結論
まんだらけは、漫画、アニメ、ホビーの中古品を買い取り、店頭、通販、オークションで売る会社だ。2025年9月期は売上152億円、営業利益18億円。2026年9月期は第3四半期までで営業利益が4割増え、通期予想は営業利益21億円である。
筆者の結論は、いまの値段はやや高めに見るというものだ。稼ぐ力は本物で、買い取りの目利きと希少品の在庫は他社に真似しにくい。ただ、売上を伸ばすには在庫を積み増す必要があり、利益のかなりが在庫に消える。自己資本利益率は10年の中央値で7%弱にとどまる。
時価総額130億円に対し、在庫だけで120億円ある。在庫は市況で値がつく資産だが、売れるまでに時間がかかる。外国人客と海外通販が伸びる余地は大きい。ただし2025年の人件費と退職慰労引当の負担で、利益率の天井は見えた。
筆者が一番見たいのは、在庫を増やさずに売上が伸びるかどうかだ。創業者の古川益蔵氏が3割強を持つ。余った現金は出にくいと見て、還元の戻り方は低く置いた。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、見るべき点は在庫の質と回転だ。在庫は121億円あり、時価総額の9割に近い。在庫の値が下がれば、自己資本は目減りする。希少品は値が上がるが、売れ筋でない品は値が上がらない。
数字で見ると、過去10年の自己資本利益率は、2%から14%の間で、中央値は7%弱だ。資本コストを少し下回る年が多い。近年は13%台まで上がったが、人気の波に乗った面がある。
オーナー利益は、純利益から在庫の増加を引いて見る。2025年9月期の純利益は11億円、在庫は10億円増えた。つまり利益のほとんどが在庫に消え、株主に出せる現金は限られる。
安全域は、在庫と土地・建物に実体がある点だ。倒産の恐れは小さい。ただ、割安と言えるほどではない。
筆者は、事業の質を認めつつ、成長に必要な資本が重く、いまの値段は妥当からやや高めと見る。利益率が高い期間が長く続くなら、見方は変わる。
何で稼ぐ会社か
事業は、中古の漫画、同人誌、フィギュア、ゲーム、アニメグッズ、トレーディングカードなどの買い取りと販売だ。店舗は東京の中野ブロードウェイを中心に、全国で運営する。店頭に加え、通販サイトのまんだらけSAHRAと、年に6回のWebオークションで、世界に売る。
売上は2025年9月期で152億円。国内が127億円、海外が24億円で、海外は16%を占める。粗利率は56%と高い。希少な古書やフィギュアは、買い取りの値と売りの値の差が大きいからだ。販売費は人件費と賃借料が中心で、2025年9月期の賃借料は6.5億円である。
商品は買い取った品そのもので、在庫は2026年6月末で121億円ある。総資産の6割にあたる。回転は遅く、売上原価で割ると1年半以上かかる。その代わり、希少品は時間とともに値が上がることがある。
従業員は420人、臨時の雇用者は500人を超える。単一の事業で、セグメントの開示はない。上場以来の黒字が続く。自己資本比率は64%で、借入は短期24億円と長期26億円、合わせて50億円ほどだ。
優良さと弱いところ
この会社の強みは二つある。一つ目は、買い取りの目利きと、広い売り先を持つことだ。希少な品をいくらで買えば、いくらで売れるかを知っており、買い手が世界中にいる。二つ目は、店舗に集まる客が、仕入れの窓口にもなることだ。売る人と買う人が同じ場所に来る。
堀としては、中程度だ。メルカリやヤフオクのような個人間の売買は、手数料が安く、品の種類が広い。ブックオフや駿河屋は規模が大きい。まんだらけが守っているのは、希少品の真贋と値付けの信用である。
財務は安定している。自己資本比率は64%、営業利益は支払利息の35倍ほどある。ただし運転資金の中身が在庫で、売れなければ現金にならない。
経営は創業家の色が濃い。古川益蔵氏が3割強を持ち、方針を決める。2025年9月期には役員退職慰労金の規程を作り、2億円を一度に費用にした。株主還元は配当と株主優待、小さな自社株買いで、利益の2割に満たない。資本配分は、在庫と店舗への投資を優先している。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
中古の漫画・ホビー市場は、アニメと漫画の世界的な人気に支えられている。日本のコンテンツは、海外で見られる機会が増え、収集の需要が広がった。円安と訪日客の増加は、店頭と通販の両方で売上を押し上げた。
国内の需要は人口で決まる。収集家の年齢は高く、新しい世代がどれだけ入るかが数量を左右する。一方で、希少品の値は、新品の供給が止まっているため、時間とともに上がる傾向がある。
競合は、ブックオフ、駿河屋、個人間取引のメルカリ、ヤフオクだ。ブックオフは大衆向けの規模で先行し、駿河屋は通販の品揃えで強い。まんだらけは希少品と専門性で住み分けている。
人手不足と最低賃金の上昇は、店舗の費用を押し上げる。中古品の買い取りは対面の目利きが必要で、自動化しにくい。賃借料も、観光地の中野周辺では上がりやすい。
中古品の流通は、2020年代に拡大した。環境意識の高まりと、物価高による節約志向が追い風になった。この追い風が、10年続くとは限らない。
通販の比重が高まるほど、物流と梱包の費用も重くなる。新品の供給が止まった古い作品ほど、買い取りの値が上がりやすい。
資本政策と M&A
配当は年にごくわずかで、2026年9月期も同額の予想だ。株主優待もあり、引当金の繰入は2025年9月期で0.6億円。配当と優待を合わせても、純利益の1割に満たない。
自社株買いは、2026年5月に43万株、1.5億円を実施した。自己株式は421万株に増えた。規模は小さいが、継続の意思を示した。
投資は、店舗の改装と新設、倉庫、システムに向けている。建設仮勘定が増え、有形固定資産は2026年6月末で58億円に増えた。
借入は、短期24億円、長期26億円。利払いは年に0.7億円と軽い。
現預金は6億円しかなく、純有利子負債は44億円ある。余った現金は存在しない。
M&Aは、近年は見当たらない。TOBや非公開化の発表はない。創業者が3割強を持つため、買収は難しい。ただし、創業者個人の意向で動く可能性は、10年なら無視できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
希少品の中古では、他社に真似できない目利きと買い手の広さがある。海外の客が伸びており、国内の約6分の1しかない海外売上は、10年で数倍になる余地がある。アニメと漫画の人気は、世代を超えて続く。
2026年9月期は第3四半期までで営業利益が41%増え、利益率は15%に近づいた。売上が増える割に、固定費が増えにくい。
在庫は、時間とともに値が上がる資産でもある。帳簿は買い取り原価だが、売れる値はそれより高い。実質の自己資本は、帳簿より厚い。
希少品の仕入れは、閉店する古書店や遺品整理など、個人からの買い取りが中心だ。この窓口を全国に持つ会社は少ない。
店舗は買い取りの場であり、売り場であり、客の声を集める場でもある。海外の客も、この信用を頼りに通販で買う。
創業者の経営は、短期の数字より、買い取りと品揃えを重視してきた。その積み重ねが、他社に追いつかれない差になっている。借入が軽いので、成長のための在庫を自力で積める。
慎重な見方
売上を増やすには、在庫を増やすしかなく、増えた利益は在庫に消える。在庫121億円は回転が遅く、現金にならない。自己資本利益率は、中央値で7%弱にとどまる。
2026年の利益率は、人気の波に乗った一時的な高さだ。過去には、営業利益率が3%に落ちた年もある。2025年は人件費が増えて、利益が減った。
競合の個人間取引は、手数料が安く、品揃えが広い。収集家の年齢は高く、新しい世代の入りが遅れれば、数量は減る。
株主還元は小さく、創業者が支配するため、余った現金が株主に戻る保証もない。海外の伸びも、円安に頼った面がある。為替と訪日客の動向は会社が制御できず、人気作品の入れ替わりも読みにくい。
在庫の評価損は、数年遅れて出ることが多い。人気が冷えてから気づいても、すでに在庫は積み上がっている。
創業者が3割強を持つため、少数株主の声は経営に届きにくい。役員退職慰労金の規程も、2025年に突然作られた。円高に戻れば、海外客の購買力は下がる。
中野の店舗は賃借料が高く、観光客が減れば固定費が重くのしかかる。
どちらに重みを置いたか
どちらにも根拠がある。強気の見方が言う目利きと海外の伸びは実在し、慎重な見方が言う在庫の重さと利益率の波も実在する。
筆者は、海外は伸びるが、国内の数量は横ばいと見て、利益率は直近の高さから少し戻る形を中立に置いた。ただ、在庫に資本が寝るため、倍率は資本コストを下回る自己資本利益率の式で決めた。
なお、確率は中立を最も厚く置き、人気の波が引く側にやや多く振った。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 815 円261 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 76 円24 億円)。 今の値に割り戻すと 458 円146 億円、今との差 +11.2%、 期待の年率 +8.0%(資本コスト 7.2%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,456 円465 億円 | 118 円38 億円 | +282.0% | +14.3% | 157 円50 億円 |
| やや楽観 | 25% | 1,072 円343 億円 | 89 円28 億円 | +181.8% | +10.9% | 290 円93 億円 |
| 中立 | 33% | 882 円282 億円 | 74 円24 億円 | +132.2% | +8.8% | 316 円101 億円 |
| やや悲観 | 22% | 429 円137 億円 | 60 円19 億円 | +18.7% | +1.7% | 108 円34 億円 |
| 悲観 | 10% | 159 円51 億円 | 40 円13 億円 | −51.7% | −7.0% | 20 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 815 円261 億円 | 76 円24 億円 | +116.2% | +8.0% | 891 円285 億円 |
今の株価時価総額 412 円132 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 10% 海外が柱に育ち、目利きで高い利益率を保つ 利益 28 億円 · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 1,456 円465 億円
海外の収集家が増え、通販とオークションで売上が伸びる。海外の販売点数は10年で2.5倍、価格は希少品の比率が上がり1.4倍になる。
国内は店頭の来客が保たれ、点数は1割増える。価格は今の1.4倍。売上は国内196億円、海外89億円で、合計は285億円ほどになる。営業利益率は国内13.5%、海外15%で、直近の最高に近い。固定費の増えが売上の伸びより小さいからだ。
在庫は売上に比例して増えるが、利益で自力でまかなえる。借入は返し終え、現金を持つ形になる。配当は増えるが、創業者の方針で急には増えない。
- 国内(店頭・国内通販):数量 462(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 4,248(1点あたり平均売上(円・名目))→ 売上 196 億円・営業利益 26 億円
- 海外(海外通販・海外客):数量 150(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 5,694(1点あたり平均売上(円・名目))→ 売上 85 億円・営業利益 13 億円
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.1 倍。全体の PER 16.14 倍、時価総額 452 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:海外の売上が国内の4割に迫り、在庫の回転も上がる姿。直近の高い利益率が続くには人気の波が必要で、1割にとどめた。
やや楽観 25% 海外が伸び、利益率は直近の高さを保つ 利益 22 億円 · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 1,072 円343 億円
海外の販売点数は10年で2.2倍、価格は今の1.37倍。国内は点数が5%増え、価格は1.34倍になる。
売上は国内179億円、海外76億円で、合計は255億円ほど。営業利益率は国内12.5%、海外14%で、直近の水準よりは少し低い。人件費と賃借料の増加を、粗利の高さで吸収する姿だ。
在庫も売上と一緒に増え、利益の多くがそこに回る。配当と優待は小さく、自社株買いは小さな規模で続く。
創業者の持ち分は3割強で保たれ、経営の方針は変わらない。借入は少しずつ減り、純有利子負債は10年のうちに解消へ向かう。
- 国内(店頭・国内通販):数量 441(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 4,066(1点あたり平均売上(円・名目))→ 売上 179 億円・営業利益 22 億円
- 海外(海外通販・海外客):数量 132(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 5,570(1点あたり平均売上(円・名目))→ 売上 74 億円・営業利益 10 億円
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.9%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.1 倍。全体の PER 15.06 倍、時価総額 324 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:海外が2.2倍、国内はほぼ横ばいで、営業利益率が13%近くを保つ姿。
中立 33% 海外は伸びるが国内は横ばいで、利益率は少し戻る 利益 18 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 882 円282 億円
国内は人口の減少を、アニメと漫画の人気が補い、販売点数は横ばい。価格は今の1.34倍になる。海外は円安と訪日客が支え、点数は1.8倍に増え、価格は1.34倍。
売上は国内171億円、海外58億円で、合計は229億円ほど。営業利益率は国内11.5%、海外13%と、直近の最高から少し戻る。2025年9月期の11.8%と同じような水準だ。人件費の上昇と賃借料の増加が、粗利の改善を食う。
在庫は売上と一緒に増え、利益の大半がそこに回る。そのため自己資本は積み上がるが、利益率はほとんど上がらない。
借入は返済が進み、金利の上昇による利払いの増えも小さい。配当と優待は小さく、自社株買いも少しずつ続く。創業者の方針は変わらず、還元は低いまま積み上がる。
- 国内(店頭・国内通販):数量 420(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 4,066(1点あたり平均売上(円・名目))→ 売上 171 億円・営業利益 20 億円
- 海外(海外通販・海外客):数量 108(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 5,450(1点あたり平均売上(円・名目))→ 売上 59 億円・営業利益 8 億円
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍。全体の PER 14.39 倍、時価総額 256 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の数量は横ばい、海外は2倍弱、利益率は直近の高さから少し戻る姿。
やや悲観 22% 人気の波が引き、利益率が元の水準に戻る 利益 12 億円 · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 429 円137 億円
アニメと漫画の人気が一巡し、国内の販売点数は7%減る。価格の転嫁も進まず、今の1.28倍にとどまる。海外は円高と競合の増加で、点数は1.3倍にとどまる。
売上は国内152億円、海外42億円で、合計は194億円ほど。営業利益率は国内9%、海外10%で、2022年9月期より少し高い程度だ。人件費の上昇は残り、固定費が重くなる。
在庫は積み上がるが、回転が落ちて評価損が出始める。配当と優待は据え置き、自社株買いは止まる。
人件費の上昇は避けられず、固定費の負担が利益率をさらに押し下げる。中野の店舗の賃借料も下がらず、店舗網の縮小は慎重に進める。
- 国内(店頭・国内通販):数量 390(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 3,900(1点あたり平均売上(円・名目))→ 売上 152 億円・営業利益 14 億円
- 海外(海外通販・海外客):数量 78.0(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 5,100(1点あたり平均売上(円・名目))→ 売上 40 億円・営業利益 4 億円
倍率:事業のROEは資本コストを大きく下回る。式のPERは1÷kが上限で、悲観側のため上限の7.5割に置いた。
確率:2020年代の追い風が一巡し、営業利益率が過去の中央値に近い9%台に戻る姿。
悲観 10% 人気が冷え、在庫の評価損と利益率の低下が重なる 利益 3 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 159 円51 億円
収集家の高齢化と個人間取引の拡大で、国内の販売点数は25%減る。価格も転嫁できず、今の1.2倍にとどまる。海外も円高で点数が減る。
売上は国内110億円、海外23億円で、合計は133億円ほど。営業利益率は国内4%、海外2%で、2020年9月期の3%に近い。固定費の重い店舗と人件費で利益が消える。
在庫は回転せず、評価損が出る。借入は返済が進まない。会社は黒字を保って存続するが、値段は稼ぐ力ではなく、売れる資産から負債を引いた水準で決まる。
配当は小さいまま据え置かれ、自社株買いは止まる。創業者の持ち分が大きいため、会社は急な売却には動かない。
- 国内(店頭・国内通販):数量 315(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 3,650(1点あたり平均売上(円・名目))→ 売上 115 億円・営業利益 5 億円
- 海外(海外通販・海外客):数量 50.0(年間の販売点数(万点、推定))× 価格 4,600(1点あたり平均売上(円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円
倍率:稼ぐ力が弱く、PBRで置く。今の自己資本129億円に0.43を掛けた(売れる資産から負債を引いた床の約55億円)。
確率:収集の世代交代が進まず、個人間取引に客を奪われる姿。確率は1割と置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内(店頭・国内通販)
漫画、ホビー、ゲーム、カードなどの中古品の国内での店頭販売と通販。
| 数量年間の販売点数(万点、推定) | 価格1点あたり平均売上(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 420 | 3,034 | 127 | 15 |
| 10 年後 中立 | 420 | 4,066 | 171 | 20 |
取り方:国内売上127.4億円は2025年9月期の有価証券報告書の地域別売上。販売点数は開示がなく、古書は数千円、フィギュアやカードは一万円を超えることから平均売上を3千台(円)と仮定した逆算の推定。営業利益は会社全体の利益率11.8%より少し低い11.5%と置いた推定。
海外(海外通販・海外客)
世界のお客様への通販とオークション。
| 数量年間の販売点数(万点、推定) | 価格1点あたり平均売上(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 60.0 | 4,067 | 24 | 3 |
| 10 年後 中立 | 108 | 5,450 | 59 | 8 |
取り方:海外売上24.4億円は2025年9月期の有価証券報告書の地域別売上。海外は希少品や高額品の比率が高いと見て、1点あたりを国内より高い4千台(円)と仮定した推定。営業利益は国内より高い13.4%と置いた(合計が17.9億円になる)。
リスクと懸念
在庫の積み増しによる資本の拘束
売上を伸ばすには在庫を増やすしかなく、2026年6月末の在庫は121億円と総資産の6割を占める。在庫の評価が下がれば自己資本が減り、売れなければ現金にならない。
利益率の波
営業利益率は2020年9月期に3%まで落ち、2023年9月期から13〜15%に上がった。人気の波と円安が重なった面があり、戻りがあれば利益は大きく減る。
個人間取引との競争
メルカリやヤフオクは手数料が安く、品の種類が広い。希少品でない中価格帯の品は、価格で負けやすい。
人件費と賃借料の上昇
最低賃金の上昇と人手不足で、人件費は増えている。2025年9月期は販売費が6億円増えた。中野周辺の賃借料も上がりやすい。
収集家の世代交代
収集家の年齢は高く、新しい世代の入りが遅れれば、国内の数量が減る。
創業者への依存と還元の低さ
創業者の古川益蔵氏が3割強を持ち、方針が個人に寄る。配当はごくわずかで、余った現金が戻る保証はない。
今後の分かれ目
- 在庫の増加が売上の増加を下回り、営業利益率が13%以上を保ったら
- 在庫を増やさず売上が伸びている証拠。楽観・やや楽観の確率を上げる。
- 海外売上が国内の4分の1を超えたら
- 海外が柱に育った。海外の数量の伸びを上げ、中立の売上を見直す。
- 営業利益率が10%を下回る期が続いたら
- 人気の波が引いた。やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 配当や自社株買いが利益の3割を超えて拡大したら
- 余った現金が戻り始めたということ。還元の戻り方を見直す。
- 創業家による非公開化や大口の売却が出たら
- 株主構成が変わる。価格と条件で評価をやり直す。
見ておくもの
- 四半期ごとの営業利益率
- 在庫の増加額と売上の増加額の比較
- 海外売上の比率
- 販売費の増加(人件費・賃借料)
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。自己資本利益率が資本コストを下回るため、正当化PERは1÷kが上限になる。市場のPERが今期予想で9倍台に見えることは根拠にしていない。賃借料は営業費用に入っており、新リース会計は2028年ごろの適用予定で、10年後の数字は今の家賃を営業費用に入れた形でそろえた。株主優待は引当金の繰入を還元に含めた。役員退職慰労の2億円は一度きりの費用で、純利益の起点に入れた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.4→16.14 倍・やや楽観 PER 10→15.06 倍・中立 PER 10→14.39 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。