結論
ネクステージは、中古車を売る会社だ。国産車の総合店に、輸入車の正規ディーラーと買取専門店を重ねて全国に約350店を持つ。前の期の売上は6,500億円、営業利益は196億円だった。
結論から言う。筆者は、今の値段は事業の力に対してやや高いと見る。利益率が3%ほどの薄利の商売で、中古車相場の上下と、在庫を支える借入の重さを受けるからだ。
ただし事業の勢いは本物だ。この会社は、車を売る力の前に、車を買う力を磨いてきた。買取専門店を都市部に増やし、買い取った車の一部を業者に卸して在庫の回転を速める。中間期の買取台数は前年から3割増え、営業利益はほぼ倍になった。
10年で見ると、国内の中古車市場は台数が増えない。伸びるのはシェアと車の値段だけだ。中立でも、販売台数は今の1.6倍ほどにとどまる。営業利益率は3%台半ばまでで、純利益は今の2倍ほどだ。
下振れの幅も大きい。新車メーカーの直販や相場の下落で、利益が数年で消える筋書きがありうる。店の家賃は固定費として残るので、悪い年は赤字に落ちやすい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ネクステージは「良い商売だが、安く買えるか」の商売だ。
良い所は、規模で仕入れが安定することと、創業者が資本を事業に注ぎ続けていることだ。悪い所は、利益が薄く、1台ずつの差益に依存することと、在庫と借入で支えていることだ。10年先に、この会社が今より強い堀を持つとは言い切れない。
オーナー利益、つまり株主に戻せる利益は、見かけの利益より小さい。出店と在庫の積み増しに、毎年かなりの資金が要るからだ。利益が増えても、自己資本が同じ速さで増えれば、ROEは上がらない。
今の値段は、近い2年の増益が続くという前提に強く寄っている。筆者は、その前提には安全域がないと見る。相場が荒れた年に利益が半分になる会社に、成長を高く払うことはしない。逆に、相場が悪い年でも買取で車を集め続けられるなら、それが堀になる。この点を、四半期の台数と台当たり利益で確かめ続けたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は単純だ。車を仕入れ、整備して並べ、1台ごとの差益を取る。
仕入れの柱は、個人からの買取だ。オートオークションからの仕入れは小売車両の3割にとどめている。買取は自社の店と出張査定で行い、全国の98%を無料の出張査定の範囲に入れている。
買い取った車は、状態のよいものを自社の店で小売りし、残りは自社運営のサイトで業者に売る。業者販売は在庫を長く持たないための出口で、会社は今期5万台を計画する。
店は型が分かれる。総合店が90、国産中型店とSUV専門店と高級車専門店が合わせて36、買取専門店が172だ。このほか2024年にエー・エル・シーを買い、ボルボやBMWなど輸入車の正規ディーラー55店が加わった。新車の販売は、買い替え客を取り込む役目も持つ。
セグメントの開示はないので、中古車(小売と業者販売)と新車・輸入車の2つに推定で分けて見る。売上の9割ほどが中古車だ。従業員は約7,500人で、平均年齢は30歳と若い。人を採って店を増やす成長モデルである。収益は車の売買差益と整備・保険などの付帯収入から成る。
優良さと弱いところ
優良さの評価は、慎重に書く。強い堀は見えない。
中古車は1台ずつ状態が違い、顧客は価格を比べて買う。ネクステージの強みは値段ではなく、規模と仕入れ力だ。買取の窓口が多いほど良い車が集まり、良い車が集まるほど客が来る。この好循環は、店を増やし続ける間は効く。
資本の使い方は、積極的だ。出店と在庫に利益の大半を回し、配当性向は28%にとどまる。ROEは過去10年で11〜25%の間を動き、中央値は16%だった。高い年は相場が追い風の年で、低い年は費用が先行した年だ。この振れ幅が、事業の安定度を表している。
弱い所は3つある。利益率が薄く、粗利率が1ポイント動くだけで営業利益が3割動く。借入が重く、純有利子負債は自己資本とほぼ同じだ。そして人の採用と教育が追いつくかどうかだ。新しい店は赤字で始まり、人が育つまで数年かかる。平均の勤続は3.5年と短い。
経営は創業者の広田靖治氏が会長兼社長を務める。意思決定の速さは長所だが、後継の体制はこれからの課題だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
中古車小売の市場は、台数ではなく単価で伸びる。業界資料では、年間の流通は約260万台とされる。人口が減るので、実質の台数は10年で横ばいか1割減とみるのが普通だ。
伸びる余地は、シェアの再編にある。2023年のビッグモーターの不正で、大手が一社弱った。そのシェアをネクステージとIDOM(ガリバー)が取った。ネクステージの小売は年18万台ほどで、市場の約7%にあたる。上位を除けば、まだ小さな個人店が多い。
競合の形は変わりつつある。IDOMは店の数が約490と同規模で、買取に強い。オークション事業者やネット仲介は、買取の入口を取りに来る。新車メーカーは、認定中古車や直販を伸ばしている。
価格の動きは読みにくい。コロナ後に中古車相場は大きく上がり、その後に下がった。新車の供給が戻ると、中古の値ざやは薄くなる。逆に、物価が3%で続くなら、車の値段は名目で上がる。
長い目で見ると、電気自動車への切り替えが最も大きい不確実性だ。電池の劣化の見極めが難しく、中古の残価が読みにくい。サブスクやカーシェアが広がれば、車を持つ人そのものが減る。
資本政策と M&A
資本政策は、成長優先だ。配当性向は3割弱で、自社株買いは中心ではない。利益の大半は出店と在庫に回る。
M&Aは、2024年のエー・エル・シーの取得が代表だ。輸入車ディーラーを一気に55店に増やした。中古車だけだった収益に、新車の整備と保険の稼ぎが加わる。一方、買収した事業は景気で売れ行きが動く。
借入は、出店と在庫の資金のために銀行から調達している。純有利子負債は787億円で、自己資本とほぼ同じだ。今後は金利が上がるので、借り換えのたびに利払いが増える。
TOBの観点では、時価総額が2,000億円台と手頃で、創業者が率いる。10年のうちに買収や非公開化の話が出る確率は低くない。ただし、薄利で借入が重い会社に高い値段をつける買い手は限られる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ネクステージは、中古車業界で規模と効率を同時に伸ばしている会社だ。買取台数は半年で18万台を超え、前年から3割増えた。これは自社の店が客から直接車を集める力が強まったことを示す。買取が増えれば、良い車が集まり、小売の台当たり利益が上がる。
業者販売という出口を持ったことで、在庫の回転が速くなった。売れ残りのリスクが減れば、同じ資金でより多く買える。営業利益率は中間期に3.6%と、前年の倍になった。
市場は260万台、同社の小売は約7%にすぎない。ビッグモーター問題で空いたシェアを、上位が取り合っている。都市部への買取専門店の出店は始まったばかりで、10年かけて10%を超えるシェアも射程に入る。
新車・輸入車の55店は、買い替えの客を囲い込む。整備と保険の稼ぎは景気に左右されにくい。中立でも利益は倍になり、ROEは12%を超える。会社予想の営業利益276億円の先に、さらに伸びる筋書きは十分ある。円安で新車の輸入車が値上がりしても、買い替えの客は中古に流れやすい。
慎重な見方
中古車は、差別化のない商品だ。顧客は価格を比べて買い、ネクステージが値を上げられる根拠は薄い。台当たり利益の改善は、今の相場の追い風に支えられた面がある。
利益率は3%台で、粗利が1ポイント動けば営業利益が3割動く。過去10年で営業利益率は1.5%から4.7%まで振れた。今の水準は上の方に寄っている。
在庫の資金は借入だ。純有利子負債は自己資本とほぼ同じで、金利が上がれば利払いが増える。相場が下がる局面では、在庫が値下がりし、借入だけが残る。店の家賃も固定費として重い。
電気自動車の中古の残価は読めない。新車メーカーが認定中古車を伸ばせば、買取の入口を奪われる。10年先の市場は台数が減る。シェアが伸びても、薄利のままなら、株主に残る価値は小さい。今の値段は、2年の増益を長く続く姿として払っている。10年のうちに必ず一度は来る相場の下落と、金利の上昇が重なる点も軽く見られている。会社が自ら掲げる長期の数値目標が見えないことも、利益の見通しの確かさを下げる。
どちらに重みを置いたか
事業の勢いは強気の見方の言う通りだが、値段との釣り合いは慎重な見方に分がある。薄利で借入が重く、相場に弱いという構造は、10年では消えない。
確率は、やや悲観側に厚く置いた。中立は営業利益率3%台半ばと、会社予想よりも低く、台数を伸ばす置き方だ。下振れの幅は大きく、悲観では利益がほぼ消え、稼ぐ力ではなく売れる資産で値がつく。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した株価時価総額 4,707 円3,799 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 709 円572 億円)。 今の値に割り戻すと 2,554 円2,061 億円、今との差 +1.7%、 期待の年率 +8.0%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 9,957 円8,037 億円 | 1,258 円1,015 億円 | +346.6% | +16.1% | 897 円724 億円 |
| やや楽観 | 20% | 7,382 円5,958 億円 | 991 円800 億円 | +233.5% | +12.8% | 1,675 円1,352 億円 |
| 中立 | 35% | 5,490 円4,431 億円 | 781 円630 億円 | +149.7% | +9.6% | 2,195 円1,771 億円 |
| やや悲観 | 26% | 1,724 円1,391 億円 | 496 円400 億円 | −11.6% | −1.2% | 577 円466 億円 |
| 悲観 | 11% | 589 円475 億円 | 74 円60 億円 | −73.6% | −12.5% | 73 円59 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,707 円3,799 億円 | 709 円572 億円 | +115.7% | +8.0% | 5,417 円4,372 億円 |
今の株価時価総額 2,511 円2,027 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 買取網が全国に広がり、シェア1割超 利益 484 億円 · PER 16.2 倍 · 株価時価総額 9,957 円8,037 億円
買取専門店の出店が10年続き、買取の入口を握る。買った車の良いものは小売りに回し、残りは業者販売が受け止めるので、在庫は長く持たない。国内の市場は台数が減るが、シェアは7%から13%近くまで伸び、販売台数は今の2倍を超える。台当たり利益は、買取の比率が上がるほど厚くなり、営業利益率は4%を超える。新車・輸入車のディーラーは、買い替え客の囲い込みで規模を伸ばす。借入は増えるが、利益の伸びがそれを上回り、ROEは18%近くまで上がる。ビッグモーター後のシェア争いに勝ち、上位2社の一角として定着する。
- 中古車(小売・業者販売):数量 46.0(販売台数(万台、小売と業者販売の合計))× 価格 373(1台あたり売上(万円))→ 売上 17,158 億円・営業利益 721 億円。台数+114%・単価+38%
- 新車・輸入車ディーラー:数量 1.4(販売台数(万台))× 価格 820(1台あたり売上(万円))→ 売上 1,148 億円・営業利益 34 億円。輸入車の拡大
倍率:事業の純利益 484 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.9% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.2 倍。全体の PER 16.18 倍、時価総額 7,831 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社が買取専門店を都市部に広げ続け、中古車市場の再編でシェアが10%を超える。10年では上位の筋書きとして残るが、薄利の事業で利益率が4%を超え続ける保証はない。
やや楽観 20% 出店とシェア拡大が続き、利益率も上がる 利益 365 億円 · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 7,382 円5,958 億円
買取専門店の出店は前半の5年で一巡し、シェアは7%から10%ほどへ伸びる。業者販売は在庫の回転を支え続け、台当たり利益は今の水準を保つ。営業利益率は3%台後半で、会社予想の3.7%に近い。新車・輸入車は規模を保つ。借入は増えるが、金利上昇の分を利益の伸びで吸収する。市場の台数減を、シェアと車の値上がりが相殺し、後半は出店の余地が尽きて伸びが鈍り、売上は今の2.4倍に届く。ただし、競争で台当たり利益が削られ、利益率の上昇は小幅にとどまる。会社が掲げる出店と買取の計画は実現するが、その先の成長は市場の成熟に阻まれる。
- 中古車(小売・業者販売):数量 40.0(販売台数(万台、小売と業者販売の合計))× 価格 362(1台あたり売上(万円))→ 売上 14,480 億円・営業利益 550 億円。台数+86%・単価+34%
- 新車・輸入車ディーラー:数量 1.3(販売台数(万台))× 価格 800(1台あたり売上(万円))→ 売上 1,040 億円・営業利益 29 億円。小幅に拡大
倍率:事業の純利益 365 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 18.2% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.6 倍。全体の PER 15.56 倍、時価総額 5,679 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の出店と買取強化が計画どおり進む筋書き。中間期の勢いが10年のうち前半で続き、後半は市場の成熟で落ち着く。
中立 35% 台数は伸びるが、利益率は3%台半ばまで 利益 280 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 5,490 円4,431 億円
国内の台数は減るが、ネクステージは買取の強さでシェアを7%から9%台へ伸ばす。販売台数は今の1.6倍、車の値段は物価並みに上がり、売上は2倍ほどになる。ただし競争は続き、台当たり利益は今より少し下がる。営業利益率は3%台半ばで、今の3.0%と過去の最高4.7%の間に収まる。借入は在庫の増加に合わせて膨らみ、利払いは今の倍以上になる。出店の費用が先に出るので、ROEは12%台にとどまる。配当は3割ほどを維持し、自社株買いは小さい。市場の再編は進むが、上位の競合も追いかけるので、突出した利益率は取れない。新車・輸入車の店は、物価並みの値上がりで売上を保つ。
- 中古車(小売・業者販売):数量 35.0(販売台数(万台、小売と業者販売の合計))× 価格 362(1台あたり売上(万円))→ 売上 12,670 億円・営業利益 431 億円。台数+63%・単価+34%(物価並み)
- 新車・輸入車ディーラー:数量 1.2(販売台数(万台))× 価格 800(1台あたり売上(万円))→ 売上 960 億円・営業利益 24 億円。台数は横ばい・単価は物価並み
倍率:事業の純利益 280 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.6% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.84 倍、時価総額 4,155 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中立。会社の出店余地とシェア再編は認めるが、薄利の事業で相場に左右される点を重く見て、利益率は会社予想より控えめに置く。
やや悲観 26% 相場が荒れ、利益率が2%台に戻る 利益 139 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 1,724 円1,391 億円
新車の供給が戻り、中古車相場は一度下がる。ネクステージは在庫を抱える側なので、損失が出る。競合も値引きに走り、台当たり利益は薄くなる。シェアは伸びても8%にとどまり、車の値段は物価を下回る。営業利益率は2%台前半で、過去の谷と同じ水準に戻る。借入は在庫に比例して重いまま、利払いが増える。店の家賃は固定費として残り、売上が減っても減らない。ROEは資本コストを下回り、配当は小さい。新車・輸入車のディーラーも、景気の悪化で台数が落ち、利益はほぼ出ない。ネクステージは利益を増やすどころか、在庫と借入の圧縮に追われる数年を過ごす。
- 中古車(小売・業者販売):数量 27.0(販売台数(万台、小売と業者販売の合計))× 価格 346(1台あたり売上(万円))→ 売上 9,342 億円・営業利益 224 億円。台数+26%・単価+28%
- 新車・輸入車ディーラー:数量 1.0(販売台数(万台))× 価格 760(1台あたり売上(万円))→ 売上 760 億円・営業利益 11 億円。収益が薄く
倍率:事業の純利益139億円・事業ROE 8.2%(資本コスト以下)。ROEがk以下の会社の上限は1÷k=11.4倍で、薄利のため利益の質は低く8.5倍に置いた。
確率:10年のうちに中古車相場の下落や新車の供給回復が起き、薄利に戻る筋書き。10年単位では起こりやすいとみて、相応の確率を置く。
悲観 11% 直販と相場下落で、優良さを失う 利益 5 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 589 円475 億円
新車メーカーが認定中古車と直販を伸ばし、買取の入口を奪う。EVの中古の残価が読めず、在庫が値下がりする。ネクステージは、店の数を減らして縮小する。台数は今より減り、車の値段も物価に追いつかない。営業利益率は1%にまで落ち、家賃などの固定費で営業利益はほぼ消える。借入だけが重く残り、配当は絞る。買い手のつく資産は、在庫と店の設備に限られる。残った大手は買取の入口を新車メーカーに握られ、仕入れ値が上がっても売値に転嫁できない。人も流出し、店の質が落ちる悪循環に入る。配当は純利益の合計を超えないよう小さく抑え、足りない分は資産の売却でまかなう。
- 中古車(小売・業者販売):数量 17.0(販売台数(万台、小売と業者販売の合計))× 価格 297(1台あたり売上(万円))→ 売上 5,049 億円・営業利益 50 億円。台数-21%・単価+10%
- 新車・輸入車ディーラー:数量 0.9(販売台数(万台))× 価格 700(1台あたり売上(万円))→ 売上 630 億円・営業利益 −13 億円。赤字
倍率:稼ぐ力は事業の純利益5億円÷k=60億円ほどで、売れる資産の税後(今の自己資本792億円の約6割)の方が大きい。PBRは今の自己資本に掛けた。EV ÷ 営業利益は34倍ほどになるが(純有利子負債を足して見た)、営業利益がほぼ消えた年の数字で倍率は意味を持たないため、EVの倍率では評価していない。
確率:新車メーカーの直販や認定中古車、EVの残価の崩れが重なる構造的な負け。10年では無視できない確率を置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
中古車(小売・業者販売)
国産中心の中古車を、個人からの買取で仕入れ、自社の店で小売りし、残りを業者に卸す事業。
| 数量販売台数(万台、小売と業者販売の合計) | 価格1台あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 21.5 | 270 | 5,805 | 174 |
| 10 年後 中立 | 35.0 | 362 | 12,670 | 431 |
取り方:開示がなく推定。2026/11期の中間期の小売92,086台(前年比+3.1%)から年約18.5万台、業者販売は年約3万台と置き合計21.5万台。連結売上6,521億円から新車・輸入車の推定716億円を引いた5,805億円を割り、1台あたり約270万円。営業利益は利益率3.0%で174億円。 数量は実物(販売台数)で、伸びは出店計画など事業の事実による。市場の名目の伸びを数量に置いたものではなく、価格に物価を掛けても二重がけにならない。
新車・輸入車ディーラー
ボルボ・BMW・フォルクスワーゲンなど輸入車の正規ディーラー55店による、新車販売と整備の事業。
| 数量販売台数(万台) | 価格1台あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 1.2 | 597 | 716 | 22 |
| 10 年後 中立 | 1.2 | 800 | 960 | 24 |
取り方:開示がなく推定。55店で1店あたり年200台強と置いて1.2万台、1台あたり約600万円(輸入車の平均的な売価)で716億円。営業利益率は中古車と同じ3.0%とみて22億円(合計は連結営業利益196億円に合わせた)。
リスクと懸念
中古車相場の下落
コロナ後に高騰した相場は一度下がった。ネクステージは在庫を抱えて売る側なので、相場が下がると差益が消え、在庫の値下がりが利益を直撃する。利益率が3%と薄いため、振れは大きい。
借入と金利の上昇
純有利子負債は787億円で、自己資本とほぼ同じだ。在庫の資金は銀行借入に頼る。今後の借り換えで金利が上がると、営業利益に対する利払いが重くなる。
新車メーカーの直販と認定中古車
メーカー系の認定中古車や新車の直販が伸びると、買い替え客の入口が奪われる。買取の強みが薄まれば、ネクステージの仕入れ力の優位は縮む。
電気自動車の中古の残価
電池の劣化の見極めが難しく、中古のEVの値段が読みにくい。EVの比率が上がる10年では、在庫の評価損が出るリスクがある。
出店と人の採用の失敗
出店のペースが速く、平均の勤続は3.5年と短い。人が育たなければ、店の質と台当たり利益が落ちる。出店の未達は有報でもリスクにあげられている。
古物営業法・不正の風評
ビッグモーターの不正で、業界の信用が傷ついた。同社自身も古物営業法の遵守と風評をリスクにあげる。一件の不祥事が全店の集客に響く業態だ。
店舗の家賃(固定の約束)
店は賃借が多く、家賃は毎年払う固定の約束だ。2028年11月期から新リース会計で借入が増えて見える。景気が悪い年は売上が落ちても家賃は落ちず、利益率を削る。
今後の分かれ目
- 中古車相場が2割下がり、在庫の値下がり損が出た場合
- 台当たり利益が消え、営業利益率は2%台に戻る。やや悲観の筋書きに近づく。
- 買取専門店が出店計画どおりに広がり、業者販売が年5万台を超えた場合
- 在庫の回転が速まり、同じ資金で台数が増える。楽観側の筋書きに近づく。
- 新車メーカーが認定中古車を大きく広げ、買取の競争が強まった場合
- 仕入れ力の優位が縮み、悲観の筋書きに近づく。
- 金利が想定より上がり、借り換えのたびに利払いが膨らんだ場合
- 純利益の伸びが鈍り、株主に残る稼ぎが薄まる。
- 創業者が経営から退き、後継の体制に移った場合
- 出店の速さと資本配分の方針が変わりうる。方針が堅実になれば、利益の質は上がる。
- 買収や非公開化の話が出た場合
- 薄利で借入が重い会社なので、買い手の払う値段は限られる。本質価値との比較軸になる。
見ておくもの
- 中古車の買取台数・小売台数・業者販売台数の四半期推移
- 小売の台当たり利益と営業利益率
- 純有利子負債と在庫の増え方
- 中古車の相場(オークション相場)の動き
- 出店の計画と閉店の数
倍率と資本コストの決め方
今の株価・PERには寄せず、先に中古車と新車・輸入車の2つで台数×1台あたり売上を積み、純利益と自己資本の流れからROEを出し、正当化PERの式で倍率を置いた。資本コストは8.5%(基本7.5%に品質+1.25%)。中立の倍率は式の上限の約9割で、ROEが資本コストを上回るので下限の1÷kを下回らせていない。悲観は稼ぐ力ではなく売れる資産の税後で置き、谷のPBRは使っていない。10年の利益の伸びは物価と台数の範囲に収めた。店の家賃は営業費用に入った今と同じ形で10年後も置き、2028年11月期からの新リース会計で営業利益と借入の見え方が変わる点は織り込まない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13.3→16.18 倍・やや楽観 PER 12.2→15.56 倍・中立 PER 11.8→14.84 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にqualityを足した(決まり v2)。個別のリスクは筋書きと確率で表す。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.50%。