結論
ひとまいるは、旧カクヤスグループが2025年7月に社名を変えた持株会社だ。中核の「カクヤス」は、東京23区を中心に飲食店へ酒類を1時間単位の枠で届ける。売上は1,398億円、営業利益は19.7億円と、利益率は1.4%にすぎない。筆者の結論は、配達網の強さは本物だが、薄い利益率と薄い自己資本が割高感を生むということだ。
強みは、小型倉庫と自社の配達網で、個人飲食店の補充注文を握っていることだ。新規顧客は前期に約4%増え、客単価も上がった。
懸念は財務だ。自己資本比率は13%、純資産は50億円しかなく、仕入債務が169億円ある。毎年、店舗の減損が6〜7億円出て、純利益を削る。2026年3月期の純利益11.7億円は、税効果会計の益で膨らんだもので、来期予想は6.5億円まで下がる。
中立では、売上は2,060億円、営業利益は30億円、純利益は15億円。確率で重みづけした総合は、今の時価総額を2割ほど下回り、やや割高の側に出る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ひとまいるは「いい配達網を持つが、お金の稼ぎ方が薄い」会社だ。売上1,400億円に対し、営業利益は20億円しかない。1%の利益率の変動が、利益の5割を動かす。
事業の強みは本物で、10年先も東京の飲食店に酒を届ける需要は残る。だが酒類の消費は細る方向で、配達の費用は上がる。堀は弱い。
財務が薄いのも気になる。純資産50億円で、仕入債務が169億円、有利子負債が105億円。事業が少し傾くと、自己資本が一気に削られる。毎年出る店舗の減損も、見かけの利益を実際より大きく見せている。
払う値段が安全域を持つのは、稼ぐ力に対して十分に安い時だ。今の時価総額は来期予想の純利益の約19倍で、薄い利益率と薄い自己資本を考えると、安全域があるとは言いにくい。
筆者は、利益率が2%に近づき、減損が止まるまでは、買う理由が見つからないと考える。
何で稼ぐ会社か
売上の6割が時間帯配達事業だ。小型の出荷倉庫から、個人経営の飲食店と一般家庭、法人へ、1時間単位の枠で酒類と食品を届ける。売上は829億円、営業利益は16億円。飲食店は急な品切れに強い配達を求めるので、補充注文を握る強みがある。
ルート配達は売上410億円。配送センターから、全国の飲食チェーンとホテルへ1日1回届ける。店頭販売は141億円で、「なんでも酒やカクヤス」の店を東京23区中心に構える。不採算店を整理していて、売上は9%減ったが、利益は9億円と利益率は6%台と高い。
新しい動きは事業再編だ。酒類だけでなく、食材や他社商品を自社の配達網で運ぶ。平和島の物流センターを7,000坪に増床し、冷凍冷蔵設備を置く。マーケットプレイスと有償配送で、物流のプラットフォームになる計画だ。2025年9月には食材の通販会社ミクリードを持分法の関連会社にした。
2026年4月には札幌に進出し、小型倉庫を2か所開いた。2027年3月期からは、自社商品を売る「セラー事業」と「プラットフォーム事業」の2セグメントに分ける。
優良さと弱いところ
堀は弱い。酒類は仕入れ先のメーカーが値段を決め、小売と卸の利益は薄い。配達の速さと小口に応じる力が差別化だが、競合の国分グループ、三菱食品、地域の酒販店やネットも小口配達を強めている。
強みは、東京23区に敷いた小型倉庫と自社ドライバーの網だ。飲食店は発注から届くまでの速さを求め、一度つながると乗り換えにくい。個人飲食店の客数が前期に約4%増えたのは、この力の証拠である。ただし利益率は1.4%と薄く、家賃や人件費が上がると簡単に消える。
資本効率は、薄い自己資本のおかげで高く見える。ROEは2026年3月期に23.5%だが、自己資本が小さい分母のためで、利益の質を表す数字ではない。借入と仕入債務に支えられた事業である。
経営は事業再編に大きく投資している。新しい基幹システムの稼働が一部来期にずれ込んだ。計画どおりに進むかは、これからの決算で確かめる必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
酒類の消費量は、人口減と飲酒習慣の変化で、長い目で細っている。ビールの出荷量は年1%台で減り、メーカーは値上げと高単価品で売上を守る。飲食店向けの酒類市場は、コロナ後に訪日客と宴会の回復で戻ったが、店の数は減り、担い手の高齢化も進む。
飲食店向けの卸は、国分グループ、三菱食品などの大手卸と、地域の酒販店、ネット通販が競う。小口の飲食店向けは手間がかかり、大手が手を出しにくい隙間だった。カクヤスはそこで稼いだが、人手不足で配達の費用は上がり続ける。2024年問題でドライバーの労働時間が制限され、配達の費用はさらに重くなった。
酒類は販売免許制で、新規参入に壁がある。規制の緩和は進んでおらず、ネット通販は家庭向けで強く、飲食店向けには広がっていない。
食材や他社商品へ広げる戦略は、配達網の稼働率を上げる点で筋が通る。ただし食材は粗利率が低く、競争相手も多い。物流プラットフォームの成功例は国内では少ない。
酒類の販売は免許制で、新規の参入は限られるが、既存の卸が小口配達を強めれば優位は縮む。業界全体では、少ない人手でどれだけ多く運べるかが勝負になり、配達網の密度と情報システムの質が収益性を分ける。
資本政策と M&A
配当は予想の純利益の約9割にあたり、会社は累進配当を基本とする。来期の予想も同額で、配当性向は高い水準が続く。自社株買いはない。株主優待は100株以上にネット通販で使えるクーポンで、年の費用は1億円に満たず、数字には入れていない。
借入は有利子負債が105億円(リース債務を含む)で、現預金は29億円。純有利子負債は約76億円で、時価総額の6割にあたる。自己資本は50億円と薄い。
賃借料は年31億円で、倉庫と店舗の約束だ。2028年3月期からは新リース会計基準で、使用権資産とリース債務が貸借対照表に載り、自己資本比率はさらに下がる。
中期計画(2028年3月期に売上1,700億円、営業利益40億円)には、食材の企業買収が100億円規模で入る。買収が本業の資本を食う可能性があり、実行の質が資本配分の焦点になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
カクヤスは、東京の飲食店の補充注文を握る独自の配達網を持つ。個人飲食店の新規獲得は前期に約4%増え、チェーン向けも客単価が上がって堅調だ。強みが目に見える数字で出ている。
事業再編が当たれば、利益は大きく変わる。平和島に冷凍冷蔵設備を置き、酒類以外の食材や他社商品を同じ配達網で運ぶ。ドライバーと倉庫の稼働率が上がれば、固定費の比重が下がり、利益率は計画の2.35%まで上がる。
店頭は不採算店の整理で、利益率が6%台に上がった。システム投資のピークは過ぎ、来期以降は償却だけが残る。
配当は累進で、減らさない約束だ。食材の企業買収が成功すれば、売上は2,000億円を超え、営業利益は40億円に届く。利益率の1ポイントが、利益を倍にする事業である。
札幌など新しい地域でも、東京で磨いた小型倉庫の型を持ち込めるので、拡大の再現性が高い。食材と他社商品の配送を受ける仕組みは、酒類の免許に縛られない収益源になり得る。固定費の重い会社ほど、稼働率の上昇が利益に直結する。
慎重な見方
利益率が1.4%では、事業の失敗に耐えられない。家賃だけで年31億円、営業利益の1.6倍だ。人手不足で配達の費用は上がり、2024年問題がそれを押し上げる。
毎年6〜7億円の店舗の減損が特別損失に出て、純利益を削っている。2026年3月期の純利益が増えたのは、税効果会計の益のおかげで、来期予想は6.5億円に下がる。配当は純利益の約9割で、余裕がない。
財務は薄い。自己資本比率は13%で、純資産は50億円。仕入債務が169億円あり、事業が傾くと自己資本が先に消える。2028年3月期からの新リース会計基準で、数字はさらに悪く見える。
食材の企業買収に100億円規模を見込むが、資本が薄い会社の拡大は危うい。競合は大手卸とネットで、小口配達にも参入している。プラットフォームの成功例は少ない。
社名を変えて事業の姿を変えようとする局面は、投資が先に出て、成果が遅れて出ることが多い。その間の資金繰りは薄い自己資本に頼ることになる。
どちらに重みを置いたか
利益率が薄く、自己資本が薄く、減損が毎年出るという点で、慎重な見方が強い。一方、配達網の強みは実績に出ており、新規獲得も続くため、中立に4割強の確率を置き、やや悲観と悲観で3割にとどめた。
事業再編の成果が営業利益率の上昇として出るまでは、楽観側に確率を寄せない。逆に、減損が止まらず自己資本が削られるなら、悲観側の確率を上げる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 690 円202 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 219 円64 億円)。 今の値に割り戻すと 442 円129 億円、今との差 +4.0%、 期待の年率 +7.9%(資本コスト 8.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,756 円514 億円 | 308 円90 億円 | +385.6% | +17.1% | 144 円42 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,174 円344 億円 | 267 円78 億円 | +238.9% | +13.0% | 288 円84 億円 |
| 中立 | 42% | 731 円214 億円 | 232 円68 億円 | +126.6% | +8.5% | 404 円118 億円 |
| やや悲観 | 21% | 98 円29 億円 | 171 円50 億円 | −36.6% | −4.5% | 57 円17 億円 |
| 悲観 | 10% | 51 円15 億円 | 103 円30 億円 | −63.8% | −9.7% | 15 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 690 円202 億円 | 219 円64 億円 | +113.9% | +7.9% | 909 円266 億円 |
今の株価時価総額 425 円124 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:中期計画がほぼ実現し、配達の網が食材と他社商品まで広がる 利益 32 億円 · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 1,756 円514 億円
個人飲食店の新規獲得が続き、札幌・仙台・名古屋・広島の政令市で小型倉庫が回り始める。時間帯配達の件数は今の 1.35 倍、金額は物価並みに上がる。
平和島の冷凍冷蔵設備を使った他人物配送と食材の販売が軌道に乗り、その他の売上は 240 億円まで伸びる。マーケットプレイスは手数料収入を生む。
売上は 2,500 億円超、営業利益は 58 億円、利益率は 2.3%。配達網の稼働率が上がり、固定の家賃と人件費の比重が下がる。借入は返済が進み、累進配当が増える。
社名変更後の新しい基幹システムが全社で動き、受注から配達までの手間が減る。人手不足の中でも、一人あたりの配達件数が増えて費用の上がりを吸収できる。
- 時間帯配達事業:数量 9.3(年間配達件数(百万件))× 価格 16,100(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 1,497 億円・営業利益 39 億円。件数 1.35 倍、金額は物価並み
- ルート配達事業:数量 1.4(年間配達件数(百万件))× 価格 46,900(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 633 億円・営業利益 13 億円。チェーン向けが伸びる
- 店頭販売事業:数量 4.0(年間来店客数(百万人))× 価格 4,020(客単価(円))→ 売上 161 億円・営業利益 10 億円。店舗を絞り高単価品に寄せる
- その他(EC・卸・食材・プラットフォーム):数量 3.0(取引件数(百万件))× 価格 8,000(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 240 億円・営業利益 12 億円。食材・他人物配送・マーケットプレイス
倍率:事業の純利益 32 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 29.8% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 15.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.7 倍。全体の PER 15.71 倍、時価総額 501 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社が掲げる 2028 年 3 月期の営業利益 40 億円(利益率 2.35%)が、その後の 8 年も続く筋書き。食材の M&A と有償配送が当たる必要があり、ハードルは高い。
やや楽観 20% やや楽観:既存事業が堅調で、食材と配送受託が小さく成功 利益 22 億円 · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 1,174 円344 億円
時間帯配達は今の 1.25 倍の件数に伸び、飲食店の補充を握る強みが出る。ルート配達は大手チェーンの客単価の上昇で堅調。店頭は店舗を減らして高単価品に寄せ、利益率は保つ。
その他は食材の販売と配送受託で 170 億円に届く。マーケットプレイスは小さく、利益はまだ薄い。
売上は 2,270 億円、営業利益は 43 億円、利益率は 1.9%。システム投資の償却が重い時期を過ぎ、利益率が少し上がる。
札幌など地方の政令市への進出も黒字化し、本社費の負担が薄まる。食材の取引先も増え、粗利の薄さを件数でこなせるようになる。
- 時間帯配達事業:数量 8.6(年間配達件数(百万件))× 価格 15,800(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 1,359 億円・営業利益 31 億円。件数 1.25 倍、金額 1.32 倍
- ルート配達事業:数量 1.3(年間配達件数(百万件))× 価格 46,000(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 593 億円・営業利益 10 億円。チェーン向けが堅調
- 店頭販売事業:数量 3.8(年間来店客数(百万人))× 価格 3,950(客単価(円))→ 売上 149 億円・営業利益 9 億円。店舗を 2 割減らす
- その他(EC・卸・食材・プラットフォーム):数量 2.4(取引件数(百万件))× 価格 7,200(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 173 億円・営業利益 8 億円。食材と配送受託
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 23.5% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 13.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.9 倍。全体の PER 14.89 倍、時価総額 331 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:個人飲食店の新規獲得という足元の実績が 10 年続き、食材が計画の半分に届く筋書き。
中立 42% 中立:既存事業の件数が 1 割強伸び、食材・配送受託が 120 億円。利益率は 1.5% 利益 15 億円 · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 731 円214 億円
時間帯配達の件数は 1.15 倍。個人飲食店の新規獲得は続くが、酒類の消費は人口減で細り、伸びは鈍る。金額は酒類メーカーの値上げと商品構成の高度化で 1.30 倍。ルート配達は 1.05 倍の件数。店頭は店舗を 25% 減らす。
その他は食材と他社商品の配送受託で 120 億円。計画の 190 億円には届かない。
売上は 2,060 億円、営業利益は 30 億円、純利益は 15 億円。本社費とシステム費は物価で 1.34 倍に上がる分を効率化で抑える。
賃借料は年 31 億円で、物価で上がる。償却は取得時の値段のまま。新しい倉庫やシステムへの投資が償却を上回り、借入は減りにくい。
- 時間帯配達事業:数量 7.9(年間配達件数(百万件))× 価格 15,600(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 1,239 億円・営業利益 25 億円。件数 1.15 倍、金額 1.30 倍
- ルート配達事業:数量 1.2(年間配達件数(百万件))× 価格 45,500(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 559 億円・営業利益 8 億円。件数 1.05 倍
- 店頭販売事業:数量 3.5(年間来店客数(百万人))× 価格 3,900(客単価(円))→ 売上 138 億円・営業利益 8 億円。店舗 25% 減
- その他(EC・卸・食材・プラットフォーム):数量 1.8(取引件数(百万件))× 価格 6,700(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 121 億円・営業利益 5 億円。食材・他人物配送が 120 億円
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.8% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 11.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.9 倍。全体の PER 13.9 倍、時価総額 208 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去の営業利益率は 2024 年 3 月期の 2.2% が山で、直近は 1.4%。中立は 1.5% に置き、計画の 2.35% には届かない見方とした。
やや悲観 21% やや悲観:利益率が 0.6% まで下がり、固定費の重さが出る 利益 4 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 98 円29 億円
個人飲食店の新規獲得が頭打ちになり、競合の配達網(国分グループ、三菱食品、地域の酒販店、EC)との値引き競争が続く。件数は 1.05 倍、金額は物価に届かない 1.25 倍。
新システムの稼働遅れと償却、物流費・人件費の上昇で、営業利益は 10 億円まで落ちる。店頭は 4 割の店を閉めても収支は薄い。
食材は M&A に失敗し、期待した 100 億円規模に届かない。配当は累進の約束で減らしにくく、借入が積み上がる。
自己資本比率は 10% を割り込み、金融機関から追加の担保や財務制限を求められる。成長投資は止まり、守りの経営になる。
- 時間帯配達事業:数量 7.3(年間配達件数(百万件))× 価格 15,000(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 1,088 億円・営業利益 15 億円。件数 1.05 倍、金額 1.25 倍
- ルート配達事業:数量 1.2(年間配達件数(百万件))× 価格 43,750(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 512 億円・営業利益 5 億円。横ばい
- 店頭販売事業:数量 2.8(年間来店客数(百万人))× 価格 3,750(客単価(円))→ 売上 106 億円・営業利益 5 億円。店舗 4 割減
- その他(EC・卸・食材・プラットフォーム):数量 0.9(取引件数(百万件))× 価格 6,000(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 54 億円・営業利益 1 億円。食材は伸びず
倍率:PER 8.0 倍。純利益が薄く、ROE は 5% 台で k を下回る。上限 1÷k(約 10.8 倍)の約 74%。
確率:飲食店向けの価格競争と人件費・物流費の上昇で、配達の利益が削られる筋書き。2022 年 3 月期の赤字は新型コロナの影響だが、固定費の重さを示す事実でもある。
悲観 10% 悲観:配達網が価格競争に飲まれ赤字に。薄い自己資本が削られる 利益 −14 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 51 円15 億円
酒類の消費量は人口減と若者の飲酒離れで細り、飲食店の閉店も続く。大手卸が小口配達に参入し、ネット通販が家庭の宅配を取る。件数は 1 割減り、金額は物価に届かない。
配達網の固定費(家賃 31 億円、ドライバー、倉庫、システム償却)は売上が落ちても減らず、営業利益は 15 億円の赤字になる。
自己資本比率は 13% と薄く、減損と赤字で自己資本はほぼ消える。借入の借り換えに応じてもらえず、資産の売却に追われる。累進配当は止まる。
株主に残る価値は店舗や倉庫の処分価格が中心になり、事業の継続価値はほとんど見込めない。
- 時間帯配達事業:数量 6.0(年間配達件数(百万件))× 価格 13,800(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 828 億円・営業利益 2 億円。件数 1 割強減、金額 1.15 倍
- ルート配達事業:数量 1.0(年間配達件数(百万件))× 価格 40,250(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 403 億円・営業利益 0 億円。値引きで利益ゼロ
- 店頭販売事業:数量 2.4(年間来店客数(百万人))× 価格 3,450(客単価(円))→ 売上 81 億円・営業利益 2 億円。店舗を半減
- その他(EC・卸・食材・プラットフォーム):数量 0.6(取引件数(百万件))× 価格 5,000(1 件あたり平均金額(円))→ 売上 30 億円・営業利益 −2 億円。新規事業は撤退
倍率:PBR 0.30 倍を今の自己資本 50 億円に掛けた。稼ぐ力は赤字で、売れる資産は仕入債務の返済に消える。
確率:構造的に負ける筋書き。酒類の消費が細り、飲食店向けの配達も大手卸とネットに取られ、システム投資が回収できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
時間帯配達事業
小型の出荷倉庫(サテライトステーション)から、個人飲食店と一般家庭・法人へ酒類と食品を 1 時間単位の枠で届ける。主力。
| 数量年間配達件数(百万件) | 価格1 件あたり平均金額(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6.9 | 12,000 | 828 | 16 |
| 10 年後 中立 | 7.9 | 15,600 | 1,239 | 25 |
取り方:売上 829 億円(前期比 5.0% 増)、セグメント利益 16.0 億円(利益率 1.9%)は決算補足資料の開示。件数と金額は開示がなく、売上からの推定(1 件 1.2 万円は飲食店の補充注文と家庭の宅配の平均と置いた)。個人飲食店の客数は前期比で約 3.9% 増。
ルート配達事業
配送センターから、全国の飲食チェーンとホテル・レストランへ 1 日 1 回のルートで届ける。
| 数量年間配達件数(百万件) | 価格1 件あたり平均金額(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.2 | 35,000 | 410 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1.2 | 45,500 | 559 | 8 |
取り方:売上 410 億円(6.8% 増)、セグメント利益 4.8 億円(1.2%)は開示。件数と金額は推定。チェーン向けは客単価の上昇で伸びた。
店頭販売事業
「なんでも酒やカクヤス」の店舗で一般消費者に売る。不採算店を整理中。
| 数量年間来店客数(百万人) | 価格客単価(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4.7 | 3,000 | 141 | 9 |
| 10 年後 中立 | 3.5 | 3,900 | 138 | 8 |
取り方:売上 141 億円(9.2% 減)、セグメント利益 9.05 億円(6.4%)は開示。店舗網の再構築で客数が減り、単価は値上げと高単価品(ジャパニーズウイスキーなど)で上がった。来店客数と単価は推定。
その他(EC・卸・食材・プラットフォーム)
EC、他の酒類販売者への卸、食材の販売、これから育てるマーケットプレイスと他社商品の配送受託。
| 数量取引件数(百万件) | 価格1 件あたり平均金額(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.4 | 5,000 | 18 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1.8 | 6,700 | 121 | 5 |
取り方:売上 17.8 億円(10.1% 増)、利益 2.85 億円は開示。中期計画は食材で 190 億円を目指すが、まだ小さい。件数と金額は推定。
リスクと懸念
薄い利益率と固定費
営業利益率は 1.4%。賃借料は年 31 億円、営業利益の 1.6 倍で、売上が落ちても減らない。利益率が 1 ポイント動くと、営業利益は 7 割動く。
薄い自己資本
自己資本比率は 13%、純資産は 50 億円。仕入債務 169 億円と借入 105 億円を抱える。毎年の減損と赤字が、自己資本を先に削る。
店舗の減損
店舗の減損が毎年 6〜7 億円出ている。見かけの純利益は減損で削られており、店頭販売の再構築が進まなければ止まらない。
事業再編と買収
食材の企業買収に 100 億円規模、システム投資に 3 年で 35 億円を見込む。資本の薄い会社の拡大で、実行を誤ると自己資本が毀損する。基幹システムの稼働は一部来期にずれた。
配達費用の上昇
ドライバー不足と 2024 年問題で配達費は上がる。配送費は前期に 3 倍近くに増えた。自社の配達網が競争力であり、費用でもある。
酒類の消費の縮小
酒類の消費量は人口減と飲酒習慣の変化で細る。メーカーの値上げ前の駆け込み需要の反動で、四半期の件数が大きく振れることがある。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 期続けて 2% を超える
- 事業再編の効果が出たとして、中立の利益率を 1.5% から 1.8% に上げて見直す。
- 店舗の減損が 3 億円を下回る
- 純利益の質が上がるとして、純利益÷営業利益を 0.6 に近づける。
- 食材の企業買収が 100 億円規模で実行される
- 借入が増え自己資本が削られるリスクとして、悲観側の確率を上げる。
- 自己資本比率が 10% を割る
- 財務の傷みが利益を削る局面として、k に上乗せして見る。
- 個人飲食店の客数の伸びが前年割れになる
- 配達網の強みが崩れたとして、やや悲観に重みを移す。
見ておくもの
- 営業利益率と店舗の減損
- 個人飲食店の客数
- 自己資本比率と有利子負債
- 食材・他人物配送の売上
- 新リース会計基準の適用時期と影響
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。k 8.75% の弱い堀(残る割合 1/3)で、式の上限は約 12.8 倍。中立の 10.0 倍はその 78%。今の予想 PER(約 19 倍)や PBR(約 2.5 倍)は使っていない。純利益の起点は税効果の益を除いた 7 億円。10 年後の数字は家賃を営業費用に入れた今の形で置いた。新リース会計基準(2028 年 3 月期から)で営業利益は少し増え、純有利子負債と自己資本比率の形が変わる。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→15.71 倍・やや楽観 PER 10.8→14.89 倍・中立 PER 10→13.9 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.75% を加えて 9.25%。薄い利益率と薄い自己資本を反映した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 8.75%。