結論
はせがわは、全国 136 の直営店で仏壇・仏具と墓石を売る、この業界の最大手だ。筆者の結論は、今の値段はやや割高だというものだ。死亡者が増える多死社会でも、仏壇は小さく簡素になり、店を借りて営む固定費が利益を削るからだ。
2026 年 3 月期は売上 211 億円に対し、純利益は 2.9 億円と前の期の 3 分の 1 に落ちた。販売の基数が減り、単価も下がり、円安と原材料の上昇を値段に転嫁しきれなかった。2027 年 3 月期は増益を見込むが、それでも営業利益率は 4% 台だ。
宗教用具の小売の販売額は、2014〜2021 年に 3 割縮んだ。はせがわは店の網と墓石の施工の力で、小さな同業から需要を集める立場にある。それでも市場全体の縮みには抗えない。
10 年をならすと、ROE は資本コストの 8% 台に届かない。墓じまいや終活の新しい事業は芽だが、まだ赤字だ。今の値段は、縮む本業の稼ぎを少し高く見ている。財務は堅く、すぐに傾く会社ではない。だが価値が増える会社でもない、というのが筆者の見立てだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、長く持ちたい事業とは言いにくい。はせがわは業界の最大手で、名前と店の網は本物の強みだ。だが市場そのものが年 2〜4% のペースで縮む。強い会社が縮む市場で勝っても、株主の取り分はなかなか増えない。
オーナー利益の面では、店の家賃と人件費が物価で上がり、仏壇の単価は下がる。会計の利益は年に数億円で、配当の 2.7 億円を払うと手元にはあまり残らない。
安全域の面では、PBR 0.4 倍の見かけは安い。だが ROE が資本コストに届かない会社では、帳簿の自己資本は価値の床にならない。筆者は、墓じまいや終活の新しい事業が利益を出すまでは、今の値段に安全域は無いとみる。業界の最大手であることと、株主として儲かることは別の話だ。縮む市場では、強い会社でも利益をためるほど ROE が下がっていく。ためた利益を配当や自社株買いで返すか、伸びる事業に回すかが問われる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は、はせがわの名前で営む仏壇仏具と墓石の店だ。2026 年 3 月期は売上 177 億円、セグメント利益 11 億円で、全社の売上の 8 割強を占める。直営店は 136 で、東日本が売上の 8 割、西日本が 2 割だ。
店では仏壇と仏具、線香や提灯を売り、墓石は霊園の管理事務所と組んで建立と施工を請け負う。お盆や彼岸の前に売上が集まり、上期は赤字になりやすい。
2024 年には八木研の仏壇事業を「現代仏壇」として取り込んだ。家具調の小さな仏壇を、全国約 100 の売り場で売る。売上は 17 億円だが、まだ赤字だ。
ほかに、屋内墓苑の販売の受託、飲食・食品・雑貨、終活の相談や墓じまい、不動産の整理を手伝う PLS の事業がある。合わせて売上 19 億円ほどで、利益はほぼ出ていない。本社の費用は年 2 億円台だ。
店の多くは借りており、家賃は売上が落ちても下がらない固定の約束だ。2026 年 4 月には PLS の不動産の部署も設け、終活の相談から家や土地の整理までをつなぐ形を目指す。仏壇の店に来た客を、墓じまいや相続の手伝いへと広げる考えだ。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、業界の中では強い方だが、市場の縮みを止める力は無い。
強みは三つある。一つは全国 136 店の網と知名度だ。仏壇は一生に一度の買い物で、客は名前を知った店を選ぶ。二つ目は墓石の施工の力で、霊園との付き合いと職人の手配は、小さな仏壇店にはまねしにくい。三つ目は財務で、自己資本比率は 60% ある。
弱みは値決めの力だ。仏壇は小型化・簡素化で単価が下がり、樹木葬など安い供養も広がる。2026 年 3 月期は円安と原材料の上昇を値段に転嫁しきれず、利益が 3 分の 1 になった。
株は長谷川興産と長谷川裕一氏の上位 2 者で 3 割強が握られている。配当の下限を設けたのは良いが、新しい事業はまだ赤字で、資本の使い方の成果は見えていない。現代仏壇の買収も、今のところ赤字を抱えた形だ。中期経営計画は ROE や営業利益率を目標に挙げるが、数値の目標は示していない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
仏壇と墓石の市場は、量が減り単価も下がる局面にある。宗教用具の小売の販売額は、2014 年の 1,639 億円から 2021 年には 1,185 億円へ 3 割縮んだ。事業所の数は同じ間に半分近くに減った。
需要の元になる死亡者の数は、2040 年ごろまで増え続ける。多死社会は追い風に見えるが、仏壇を買う家の割合は下がっている。都市の住まいは狭く、仏壇は小さく、家具のような形が好まれる。墓も、樹木葬や納骨堂、墓じまいへ移っている。
値段の面では、小さく簡素な品が増え、1 件あたりの単価が下がる。原材料の多くは海外から入り、円安と物流費の上昇が原価を押し上げる。物価並みに値上げできるかは、仏壇の小型化とのせめぎ合いになる。
競合は地域の仏壇店と石材店、ネットの通販、葬儀社だ。小さな店は後継ぎ不足で減り、はせがわはその需要を集める立場にある。それでも市場全体の縮みは、年 2〜4% のペースで続くとみるのが自然だ。葬儀そのものも家族葬や直葬へ小さくなっており、供養にかけるお金は 1 件あたりで減っている。お寺との付き合いが薄れ、仏壇に手を合わせる習慣そのものが細っていることが根にある。
資本政策と M&A
配当は「連結配当性向 30% か 1 株あたりの一定額の高い方」を下限とし、2026 年 3 月期は総額 2.7 億円を配った。利益が落ちた年に配当性向は 9 割を超えた。
大株主は長谷川興産(21%)と長谷川裕一氏(12%)で、合わせて 3 割強を持つ。株主優待は今は無い。
2024 年に八木研の仏壇事業を買い、現代仏壇として傘下に入れた。小さな同業の後継ぎ不足は続くので、今後も買収で需要を集める余地はある。大株主の持ち分が大きく、TOB による再編は起きにくい。逆に大株主が非上場化を選ぶ可能性は、10 年の間には残る。その場合の値段は、少数株主にとって本質価値を下回る恐れもある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
多死社会は、はせがわの追い風だ。年間の死亡者は 2040 年ごろまで増え、墓じまいや改葬、仏壇の買い替えの需要は膨らむ。小さな仏壇店と石材店は後継ぎ不足で減り、その客は全国に店を持つはせがわに流れる。
2027 年 3 月期は売上 230 億円、営業利益 10 億円と増益を見込む。現代仏壇の取り込みで、家具調の小さな仏壇という伸びる品も手に入れた。墓じまいから不動産の整理までを請け負う PLS の事業は、終活という新しい市場の入口になる。
財務は堅く、自己資本比率は 60% ある。配当の下限も設けた。店を絞って採算を上げれば、営業利益率は 2014 年 3 月期の 11% に近づく余地がある。2026 年 3 月期の減益は、円安と原材料の上昇が一度に来た年の出来事で、値上げが追いつけば利益は戻る。葬儀や供養が小さくなっても、墓じまいや改葬には施工の力が要り、手間のかかる仕事ほど大手に集まる。はせがわの名前は、その入口の信用になる。
慎重な見方
仏壇離れは止まらない。宗教用具の小売の販売額は 7 年で 3 割縮み、事業所は半分近くに減った。死亡者が増えても、仏壇を買う家の割合が下がれば、市場は縮み続ける。墓も樹木葬や納骨堂に移り、墓石の建立は減る。
2026 年 3 月期の純利益が 7 割減ったのは、一時の出来事ではない。小型化と簡素化で単価が下がり、円安と原材料の上昇を転嫁できなかった。値決めの力の弱さが表に出たのだ。
店の多くは借りており、家賃は売上が落ちても下がらない。人件費も物価で上がる。新しい事業はどれも赤字で、本業の縮みを埋める規模には遠い。現代仏壇の買収も、売上を足しただけで赤字を抱え込んだ。
多死社会の追い風も、10 年を過ぎれば向かい風に変わる。2040 年ごろに死亡者が山を越えれば、仏壇と墓石の需要はさらに細る。はせがわが業界で勝ち残っても、その時に残る市場は今より小さい。財務の堅さは、縮む事業を長く続けられるというだけの意味になりかねない。
どちらに重みを置いたか
両者とも、はせがわが業界の最大手で、小さな同業から需要を集められる点は認めている。差は、市場の縮みを新しい事業と店の整理で埋められるかだ。2026 年 3 月期の減益と、新しい事業の赤字を見ると、慎重な見方の方が裏づけは強い。確率は悲観側に寄せ、中立は過去 10 年の利益率の平均並みに置いた。強気側には、店の整理と値上げで 2014 年 3 月期の山に近づく道を残した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 337 円61 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 134 円24 億円)。 今の値に割り戻すと 243 円44 億円、今との差 −17.7%、 期待の年率 +4.8%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 739 円135 億円 | 176 円32 億円 | +210.3% | +12.0% | 73 円13 億円 |
| やや楽観 | 20% | 513 円93 億円 | 165 円30 億円 | +129.8% | +8.7% | 136 円25 億円 |
| 中立 | 35% | 335 円61 億円 | 154 円28 億円 | +65.7% | +5.2% | 171 円31 億円 |
| やや悲観 | 24% | 175 円32 億円 | 110 円20 億円 | −3.3% | −0.3% | 68 円12 億円 |
| 悲観 | 13% | 121 円22 億円 | 55 円10 億円 | −40.4% | −5.0% | 23 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 337 円61 億円 | 134 円24 億円 | +59.7% | +4.8% | 471 円86 億円 |
今の株価時価総額 295 円54 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 多死社会の受け皿として、墓じまいと終活の事業が育つ 利益 11 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 739 円135 億円
年間の死亡者は 2040 年ごろまで増え続ける。はせがわは全国 136 店の網と墓石の施工の力を生かし、墓じまいや改葬、樹木葬の受注を取り込む。仏壇は小さくなるが、家具調の現代仏壇と組み合わせて単価の下落を止める。
終活の相談から不動産の整理までを請け負う PLS の事業が育ち、新しい事業の売上は実質で 2 倍強になる。利益率も 6% に乗る。
営業利益は 20 億円と、2014 年 3 月期の山を上回る。値上げが物価に追いつき、円安の負担も吸収する。ただ店舗と人の費用は物価で増え、ROE は資本コストにわずかに届かない。配当は性向 30% の方針で増え、10 年の還元は 30 億円を超える。今の経営のまま、業界の集約の受け皿になる。
- はせがわ 仏壇仏具・墓石:数量 136(直営店の数(店))× 価格 1.63(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 221 億円・営業利益 19 億円。店舗数横ばい・1 店の売上 +25%(墓じまいと改葬の受注が伸びる)
- 現代仏壇:数量 110(売り場の数(店))× 価格 0.20(1 売り場あたりの年間の売上(億円))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。店舗 +10%・1 店の売上 +18%
- 屋内墓苑・PLS・飲食・その他:数量 16,000(年間の契約・購入の件数(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 54 億円・営業利益 3 億円。終活・墓じまい・不動産の事業が実質 2 倍強
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.3% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 134 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:仏壇の単価の下落が止まり、新しい事業も利益を出す、の二つが要る。縮む市場の会社なので強気は小さく置いた。
やや楽観 20% 店を絞り、単価の下落を新しい事業で埋める 利益 8 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 513 円93 億円
仏壇の需要は細るが、はせがわは採算の悪い店を閉じ、128 店に絞る。残った店は墓石と仏壇の両方を扱い、1 店あたりの売上は物価に近い伸びを保つ。
現代仏壇は全国約 100 の売り場を生かし、黒字に転じる。墓じまいや終活の事業も伸び、仏壇の単価の下落を一部埋める。
営業利益は 14 億円と、2023 年 3 月期の山に近い水準に戻る。配当は 1 株あたりの下限を超えて増えるが、ROE は 5% 前後にとどまる。小さな仏壇店の後継ぎ不足で、閉じた店の客がはせがわに流れ、店あたりの売上を支える。ただ単価の下落は止まらない。
- はせがわ 仏壇仏具・墓石:数量 128(直営店の数(店))× 価格 1.53(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 196 億円・営業利益 14 億円。店舗 −6%・1 店の売上 +18%
- 現代仏壇:数量 100(売り場の数(店))× 価格 0.19(1 売り場あたりの年間の売上(億円))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。店舗横ばい・1 店の売上 +12%
- 屋内墓苑・PLS・飲食・その他:数量 14,000(年間の契約・購入の件数(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 47 億円・営業利益 2 億円。新しい事業が実質 9 割増
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 93 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027 年 3 月期の会社予想は増益で、現代仏壇の取り込みも進む。強気側の中心に置いた。
中立 35% 仏壇の小型化が続き、店を減らして利益を保つ 利益 5 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 335 円61 億円
仏壇は小さく、簡素になり続ける。宗教用具の小売の市場は、2014〜2021 年に年 4〜5% のペースで縮んだ。死亡者の増加が下支えになるが、仏壇を買う家の割合は下がり、1 店あたりの売上は実質で年 2% ずつ減る。
はせがわは 136 店を 120 店に絞り、墓石と仏壇の両方を 1 店で扱って売上を保つ。営業利益率は 6% と、過去 10 年の平均並みに戻る。現代仏壇と新しい事業は売上を伸ばすが、利益率は 3% にとどまる。
家賃と人件費は物価で上がり、値上げは単価の下落で相殺される。営業利益は 9 億円、純利益は 5 億円ほどだ。配当は 1 株あたりの下限を守り、ROE は 3% 台にとどまる。
- はせがわ 仏壇仏具・墓石:数量 120(直営店の数(店))× 価格 1.43(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 172 億円・営業利益 10 億円。店舗 −12%・1 店の売上 +10%(実質 −2%/年を物価が補う)
- 現代仏壇:数量 90.0(売り場の数(店))× 価格 0.19(1 売り場あたりの年間の売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。店舗 −10%・1 店の売上 +10%
- 屋内墓苑・PLS・飲食・その他:数量 12,000(年間の契約・購入の件数(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 40 億円・営業利益 1 億円。新しい事業が実質 6 割増・価格は物価並み
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.5% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 61 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:宗教用具の小売の販売額は 2014〜2021 年に年 4〜5% 縮んだ。その流れが少し緩む形を中心に置いた。
やや悲観 24% 仏壇離れが速まり、家賃と人件費が利益を食う 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 175 円32 億円
仏壇を置かない家が速く増える。樹木葬や納骨堂、墓じまいが広がり、墓石の新しい建立も減る。1 店あたりの売上は名目で横ばいにとどまり、物価の分だけ実質で縮む。
はせがわは店を 110 店に減らすが、借りている店の家賃と人件費は物価で上がる。営業利益率は 3% へ下がり、現代仏壇と新しい事業は利益を出せない。
純利益は 1 億円に届かず、配当は 1 株あたりの下限を守るのがやっとだ。価値は稼ぐ力でなく、差入保証金や現金などの売れる資産で決まる。大株主が 3 割強を持ち、会社は清算されない。店の数を減らしても借りる約束はすぐには解けず、閉店の費用も重い。
- はせがわ 仏壇仏具・墓石:数量 110(直営店の数(店))× 価格 1.30(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 143 億円・営業利益 4 億円。店舗 −19%・1 店の売上 横ばい(名目)
- 現代仏壇:数量 80.0(売り場の数(店))× 価格 0.17(1 売り場あたりの年間の売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。店舗 −20%・利益なし
- 屋内墓苑・PLS・飲食・その他:数量 8,800(年間の契約・購入の件数(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。新しい事業は伸び悩み・利益なし
倍率:純利益 1 億円未満で、稼ぐ力(純利益÷k)は 10 億円に届かない。価値は売れる資産の床(floor_assets_oku)32 億円で決まる。今の自己資本 128 億円に対する PBR 0.25 倍。EV(時価総額+純有利子負債 19 億円)÷営業利益は 37 倍と高いが、利益が薄い年で、価値は資産の側で決まる。
確率:2026 年 3 月期は純利益が 7 割減り、価格の転嫁の弱さが見えた。店を借りる固定費が重く、強気側より厚く置いた。
悲観 13% 仏壇と墓石の市場が崩れ、店の網が重荷になる 利益 −8 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 121 円22 億円
供養の形が急に変わる。仏壇を置かず、墓も持たない家が多数になり、はせがわの二つの柱が同時に細る。1 店あたりの売上は名目でも 1 割近く減る。
店を 95 店まで減らしても、閉店の費用と残る店の家賃が重く、仏壇・墓石の事業は赤字に落ちる。現代仏壇と新しい事業も伸びず、10 年で赤字が続いて自己資本は 4 割ほど削られる。
配当は下限を守れず、店の整理が続く。株主の取り分は、売れる在庫と保証金と現金だけになる。供養の形が変わった後、仏壇の店の網を買いたい相手はいない。大株主の支配のもとで、少数株主は縮む事業に付き合わされる。
- はせがわ 仏壇仏具・墓石:数量 95.0(直営店の数(店))× 価格 1.20(1 店あたりの年間の売上(億円))→ 売上 114 億円・営業利益 −3 億円。店舗 −30%・1 店の売上 −8%(名目)
- 現代仏壇:数量 60.0(売り場の数(店))× 価格 0.15(1 売り場あたりの年間の売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。店舗 −40%・赤字
- 屋内墓苑・PLS・飲食・その他:数量 6,000(年間の契約・購入の件数(件、推定))× 価格 0.00(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 −1 億円。新しい事業が縮み赤字
倍率:赤字で稼ぐ力は 0 とみる。価値は売れる資産の床(floor_assets_oku)22 億円で決まる。今の自己資本 128 億円に対する PBR 0.17 倍。
確率:宗教用具の小売は事業所が 7 年で半分に減った業種で、構造的に負ける筋書きは十分ありうる。同業の比べる相手がいないので、縮む業種の悲観として 13% に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
はせがわ 仏壇仏具・墓石
直営店で仏壇・仏具・線香などを売り、霊園と組んで墓石の建立と施工を請け負う。
| 数量直営店の数(店) | 価格1 店あたりの年間の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 136 | 1.30 | 177 | 11 |
| 10 年後 中立 | 120 | 1.43 | 172 | 10 |
取り方:セグメントの売上 177.1 億円(東日本 142.2 億円・西日本 34.9 億円)を、有報の設備の一覧に載る直営 136 店で割った値。墓石の売上も店の売上に含めた。営業損益はセグメント利益 11.0 億円。
現代仏壇
2024 年に八木研から承継した仏壇事業。家具調の小さな仏壇を全国の売り場で売る。
| 数量売り場の数(店) | 価格1 売り場あたりの年間の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.17 | 17 | −1 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 0.19 | 17 | 1 |
取り方:売上 16.89 億円を、有報の「全国に約 100 店舗」で割った値(直営は 15 店で、残りは他社の店の中の売り場などとみた推定)。営業損益はセグメント損失 0.85 億円。
屋内墓苑・PLS・飲食・その他
屋内墓苑の販売の受託、終活・墓じまい・不動産の整理を手伝う PLS、飲食・食品・雑貨、その他の事業。
| 数量年間の契約・購入の件数(件、推定) | 価格1 件あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 7,500 | 0.00 | 19 | 0 |
| 10 年後 中立 | 12,000 | 0.00 | 40 | 1 |
取り方:屋内墓苑 3.06 億円・飲食 3.79 億円・PLS 2.69 億円・その他 9.24 億円の計 18.8 億円。件数の開示が無いため、屋内墓苑の区画(1 件数十万〜百万円)・墓じまいや終活の相談(数十万円)・飲食と雑貨(数千円)をならし、1 件約 25 万円とみて年 7,500 件と推定した。営業損益は 4 つの計 −0.09 億円に、屋内墓苑の利益の振れを均した値として 0.12 億円を置いた。
リスクと懸念
仏壇の小型化と単価の下落
都市の住まいは狭く、仏壇は小さく簡素になる。1 件あたりの単価が下がり続ければ、店の数を絞っても売上は縮む。樹木葬など安い供養への移行も、同じ方向に働く。
店の家賃という固定の約束
136 の直営店の多くは借りている。家賃は売上が落ちても下がらず、悲観の筋書きでは利益を大きく削る。2028 年 3 月期からの新リース会計基準で、借りる約束が負債として表に出る。
円安と原材料の上昇
仏壇や墓石の原材料の多くは海外から入る。2026 年 3 月期は円安と物流費の上昇を値段に転嫁しきれず、利益が 3 分の 1 になった。
新しい事業の赤字
現代仏壇、PLS、飲食・雑貨の事業はどれも赤字だ。本業の縮みを埋める柱に育たなければ、投資は資本の重さになる。
墓所の確保と保証金
墓石の販売には霊園の墓所の確保が要り、建墓権の営業保証金や屋内墓苑の販売保証金を差し入れる。霊園の運営者が傾けば、回収できない恐れがある。
今後の分かれ目
- 2027 年 3 月期に会社予想の営業利益 10 億円を達成し、その後も増益が続く
- 値上げの転嫁と店の整理が効いていることになり、やや楽観の筋書きに近づく。
- 墓じまい・終活の PLS の事業が黒字になり、売上が倍になる
- 本業の縮みを埋める柱が見え、強気側の筋書きに近づく。
- 仏壇の販売の基数が年 5% 以上減り続ける
- 店の網が重荷になり、やや悲観の筋書きに近づく。
- 小さな同業の買収を重ね、店あたりの売上が伸びる
- 業界の集約の受け皿になり、縮む市場でも利益を保てる。
- 大株主が非上場化を選ぶ
- 株主は割増しの値段で持ち分を手放す。値段が本質価値を上回るかが焦点になる。
見ておくもの
- 仏壇の販売の基数と 1 件あたりの単価
- 直営店の数と出退店
- 現代仏壇と PLS の事業の損益
- 年間の死亡者数と樹木葬・納骨堂の広がり
- 円相場と原材料・物流の費用
- 配当性向と配当の下限の維持
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の PBR 0.4 倍・PER 19 倍から置かず、店の数×1 店の売上で積んだ利益と、ROE が k を下回る時の上限 1÷k から決めた。中立の利益率は 2026 年 3 月期の谷でも 2014 年 3 月期の山でもなく、過去 10 年の平均並みに置いた。悲観側は売れる資産(現金・保証金・在庫)に大株主の支配の分を掛けて床を置き、過去の PBR の底は使っていない。店舗は主に借りており、新リース会計基準(2028/03 期から)で負債が増えて見えるが、10 年後も今と同じ家賃を費用に入れた形でそろえた。株主優待は今は無い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→12.12 倍・やや楽観 PER 10.3→12.12 倍・中立 PER 9.1→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.25% = 8.75%。同じ領域で済んだ会社は無い。縮む市場の小売として、寿命を厚くした。大株主の支配や新しい事業の失敗は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.50%。