結論
サックスバー ホールディングスは、ショッピングセンターの鞄・財布の専門店を、約590店展開する会社だ。筆者の結論は「やや割高」である。財務は堅く、利益率も悪くない。しかし10年で見込める稼ぎは、払う値段に十分な余裕を残さない。
強みは、品ぞろえと自社ブランドの粗利にある。粗利率は5割に達し、営業利益率は前の期まで7%台を保った。直近は物価高の買い控えで、営業利益が2割減った。国内の鞄市場は、インバウンドで2割近く伸びたが、この会社の売上は伸びていない。
会社は店舗の入れ替え、自社ブランドの拡大、ECで立て直す。ただし中期計画の売上目標は、直近の見直しで下方修正された。筆者は、この手当てで利益を守れるが、伸ばすのは難しいと見る。
純現金は約40億円で、時価総額の2割弱。ただし店舗は賃借で、地代は年に50億円近い固定の約束だ。見かけほどの余裕とは見ない。配当は利益の半分を目安にしている。
確率をかけて均し、資本コストで割り引いた価値は、今の時価総額を下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、サックスバーは「堅実だが、安くはない」会社だ。事業は10年後も存在する。ただし堀は、立地とブランドの積み重ねにあり、決定的な差ではない。
株主のものになる利益は、見た目の純利益に近い。店舗の投資は年に数億円で、大きな設備は要らない。在庫が130億円と重いのが、資本の効率を下げる。
資本の使い方は、堅実だ。無理な買収をせず、配当を利益の半分に近づけている。ただし、現金をためて使い道がない状態は続く。自社株買いが進めば、評価は変わる。
安全域は、財務の堅さにある。純現金が時価総額の2割弱あり、悲観でも大きく崩れない。経営者が派手な投資をしない点も、守りの面では好ましい。しかし店舗の家賃という固定の約束があり、純現金の価値を満額では見られない。
結論として、価値は今の時価総額をやや下回る。払う値段に、大きな余裕はない。
何で稼ぐ会社か
サックスバーの稼ぎは、店舗での小売だ。中核は子会社の東京デリカで、ブランド名は「サックスバー」「グランサックス」「ドゥサックス」などに分かれる。約550店を、ショッピングセンターの中を中心に展開する。商品は鞄、財布、小物、雑貨、旅行用品で、価格帯は中間層向けだ。
ほかに、鞄のセレクトショップ「ギアーズジャム」が約30店、帆布鞄の老舗「三香堂」が約10店ある。自社のブランド商品(PB)の比率を高め、グループの粗利率は5割を目指す。
製造・卸売は、アイシン通商とロジェールジャパンが担う。鞄や小物の企画・製造と、他社への卸売だ。売上の1割弱で、利益率は店舗より高い。
自社EC(ネット販売)は、売上の1割に満たない。アプリの会員は約180万人で、店舗との連動を強めている。
稼ぎ方の本質は、買い替えの間隔が長い商品を、人通りの多い場所で売り続けることだ。1店あたりの稼ぎは小さいが、店数と品ぞろえが、競合に対する厚みになる。従業員は約590人で、店舗の人員は多くを非正規が担う。人手の確保が、出店の速さを決める要因にもなる。
優良さと弱いところ
堀は、立地とブランドにある。ショッピングセンターの一等地に、複数のブランドで出店している。出店交渉力は高く、人気の商業施設から声がかかる。自社ブランドは粗利が高く、価格を自分で決められる部分も多い。
ただし堀は深くない。鞄と財布は、ZOZOなどの通販、低価格のファッションEC、百貨店のブランドと競合する。若い層は、低価格の通販へ流れつつある。筆者は、堀を「強い」とは見ない。
資本の効率は、並みだ。過去10年のROEの中央値は6〜7%台で、資本コストの7割ほどだ。コロナ期の2021年3月期には、営業赤字に落ちた。
財務の保守性は強みだ。自己資本比率は74%で、借入は小さい。ただし店舗は賃借で、地代家賃率は売上の1割強。需要が落ちても家賃は落ちないため、純現金は見かけほど余裕がない。
株主構成は、ディーアンドケーが約2割、エムケー興産が約7%と、特定の株主の持ち分が厚い。創業家との関係は確認できていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の鞄・袋物の小売市場は、2024年度に約2兆円で、前年度比で16%伸びた。インバウンドの拡大と価格改定が理由だ。ただし、これはインポートブランドと旅行鞄が主役で、国内ブランドの専門店は恩恵が限られた。
サックスバーのような中間価格帯の店は、物価高の影響を受けやすい。実質賃金が伸びず、買い替えが先送りされる。キャッシュレス化で財布の買い替えは減り、PCの持ち出し制限でビジネスバッグは小型化した。
競合は、百貨店の鞄売り場、ブランドの直営店、ZOZOなどのファッション通販だ。低価格のECは、若い層の購買を奪っている。ショッピングセンターの来館者数は、人口減で細る。
追い風もある。円安でインバウンドが戻れば、免税需要が伸びる。日本製や、キャラクターとのコラボ商品が好調だ。自社ブランドは、割引販売が減れば粗利が上がる。出店先の商業施設も、改装で客層を入れ替えており、店舗の立地は常に見直しを迫られる。
再編は少ない。小さな鞄ブランドを買収して、品ぞろえを広げる動きがあり、サックスバーは過去4回、買収を行った。ただし買収した会社は小さく、全体の利益を動かすほどではない。
資本政策と M&A
資本政策は、安定配当が基本だ。配当性向35%以上を目安にし、2026年3月期の配当は前期から増やした。実際の配当性向は5割を超える。自社株買いは、直近の資料では確認できなかった。
株主優待は、100株以上で割引券、1,000株以上で商品の贈呈がある。費用は非開示で、筆者は年1.5億円前後と推定する。10年の還元に、続く見込みを掛けて足した(中立1.0、やや悲観0.75、悲観0.5)。
M&Aは、アイシン通商(2012年)、三香堂(2019年)、ギアーズジャム(2022年)など、小さな買収を重ねてきた。中期計画では、3年で15〜20億円の枠がある。大型買収には慎重で、実績は堅実だ。
投資は、店舗に12億円、システム5億円、物流倉庫6億円。大きな設備は不要で、資本効率は高めに回る。
会社は、株主資本コストを6〜7%と見ている。筆者は8.75%とみる。この差が、会社の目標のROE6.7%でも、価値を生むとは言い切れない理由だ。
特定の株主の持ち分が厚く、買収の標的になる可能性は低い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
サックスバーは、鞄と財布の専門店として、他社が簡単にまねできない立ち位置にある。約550店のネットワークで、ショッピングセンターの一等地に出店している。複数のブランドを持つことで、客層の広がりも取れる。
足元は物価高の影響で業績が落ち込んだが、粗利率は5割を保ち、自社ブランドの比率を高める計画が進んでいる。キャラクター商品や日本製の鞄は好調で、インバウンドの波も戻る。
ECは、アプリ会員180万人を軸に、店舗と連動して伸ばす。物流倉庫の増設で翌日配送を実現し、通販との差を縮める。
財務は堅い。自己資本比率は74%で、純現金は時価総額の2割弱ある。配当は利益の半分を超え、自社株買いの余地もある。ROEの目標は6.7%で、足元の水準を上回る。営業利益率が7%台に戻れば、価値は今の時価総額に近づく。
創業以来の鞄の目利きと、店舗運営のノウハウは、新興の通販にはまねしにくい。実物を触って選ぶ需要は、旅行やギフトで根強い。
慎重な見方
物価高の買い控えは、一時的な問題ではない。実質賃金が伸びないなかで、鞄と財布は買い替えを先送りされやすい。キャッシュレス化で財布の需要は縮み、ビジネスバッグは小型化している。
ショッピングセンターの来館者数は人口減で細り、若い層は低価格の通販へ流れている。鞄市場がインバウンドで2割近く伸びたのに、この会社の売上は伸びていない。つまり、シェアを落としている。
店舗は賃借で、地代家賃は売上の1割強を占める。需要が落ちても家賃は落ちないため、利益が出にくい。2021年3月期には、コロナ期に営業赤字へ落ちた。
会社は、中期計画の売上目標を下方修正した。人件費は上がり続け、値上げも通りにくい。この水準の利益に、高い倍率はつかない。ROEの目標も、資本コストには届かない。純現金の価値も、家賃の約束を引くと小さくなる。
さらに、在庫の重さも見逃せない。売れ残りの値引きが増えれば、粗利率が崩れる。競合の通販は在庫を持たずに売れるため、固定費の重い店舗は、需要が落ちるほど不利になる。
どちらに重みを置いたか
品ぞろえと財務の堅さでは、強気の見方が優勢だ。ただし物価高の買い控えが続くこと、シェアを落としていること、店舗の家賃が固定費として重いことでは、慎重な見方の指摘が重い。
中立は、店舗が少しずつ減り、店あたりの売上が物価並みに伸び、利益率が6%前後に落ち着く姿に置いた。確率は中立に4割弱、強気側に2割台、慎重な側に3割台とした。足元で業績が下方修正されたことを重く見て、慎重な側をやや厚くした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 814 円238 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 450 円132 億円)。 今の値に割り戻すと 672 円197 億円、今との差 −11.1%、 期待の年率 +5.3%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,449 円424 億円 | 646 円189 億円 | +177.5% | +10.7% | 147 円43 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,201 円352 億円 | 574 円168 億円 | +135.1% | +8.9% | 337 円99 億円 |
| 中立 | 38% | 981 円287 億円 | 527 円154 億円 | +99.7% | +7.2% | 573 円168 億円 |
| やや悲観 | 25% | 402 円118 億円 | 345 円101 億円 | −1.0% | −0.1% | 187 円55 億円 |
| 悲観 | 11% | 102 円30 億円 | 87 円26 億円 | −74.9% | −12.9% | 21 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 814 円238 億円 | 450 円132 億円 | +67.5% | +5.3% | 1,265 円370 億円 |
今の株価時価総額 755 円221 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% インバウンドと自社ブランドが当たり、店あたりの稼ぎが伸びる 利益 35 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,449 円424 億円
自社ブランドの商品が当たり、粗利率が上がる。キャラクター商品と日本製の鞄が、インバウンドと若い層の両方をつかむ。大型店への出店と増床が効き、店あたりの売上が物価を上回って伸びる。EC売上は、アプリ会員を軸にした販売で定着し、売上の1割に迫る。三香堂の帆布鞄は、観光地の店で伸びる。アイシン通商とロジェールは、ブランドの卸と製造で利益を積む。営業利益率は7%台半ばに乗り、2015年3月期の山に近づく。ただし鞄と財布は、買い替えの間隔が長い商品だ。店舗網は最盛期ほど増えず、事業の資本効率は資本コストに届かない。倍率は、ROEがkを下回るので上限の9割にとどまる。
- 小売(サックスバー・ギアーズジャム・三香堂の店舗と自社EC):数量 586(店舗数(期末))× 価格 1.12(1店あたりの年間売上(億円・名目。EC売上を店舗数で割って含む))→ 売上 655 億円・営業利益 49 億円。店舗 今の 1.00 倍、1店あたりの売上 1.40 倍、利益率 7.5%
- 製造・卸売(アイシン通商・ロジェールジャパン):数量 8,800(国内の鞄・服飾雑貨の卸・OEM市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 0.8%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 66 億円・営業利益 7 億円。市場 今の 1.10 倍、シェアは今のまま、値段 1.34 倍、利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 35 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 424 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店あたりの売上の実質成長、粗利率の改善、出店の黒字化が同時にそろう必要がある。営業利益率が7%台半ばに乗るのは、2024年3月期と2025年3月期の水準に並ぶ姿で、2割に届かない確率にとどめる。
やや楽観 19% 店舗の入れ替えが進み、利益率が戻る 利益 29 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,201 円352 億円
不採算店の退店と、大型店の出店が進む。店あたりの売上は、客数がほぼ横ばいで、客単価が物価並みに上がる。自社ブランドの比率が高まり、粗利率が少しずつ戻る。ECは小さいながら黒字で伸びる。インバウンドは波があるが、均すと追い風になる。営業利益率は6%台後半に戻り、会社の中期計画の水準に近づく。人件費と地代の上昇は、値上げとシステム投資の効率化でおおむね吸収する。配当は利益の半分を保ち、自社株買いは小さい。成長は鈍いが、堅実な小売チェーンとして、安定した利益を出す。商品の絞り込みで在庫の回転も少し上がり、値引きの負担が軽くなる。
- 小売(サックスバー・ギアーズジャム・三香堂の店舗と自社EC):数量 568(店舗数(期末))× 価格 1.07(1店あたりの年間売上(億円・名目。EC売上を店舗数で割って含む))→ 売上 608 億円・営業利益 41 億円。店舗 今の 0.97 倍、1店あたりの売上 1.34 倍、利益率 6.8%
- 製造・卸売(アイシン通商・ロジェールジャパン):数量 8,000(国内の鞄・服飾雑貨の卸・OEM市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 0.7%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 59 億円・営業利益 6 億円。市場 今の 1.00 倍、シェアは今のまま、値段 1.32 倍、利益率 9.5%
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 352 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店舗の統廃合は着実に進んでいる。会社の2027年3月期の計画(純利益21億円)には近い水準で、2割弱に置く。
中立 38% 店舗は少しずつ減り、利益率は6%前後に落ち着く 利益 24 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 981 円287 億円
ショッピングセンターの来店客は、人口減で少しずつ減る。店舗数は1割弱減るが、残る店の売上は、値上げと客単価の上昇で物価並みには伸びる。自社ブランドの比率が上がっても、割引販売で粗利率はほぼ横ばいだ。地代と人件費は、物価並みに増え続ける。店舗の償却は、取得時の値段のままで、新店の分だけ加わる。営業利益率は6%前後に落ち着く。売上は名目で2割ほど増えるが、ほぼ物価の分だ。配当は利益の半分、残りは自社株買いに少し回る。純現金は積み上がるが、買収の成功は期待しない。筆者は、これが最も起こりやすい姿だと見る。
- 小売(サックスバー・ギアーズジャム・三香堂の店舗と自社EC):数量 545(店舗数(期末))× 価格 1.04(1店あたりの年間売上(億円・名目。EC売上を店舗数で割って含む))→ 売上 566 億円・営業利益 34 億円。店舗 今の 0.93 倍、1店あたりの売上 1.30 倍、利益率 6.0%
- 製造・卸売(アイシン通商・ロジェールジャパン):数量 7,600(国内の鞄・服飾雑貨の卸・OEM市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 0.7%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 56 億円・営業利益 5 億円。市場 今の 0.95 倍、シェアは今のまま、値段 1.30 倍、利益率 9.0%
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 287 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:営業利益率は2024年3月期の7%台から、直近は6%台に下がった。インバウンドと自社ブランドが支える一方、物価高の買い控えが続くので、中立に4割弱を置く。
やや悲観 25% 物価高の買い控えが続き、店舗の採算が悪化する 利益 13 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 402 円118 億円
物価高が続き、実質賃金が伸びない。鞄と財布の買い替えが先送りされ、客数が減る。キャッシュレス化で財布の需要は縮み、ビジネスバッグは小型化する。低価格のファッションECが若い層を奪う。店舗は1割5分減るが、地代は固定で、店あたりの利益が落ちる。値上げは通りにくく、売上の伸びは物価に届かない。営業利益率は4%台に下がり、営業利益は今の3分の2になる。配当は性向5割を守れず、据え置く。財務は堅く、赤字には落ちない。ただ、店舗網の縮小で、再投資の先が見つからない。会社は買収で穴を埋めようとするが、小さな案件では、全体の利益を支えられない。
- 小売(サックスバー・ギアーズジャム・三香堂の店舗と自社EC):数量 498(店舗数(期末))× 価格 0.94(1店あたりの年間売上(億円・名目。EC売上を店舗数で割って含む))→ 売上 469 億円・営業利益 20 億円。店舗 今の 0.85 倍、1店あたりの売上 1.18 倍、利益率 4.2%
- 製造・卸売(アイシン通商・ロジェールジャパン):数量 6,800(国内の鞄・服飾雑貨の卸・OEM市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 0.7%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 45 億円・営業利益 3 億円。市場 今の 0.85 倍、シェアは今のまま、値段 1.18 倍、利益率 7.0%
倍率:事業の ROE 3.5% が k 8.25% を大きく下回り、ためた利益は額面未満。上限 11.4 倍の約 6 割の 7.0 倍に置く(稼ぐ力に見合う倍率)。
確率:2026年3月期は営業利益が2割減った。買い控えが長引く姿は、すでに起きている。コロナ期には赤字に落ちた実績もあり、慎重な見方をやや厚く置く。
悲観 11% ショッピングセンター離れと低価格ECに負け、店舗が縮む 利益 0 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 102 円30 億円
ショッピングセンターの来店客が構造的に減り、低価格の通販が鞄と財布の需要を奪う。店舗は3割減る。残る店の売上も物価に届かず、地代と人件費を回収できない。粗利率を守ろうとして値引きが増え、自社ブランドの優位も崩れる。営業利益はほぼゼロになり、店舗の減損を出す。配当は大きく減らさざるを得ず、優待も見直される。アイシン通商とロジェールも、ブランドの受注が減る。財務は堅いが、リースの約束を守りながら店を畳む費用がかかる。少数株主に残るのは、純現金の範囲に絞られる。清算されない限り、その使い方は決められない。
- 小売(サックスバー・ギアーズジャム・三香堂の店舗と自社EC):数量 410(店舗数(期末))× 価格 0.82(1店あたりの年間売上(億円・名目。EC売上を店舗数で割って含む))→ 売上 337 億円・営業利益 4 億円。店舗 今の 0.70 倍、1店あたりの売上 1.03 倍、利益率 1.2%
- 製造・卸売(アイシン通商・ロジェールジャパン):数量 5,600(国内の鞄・服飾雑貨の卸・OEM市場(億円・今の値段の実質、推定))× 価格 0.6%(市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数)→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。市場 今の 0.70 倍、シェアは今のまま、値段 1.03 倍、利益率 3.0%
倍率:稼ぐ力は赤字すれすれで、価値は純現金の側で決まる。今の自己資本 309 億円に PBR 0.1 倍を掛けた 30 億円は、下の床の内訳(純現金から店舗閉鎖費用を引いた額)に合わせたもの。ためた利益や在庫の帳簿には掛けない。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.097 倍・時価総額 30 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:コロナ期の2021年3月期には、営業赤字に落ちた。店舗の固定費が重い小売は、需要が落ちると利益が消えやすい。構造的な負けとして、1割強に置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
小売(サックスバー・ギアーズジャム・三香堂の店舗と自社EC)
ショッピングセンター内を中心に、鞄、財布、小物、雑貨、旅行用品を売る店舗網と自社EC。
| 数量店舗数(期末) | 価格1店あたりの年間売上(億円・名目。EC売上を店舗数で割って含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 586 | 0.80 | 468 | 27 |
| 10 年後 中立 | 545 | 1.04 | 566 | 34 |
取り方:2026/03 期末の店舗数は、2027/03 末の計画584店(出店60・退店62)から逆算して約586店。売上は連結512.7億円のうち、卸の約45億円(推定)を除いた約468億円を店舗網とECの小売売上とした。セグメント別の開示は確認できず、小売と卸の按分は推定。
製造・卸売(アイシン通商・ロジェールジャパン)
鞄・小物の企画製造と、他社店舗への卸売。国内外のブランドを扱う。
| 数量国内の鞄・服飾雑貨の卸・OEM市場(億円・今の値段の実質、推定) | 価格市場 1 億円あたりの売上(億円)=シェア × 値段の指数 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,000 | 0.6% | 45 | 4 |
| 10 年後 中立 | 7,600 | 0.7% | 56 | 5 |
取り方:アイシン通商とロジェールの対外売上を約45億円・利益約4.3億円と推定(中期計画では、アイシン通商の2027/03 目標が売上54億円)。対象市場は約8,000億円と推定し、シェア約0.6%。細かい数字は開示が無く、ここは推定。
リスクと懸念
物価高による買い控えと実質購買力
鞄と財布は、買い替えを先送りしやすい。実質賃金が伸びない局面では、店舗の売上が落ちる。2026年3月期は営業利益が2割減り、中期計画も下方修正された。
店舗の固定費(地代・人件費)
地代家賃は売上の1割強、人件費は約18%。売上が落ちても家賃は落ちない。最低賃金の上昇も重なり、利益率がすぐに削られる。
低価格ECとショッピングセンターの来館者減
若い層は、低価格の通販へ流れつつある。ショッピングセンターの来館者数は、人口減で細る。自社ECは育成中だが、店舗の穴を埋めるには小さい。
商品カテゴリーの縮小
キャッシュレス化で財布の買い替えが減り、PCの持ち出し制限でビジネスバッグが小型化した。主力カテゴリーの縮小が、客単価と点数を押し下げる。
インバウンドと為替
免税需要は円安と観光客数に左右され、2025年7月のデマ情報のような突発的な落ち込みもある。円安は仕入れコストを押し上げる。
特定株主の持ち分と配当方針
ディーアンドケーが約2割、エムケー興産が約7%を持つ。株主の意向で、資本政策が変わる可能性がある。配当性向5割超は、利益が落ちると維持しにくい。
AIエージェントによる代替は限られる
店舗で商品を売る事業で、AIエージェントに置き換わる部分は小さい。接客やアプリでの提案は効率化されるが、店頭の売上が減る要因とは見ていない。
今後の分かれ目
- 既存店の売上が前年を2期続けて上回り、粗利率が改善したら
- 強気の筋書きの確率を上げる。営業利益率の前提を上げる。
- 店舗の退店が計画を超え、減損が出たら
- 店舗網の前提を下げ、やや悲観の確率を上げる。
- 自社株買いが大きく実施され、配当が増えたら
- 資本効率の改善が確かになる。ROEの前提を上げる余地が出る。
- EC売上が計画の31億円を超えて伸びたら
- 自社ECの前提を上げ、店舗の穴を埋められるかを見直す。
- 特定株主が持ち分を売る、または買い増す動きが出たら
- 資本政策や再編の可能性が変わる。確度は低いが注視する。
- インバウンドが大きく落ち込んだら
- 免税需要の前提を下げる。店舗の売上と粗利率に響く。
見ておくもの
- 既存店売上と粗利率
- 店舗数(出店と退店の差)
- 地代家賃率・人件費率
- EC売上と自社ブランド(PB)比率
- 配当性向と自社株買いの有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業のROEと資本コスト8.25%から、ROEがk以下のため1÷k=11.4倍を上限にして、その6〜9割に置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。悲観は純現金と、リースの約束を引いた額から出した。純現金は時価総額の2割弱だが、店舗の賃借による固定の約束と運転資金を考え、余った現金としては分けていない。家賃を営業費用に入れた今の形でそろえた。新リース会計基準(2028年3月期から強制)で営業利益と純有利子負債の形が変わるが、価値は変わらないので今の形のままにした。セグメントの開示が乏しく、小売と卸の按分は推定で、精度は低い。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.3→12.12 倍・やや楽観 PER 9.7→12.12 倍・中立 PER 9.1→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。