じ、古いビルを売った。銀行で財務を見てきた社長が、資本の使い方を一から組み直している。今期は営業利益3億円と、過去に例のない水準を見込む。
事業承継の買収は大きな市場だ。後継ぎのいない黒字の中小企業は全国に数多くある。この会社は、オーナーが上場株と交換で会社を手放せる仕組みを持ち、社名も経営もそのまま残す。銀行の取引先の紹介で多くの相談が来ているという。1件目のバイオ・サイト・キャピタルは帳簿の値段で買い、業績は安定している。会社は2028年3月期に純利益6.7億円を目指す。
不動産も関西の利回り10%超の物件に組み替える。高齢者向けの住まいの需要は長く続く。累進の配当と優待で株主も増える。買収が数件当たれば、今の値段は安い。
スタンドの客とのつながりも、認知機能を測るアプリの販売など新しい商売の入口になる。大株主も上場を保つと明言している。
慎重な見方
今期の利益見通しの多くは、まだ形のない買収と不動産の売買に頼っている。本業のスタンドは燃料の量が細り続け、過去12年の営業利益率は最高でも2.6%だ。本社の費用は年2億円前後あり、本業の稼ぎをほぼ食ってしまう。
買収は1件しか実績がない。事業承継の会社は投資ファンドとの奪い合いで、良い会社ほど値段が上がる。自己株は使い切り、次からは借金で買う。金利が上がる中で借金を重ねれば、利払いが利益を削る。売るための不動産も借入で抱え、市況が冷えれば在庫と借金が残る。
還元も危うい。配当と優待で年1億円強を配るが、ならした利益はそれに届かない。資本を削って配る形は長く続かない。大株主の桃の木が4割強を握り、少数株主の声は届きにくい。今の値段は、構想が全て当たることを前提にしている。
新しい商売の芽はどれも小さく、本業の縮みを埋めるには時間がかかる。10年前と比べて、本業の稼ぐ力はほとんど変わっていない。構想の数だけが増えた。
どちらに重みを置いたか
社長の構想には筋が通っているが、実績が1件しかない買収に今の値段を預けるのは早いという指摘の方が強い。確率は悲観の側に寄せた。買収が当たる筋書きにも重みを置いたが、それでも本業の細さと本社の費用の重さを埋めるには足りない。買収した会社の利益が数年続けて出るのを確かめてから、楽観に重みを移しても遅くはない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 167 円14 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 127 円10 億円)。 今の値に割り戻すと 156 円13 億円、今との差 −59.3%、 期待の年率 −2.6%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 780 円64 億円 | 219 円18 億円 | +160.7% | +10.1% | 70 円6 億円 |
| やや楽観 | 18% | 257 円21 億円 | 170 円14 億円 | +11.5% | +1.1% | 77 円6 億円 |
| 中立 | 37% | 128 円11 億円 | 146 円12 億円 | −28.5% | −3.3% | 101 円8 億円 |
| やや悲観 | 23% | 61 円5 億円 | 85 円7 億円 | −61.9% | −9.2% | 34 円3 億円 |
| 悲観 | 15% | 36 円3 億円 | 49 円4 億円 | −77.8% | −14.0% | 13 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 167 円14 億円 | 127 円10 億円 | −23.1% | −2.6% | 294 円24 億円 |
今の株価時価総額 383 円31 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 事業承継の買収が次々に当たる 利益 5 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 780 円64 億円
銀行の紹介で、後継ぎのいない黒字の会社を帳簿の値段で次々に買う。傘下の会社は6社になり、売上は合わせて64億円近くになる。経営は元の社長に任せ、親会社は財務と統治だけを見る形が機能する。
不動産は関西の高利回りの物件に組み替わり、売買の利ざやも安定して出る。スタンドは燃料の量が2割減るが、整備と中古車で稼ぐ。借金は増えるが、利益の伸びが上回る。資本に対する稼ぎは15%前後に上がり、配当と優待も続く。
銀行出身の社長の財務の規律が効き、買収の値段を守る。会社は小さな事業承継の持株会社として、地方の銀行の取引先から良い会社を集める仕組みを確立する。
- 石油(ガソリンスタンド):数量 8,160(燃料の販売量(kL・年、推定))× 価格 0.00(1kLあたりの売上(億円・名目、燃料以外の売上を含む))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。量 0.8 倍・単価 1.34 倍・利益率 6%
- 不動産:数量 20.0(保有・売買する物件の数(件))× 価格 0.53(1件あたりの年の収入(賃料と売却の収入、億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 5 億円。20 件・1 件の収入 1.6 倍(賃料と売買)・利益率 45%
- ファンド・買収した会社:数量 6.0(傘下の会社の数(社))× 価格 8.00(1社あたりの売上(億円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 5 億円。6 社・1 社 8 億円・利益率 10%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.0% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍。全体の PER 13.96 倍、時価総額 64 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の2028年3月期の目標に近い姿が10年続く筋書き。買収の実績が1件しかないので7%。
やや楽観 18% 買収は数件当たり、本社の費用を埋める 利益 2 億円 · PER 11.5 倍 · 株価時価総額 257 円21 億円
事業承継の買収は数件にとどまるが、買った会社は安定して稼ぐ。傘下の会社は3社になる。不動産は関西の物件に組み替わり、賃料と売買で本社の費用を埋める。
スタンドは燃料の量が4分の3に減り、利益率は5%に落ちる。営業利益は今期の見込みを少し上回る程度だ。借入の利払いが利益を削り、資本に対する稼ぎは9%前後で、資本コストに届かない。配当は累進を保つが、増え方はゆっくりだ。
大株主の桃の木は上場を保ち、会社の方針を後押しする。株主の数は増えるが、利益の伸びはゆっくりで、値打ちは少しずつ積み上がる程度だ。
- 石油(ガソリンスタンド):数量 7,650(燃料の販売量(kL・年、推定))× 価格 0.00(1kLあたりの売上(億円・名目、燃料以外の売上を含む))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。量 0.75 倍・単価 1.34 倍・利益率 5%
- 不動産:数量 15.0(保有・売買する物件の数(件))× 価格 0.51(1件あたりの年の収入(賃料と売却の収入、億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 3 億円。15 件・1 件の収入 1.55 倍・利益率 45%
- ファンド・買収した会社:数量 3.0(傘下の会社の数(社))× 価格 6.00(1社あたりの売上(億円・名目))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。3 社・1 社 6 億円・利益率 8%
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.8% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.5 倍。全体の PER 11.48 倍、時価総額 21 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:買収が数件当たり、不動産の組み替えも進む筋書き。社長の財務の経験と銀行の紹介の流れはあるので18%。
中立 37% 買収は小さく、本社の費用が利益を食う 利益 1 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 128 円11 億円
スタンドは電動化と客の高齢化で燃料の量が3割減り、利益率も細る。不動産は関西の物件と売買で今の倍ほどの稼ぎになるが、借入の利払いも増える。買収は1社を足すにとどまり、大きな柱にはならない。
本社の費用は物価とともに膨らみ、事業の稼ぎの大半を食う。営業利益は2億円弱、純利益は1億円弱だ。累進の配当と優待で毎年1億円強を配り、利益を上回る分は自己資本を削る。資本に対する稼ぎは5%前後で、資本コストに遠い。
会社は倒れないが、新しい事業はどれも小さいまま、本業の縮みを埋めるのがやっとだ。大株主の意向で方針が変わる余地も残る。
- 石油(ガソリンスタンド):数量 7,140(燃料の販売量(kL・年、推定))× 価格 0.00(1kLあたりの売上(億円・名目、燃料以外の売上を含む))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。量 0.7 倍・単価 1.34 倍・利益率 4.5%
- 不動産:数量 12.0(保有・売買する物件の数(件))× 価格 0.50(1件あたりの年の収入(賃料と売却の収入、億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 3 億円。12 件・1 件の収入 1.5 倍(賃料 1.25 倍と売買)・利益率 45%
- ファンド・買収した会社:数量 2.0(傘下の会社の数(社))× 価格 4.00(1社あたりの売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。2 社・1 社 4 億円・利益率 8%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.1% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍。全体の PER 11.43 倍、時価総額 10 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:スタンドが細り、買収と不動産で穴を埋めるのがやっとという中心の筋書き。
やや悲観 23% 買収が止まり、不動産の売買で損が出る 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 61 円5 億円
買収は良い案件を投資ファンドに奪われ、止まる。金利の上昇で不動産の市況が冷え、売るための物件は値下げしないと売れない。スタンドは燃料の量が4割減り、利益はほぼ出ない。
営業損益は赤字に戻り、本社の費用を賄えない。累進の配当は数年で行き詰まり、優待も縮む。借金を返すために物件を手放し、会社は小さな賃貸と1つのスタンドに縮む。価値は、残った不動産から借金を返した残りのうち、株主に戻りうる分だけになる。
銀行出身の社長が去れば、買収の仕組みも止まる。上場を保つための費用が重くのしかかり、大株主の判断で会社の形がまた変わる。
- 石油(ガソリンスタンド):数量 6,000(燃料の販売量(kL・年、推定))× 価格 0.00(1kLあたりの売上(億円・名目、燃料以外の売上を含む))→ 売上 13 億円・営業利益 0 億円。量 0.6 倍・単価 1.25 倍・利益率 2%
- 不動産:数量 9.0(保有・売買する物件の数(件))× 価格 0.40(1件あたりの年の収入(賃料と売却の収入、億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。9 件・1 件の収入 1.2 倍・利益率 35%
- ファンド・買収した会社:数量 1.0(傘下の会社の数(社))× 価格 2.00(1社あたりの売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。1 社・収支とんとん
倍率:赤字なのでPERは当てない。価値は床の資産5億円で決まる。今の自己資本18.6億円に対して0.27倍。
確率:買収の実績が1件で、過去12年の営業利益率が最高2.6%の会社なので、やや悲観を厚くして23%。
悲観 15% スタンドが細り、借金の重さで資産を手放す 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 36 円3 億円
電動化が速く進み、スタンドの燃料の量は今の半分以下に落ちる。整備や洗車でも埋められず、スタンドは赤字になる。不動産は市況の崩れで値下がりし、借入で買った物件は売っても借金が残る。買った会社も業績が落ち、のれんを減らす。
本社の費用は重く、営業赤字が毎年続く。配当と優待は打ち切られ、会社は資産を切り売りして借金を返す。大株主の桃の木が会社の行方を決め、少数株主に戻る値打ちはわずかになる。
かつて地方のスタンドを売り、自転車の店を閉じたのと同じように、会社は縮みながら形を変えていく。株主の手取りはほとんど残らない。
- 石油(ガソリンスタンド):数量 4,500(燃料の販売量(kL・年、推定))× 価格 0.00(1kLあたりの売上(億円・名目、燃料以外の売上を含む))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。量 0.45 倍・単価 1.15 倍・赤字
- 不動産:数量 7.0(保有・売買する物件の数(件))× 価格 0.33(1件あたりの年の収入(賃料と売却の収入、億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。7 件・1 件の収入 据え置き・利益率 25%
- ファンド・買収した会社:数量 1.0(傘下の会社の数(社))× 価格 1.00(1社あたりの売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。1 社・赤字
倍率:赤字が続くのでPERは当てない。価値は床の資産3億円で決まる。今の自己資本18.6億円に対して0.16倍。
確率:燃料の量の構造的な減少と、借入で買った不動産の値下がりが重なる負け筋。過去に赤字の期が5回あるので15%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
石油(ガソリンスタンド)
ENEOS系のフルサービスのスタンドでの燃料の販売、洗車・中古車・整備などの燃料以外のサービス。
| 数量燃料の販売量(kL・年、推定) | 価格1kLあたりの売上(億円・名目、燃料以外の売上を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10,200 | 0.00 | 17 | 1 |
| 10 年後 中立 | 7,140 | 0.00 | 16 | 1 |
取り方:量は開示が無いので推定。石油の売上17.38億円を、燃料以外の売上も含めて1kLあたり17万円前後とみて約1万kLとした。
不動産
巣鴨の本社ビルなどの賃貸と、関西のシニア向け物件、売るための不動産の売買。
| 数量保有・売買する物件の数(件) | 価格1件あたりの年の収入(賃料と売却の収入、億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8.0 | 0.33 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 12.0 | 0.50 | 6 | 3 |
取り方:物件の数は会社の説明の賃貸8物件。不動産の売上2.653億円を物件の数で割った。2026年3月期に買った売るための不動産5件はまだ売上に入っていない。
ファンド・買収した会社
子会社のバイオ・サイト・キャピタル(研究施設の賃貸と投資)と、これから事業承継で買う会社。
| 数量傘下の会社の数(社) | 価格1社あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.0 | 0.16 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.0 | 4.00 | 8 | 1 |
取り方:2025年11月に子会社にしたバイオ・サイト・キャピタルの5か月分の売上だけが入っている。1年分の規模は開示が無い。
リスクと懸念
買収の失敗
事業承継の買収はまだ1件の実績しかない。投資ファンドとの奪い合いで高く買えば、のれんの減損と借金が残る。借入で買う形に移るので、失敗の傷は深くなる。
燃料の量の減少
車の電動化と燃費の改善、客の高齢化で、スタンドの燃料の量は構造的に減る。フルサービスの店は燃料以外で稼ぐ必要がある。
借入と金利
売るための不動産と関西の物件を借入で買い、純有利子負債は約18億円に増えた。金利が上がれば利払いが利益を削る。
利益を超える還元
累進の配当と手厚い優待で年1億円強を配るが、ならした利益はそれに届かない。利益が伸びなければ、資本を削って配ることになる。
大株主の支配
桃の木が公開買付けで持ち分を4割強に高めた。会社の行方は大株主の意向に左右され、少数株主の声は届きにくい。
今後の分かれ目
- 2件目以降の事業承継の買収を、帳簿の値段に近い値段で行ったら
- 買収の仕組みが再現できると見て、やや楽観に重みを移す。
- 2028年3月期に純利益6.7億円の目標に近づいたら
- 楽観の筋書きの確率を上げる。
- 売るための不動産を予定どおりの値段で売れたら
- 売買の利ざやが確かめられ、不動産の収入の見通しを上げる。
- 配当が利益を上回る年が続いたら
- 資本を削る還元と見て、やや悲観に近づける。
- 桃の木がさらに株を買い増したり、完全子会社化を提案したら
- 提案の値段しだいで、価値の見方を改める。
見ておくもの
- 買収した会社の数と払った値段
- 石油の売上と燃料以外の売上
- 販売用不動産と借入の残高
- 配当と優待の総額と純利益
- 大株主の持ち分の動き
倍率と資本コストの決め方
石油は燃料の量(推定)×1kLの売上、不動産は物件の数×1件の収入、ファンドは傘下の会社の数×1社の売上で積んだ。本社の費用は、2026年3月期の買収の一時費用を除いた年1.6億円前後を物価で1.34倍にした。ROEがkを上回る楽観は正当化PERの85%、下回る筋書きは1÷kの10.8倍を上限に置いた。優待は費用の開示がないので年0.3億円前後と推定し、還元に入れた。facts の株数1,644万株は分割の二重がけで、短信の発行済み411.1万株×2から自己株を引いた822万株で書いた。今の株価・PER・PBRは見ていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.85→13.96 倍・やや楽観 PER 9.2→11.48 倍・中立 PER 8.1→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 8.75%。