結論
きちりホールディングスは、「いしがまやハンバーグ」を軸に、国内で 138 店を直営する外食の会社だ。2026 年 6 月期の売上は 167 億円、営業利益は 6 億円。利益率は 3.8% と、外食としては平均的である。ほかに、外食のノウハウを生かした DX コンサル事業を持つ。
筆者の結論は、今の値段は大きな割高である。ブランドは育っているが、利益が薄く、家賃と人件費の固定費が重い。コロナ禍では、3 期連続の営業赤字で、自己資本が 8 億円まで細った。財務は回復したが、自己資本比率はまだ 29% にとどまる。
会社は 2027 年 6 月期に営業利益 8 億円、経常利益 7.5 億円への回復を見込む。それでも、10 年後の中立で純利益は 5 億円前後にとどまり、資本コストを大きく上回る成長は描きにくい。
大株主はエムティアンドアソシエイツで、持株比率は 3 割台半ば。資本コストは 8% と、外食の循環と固定費の重さを反映して高めに置いた。計算の総合は大きな割高に出た。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、きちりホールディングスは「育てている途中の薄利の会社」だ。ハンバーグという良い業態を持ち、DX 事業で利益の幅も広げている。だが、利益の厚さが足りない。外食は固定費が重く、一つ間違えると赤字に落ちる。コロナ禍がそれを示した。
筆者がいちばん気にするのは、利益の質と資本の薄さだ。自己資本 21 億円に対し、有利子負債は 30 億円と大きい。店を増やせば差入保証金と設備が増え、借入も増える。利益が出ても、成長に吸われやすい。
堀は、一つの業態の強さにあり、真似されると薄まる。価格を決める力は弱く、賃上げは利益に直結する。
安全域は無い。中立でも 10 年後の純利益は 5 億円前後で、今の時価総額を正当化するには足りない。この会社を持つなら、今より大幅に安い値段が条件になる。
何で稼ぐ会社か
事業の柱は飲食だ。2026 年 6 月末の国内直営は 138 店。いしがまやハンバーグが 41、Casual Dining KICHIRI が 27、野菜業態の VEGEGO が 24、新日本様式が 7、ちゃぶちゃぶやとん久などのその他が 39 ある。インドネシアでは、持分 51% の子会社がいしがまやハンバーグを営む。飲食の売上は 160 億円、営業利益は 4.6 億円で、利益率は 3% に届かない。
もう一つの柱が DX コンサルティングだ。外食の運営の仕組みをほかの会社に提供し、ふるさと納税の関連業務や採用の DX システム(ApplyNow、Interview Cloud)も手がける。売上は 7 億円弱と小さいが、営業利益は 1.7 億円と全社の 3 割近くを稼ぐ。2026 年 10 月には、地方創生の事業を新しい子会社に分ける。
従業員は連結で 702 人、臨時従業員が 1,200 人ほどいる。人手に頼る事業で、賃上げが利益に直結する。投資は 10 億円で、新店の工事費と差入保証金が中心。差入保証金は 10 億円と総資産の 14% を占め、退店の際に全額戻るとは限らない。
収益の構造は、客数 × 客単価から、食材・人件費・家賃を引く形だ。店は多くが賃借で、家賃は売上が落ちても減らない。
優良さと弱いところ
堀は、いしがまやハンバーグという「手ごろな価格で窯焼きを出す」業態の独自性と、多業態を同時に運営する力にある。店の数は 2 年で大きく増え、売上は 3 期連続で 1 割以上伸びた。DX 事業は外食の運営データを他社に売れるのが強みだ。
ただし堀は狭い。ハンバーグは、びっくりドンキーやさわやかなどの強い競合がいる。多業態の店は、立地と人材で勝負する面が大きく、価格を決める力は弱い。営業利益率は 2024 年 6 月期の 5.7% をピークに、直近は 3.8% に下がった。
資本効率は、ROE が直近 10.6% と悪くない。ただ自己資本が 21 億円と小さく、利益の一部の変動で大きく動く。自己資本比率は 29%、有利子負債は総資産の 4 割。コロナ禍の赤字で、債務が膨らんだ傷は残る。
経営は、配当性向 30% 以上を目標に掲げ、実績は 38%。新規出店を続けつつ還元する姿勢は評価できる。ただ、薄い利益で出店を急ぎ、閉店の費用が出る危うさは常にある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
外食は、人手不足と物価高の中で、二極化している。低価格で客数を確保する大手と、体験や専門性で単価を取る業態が伸びる。中間の居酒屋・ファミリー業態は、客数の戻りが鈍く苦しい。日本フードサービス協会の統計でも、外食の売上は名目では回復したが、客数は戻りきっていない。
コストは上がる。最低賃金は毎年上がり、パート・アルバイトの確保に時給を上げ続けるしかない。食材も、米・肉・乳製品が値上がりしている。値上げを通せる業態は利益を守れるが、通せない業態は利益を削られる。きちりは、ハンバーグのように値上げが通りやすい業態に寄せている。
関西と首都圏への集中は、災害には弱い。ただ、都市の中心部は人通りが戻っており、インバウンドの追い風も受ける。
数量は、人口減で国内の客数は目減りするが、新規出店で補う。外食は店の数を増やせば売上も増えるが、出店の質を落とすと利益が出ない。
分かれ目は 3 つだ。ハンバーグの出店を伸ばしながら、新店が採算に乗るか。賃上げを価格と省力化で吸収できるか。DX 事業が AI の波に耐えるか。
資本政策と M&A
還元は、配当性向 30% 以上が目標で、2026 年 6 月期は中間と期末の配当は合計 0.85 億円で、性向は 38% に当たる。自社株買いは無い。利益が小さいうちは、配当より出店に回るお金の方が多い。
株主優待は 6 月末と 12 月末の年 2 回、グループ店舗で使える金券(1 枚は千円台半ば)が贈られる。1,000 株以上で年 26 枚と厚い。費用は開示がなく、飲食の原価率を 3 割として年 0.3 億円と推定し、10 年分を還元に足した。
資金は、長期借入で 8 億円を借り、8 億円を返した。借入は 3.5% で借り換わり、利払いが増える。DX 事業を軸にした提携や、地方創生事業の新子会社の設立など、細かい組織の動きが続く。
大株主のエムティアンドアソシエイツが 3 割台半ばを持つ。TOB の話は無く、価値の数字には入れていない。純現金ではないので、余った現金は分けなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
いしがまやハンバーグは全国に出店する余地が大きい。41 店はまだ序の口で、ロードサイドと商業施設の両方で出せる。売上は 3 期連続で 1 割以上伸び、来期の営業利益は 8 億円、5 年後の目標は更に上にある。出店が軌道に乗れば、1 店当たりの本社費が薄まり、利益率は 5% を超える。
インドネシアなど海外の展開も、手ごろな価格の窯焼き料理で当たる可能性がある。DX 事業は外食の運営データを他社に売れるので、店舗に依存しない利益を積み上げる。ふるさと納税と採用 DX の需要は、地方創生の流れの中で伸びる。
物価上昇は、値上げが通る業態に有利だ。ハンバーグの客単価が上がっても、客数は落ちにくい。配当性向は 3 割以上が目標で、利益が増えれば配当も増える。優待も厚く、個人株主の下支えが効く。
赤字の期からの回復は早かった。2024 年 6 月期には営業利益率が 5.7% に達し、コロナ前の水準を取り戻している。来期の回復が見込みどおりなら、利益の伸びは続く。
慎重な見方
外食の利益は薄く、固定費が重い。家賃と人件費は売上が落ちても減らない。コロナ禍の営業赤字は、わずか 3 期で自己資本を 8 億円まで細らせた。次の不況や感染症で、同じことが起きうる。
賃上げは止まらず、食材も値上がりしている。値上げが通る間はいいが、客数が落ちれば価格競争に巻き込まれる。2026 年 6 月期は、売上が 11% 伸びたのに純利益は 28% 減った。出店費用と閉店損が効いた。経常利益は会社予想の 7 億円を 17% 下回っている。
ハンバーグは真似されやすい。強い競合がいる市場で、出店を急げば立地の質が落ちる。DX 事業は、AI エージェントで人月型の仕事が置き換わる流れの直撃を受ける。
自己資本は 21 億円と小さく、有利子負債は 30 億円。借入は 3.5% で借り換わり、利払いが増える。差入保証金 10 億円は、退店の際に全額戻るとは限らない。大株主の持株が厚い一方、少数株主に有利な動きになる保証はない。
どちらに重みを置いたか
ブランドの成長という強気の見方は、起こりうる。だが固定費の重さと利益の薄さ、賃上げという慎重な見方のほうが重い。確率は中立を中心に、楽観・やや楽観を 25%、やや悲観・悲観を 37% に置いた。中立でも純利益は 5 億円前後にとどまり、楽観でも今の時価総額を超える水準には届きにくい。総合は大きな割高になった。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 567 円64 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 123 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 346 円39 億円、今との差 −64.9%、 期待の年率 −3.5%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 1,588 円179 億円 | 230 円26 億円 | +84.3% | +6.3% | 91 円10 億円 |
| やや楽観 | 20% | 941 円106 億円 | 168 円19 億円 | +12.5% | +1.2% | 222 円25 億円 |
| 中立 | 38% | 665 円75 億円 | 142 円16 億円 | −18.2% | −2.0% | 306 円35 億円 |
| やや悲観 | 25% | 175 円20 億円 | 88 円10 億円 | −73.3% | −12.4% | 66 円7 億円 |
| 悲観 | 12% | 27 円3 億円 | 18 円2 億円 | −95.5% | −26.7% | 5 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 567 円64 億円 | 123 円14 億円 | −30.0% | −3.5% | 690 円78 億円 |
今の株価時価総額 986 円111 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 5% ハンバーグが全国に広がり、利益率が 5% に届く 利益 10 億円 · PER 17.1 倍 · 株価時価総額 1,588 円179 億円
いしがまやハンバーグが全国のロードサイドと商業施設に広がり、飲食の客数は 1.8 倍(実質)。インドネシアも当たる。客単価は物価並みの 1.37 倍。1 店当たりの本社費が薄まり、利益率は 5% に届く。DX 事業は AI の波を避けて契約を保つ。配当は利益に応じて増え、優待も続く。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし(10 年 1.41 倍)、家賃・本社費も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店は取得時の値段のまま、新しい店と改装の分だけ新しい値段で積んだ。償却は今の約 4 億円が10 年後に約 8 億円(出店が多く、既存店だけなら 4 億円のまま)。店の更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金と借入から出る。借入は 3.5% で借り換え、純利益に入れた。DX の事業は AI エージェントによる代替を織り込み、数量を下げた。優待の費用は利益から引かれ済みで、還元には受け取り分を足した。
- 飲食(国内直営):数量 10.3(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 38(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 396 億円・営業利益 20 億円。客数 1.80 倍(実質)・客単価 1.37 倍(名目、AI で値下げ圧力のため物価を下回る)・営業利益率 5.0%
- DX コンサルティング:数量 120(取引先・契約の数(件、推定))× 価格 7.71(1 件あたりの年間売上(百万円、推定))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。契約 1.00 倍(実質)・単価 1.34 倍(名目)・営業利益率 30%(AI エージェント代替を織り込む)
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.1 倍。全体の PER 17.08 倍、時価総額 176 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店・海外・DX が全部うまくいく必要があり、固定費の重い外食では確度が低い。
やや楽観 20% 出店が続き、利益率は 4% 台に乗る 利益 6 億円 · PER 16.3 倍 · 株価時価総額 941 円106 億円
出店が続き、飲食の客数は 1.35 倍(実質)。客単価は 1.36 倍。賃上げは値上げと省力化で吸収し、利益率は 4% 台に乗る。DX 事業は契約が 1 割ほど減るが、単価で保つ。配当は増える。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし(10 年 1.41 倍)、家賃・本社費も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店は取得時の値段のまま、新しい店と改装の分だけ新しい値段で積んだ。償却は今の約 4 億円が10 年後に約 6.5 億円(既存店だけなら 4 億円のまま)。店の更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金と借入から出る。借入は 3.5% で借り換え、純利益に入れた。DX の事業は AI エージェントによる代替を織り込み、数量を下げた。優待の費用は利益から引かれ済みで、還元には受け取り分を足した。
- 飲食(国内直営):数量 7.7(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 38(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 295 億円・営業利益 12 億円。客数 1.35 倍(実質)・客単価 1.36 倍(名目、AI で値下げ圧力のため物価を下回る)・営業利益率 4.0%
- DX コンサルティング:数量 102(取引先・契約の数(件、推定))× 価格 6.90(1 件あたりの年間売上(百万円、推定))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。契約 0.85 倍(実質)・単価 1.20 倍(名目)・営業利益率 27%(AI エージェント代替を織り込む)
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.0% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.3 倍。全体の PER 16.32 倍、時価総額 103 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店の延長線上にある現実的な上振れ。
中立 38% 中立:出店は緩やかに続き、利益率は 3% 台半ば 利益 5 億円 · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 665 円75 億円
出店は緩やかに続き、飲食の客数は 1.10 倍(実質)。客単価は物価並みの 1.34 倍。賃上げが人件費を 1.41 倍にし、利益率は 3.6% にとどまる。DX 事業は AI エージェントの代替で契約が 25% 減るが、利益率は保つ。純利益は 5 億円前後で、配当性向 3 割を保つ。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし(10 年 1.41 倍)、家賃・本社費も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店は取得時の値段のまま、新しい店と改装の分だけ新しい値段で積んだ。償却は今の約 4 億円が10 年後に約 5.5 億円(既存店だけなら 4 億円のまま)。店の更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金と借入から出る。借入は 3.5% で借り換え、純利益に入れた。DX の事業は AI エージェントによる代替を織り込み、数量を下げた。優待の費用は利益から引かれ済みで、還元には受け取り分を足した。
- 飲食(国内直営):数量 6.3(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 38(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 237 億円・営業利益 9 億円。客数 1.10 倍(実質)・客単価 1.34 倍(名目、AI で値下げ圧力のため物価を下回る)・営業利益率 3.6%
- DX コンサルティング:数量 90.0(取引先・契約の数(件、推定))× 価格 6.61(1 件あたりの年間売上(百万円、推定))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。契約 0.75 倍(実質)・単価 1.15 倍(名目)・営業利益率 25%(AI エージェント代替を織り込む)
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.3 倍。全体の PER 15.32 倍、時価総額 70 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店の鈍化と賃上げの一部吸収が中心という筋書き。
やや悲観 25% 賃上げと競争で利益率が 2% 台前半に落ちる 利益 2 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 175 円20 億円
競争と賃上げで客数は 1 割減る。客単価は 1.30 倍にとどまる。家賃と人件費は落ちず、利益率は 2.2% に下がる。閉店が増えて減損が出る。DX 事業は AI の代替で契約が 4 割減る。配当は据え置きで、優待は縮む。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし(10 年 1.41 倍)、家賃・本社費も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店は取得時の値段のまま、新しい店と改装の分だけ新しい値段で積んだ。償却は今の約 4 億円が10 年後に約 4.5 億円(既存店だけなら 4 億円のまま)。店の更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金と借入から出る。借入は 3.5% で借り換え、純利益に入れた。DX の事業は AI エージェントによる代替を織り込み、数量を下げた。優待の費用は利益から引かれ済みで、還元には受け取り分を足した。
- 飲食(国内直営):数量 5.2(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 36(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 188 億円・営業利益 4 億円。客数 0.90 倍(実質)・客単価 1.30 倍(名目、AI で値下げ圧力のため物価を下回る)・営業利益率 2.2%
- DX コンサルティング:数量 72.0(取引先・契約の数(件、推定))× 価格 6.04(1 件あたりの年間売上(百万円、推定))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。契約 0.60 倍(実質)・単価 1.05 倍(名目)・営業利益率 20%(AI エージェント代替を織り込む)
倍率:ROE 6%。k 8% 以下で、ためた利益の価値は 1 を下回るため、PER の上限は 1÷k = 11.4 倍。賃上げと固定費の重さを見て、上限の 6.1 割に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 7 倍・時価総額 15 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:賃上げと固定費の重さで利益が薄くなる流れの延長。外食では起きやすい。
悲観 12% 固定費の重さで赤字が続き、事業が縮む 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 27 円3 億円
不況と賃上げが重なり、客数は 35% 減る。客単価は 1.25 倍にとどまる。家賃と人件費は落ちず、営業赤字が続く。閉店と減損が積み上がり、自己資本は 5 億円まで細る。配当は無配になり、優待は廃止される。DX 事業は AI の代替で半分以下に縮む。値打ちは、一部の事業の売却価値と差入保証金の回収までになる。
(名目の前提)客単価は名目、客数は実質で置いた。人件費は物価(1.34 倍)より速く年 3.5% で上がるとし(10 年 1.41 倍)、家賃・本社費も物価で増やした。減価償却は物価で増やさず、今ある店は取得時の値段のまま、新しい店と改装の分だけ新しい値段で積んだ。償却は今の約 4 億円が10 年後に約 3 億円(閉店で減る)。店の更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、償却を超える分は現金と借入から出る。借入は 3.5% で借り換え、純利益に入れた。DX の事業は AI エージェントによる代替を織り込み、数量を下げた。優待の費用は利益から引かれ済みで、還元には受け取り分を足した。
- 飲食(国内直営):数量 3.7(年間の来店客数(百万人、推定))× 価格 35(客単価(百円 / 人、推定))→ 売上 130 億円・営業利益 −3 億円。客数 0.65 倍(実質)・客単価 1.25 倍(名目、AI で値下げ圧力のため物価を下回る)・営業利益率 -2.0%
- DX コンサルティング:数量 54.0(取引先・契約の数(件、推定))× 価格 5.75(1 件あたりの年間売上(百万円、推定))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。契約 0.45 倍(実質)・単価 1.00 倍(名目)・営業利益率 10%(AI エージェント代替を織り込む)
倍率:営業赤字で稼ぐ力はない。DX 事業の売却価値と差入保証金の回収分から、純有利子負債を引いた残りを時価総額に置いた。今の自己資本 21 億円に対する PBR は 0.14 倍。家賃は固定の約束で、少数株主は退店の判断ができないため、自己資本を大きく下回ってよい。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.143 倍・時価総額 3 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:外食は不況・感染症・賃上げで赤字に落ちやすく、実際にコロナ禍で 3 期連続の営業赤字になった。自己資本が小さく、起きたら戻りにくい。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
飲食(国内直営)
いしがまやハンバーグ・KICHIRI・VEGEGO など国内 138 店の直営と、インドネシアの子会社。
| 数量年間の来店客数(百万人、推定) | 価格客単価(百円 / 人、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 5.7 | 28 | 160 | 5 |
| 10 年後 中立 | 6.3 | 38 | 237 | 9 |
取り方:飲食の売上 160 億円を、客単価 2 千円台後半(開示なし、ハンバーグと居酒屋業態の平均として推定)で割った来店客数。数量は推定である。
DX コンサルティング
外食運営の仕組みの提供、ふるさと納税関連の業務、採用 DX システムの開発と提供。
| 数量取引先・契約の数(件、推定) | 価格1 件あたりの年間売上(百万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 120 | 5.75 | 7 | 2 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 6.61 | 6 | 2 |
取り方:売上 6.9 億円を、契約 120 件(開示なし、推定)で割った。人月で売る仕事と、席・ID 課金の SaaS が混ざる。AI エージェント代替の型は、両者の間で置く。価格は、エージェントが画面を飛ばして値下げ圧力になるため、中立で物価を下回る 1.15 倍に置く。
リスクと懸念
固定費の重さと赤字への転落
家賃と人件費は売上が落ちても減らない。コロナ禍は 3 期連続の営業赤字で、自己資本を 8 億円まで細らせた。次の不況や感染症でも同じことが起きうる。自己資本は今も 21 億円と薄い。
賃上げと人手不足
連結の従業員 702 人に対し、臨時従業員が 1,200 人ほどいる。最低賃金の上昇が利益に直結する。値上げを通せなければ、利益率は 3% を割る。
出店の失敗と差入保証金
薄い利益で出店を続けると、新店が採算に乗らない時に閉店損と減損が出る。差入保証金 10 億円は総資産の 14% を占め、退店の際に全額戻るとは限らない。
借入と金利
有利子負債は総資産の 4 割。借入は 3.5% で借り換わり、利払いが増える。営業利益が薄いと、金利の上昇が純利益を直撃する。
DX 事業と AI エージェント代替
DX コンサルは営業利益の 3 割近くを稼ぐ。人月で売る仕事と、席課金の SaaS が混ざる。AI エージェントが置き換える領域で、数量は縮むと見て中立で 25% 減を置いた。
業態の模倣と集中
ハンバーグは真似されやすい。関西と首都圏への集中は、災害にも弱い。ブランドが飽きられれば、出店の効果が薄まる。
大株主の持株
エムティアンドアソシエイツが 3 割台半ばを持つ。株主の判断が少数株主と違う方向に動く可能性は否定できない。TOB の話は無い。
今後の分かれ目
- いしがまやハンバーグの出店が 100 店を超え、利益率が上がったら
- 出店の採算を評価し、楽観・やや楽観に確率を寄せる。
- 営業利益率が 5% を超える期が続いたら
- 本社費の薄まりを評価し、中立の利益率を引き上げる。
- 新店の閉店・減損が 2 期続けて出たら
- 出店の質の前提を下げ、やや悲観に寄せる。
- 景気後退で既存店の客数が 1 割以上落ちたら
- 固定費の重さから、悲観側に確率を寄せる。
- DX 事業が AI を使った新サービスで売上を伸ばしたら
- AI 代替の前提を見直し、DX の数量を上方に直す。
- 大株主が持株を売却する、または公開買付けが発表されたら
- 少数株主の取り分を、提示された条件と企業価値で見直す。
見ておくもの
- 月次の既存店売上と客数、客単価
- いしがまやハンバーグの出店数と新店の採算
- 人件費率・食材費率・家賃比率
- 閉店損と減損損失
- 差入保証金と有利子負債の水準
- DX 事業の売上と営業利益
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 111 億円や PER 約 50 倍には寄せていない。客数・客単価と部門ごとの利益率から利益を積み、倍率は式で置いた。中立は ROE 10% が k 8% を上回るので、RONIC を薄めた正当化 PER の上限 12.3 倍の 9.3 割。やや悲観は ROE が k 以下なので上限 1÷k = 11.4 倍の 6.1 割。純有利子負債は正で余った現金は無いので、現金の足し算はしない。優待は年 0.3 億円と推定して還元に足した。新リース会計基準は 2027 年 6 月期以降に適用される可能性があるが、10 年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。減価償却は物価で増やしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.5→17.08 倍・やや楽観 PER 12.5→16.32 倍・中立 PER 11.5→15.32 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality +1.25%(循環 +0.5・値決め力 +0.25・借金 +0.25・寿命 +0.25)= 8.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.00%。