結論
ヴィレッジヴァンガードは「遊べる本屋」を掲げ、本と雑貨、菓子、CDを一緒に並べる店を全国に約230店持つ。筆者の結論は「割高」で、一番の理由は普通株の前に借金と優先株が重く並んでいることにある。
2026年5月期は不採算の61店を閉じ、仕入れと販管費を絞って、営業利益9億円と3期ぶりの黒字に戻った。だが会社自身は今期の営業利益を5億円と見込む。過去12年で営業利益率が4%を超えた年はない。
財務はまだ傷んでいる。有利子負債は約105億円で、純負債は自己資本の2倍を超える。借入の財務制限条項にも2期続けて抵触した。日本政策投資銀行が持つ15億円の優先株は、普通株より先に配当と残余財産を受け取る。
株主への戻しは、ほぼ株主優待の買物券だけだ。筆者はその値打ちを還元に数えた。それでも、普通株に残る価値は今の時価総額を大きく下回る。立て直しが続いて借入が減るまでは、普通株は事業の価値より借金と優先株の重さで決まる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「好きな客はいるが、株主のための器になっていない」に入る。店の個性と熱心な客は本物の資産だ。だが、その資産から生まれる利益は家賃と利払いに先に取られ、残りも優先株が先に受け取る。
持ち主の目で見ると、10年後も店は続いている可能性は高い。ただ、事業を守るための借入と優先株、転換社債が重なり、普通株の株主の取り分は細い。借金の重い会社は、売上が1割落ちるだけで株主の価値が消える。安全域の考え方と最も相性が悪い形だ。
優待の買物券は、店の常連の株主には配当以上の値打ちがある。筆者もその値打ちは数えた。それでも、今の値段は事業の利益と優待の値打ちを合わせた価値を上回る。立て直しの成果が数年続き、借入が減ってから考えるべき会社だと筆者は見る。優先株と転換社債の扱いが決まるまでは、普通株の取り分そのものが読めない。
何で稼ぐ会社か
店は本屋の形をした雑貨店だ。売上の多くは雑貨(会社は「SPICE」と呼ぶ)で、本やCD・DVD、アパレルが加わる。ショッピングモールの中の店が多く、若い客が手に取って遊べる売り場づくりが持ち味だ。アニメや漫画の作品と組んだ限定の商品や、通販での受注販売も増やしている。
2026年5月期末の店は232店で、直営が230店だ。この1年で1店を出し、直営61店とフランチャイズ1店を閉じた。売上は233億円で6%減ったが、閉店と値引きの抑制で粗利が改善し、販管費も削った。
店は土地も建物も借りている。年間の賃借料は約21億円で、売上の9%にあたる。家賃は売上が落ちても下がらない固定の約束だ。
資金の多くは借入に頼り、有利子負債は約105億円ある。2025年5月期に42億円の最終赤字を出し、借入の財務制限条項に抵触した。2026年5月期には0%の転換社債を10億円出し、運転資金を確保した。かつて子会社だったチチカカは手放し、海外の子会社も清算の手続きに入っている。今は国内の店と通販に絞った、単一の事業の会社だ。
優良さと弱いところ
強みは店の個性だ。本と雑貨を雑多に並べ、手書きのポップで遊ばせる売り場は、他の小売にまねされにくい。作品と組んだ限定の商品は、熱心な客を店に呼ぶ。株主優待の買物券も、約4万人の個人株主を客として店に呼び込む仕組みになっている。
弱みは、その個性が売上を伸ばす力を失いつつあることだ。売上は10年で年6.7%ずつ減った。若い客はネット通販と大型の雑貨店に流れ、モールの集客も細った。本とCDは市場そのものが縮んでいる。
値決めの力は中くらいだ。独自の商品は値を守れるが、多くの雑貨は他でも買える。過去12年の営業利益率は最良で4%弱、赤字の年が4回ある。借入が重く、家賃という固定の約束もあるので、売上が少し落ちるだけで利益は消える。
経営は立て直しの途中だ。不採算店を一気に閉じた判断は正しいが、次の成長の柱はまだ見えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
雑貨と本の小売は、3つの力に押されている。1つはネット通販で、雑貨の多くは家から買える。2つ目は大型の雑貨店やディスカウント店で、ドン・キホーテや3COINS、ロフト、東急ハンズの後を継ぐ店が同じ客を取り合う。3つ目は本とCDの市場の縮小で、書店は全国で減り続けている。
一方で、追い風もある。アニメや漫画の作品の人気は国内外で強く、作品と組んだ限定の商品は熱心な客を集める。体験型の店や、偶然の出会いを売る売り場の値打ちは、ネット通販の時代にかえって見直される面もある。訪日客がモールの店に来る効果も小さくない。
モールの集客は二極化している。都市の大型モールは人を集めるが、地方の古いモールは閉館が増えている。ヴィレッジヴァンガードの店の多くは後者にもあり、閉店の圧力は続く。
筆者は、10年で店の数は2割ほど減り、1店あたりの売上は実質で横ばいからやや減ると見る。値段は物価並みに上げられるが、家賃と人件費も同じように上がる。利益率が大きく戻る構造ではなく、借入を返す力も細いままだと考える。書店の閉店が続く中で、本を置く雑貨店という形がどこまで客を呼べるかが問われる。
資本政策と M&A
配当は出していない。分配できる利益が無く、日本政策投資銀行が持つA種優先株の年8%の配当も払えず、累積の未払いは2.4億円になった。優先株は1,500株、総額15億円で、普通株に転換できる権利が付く。
2026年5月期には0%の転換社債を10億円出した。転換されれば普通株は約116万株増える。優先株がすべて転換されれば約150万株増え、両方合わせると今の株主の取り分は約75%に薄まる。大量保有の報告では、日本政策投資銀行が約19%、グロースパートナーズの側が潜在株を含め約27%を持つ。創業者の菊地敬一氏も2割強を持つ。
株主への戻しは株主優待だけだ。100株以上の株主に、年1万〜1.2万円分の買物券を配る。2千円の買い物ごとに千円使える券で、過去の有報では株主は約4万人いた。費用は開示が無く、筆者は原価で年2億円前後と推定した。利益が細る筋書きでは、優待の縮小もありうる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
立て直しは数字で進んでいる。2026年5月期は不採算の61店を閉じ、値引きを抑えて粗利を上げ、販管費を削って、営業利益9億円の黒字に戻った。営業キャッシュフローは20億円あり、現金は49億円に増えた。残った232店は採算の合う店が中心で、ここから先は店の数の減りが小さくなる。
アニメや漫画の作品と組んだ限定の商品は強い。通販の受注販売も伸び、店の外でも稼げるようになった。体験型の売り場の値打ちは、ネット通販の時代にこそ見直される。訪日客がモールの店に来る効果もある。
資本の側も支えがある。日本政策投資銀行とグロースパートナーズが優先株と転換社債で入り、金融機関も支援を続けている。株主優待の買物券は約4万人の個人株主を常連客に変える仕組みで、売上の土台になる。利益が続けば、優先株と転換社債は普通株になり、借入も減って、株主の取り分は太くなる。創業者と政府系の銀行、投資会社が並ぶ株主の顔ぶれは、会社を潰さないという意思の表れでもある。立て直しの初年度で結果を出した経営を、もう少し信じてよい。
慎重な見方
黒字は閉店と経費の削減で作ったもので、売上は伸びていない。2026年5月期も売上は6%減り、会社は今期の営業利益を5億円、純利益を1億円と見込む。過去12年で営業利益率が4%を超えた年はない。10年で売上が年6.7%ずつ減った流れは、まだ止まっていない。
財務は脆い。有利子負債は約105億円で、純負債は自己資本の2倍を超える。財務制限条項に2期続けて抵触し、銀行の支援が無ければ立ち行かない。金利が上がれば利払いが増え、家賃約21億円も固定で残る。売上が1割落ちれば、利益はすぐに消える。
普通株の前には優先株がいる。15億円の優先株は年8%の配当が積み上がり、残余財産も先に受け取る。転換社債と優先株が転換されれば、今の株主の取り分は4分の3に薄まる。優待の買物券は人気だが、利益が細れば真っ先に削られる還元だ。2025年5月期の42億円の赤字が示すように、この会社は数年に一度、大きな損失を出してきた。立て直しの1年の数字で、10年を語るのは早い。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうが強い。立て直しの進みは本物だが、売上の減りは止まっておらず、借入と優先株の重さが普通株の価値を押しつぶす。確率はやや悲観と悲観に合わせて4割を置いた。優待の買物券の値打ちは数えたが、それでも今の値段には届かない。普通株の価値は、事業の利益より先に、借入と優先株の重さで決まっている。立て直しが続けば見方は変わるが、それは数年先の話だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 406 円32 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 149 円12 億円)。 今の値に割り戻すと 244 円19 億円、今との差 −74.0%、 期待の年率 −5.1%(資本コスト 10.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,442 円113 億円 | 321 円25 億円 | +87.6% | +6.5% | 106 円8 億円 |
| やや楽観 | 17% | 872 円68 億円 | 258 円20 億円 | +20.2% | +1.9% | 192 円15 億円 |
| 中立 | 37% | 413 円32 億円 | 179 円14 億円 | −37.0% | −4.5% | 219 円17 億円 |
| やや悲観 | 23% | 73 円6 億円 | 67 円5 億円 | −85.1% | −17.3% | 32 円3 億円 |
| 悲観 | 17% | 10 円1 億円 | 23 円2 億円 | −96.5% | −28.5% | 6 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 406 円32 億円 | 149 円12 億円 | −41.0% | −5.1% | 555 円43 億円 |
今の株価時価総額 940 円74 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.3% を下回るほど割高。
楽観 6% 立て直しが実り、作品と組んだ店に生まれ変わる 利益 11 億円 · PER 11.2 倍 · 株価時価総額 1,442 円113 億円
アニメや漫画の作品と組んだ限定の商品が当たり、店は熱心な客と訪日客を集める場所になる。都市の大型モールに店を移し、店の数は少し増える。1店あたりの売上は物価を上回って伸び、通販も育つ。営業利益率は5.5%と、過去12年の山を上回る。借入は利益で返し、財務制限条項の抵触は解消する。株価が上がり、転換社債と優先株はすべて普通株になる。普通株の配当も再開し、優待の買物券も続く。店の個性が作品の人気と結び付き、10年前の勢いを取り戻す筋書きだ。転換で借入が10億円減った分も自己資本に入る。優待の費用は利益から引き済みで、還元には株主の受け取り分を足している。
- 店舗(雑貨・書籍・メディア):数量 240(店の数(期中平均・店))× 価格 1.25(1店あたりの年間売上(億円・名目、通販を含む))→ 売上 301 億円・営業利益 17 億円。店 240・1 店の売上 1.40 倍・利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.1% が k 10.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.15 倍、時価総額 122 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:売上が10年で年6.7%ずつ減った会社が、店の数を増やし1店の売上を伸ばす筋書きで、過去に例が無いので6%。
やや楽観 17% 残った店で稼ぎ、借入を返す 利益 7 億円 · PER 9.8 倍 · 株価時価総額 872 円68 億円
閉店で残った店は採算が合い、店の数はゆっくりと225店前後まで減るだけで済む。作品と組んだ商品と通販が育ち、1店の売上は物価にやや届かない程度で伸びる。営業利益率は4%で、過去12年の山に並ぶ。利益で借入を返し、財務制限条項の抵触は数年で解消する。株価が転換価額を超え、転換社債と優先株は普通株になる。普通株の配当はわずかに再開し、優待の買物券も続く。借入が減るほど利払いが細り、利益は太る。店の個性は保たれ、熱心な客が店を支える。転換で借入が10億円減った分も自己資本に入る。優待の費用は利益から引き済みで、還元には株主の受け取り分を足しているので、自己資本はその分だけ還元の合計より多く残る。
- 店舗(雑貨・書籍・メディア):数量 225(店の数(期中平均・店))× 価格 1.18(1店あたりの年間売上(億円・名目、通販を含む))→ 売上 266 億円・営業利益 11 億円。店 225・1 店の売上 1.32 倍・利益率 4%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 10.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 9.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.8 倍。全体の PER 9.83 倍、時価総額 67 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年5月期の黒字が続き、閉店の山を越えた後の店で稼げる筋書き。会社の今期予想は減益なので17%。
中立 37% 店は2割減り、利益は利払いに削られる 利益 3 億円 · PER 9.8 倍 · 株価時価総額 413 円32 億円
店の数は10年で205店前後まで減る。地方のモールの閉館に合わせて店を畳み、都市の店に寄せる。1店あたりの売上は実質でやや減り、名目では2割強増える。営業利益率は2.5%で、家賃と人件費の上昇を値上げでやっと吸収する。借り換えで利払いが増え、税は過去の赤字の繰越でしばらく軽い。株価は転換価額に届かず、優先株は残る。普通株の配当は出ず、株主への戻しは優待の買物券だけだ。会社は潰れないが、稼いだ利益は利払いと優先株に先に取られる。普通株の株主は、事業の価値の一部しか受け取れない。優待の費用は利益から引き済みで、還元には株主の受け取り分を足しているので、自己資本はその分だけ還元の合計より多く残る。
- 店舗(雑貨・書籍・メディア):数量 205(店の数(期中平均・店))× 価格 1.09(1店あたりの年間売上(億円・名目、通販を含む))→ 売上 224 億円・営業利益 6 億円。店 205・1 店の売上 1.22 倍・利益率 2.5%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.2% が k 10.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 9.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 9.8 倍。全体の PER 9.76 倍、時価総額 27 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:閉店の山を越えた後も売上の減りがゆるやかに続く、過去の流れと会社の今期予想の延長にあたる中心の筋書き。
やや悲観 23% 売上の減りが止まらず、収支とんとんに 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 73 円6 億円
ネット通販と大型の雑貨店に客を取られ、店の数は170店まで減る。1店の売上は物価に届かず、家賃と人件費の上昇が利益を食う。営業利益率は1%で、利払いを払うと赤字になる。財務制限条項の抵触は続き、銀行の支援でつなぐ。優先株の配当は積み上がるだけで、普通株の配当は出ない。優待の買物券は縮められる。普通株に残る価値は、優先株の後ろのわずかな分だけだ。店は続いても、株主のための器としては空に近い。自己資本は帳簿の上では残るが、稼げない資本に値打ちは乏しい。優待の費用は利益から引き済みで、還元には株主の受け取り分を足しているので、自己資本はその分だけ還元の合計より多く残る。
- 店舗(雑貨・書籍・メディア):数量 170(店の数(期中平均・店))× 価格 1.00(1店あたりの年間売上(億円・名目、通販を含む))→ 売上 170 億円・営業利益 2 億円。店 170・1 店の売上 1.12 倍・利益率 1%
倍率:利払いの後で赤字なのでPERは当てない。純負債が自己資本の2倍を超え、売れる資産の床も無いので、今の自己資本25.8億円に対して0.25倍。EV÷営業利益は30倍を超え、借金の重さで価値がほぼ残らない形。
確率:売上が10年で年6.7%ずつ減った流れが続く筋書き。財務制限条項に抵触したままの会社なので23%。
悲観 17% 銀行の支援が尽き、普通株の価値が消える 利益 −6 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 10 円1 億円
モールの閉館と通販への流出で、店の数は120店まで減る。1店の売上は名目でも増えない。家賃と利払いが残り、営業赤字が続く。財務制限条項の抵触で借り換えができず、会社は資本の再編を迫られる。優先株と銀行が先に取り分を受け取り、普通株は大きく薄まる。優待の買物券は廃止される。店の個性は残っても、普通株の株主に戻る価値はほとんどない。再編で新しい株が出れば、今の株主の取り分はさらに細る。熱心な客と店の名前は、別の会社の手に渡るかもしれない。家賃の約束は店を閉じるまで残り、閉店の費用も重い。立て直しの1年の黒字は、一時の息継ぎに終わる。
- 店舗(雑貨・書籍・メディア):数量 120(店の数(期中平均・店))× 価格 0.89(1店あたりの年間売上(億円・名目、通販を含む))→ 売上 107 億円・営業利益 −3 億円。店 120・1 店の売上 据え置き・赤字
倍率:赤字が続くのでPERは当てない。純負債が重く、借入を返した後に残る資産はわずかなので、今の自己資本25.8億円に対して0.1倍。
確率:借入の財務制限条項に2期続けて抵触し、重要事象等がある会社なので、構造的に負ける筋書きに17%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
店舗(雑貨・書籍・メディア)
ヴィレッジヴァンガードの店で雑貨・本・CD・アパレルを売る。通販の受注販売とフランチャイズを含む。
| 数量店の数(期中平均・店) | 価格1店あたりの年間売上(億円・名目、通販を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 261 | 0.89 | 234 | 9 |
| 10 年後 中立 | 205 | 1.09 | 224 | 6 |
取り方:期首293店と期末232店の平均を約261店とし、売上233.53億円を割って1店あたり約0.89億円とした(通販は店に含めた)。
リスクと懸念
財務制限条項と借り換え
借入の財務制限条項に2期続けて抵触しており、金融機関の支援が続かなければ期限の利益を失うおそれがある。有利子負債は約105億円で、金利が上がれば利払いが増える。
売上の減少
売上は10年で年6.7%ずつ減った。ネット通販、大型の雑貨店、本とCDの市場の縮小の3つに押され、閉店で採算を整えても1店あたりの売上が減れば利益は消える。
家賃という固定の約束
店は全て借りており、年間の賃借料は約21億円ある。売上が落ちても家賃は落ちない。新リース会計基準で2028年5月期からは負債として載り、見かけの負債はさらに膨らむ。
優先株と転換社債による薄まり
15億円の優先株と10億円の転換社債がすべて普通株になれば、今の株主の取り分は約75%に薄まる。転換されない場合は、優先株が配当と残余財産を先に受け取る。
優待の縮小
株主への戻しは買物券の優待だけだ。利益が細れば優待の縮小や廃止がありうる。そうなれば個人株主が売りに回り、客としての来店も減る。
モールの閉館
店の多くはショッピングモールの中にある。地方の古いモールの閉館が増えれば、店も一緒に閉じることになる。
今後の分かれ目
- 営業利益率3%以上を3年続け、有利子負債が減ったら
- やや楽観の筋書きに近づく。財務制限条項の抵触が解消するかも見る。
- 優先株の配当を払い始めたら
- 分配できる利益が戻った印で、普通株の配当の再開にも道が開く。
- 優待の買物券を縮めたら
- 株主への戻しが細るので、価値を下に見直す。
- 既存店の売上が2年続けて5%以上減ったら
- やや悲観に重みを移す。
- 大株主の側から資本の再編や非公開化の話が出たら
- 優先株と転換社債の扱いで普通株の取り分がどう決まるかを見る。
見ておくもの
- 既存店の売上の前年比
- 営業利益率と有利子負債の残高
- 財務制限条項の抵触の解消
- 優先株の配当の支払い
- 株主優待の内容の変更
倍率と資本コストの決め方
店の数(期中平均)×1店あたりの売上で積み、中立は店を2割減らし、1店の売上は実質でやや減る(名目1.22倍)とした。利益率は過去12年の山3.9%以下の2.5%。利払いは借り換えで3.5%に上がる分を入れた。倍率は資本コスト10.25%(基本7.5%に循環・値決め・借金・寿命で+2.0%、傾いた会社の上乗せ+0.5%)で、ROEはどの筋書きもkを下回るのでPERは1÷kの10倍を上限にした。今の株価やPERは見ていない。普通株の取り分は、転換する楽観側で0.747、転換しない筋書きでは優先株の優先分を引いて置いた。優待は推定の原価年2億円を還元に足した。家賃は今と同じ営業費用の形で置き、2028年5月期からの新リース会計で負債が膨らんで見える点は形の違いだけとした。やや悲観は借入が重く床の資産が無いので、PBRが低い注意と EV の注意は残した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→11.15 倍・やや楽観 PER 9→9.83 倍・中立 PER 8→9.76 倍)。
資本コスト 10.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 0.5%。